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1988年10月発行の書籍

人気の作品

      Masterキ-トン

      浦沢直樹

      小学館
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.5
      いいね!
      • 好きな作品が多い浦沢作品の中でも特に「MONSTER」と本作が特にお気に入り。

        えない考古学専攻の非常勤講師の平賀・キートン・太一。
        一方で元英軍特殊部隊SASの英雄で凄腕の保険調査官(オプ)の顔をもつ。

        戦闘のプロにして博識と鋭い勘を持つというスーパーマン願望を具現化したような主人公。それでいて仕事には恵まれずモテないというのが、絶妙なバランスで良い。

        そして、この作品の魅力は20世紀の世界情勢を反映した事件の数々。

        ベルリンの壁が崩壊直後、西ドイツに潜伏していた東側のスパイはどうなったのか?

        フォークランド紛争で死線を越えてきた隊員達に植え付けられた大きな心の傷。

        ナチスのジプシー虐殺の影で一大資産を築き上げた富豪。

        IRA活動家達の苦悩。

        湾岸戦争勃発直前の緊迫したイラクで英国の要人に迫る危機。やがて立場を超え息子の復讐劇へと発展。

        等々…もちろん全てフィクションだが、時事ネタをベースにしており年代、用語だけを覚える目的の学校の教科書よりひとりひとりのドラマとしてずっと考えさせてくれた。

        美しい海外の情景。考古学ロマンとの緩急も愉しい。

        sunflowerさんのレビューで(最近の絵に比べて)「イラストが好きになれない」という評価だったが、個人的にはこの当時の浦沢画のほうが好きだと痛感した。

        というのも、20年後を描いた「MASTERキートン REマスター」が昨年より不定期連載されたのがきっかけ。

        原作者の勝鹿北星こと菅伸吉氏は2004年にお亡くなりになられているため(但し原作については諸説あり)、多少違うだろうと読み始めたが・・・浦沢氏の作画自体も大きく変わっており、キートンのルックスのあまりの変貌っぷりに衝撃を受けてしまった。

        最近は「PLUTO」や「BILLY BAT」などで少しデフォルメが強い作品が多かったせいかも知れないが、上手くても(上手いからこそ)画の雰囲気はどんどん変わっていく。好きな頃の絵はもう帰ってこないんだなぁと寂しさを感じた。
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        2013/06/11 by ybook

      • コメント 9件
    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      ガープの世界

      IrvingJohn , 筒井正明

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      •  つい先日、特別なことが起きない小説がすきだと言ったが、
         「あれは嘘だ」
        アハハハハ、これが言いたかったんです。だれも覚えていないでしょうが。
         (注:久しぶりの酒気帯び筆記のため、あらすじの有無は保証できかねます)

         元々、私にとっての西洋文学は、チャールズ・ディケンズから始まった。太宰治や志賀直哉、森鴎外の『高瀬舟』(むずかし過ぎた)で祖国を捨てることを決め、岩波文庫や新潮文庫に広がる舶来の世界に飛び込んだ。そして、ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』を夢中で読んだ。これが大きかったですね。しかし、たちまち強制送還をくらい、漱石の小説で心を慰めました。
         と、こんな月並な懐古談に耽ったのは、この本の著者ジョン・アーヴィングが、筋金入りのディケンズ信奉者だからである。そもそも、20世紀に隆盛をきわめた小説の特徴として、「大きな物語」に拘らず、できるかぎり精巧に「時間」や「空間」を組み換えたり、入れ換えたりして、人間の生活や意識の深奥部に迫ることが挙げられる。そうです、時おり名前は聞くけれど、敷居が高いプルーストやジョイスの世界ですね。とりわけジェイムズ・ジョイスのことを、「オナニー本の作者」
        とアーヴィングは指弾しています。まあ、そういう側面は大いにある。そして彼自身は物語の復権を目指し、その野心のためディケンズをお手本にした。これが上手く行ったんですよ。4作目の『ガープの世界』を上梓したのち、アーヴィングは現代アメリカ文学の旗手となりました。正直いって、抜群に面白いです。とにかく引き込まれる。たまには空から槍が降るのも悪くない。
         結びに代えて、ストーリーで壊れているところを少しだけ。
         主人公の出生からぶっ飛んでるんだ。母親が植物人間になった老兵と事に及んでT・S・ガープは生まれてくる(母親は子供だけ欲しかった)。これほど素っ頓狂な出生ってあります? しかも、そのせいかしら、ガープは情事に興味津々。レスリングとセックスと文学、この三つがガープの青春。学生時代の恋人(大学教員で文学専門)と結婚するが、夫婦生活は芳しくない。夫婦スワッピングもするし、ガープの妻は教え子と不倫もする。二人がイチャつく車にガープの車が突っ込んで、間男が去勢状態になるなど滅茶苦茶だ。
         性の乱れや暴力、暗殺、子どもの病気といった不幸が目白押しなのでご注意を。
         (映画『ガープの世界』は、ロビン・ウィリアムズ主演です)
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        2015/04/05 by 素頓狂

