こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


1989年5月発行の書籍

人気の作品

      新編銀河鉄道の夜

      宮沢賢治

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね! fireman
      • ふと夜空の星を見上げたくなる、14の短編集。

        久々に読んだ宮沢賢治さん。
        一つ一つのお話を大切に読んでいきたい。そんな気持ちにさせてくれます。
        しかし解釈の難しいお話ばかりですね。
        宗教的な意味合いも含めると、理解したつもりでも本当は全く汲み取れていないのではないか、と思うことばかりでした。
        的外れなことを書いているかもしれませんが、自分が感じたことを記録していきます。
        だらだらと長くなってすみません。

        *双子の星
        天の川の西の岸。チュンセ童子とポウセ童子という双子のお星さまの住んでいる小さな水精のお宮があります。
        夜は空の星めぐりの歌に合せて、一晩銀笛を吹きます。

        大烏、蠍、彗星。それぞれに対する、双子の星の赦しと慈悲の心に考えさせられます。
        星空での出来事(海にも入りますが)なので、美しい描写が続きます。
        「あなた方もどうかますます立派にお光り下さいますように」
        相手が星なのでこのような言い回しになるのですが、思わずくすっと笑ってしまいました。

        *よだかの星
        みにくい鳥のよだか。
        名前を改めないとつかみ殺すと鷹におどされます。

        この短い物語の中に、苦難の人生、弱肉強食、宗教観、様々なものが詰め込まれていると感じました。

        *カイロ団長
        搾取する側のとのさまがえると、される側のあまがえる。
        王様の公正な命令のおかげでなんとかおさまりましたが、現実は首を切られるか死ぬまで労働を強いられるような気がします。
        現代社会にも置き換えることが可能なお話。
        あれ、カイロ団長のような人、いる気がするぞ・・・。
        悔悟のなみだをこぼす展開になることの方が少ないですよ。

        *黄いろのトマト
        ペムペルとネリの兄妹に起こったかわいそうな出来事を、剝製の雀蜂が語ります。
        これは子どものときに読んだ方が共感できそうです。
        あの頃感じた大人は、すごく大きく見えたから。

        *ひのきとひなげし
        美しくなりたいひなげしをだまそうとする悪魔の医者。
        夕方の空が暗くなっていく情景が良いですね。
        助けてもらったのに、ひのきに対して優しい言葉をかけられないのが女ってかんじがして嫌でした。

        *シグナルとシグナレス
        若様シグナルと、シグナレス(女性形接尾辞「-ess」を付けた造語)。
        身分違いの恋物語を路線の信号機でやってしまうのか。
        でも、ミスマッチなようで、なかなかロマンチックなんですよ。
        月の光が青白く雪を照らす。そんな情景がぴったりの恋人たちです。

        *マリヴロンと少女
        感想らしい感想が浮かばず。
        いつか再読します。

        *オツベルと象
        ある牛飼いがものがたる、オツベルが白象に過酷な労働を課す日々。

        なにより唐突なラスト一行に戸惑います。
        ―おや〔一字不明〕、川へはいっちゃいけないったら。
        これは何を指すのか。
        単純にオツベルと白象のお話が終えたタイミングで、牛が川へ入ろうとしたのを止めたのか。もっと深い意味があるのか。
        一つ疑問が出てくると、その前の
        ―「ああ、ありがとう。ほんとにぼくは助かったよ。」白象はさびしく笑ってそう言った。
        このときの白象の感情も気になってきます。
        自分が助けを求めたことで、オツベルが死ぬことになってしまった後悔・・・なんて。

        *猫の事務所
        軽便鉄道停車場ちかくにある猫の第六事務所。
        いつもからだが煤だらけのかま猫は、ほかの猫に嫌われています。

        またもラスト一行に考えさせられます。
        「半分獅子に同感」とは、ひどい職場なのでしょうがないと思う反面、事務所を廃止にされたら生活が困るということでしょうか。
        もっと深い意味があるような気もしますが。
        こんな職場、実際にありそうですね。獅子のような人はいないけど。

