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夏目 漱石
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百年前の、ぼんぼん、せれぶ、おんぞうし物語。主人公の代助は就職したことがない!戦争特需で成り上がった父のすねかじり次男。フリーター、ニートにもならず、見合いもスルーしっぱなしで、そこそこ遊んでいる文明開化時代の元祖プータローご身分。食うに困らないモラトリアム30男の教養、博学、知識に基づく思想、哲学、人生観、美意識、恋愛観は時代に中指立てるパンクな精神に思えるが、現実逃避の破綻しまくりで、頼りない。いい年こいて、社会性、協調性乏しい妄想野郎のどうしようもない頭デッカチ主人公像に、漱石は一体何を出力しようとしたんだろうか?生活に切羽詰まることがない、せれぶな知識人が人生を懸けて手に入れようとした恋情の結末は、デストピアでしかない。墜落、破壊に満ちた真っ赤に染まるラスト2ページは、セックスピストルズ『アナーキー・イン・ザ・UK』よりもデストロイな狂気。漱石も壊れかけていたのか?ヒロイン三千代の方が代助より、リアル過ぎて、代助の言動が痛かったぁ。 >> 続きを読む
2020/09/27 by まきたろう
井上ひさし
いかにも現実にありそうな物語です。それだけ、仮想国家の政治・経済・文化・生活などをすべて事細かに現実社会と対応させている。その作業は徹底的です。井上ひさしの粘着質な表現手法が、いかんなく発揮されています。電車の中で声を出して笑ってしまうくだりが少なくありません。 >> 続きを読む
2016/05/14 by とーます
栗本薫
アキレウス皇帝即位30年を祝う記念式典の一日。イリス(オクタヴィア姫)はみじめに殺された母の怨みを晴らすため男として育った。そして同じ皇帝の娘なのに日陰で育った自分と、腹違いの妹シルヴィア皇女とを比べて嫉妬する。しかし、一見何不自由なくわがままいっぱいに暮らしているシルヴィアも、大きな悩み苦しみを抱えて生きていた。殺意さえ抱いた腹違いの妹だが、妹シルヴィアの悩みを知ったイリスはいつの間にかただ一人の妹に対する慈しみの気持ちが生まれてくる・・・。しかし、マリウスはなんでこうも簡単に拉致されるのかねえ。これも人の良さ?単純だから?手の焼ける子だね。でも好きだな^^シルヴィアと踊ったグインは次期皇帝への道を進むね。間違いないね。(外伝でもそうなってたし^^;)。何度も皇帝を救い、傭兵からどんどん出世し、すでに王様の風格をもっている。しかもアキレウス皇帝はじめ、誰からも愛され信頼されているグインだから、必然ですね。(人格的にも完璧なので、バルドゥールからとことん妬まれるけど。自分にないものを持っている人を嫉妬する。で、妬む人は自滅する^^;)この巻、嫉妬する場面が多かったような・・・。盛大で華やかな記念式典、お祭りの人々の詳細な描写はあんまり興味がなかったので、ちょっと長く感じました。まあ、衣装や食べ物、文化や、ケイロニアとその周辺の国のことなどなんとなくわかりました。みんな自国中心に考える(当たり前だけど)から、色々と思惑があって何だかねえ・・・。もっと、さっぱりと気持ちよく付き合えないのかねえ。クムにユラニアにパロ・・・。 >> 続きを読む
2015/09/02 by バカボン
LewisClive Staples , 瀬田貞二
