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1983年8月発行の書籍

人気の作品

      まちんと

      司修 , 松谷みよ子

      偕成社
      5.0
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      • この「まちんと」という御話、私はもうかれこれ二十数年ぐらい前、たしかに小学校で読んだ記憶がある。

        話の筋も忘れてしまい、どのような絵だったかも忘れてしまって、それが絵本だったのかあるいは読み物だったのかすらはっきりと覚えていなかったのだけれど、たしかに「まちんと」というタイトルと、とても印象的で悲しい物語だったというその時の思いだけは小半世紀経ってもはっきり覚えていた。

        それで、ふと探して読み直した。

        想像以上に、深く心に響く絵本だった。

        広島の原爆の時に、トマトを口に入れるとよろこび、もっとトマトを食べたいと言いながら、亡くなっていった女の子。
        必死に、自分自身も焼けただれた身体でありながら、炎の街の中をトマトを探して歩いたお母さん。

        「まちんと」というのは、「もっと」あるいは「もうちょっと」という意味の言葉だったらしい。

        その女の子は鳥になり、「まちんと」と今も鳴きながら飛んでいる、というところでこの物語は終わっている。

        この絵本の作者の創作ではなく、当時誰ということはなく、広島でいつの間にか語り継がれるようになった物語らしい。

        私は、もう長い間題名以外はこの話を忘れていたし、ほとんど思い出すこともめったになかった。
        しかし、心のどこかに、この「まちんと」という響きが、この女の子の魂の鳥の鳴く声が響いていたから、核兵器だけはなんとしてもなくしたいという願いを忘れずに来たのかもしれない。

        この「まちんと」や、こうした物語を読んだうえで、私は日本の核武装などは、やはり神仏の前にどうしても主張することができない。
        理屈ではない、倫理の問題なのだと思う。

        小半世紀ぶりに読んで、あらためてそのことを確認することができた。

        多くの人に読んで欲しい、本当にすごい絵本だと思う。
        >> 続きを読む

        2013/04/18 by atsushi

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      太陽の世界 (2) 牛人の結婚 (角川文庫)

      半村 良

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 太陽の世界 第2/18巻。

        モアイとの和合が進むアム。約束の地ラ・ムーを目指し進む一行に立ちはだかる試練。

        牛人の結婚と言うエピソード。気持ちが優しくなれるいい話で有った。

        ストーリー全体で見れば、明らかに聖双生児の誕生が一番のトピックスでは有るのだが、本作品のサブタイトルとなっている「牛人の結婚」の方が印象に残るエピソードで有った。

        敬虔で大人しいアムそしてモアイ。
        とは言え、関わりの有る種族との諍いが絶えないことで、殺伐とした空気になる場面も多い。
        そんな中で、牛人の結婚は、優しさに包まれた無垢さが有り、とても気持ちが和んだ。
        本当の強さとは何なのか。本当の幸福とは何なのかを考えさせられる。

        新キャラとしてはワンギイ。アムに新風を巻き込んでくれることが期待される。

        太陽の世界は、サブタイトルの付け方がおかしい。
        第1巻のサブタイトルになっているのでネタバレも無いだろうと思うが、聖双生児が誕生するのは2巻。
        第1巻は「聖双生児」というサブタイトルがついているにも関わらず、伝説としてしか触れられていない。
        次の巻のネタバレをなぜ第1巻からする必要が有ったのか...

        聖双生児の存在は、どうしてもグイン・サーガとの設定の一致に思い当たってしまう。こちらの方が先では有るのだが。
        >> 続きを読む

        2012/08/31 by ice

      • コメント 2件
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      優しい密室

      栗本薫

      講談社
      5.0
      いいね!
      • 名門女子高の校内でチンピラの他殺死体が発見された。
        しかも現場は密室だった!?
        お上品な平和にはあきあきしていた森カオルは勇躍、事件の渦中へ・・・
        名探偵伊集院大介とワトソン役カオルが邂逅し事件の謎をとく
        好評シリーズ第二弾。

        再読。

        栗本薫の作品の中でこれが一番好きです。
        その次は『レダ』です。
        『グイン・サーガ』も『魔界水滸伝』
        『ぼくら』シリーズももちろん好きなのですが
        この作品は思い入れが強いのです。