        *北守将軍と三人兄弟の医者
        今までのお話とは雰囲気がガラッと変わります。
        兄弟三人の医者と、ソン将軍の帰還。
        それぞれの医者が得意分野で、文字通り人馬一体となってしまった将軍の体を軽くします。

        中国のどこかの時代のお話。
        軍歌が「唐詩選」ということは、そこから得たイメージなのでしょうか。
        おもしろかったです。

        *銀河鉄道の夜
        星々の美しさと、物悲しさと。
        一度では足りなかったので二度読み。

        氷山にぶつかった船に乗っていた子たちを見て、カムパネルラの身に起こったことを察しました。
        貧困により苛めにあうジョバンニと、友を救おうとして亡くなったカムパネルラの旅は、様々な想いをのせて銀河をめぐっていきます。
        双子のお星さまや彗星のお話も出てきます。

        *セロ弾きのゴーシュ
        ゴーシュは町の活動写真感でセロを弾く係り。
        仲間の楽手の中で一番下手で、いつも楽長に怒鳴られます。
        音楽団では小さくなっているゴーシュですが、来客には大きな態度。相手が変わるとそんなに違うのか、と少し呆れました。
        ねこ、かっこう、狸の子、野鼠のお母さんと接するうちに、音楽を学んでいく過程が楽しいお話です。

        *飢餓陣営
        宮沢さんが書いた戯曲。
        飢餓により全滅寸前の軍隊が描かれています。
        バナナン大将を称えつつ、部下に勲章を食べさす特務曹長役をやってみたい。

        *ビジテリアン大祭
        ビジテリアンと反ビジテリアンが議論を重ねます。
        難解な言葉が多く非常にやっかいなお話ですが、それぞれの主張がテンポよく進んでいきます。
        残念なことに、あまり理解できませんでしたが・・・。
        >> 続きを読む

        2016/08/30 by あすか

      • コメント 10件
    • 他3人がレビュー登録、 38人が本棚登録しています
      プログラミング言語C ANSI規格準拠

      RitchieDennis M. , KernighanBrian W. , 石田晴久

      共立出版
      カテゴリー:情報科学
      3.3
      いいね!
      • レビュー600冊記念はプログラミングにおける歴史的名著を。

        C言語とUNIXの生みの親ベル研究所のD.リッチー氏とカーニハン氏自ら描き下ろしたC言語の解説書籍。

        C言語は現在でも自動車や家電機器など身の回りの多くの製品開発で使用されその歴史を刻み続けています。
        またUNIXはWindowsやLinuxに多大な影響を与え、iPhoneに搭載されているiOSなど今でもUNIXを系譜とするOSは数多く存在します。

        C言語が成功した要因としてその言語仕様が標準規格化、開発者自ら言語仕様の解説を書籍化したことで90年代に爆発的にプログラマが増加したことが要因と考えられます。そういう意味では本著はコンピュータ科学の歴史を動かした記念すべき1冊とも言えます。

        故・リッチー氏の偉大な功績および本書籍が果たした役割については賛辞を惜しみません。

        しかしながら、敢えての星1評価を。

        今年も新入社員達が配属されてきましたが、中にはC言語のプログラミング教則本として本書で勉強している若者を見かけて愕然としました。本著は古典であり、現役の教則本ではありません。

        C言語はK&Rと呼ばれる誕生初期からC89/90(ANSI C), C99(ISO), そしてC11(ISO/IEC 9899:2011)と現在に至るまで改訂を重ねることで言語仕様の機能強化・不備の改善を行ってきました。

        少なくとも今日においては殆どのコンパイラがサポートしているC99言語仕様で開発を行うことが主流になっています。
        開発現場で使える実践的なプログラミングを学びたいなら30年前の書籍を読んではいけません。現在では使われない記法や誤った記法が記載されていたり、逆に現在では常識として多く使われている記法については本書では当然言及されません。

