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1987年8月発行の書籍

人気の作品

      ノルウェイの森

      村上春樹

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 自分の恋愛感情に自信が持てない青年が、不器用ながらそれを探って行く。

        初めての村上春樹。まだ上巻しか読んでいないから当たり前だが、現時点では全くピンと来ていない。

        超有名作品なので、もちろん存在は知っていたが、第一印象は、「ノルウェイが舞台じゃないんだ...」というくらい予備知識のない状態で手に取った。

        一応、毎回レビューの先頭1行にはあらすじめいたものは書きたいと思っているのだが、上巻を読んだ段階ではストーリーを追えているのかわからないほど、起伏がないように感じて、記憶に残っていない。

        世界観は、マンガで言うなら「ハートカクテル」、小説で言うなら片岡義男の作品に似ているような印象で有り、雰囲気を楽しむような作品で、起承転結を求めるようなものではないように感じている。

        ただ、唯一強烈なインパクトを放っているのが、主人公と寮で相部屋だった通称「突撃隊」という男。
        こういう人いるよね(笑)と思わせるキャラクターで、とにかくマジメながら、マジメ過ぎてやることなすことが笑えるという超魅力的な存在である。

        また、本筋には全く関係ないのだが、気になったのは「マルボロは女の子の吸う煙草じゃないね」と言うセリフ。

        そもそもマルボロは女性向けのタバコだったらしく、パッケージデザインの赤い部分も「女性の口紅」をイメージしたものだったはず。
        とは言え、今ではカウボーイのイメージだったり、F1のスポンサードをしていたり、男性イメージでは有るのは確か。

        下巻までを読了した後、どういう感想を持つのか?自分自身のことで有りながら非常に興味が有る。
        >> 続きを読む

        2013/02/28 by ice

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      愛はさだめ、さだめは死

      浅倉久志 , ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア , 伊藤典夫

      早川書房
      3.0
      いいね!
      •  短編集なのでいくつか気になったものの感想を。

         乙女に映しておぼろげに
         未来から女の子との軽妙な会話を描いた短い作品。未来人の感覚と言葉にちょくちょくついていけなくなくて、振り回される主人公とシンクロしてしまいます。年代の違う人と会話すると、実際こういう感覚と言葉のズレがありますね。笑

         男たちの知らない女
         作品を読むことでフェミニズムの本質を感覚的に理解できる作品。男女で感想が別れそうで興味深いです。
         こういう作品にとっては覆面作家であることが非常に利点なのではないでしょうか。本作では作者の詳細がなぜか冒頭で紹介されていまして、読者にとっては全く覆面ではなくなってしまうのですが……。
         覆面作家といえば、私の中ではグレッグ・イーガンや舞城王太郎が思い浮かびます。なかなか一癖ありますね。

         断層
         特に古い作品ですが、個人的には好きです。
        時代の流れから切り離されることが罰である、というのは面白い発想ながら真実をついているように思います。

         全体的に70年頃の時代背景を理解していることが望まれます。小説というのは少なからずそういう部分がありますし、SFの元々を突き詰めれば、時代背景は大切です。好きな音楽の関係で古い時代のことを調べたことを思い出しました。本から時代に興味を持つのもありかもしれませんね。

         ティプトリーの作品では異星人が一つの重要な位置を占めます。
         異星人は自分と全く違う価値観を持っている可能性がある存在です。それを理解できることも、理解できたと思えて実は全く分かっていないこともありえます。

         未来人や男から見た女、社会から切り離された人も、あるいは異星人と言えるかもしれません。そして、作品の背景にある社会の諸々さえも。

         異星人に出会った時、それを分かりたいと思う気持ちは大切ですが、自分の価値観で理解しようとした時点で、それは理解でなく解釈に過ぎなくなってしまうのではないでしょうか。

         理解できない存在をそのまま受け入れる。それは身近な他人に関しても時に大切だと思います。

         はじめの2編、すべての種類のイエスと楽園の乳がイマイチよくわからなくて挫折しかけてしまい、危ないところでした。でも2編とも異星人の出てくるお話なので、地球人の私には謎な部分もあるさ、と思っています。
         え?それを書いた作者?きっと人類を超越した存在なんですよ。
        >> 続きを読む