ナルニア国物語。前作 ライオンと魔女の続編。カスピアン王子の角笛に呼び出され、再びナルニアを訪れる4人。現実世界が意識され過ぎて、前作よりファンタジー度が下がっている気がする。続編と言う性質上、仕方が無い面も有るのだろうが、主人公の4人が現実世界からナルニアへ、ナルニアから現実世界へと行き来することが前提となってしまっているため、それも含めてどうなるのか分からなかった前作とはドキドキ感が劣る。また、本作品単体を考えた場合、おそらく主人公はカスピアン王子なのだろうが彼のキャラは立っていない。決闘シーンでピーターがエントリーしてしまったのが最大の失敗で、これで完全に影が薄くなったと言える。カスピアンも4人の子供と同じくらい輝かせて、初めてシリーズの中で本作品の存在感も確立すると言うものではなかろうか。シリーズは、まだ何作か続くようだが、正直モチベーションは低下気味で有る。年長の2人は、もうナルニアを訪れることは無いと言う。子供と大人の線引きということなのだろうが、この宣告はあまりにも残酷だ。映画公開よりかなり時間が経ってしまったが、いよいよ映画版を観たいと思う。 >> 続きを読む
2012/05/15 by ice
眉村 卓
ある日突然出現し、日に日に増殖をする謎の少年の集団の恐怖と彼等の恐るべき目的を描いた描いた表題作と、団地に出現すると言われる少女の幽霊を目撃しまった主人公を描いた「闇からきた少女」を収録したSF ジュブナイル作品。この手の作品は眉村卓氏の真骨頂であり、描かれるテーマも現代社会への警鐘なのである意味普遍的でもあります。シュール、あるいは沈痛な結末で終わっても面白いかもしれませんが、そこをわかりやすく、しかもスピーディーに描ける眉村卓氏の力量はもっと評価されても良いと思います。個人的には表題作より「闇からきた少女」のほうが好みなんですが、大阪が舞台なのに登場人物全員が標準語を話してるのが変に面白く感じましたね。 >> 続きを読む
2018/05/19 by アーチャー
桜井哲夫
1985年の本。このころ、既に若者はコミュニケーションの回路を失っていたというのだが、ほんとうにそうかなあ、と思ってしまう。大学のサークルは退行の逃げ場、甘えの場と化していたとも。さらには、社会がどんどん逃げ場を無くしているところに危機を表明していると。考察の真偽やその後の推移を樸には見極められないが、ネット社会が「裏」「闇」を下支えしているとしたら当然の流れなのかもしれない。 >> 続きを読む
2014/11/06 by junyo
吉村昭
吉村昭さんのものした「海も暮れきる」を読みました。この中篇小説は、明治・大正期を生きた奇行の俳人、尾崎放哉(おざき・ほうさい)の、小豆島(しょうどしま)での最期の8ヶ月を綴ったものです。 尾崎放哉は、つとに俳句の才能を示していましたが、東京帝国大学法学部を卒業し、東洋生命保険会社の東京本社契約課長になりました。でも彼は酒癖が悪く、朝から深酒をするは、酒席で飲み相手に執拗な絡み方をするは、で、会社を首になってしまいます。そして拾われた太陽生命保険会社でもおなじ失敗をして首になります。そして最愛の妻・馨(かおる)とも別れ、ひとり孤独なわび住まいを求めるに至ります。そこで、彼が行き着いたのが、瀬戸内海に浮かぶ小豆島でした。 尾崎放哉の酒癖は、飲んで暴力を振るうという体のものではなく、相手を執拗に詰問する、罵倒するという感じの酒乱でした。そしてこれは本人も認めていた「悪徳」でした。 「俳句仲間」のもつ親和性というべきものがあるのかも知れませんが、尾崎放哉にとっても、小豆島を探してくれたのは師でもある荻原井泉水(おぎわら・せいせんすい)で、島に受け入れてくれた井上一二も、井泉水が主宰する自由律俳句誌「層雲」の同人でした。自由律俳句とは、河東碧梧桐が初めて提唱した、「5・7・5の定型によらず、季語もなし」・・・といった感じの俳句のことです。@ここまで来てしまって急な手紙を書いてゐるこれは、尾崎放哉が島についたころ書いた句です。そうとう変格な句ですよね。さて、尾崎放哉には死に繋がる持病がありました。それは当時ガンより恐れられていた肺病(結核)です。島に来た際にはかなり病状が悪化していました。自分を養うにも、働く体力がない・・・そこで周囲の人びととか同人たちには、物品、お金の無心をしないわけにはいきませんでした。 庵も決まりました。西光寺の別庵・南郷庵(みなんごうあん)でした。住職の好意によるものでした。 神経質になっていた尾崎放哉は、一時期、彼ら支援者の善意を疑いますが、しばらくしてそれが自分の僻み(ひがみ)によるものであることに気付き、以降は彼らの善意を疑わなくなります。 