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      回転木馬のデッド・ヒート

      村上春樹

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 短編集。ノンフィクションに限りなく近いフィクション。
        「プールサイド」の、人生の折り返し地点の自覚は、あと10年もすれば自分にも訪れるだろう。老いと、残り時間の自覚。
        「嘔吐1979」は、タイトルも内容も不可解で、その不可解さに猛烈に引き込まれた。
        どの物語も、著者の村上氏が実際に人から聴いた話を元にしているとのこと。誰かと会って、話を聴きたくなる一冊。
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        2014/07/27 by seimiya

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      ア-ムストロング砲

      司馬遼太郎

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 幕末の佐賀藩主鍋島閑叟の命を受け、アームストロング砲の製造に邁進した若き技師秀島藤之助の物語だが、非常に困難な主名により秀島は結局、発狂し同僚を刺殺する、という痛ましい事件まで発生する。しかしこのアームストロング砲が、上野での「彰義隊」との戦いに勝利する決定打になった…という表題作の他、新撰組・松原忠司のせつないながらも潔い武士としての生き様を描いた「壬生狂言の夜」等、歴史ものの短編集です。 >> 続きを読む

        2011/06/20 by toshi

    • 1人が本棚登録しています
      ダンス・ダンス・ダンス

      村上 春樹

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 自分にとって大切なものを失ってしまった喪失感や空虚感の描き方が、とても上手いと思います。失ってしまったものの思い出を呼び起こされるときの描き方、ノスタルジーの描き方も好きです。喪失感や空虚感を何とかしようとして展開していく物語の中に現れる不思議や神秘性も良い。主人公の言動も格好良くて素敵です。 >> 続きを読む

        2016/03/12 by つよぽよ

    • 1人が本棚登録しています
      蜘蛛女のキス (集英社文庫)

      マヌエル・プイグ

      4.0
      いいね!
      • 積ん読だった分を、年をまたいで読みました。
        とても面白かった。

        刑務所を舞台に、いわゆるオネエのゲイがテロリストに夜な夜な映画の話をする小説。地の文というのがほとんどなくて、会話文と一部のト書きだけで話が進みます。
        非常に説明しにくいんですけど、小説の構造も実験的で、ちょっとサスペンスの要素もあって、とてもユニークでした。心理描写を地の文でやらないのって、なんだか新鮮です。「……」とかで示したりして。
        映画の描写の仕方もユニークです。思い出しながら筋を話すので、たまにちょっと話を戻って補足するのもリアル。後半で、語られる映画について、話し手と聞き手の両方が描写するような文章が太字で入ったりして…うーん、うまく説明できないんですけど、すごいんですよ。構成が、ほんとうに、面白い。

        南米文学って、奥が深いなぁと思います。プイグはアルゼンチンの人です。同じ南米の『百年の孤独』も読まなくては。
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        2017/01/15 by ワルツ