        推理小説として
        特に優れているというわけでは正直、ありません。

        他の伊集院大介の登場する初期作品
        『絃の聖域』『鬼面の研究』に比べても
        連続殺人でもありませんし、正直、地味です。

        ただ、
        この作品に描かれているヒロインの姿や
        学校での立ち位置
        未熟で、気恥ずかしいほどの自我の強さ。

        (最終的に、犯人との関係にも影響していた事がわかる構成が好きです)

        多分、どんな人間も大小の違いはあれど
        思春期に感じるであろう周囲との違和感。

        『人間失格』を読んだときのような感覚。
        まるで、自分のことを書かれているような
        あの感じを、この本を読んでいる時は感じていました。

        傲慢でありながら、臆病で
        自分がこの場所にいていいのか
        それすらもわからず、何とか学校の中で
        かろうじて生きている。

        「何者」かになりたいが、あまりにも
        漠然とした未来という膨大な時間に
        押し潰されそうな不安。

        そんなことを感じていた時期を
        その苦しさ、みずみずしさまでと言葉として切り取り
        作品として作り上げてしまう著者の力量。

        そして、伊集院大介の言葉によって

        主人公の森カオルが自分というものを
        受け入れる場面のモノローグ。

        (前略)
        “いまは、大介の云ったことがよくわかる。
        誰でも、やっぱり、どんなふうに思われようと、自分自身でいるほかはないのだ。
        自分自身でいることを、人からうけ入れてもらうためには、
        いよいよ自信をもって、自分をさらけ出し、それで気に食わぬ人間には、
        近づかないでもらうほかはない。
        全世界の人間に、全部好意をもってもらうわけにはいかないのだ。
        ふしぎなくらい、私は、心が軽くなっていた。”

        そして、最後の伊集院大介のセリフも
        「早く認められようと焦ることはないですよ。
        あなたはまだ、十七じゃありませんか。
        時期を待ってらっしゃいな。
        そして何でもいい、まわりのものを片っぱしから観察するんですよ。

        ものを書くべき人間は、いつか必ず書くものなんです。

        書きつづけなさい、そうして時を待ちなさい。

        愛するときに時があり、
        憎むに時があり、
        生きるに時があり、
        死するに時がある、ですよ」

        こんな素晴らしい作品を書いた著者が
        もう居ない事がやはり、残念でならない。
        >> 続きを読む

        2013/07/29 by きみやす

      • コメント 6件
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      水色の密室 (講談社文庫)

      斎藤 栄

      2.0
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      • 光文社文庫版で読了




        水色の密室
         
         ガストン・ルルーの小説のタイトルが出て来るが
         エドガー・アラン・ポーの方やな



        三色の告発
         
         ラストの大オチはいらなかったな



        狂気の壺
         
         本作の中で強いてあげたら
         一番おもしろかったかな



        顔のない女
         
         何がいいたのか分からない
          
         ミステリーでも何でもない



        青い蜜
         
         主人公の小学生が
         かわいくなくてつまらない



        夜の恋人診断
         
         この時代にプログラマとか出てくる
          
         割り込み制御機構って単語は
         今ならなんと言うのかな



        屍臭の女
         
         どこに行きつくのかワクワクしたのに
         ナーンだ、こんなラストか



        黒い海の花
         
         ハードボイルドでちょっとした息抜きになったが
         真相は序盤から容易にわかってしまう



        零時の鐘は十二鳴る
         
         読んだ事があったなとラストで分かった
          
         いちいち言葉の説明が出てきて
         そこだけ、おもしろかった



        血の叫び
         
         時代を感じた
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        2020/05/09 by 紫指導官

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      さまざまな迷路

      星新一

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • この一冊で、32話も入っている、ショートショートです。
        さっくり読む事が出来て、オススメです。

        「重要な任務」「小鬼」「出口」が、特に面白かったです(^^)
        >> 続きを読む

        2014/05/06 by ゆずの

      • コメント 3件
    • 4人が本棚登録しています
      消えた女 彫師伊之助捕物覚え

      藤沢周平

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • もとは凄腕の岡っ引伊之助が十手に頼らず探索をするシリーズの第一弾。