        2015/03/11 by あさ・くら

      • コメント 7件
    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      孤島の鬼

      江戸川 乱歩

      春陽堂書店
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 初、乱歩作品でした。

        大槻ケンヂやビブリア古書堂の事件手帖で言及があって、ずっと読もうと思っていた。
        あまり古臭い印象は無かったし、すごく楽しめた。
        後味もいい。

        表紙やタイトルはなんだかすごく怖そうだけど、読んでみるとそこまででは。

        叙述の仕方が主人公の後日語り口調なのはちょっと新鮮。
        >> 続きを読む

        2016/01/13 by W_W

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      アリランの歌 ある朝鮮人革命家の生涯

      松平いを子 , WalesNym

      岩波書店
      カテゴリー:個人伝記
      いいね!
      • この本の名言をご紹介します。

        ***
        愛は、男や女を臆病者にはしないわ。
        むしろ勇敢に、意思堅固にするものよ。
        >> 続きを読む

        2013/09/30 by 本の名言

      • コメント 1件
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      ノルウェイの森

      村上春樹

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 多くの異性に惹かれる青年期の男性に訪れる様々な葛藤。

        初めての村上春樹作品。今回感じたものが彼の持ち味なのだとしたら、確かに稀有な作家だと思う。

        正直、上巻を読んだ時はピンと来ることはなく、下巻に至っても8割がた読んだ時点で、自分には合わないと感じた。

        しかし、そこから急激に郷愁を刺激されたり、いろいろなことを考えさせられたりと、他では感じたことの無い感覚に襲われ、読み終えた時点では、良い意味で面食らっている自分に驚かされた。

        まず、普段は好きではない(と言うかほとんど読み飛ばしてしまうに近い)風景描写が、本作品では好ましく感じたこと。

        例えば、「紀伊國屋の裏手の地下に有るDUG」
        これは偶然にも自分が言ったことが有るバーだったので、例外かも知れないが、やはり雰囲気の描写が好ましく感じられた。

        また、デパートの屋上のシーンも良かった。
        中学生くらいのときに、金欠でデパートの屋上で自動販売機のカップヌードルを食べたことなんかを思い出した。

        都会の町並みの描写にも記憶を呼び覚まされ、同じく中学校くらいに、AXIAの46分のカセットテープ(懐)を貰えるスタンプラリーに遭遇し、何度も何度も回って、一財産くらいのカセットテープをゲットしたことを、ウン十年振りに思い出した。

        取り留めのないことを書いてしまったが、こんなに記憶を呼び覚まされた小説は初めてで本当に不思議な気持ちに包まれている。

        著者の他の作品にも記憶を呼び覚ますような効果が有るのかを試してみたくなった。


        また、結構はっきりとした性描写が有るにも関わらず、すっと受け入れられる点も好ましく感じた。

        好き合っている男女を描くなら、性関係が有るのは当たり前だし、そこを描くことで会話には現れない微妙な距離感を表現できることも有るんだと思い知らされた。

        面白いと言う言葉では言い表せない感覚だが、読後感が心地良かったことは間違いない。
        >> 続きを読む

        2013/04/04 by ice

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    • 9人が本棚登録しています
      Cryingフリーマン - 五

      池上遼一

      小学館
      4.0
      いいね!
      • Cryingフリーマン 第5/全9巻

        妖刀(鬼包丁)村正を持った訪問者。

        時価2億円は下らないという、闇の名刀村正。剣豪好きのハートを鷲掴みする設定に、それだけで満足させられた。

        フリーマンの元を訪れる妖刀村正を携えた刺客。

        予想通り、一蹴するフリーマンで有ったが、釘付けになったのは、村正の存在感。

        捨てようと海に投げ込んでも、刃が鮫を貫き、傷付き苦しむ鮫と共に甲板に戻って来るほどの、村正自身の意志としか思えない展開が堪らない。

        刀は持ち主に愛されたい。
        刀を愛するという事は、「抜き、刀に風を呼び、冴えを見せて斬る」こと。

        刀として正しく使われずに、宝物として所有されることに反発してきた結果、持ち主自身をも傷つけてきた村正。

        フリーマンへ、その刃が向かないように、己が所有者となることを決心する絵霧だったが、男尊女卑の時代に作られた刀は、女性の腰に帯びられることを恥とするため、それは困難を極める。

