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1984年1月発行の書籍

人気の作品

      あおくんときいろちゃん

      レオ・レオーニ

      (有)至光社
      4.0
      いいね! sunflower chao
      • 表紙無し。

        2016/04/14 by rapporti

    • 他4人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      しろくまちゃんぱんかいに

      わかやま けん

      こぐま社
      4.0
      いいね!
      • すべり台で遊びたいと泣いてせがむところに共感。

        2015/01/13 by ぶぶか

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      山家鳥虫歌―近世諸国民謡集 (岩波文庫)

      浅野 建二

      岩波書店
      カテゴリー:伝説、民話(昔話)
      4.0
      いいね!
      •  江戸中期・全国民謡集。以後近代までも歌い継がれているものもある。真に人生は短く、芸能は長い。

        ▶「BOOK」データベースより
        江戸中期の民謡集。68ヵ国、398首を収める。今も残る「めでためでたの若松様よ」の祝歌を最初に、田植え、草取り、収穫など、労働につれて歌われたものが多い。また「恋に焦がれて鳴く蝉よりも、鳴かぬ蛍が身を焦がす」と、人目を忍ぶ恋の辛さを歌ったものも少なくない。民謡の祖であり、その主題は現代歌謡に受けつがれている。
        >> 続きを読む

        2018/05/21 by rikugyo33

    • 1人が本棚登録しています
      ちいさなヒッポ

      内田莉莎子 , BrownMarcia

      偕成社
      カテゴリー:芸術、美術
      3.7
      いいね!
      • ぱっと見は、地味な表紙の印象を受けました。
        が、裏表紙と開いたら、なんてダイナミックな絵でしょう。

        この本は、見事で美しい版画絵本です。
        動物達の表情や力強さが版画でこんなに表現できるとは、感動です。

        もう一度図工?美術?の授業を受けたくなりました(*^-^*)


        この作者マーシャ・ブラウンは「三びきのやぎのがらがらどん」の作者です。
        「・・・がらがらどん」の方が有名で皆さんご存知かと思いますが、あちらもとても力強く、躍動感溢れる絵ですよね。

        ストーリーは、動物の世界を生き抜くための母の愛情とヒッポの成長。

        一度読んだ後、次は細部までじっくりと絵を楽しみたい、そんな絵本です。
        >> 続きを読む

        2012/07/08 by kumahachi

      • コメント 4件
    • 3人が本棚登録しています
      画集レンブラント聖書

      嘉門安雄 , Rembrandt Harmenszoon van Rijn , HoekstraHidde Gosse

      学研マーケティング
      4.0
      いいね!
      • レンブラントの旧約聖書に関する絵画を集めて一冊にした本。

        さまざまなデッサンや油彩画で、本当に旧約の多くのシーンをカバーできることにあらためて驚く。

        旧約にこんな話あったっけ?というようなかなり細かなエピソードまで絵にしてあって、あらためてレンブラントの聖書への徹底した読みと肉迫に深く感じ入った。

        生き生きと聖書の世界を絵画でよみがえらせているレンブラントは本当にすごいと思う。
        >> 続きを読む

        2012/12/27 by atsushi

    • 1人が本棚登録しています
      夜中の薔薇

      向田邦子

      講談社
      3.0
      いいね!
      • ようやく読み終えた本。

        今迄、向田邦子さんの本は沢山読んだと思っていたが、
        写真集や妹さんの本で読んだ気になっただけで、
        ご本人さんのは、これで確か三冊目。

        でも、読んでいるとなぜか懐かしいというか、
        既に目にしたことがあるような、昔聞いた落語を今生で聴いてい
        そんな気持ちにさせてくれた・・・・。

        さすが、ドラマの脚本家だけに、言葉に敏感。
        言葉の洒落っ気については、随所で披露してくれる。

        例えば、
        渋谷駅で切符を買った時のこと、
        気がせいていたので「渋谷一枚」と叫んでしまった。
        こういう場合「ここだよ」とどなり返されるのがオチだが、
        その駅員さんは違っていた。
        静かな声で、「無料(タダ)ですよ」といって、かすかに白い歯をみせた。
        私は一瞬、この初老の駅員さんに惚れてしまった。