    • 1人が本棚登録しています
      ガープの世界

      ジョン アーヴィング

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      •  ガープから「ベンセンヘイバーの世界」の原稿を持ち込まれた編集者ジョン・ウルフは、「二流のメロドラマ」と評価しますが、念のため、出版社で働く掃除婦ジルシー・スローパーに読ませてみることにします。迷ったときにはジルシーに読ませろ、本嫌いの彼女が読める本であれば必ずヒットする、というのがウルフの方針であり、かつて、ジェニー・フィールズ自伝「性の容疑者」というベストセラーを生み出したのも、このウルフとジルシーのコンビネーションでした。

         たいがいの本ってのは、次がどうなるもなにも、なんの事件もないんだよね。たまげたね、おまえさんだって、それくらいは知ってるだろ。かと思うと、次がどうなるか、分かっちまってて、最初から読む必要のない本もあるもんね。でもよ、この本は、こいつだけは、やたら変わってるから、なにかが起こるってことは分かってんだけど、何が起こるか、読んでみなくちゃ分からんのさ。この本に書いているようなことを考え出す人間ってのは、よっぽど頭がどっかおかしいんだよ。

         1982年に発表された青山南のエッセイ「ガープ戦史」によれば、アメリカでベストセラーになった「The World According to Garp」を、日本ではじめて紹介したのは村上春樹だったそうです。その紹介での訳題は、「ガープ的世界の成り立ち」。
         それに数ヶ月遅れてこの本を書評に取り上げた青山南は、これを「ガープが世界を見れば」と訳します。その後、大江健三郎、佐伯彰一、池澤夏樹らがこの本にあちこちで言及、「世界、ガープ発」、「ガープによる世界」、「ガープによる世界解釈」といった訳題が続々と登場することになります。
         現在はこの「ガープの世界」という訳題が定着していますが、こんなに様々な訳題が主張されたこと自体、この作品がいかに注目を集めていたかを物語っていそうです。

         この特別の日、ガープは書くという行為についてだれかれなく話したい気分だったし、若いウィットコムは特に熱心に聴いてくれた。小説を書きはじめるという行為がいかなるものかを語ったガープのことを、ドン・ウィットコムはいつまでも忘れることができなかった。「それはねえ、死んだ人間をよみがえらせようとすることと似ているんだよ」とガープはいった。いやいや、そういう言い方は正しくないな──むしろ、だれもかれもを永遠に生かしておこうと努めることさ。最後には死んでしまう者すら、ね。そういう人間こそ、生かしておいてやりたい一番重要な人間なんだ」。そして最後にガープは、若いウィットコムのよろこびそうないいかたで、「小説家というのは、死に至る患者しか診ない医者のことだよ」と言った。

         アーヴィングの小説を、いわゆる「二流のメロドラマ」を超えるものにしているのは何なのか。
         結局のところ、知性とセンスの問題だ、というガープの発言もあります。しかし、ぼくが彼の作品に強く惹かれるのは、その根底に「死んだ人間をよみがえらせよう」、「だれもかれもを永遠に生かしておこう」という強い気持ちが感じられるところであるかもしれません。

        ……ジェニー・フィールズは、かつて人間を、外傷組、内臓組、自失組、冥土組と分けたことがある。だが、ガープによればこの世界では、われわれはすべて死に到る患者なのである。
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        2014/08/25 by 弁護士K

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      闇の司祭 グイン・サーガ - 29

      栗本薫

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 【国を滅ぼされ、今は大公の愛妾としてむなしく日々を過ごすモンゴールのアムネリス。しかしその胸裏には熱い復仇の念が……。そして王への野望に身を灼くイシュトバーンとアムネリスの運命がここに出逢い、その糸は新たな模様を織りなしはじめた。一方ついにユラニア宮廷へ乗り込んだグインは、そこに尋常ならざる気配を感じ取る。次第に正体を現す異形のものの姿……。グインもまた自らの運命との対峙の時を迎える!】


        アムネリスとイシュトの脱出劇、、、引っ張るねえ。さて、どうなるのでしょう。

        超理性的なグイン様は、、、やっぱりかっこいいわあ。

        そんでもって、出たな!闇の司祭グラチウス!