        岡っ引をやめた伊之助は通いの版木彫り職人として生計をたてているが、ある日、行方不明になった娘を探してくれと、もとの親分に頼まれる。娘の行方を追ううちに伊之助は、材木商高麗屋と作事奉行の黒いつながりをあばくことになる。

        藤沢氏が挑んだ新趣向の捕物帖ということだが、主人公の伊之助にいまひとつ個人的に惹かれなかった。版木彫りの仕事にも、頼まれたとはいえ探索にも、どちらも中途半端な感じがしてしかたがなかった。妻に裏切られたあげくに死なれた過去を引きずっているのか、幼なじみの女との関係にも踏み込んでいけないところもある。
        第三弾まであるシリーズの続きを読むか、考え中。


        >> 続きを読む

        2020/05/01 by Kira

    • 2人が本棚登録しています
      宵待草夜情

      連城 三紀彦

      5.0
      いいね!

      • この第5回吉川英治文学新人賞を受賞した、私の大好きな作家・連城三紀彦の「宵待草夜情」を読了しました。

        著者の美しく華麗な文章、妖しくも儚い情感、明治大正期のロマンの香りが堪能できる素晴らしい作品集だと思います。

        各篇の冒頭には、それぞれヒロインの名前が付されていますが、著者自ら「この作品集に収められている五つの短篇では、女主人公を前面に押し出だして、いつも以上に女を絵筆で描こうと努めています」と述べているように、妖しくもミステリアスに浮かび上がってくる、それぞれの女性像にはいっそう凄味が増していると思います。

        構成がトリッキィというより、いわばヒロインそれ自身がトリックになっているのです。したがって、仕掛けの華やかさは、ここでは影を潜めた代わりに、登場人物の人間像や背景描写に、より陰影を帯びた彫りの深さが加わっているように思います。

        それが最もグロテスクな形で出ているのが冒頭の「能師の妻」ですね。ヒロインの篠が、サディスティックなまでに義理の息子を鍛えあげているうちに、いつしか"妖しの世界"へ足を踏み入れていくくだりは、まるで赤江獏の世界のようでもあるのです。

        凄惨な真相がラストで明かされますが、その恐ろしいイメージの前には、トリックの妙といった醒めた言葉は吹き飛んでしまうほどです。

        二番目の「野辺の露」も、これまた恐ろしい話ですが、こちらのヒロイン杉乃はぐっと陰にこもっています。耐える女というのは、実に怖いものです。

        表面についぞ現われることのない女心のブラックホールが、この作品では黒々と口を開けているのです。そして、そこに嵌った杉乃の義弟は哀れの限りだ。

        そして、この作品集の中で私が最も好きな表題作の「宵待草夜情」は、肺病病みで死を待つ放浪の画家が、薄幸の女給・鈴子と出逢って生きる希望を抱くに至ります。

        ラストで彼が「生きよう、生きよう」と呟くシーンは感動的ですらあります。根暗男と根暗女の宿命的な出逢いは、輪をかけて話を暗くするかと思わせますが、マイナスとマイナスは掛けるとプラスになるんですね。

        画家が吐いた血を見て、勇気づけるように「この色も、古宮さんの胸の中にあった悲しさかしら」などと鈴子が微笑みかけるシーンは、かつての文学青年をして結核に憧れさせたのと同種の妖気を漂わせていて、実に鬼気迫るものがあります。

        しかし、鈴子の同僚が殺されたことを契機に、二人は生命を吹き返していくのです。「能師の妻」とはまったく逆のイメージに、今度は圧倒されてしまいます。

        我々ミステリファンにはお馴染みのトリックが登場するものの、この作品集ではトリックは、それほど重要ではないと思います。どのようなトリックを駆使しようとも、女心に勝るミステリを描くことは不可能だと思うからです。


        >> 続きを読む

        2018/02/14 by dreamer

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      黒衣の花嫁 (ハヤカワ・ミステリ文庫 10-4)