        しかし、仲間を信じ、フリーマンへの真摯な愛を貫く絵霧は、やがて村正に真の所有者として認められるに至る。

        剣の達人を求め、白牙扇とともに、今や撤去された九龍城へ向かうのも、時代の流れを感じさせた。

        本筋としては、百八竜の組織壊滅の動きの根源は日本に有ることをキャッチしたフリーマンが、アフリカの牙ダークアイ(バグナグ)を派遣する。
        日本で待ちうける雄首冬獄に軽くあしらわれてしまうバグナグだが、瀕死の重傷になりつつも、フリーマンへの信頼と愛を捨てない。

        まさか黒幕は別だとは思うが、日本で揉めていたヤクザの後家が本当の黒幕だったとかは止めて欲しいものだ。

        全身に虎の刺青を施した絵霧が、村正を握り、裸で舞う様は確かに絵のような美しさが有った。
        >> 続きを読む

        2012/10/17 by ice

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    • 1人が本棚登録しています
      風の盆恋歌

      高橋治

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • わたしはいま、ある女に恋をしている。いい歳こいていまさら恋をするなどとは思ってもみなかった。

        いままでずっと仕事で頑張って、家庭のことで頑張って、脇目もふらずここまでやってきた。あともう少し頑張れば安泰な生活が待っているはずである。でも残りの人生を考えたとき、「自分の人生はこのまま終わってしまうのだろうか」と最近むなしさを感じてしまうようになった。

        だから「幸せって、いいことなの?人間にとって、生きたって実感と、どっちが大事なの?」という、えり子の言葉に愕然とさせられてしまったのだ。そうなのだ大事なのは生きたという実感なのだ。

        残念ながらわたしの想いは女には通じないようである。この歳になってこんな悶々とした日々を過ごすことになるとは思ってもみなかった。現実には、風の盆をともに過ごす都築とえり子のようには、なかなかならない。

        【このひと言】
        〇幸せって、いいことなの?人間にとって、生きたって実感と、どっちが大事なの?

        >> 続きを読む

        2017/02/11 by シュラフ

    • 1人が本棚登録しています
      光の公女 グイン・サーガ - 27

      栗本薫

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 【豹頭の超戦士グイン。彼がケイロニア1万の兵を率いてユラニアム進撃を続けている頃、隣国クムの都に、今は赤い街道の盗賊の頭となっているイシュトバーンが姿を現した。目的はただひとつ王になること。そしてそのためにクムの虜囚となっているモンゴールの公女アムネリスを救出することだった。しかしアムネリスは警備強固な湖上の離宮に捕らわれていた……。】

        今回の主役は、イシュトヴァーンとアムネリス。

        二人の長~い独白が、人間らしくてとても興味深い。

        アムネリスの怨みは大きく、体を武器(道具)に捨て身でクムの王を騙している。ああ、こっわ~。でも囚われの身であることはどうしようもなく、実は絶望感や無力感で弱気にもなる。必死で強がってたりするのを見ると、気の毒。超勝ち気なお嬢さんです。

        イシュトヴァーンも同じく。アリに対する気持ちなんか、ほんと人間って面白い。
        超自信過剰で自惚れな所は笑ってしまう。けっこう単純(子供)で、なんだかかわいい。

        湖上の離宮に幽閉されているアムネリスにどうやって会うのか、アリの軍師としての能力の高さに驚く。だけでなく、部下を引きつけ人望を集めるだけの、気遣いの細やかさもある。

        イシュトは(リンダには?)”愛されたい”けど(アリのように)”わずらわしい”のは嫌。好きな人以外はただ利用するだけ。自分は冷徹なんだと強がってはいるけど、、、。人間関係の築き方が下手なのはこれまでの人生が寂しかったから?まあ、べたべたくっつかれるのが嫌なのはわかる。でも、人は見た目だけじゃないよ、イシュトさん。これだけ長々と独白を聞くと、なんとかしてあげたくなるね。