        どんな手妻をもってしても、簡単に落とされるグイン様ではないわい。

        ユラニアの陰謀。おぞましい三公女・・・うひゃあ、そこまででしたか。
        なつかしいノスフェラスのラゴンやセムの仲間たちは、今もグインが王として帰ってくるのを待っている。

        人望の高いグイン様です。もう、並外れすぎてグイン様については何の心配もありません。ああ、グインが日本の総理だったらなあ・・・。
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        2017/12/02 by バカボン

    • 3人が本棚登録しています
      名門 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12‐21))

      ディック・フランシス

      4.0
      いいね!
      • かつて英国のチャンピオン・ジョッキーだった、ディック・フランシス。

        引退後の42歳の時に、小説「本命」を発表。そのあまりの巧さにゴーストライター説まで流れたらしいのですが、2年後の第2作目の「度胸」がまたまた絶賛され、もはや、なぜ偉大なジョッキーがこのような優れた小説が書けるのかと問うよりも、むしろ、このような素晴らしい作家がなぜこんなにも競馬に詳しいのかと問うべきだというようになったそうです。

        以後、ディック・フランシスは年に1作のペースで、毎回舞台もヒーローも違う"競馬シリーズ"と言われる、競馬や競馬界周辺のミステリーを発表し続け、我々フランシス・ファンを喜ばせて来たのです。

        この「名門」は、彼の1980年代の代表作ではないかと思う小説で、主人公はティモシイ・エカタリン、32歳。曾祖父の設立した銀行の融資部で働いています。

        或る日のこと、生産牧場から種馬として名馬サンドキャッスルを買いたいので、五百万ポンドを融資してくれないかという申し込みがあります。この件について銀行内では危惧する声もあったのですが、ティモシイは了承してしまいます。

        それは理由の一つとして、サンドキャッスルの勇姿が目に焼き付いていたからでもあるのです。

        ところが、サンドキャッスルの産駒に次々と奇形が生まれてくるのです。資金回収に不安を感じ、ティモシイは原因究明のために牧場を訪れますが、異常は全く見つけられませんでした。

        そして、その後、牧場主の娘が撲殺されるという事件が起きるのです----。

        ディック・フランシスの"競馬シリーズ"の魅力は何と言っても、小説の核となる部分に、"男の復権"のテーマがあり、"闘うべき敵は弱くて脆い自分自身"であるとの確固たる視点もあるのが最大の魅力で、読みはじめたらやめられないメイン・ストーリーの抜群の面白さと、それを裏側から支える"家族愛"、"友情"、"恋愛"といったサイド・ストーリーの見事さにも、胸を熱くさせてくれる要素がぎっしりと詰まっているからなのです。

        我々、フランシス・ファンをハラハラ、ドキドキさせて、尚且つ、泣かせるシリーズであり、競馬ファンでない私のような人間をも夢中にさせてしまう程の"傑作の宝庫"なのです。

        この「名門」は、「本命」「度胸」「興奮」「利腕」などの他の作品に比べて、やや本筋が地味ではありますが、しかし、ミステリー的興奮も、手に汗握るサスペンスもあるし、ラストで味わう深い感銘もなかなかのものがあります。

        それは、考えてみると、主人公が事件と恋愛、しかもこの恋愛が何とも言えない切々たるプラトニック・ラブで素晴らしいのですが、これらを通して、人生における"苦悩の数々"を知り、"闘うべき敵は弱くて脆い自分自身"である事も知り、人間として成長していく姿が感動的に描かれているからなのだと思います。
        >> 続きを読む

        2016/10/19 by dreamer

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    • 1人が本棚登録しています
      八百万の死にざま

      田口俊樹 , BlockLawrence

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • いつかは読もうと思いながら本棚の奥で眠っていたローレンス・ブロックの「八百万の死にざま」を、ようやく読み終えました。

