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1987年5月発行の書籍

人気の作品

      ルドルフとイッパイアッテナ

      杉浦範茂 , 斉藤洋

      講談社
      カテゴリー:文学
      4.3
      いいね!
      • 息子が初めて読んだ児童書はこのシリーズ。

        まだ保育園児なのでちゃんと漢字も習っていないけど頑張って毎日何ページも読み進めてます。今は3冊目の「ルドルフといくねこくるねこ」。このペースなら今年中にシリーズ全4冊を読み終えそう。本の虫街道まっしぐらです。

        自分が絵本を卒業して児童書を読み始めたのは何歳の時で何の本だったのだろう…。息子の最初の本は読書ログで記録しておこう。

        自分は1巻しか読んだことがないので2巻どんな話だったの?って聞いたところ

        子「岐阜に帰れたけど大好きな飼い主の女の子が新しい猫を飼っていたから見つからないように立ち去るんだよ…」。
        俺「…悲しいなぁ」

        6歳になったばかりの男の子にこの情緒性教育はちと早すぎたか!?
        >> 続きを読む

        2016/12/12 by ybook

      • コメント 5件
    • 他2人がレビュー登録、 14人が本棚登録しています
      罪と罰

      フョードル・ドストエフスキー , 工藤精一郎

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.6
      いいね! tomato charo
      • 【『「罪と罰」を読まない』に触発されて再読してみましたよ~。これはさすがに古いか……。】

         先日、「『罪と罰』を読まない」をレビューしましたが、そこでも書いた通り、私自身、高校生の頃『罪と罰』は読んでいるのですが、その内容をかなり忘れてしまっていました。
         こりゃあ、もう一度読まなきゃね、ということで再読してみましたよ。

         ストーリーは、多くの方がもうご存知で、今さらネタばれもないでしょうからそのまま書かせていただきます。
         ラスコーリニコフは大学の法科に通っていたのですが、実家も貧しく十分な仕送りもない上に、家庭教師の職も勝手に辞めてしまい、当然大学にも通えなくなり、屋根裏部屋の下宿でただただ悶々として暮らしていました。

         少しは働くなり何なりすれば良いものを、一向に働こうともしないため、金もなく、ろくに飲食もできず、下宿代も溜めまくっている体たらくです。
         その頭の中には、一つの計画とも言えない計画が渦巻いていました。
         それは、自分が質入れをしたことがある金貸しの老婆を殺して金を奪おうというものでした。

         ある時、酒場で聞くとはなしにこんな議論を聞いてしまったのです。
         唸るほどの金を持っていながら、社会の害悪でしかない人間がいる。
         一方で優れた才能を持ち、もしその才能を発揮することができれば人間社会にとって素晴らしい成果をもたらすであろうに、貧困のためにそれができないでいる者もいる。
         そんな時、優れた才能を持つ者が社会の害悪でしかない金持ちを殺してその金を奪ったとして、その金により志を果たすことができるのであればその方が人間社会にとって数倍も良いことなのだ、と。

         ラスコーリニコフは独善です。
         そして傲慢でもあるのでしょう。
         金貸しの老婆を殺して金を奪うという自分の計画を正当化してくれるであろう議論に力を得て遂に実行してしまうのです。

         確かに、金貸しの老婆は強欲だったでしょう。
         また、腹違いの素直な妹を酷使し、打擲し、良いように下働きとして使役もしていたのです。
         しかも病気持ちでもう長いことはないでしょう。
         にも関わらず、自分が死んでもこれだけ尽くしてくれた腹違いの妹には遺産を一銭も残さず、自分の供養をしてもらいたいがために全額修道院に寄付してしまおうと言うのです。

         ラスコーリニコフは、老婆の頭を用意してきた斧で叩き割り、血まみれになった老婆の死体から財布を奪い取ります。
         更に鍵を奪うと、次の間にある抽斗を開けようとし始めます。
         そこに、腹違いの妹が帰ってきました。
         ラスコーリニコフは、有無を言わせず腹違いの妹も撲殺してしまうのでした。

         そこへさらに来客がやってきます。
         急いで扉に栓(閂のようなもの?)を差し込み、息を殺して外の様子を窺います。
        どうやら、異変が起きたことに気付いた来客は、庭番を呼びに行くことにしたようです。
         ラスコーリニコフは、一瞬の隙をついてかろうじて脱出することに成功しました。