      コーネル・ウールリッチ

      4.0
      いいね!
      • この「黒衣の花嫁」はコーネル・ウールリッチのミステリー小説の長編第1作目の作品で、この作品で作家としての地位を築いたと言われています。

        そして、かれはこの作品の2年後に、ウィリアム・アイリッシュ名義で名作「幻の女」を発表し、ミステリー界で確固たる地位を確保することになったのです。

        かつて、江戸川乱歩は、「この作家の魅力は、その文章にこもっている一種異様な淋しさにある。筋とは関係なく、文章そのもののトーンが、孤独で淋しくて怖いのである」と、語っていましたが、暗く淋しいトーンの中に甘いロマンティシズムが漂っているのが、彼の作品の特徴なのだと思います。

        そして、江戸川乱歩はまた、この「黒衣の花嫁」についても、「文章は凝っていてむつかしく、文章味豊なれど、プロットはさしたるものに非ず。しかし、この作者何かしら特異の性格あり。魅力充分。陽気なアメリカ人には珍しい性格なのである。追われる者の恐怖心理を描くのがきわめて巧みであるし、読者に一種の戦慄的な奇態と焦慮を感じさせる手法にもっとも優れている」とも語っていますが、乱歩は、「黒衣の花嫁」のプロットは、さしたるものに非ずと言っていますが、私はコーネル・ウールリッチの文章には、独特の暗さと甘美さがあり、これが麻薬的な効果を持っていて、どんなプロットでも素晴らしく見えて来るので用心が必要だなと思っています。

        例えば、彼の「喪服のランデヴー」という長編ミステリーは、小型飛行機の乗客が窓からウイスキーの瓶を放り投げます。すると、その瓶がたまたま地上を歩いていた恋人の女性の頭に当たり、その女性は死んでしまいます。

        残された男は復讐を誓い、小型飛行機に乗っていた乗客の身元を調べ上げて、片っ端から殺していくのです。何とも荒唐無稽なプロットで、よく考えてみると、恥ずかしくなるようなところがあるのですが、読んでいる間中、その馬鹿々々しさを気づかせないのが、ウールリッチの文章の魔力のような気がするのです。

        この「黒衣の花嫁」のプロットにも、実は同じような事が言えると思うのです。作品の中では、五人の男が殺されます。犯人は女性で、彼女は次々に男たちを、ベランダから墜落死させたり、毒殺したりするのですが、動機は、彼女が初恋の男性と結婚式をあげ、教会の表に出た時、その男性が誤って殺されてしまったからなのです。

        この男たちは、殺そうと思って殺したのではなく、ほんの悪戯心から出た、いわば不慮の出来事だったのですが、人生の晴れの門出の日に新郎の命を奪われた花嫁にしてみれば、心が死んだも同然で、復讐のために、この五人の男たちを殺そうと決意するのです。

        どちらかと言えば、劇画的な発想で、女主人公の殺人の動機を説得力をもって我々読者を納得させるのは、かなり難しいと思います。下手をすると、見当違いの復讐譚という事にもなりかねず、作者には現実と非現実スレスレの綱渡り的な芸当を、かなり要求されると思います。

        この「黒衣の花嫁」をフランスの名匠フランソワ・トリュフォー監督が、ジャンヌ・モロー主演で映画化しましたが、この原作の小説は、いわゆる"倒叙型"のミステリーで、男たちを相手に連続殺人を重ねていく女主人公の動機はどこにあるのか、最後まで隠しておく必要はなく、映画は起承転結の転にあたる部分で、ネタを明かします。

        新郎を殺したのは、狩猟と女に明け暮れている独身の男たちの犯罪という設定になっていて、そこのところが原作とは異なり、偶発的な殺人ではなく、一種、故意の殺人に改変されていますが、そうとでもしない限り、映画の観客を納得させる事は出来ないと判断したのだろうと思われます。



        >> 続きを読む

        2016/09/07 by dreamer

      • コメント 5件
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      旅の絵本 (4) (日本傑作絵本シリーズ)
      福音館書店
      3.5
      いいね!
      • 母の絵本。絵の中の小さい発見に喜ぶ。

        2015/01/13 by ぶぶか

    • 2人が本棚登録しています

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