        本書籍が歴史的名著として有名であるがゆえ、教科書に使われたりすることが多く、それが混乱を招きC言語の敷居を高くしてしまってようにも思えます。

        まあ、いきなり新人が組み込み開発の現場で動的配列宣言(C99)なんかしやがったら説教ですが。
        >> 続きを読む

        2018/07/19 by ybook

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      ロマンス

      銀色夏生

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:詩歌
      5.0
      いいね!
      • セットで買った古本に混ざっていた一冊。
        同じ作者の『Go Go Heavenの勇気』がよかったので、続けて読んだ。

        詩集を読むのは初めてだったが、こんなに短い言葉で溢れんばかりの感情を表現することができるものなのかと感心した。
        子どもの頃、教科書で詩を読んだときは、詩というものが何なのか、何がいいのかよくわからなかった覚えがある。
        そんな私にも伝わる詩だ。

        一番気に入った詩を挙げたいところだが、この詩集は恋愛をテーマにしたものが多いので、自分の内面をさらけ出すようで恥ずかしい。
        そこで、恋愛が直接は描かれてないものとして、「樹木と波」を挙げる。
        明け方に窓から外を眺めて、グラデーションになっている空に目を奪われていく情景が思い浮かぶような詩だった。
        >> 続きを読む

        2015/01/10 by ともひろ

      • コメント 2件
    • 3人が本棚登録しています
      紫苑物語

      石川淳

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 『紫苑物語』(石川淳) <講談社文芸文庫> 読了です。

        「紫苑物語」「八幡縁起」「修羅」の三篇の短・中編集です。

        ・紫苑物語
        雅なタイトルとはうらはらに、不穏な雰囲気がずっと漂っている作品です。
        三池崇監督の『十三人の刺客』が思い出され、かなり気持ちの悪い感覚を覚えました。

        ・八幡縁起
        ある一族の神話的始まりから末世の崩壊までを描いた作品です。
        あらゆる神話が興味深いように、この作品も非常に興味深く読むことができました。

        ・修羅
        戦国時代の始まりを描いた作品です。
        これから何が価値を持ち、力を得ていくのか、そういういろんな意味での始まりを感じました。
        ただ、かなり無理矢理感があります。

        全体的に文語調で書かれているためか、メリハリが感じられず、単調に思われました。
        現代風に書き直したらかなり面白く読めるんじゃないかと思います。
        例に漏れず、「旧仮名遣い」を「現代仮名遣い」に改められていますが、この作品に関しては旧仮名遣いが相応しいと思います。
        >> 続きを読む

        2015/10/26 by IKUNO

    • 2人が本棚登録しています
      新・平家物語

      吉川英治

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 新・平家物語とのタイトルであるが、ライバル源氏の物語が続く。清盛によって命を助けられた頼朝と義経のふたりは別々ながらもそれぞれの青春を過ごす。義経は平泉までたどり着き、頼朝は鎌倉の地でじっと息をひそめてただひたすら過ごす。この間、平家の若者たちはいったい何をやっていたのだろうか。後の歴史を知る我々としては、"若いうちの苦労は買ってでもしろ"という言葉をかみしめさせられる。一方の京では不穏の動きあり。反平家の面々が鹿ケ谷に集い平家打倒の密議をはかったのが露見する。みんなが知っての通りの結末となる。

        【このひと言】
        〇男親のむずかしい顔つきは、どこの家でも珍しくはない。けれど、その男親も、時にはこんなにも、弱い、かなしげな姿を、持つものだろうか。
        〇近年、宋銭の輸入を実行させている。何しろ、日本の貨幣制度が、幼稚すぎる。皇朝十二銭などというものはあるが、とても、鋳造力が不足だし、第一、庶民のあいだに、貨幣の信用がなく、運用の効も、よく知っていない。依然、今もなお、大部分が、物々交換の実状である。だから、旅行するにも、その不便さは、ひと通りでなく、木賃の払いでも、一度の食べ物でも、物代でなければ、承知しない風習は、地方へゆくほど、強いのだった。宋銭の流通は、それを、だいぶ緩和してきた。
        〇女囚は女囚で、童は童なりに、もっと、こうなる必然を、もっていた。かれらの素質や環境もよくないが、しかし、春の宴舞、秋の管絃と、この世を殿上だけで楽しんで来た古都平安が生んだものだ。罪の親は、殿上にある。次いでは、武門を興して、藤原氏の権に代わりながら、藤原氏的な一門の栄花を事として、庶民の繁栄を考えない、今の平家の罪である。
        >> 続きを読む