        いいですな・・・・でも今や、自動販売機、乗り越しで清算をして
        定期券でも忘れようなら、ピー、ピー、ピーとお咎めのごとく叫んでる。

        ああ、味気ない世の中になりましたな・・・・。


        向田邦子さんの世界が心地良いのは、
        限りなく昭和の匂いがするからでおますな。
        >> 続きを読む

        2015/06/06 by ごまめ

      • コメント 5件
    • 5人が本棚登録しています
      ギリシア神話を知っていますか

      阿刀田高

      新潮社
      カテゴリー:神話、神話学
      3.7
      いいね! Tukiwami
      • 先日から、拙いながら古典的書物についてレビューを書かせてもらっています。
        冒頭では1300年ころのダンテ「神曲」⇒ダンテが敬愛するBC20年ころのウェルギリウス「アエネーイス」。そうなりますと、ウェルギリウスが感化されたBC700年ころの巨匠ホメロス……という、さながら鮭の溯上のような道筋で書かせてもらおうと思っていたのですが、ここで少し寄り道することにしました。

        今回は、ギリシャ神話についてです。こういうものに興味のある方の一助になれば幸いです♪
        実は学生のころ、ギリシャ神話なるものを読まねばならんと思い、いきなり、ギリシャ三大悲劇詩人のアイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスを読みました。その結果、その悲劇物語が悲しいというより、よくわからん…という切なさで悲しく落ち込んでしまいました。これまたトラウマとなって時が過ぎていったのです。

        その後、なんとか愉しくよむ方法はないものかな? と図書館の書架をふらふらしていたところ、ふっと目に入ったのがこの本です。
        エッセイ風の語りはとにかく軽やかで平明です。著者の想いや独特の切り口でギリシャ神話をひもときながら、かみくだいた言葉で説明してくれますので、ギリシャ神話の入門や、今よりもっと親しみをもってみたいけど…と思っている方にお薦めしたいのです。

        内容を敷衍しながら少しご紹介しますと、例えば、よく前書きの部分をプロローグと言い、後書きの部分をエピローグと言います。「プロ」には「前の」という意味があり、「エピ」には「後の」という意味があり、「メテウス」は「考える」という意味が含まれているので、「プロメテウス」は「前もって考える(人)」、「エピメテウス」は「後で考える(人)」ということになるそうです。

        実は、ギリシャ神話で有名なプロメテウスとエピメテウスは兄弟で、前もって考えるプロメテウスは、全知の神ゼウスとも互角に渡り合うほど機智に富んだ男で、憐れな人間のためにゼウスから「火」を盗むと、その逆鱗にふれて罰せられたという神話は有名です。
        また、後で考えるエピメテウスは、意地悪なゼウスから贈られてきたパンドラが携えた壺を、残念ながら前もって考えずに開けてしまい、あらゆる悪(災害、病気、戦争、憎悪、暴力…)がこの世に放出されて……あとのまつりになったという神話も有名です。

        このような神話にまつわる言葉の由来や、ホメロスの大叙事詩「イリアス」の舞台となったトロイヤの遺跡を発掘した執念の人シュリーマンの話を含め、膨大な神話の中から選りすぐった12の楽しい話が詰まっています。

        「トロイアのカッサンドラ」「嘆きのアンドロマケ」「貞淑なアルクメネ」「恋はエロスの戯れ」「オイディプスの血」「闇のエウリュディケ」「アリアドネの糸」「パンドラの壺」「狂恋のメディア」 「幽愁のペネロペイア」「星空とアンドロメダ」「古代へのぬくもり」

        これを読むまで、私の頭の中には、整理されないままの神話という具材がまるで闇鍋状態でごっちゃに突っ込まれていました。そのため、1つ1つの神話がどこから派生して何に関連づけたものなのか? いつごろの話なのか? 判然としなかったのです(そんなものだろうと諦めていました)。
        ところが、この闇鍋状態を救ってくれたのが著者が紹介した分類。類型として大きく5つに分類されているようで、早速この本で紹介された話を独断と偏見で振り分けてみました。

        ①オリュンポスの神々の伝説⇒「貞淑なアルクメネ」「恋はエロスの戯れ」「闇のエウリュディケ」「アリアドネの糸」「パンドラの壺」「星空とアンドロメダ」

        ②アルゴー丸遠征の伝説⇒「狂恋のメディア」

        ③英雄ヘラクレスの伝説⇒

        ④テーバイの伝説⇒「オイディプスの血」
         
        ⑤トロイヤ戦争の伝説⇒「トロイアのカッサンドラ」「嘆きのアン ドロマケ」「幽愁のペネロペイア」「古代へのぬくもり」

        こう見てみると、12の話の中でも、①オリュンポスの神々の伝説と⑤トロイヤ戦争の伝説が多いことがわかりました。そうなりますと、トロイヤ戦争の周辺状況がなんとなくイメージできそうな予感がしませんか……笑?