        救出したアムネリスと組んでどうやってモンゴールを復活させていくのか。楽しみであります。
        >> 続きを読む

        2017/10/21 by バカボン

    • 2人が本棚登録しています
      ベティ・ブルー―愛と激情の日々 (ハヤカワ文庫NV)

      フィリップ ディジャン

      3.0
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      • 映画で見た時は衝撃的であったが、愛する意味が今になってわかってきた。相手に臨みすぎてはいけない。期待しすぎてはいけない。それは愛しているとは言えないとわかった。 >> 続きを読む

        2015/09/16 by mulachan

    • 1人が本棚登録しています
      オランダ靴の秘密 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

      エラリイ クイーン

      4.0
      いいね!
      • 【クイーンの国名シリーズ中、人気の高い作品の再読です】

         クイーンの国名シリーズは、私が中学生の頃に全作を読んでいるのですが、内容については結構忘れています。
         この『オランダ靴の秘密』についても同様で、なかなか巧妙な作品だったという印象は残っていたものの、犯人も推理も忘却の彼方でした。
         まあ、それは一面喜ばしいことでもあります。
         だって、この作品をもう一度楽しめるのですから。
         というわけで、大変久し振りに本作を再読してみました。

         事件は、大富豪であるアビゲール・ドーンという老婦人が経営するオランダ記念病院で発生します。
         ドーン夫人は糖尿病を患っていたのですが、手違いでインシュリン注射を射ち忘れたため、めまいを起こして階段から転落してしまい、胆嚢破裂を起こしてしまったのです。
         直ちにオランダ記念病院で緊急手術が行われることになりました。
         ドーン夫人は昏睡状態にあり、間もなく始まる手術に備えて手術室手前にある控室で待機していました。

         手術が始まり、執刀医のジャニー医師が運ばれてきたドーン夫人を見て驚愕します。
         ドーン夫人は針金で首を絞められて絞殺されていたのです。

         手術前、控室にいたドーン夫人にはプライス看護婦が付き添っていました。
         控室に運ばれる前のドーン夫人が生存していたことは確認されていますので、控室内で殺されたとしか考えられません。
         プライス看護婦の話によれば、自分が付き添っていた時にジャニー医師が様子を見に控室にやって来たことがあり、ジャニー医師の指示で、自分は控室に隣接している消毒室に行って医師が手を洗うための消毒液を用意したことがあり、その時だけ席を外していたということです。

         ジャニー医師は足が不自由でびっこを引いて歩くという特徴があるのですが、ジャニー医師が手術前に控室にやって来たことについては、控室の手前にある麻酔室にいた病院職員が目撃していましたし、控室でドーン夫人に覆い被さるようにして様子を見ている後ろ姿を、たまたま控室にやって来たインターンにも目撃されていました。
         プライス看護婦も他の目撃者もジャニー医師だったと証言しますが、但し、白衣を着て帽子を被りマスクをしていたので完全に顔を見ているというわけではありません。
         ジャニー医師が控室を出た後、プライス看護婦は付き添いを再開しましたが、ドーン夫人の近くに寄ってその様子を確認するなどはしていないので死んでいるとは思わなかったというのです。

         これはジャニー医師が犯人ではないかと当然のように疑いがかかりました。
         ジャニー医師は、ドーン夫人に寵愛されており、遺産相続人にも指定されていましたので殺害の動機も十分にあります。

         しかしジャニー医師は犯行を強く否定しますし、犯行があったと考えられる時間には来客があり、自室で来客と会っていたとも主張します。
         確かに来客があったことは他の職員も確認していました。
         じゃあ、その来客は誰だったのか?というと、この点についてはジャニー医師は供述を拒否するのです。

