1982年に発表された青山南のエッセイ「ガープ戦史」によれば、アメリカでベストセラーになった「The World According to Garp」を、日本ではじめて紹介したのは村上春樹だったそうです。その紹介での訳題は、「ガープ的世界の成り立ち」。 それに数ヶ月遅れてこの本を書評に取り上げた青山南は、これを「ガープが世界を見れば」と訳します。その後、大江健三郎、佐伯彰一、池澤夏樹らがこの本にあちこちで言及、「世界、ガープ発」、「ガープによる世界」、「ガープによる世界解釈」といった訳題が続々と登場することになります。 現在はこの「ガープの世界」という訳題が定着していますが、こんなに様々な訳題が主張されたこと自体、この作品がいかに注目を集めていたかを物語っていそうです。