        銃の発砲によって罪もない少女を死なせた、その罪の意識から警察を辞め、酒に溺れ、無免許の私立探偵として日銭を稼ぎながら、大都市ニューヨークに生きる。
        これが、ローレンス・ブロックが生んだ探偵マット・スカダーだ。

        ローレンス・ブロックの第5作目の作品「八百万の死にざま」で、主人公のマット・スカダーは、身の破滅寸前まで追い込まれる。
        事件と酒。二つの難題が絡み合うようにスカダーを襲い、彼は否応なく己の内面とも向き合わされる。

        ある時、仕事から足を洗いたいという娼婦の代わりに、ヒモと話をつけるが、その直後に彼女は惨殺されてしまう。

        戸惑うスカダーは、やがて、容疑を向けられたヒモから真犯人を探してくれるよう依頼されるのだが-------。

        この小説は、全篇を覆うハードボイルド的なムードが、実に気だるく、哀愁を漂わせて、心に染み入る作品だ。

        過去を引きずり、酒に溺れながらも出口を求め続けるマット・スカダー。
        殺人事件の真相を探る、彼の姿を通して、何とも切ない人生の悲哀が描かれる。

        大都会に生きる男たちの孤独感が見につまされ、乾いた心にうずきを覚えてしまう。

        この小説を読むと、"生きざま"という言葉を簡単には使えなくなってしまうほど、力強く、知的で心揺さぶられるセリフとストーリーなんですね。

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        2018/07/02 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      ベンガル虎の少年は… (あかね創作文学シリーズ)

      斉藤 洋

      4.0
      いいね!
      • 「ルドルフとイッパイアッテナ」の斉藤洋の作品。
        小さいころに読んだ児童書です。

        トラの男の子が「ベンガル虎の少年は~で無ければならない」という教えを基に、中国へ修行の旅に出る物語。

        挿絵はかわいいし、主人公・途中で仲間になる龍の子ともに子供の心理描写(動物)がすごく活き活きしていて、優しくて、当時非常に面白かった、という印象を受けていました。

        先日たまたま、読み返す機会があったのですが、今読んでも色褪せません。
        むしろ作者のユーモアが伝わってくる分、より楽しめた気がします。

        幼いころの一冊、読み返してみるのも良いものだなァ、思いました。
        >> 続きを読む

        2014/05/13 by オオスカシ

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      緋色の囁き 長編本格推理

      綾辻行人

      祥伝社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 「囁きシリーズ」というシリーズ物の、一作目です。

        ホラーチックなストーリーで、面白かったです。

        異様な雰囲気が漂う、学園内で起こる、連続殺人事件。
        生徒達が口にする、「魔女」の存在。

        この人が犯人だ・・・と思っても、次々と裏切られ、ラストでは意外な犯人が登場しました。

        さすが、綾辻さんだと思いました。
        >> 続きを読む

        2018/12/23 by ゆずの

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      落語手帖

      矢野 誠一

      4.0
      いいね!
      • 約一カ月前に、東京神保町の古本屋で買った本。

        艶消しのハトロン紙に巻かれているのは、それなりの風情がある。

        色んな本の合間に読んでいたのだが、じっくり過ぎて今日にてようやく完読。

        全部で274の噺が、「梗概」「成立」「鑑賞」「藝談」「能書」に分けて説明されている。
        特に興味のあるのが「藝談」・・・・・

        その中でも先般亡くなられた米朝師匠の言葉を拾いだすと・・・・・。

        「牛の丸薬」、季節感を大切にしたいはなしです。

        「親子茶屋」、このハナシに使われる下座噺子の緩急、高低が大変重要でして
        はなしの進展につれ、またその場面に応じて変化させねばなりません。

        「景清」、ぐっと泣かせるところのあるはなしですが、あまり締め過ぎてもいけず、
        変にくすぐってもいけません。笑いも涙もおのずから生じてくるもので
        ありたい・・・・と思っています。