         老婆から奪ったのは、財布に入っていたいくらかの金と質草のいくつかの品物だけでした。
         本当は、抽斗の中には多額の金が入っていたというのに。
         こんな物のためだけに俺は老婆を、妹を殺したのか……。
         証拠隠滅のため、一度は盗んできた物を捨ててしまおうかとも思いましたが、いざ捨てるとなると人の目もありなかなか上手く行きません。
         ラスコーリニコフは、奪ってきた金品の扱いに困り、結局、手をつけないままある場所の石の下に埋めてしまいました。
         そして何喰わぬ顔をして下宿に戻るのですが、事件を起こしてしまった衝撃からか体調を崩していきます。

         そんな時、ふらふらと外出したラスコーリニコフは、以前酒場で知り合った元下級官吏のマルメラーゾフが酒に酔って馬車に轢かれた現場に出くわします。
         マルメラーゾフは、娘のソーニャを売春婦として働かせて家計を支えさせ、その稼ぎすら一人で飲み潰していたのです。
         しかし、マルメラーゾフは、内心ではそれを悔いに悔いていたのですが、自分ではどうにもできずに遂に轢死してしまうのですね。
         マルメラーゾフを助け出してその家に運び込んだ際、赤貧洗うがごとしの家の様子を見てしまったラスコーリニコフは、母が苦労して工面して送金してきた金を寡婦に葬儀代として全部くれてやってしまうのでした。
         
         ちょうどその頃、ラスコーリニコフの妹のドゥーニャに結婚話が持ち上がり、婚約者に会うために母と妹がラスコーリニコフが住むペテルブルクにやって来ました。
         ラスコーリニコフとしては、妹が家計を助けるために吝嗇家の弁護士である婚約者に嫁ぐつもりであり、自分を犠牲にしているのだと思えてならず、妹の結婚に猛反対します。
         ドゥーニャは、自分は犠牲になどなるわけではないと言うのですが……。

         そんな中で、ラスコーリニコフが殺人犯ではないかという疑いを持つ者がいました。
         それは予審判事のポルフィーリィでした。
         彼は、ラスコーリニコフの唯一の親友であるラズミーヒンの親戚筋に当たる切れ者でした。
         ポルフィーリィとて、ラスコーリニコフが犯人であるという確たる証拠を握っているわけではないのです。
         ただ、疑いを持ち、ラスコーリニコフに慇懃に語りかけて罠をしかけようとするのですが……。

         さて、上巻ではこんな辺りまでが語られますが、私が読んでいる本は高校生の頃買った新潮文庫で、米川正夫氏訳のものです。
         奥書を見ると、昭和26年発刊で、この本は第52刷となっていますが、特に改訂等の記載が無いので、基本的に昭和26年の訳のままなのかもしれません(実際、この版が出版された時点は米川氏がお亡くなりになった後なのですし)。
         そのせいか、さすがに古さを感じます。
         ラスコーリニコフをはじめとして、登場人物の口調が古すぎるのです。
         こんな言葉遣いはしないよねと思わざるを得ません。
         ラスコーリニコフは、設定では頭脳明晰で美貌の元大学生ということになっているのですが、その口調はどこか時代がかった農民の口調のようで、イメージと合いません。

         私が高校生の頃読んだ時には「こんなものか」とでも思ったのか、特に訳語等について何らかの感想を持ったという記憶は無いのですが、読み直してみると、さすがに今この訳を高校生に読めというのはいささか酷のように思われます。
         非常にとっつきにくいですし、読みづらいと思います。
         高校生では意味の分からない言葉も多いのではないでしょうか?(例えば「陋劣」なんていう言葉は使わないでしょ?)。

         今では、他に新訳等もあるのではないかと思うので、特に米川氏の翻訳に思い入れがあるという方以外は、もっと読みやすい本を選んだ方が良いと思います。
         特に、この作品は、ラスコーリニコフをはじめとして、登場人物の独白が大変多い作品ですから、その部分が読みづらいとかなり辛い読書になるかもしれません。

         また、ラスコーリニコフの思想自体、今読み返すとかなり幼稚で陳腐ものとしか思えず、それが延々と続くわけで、さすがにこれを真に受けて読むのは今は辛いと感じました。
         この時代の、こういう社会情勢の中で生まれた考えであるという注釈付きで、そういうものだとア・プリオリに了解した上で読まないと、「素」で読むのはなかなかにしんどいというのが上巻までを再読した印象です。