        2017/04/15 by シュラフ

    • 4人が本棚登録しています
      新・平家物語

      吉川英治

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 時局は平家にとって厳しくなっているというのに、平家方にあるのは奢りだけ。

        「三代目だ、これが、平家の…なんの苦節、なんの認辱、なんの貧しさも知らずに育ってきた入道相国の孫やら甥やらだ…誇りと、奢りだけは、相国よりもつよい」という時忠の嘆きのつぶやきに胸をうたれる。

        飛躍かもしれないが、これからの日本は戦後三代目世代が主役。アジアの若者が日本に出稼ぎにきて牛丼屋で働く中、日本の若者はバカ面してケータイいじながらメシを食っている。おいおい大丈夫かよ。おまえら頑張らないと、いずれ立場が逆転すること分かってんのか。

        【このひと言】
        〇(…三代目だ、これが、平家の)眸が、いいたそうに、満座を見てゆく。(なんの苦節、なんの認辱、なんの貧しさも知らずに育ってきた入道相国の孫やら甥やらだ…誇りと、奢りだけは、相国よりもつよい。そして治安のむずかしさなどは、何も、わきまえはない)時忠は、欠伸がしたいようだった。
        〇「知らなかった」---と九郎は二人の涙へ頭を下げ「この身を、それほど念じていてくれたとは、思わなんだ。---命はわが物と、つい思うが、些細な命一つとて、人の情けに守られていると知れば、さても粗末には持てぬものよ」心から、かれは、自分の一命をいま、そう観たのである。



        >> 続きを読む

        2017/04/15 by シュラフ

    • 4人が本棚登録しています
      新・平家物語

      吉川英治

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • ついに平家打倒に向けた以仁王の令旨が各地の源氏武士あて発せられる。

        その文書は激しい。「東海、東山、北陸三道ノ諸国源氏、ナラビニ、群兵等ノ所ニ下ス 清盛法師、ナラビニ、従類叛逆ノ輩ヲ早々追討シテ応フベキ事」。以仁王は平家に追いつめられて自害するが、その意思は各地に伝わる。

        頼朝もこれに応じて挙兵して、緒戦の石橋山の戦いに手痛い敗北をするも、徐々に勢力を拡げていく。

        いったい平家一門はなにをやっているのだろうか。情報伝達がなかったわけではなく、その情報への感度が鈍すぎた。初期対応が早ければ鎮圧は可能だっただろう。

        【このひと言】
        〇「まこと、常冬のような頼政の生涯に、ただ一輪咲き添えてくれた花だった」
        〇以仁王の令旨 「東海、東山、北陸三道ノ諸国源氏、ナラビニ、群兵等ノ所ニ下ス 清盛法師、ナラビニ、従類叛逆ノ輩ヲ早々追討シテ応フベキ事」
        >> 続きを読む

        2017/04/22 by シュラフ

    • 4人が本棚登録しています
      ふるえる爪 (集英社文庫)

      北方 謙三

      2.0
      いいね!
      • 北方謙三作品に初挑戦したのですが。
        ハードボイルド、ダメでした。
        車の種類とか全く興味が持てなくて。

        初めてなので女性が主人公の方が読みやすいかと思ったのですが逆効果だったようです。

        これに懲りずに、また挑戦したいです。
        >> 続きを読む

        2018/02/12 by 寺嶋文

    • 1人が本棚登録しています
      男は勝たねば面白くない 必勝不敗の人間学

      邑井操

      新潮社
      カテゴリー:人生訓、教訓
      4.0
      いいね!
      • 古今東西から例を引き、最期に勝ち残る条件を示す。

        キレイ事では無く、本音ベースの記述に好感が持てた。

        「男」と限定されていることに、あまり意味は無いのだが、勝ち組に入らなければ、様々な面で損をすることになるのは事実だと思う。

        あくまでも勝つことを目的そして大前提とし、貪欲に勝つための条件を掘り下げている。
        この方針がはっきりしているため、「悪」の要素を使用した勝ち方についても、除外していないところに、軸のブレ無い主張が見え、好感が持てる。