こんな環境で、尾崎放哉は彼の代表作のような句をひねり出しています。@咳をしても ひとり@墓のうらに 廻る@ なんと丸い月が出たよ 窓特に、「咳」の句がスゴイですね。尾崎放哉は、親族とも縁を切った気でいて、自分が死んでも、親族に連絡することを拒みました。自分の周りには誰一人いない・・・という叫びたくなるほどの恐怖。それを、巧みに表現しています。もっとも、身の回りの世話をよくやってくれた、シゲさんというおばさんがいましたが。 島に着いた当初、食べるものといえば「小麦粉を水で練ったもの」と梅干・・・といった食生活をしていたので、体力は眼に見えて落ちていきます。肉、卵などの滋養のある食べ物も譲ってもらいますが、彼のからだは次第に、粥(かゆ)くらいしか食べられなくなり、下痢と強固な便秘に交互に悩まされるようになります。・・・・・・・・・・・・四日前から便秘していたが、赤めしと汁粉を食べたので腹が強く張り、厠に這って行って力んでみても便は出ない。そのうちに、遂に腸が肛門の外に出てしまい、それを紙で押しもどそうとしても入らず、血が流れはじめた。かれは、下剤のしゃり塩を服用し、ふとんの上で突っ伏して呻きつづけた。冷汗が全身に流れ、ふとんをかたくつかんでいた。・・・・・・・・・・・・・ しかも、喉頭結核になったのか、お粥さえ喉を通らなくなってしまいます・・・立ち上がることも出来ません。声もまともに出ません。彼は死にます。42歳の若さでした。馨は死を看取りに来てくれたそうです。大正15年のことでした。現在、南郷庵には@いれものがない 両手でうけるという井泉水の筆になる句碑が立っているそうです。今日のひと言:吉村昭さんも、結核を患った経験があり、それを縁に感じて尾崎放哉の評伝を書く気になったそうです。症状が出たら、きついんでしょうね、結核。読んだ本:「海も暮れきる」吉村昭:講談社:1980年初版 >> 続きを読む
2012/08/31 by iirei
森 雅裕
森雅裕の第31回江戸川乱歩賞受賞作「モーツァルトは子守唄を歌わない」を読了。この作品は、長い江戸川乱歩賞の歴史において、確実に5本の指に入る傑作だと思う。1801年、ウィーン。ベートーヴェンは、楽譜屋で店主と若い娘・シレーネの言い争いに出くわす。彼女の父親・フリースが遺書代わりに残した楽譜を店主が勝手に「モーツァルトの子守唄」として発売したのだ。18年前のモーツァルトの死には不審な点があり、フリースは彼の死の翌日に自殺していた。楽譜を手にしたベートーヴェンは、作曲上の不自然な点に気付き、弟子のチェルニーやシレーネと共に、楽譜に隠された謎を解いていく。彼らの前には宮廷の実力者サリエリや、フリーメーソンが妨害のために立ちはだかるが-------。実際の音楽史においても謎の多いモーツァルトの死。この秘密をベートーヴェンに探らせるという破格の設定が、まず興味をかき立てる。楽譜の暗号に加え、劇場に突如、出現した焼死体、毒入りワインなど小さな謎が頻出して、読みながらワクワクしてきて、私の興味を維持して離さない。また、史実を題材にとった作品ながら、ベートーヴェンとチェルニーらによる漫才のような掛け合いが、独自のユーモアを醸し出していて、堅苦しさを感じさせない点も実にいいんですね。ベートーヴェンの一人称によりハードボイルドとしての体裁も取っているが、本質的には中核にある歴史の謎を本格の手法で解き明かすという、大胆な試みのある作品なのだ。 >> 続きを読む
2019/03/07 by dreamer
荒木飛呂彦