         その後の捜査により、何者かが脱ぎ捨てたと思われる白衣、マスク、帽子、白色ズボン、白色ズック靴が病院内の電話ボックスから発見されました。
         これらの衣服はオランダ記念病院で使用している共用のものでした。
         どうやら何者かがジャニー医師に化けて犯行に及んだのではないかとも思われます。
         奇妙なことに、白色ズボンは腿の辺りにあげがされており、白色ズックの靴紐の片方がちぎれていて絆創膏で補修されていました。
         また、両方の靴の舌革(紐の下にある革の部分)がめくれてつま先の方に押し込まれている状態でした。

         エラリーは、いつもの通りの論理的な推理によりある程度の犯人像を絞り込むことに成功するのですが、犯人を一人に絞り込むまでには至っていませんでした。
         解決の糸口がつかめずにいたところ、第二の殺人が発生します。
         殺されたのは何とジャニー医師その人でした。
         ジャニー医師が自分の個室で机に向かって執筆をしている最中に背後から襲われたと思われます。
         犯行の手口も第一の事件と同じで、背後から頭部を鈍器で殴打されて気を失わせた後、針金で首を絞められていたのです。

         犯人は何故同じ手口で殺害したのでしょうか?
         殺害方法を変えれば別の犯人ではないかとの疑いが当然起きても不思議ではないのに。
         もちろん、第一の殺人と第二の殺人の犯人は別であり、第二の殺人の犯人は同一犯と見せかけるために同じ手口で犯行に及んだのかもしれません。
         さてエラリーの推理は?

         この作品は、パズラー、本格ものとして十分な作品に仕上がっており、エラリーの推理には隙間も無理もない緻密なものだと評価できるでしょう。
         本格ミステリのお手本のような作品と言って良いのではないでしょうか。
         なるほど、国名シリーズの中でも人気が高いのも肯けます。
         国名シリーズの名物である『読者への挑戦』も挿入されているばかりか、その前に、クイーン警視とエラリーが事件について検討する『間奏曲』という章も挟み込まれており、なんと、この章には読者がメモをするための余白まで設けられています。
         作者クイーンの自信の程がうかがえるではありませんか。

         また、本作ではクイーン家の少年執事であるジューナの様子も生き生きと描写されており、これがまた可愛らしいんですよ。
         まえがきは、いつものようにJ.J.マックが書いていますが、それによると本作が発表されたのは、クイーン警視が警察を退職し、エラリーやジューナ、さらにはエラリーの妻子と共にニューヨークを去って一家でイタリアに移住した後のことだとされています。
         あれ? エラリーって結婚して子供をもうけていたんでしたっけ?


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2019/04/11 by ef177

    • 2人が本棚登録しています
      土壇場でハリー・ライム

      典厩五郎

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 第5回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞した典厩五郎の「土壇場でハリー・ライム」を読了。

        1967年5月、東京・麻布にある夕刊紙の東都新聞の本社ビル屋上から、ひとりの男が飛び降り自殺する。

        男は、東都新聞文化部長の月田であったが、その人柄をよく知っている部下の真木には彼が靴を左右逆に履いたうえ、派手なパラソルをさして自殺するなどということが信じられず、密かに同僚たちのアリバイを調べ始めていた。

        真木の調査は、やがて上役にも支持され本格的に進められることになるが、パラソルの出所調べから意外な人物が現われてきたのに続き、月田が太平洋戦争直前に起きたゾルゲ事件に関する資料を漁っていた事実が判明する。

        この辺から、物語はゾルゲ事件という新たな謎を加え、歴史ミステリ的な様相を強めつつ、混迷を深めていく。

        新聞記者の主人公が、ゾルゲ事件の謎に関わる話は目新しくはないし、その謎がいくら斬新な解釈に基づくものでも、流れがゾルゲ一辺倒になだれ込んでいってしまったら、味気なくなっていただろう。