        冒頭の話に戻りますと、ご存じの方も多い巨匠ホメロスの作品「イリアス」は、10年におよんだトロイヤ戦争の末期を描いています。しかもホメロスの描く世界は想像を絶するほど壮大で華麗です。人間界とオリュンポスの神々の世界が、何の違和感もなく並行しながら描かれています。ギリシャとトロイヤ両軍の英雄が沢山登場し、人物関係を把握するだけでも少々骨が折れますが、それに加えて多くの神々が登場して人間と神々が入り乱れます。気まぐれな全知ゼウス、嫉妬深いゼウスの妻ヘラ、眼光輝くアテネ、愛のアプロディーテ、弓の名手アポロン、海の神ポセイドン、軍神アレス、海の女神テティス、鍛治神へパイストス……。

        ギリシャ軍には、ヘラ、アテネが、トロイヤ軍にはアプロディーテとアポロンが肩入れすることになりますが、肝心のゼウスは、死屍累々となった戦場で死闘を繰り広げている憐れな人間を翻弄し、半ばもてあそんでいる……もはや悲劇の喜劇といった具合なのです。ですので、いたって人間臭いオリュンポスの神々とギリシャ神話への親しみがもてますと、ホメロスの作品は断然奥深く、各段に面白いものになるなぁ~とつくづく思うのです。

        ということで、ギリシャ神話に興味はあるのだけど、少々敷居が高いな~と思われている方には、まずガイダンスとしてこの本をお薦めします。数時間で読めるくらいコンパクトで面白いので、私はよく出張のフライトの際、一服の清涼剤のように繰り返し読んで笑っています。

        また、ギリシャ神話自体に深~い興味をもたれた方は、本格的なものが岩波などから沢山でているようです。個人的には、現存する悲劇作品を丁寧に拾い上げた、古代ギリシャ3大悲劇詩人アイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスの「ギリシャ悲劇」をお薦めしたいと思います(本棚掲載)。これはもう、大変格調高い作品の数々で、しかも翻訳には詳しくない私でさえも、まことに素晴らしいものと感激しました♪

        ギリシャ神話はまさにギリシャ・ローマ文学の源流、さらに聖書にも影響を及ぼし、その後の名作となる西洋文学の根底にも脈々と息づいています。ぜひ楽しく読まれてみてください。
        >> 続きを読む

        2015/11/15 by アテナイエ

      • コメント 8件
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      超音速漂流 (文春文庫 (275‐21))

      トマス・ブロック

      4.0
      いいね!
      • 大型旅客機にミサイルが命中する、というショッキングな幕開きで始まるのが、トマス・ブロックの"航空パニック小説"とも言える「超音速漂流」です。

        なにしろ、この小説の冒頭で、もう空対空ミサイルが旅客機にぶち当たってしまうのです。そこから一体どのように展開していくのだろうかと、不安になって来ましたが、この作者はただ者ではありません。最後まで目が離せず、巻を置けず、一気に読んでしまいました。

        主役はサンフランシスコ発東京行きのトランス・ユナイテッド航空52便のストラトン797機です。テスト中のミサイルを誤射されるのが発端で、ここから迫力満点のドラマが展開していきます----。

        このミサイルは実験用だったために、火薬は装填されていませんでしたが、機体に大きな穴があいてしまいます。飛んでいたのは地上六万二千フィート。するとどうなるか? 穴の付近にいた乗客は座席とも外に噴出し、残った乗客も急激な気圧の低下で酸欠状態になり、即死か致命的な脳の損傷を受けてしまいます。

        自動操縦装置によって、呼吸可能な一万一千フィートまで急降下した時、機内に生存していたのは、トイレや調理室などの密閉区画にいた5人の男女のみ。なんとこれは、クライマックスではなく冒頭のシーンなのです。

        このような"極限状況"から、この物語は始まるのです----。

        この作品のミソは、機長を失ったこの漂流機が"四面楚歌の状態"に追いやられることです。この"航空パニック小説"のよくあるパターンは、機内こそメチャクチャでも、交信による地上の協力や、何らかの援助を受けて、無事に生還するというものが多いと思いますが、トマス・ブロックはそのパターンを破って、この漂流機を"孤立無援の状態"に追い込んでいくのです。