         取りあえず、下巻に読み進んでみましょう。
         全体を読んだ上で、改めてこの作品について考えてみたいと思います。



        * 私が読んだ本は新潮文庫の旧版、米川正夫訳のものです(旧版が出なかったので新版でレビューをさせていただきました)。
        >> 続きを読む

        2019/02/04 by ef177

    • 他2人がレビュー登録、 28人が本棚登録しています
      パロスの剣

      栗本 薫

      角川グループパブリッシング
      1.0
      いいね!
      • パロスの剣 第3/全3巻

        グイン・サーガのパラレルワールド的少女マンガ最終巻。

        出たー!悪い意味で非常に少女マンガっぽい作品で、思いっきりガックリ。

        元々読んで来ていなかったので、実態は知らないのだが、少女マンガには、なんとなく世界がどんなに大変なことになっていても、ボク達2人の世界は幸せだよ♡キラキラ☆彡的な、恋愛至上主義?ご都合主義?みたいなイメージが有る。

        とは言え、最近はガラスの仮面やNANAなども読んでいるので、そういう目では見なくなっていた。

        が、しかし...

        この作品、パロスの剣は愛して止まないグイン・サーガの世界観を用いたパラレルワールド的なもので、それだけでもグイン・サーガファンとしてはワクワクするという、いわば相当アドバンテージが有る作品なのだが、冒頭で述べた少女マンガの悪しきイメージにピッタリハマる形でエンディングを迎えてくれた。

        そら、あんたらはそれで良いかも知れないけど、仮にもパロ王国の世継じゃないのかい?
        しかし、きっと恋に目が眩んだ彼女らの耳には届かないんだろうなぁ...

        グイン・サーガファンとして明言しておくが、この作品はグイン・サーガシリーズの末席にも入れてあげない!!
        >> 続きを読む

        2013/10/02 by ice

      • コメント 6件
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      いまどきのこども

      玖保 キリコ

      小学館
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      いいね!
      • たぶん中学生くらいの頃だったと思う。
        渋谷で著者の玖保キリコさんのサイン会をやっていた。

        作品も含めて存在を知らなかったのに興味本位で見ていたら、わざわざ声をかけてくれて直筆サイン色紙をもらった。
        ホントは作品を買った人だけの特典だったはずなのに。

        いい人だな。大人になったら、この人の本を買ってあげよう!と当時は思ったのに今まで忘れてた!という恩知らずなお話。
        >> 続きを読む

        2012/03/21 by yutaka

    • 1人が本棚登録しています
      Cryingフリーマン - 四

      池上遼一

      小学館
      4.0
      いいね!
      • Cryingフリーマン 第4/全9巻

        秘密結社 百八竜の首領となったフリーマンを襲う試練。

        これまでで最も深い悲しみ。フリーマンの慟哭に胸を突かれる。

        冒頭、非常に印象的なシーンが織り込まれる。

        妻となった絵霧に対し、夫婦の在り方についての考え方を諭す。

        白楽天の長恨歌から「比翼連理」が引用される。
        「天に在りては比翼の鳥となり、地に在りては、願わくは連理の枝とならん。」

        > 比翼の鳥とは古代の想像上の鳥で、雌雄おのおの目と翼が1つずつで、いつも一対になって飛ぶ。
        > つまりどちらが欠けても飛べないという鳥なんだ。

        連理とは、木と木の枝が連なって、木目が一つになること。男と女の愛の深さを例えたことわざで有る。

        2つに裂けない愛。2つで1つの愛。
        どちらが死んでも残った方も生きてはいけないという例えになっている。

        秘密結社の首領という立場で有る自分は対立組織に常に狙われる状況に有る。
        その妻の誘拐を目論む組織が有ることは容易に想像できるが、その妻が誘拐されれば自殺してしまうと認知されれば誰も襲わない。
        「龍虎分離」という言葉で、自分たちの愛は、そういう緊張感の上に成り立っているのだという厳しい考えを伝えている。

        本筋としては、多くの奇妙なナイフ使いを中心に組織されている対抗組織「アフリカの牙」

        そこから送り込まれた暗殺者に狙われ、フリーマンを守るために長老衆「 十行星」が次々身を呈して盾となり生命を落とす。
        自らの指導力の至らなさの結果招いた悲劇に号泣するフリーマンが痛々しい。

        復讐に燃えるフリーマンが、「アフリカの牙」の2人の指導者を叩くところまでは緊張感溢れるシーンの連続だが、背後に控えていた、いかつい女性指導者バグナグの懐柔に、この作品の本当の面白さが溢れている。