        「蟇の油」、サゲは「煙草の粉を少々分けて下され」(タバコは血止めになる)
        または「袂クソがあったらちょうだいしたい」(これも同じく血止めになるとされた)
        ・・・・いろいろあったのですが、今ではわかりにくいので、私はあっさりと、
        「お立会いのうちに、血どめはないか」としています。

        「口入屋」、明治時代の商家の構造をある程度知っていないと、
        演るほうもやるにくいし、お聞き下さる方も面白味が薄れるのですが
        そこをよく理解して頂くためにも、演者にちょっと配慮が要ります。

        「鴻池の犬」、前半は人間の話で、後半はすっかり擬人化された犬の物語ですが、
        そこの変化に不自然さがあってはイケません。いささか大層ないい方ですが、
        犬に仮託して人生の運不運、有為転変・・・というものを暗示した作品かと
        思って演じています。

        「瘤弁慶」、この落語サゲ「されば、夜のこぶは見逃せぬ」は、今や説明が要る
        ようになりました。夜間、昆布を見たらちょっとつまんで食べる、
        「夜の昆布は見逃せん」等といって、よろこぶ、喜ぶ・・・という言葉の洒落に
        過ぎませんが、花柳界や水商売では今でもある風習です。

        「崇徳院」、瀬を早み岩にせかるる滝川の・・・・の歌を書くのも
        扇子、短冊、色紙、いろんなやり方があるのですが、私は後の手掛かりが
        何もないほうが良いと思って茶店の料紙に書くことにしたのですが、
        これで別に差支えはないようです。

        「てれすこ」、元来は「イカの乾したのをスルメといえあすな」・・・これがサゲです。

        「抜け雀」、この話は桂文枝に教わりました。大体この「抜け雀」という落語は
        桂派のネタで、二代、三代の文枝も得意にしたものでした。
        私が教わったのでは、雀は室内を飛びまわるだけで、障子を開けるとバタバタと
        絵に納まってしまうのですが、私は東京式に一ぺん戸外へ飛び出すことに
        しました。

        米朝さんの解説は誰のよりも長く、学術的で、
        そして、今、上方で聴いているスタンダードでおます。
        その恩恵に与って、ありがたいことでおます。

        後ろに索引としてこの本で紹介されてない演目も題だけが書かれていますが
        今や、上方落語の定番とも云えるのが沢山あります。

        その題だけ列挙すると、「阿弥陀池」「家見舞」「いかけ屋」「池田の猪買い」
        「犬の眼」「稲荷車」「馬の田楽」「お玉牛」「帯久」「お文さま」「鶴満寺」「勘定板」
        「堪忍袋」「義眼」「京の茶漬」「「肝つぶし」「くしゃみ講釈」「稽古屋」「仔猫」
        「米揚げ笊」「「鷺とり」「猿後家」「算段の平兵衛」「七段目」「七度狐」「指南書」
        「宗論」「相撲風景」「ぜんざい公社」「高尾」「蛸芝居」「ちしゃ医者」「提灯屋」
        「次の御用日」「つる」「手紙無筆」「天神山」「動物園」「豊竹屋」「「猫忠」「軒づけ」
        「野崎詣り」「花筏」「鼻ねじ」「反対車」「東の旅」「平林」「べかこ」「堀川」「豆屋」
        「桃太郎」「やかんなめ」「夢八」「欲の熊鷹」

        上方の地名がでてくるもの、鳴り物が必要なもの、商家を扱ったもの、
        浄瑠璃がらみのものなど、東京へ移し難かったんでしょうか・・・・
        でもこの本の初版発行が25年前ですから、現在ではもっと変わってるんでしょうな。