        ミサイルを誤射したことを隠したい軍の関係者、暗い思惑を持つ航空会社と保険会社の重役などが登場し、援助どころか、全てが漂流機の敵に廻っていくのです。

        更に、燃料切れを初めとして、様々なアクシデントがこれでもか、これでもかというように次々と起きるのです。

        この絶対絶命の危機を、5人の男女がいかにして克服していくのか?----、というハラハラ、ドキドキの超迫力のエンターテインメント小説なのです。

        奇想天外な幕開けから、プロットにも新しい趣向を凝らし、テンポもよく、これほど最初から最後まで緊迫感溢れる小説は珍しく、素人パイロットを初め、地上の人間たちまでが、実にリアルに生き生きと描かれていて、本当に最後まで目が離せないのです。

        作者のトマス・ブロックは現職のパイロットであり、そのために描写にも迫真のリアリティがあり、例えば、この作品の一つのポイントにもなっている、テレタイプ装置データリンクという小道具の使い方が巧みで、現場の人間の目というものが感じられるのです。
        >> 続きを読む

        2016/09/20 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      牧場の少女カトリ

      NuoliwaaraAuni Elisabet Hirwensalo , 森本ヤス子

      いのちのことば社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 私が小さい頃、『牧場の少女カトリ』というアニメが世界名作劇場であっていた。
        なんとなく覚えているのだが、さっぱりストーリーが思い出せない。
        というわけで、その原作のこの本を探して読んでみた。

        読み終わった感想は、とても良い作品なのだけれど、この作品をなんと言えばいいのだろう。
        最後まで読むと感動するのだが、かといってそのストーリーを、原作を読んでもうまく説明できない。

        というのは、児童文学によくあるような波瀾万丈のストーリーがあるというわけでなく、淡々と二十世紀初頭ぐらいのフィンランドの田舎の日常生活が描かれるだけの作品だからである。

        『小公子』や『小公女』が模範的な主人公の波瀾万丈のストーリーであるのと比べて、『牧場の少女カトリ』の登場人物たちはいたって普通の人々である。

        カトリも、その周囲の人々も、格別模範的な良い人物というわけでもなく、かといって格別悪い人でもない。
        ごく普通の人々である。
        だらしない主人や、ちょっと下品な使用人仲間もいるが、格別に悪いというわけでもない。
        非日常的な出来事が起こるわけでもない。
        だが、読み終わると、たしかに心に残る何かが、しっかりとある。

        そういう点で、『牧場の少女カトリ』は非常に「渋い」児童文学と言える。

        カトリは、貧しいので他の金持ちの地主の家に奉公に行かねばならなくなり、一緒に暮らしていたおじいさんおばあさんと別れて、一人で見知らぬ農場で働くようになる。
        はじめは子どもなので当たり前だが、運命に流されるままである。
        そのあとも、基本的には、奉公先の都合で、また別の奉公先にやられることになり、そういった意味では運命のままである。
        だが、その中で、カトリはしっかりと裁縫を覚えたり、文字の読み書きができるようになる。

        何軒か奉公先が変わる中で、比較的親切な居心地の良いところにしばらくいたあと、別の奉公先に行く。
        そこがひどいところで、こき使われるだけこき使われ、ろくな食事も満足に与えらない。
        完璧にいろんな仕事をカトリがこなすと、主人はさらに無理な要求を次々につきつけ、カトリをぼろぼろになるまで働かせて苦しめる。
        それでも、睡眠時間を削ってカトリが仕事が終わった後の夜に織ってつくりあげたきれいな布地を、他の仕事でしばらくカトリがいない間に勝手に主人が盗んで自分の娘の服にしてしまう。

        カトリは悲しみと怒りで心がいっぱいになり、しばらく苦しい思いを抱え、それでも働き続けるが、栄養不足と疲労で心身ともに追いつめられる。
        カトリは、かつて働いていた奉公先の使用人仲間に手紙を送り、自分の窮状を訴える。
        その仲間は、きちんと会いに来てくれて、食べ物を差し入れてくれるようになる。
        そして、一時的に休暇をもらって、かつて一緒に暮らしていた自分のおばあさんに会いに行き、自分の苦しみを伝え、相談する。