        印象的だったのは、家康の逸話「人はむり強いを嫌い、ささやきを好む」

        人に感謝を伝えるとき、親切を行うときには周囲の人にも分かるようなやり方はせず、対象者にだけ伝わるような配慮を持って行ったという。
        これには、耳元で愛を囁かれているかのうような効果が有り、親密度が一気に高まる効果が有るようだ。
        確かに人たらしと言われているような人には、このような傾向を感じる。

        語られるエッセンスは、やはり現代の組織でもそのまま適用できるものが多い。
        >> 続きを読む

        2012/02/01 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      ロシアについて 北方の原形

      司馬遼太郎

      文藝春秋
      4.0
      いいね!
      • ロシアの民族・国家・歴史を、ロシアの視点から描いた作品で、ロシアの成立から現在に至るまでが、詳しくわかりやすく描かれており、純粋に歴史エッセイとして読んでも楽しめる一冊です。特に、幕末鎖国下の日本に開国を迫るために相前後して来航した、アメリカ合衆国のペリーと、クルーゼンシュテルン、ゴローニン、プチャーチンたちロシア帝国の海軍軍人との人物比較は面白い。
        また、「日露戦争に勝利してから日本は変質した。戦勝によってロシアの満州における権益を相続した結果、つまり植民地をもつことによって、それに見合う規模の陸海軍をもたざるをえなくなった。領土と分不相応の大柄な軍隊をもったために、政治までが変質し、所謂『軍国主義』の道をひた走ることになった。その総決算の一つが”満州”の大瓦解と太平洋戦争の敗戦だった。」…という司馬氏のこの視点は大いに考えさせられる一節です。
        >> 続きを読む

        2011/08/05 by toshi

    • 1人が本棚登録しています
      ガラスの壁

      西村寿行

      徳間書店
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • ある町を舞台に繰り広げられる秘密実験と各国諜報員の暗躍。

        新興宗教も巻き込んで、各国諜報機関の活躍を壮大なスケールで描く。

        著者の別作品「鯱」シリーズに近い設定と展開。
        相変わらずの激しい性描写で、満員電車で近くに女性がいると読むのを躊躇う程。

        多少、現実からの飛躍に目をつぶらないと楽しめない面が有ることは否めないが、素直に設定を受け入れれば、アクション小説としても十二分に楽しめることが約束される。

        鷲機関は非常に魅力的な設定だけに続編が有ることを望む。
        >> 続きを読む

        2011/02/19 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      太宰治全集

      太宰治

      筑摩書房
      カテゴリー:作品集
      5.0
      いいね!
      • 『太宰治全集9』(太宰治) <ちくま文庫> 読了です。

        戦後の混乱期から死の直前までの作品集です。
        第八巻から引き続き、人間の暗い面が多く描かれています。

        やはり圧巻は「斜陽」「人間失格」だと思いますが、「桜桃」をはじめ、「おさん」「眉山」「女類」といった作品も傑作だと思います。

        これで一旦、太宰治全集は終わりです。
        (第十巻もありますが、別名義で書かれた小説が一つ含まれているだけなので……)
        太宰治は初期のから死の直前までいろんなタイプの作品を書いており、どのタイプも非常に興味深く読むことができました。
        太宰治の作品全体が、一つの作品のようです。

        太宰治も全集で読むべき作家の一人だと思います。
        >> 続きを読む

        2016/12/05 by IKUNO

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      ナジャ (白水Uブックス)