        まあ、東京落語を聞くには、バイブル的本で傍から離せませんな・・・。
        >> 続きを読む

        2015/04/18 by ごまめ

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      太宰治全集

      太宰治

      筑摩書房
      カテゴリー:作品集
      5.0
      いいね!
      • 『太宰治全集3』(太宰治) <ちくま文庫> 読了です。

        全集を読んでいると、「走れメロス」のような作品がかなり異色であることがわかります。

        「畜犬談」はユーモラスな中に、ほろっとさせる作品。
        太宰が嫌いな方にもおすすめです。

        「駈込み訴え」は緊迫感あふれる作品。
        こちらもおすすめ。

        掌編ですが、「老ハイデルベルヒ」「誰も知らぬ」「一燈」「リイズ」なども面白く読めました。
        >> 続きを読む

        2016/07/27 by IKUNO

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      心地よく秘密めいたところ (創元推理文庫 (548‐1))

      ピーター・S・ビーグル

      4.0
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      • ピーター・S・ビーグルの「心地よく秘密めいたところ」は、墓場に住んで、死者たちの精神的ケアをしている、風変わりな男レベックを中心に、奇妙な死後の世界を描いた長篇ファンタジーの佳作だ。

        彼の住む墓場にやってきた少女(新しい死者)が、墓場で出会った青年(こちらも死者)との恋を貫こうとした結果、すべてが変化していくという展開になっていく。

        ひたむきに生きる(?)死者の霊が、生者に"愛と生きる力"とを与えるという、逆説的な展開は、もう見事というしかありません。
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        2019/12/19 by dreamer

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      独裁者の密使

      三好徹

      双葉社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 三好徹の「独裁者の密使」を読了。書名の独裁者とは、スターリンのことを指している。

        東都大学教授の矢吹哲也は、交換教授の任期を終えアメリカから帰国する途中、シンポジウムに出席するため、15年ぶりにソ連を訪れる。
        だが、彼はアメリカから持ってきたマイクロフィルムを"コンドル"という男に渡す任務をも負っていた。

        彼は以前の訪ソの折り、通訳についたタチアナとの再会を望んでいたが、皮肉にもその夢はフィルムを渡す現場で叶えられる。

        この偶然を訝しんだ彼は、フィルムの内容を知るべく現像を依頼するが、何者かにフィルムを奪われたあげく、彼自身もホテルから拉致され拷問を受ける羽目になる-------。

        このマイクロフィルムを巡る諜報戦に素人が巻き込まれるお話は、スパイ小説ではもはやお馴染みのパターンだが、この作品の興味深いところは、諜報戦の実態もさることながら、むしろそれに巻き込まれる矢吹とタチアナの運命の行方にあるんですね。

        むろん、著者自ら述べているように、「これまで解かれることのなかった現代史の二つの謎」が、スパイミステリとしてのこの作品のモチーフになっているが、それが解き明かされる過程で浮き彫りにされる"人間ドラマ"こそ、この作品の読みどころなのだと思う。

        スパイ小説のジャンルは、現在、スパイの人間像を掘り下げた"スパイドラマ"と、国際的な陰謀をダイナミックに捉えた"謀略スリラー"の二つのジャンルに細分化されていると思う。

        この作品の場合、謀略スリラーの骨格を備えてはいるが、内容的には明らかにスパイドラマに属するもので、この作品の「新機軸」たる所以も恐らくそこにあると思うんですね。

        私は、この作品を読みながら、ジョン・ル・カレをはじめとする英国の作家たちの本格スパイドラマが絶えず頭をよぎりましたね。

        すべて海外を舞台にした背景描写にも一読の価値があり、スパイ小説ファンの私としても、久し振りにこのジャンルの面白さを堪能しました。

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        2018/12/17 by dreamer

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      秋のホテル (ブルックナー・コレクション)

      アニータ・ブルックナー

      晶文社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      •  (注) 下に小エッセイを付けました。お時間のある方はどうぞ。


