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浅倉久志 , ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
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たまにはSFを読もうキャンペーン。ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアは我が師匠(?)殊能将之が敬愛していたSF作家である。殊能はSF畑の人間だが、僕は完全なミステリ畑および歴史小説畑の人間である(今では歴史小説はほとんど読んでいないが)。本作の異様にカッコいいタイトルは、いろいろなところで引用されている。第2回本格ミステリ大賞小説部門最終候補作である斎藤肇「たったひとつの」も明らかにネーミングの元ネタは本作であろう(こちらも傑作)。3つの短編が収録されているが、表題作はイーアという生物がコーティという主人公に寄生する物語で、真っ先に漫画「寄生獣」を連想した。ものすごく悲劇的な結末を、ものすごく明るいタッチで描いていて「この小説を読み終わる前にハンカチがほしくならなかったら、あなたは人間ではない」という本作への有名な書評は決して大げさなものではない。「グッドナイト・スイートハーツ」は、長い年月を経て再会した初恋の女性と彼女にそっくりなクローンとの物語。どちらかを選ばなければならない展開は、ドラクエ5の花嫁選びやマイケル・サンデル「これからの正義の話をしよう」のトロッコ問題と類似している。「衝突」は登場人物が多いせいか、やや難解に感じた。人間と異星人とのファーストコンタクトに関して、アッシュ船長が粘り強く交渉する物語。星新一「底なしの沼」などと比較すると、だいぶ救いのある展開である。人間と異星人とのコンタクト物で最悪の展開になるものとして、漫画「テラフォーマーズ」が挙げられるだろうが、この漫画の救いのなさは涙がチョチョ切れんばかりである。 >> 続きを読む
2020/11/21 by tygkun
浅川 じゅん
3歳時点では話が長すぎる様子。その後何度か持ってはきたが、読んであげても関心が薄かった。 >> 続きを読む
2015/02/01 by ぶぶか
山岡荘八
初陣を迎え、勇み立つ元康。何といっても桶狭間。岡崎衆からの熱烈な期待を受け、ついに所領に入る元康。妻帯し子宝にも恵まれたものの、家臣や領民達からの期待の大きさに自分が守るものはどちらなのかという辛い選択を強いられる。今川VS織田の勢力争いの狭間で、初陣を迎えることが出来たものの、まさに一手打ち間違えれば、即一族郎党が滅亡するような、こちらも厳しい環境。信長にしても、義父の斉藤道三が子に討たれるという緊急事態を機転で捌いた後、今川の強大な軍勢が押し寄せるという絶体絶命というような窮地を迎えていた。戦国時代とは良く言ったもので、どこも過酷な環境である。日本は、47都道府県で構成された1つの国であるという、現代日本では当たり前の前提を持ったまま読み進めている自分に気付いた。天下統一前でもあり、当時の日本は、大名が束ねる国の集まりとして形成されていたと考えるのが妥当ではないかと思い、認識を改めた。秀吉も登場し、早くもトントン拍子に出世を重ねていっている。とは言え、天下人への道は、まだまだ遠く、これからどんな手を打つのかが楽しみである。責任を負うことで人間の成長は加速する。まさにその通りだと思う。 >> 続きを読む
2012/01/30 by ice
織田との同盟関係を結び、着々と地盤固めに入る家康女性の扱いについての件が興味深かった。結婚する前の女性と、結婚してからの女性の考察に頷かされた。跡取り息子を増やすという宿命的な勤めが有るにも関わらず、まだまだ、自身の好みや勢いで相手を選ぶ家康。それを諭すために家臣たちが示す女性観が非常に鋭く参考になる。今川氏の失脚に伴い、更に勢いを増す織田氏。同盟関係を結びながら、下風には立たない家康のしたたかな姿勢が頼もしい。まだ内政中心かと思うが、先が気になって仕方がない。 >> 続きを読む