      アンドレ ブルトン

      3.5
      いいね!
      • アンドレ・ブルトンは、シュルレアリスムの総帥などと言われています。

         そうそう、ここが肝心。日本では、よく「シュール・レアリズム」などと書かれていたりしますけれど、これは間違い。
         「シュールな」「レアリズム」的なとらえ方をされそうですけれど、そのイメージと、シュルレアリスムとは、おそらくとてもかけ離れたものじゃないだろうか、と感じています。 この辺のことは、巌谷國士さんなどの丁寧な解説を読んで頂けたら了解して頂けるように思います。
         で、そのシュルレアリスムの総帥たるアンドレ・ブルトンが書いたのが本書です。

         アンドレ・ブルトンの文章って、すっごく読みにくいと思います。
         訳の問題もあるでしょうし、あるいは「わざと」なのかも知れないけれど、文章を区切らないのね。
         だらだらと、しかも違うテーマだって一緒くたにして一文の中に垂れ流しているような…… 長いし、非常に観念的だし。

         そんなブルトンの中で、かなり読みやすく、しかも、ある意味代表作の様に扱われているのが、「ナジャ」じゃないでしょうか。

         ブルトンが、パリの街を歩いていた時、何だか奇矯な格好をした、貧しい若い女性と出会います。
         声をかけてみて、カフェでお茶したりします。
         魅かれたのでしょうね。
         エキセントリックなナジャに会いたくて、また、同じ場所などを彷徨ったりします。

         また、出会えて、そうして、一緒にいる時間を沢山持つようになります。
         あ、もちろん、このころは、ブルトンだって結婚していて奥様もいらっしゃいますけれど。こう言っても良いのなら、「恋愛感情」(あー、嫌だな、この言葉)はあったと思いますよ。
         二人で、あてもないような長い(短い?)列車の旅などもします。
         ナジャは、「幻視」を見せたりもします。
         そんな、逢瀬を書いているのが「ナジャ」なのでした。

         その時々の、壊れやすいような気持ち、みたいなのが良いなって感じました。
         ブルトンが書くところによれば、ナジャは精神を病んでいたようです。
         それ故の、繊細さ、壊れやすさなどが、ナジャには見えたように読みました。
         最後は、ナジャは病院に行ってしまうのですけれど。
         それまでの間の、はかないような逢瀬を書いています。

         どこかで読んだ話なのですけれど、ブルトンが、パリの街を歩いていた時、一人のうらぶれた物乞いの男を見たそうです。
         目が、見えないのでしょうか。首からかけていた紙に、「わたしは目が見えないのでお恵みを」というようなことが書いてあったそうです。
         ですけれど、その男の前を通り過ぎる人達は、まるでお恵みなんてしてくれないようで、空き缶にはいくらのお金も入っていなかったそうです。
         詩人でもあるブルトンは、その男の「看板」を書き換えてあげたそうです。
         「わたしは、目が不自由なので、新しく来る春が見えません。」と。
         そうしたら、その男はそれからたくさんのお金をもらえたのだとか。
        >> 続きを読む

        2019/06/18 by ef177

    • 2人が本棚登録しています
      アルゴールの城にて (白水Uブックス)

      ジュリアン グラックジュリアン・グラック

      5.0
      いいね!
      • 【氷のアルベールと炎のエルミニアン】
         本書は極めて読みにくい作品です。
         台詞は一切無く、幾重にも重ねられた形容詞の茂みに分け入って読まなければならないような、しかも、その描写は非常に観念的なのです。
         ただ、そこに描かれている情景をイメージすると、それは何とも壮麗で、素晴らしく美しいものなのでした。
         
         主人公はアルベールという若い貴族の末裔です。
         頭脳明晰、眉目秀麗ではあるのですが、人をそばに寄せ付けないような冷たさがあります(「氷」となぞらえられる訳ですね)。
         彼は、ひょっとしたことからアルゴールという城を買い受けることになり、ある夏、その城で過ごすために彼が尊敬して止まないヘーゲル(!)の著作集を携えてアルゴールの城に赴きました。