        ここまでの男性に言い寄られたら、断れる女性はいないのではないかと思わせる魅力が彼には有る。
        >> 続きを読む

        2012/10/15 by ice

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      罪と罰

      フョードル・ドストエフスキー , 工藤精一郎

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! tomato
      • 【再読してみて、さて、この作品を他者に勧めるか?/『「罪と罰」を読まない』も踏まえてのレビューだよ】

         「『罪と罰』を読まない」に触発されて、再読を始めた『ツミバツ』の下巻レビューいきますよ~。
        せっかくですから、『読まない』の方のレビューに出てきた点にも触れつつ進めてまいります。

         さて、上巻で『因業ばばぁ』ことアリョーナと、その腹違いの妹であるリザヴェータを撲殺し(斧が凶器なのですが、みねで殴って殺すので撲殺が正しいです)、多少の金品を盗んだラスコーリニコフですが、妹のドゥーニャの結婚話には猛反対したという辺りまで上巻のレビューに書きました。

         ドゥーニャは美人ということもあり、ラスコの親友、『馬』(あるいは『修造』)ことラズミーヒンもドゥーニャに一目惚れしてしまいます。
         このラズミーヒンが、様子がおかしいラスコを心配してラスコの近くに引っ越して来るのですが、その転居先が、吉田浩美さんが付箋を横貼りにした『ポチンコフの家』(私が読んだ本では『アパート』ではなく、『家』と訳されていました)なのですね。

         その後、ドゥーニャの婚約者である弁護士のルージンは、打算的で吝嗇家であるという馬脚を顕してしまい、ドゥーニャの逆鱗に触れ、結婚はお流れになってしまいます。
         ですから、『読まない』で4人が期待した、ページ稼ぎのために1週間続くであろうドゥーニャの結婚式(ロシアの宴)は発生しないのでした!(笑)

         このルージンっていう奴、本当に嫌な奴です。
         ラスコも嫌いだけど、こいつが『ツミバツ』の中で一番キライなキャラですね。
         己の結婚相手は貧乏で苦労した人が良いなんて言うのですが、それは苦労した経験の尊さを評価したり、貧しい身分のドゥーニャを受容してそう言っているわけではなく、そういう身分の人を嫁にもらってやれば一生恩を売り続けることができ、妻を奴隷のように従わせられるからという全くさもしい根性からそう考えるような大馬鹿野郎です。
         しかも、後にドゥーニャとの関係修復を狙って、ソーニャに盗みの無実の罪を着せようとする(回りくどい計略なのです)ふざけた野郎ですよ!

         一方のラスコですが、ソーニャが売春をしている部屋を訪れ、そこで自分の犯行を告白してしまいます。
         何故、そんなことをしたのか?
         罪悪感からではないでしょう。
         だって、告白の後、自首を勧めるソーニャに対して、「自分は懲役に行くつもりはない」と言い切るのですから。

         ラスコはとことん甘ったれなんですよ。
         予審判事の『愛之助』ポルフィーリから犯行を疑われて苦しくなり、また、自分なりの傲慢な理屈から犯行を正当化してきたのにそれを誰にも理解してもらえないという鬱屈した不満から、ソーニャなら同情し、理解を示し、泣いてくれるであろうという勝手な算段で告白したと読みました。

         ところがこの告白を隣の部屋で、薄い壁越しに聞いていた奴がいました。
         それがスヴィドリガイロフという、ドゥーニャが昔家庭教師を務めていた家の主人でした。
         スヴィドリガイロフは、妻がいたのにドゥーニャに言い寄り拒絶されるという『前科』があったのですが、ドゥーニャが妻の紹介でルージンと結婚することになったと知り、ドゥーニャを追いかけてペテルブルクまでやって来ていたのですね(妻は死亡しています。それはスヴィドリガイロフが殺したという話も……)。
         何だってルージンが婚約相手なんだと。
         自分だって妻を捨てて莫大な財産をもってドゥーニャを迎えようと口説いたというのにそれを拒絶された。
         ところが、ルージンなんぞに金のために身を売ろうとしているなんて、俺とどう違うというのだ、納得できね~と言うわけですね。