バオー来訪者 第1/全2巻「ジョジョの奇妙な冒険」を世に出す前の荒木飛呂彦作品。ジョジョファンではないのに、今更この作品を読むというのも不思議な感じがする。実は「ジョジョの奇妙な冒険」を、ほとんど読んだことが無いのだが、長寿でファンが多い作品で有ることはもちろん知っている。ジョジョファンが高じて、過去作品を漁るというのならわかるのだが、なぜ今のタイミングでこの作品を手に取るのかが自分でも良くわからない。通巻で100巻を超えているというジョジョに対し、バオーは全2巻完結なので随分読みやすい。ストーリーは、兵器開発を進める組織が、バオーという寄生虫を生物に寄生させることで、最強の戦士を作る研究をしているのだが、そこで実験台にされていた少年が事故で施設から逃げ出したというもの。それって、ショッカーに改造されていたところを逃げ出した仮面ライダーと同じような設定じゃん...と、思わなくもないが、体内のバオーが覚醒するシーンは(良く知らないが...)おそらくジョジョで言うところのスタンド?とやらに繋がるような気がしている。URRYYYYYとか叫ぶイメージが強くてオエってなったのがジョジョを読まなかった理由。もう十分大人だから、もう一度読んでみようかな。 >> 続きを読む
2012/11/01 by ice
星新一
課題図書が星新一だったので。初星さん。SFのイメージだったんですがこれはミステリーに近いらしい。むしろちょっとポップなドラマになりそうな。ショートショートっていちいち完結してくれるから読みやすいです!なかなかゆっくり読書できない自分は合間合間で読んでもだいたい完結するので有難い!なんとなくですが奥田氏は星さんの作品の影響があるのでは?そんな気がしたのは気のせいか。いかがでしょう。それにしても数十年前の作品に感じなかった。あとがきにありましたが、ブザーの音がにしなかったのはブザーだと機械を間に挟むことで全部が同じになるから。だからノックなんですって。だから今でも古く感じないのかな。 >> 続きを読む
2016/01/29 by fraiseyui
藤沢周平
直江の言う通り上杉が関ヶ原で動いていたら歴史は変わっていたのかもしれない。けれど、直江はさぞ無念だったのかなと感じた。しかし、景勝の意向に沿うと決めたあとの仕事ぶりは流石だなと思う。 >> 続きを読む
2014/07/16 by tauikiti
村上春樹 , クリス・ヴァン・オールズバーグ
オールズバーグの絵本を次々に翻訳して紹介している春樹さんだが、この本の絵がたぶん、彼のお気に入りなのだと思う。豊かな色彩感覚のパステル画は、一見明るくシンプルだが、よく見ると書き込まれた丁寧な絵であることがわかる。基本はこの絵が大好きかどうか?ということであるような気がする。この絵本には大ファンがいるので、あまり失礼なことは言いたくないが、私はこの絵本は「ごく普通」だった。「西風号」というヨットを持った少年は誰よりも船の扱いが上手。世界一の船乗りになりたいと考えている彼は自分の見せびらかすことを目的に、荒れた海に出て行く。遭難して打ち上げられた浜辺は、見たことがない土地で、その島の人々は、風に乗って船で空中を飛ぶ技術を持っていた。ここで、『ONE PIECE』なんぞ思い出す私ってマズイでしょうか(^。^;)男は船出と冒険と腕自慢=ロマンなんでしょうね。そして、何が実際に起こったのか、わからない。結論はなくて、曖昧な感じ。しかし、この物語の曖昧さも。春樹さんっぽさと繋がっているようにも思われる。 >> 続きを読む
2012/10/10 by 月うさぎ
本田宗一郎
松下幸之助氏とは、少々タイプが異なりますが、名経営者の一人として著名な本田宗一郎氏(本田技研工業の創業者)の名著です。 『能ある鷹は爪を誇示せよ。』『しかし世の中鷹ばかりではない、トンビやカラスだって働きようによっては立派に役立つはずだ。』『神は決して苦しみだけをよこさない。苦しみには楽しみを必ずつけてよこす』等、氏の豪快かつ爽快な生きざまや考え方が非常に参考になり、かつ元気も貰える一冊です。 >> 続きを読む
2014/06/08 by toshi
村上春樹
東野圭吾
鳥山明
井上 ひさし
出版年月 - 1985年9月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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