         アルゴールの城は深い森に囲まれた台地にひっそりと建つ古城なのですが、その描写が圧巻です。
         その全てをここに書くことはとてもできないのですが、テラスになった屋根とその左側に見える高い尖塔。
         右手にはそれよりも低い方形の塔。
         城の壁面にはいくつかの窓が穿たれているのだけれど、それが何とも不規則に並んでおり、城内の部屋の配置がいかに凝った物であるかを物語るようです。

         城内の部屋々々の描写も圧巻です。
         家具らしい家具と言えば壁面や柱に沿って無造作に並べられた上質のクッションやソファーだけのだだっ広いホール、銅板とその上の鏡で壁を覆われた天井の低い食堂、もはや天井さえ見えないような(おそらく城の頂上まで吹き抜けになっているのでしょう)大広間には床のすぐ上から垂直に立ち上がっているアーチ型の窓から陽が差し込み、その光線の具合によってまるで海の中にいるかのように感じられることすらあります。

         それぞれの部屋が意匠を凝らした作りになっている一つの理由は、「音」にありました。
         つまり、同じように話していても、部屋によっては明晰で快活な声に聞こえたり、囁くような声に聞こえたりするのでした。
         そして、この城を巡る風景描写も素晴らしい。
         遠くまで連なる手つかずの森、その向こうに見える山々、目を転ずれば白い砂浜と入り江、そしてその上に広がる青緑の空。そのような情景の中を様々な天候が通り過ぎていきます。

         さて、物語は、この城にアルベールの親友であるエルミニアンが訪ねてくることから始まります。
         エルミニアンもアルベールに負けず劣らずの頭脳を持っており、二人は極めて難解かつデリケートな議論を楽しみ合う仲でした。
         ただ、エルミニアンは、引きこもりがちなアルベールとは違い、極めて活発であり、幾枚かの絵画を見たくなれば精力的にヨーロッパ中の美術館を駆け巡るような青年でした(アルベールの「氷」に対してエルミニアンが「火」と例えられる由縁です)。

         アルベールは、城に着いた初日に、大広間の中央の銀の盆に置かれていた、ハイデと共に訪ねる旨のエルミニアンのメッセージを見て、その来訪を知るのでした。
         しかし、アルベールはハイデなる人物を知りませんでした。それが男性なのか女性なのかすら。

         エルミニアンに伴われて城にやってきたハイデとは、非常に美しい女性でした。
         しかも教養も深く、アルベールらの難解な会話を苦にもしませんでした。
         アルベールは、エルミニアンとハイデがどのような関係なのかを尋ねたかったのですが、どうにも切り出せずにいました。

         その後、3人による城での生活が始まるのですが、エルミニオンは、とある意図を持ってハイデを城に伴ったのでした。
         ところが……

         以上が本作のほんの出だしの粗筋です。
         時としてストーリーを追うのがやや混乱する位読みにくい部分もありますし、そもそもこれといった大きなストーリー展開があるというわけでもありません(あると言えばありますが)。

         私は、この城自体が一つの大きな「ストーリー」の様に感じました。
         非常に絵画的な、ところによっては音楽的なイメージを楽しむのが、今回の私の「アルゴールの城にて」だったように思います。
         読書の楽しみは人それぞれです。
         どうか、みなさんも自分だけの「アルゴールの城にて」を楽しんでみて下さい。
        >> 続きを読む

        2019/02/17 by ef177

    • 2人が本棚登録しています
      かいけつゾロリの大かいぞく

      原ゆたか

      ポプラ社
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • 魔法をムダに使ってしまう。

        2015/01/26 by ムーリン

    • 5人が本棚登録しています
      戦慄のシャドウファイア

      KoontzDean R , 白石朗

      扶桑社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • このモダン・ホラーの鬼才ディーン・R・クーンツの「戦慄のシュドウファイア」(上・下巻)は、読み始めたらとまらない、そんなスリリングな小説だ。

        冒頭は、夏の陽射しにきらめく通りで、夫婦が口論しているシーン。離婚調停を進めている弁護士のオフィスを出てきたばかりだ。妻のレイチェルが慰謝料もいらないと言ったことにプライド傷つけられた夫のエリックが怒っている。