         スヴィドリガイロフは、ドゥーニャのことを諦めておらず、ラスコに「聞いたぞ、聞いたぞ」とほのめかし、ドゥーニャとの橋渡しを要求するのですがすげなく断られます。
         これはどうにもならないと悟り、兄思いであるドゥーニャの心理につけ込み、ラスコの重大な秘密を知っているとほのめかす手紙を出し、ドゥーニャを誘い出し、そこで手籠めにしようとするのですが、これにも失敗し、遂には自殺してしまうのですね。
         何で自殺までしちゃうんでしょ?
         どうもその心理には納得できない部分が残りました(いや、スヴィドリガイロフは、ドゥーニャの他に何と16歳の少女とも結婚話を進めていたのにですよ)。

         このすったもんだの過程で、スヴィドリガイロフは、ドゥーニャに対して、『因業ばばぁ』とその妹を殺して金品を奪った犯人はラスコであるということを暴露してしまいます。
         ソーニャからもその裏付けを取るドゥーニャ。
         ドゥーニャは、ソーニャならたとえラスコが刑に服したとしてもついていってくれる人だと確信し、ラスコに自首を勧めます。

         妹にまで知られてしまった……。
         八方ふさがりになったラスコは、自殺もできず、結局、自首を選択するのですね。
         自首減刑もされ、裁判でも何も争わず正直に罪を認め、奪った金品に手をつけなかったことや、さらには『修造』らがラスコの過去の善行を証言するなどしてくれたこともあって、懲役8年という寛刑に処せられシベリア送りとなります(そうそう、ドゥーニャは『修造』と結婚するのですよ……『ロシアの宴』はありませんけどねっ)。

         この後エピローグがつくのですが、ソーニャはラスコに付き従ってシベリアに移住するのですね。シベリアでお針子などして生計を立てます。
         そして、献身的にラスコに面会に行きます。
         シベリアでの獄中生活は結構ルーズで、面会者は自由に刑務所の中に入って行けるようで、ソーニャは他の受刑者とも顔見知りになり、他の受刑者からまるで女神のように慕われる存在になっていくのです。

         一方のラスコは相変わらずの人嫌いを発揮し、他の受刑者からも嫌われるのですが、ある時、ソーニャが売春していた部屋で見かけた聖書のことを思い出し、聖書の差し入れをソーニャに求めるのです。
         その後、信仰に目覚め、深く反省するに至り、ようやくソーニャへの愛に気付き、まだ7年残っている刑期を勤め上げてソーニャとやり直すことを決意し、ソーニャもそれを分かり喜びの涙にくれるというところでこの物語は終わります。

         再読してようやく内容を把握し直しました。
         そうそう、こういうお話でしたっけね。
         とは言え、登場人物のモノローグが大変長い作品です。
         みんな、本当によくしゃべります。
         中には、必ずしも筋とは関係がない、どうでも良いことを延々としゃべる場面もあり、そういうところで量を喰っている小説とも言えます。
         枝葉を払って整理したら、もっと短くまとめられる小説とも言えましょう。
         無駄(?)な枝葉が多く、そこで分量を喰ってしまっている分、全体の印象がぼやけがちになって、だから読んでもよく覚えていないと言われてしまうのかもしれません。

         大きな筋は、自分勝手な理屈から、そしてその理屈を実現できない自分が嫌で、その理屈通りに強盗殺人事件を起こすラスコと、そのラスコが自分の罪に気付き、ようやく人間らしい存在となってソーニャと新しい人生を歩む決意をするまでのお話と言えるのですが、そのラスコの気持ち、テーマがなかなかストレートには伝わりにくい作品と言えるかもしれません。
         ラスコ自身の右往左往する感情や振る舞いが現在の我々には理解し難い部分もあり、今の若い読者にはヴィヴィッドに響かないことが懸念されます。

         また、人間には弱者(平凡な存在)と、強者(優れた存在)があり、後者は前者を犠牲にして良いのだという理屈も、今となってはかなり陳腐な思想と言わざるを得ず、なかなかこんな思想をストレートに前面に出すなんていう作品は今は無いのではないでしょうか?
         昔のロシアの、非常に貧富の差が激しく、貧しい者はとことん虐げられており、極貧から這い上がるなどまず不可能という背景を承知しないとなかなか成立しないお話なのでしょう。
          