2012/02/07 by ice
武田信玄に窮地に立たされつつ更に大きく成長する家康。腹を決めた後は方針を変えない潔さが心地よい。武田信玄の下風に立つか、あくまでも抵抗を貫くか。一族郎党を養う立場の家康が、この決断をするに当たり、直面した重圧は想像するに余り有る。結果、徹底抗戦と腹を決めた後は、何事にも動じずに事を進めて行く潔さが良い。人の上に立つ人間は、安易に発言を翻すべきではない。周囲の意見を聞き入れる柔軟性は持ちつつも、一旦強い意志で決定したからには堅持すべきで、そうでない限り、着いて行く者の覚悟も決まらないと思う。戦況が見る見る悪化して来たとしても、配下に強い姿勢で徹底抗戦を主張し続けられたのは十二分に苦境を想定し、事前に覚悟を決めていたことの表れだろう。信玄の死去により、形成を挽回した家康だが、妻の裏切りにより又も窮地に立たされる。この原因となったのが、家康の信認を得ながらも、この裏切りに手を貸した男。責任を背負わずして、良い目だけを見たい。人を陥れることを全く厭わない。現代社会でもこれに類する軽蔑すべき人間が増加傾向に有る気がしてならない。多少依怙地になっているようにも思える姿に共感を覚えた。 >> 続きを読む
2012/02/13 by ice
ギリギリのタイミングで配下の裏切りを知る家康。信頼していた部下に裏切られたことで、人材重用の妙を体得したように見える。大賀弥四郎の企んだ謀反がついに暴かれる。発覚の発端は、仲間に誘い入れた男から、必要がなくなったら消されてしまうのではないかという不信感を持たれたところから。事務方では才能を発揮しているにしても、人間関係に対しては、配慮が甘かったということか。ビジネスの現場でも、結局のところ、上手く立ち回っている人間よりも、嘘をつかず他人を陥れずと、地道に生きている人間の方が、窮地に立った際の協力者が多い気がする。更に、捕縛されてからの開き直った答弁が、彼の品性の低さを露呈している。世話になった人間に後ろ足で砂をかけるような男は軽蔑に値するだろう。彼の妻や子供達は哀れでならないが、彼の死に様は、彼に相応しいものだと思う。ここに至って、妻をどのように遇するのか。家康の夫としてのスタンスに興味が有る。 >> 続きを読む
2012/03/07 by ice
島田荘司
「占星術殺人事件」「異邦の騎士」「切り裂きジャック・百年の孤独」などの御手洗潔シリーズで、現代の本格探偵小説の旗手である島田荘司の小説を久し振りに読んでみたくなり、今回「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」を読了しました。なにしろこの本は、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ物語のパスティッシュであり、夏目漱石の「倫敦消息」のパロディであるという二重構造仕立ての奇想天外な物語なのです。明治33年にロンドンに留学した漱石は、下宿先で夜な夜な幽霊に悩まされていました。そこで、シェークスピアの講義を受けていたクレイグ先生に打ち明けてみたところ、「帰りにでも寄って相談してみられるのが良かろう」と紹介されたのが、驚くべきことにシャーロック・ホームズだったのです。一方、ホームズはというと、リンキイ夫人という金持ちの未亡人の身に起きた奇怪な事件にぶつかっていたのです。リンキイ夫人の弟は、長らく行方不明だったのですが、人の手を借りてようやく見つけだすことが出来たのも束の間、弟は中国にいた頃に恐ろしい呪いを受けていて、ある日とうとうその呪い通り、一夜にしてミイラになってしまったというのです。そこで、このミイラ事件の解決に、ホームズと知り合った漱石も参加することになり、物語は漱石の手記とワトソン博士の手記とで交互に語り継がれるという興味深い展開となっていくのです。夏目漱石とシャーロック・ホームズものが大好きな、私の知的好奇心を満足させるような"豊饒な物語世界"にグイグイと引き込まれてしまいます。