        著者はだが、そこに女性記者の藤崎明日香と受付嬢の高見沢絵里という対照的なヒロインを配し、真木との恋の顛末を巧みに絡ませてみせる。

        当時の映画や音楽をはじめとする時代風俗的な小道具の数々は、事件のほうにもうまく活かされているけど、こちらのシーンでより威力を発揮していると思うんですね。

        真木と明日香の軽妙な会話シーンにおいて然りで、特に映画のタイトルを繋げてやり合うところなどは秀逸で、真木が絵里と初めて結ばれるシーンもなかなかいいんですね。

        著者が随所に凝らした趣向は、クサいと言えば、確かにクサいんですが、乗りの良さで救われていると思う。
        その意味でこの作品は、決して奇抜なミステリではないが、著者のセンスの良さが光っていると思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/12/04 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      滄海(うみ)よ眠れ〈3〉ミッドウェー海戦の生と死 (文春文庫)

      澤地 久枝

      5.0
      いいね!
      • ▶「BOOK」データベースより)

        ミッドウェー海戦の日本側の死者3064名,米国側の死者363名。死者たちは、それまでの生をどのように生き、どのように死んでいったか。そして遺された者たちは…。あいまいだった死者数をつきとめ、一人一人について厖大なデータを集め、日本全国はもちろん、アメリカにも数度取材した愛と哀しみの渾身のノンフィクション。61年度菊池寛賞受賞作。 >> 続きを読む

        2018/05/28 by rikugyo33

    • 1人が本棚登録しています
      ことわざ絵本

      五味太郎

      岩崎書店
      カテゴリー:伝説、民話(昔話)
      3.0
      いいね!
      • 五味太郎さんの「ことわざ絵本」第2弾。
        ユーモラスなイラストとちょっとブラックな目線の入ったジョークがペアになって詰まっています。
        ことわざは全部で100個。
        まじめにことわざを勉強しようとする人向きじゃあないと思います。
        むしろ言葉を遊ぼうという姿勢。
        五味さんは子供の絵本でも決して説教をたれません。
        多分、それ、ポリシーなんじゃないでしょうか。

        「ぶたに真珠」・・・
          ぶたに真珠はもったいない似合いません、
          というわけだが、
          でもさ、
          よく見てみると、案外かわいい、よく似合う という気もする…
        なんて書かれていたり、するんですよ。このコメントが彼らしくて楽しいです。


        私のお気に入りは
        「絵にかいたもち」・・・「字でかいた遊園地」
        「鉄は熱いうちに打て」・・・「ごはんは熱いうちに食え」
        「さわらぬ神にたたりなし」・・・「つけぬ予定表くるいなし」
         
        そうそう。あとこれ、最高。「天は二物を与えず」
          ですから、なんでもかんでも上手にできるというのは
          つまり、ずるいのであって、
          そのうえ、かわいくて、かしこくて、心がやさしくて、なおかつ家柄がいい なんてやつは、
          もうぜったいに神様の意志にそむいているわけで
          ゆるせないのである 

          ・・・「なんでも優秀な人には天罰を!!」

        すごいよ。五味さん。

        でも、これ本当に子どもの本?
        >> 続きを読む

        2015/09/09 by 月うさぎ

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    • 2人が本棚登録しています
      Sons 2 (ジェッツコミックス ムーン・ライティングシリーズ)

      三原 順

      いいね!
      • 細密な絵と緻密なストーリー展開で・・・1冊読むのに時間がかかってしまいました。
        も丁寧に読むほどに、謎解きの快感が押し寄せてきます。意外にユーモラスな描写もあってほっとしますね。

        主人公のディーは、「お母ちゃん」が実母ではないなどいろんなトラウマを抱えつつ、ヤンチャな一面を持っている少年。
        同じ時期に転校してきたトマスも、なかなかクールでいいキャラ。

        そしてなんといっても悪役?ケビン。
        いろいろ哀れを誘います・・・。

        ケビンのお父ちゃんのウィリアムが、意外に大事なキャラだったこの2巻。

        ケビンのバスケ部のハーブの言葉が印象に残ります。

        「君は他人を許さなすぎる!
        君は自分の走る速さについてこれない奴を許せない。
        けれど君は自分より速く走る奴も許せない。」

        誰よりも勝る優等生でいなくてはならなかったケビンが
        少し哀れに思いました。

        ウィリアムも嫌な奴っぽいですけどそれだけに終わらず
        人間というのは単純化することは出来ず、いろいろな見方が出来ることを教えてくれます。
        それにしても「お母ちゃん」のやさしさに涙です(;;)
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        2017/09/03 by みやま