         登場人物、特にラスコの場当たり的な、無計画な行動にも疑問符がつくでしょう。
         金が無いというのに、将来設計などまるでなく、ただ怠惰に家でゴロゴロして、挙げ句の果てに強盗殺人に及び、さらにその後もふらふらし続け、金を浪費し、結局何もできない男がラスコです。
         頭脳明晰で美貌の青年と描かれてはいますが、これほどまでにその設定が活かされない、伝わってこないキャラというのも珍しい。
         とことん甘ちゃんであり、三浦しをんさんから「きさま、いいかげんにせえよ!」と怒られるのもよく分かるところであります。

         とは言え、これだけ人口に膾炙している古典であることは間違いなく、だからこそ読んではいなくても何となくその筋は知っているということにもなるのでしょう。
         『読まない』では、実際に『ツミバツ』を読んでみて、さあ、この作品を他人に読めと勧めますか?という問いかけがあります。
         みなさん、結局オススメするわけですが、さて、私はどうしましょうか……。
         読まないなら読まないで良いかもしれません。
         ドストを読むのなら、『ツミバツ』ではなく『カラマーゾフの兄弟』の方を双手を挙げて推挙します(こちらは是非読むべきだとお勧めします)。
         さて、『ツミバツ』どうしましょうかねぇ……。
         興味があればもちろん読んで損は無い作品だと思いますが、必読とまでは言わないかな。
        >> 続きを読む

        2019/02/05 by ef177

    • 16人が本棚登録しています
      インキュバス (ハヤカワ文庫 NV―モダンホラー・セレクション (448))

      レイ・ラッセル

      4.0
      いいね!
      • 書評等であまりにも意外な犯人と吹聴されているので、犯人を意外とは感じなくて少し損した気分…ですがミステリとして充分楽しめる佳作です。話の展開も飽きさせず徹夜本として妥当です。 >> 続きを読む

        2015/09/05 by kobe1225

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      サラダ記念日 俵万智歌集

      俵万智

      河出書房新社
      カテゴリー:詩歌
      3.0
      いいね!
      • クロッカスが咲きました
        という書き出しで、ふいに手紙を書きたくなりぬ

        という一文、良いなと思いました。 >> 続きを読む

        2015/05/04 by leaf

    • 1人が本棚登録しています
      フローラ逍遥

      渋沢竜彦

      平凡社
      5.0
      いいね!
      • 稀に見る美本である。
        これは、所有するための本だ。
        暇な折々に手にとってページを開く時、
        そのひと時の贅沢さを味わわせてくれるだろう。

        25の花々に寄せるエッセイ集。
        渋澤=耽美、ペダンチック、退廃的
        …と考えて忌避する方もおられるかと思うが、これは、非常に自然に読めるエッセイで
        どなたにもお薦めできる。
        つまり、私が所有している唯一の澁澤龍彦の本でもある。
        博学な話題もそうだが、洋の東西を行きつ戻りつする澁澤の想念を追うのには愉悦すら感じる。

        そしてまた、挿絵として八坂安守氏提供の美しい植物図譜75点がなんとも素晴らしい。
        絵を眺めるだけでも十二分にその世界を楽しめる。

        植物の姿を精密に自然科学的に紙に写し取ろうとした人々の努力の成果が
        リアルよりもむしろ、妖艶に感じられるのはなぜだろう。
        澁澤の魔力も関わっているのだろうか。

        新書版も出ているが、ハードカバーの本を求めるべき。
        装丁も文句なしに素晴らしいこの美しい本を所有してこそ、
        本来の存在価値がわかるだろうから。
        シルバーの光沢を持った厚手の外箱に収まったこの本は、
        書架で常にその存在感を発揮して目を楽しませてくれる。

        本を愛する人に。
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        2012/08/11 by 月うさぎ

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      ドラゴンランス戦記 富士見ドラゴンノベルズ)

      Weis, Margaret , Hickman, Tracy , 安田均

      富士見書房
      5.0
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      • まだ結果が出るに至っていないため本業とは言い難いのだが、ゲーム作りを志したきっかけのひとつであるドラゴンランス戦記を久々に再読してみた。

        当時は表紙の幻想的に光るドラゴンのホログラムを誇らしげに見せびらかしたものである。

        と言ってもドラゴンランス戦記自体がゲームなのではなく、アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズというテーブルトークRPGで作られたシナリオをノベライズしたもの。

        世界3大ファンタジーに名を連ねるような作品ではないが、ここまで緻密な世界観とキャラが立っている作品は他にないだろう。

        再読しても面白さは全く衰えない。やはり名作はいつまでたっても名作のままなのだ。
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        2012/08/21 by suppaiman

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