ワトソン博士の手記が正統的なホームズ物語のスタイルで描かれているのに対して、漱石の手記は、ホームズは"コケイン"のやり過ぎで頭がおかしくなっており、初対面の依頼人の度肝を抜く、お馴染みの名推理も全く支離滅裂で、推理に反することを言おうものなら、いきなり拳銃をぶっ放すわ、発作を起こすわのハチャメチャぶりなのです。事実として、二年間のロンドン時代の漱石は、生活苦や孤独感、西欧への批評意識といったものが鬱積して神経衰弱になり、後年「文学論」を著した時にも、「ロンドンに住み暮らしたる二年はもっとも不愉快の二年なり」と、その序に書いているほどですから、その彼がホームズを歪めて書いてもおかしくはないとも想像出来ます。もっとも、漱石の精神の病み具合から考えると、感傷的な余韻を残すラストのエピソードを筆頭に、この作品における漱石の手記は、いささか明るすぎるような気がして、彼の重苦しい病状をこそパロディ化して欲しかったという、若干の不満も残ります。もちろん、それによってホームズ物語を基本的にユーモア・ミステリーとして捉える作家・島田荘司のコンセプトそのものを否定するつもりはなく、この作品におけるホームズの名推理ぶりには拍手を贈らずにはいられません。 >> 続きを読む
2017/06/03 by dreamer
池上遼一
Cryingフリーマン 第6/全9巻百八竜に牙を剥く謎の勢力に単身立ち向かうフリーマン。-策士策に溺れるという言葉がピッタリと合うような敵の黒幕が残念。もはや表立って百八竜潰しにかかる謎の組織。その全容解明のため、単身敵に向かうフリーマン。言わば、戦闘力抜群の香港マフィアで有る百八竜に対して、ケンカを売るような日本の組織が有るのか?そして、そうする理由の説明がつくのか?という疑問を持っていたが、上手く解決されたので安心した。詳細には触れないが、要旨としては、勢力を拡大して来た新興宗教が、ついには体制の転覆をも狙うようになった。そこで戦闘訓練が行き届いた百八竜の精鋭部隊ごと欲しくなったというもので有る。てっきり利権に関わる話だと思っていたために、意外性の有る展開が面白かった。この目的と達成するため、敵の組織はフリーマンの影武者を用意し、本物を暗殺するわけだが、この虎口を乗り切るフリーマンの手腕がこれまた鮮やか。もはや、この人にかかれば、抗う女性など存在しないかのようなジゴロ振りで有る。これだけ女性にモテまくっているのに、全く反感が湧かないのも首領の器量と言うものなのだろうか。 >> 続きを読む
2012/10/18 by ice
内藤誠 , Saroyan, William, 1908-1981 , 岸田今日子
キラキラヒメとママガール。母娘二人のいい関係とは?「あなたって、ほんとの友だちね、蛙ちゃん。世界一の友だちよ。」これが33歳の母親が9歳の娘に対していうセリフなんです。まるでおこちゃまの母は未だに夢見る女の子。女優の端くれ。情緒不安定。娘は母と二人暮らし中。作曲家の父と兄は両親の離婚により別居中。そんな事情で人よりしっかり者でちょっと大人の9歳の少女。全体としてとってもハッピーな小説で、こんな親子っていいなと思うけれど、家族や結婚には大人の事情や社会の常識なども見え隠れし、ちょっぴり胸が痛い部分もあります。ママから蛙ちゃん、パパからはキラキラヒメと呼ばれる女の子の目線で語られています。この「キラキラヒメ」ってあだな、とっても素敵でしょう?英語はもちろんTwinkなのだけれど、この感性は内藤誠氏と共同で翻訳を担当した岸田今日子さんによります。さすが女優らしい言葉の選び方。会話の端々に生き生きした女の子が現れてきて瑞々しい。(あらすじ)女優としての最後の挑戦と思い立ちカルフォルニアからニューヨークへ飛んできたママガール。それを応援するキラキラヒメ。…だったけれど、ニューヨークにはそんな野心家がぞろぞろいる訳で、無謀としか言いようがない。ママガールもくじけそう。ところがひょんなことからキラキラヒメに白羽の矢がたって、いきなり舞台で主演デビューすることに…。ママガールとキラキラヒメふたりの楽しい猛特訓が始まる。