        カトリは、まず、自分のように怒りや許せない心で心がいっぱいの時も、神に祈って良いかを尋ねる。
        おばあさんは、創世記の中の、奴隷の身分に落とされのちにエジプトの大臣になったヨセフの物語を引きながら、ヨセフも自分が悲しくつらく怒りでいっぱいの時も、常に神に祈っていた、だからこそ信仰や希望を持ち続けることができた、神の前では人は誰でも罪人なので、どんなに怒りや憎しみで心がいっぱいの時も祈るのには何のさしつかえもない、むしろ祈った方が良い、ヨセフもそうだった、と諭す。

        カトリはさらに重ねて、では目上の人には、ものを盗まれても、何をされても、怒ってはならず、祈りによって怒りを愛に変えて従うべきなのかということを尋ねる。
        それに対し、おばあさんは、怒らないことと、不正に屈することは違う、不正に屈してしまうのは相手の罪をそのままにすることになってしまう、きちんとしっかりと、盗みに対しては相手に償いをさせるように、自分の正当な権利を正しく主張すべきだということを答える。
        そして、聖書を手渡して、聖書を読みなさい、必要なことはすべて聖書に示されている、とカトリに教え諭す。

        カトリは、それから奉公先に帰り、しばらく日を選んで待ってから、他の使用人が誰もいない時に、主人に対してはっきりと、自分の布地を主人が盗んだはずであること、自分にその分の糸を弁償して与えて欲しいこと、今度は勤務時間内に自分に布地を織ることを許可して欲しいことを冷静に主張する。
        主人ははじめは驚き、拒絶しようとするが、カトリがしっかりと自らの権利を主張し、もし聞かないならば他の人々にこのことを話すというと、それらをきちんと認めてくれるようになった。

        そして、契約どおりの奉公の年季があけると、カトリは主人たちがなおも自分たちのところで働かせようといろいろと言うのをきっぱりと断り、その屋敷を去って、別の奉公先に去っていく。

        そして、その五年後、二十歳の時に、良い人とめぐりあって結婚することになり、過去のことを思い出し、

        「幸福は自分でつくるもの。」

        ということを思っている姿が、さらっと末尾に書かれている。

        ただ単に運命に流されるだけだった子どもから、しっかりと幸福は自分でつくるもだと認識して努める大人になった姿が描かれて、物語は終わっている。

        しっかりと自分の権利を主張し、また本当に困った時は自分から人に助けを求めることができること。
        そして、聖書をしっかりと読み、祈ること。
        それができるようになることが、この作品で描かれる、本当の「成長」「大人」ということなのだろう。

        カトリは最後まで読むと、他の児童文学にはない、深い感銘や感動がある。
        小さい頃は何気なくアニメを見ていたが、背後にはしっかりと聖書やキリスト教のテーマがあったんだなぁと今回読んで感心させられた。
        児童文学なので、ほんの数時間もあれば読み終わるし、多くの子どもおよび大人に今も勧めたい名作である。

        それにしても、この作品、フィンランドでは有名のようだが、それ以外の欧米ではそれほど有名というわけでもないらしい。
        日本のフィンランド文学の研究者の方が、戦後ほどない時期に翻訳し、のちにアニメ化されることになって日本では広まったそうだ。
        そのあと、アニメが各国語に翻訳されて、世界に広まったようである。
        これほど渋い名作を、欧米でもそれほど有名でもない時期に、確実に見出し、翻訳し、アニメ化した、昔の日本の児童文学やアニメ界の水準の高さにあらためて驚嘆と敬意を覚えるし、そのような良い作品をよく気付かぬまま当たり前のように子どもの頃に触れていた自分たちの世代は幸せだったとあらためて思う。
        >> 続きを読む

        2014/01/20 by atsushi

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      クラーク先生 札幌農学校の父

      中込漢 , 中島竜美

      さ・え・ら書房
      カテゴリー:個人伝記
      4.0
      いいね!
      • 子ども向けに書かれた、クラークと札幌農学校についての本。
        わかりやすくて面白かった

        「ジェントルマンでありなさい」

        以外は一切の校則がないという型破りな札幌農学校をつくり、徐々に生徒と信頼関係を築き、生徒たちの自発的な要請により、聖書の熱血講義を行なったクラーク。

        日本からアメリカに帰国したあとは、世界を一年かけて船で一週しながら勉強をする洋上学校を計画して挫折したり、鉱山の開発に失敗したりと、不遇な人生だったようだが、クラークはあの時にたしかに日本に非常に大きな贈りものをしてくれたのだと思う。