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      不思議の国のアリス

      ルイス・キャロル , 作場知生 , 楠悦郎

      新樹社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 「不思議の国」と「鏡の国」の物語のモデルだったアリス・リデルをご存知ですか?
        これは、作場知生(さくばともみ)氏の挿画・装丁のすばらしい芸術的な美本。

        ルイス・キャロルは写真が趣味で、少女達の写真を数多く撮影しており、
        アリス・リデルの写真も多く残されていますので、
        彼女の顔立ちはアリス・ファンには非常に広く知られているのです。
        アリス・リデルの写真はこちら ルイス・キャロル本人(チャールズ・ドジソン)が撮影
        http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Alice_Liddell.jpg

        作場氏は、アリス・リデルのイメージを活かし、
        定番として親しまれているテニエル画のアリスとのいいとこ取りをしたといえましょう。

        この「アリス」は発表当時はかなり話題になったはず。
        アリスにはコアなファンがいますので、下手をしたらとんでもない悪評がつきかねません。
        テニエル→ディズニーがインプリントしたアリスのイメージは強固で
        それを覆す、黒髪ショートボブヘアのアリスを描くことは
        裏社会(笑)ではありましたが、正規の児童書という出版物としては
        異例の冒険だったと思います。
        金子國義さんの有名なアリスもテニエルのアリスから
        大きく逸脱するものではないですから。

        ヨーロピアンな香りのつまった挿絵の数々に魅せられます。
        特に異なる点は「時計を持った白うさぎ」のウサギらしく美しく愛らしいこと。
        テニエルのうさぎはおじんくさいですが、こちらの白うさぎはかわいいですよ~♪
        テニエルはテニエルとして好きですが、このアリスも一見の価値アリ。ということです。
        テニエル・ファンをも納得させる画力ではないでしょうか。
        非常に緻密で装飾的で絵画的でメカニックでもある上手い絵です。
        マンガチックな部分もあり、リアル一辺倒ではありません。
        …う~ん。これじゃ、わかんないだろうな…。
        見てみてください。としか言い様がないです。

        絵のことばかり述べましたが、翻訳は楠悦郎氏

        アリスはナンセンスな言葉遊びが中心なので完璧な翻訳は不可能な作品です。
        数多くの翻訳本が出ていますので、翻訳の好みは、どうぞご自身でご判断ください。

        最もスタンダードなテニエル絵の生野訳は、児童書を意識して、
        英語がわからない前提にたっており、英語のダジャレの語感は考慮されていません。

        にせガメの話で、カメの先生の話題が出てきます。
        「先生はウミガメ(タートル)だった――わたしたちは陸生のカメ(トータス)ってよんでいた」
        「タートルなのにどうしてトータスっていうの?」
        「ぼくたちを教えた(トータス)からそういったのさ」
        Tortoise-taught usのダジャレです。

        生野訳では
        「なぜ単にカメ先生って呼んだの」「担任だったからタンニンカメ先生」
        ダジャレが無視されています。

        Reeling and Writhing=Reading and Writing
        (→よろよろ読み方とのたくり書き方)
        Mystery =Historyy(→アホラ史)
        Seaography =Geography(→バッ地理)
        など。
        苦しいですが、これらを訳者がどういう言葉を選んで表現しているか。
        これが、アリスの翻訳のセンスの問題になってきます。

        英語の知識、マザーグースや古い遊び歌のナンセンス度合いを知らないと
        アリスは意味不明の言葉の連続と子供っぽすぎるおふざけのイメージの連続に過ぎない童話になってしまいます。
        子供にとってはそれでも十分楽しいのですが、
        大人が読むのであれば、英語の言葉遊びも意識して読みたいものだと思います。

        チャンスは滅多にないと思うのですが、「不思議の国のアリス」がお好きな方には、この本はぜひ目にしてもらいたい一冊です。
        >> 続きを読む

        2012/11/05 by 月うさぎ

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出版年月 - 1987年8月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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