            遅れてきた秋の余韻

         
         掛け値なしに第一級の小説を紹介できることがあまりにも愉快で、ペンを握る手もやや強張っているのは、きっと多くを語りたくないからだろう。書物の世界だからこそ味わえる「愁い」を実感したのである。わたしにとっての文学的な陶酔とは、明瞭に捉えることができない愁い、あるいは、肩を揺らせばそれで十分な可笑しみ、それから凪いだ海のような穏やかさといえる。この三つは麻雀の役牌よりもきれいに並ぶことは稀なのだが、このアニータ・ブルックナーの『秋のホテル』はうまく揃えてきた。ちなみに、本作はブッカー賞を受賞している。話が脇道に逸れるけれど、この文学賞はこういう愁いのきいた作品が貰うことがあって、カズオ・イシグロの『日の名残り』やぺネロピ・フィッツジェラルドの『テムズ河の人々』などを思い出します。
         物語の舞台はジュネーブ湖畔に立つ「ホテル・デュ・ラック」。女性作家イーディス・ホウプは、これまでの人生をふいにして、祖国イギリスから追われるようにシーズンオフのホテルへやってくる。そこで風変わりな人たちと交流しつつ、ホテルでの日々やこれまでの生き方を内省する。愛人であるデイヴィッドに手紙を書くこともある。自分の女性としての幸福を考えるたびに、それがつねに矛盾しがちであることに戸惑い、いつはじめても手遅れのような虚脱感に襲われる。イーディスは若い奥さんに逃げられた壮年の裕福な男に言い寄られ、まるで契約のようなプロポーズをされたりもする。そして彼女はある決断をするのだが……
         とりわけ第七章のやり取り、イーディスとネヴィル氏(壮年の裕福な男)とのながい対話がおもしろくて、これほどウィットに富んだ会話はエリザベス・ボウエンの小説でもそうそうないと舌を巻いた。この七章だけでも十二分にお釣りがくると思う。
         たぶん人間の一生には秋のひとときがあって、その季節がめぐると人は内省的にならずにはいられないのだろう。しかしその時期はいつも手遅れで、遅れてきた余韻はたちまち厳しい冬に搔き消される。


           「団体さま、通ります!」

         
         駐車場での危なっかしさを考慮して、図書館には自転車で行くことが多い。両足を規則的に動かしながら、頭のほうでは借りる本の計画をめぐらし、あ、休館日かどうか確認するのを忘れたと後悔しても遅く、やはり朝だからどちらの回転も鈍いと嘆くのだ。休館日のときは返却だけしてスーパーマーケットに行きます。
         ある日、自分はあの図書館の利用者のなかで、一年間の貸出数のランキングの上位に入っているか気になって、おそるおそるカウンターの職員に訊ねると、
        「週に五、六冊借りるほどでは百位にも入られてないでしょうね」
        とあっけらかんと言われ胸をなで下ろして帰宅することにした。よし、これからもどんどん借りることができるぞ。正直にいって、たとえ読まなくても、ただ借りて返すだけで愉しいと思うのはたぶん自分だけではないはず、『耳をすませば』の聖司くんだって絶対にすべての本を読破してはいない、そういえば小中学校の図書カードの名前欄って素敵な符牒だったなあと感傷に浸るうちに広大な交差点へ出た。
        なにやら横断歩道のまえが混んでいると思ったら、幼稚園児だか保育園児だかの可愛らしい子供たちがきちんと整列して、スムーズに渡るために「おしくらまんじゅう」しているみたいだった。子供たちの手には丸い把手のついた縄があって、それを握ってさえいればみんな安全に渡ることができる。歩道の信号が青になった。急いではいないので、子供たちの航海を見守ることにすると、うしろの子の靴が脱げた。
        「○○くんの靴が脱げたけどそのまま渡ってください、センセイが拾います」
        「○○ちゃん止まらないで、センセイが拾うから」
        「ちゃんと丸いところを持ってね」
        などなど、数人のセンセイの声と青のときに流れるメロディとが入り交じり、大通りから右折してくる車はすこしイライラしているようだった。そのとき、今日はほんとうに自転車で来てよかったと悠長に構えていたわたしは、にぎやかな後ろ姿と青点滅の信号をほのぼのと見届けた。
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        2015/12/15 by 素頓狂

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出版年月 - 1988年10月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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