        フロンティア・スピリットと聖書を読むという、かけがえのない贈りものと情熱を、クラークは日本に灯してくれたのだろう。

        乳牛の飼育や酪農の指導はクラークが始めて、そのおかげでバターやチーズが国産できるようになったという話も興味深かった。

        樺太から強制的に連れてこられたアイヌの人々の苦境については、どうも詳しい事情がわからず鈍感だったようで、開拓使はアイヌを保護していると理解していたらしい。
        その点は限界があったのだろうけれど、日本にいる滞在期間が短かったのでしかたがなかったのだろう。
        クラークの弟子たちが、だいぶ時が経ってから、アイヌの人々の生活の改善に尽くしたという話も興味深かった。

        クラークやジェーンズについては、またいろいろ他の本も読んでみたい。
        >> 続きを読む

        2014/02/22 by atsushi

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      参禅入門

      大森 曹玄

      5.0
      いいね!
      • 初版を持っています。歴史的名著だと思う。倫理学、禅の背景、座禅の仕方等について論理的にわかりやすく書いてありました。最後に十牛図の挿絵と解説があるのも初心者としては嬉しいですね。 >> 続きを読む

        2019/01/13 by Mura_P

    • 1人が本棚登録しています
      現代日本文學大系

      森鴎外

      筑摩書房
      カテゴリー:作品集
      4.0
      いいね!
      • 森鴎外全集の中から「舞姫」のみ読了。

        あらすじは知っていたものの、メルヘンチックな印象さえ抱かせるタイトルからは想像もつかない顛末に当惑した。

        短めの名作や文豪の作品を読んじゃおう作戦の一環。

        ドイツに赴任した官僚が、現地で仲良くなった女性と結婚し、日本に連れ帰ったものの、日本で他に好きな女性が出来てしまう。
        そんな夫を見て失意のままドイツに帰国する彼女...

        こんなストーリーを記憶していたのだが、読んでみると正解率20%くらいで、あとは、どうしてこんな記憶が植え付けられてんだか...と自分でも不思議になるほど全然違う話だった。

        しかし、なんて後味が悪いのか...

        女性の美しさ、そして真心が胸を打つだけに、彼の変心を本当に酷いと思う。

        それまで極端にストイックに生きて来た彼にとっては、若い衝動の暴走で有り、旅先のアバンチュールでも有りと、仕方が無い面は有るようにも思うが、最終的に彼女をあそこまで追い込むような仕打ちは許されるものでは無いだろう。

        まだまだ現在に比べれば保守的だったと思われる当時の文学界で、この作品が高い評価を得ていたという点についても意外に感じてしまうほどだった。

        ただ、読書中の感情の振り幅で言えば、名作の名に相応しい傑作だと言うのは間違い無い。
        好き嫌いは別として、この作品を読んで良かったと思う。


        表記上の話に言及しておくと、最初はとても抵抗を感じていた旧仮名遣いが、途中から全く気にならなくなった。
        また、「彼」という字が、女性をも指す代名詞として使用される用法を知らなかったので、気付くまではとても読みづらかった。

        名作が全てハッピーエンドで有る必要はないが、やはり好みとしてはそうなのだと思い知らされた。
        >> 続きを読む

        2013/08/21 by ice

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      旅路の果て (白水Uブックス (62))

      ジョン・バース

      3.5
      いいね!
      • 大崎善生の『パイロットフィッシュ』で主人公が最近読んだ本として挙げていたので、ちょっと気になって読んでみました。
        アメリカンな小説でした。

        余計なこと考えずにシンプルに生きられたら楽なのでしょうが、そうもいかない種類の人間というのがいて、そういう人たちの物語なのかな、という印象です。私もどっちかというと余計なことばかり考える性質ですが。

        主人公の同僚のジョーという男。ジョーの妻・レニーは夫に心酔しているけど、そこまで心酔するほどの男でもないぞ。この小説は主人公の一人称で語られているから、主人公もそう感じていて、読者にもそう感じさせるような書き方になっているんでしょうけれど。
        どうすべきだったのか?なんて考えたって仕方がないし、フィクションですが作中人物たちはそうしたのだし、文学的なテクニックのあれこれを語るような読み方もしていないのでなんとも言えないのですが、生きるって、思うようにいかないものですよねぇ。どんなに強い意志を持っていても他人は支配できないし、自分の身の振り方だって自分の意思だけではどうにもならないし、感情をすべてコントロールできている気になったって、それはそんな気がしているだけだ、きっと。どこかで破綻するでしょう。全部自分でどうにかできる気になってるあなたは、そのときどうするの?あなたのことだよ、ジョー!