        すると、勝手にしろと怒ったエリックが、車にはねられ即死してしまう。レイチェルには恋人のベンがいるので、ロマンス小説なら、始まったばかりで問題解決になるが、もちろん、この小説が、ここで終わるわけがない。

        エリックの死体が死体公示所から姿を消してしまうのだ。こうして、物語はここから、あれよあれよという間にどんどん動いていく。なんとエリックは死から蘇るのだ。

        レイチェルに恨みの残っているエリックは、当然、彼女を追い始める。さらに、エリックの蘇生の秘密を守るために、防衛保安情報局の副長官アンスン・シャープが部下を引き連れて、レイチェルとベンを追い始める。かくて、壮大な闘争と追跡のドラマが始まって行く。文字通りのノンストップ・アクションだ。

        レイチェルとベンのロマンス、ベトナム時代をめぐるベンとシャープの確執、さらにシャープとその部下ピークの対立。まあよくもこれだけつめ込んだものだとあきれるくらいに盛りだくさんの内容だ。

        それから、石のように手強い農夫を登場させてシャープを浮き彫りにしたり、不幸な生い立ちを登場人物に語らせて、エリックの性格形成を側面から描いたり、すべて説明づける明瞭さが気になるといえば気になるけれど、これは、まあ著者の読者へのサービス精神のあらわれだろうと思う。

        そして何より、怪物と化していくエリックの"血の叫び"が、不気味なトーンとして全篇の底を流れているのが、実にいいと思う。


        >> 続きを読む

        2018/02/10 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      アメジスト・タブレット・プロローグ―純粋冥想の道標

      ダンテス ダイジ

      5.0
      いいね!
      • 猫の爪や牙、猫しっこからも守りきって、ときどきこっそり読んでいるこの本。もういらないから捨てようかな、という日は生涯来ないような気がする。 >> 続きを読む

        2016/05/09 by まるち

      • コメント 1件
    • 1人が本棚登録しています
      シンデレラ

      InnocentiRoberto , PerraultCharles , 谷本誠剛

      西村書店
      4.0
      いいね!
      • ロベルト・インノチェンティが描くシンデレラの絵本。

        とても面白いのは、普通シンデレラといえば中世の景色や服装で描かれるもののはずなのに、この絵本は、第一次世界大戦前後の頃のイタリアのような、日本でいえば大正の頃のモガのような恰好をしている。
        自動車も描きこまれていて、どう考えても中世ではない。
        と思いきや、中世っぽいところも描かれていて、なんとも不思議な、いつの時代かわからない絵となっている。

        何分、小さい頃に読んだきりなので、シンデレラの詳しいストーリーなど忘れてしまっていたが、シンデレラって「灰かぶりさん」という意味だったんだなぁと、あらためて驚いた。

        継母や義理の姉たちのいじめにもけなげに耐えて、心根をきれいに持ったまま甲斐甲斐しく働くシンデレラ。
        そんなシンデレラを、必ず見てくれている人がいる。

        という、主要なストーリーはもちろん覚えていたのだけれど、不思議な絵とあいまって、こんな面白い話だったんだなぁと、あらためて驚かされた。

        シンデレラは自分をいじめた姉二人を許して、自分が王子と結婚すると同時に姉二人も大臣たちと結婚させてめでたし、めでたし、という話なのだけれど、

        この絵本では、一番最後の絵は、娘たちが去っていった後の継母がアルコールの空き瓶を床に転がしてひとりむなしく窓辺に座る絵が描かれている。
        これもたしかに、小さい頃は考えもしなかった、シンデレラとその姉たちが去っていったあとの継母の荒涼とした心の様子が描かれてて、なんだか考えさせられる。

        結局、人は、どのような心で生きるかが、どのような結末を迎えるかにとって一番大切なのかもなぁ。

        昔話というのは、深いものである。
        >> 続きを読む

        2012/12/23 by atsushi

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています

出版年月 - 1989年5月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