単なるサクセスストーリーでないのは、子どもが別に女優として子役として成功したいとは全く思っていない事にあります。彼女はいつもママの幸せな顔を見たいだけ。もう、愛にあふれまくりなんです。ママ・ガールだっていろいろダメな大人なんだけれど、一生懸命考えているし、娘を愛しているし、なんといっても善良な女なんです。キラキラヒメはママとの暮らしに不満はないけれど、パパや兄さんも大好きで、本当は4人一緒に暮らしたい。そんなけなげな夢が痛いほど伝わってくる。離れているくせにパパったらいいことを言ってくるんです。「だけどきみが、ほんとうにほしがってるものは、いつも、きみ自身だ。きみが愛を持ってたら、それだけでいい。……君自身と愛だ。キラキラヒメ、パパは君を愛してるからね」脇役のマイクにケイト、グラディスなど個性的なキャラクターにも好感をもてます。この小説の登場人物たちはたがいをとても愛し大切に扱っているので、読者も彼らを自然に愛すべき人という目線で眺めるようになります。だからたとえママ・ガールが母親失格で未熟な人間であっても全然憎めない。サローヤン、上手いです。軽い話のようでいて人を愛することをきちんと教えてくれているまっとうな小説なんです。これが絶版なんてもったいなさすぎる。このままお芝居にしたら楽しいだろうな。ああ、そういえば、主役の二人には本名がないんです。丁寧に省かれている気がします。小説の中の演劇は物語の中心のはずなのに、筋書きや設定が何もわからないまま話が進んでいき、このまま触れられずにおわるのかと思いきや、最後に一気に明らかになるところ、キラキラヒメ自身の夢を語るエンディングはとても感動的です。ああ、あなたはどんな大人になるのかしら? >> 続きを読む
2016/05/03 by 月うさぎ
P・D・ジェイムズ
「女探偵」はお好き?これは女性作家が描く美女探偵が主人公のミステリーです。そういえば海外のミステリーには本職の女性探偵の話は少ないですね。サラ・パレツキー以外では、他はコージー・ミステリーのジャンルしか思い浮かびません。ダイアン デヴィッドソンのクッキング・ママ・シリーズの素人探偵ゴルディとか?P.D.ジェイムズはアガサ・クリスティの後継者として知られる80年代の「ミステリーの女王」とも言われる英国の作家。クリスティ派かジェイムズ派かと分かれるという説もあります。ということで、結構期待して読んだのですけれど。何ですか…主人公の女探偵が好き♡♡♡この作品のファンって、そういうノリ?コーデリアのファンは彼女に「健気さ」「無垢さ」をみています。彼女は若くて可憐で潔癖で頭が良くて美人で生真面目で内にこもるタイプです。まだ人を見る目ができていなくて、嘘がつけなくて顧客とぎくしゃくしちゃう。依頼人に「私を裁くためにあなたにお金を払っているんじゃないのよ!どうしてそんな顔をしているの?」と怒鳴られてしまうほどに営業向きじゃないのです。…って、コーデリア。困ったヤツじゃん。普通女探偵ってもっと明るくて(過去に何があろうとも)タフなキャラクターが多いです。V・I・ウォーショースキーみたいに。でもコーデリアは違う。まず、暗い。覇気がない。でも清純で弱々しそうで、年よりさらに若くみえる猫のような顔立ちとほっそりしたスタイル。要するに美人で若くて、男受けしそう。仕事の仕方も素人くさくて危なっかしい。でも一生懸命な感じがいじらしい。だから読者は大丈夫か?とハラハラドキドキ…な訳~?度重なる脅迫状に命の危険を感じている女優を護るために孤島の古城へとやってきたのに週末をお城で過ごすロマンチックな気分が覚めてがっかりしちゃうという職業意識の低さ。子どもの命が演劇よりも大事なんですか?!信じられないわっ!!みたいな感情のままの発言や頑な態度をみせるのでイライラしてきました。脅迫状は現存したのに、実際に彼女の命に危険があるとは考えもせず、一人にしてと言われたからといって一人でぷらぷらしちゃうという迂闊さです。なんだか、コーデリアが小賢しい小娘に見えてしまってちっとも可憐で魅力的とは思えなかったのですが…。