        …という感じの小説でした。ジョーという人物が非常に興味深かったです。
        アメリカ的な病み方で、けっこう好みでした。
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        2015/11/03 by ワルツ

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      かみさまからのおくりもの

      ひぐち みちこ

      こぐま社
      4.3
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      • あかちゃんが5人うまれると
        かみさまはそれぞれにプレゼントをくれました。
        その中身は???

        ---
        てんしが はこんできた おくりものは
        よくわらう でした。

        あかちゃんは よくわらう あかるいこどもに なりました。
        ---

        生まれてくるこどもたちはみんな
        神様からステキな贈り物をもらってるんだ、
        と気付かせてくれる絵本です。

        うちの息子はかみさまからの5つのプレゼントを
        全部もらってるかもー、なんて幸せな気持ちになりました。
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        2013/12/13 by アスラン

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      ツルはなぜ一本足で眠るのか―適応の動物誌

      小原 秀雄ぐるーぷ・ぱあめ渡辺 富士雄

      草思社
      カテゴリー:一般動物学
      3.0
      いいね!
      •  1984年出版の比較的古い本だが、今もなお光る記述がたくさんある。生物学に関しては、新しい発見があったりもして、その「常識」が変わることもあるけれど、昔から知られている知識というのも意外に多い。

         これもいわゆる温故知新というやつだ。さて、タイトルにはツルが出ているけれども、本書はツルだけでなく様々な動物の生態について書かれている。一人の著者による一貫したものではなく、複数の著者による共著であり、また雑誌に連載されたコラムのようなものなので、動物に関する一貫した記述があるわけではない。

         ただ、筆者のような俄か動物好き、豆知識好きにはなかなか貴重な本である。

         さて、タイトルにあるようにツルは一本足で眠るけれど、それはなぜだろう。

         答えは本書にあるのでここでは書かないけれど、アリクイやコウモリなど、珍しい動物の記述もあって読んでいて楽しく、また癒される。動物に興味の無い人にとっては退屈かもしれないし、逆に動物に詳しい人にとっては「何を今更」な本かもしれないけれど、楽しく親子で読むには最適である。何より随所に出てくる渡辺冨士雄氏によるイラストが、味があって良い。

         ハチは眠るのか? オラウータンの巣はどういうものか? 狸とアナグマの違いは?

         そんな小さな疑問を教えてくれる本書は、土曜の昼下がり、または眠れない深夜にでもゆっくりと読みたいものである。
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        2014/10/06 by ぽんぽん

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      地球人への手紙 (中国の児童文学 第 1集1)

      蕭 建亨

      3.0
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      • 大学の図書館にて借りる。

        児童文学科があった大学なので、図書館にはたくさん児童書や絵本があった。

        中国の児童文学ってどんなんだろうなぁと思ったので借りてみた。
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        2015/03/07 by 魚住すくも

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      テロルの現象学―観念批判論序説

      笠井 潔

      5.0
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      • 以前に読んだ本です。
        私が実際に持っている本はちくま学芸文庫のものです。
        以前に読んだ時はこの作品社から出版されたものですね。書店で見た時真っ赤っかな装丁が印象的でした。
        内容は観念の事にについて論じています。
        文学作品を素材にしているので、文学評論としても読めます。
        漱石、古井由吉(ふるい よしきち)、ドストエフスキー、『真昼の暗黒』、その他多数取り扱われていて、奥深く、そしてバラエティに富んでいます。
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        2017/01/18 by 伯爵じゃ

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      やり抜くために俺がいる (大和文庫)

      加藤 諦三

      3.0
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      • 私が中学生のころ 自分に自信が持てなかったとき、2個上の女の子から 赤線を引っ張った この本をもらいました。彼女は熟読して 私に わかりやすいとこだけ 赤線を引いてくれたと思う。でも13の私は難しかった。その もらった本はいつの間にか なくした。 つい最近 古本屋で 100円で売ってた。 もちろん赤い線はなかった。今もう一度この本を40年ぶりに読んでみたくなった。 >> 続きを読む

        2017/01/27 by 缶詰め

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出版年月 - 1984年1月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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