まあ、確かにこんな探偵、これまでなかった!のは間違いないでしょう。だって、こんな繊細な探偵、書けないでしょう。人が死んで泣いちゃうんですからね。つまり、クリスティのミス・マープルと真逆な設定なのですね。人を見る目と観察眼に優れ、何事も信用しない田舎に住む年寄りの独身女。素人の安楽椅子探偵とは何もかも。しかし本作はクリスティ作品との類似点が多いです。時代がかった古めかしさ。過ぎ去りし栄光のヴィクトリア時代の残像を舞台背景にまとった上流階級の人々の世界で引き起こされる愛憎。英国のリゾート地の離れ小島の贅を凝らした古城で起きた密室殺人なんて、いかにも。です。重要人物に女優が登場するのもクリスティの定番です。他に全く異なる部分としては、クリスティは女優や芸術家に対しての尊敬がありました。こういう我儘女にもどこかに美点を描き、単に憎まれるだけの存在としては描きませんでした。死体の描き方も異なります。クリスティは惨殺死体の描写を基本的に避けていました。戦争の惨さを身を持って体験していたことが関係あると言われています。登場人物に対する愛情の有無、読者サービスの有無も異なると思います。P.Dジェイムズの特徴は何よりも文体の複雑さと描写の細かさでしょう。500ページを越える文字の細かい小説でボリュームが多いのです。ジェイムズは確信犯的に古典の引用を多用し、言葉の言い回しが複雑で回りくどいです。1980年代に描かれた現代的な小説とは思えません。読みにくさ=文学的と短絡的に喜ぶ読者はありがたがるのでしょうけれど、私にとってはあまり感心するタイプの文ではありませんでした。翻訳ももうちょっと読み易さに気を使ってほしいです。意味が通らない日本語が時々あるんですよね。小泉喜美子ってミステリー作家でもあるそうですが、読みたい文章の方ではないです。悪いけど。文がわかりにくくてもその割に内容的には複雑怪奇ではありません。クリスティならきっと半分のページ数で同じ内容を、もっと視覚的に鮮やかに描けるよなあとついつい思ってしまいます。物語の幕の引き方には、それまでのミステリーとは異なる点がありました。ジェイムズのミステリーはトリックやどんでん返しに魅力がある訳ではなく彼女自身がいうように「人間性」を描くことに主眼があるのです。そこにこそジェイムズの作品の技量は発揮されているのでした。事件解決の爽快感や度肝を抜かれる展開や、深い悲しみや喜びや感動を得ることは期待しないがよいでしょう。このタイトルの表す如く、誰しも等し並みに人間の皮を一皮むけば…というのがこの小説の主題なんですよね。そして我がコーデリアだけは違う。彼女はいつでも「真実を語る」役目を負っています。その立場、生き方を決然として選び取る、その意味では雄々しいヒロインなのでした。【登場人物】コーデリア・グレイ…うら若き女探偵。 その名を「リア王」の末娘からとった訳ではないと作者自ら否定しようが、信じませんよ。 だってこの台詞があるんですから。 『かかる犠牲の上にこそ、わがコーデリアよ、神々みずから香を焚かれよう』 Upon such sacrifices, my Cordelia,The gods themselves throw incense. Have I caught thee? リア王 KING LEAR ACT V SCENE III クラリッサ・ライル…ベテランの女優。身勝手で気分屋、でも男を魅了する女性。ジョージ卿…クラリッサの3人目の夫(現夫)、元軍人。アンブローズ・ゴリンジ…コーシイ島の城主。ミステリー作家でもある。趣味人。アンブローズの執事ムンターとその妻…大男と影の薄い無口な妻ローマ…クラリッサのいとこだがお金がなく不美人。元教師。トルガース(トリイ)…クラリッサの付き人。娘の死に関してクラリッサに恨みを持つらしい。感情を出さない。 サイモン…クラリッサの養子。亡くなった前夫の息子。ピアニストを目指す根暗な少年。アイヴォ…演劇評論家。死を目前にした老人。過去クラリッサと愛人関係にあった。バクリイ…定年間近のベテラン。赤い髪の強面。主任警部。グローガン…若くてハンサムで知的な部長刑事 >> 続きを読む
2016/01/08 by 月うさぎ
向山 洋一
同著者の「授業の腕をあがる法則」を読んだあとに読みました。書いてある内容は、同じ部分も多かったですが、復習もかねていたので、頭に入りやすかったです。サラリーマンの方もそうだと思いますが、計画と実行と改善がどの業界も大切ですよね。情熱だけじゃどうにもなりませんよね。読んだだけで、少し腕があがった気になる本でした。 >> 続きを読む
2015/09/07 by zaki
福本 和也
旅客機のパイロットとスチュワーデスの恋物語といったところか。フィアンセのデスがクロロホルムをかがされモーテルでりんかんされて上巻終了。なんだか安っぽいドラマだが、読みやすくて軽い感じ。 >> 続きを読む
2019/08/14 by 和田久生
上巻で、元夫のフィアンセのデスをりんかんさせた元妻が下巻でも大活躍。旅客航空機パイロットの訓練とかそういうのに重点が置かれているようだが、元妻の奇天烈さに魅力を感じる作品だった。 >> 続きを読む
2019/08/31 by 和田久生
斎藤博之 , 宮沢賢治
欧米と日本との対比において狩猟民族は農耕民族より獰猛だという文脈で語られることがある。逆にイヌイットやネイティブアメリカンなどを引き合いにして狩猟民族の方が穏やかだという言説もある。どちらにしてもそんなに単純な一般化ができるわけがないだろうが、「穏やか」さを作り出す要素を知ることができたらいいなと思う。そんな訳で、狩猟における狩るもの狩られるものの関係性を描いた名作を読んでみることに。主人公である猟師の小十郎は、熊と心を通わせるほどの熊取りの名人であり、であるが故にその行為自体に罪や業を感じている。業を背負った仕事で生計を立てる小十郎に対し、町の荒物屋はほとんど蔑んだような接し方をし、不当な値で熊を買い取るといった関係性を築いている。その後、熊との交流の極致のような体験を経て、生まれて初めて狩りの儀式を行うのが嫌だと思った日に、小十郎は熊に殺され、熊に祀られて生涯を終える。とても宗教性の高いこのお話は平等というか関係性のフェアさについて考えさせられる。人間側の主観に過ぎないといえばそれまでだが、熊に殺されることを厭わない状態で行う狩りは、交換可能性を担保として心的にはピュアな状態を作れるだろう。また、熊の命を奪った自分が荒物屋に何をされても文句を言える筋合いではないというバランスの取り方もありうるだろう。これはルール通りにことを成せば罪は存在しないという発想を超えて、ルール自体に罪がセットされているようなものである。そしてまた、小十郎を殺したくなかったと熊が語っているところから、この罪や業を熊も背負っている世界観が見えてくる。宮沢賢治は法華経を信仰していたと言われている。法華経には少しバイアスがかかった見方をしてしまう自分がいるが、こんな悲しさを包括するような生命へのフラットな視点を持ちうるなら、やはりすごいものなのだろうと思う。読了後、星野道夫を思い出し、その死への解釈の幅が広がった。 >> 続きを読む
2012/01/25 by Pettonton
飯田 隆
言語哲学、分析哲学の入門書の定番。この4巻を夏の間に読み切って、現代の論文などを読むための基礎を確立させたい。第一巻はフレーゲとラッセルについて。もう既に2周しているが、一冊に対して3周はしなければいけないかもしれない。これと並行して、勁草書房の『現代哲学基礎論文集』で元の論文も読んでいるが、次第に理解できていくのが楽しい。この分野の哲学は、歴史が浅い分、一定の基礎知識を抑えることが出来れば、なんとか読み通すことができるので、なんとか頑張りたい。 >> 続きを読む
2018/08/12 by shinshi
江戸川 乱歩
相川守を中心に美人が狙われる奇妙な事件が発生する。その犯人の第二の標的となったのは守青年の愛する妹・珠子であった。守青年をはじめ、警察、名探偵・三笠竜介までもが犯人奇奇怪怪な犯行に惑わされていく。 乱歩作品は初めてです。学部の卒論発表会にて江戸川乱歩を題材にしている先輩がして、とても興味を引く発表内容だったため図書館の乱歩コーナーで短そうな作品を拝借。 守側の視点や犯人側の視点、更に読者にも語りかけるなどテンポがよく非常に読みやすかったです。江戸阿川乱歩といえば『怪人二十面相』。読みたいです。 >> 続きを読む
2018/12/20 by みほさん
BoccaccioGiovanni , 柏熊達生
▶「BOOK」データベースより教会でたまたま落ち合った男3人、女7人が、毎日1人1話ずつ10日間話した100篇の物語。中世の終末と近代の人間解放を告げる最初の作品の一つといわれる。上巻では精力絶倫の修道士が自分の不行跡に修道院長を引きずり込んで罪をのがれる話、恋多き女が修道院を舞台に巧みに思いをとげる話など、人間本能を哄笑の対象として描く。 >> 続きを読む
2018/05/24 by rikugyo33
金子登
殺人をテーマとした雑学集。問題視されている自殺マニュアルの殺人版。自殺を助長するという点で、自殺サイトとセットで非難されている自殺マニュアル。読んだことは無いのだが想像するに、確かに自殺を考えるような心境で手に取ると、助長効果は有ると言わざるを得ないが、一般人が平常時に読んだなら、ある意味では知的好奇心を刺激され面白いのではないかと思う。また、言論の自由、そして出版物にはR15などの指定が無いという点でも、存在を否定されるほどの有害書籍という非難には微妙に首をかしげたくなる。本作品は「殺人」をテーマにした雑学集で有る。読者が、これから殺人をするかのように終始「捕まらないように気をつけて」というようなブラックテイストが貫かれているが、中にはためになるトピックスも多い。例えば、風邪薬の危険性、毒草や毒虫、日常接する意外な毒物。頭ごなしに否定するのではなく、推理小説的に楽しめむ余裕を持ちたい。 >> 続きを読む
2012/08/08 by ice
玉井司 , 柳沢桂子
荷車を引いて多くの荷物を運んでいた親子。荷物が落ちてきて、本当ならばもっと大けがをするはずだったところを、お地蔵さんが身代わりになってくれたおかげで、子どもは一命をとりとめる。お父さんは、首が欠けてしまったお地蔵さんへのお礼のために、木の仏像を彫る。やがて元気になった子どもも、自分の分と、それから母親の分と、木の仏像を彫って、三体をお地蔵様があった場所に置く。昔から、何か助けてもらった時には、このようにして、石の仏や木の仏を、道の辻に人々は祀ってきたそうである。こういう心が大切かもなぁと思わされた。 >> 続きを読む
2013/05/03 by atsushi
能條 純一
哭きの竜 麻雀飛翔伝 第4/全9巻東を統べ、西との協調を試みる石川。しかし西の首領は自らに寄る全国制覇しか考えてはいなかった。俗に「持っている」と称される男。その仕組みみたいなものを知ることが出来るかも知れない。甲斐組組長として関東を統べ、全国制覇に向け、西の首領、海東に詣でる石川。しかし、礼を尽くして来た石川を拒絶する海東。関東に戻った石川だが、参加の幹部を次々と失う。関東で自分に歯向かって来るのは、ともに先代に目をかけられて育った本宮で有ることはすぐに察したものの、直接対峙した際にはそうした過去の経緯も有って鬼になりきれない自分を笑う。海東に唆されていた本宮だが、石川と直接対峙したことで目を覚まし反転。自ら鉄砲玉として海東の生命を狙う。全国制覇を目指し、東京に繰り出して来た上、竜を攫い対局中だった海東の元に単身現れる本宮。海東を守る多くの側近達から集中狙撃を浴び、結局は気概しか見せることができずに果てる本宮だったが、竜の強運が、最後に彼を男にする。4巻を読んで確信した。これは麻雀ではなく完全なヤクザストーリーで有る。 >> 続きを読む
2013/02/19 by ice
出版年月 - 1987年10月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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