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深町真理子 , スティーヴン・キング
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【死を正面から見つめたキングのホラー作品】 医師のルイスとその妻子たちは、メイン州にある屋敷に引っ越してきました。 静かな土地で、家の裏には広い地所もあり、子供たちも大きな家に大喜びの様子です。 隣に住むジャドとノーマの老夫妻とも親しくなり、まずまず順調な出だしというところです。 ルイスは、隣家のジャドに不思議な親しみを覚え、まるで自分の父親のような感情を抱きもするのです。 さて、この屋敷の裏にある小道を辿ったところには不思議なものがありました。 ジャドの案内でその場所に出かけてみるルイス夫妻と4歳の娘のエリー、まだ2歳のゲージです。 そこは円形に開かれた場所で、沢山の墓石が同心円状に並べられていました。 そこが『ペット・セマタリー』……ペットの霊園だったのです。 ジャドの説明によれば、この土地に住む者たちは、自分たちのペットが亡くなるとこの場所にずっと埋葬してきたのだと言うのです。 この霊園に続く道も、子供たちが自主的に草刈りなどして保全しているのだとか。 死というものを真正面から感じたからなのか、エリーはその夜、ぐずったりもしますし、ルイスの妻レーチェルは、幼い頃、姉を病気で失った経験があるからなのか、「あんな場所へは二度と子供たちを近づけない」と逆上したように言い放つのでした。 その後、妻子が妻の実家に里帰りしていた際、エリーが可愛がっていたペットの猫のチャーチが車に轢かれて亡くなるという事故が起きてしまいました。 エリーは電話をかけてくるだろうが、このことを知ったら大泣きするだろう……。 せっかく妻の実家で楽しんでいるのに、こんなことを知らせるのは……。 エリーが帰って来ても、しばらく前から姿が見えなくなってしまったと言って誤魔化した方がいいのではないか? 悩むルイスですが、ジャドも、娘を愛しているのならすぐに知らせなくても良いだろうと言います。 それよりも……と、ジャドは言い、スコップやつるはしを持ち出すと、一緒に来いとルイスに言うのです。 そうなんです、ジャドは、チャーチの死体をペット・セマタリーに埋葬しろ、それがお前の義務だとルイスに言うのです。 こんなことを勝手にしてしまって良いのだろうかと気が進まないルイスですが、ジャドの言う通り、埋葬してやるべきだという気持ちにもなり、また、レーチェルは子供たちをペット・セマタリーには二度と近づけないと言い張っていたのだから、そこに埋葬してやってもエリーには分からないだろうという気持ちも働きました。 結局、ルイスはジャドに言われるまま、チャーチをペット・セマタリーに埋葬したのです。 その後……。 チャーチが生きて家に戻って来たのです。 そんな馬鹿な! あるいは、埋葬した猫は自分の見間違いで、チャーチによく似た別の猫だったのだろうか? いや、そんなことはあり得ない。 あのペット・セマタリーというのは一体……。 家に戻って来たチャーチは、悪臭がし、どこか以前のチャーチとは違う様子がみられるのですが……。 という辺りまでが上巻で語られます。 非常に怪しげなペット・セマタリーですが、そこはどういう場所なのでしょうか? そして、ルイスがジャドに「まさかあそこに人を埋葬したことはないんでしょうね?」と尋ねたところ、「馬鹿な事を言うもんじゃない」と答えたジャドの不自然な態度。 謎は深まりつつ下巻に続きます。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2021/12/14 by ef177
Novalis, 1772-1801 , 青山隆夫
――その花弁が青いゆったりとしたえりを広げると、中にほっそりとした顔がほのかにゆらいで見えた。29歳で夭折したドイツ初期ロマン派の詩人、ノヴァ―リスによる未完の長編。二部構成となっているが、作者逝去のため第二部第一章までしか書かれていない。その後に予定されていた展開については遺稿にて窺うことができる。乱暴に推察すれば、ノヴァーリスは詩と愛に満ちた永遠の理想郷へ至ることを夢見ていたのだろう。それを中二病のようなものとして捉えるか、詩人の繊細な感受性の発露と捉えるかは人それぞれだと思う。だが、何にせよノヴァーリスは大真面目に詩の精神を説き、あらゆる時代のロマン的なものの融合を指向し、失われた黄金時代が詩と愛によって新たに再来するというモチーフを繰り返しながら物語を紡ぎ続けたのだ。すごい。作中でも言われるように、「詩人は純粋な鋼であり、もろいガラス繊維のように感じやすく、しかも欠けない火打石のように固くもある」ということなのかもしれない。ストーリー自体はシンプルで、夢で見た青い花に心奪われた主人公、ハインリヒが母の故郷へと旅をしながら詩人としてあるべき姿を学ぶというものだ。いかにも教養小説らしい対話は、いささか真面目臭く感じる向きもあるかもしれない。構想メモを見ると、第二部ではもっと活発なストーリー展開が予定されていたようだが、残念ながら書かれるには至らなかった。しかし、作品の構造は少々複雑だ。詩や伝説、メールヒェンが入れ子のように挿入され、ポリフォニックに響きあう。それが作品に奥行を生み、テーマを浮かび上がらせる。例えば、ハインリヒは出立時に「いつかまた故国へもどってくるだろう、つまり自分はそもそも故郷へ向かって旅をしているのだ」と思うが、旅の道中に商人が語るアトランティス物語では、失踪した王女が一年後に嬰児と夫を伴って帰還する。そしてこの夫は詩人である。また、このアトランティス物語中に挿しこまれた歌は、王女の帰還を予告する役割を担っている。これらは全て、新たなる黄金時代の再来という円環状のモチーフの変奏曲に思える。同様に、クリングゾール・メールヒェンでは、ファーベルの活躍により黄金時代が再来する。ちなみにファーベルは詩の象徴であり、その父は感性を、母は想像を象徴している。一方、遺稿には「ハインリヒの母は想像である。父は感性である。」と記されている。このように本作では作中の様々な次元が共鳴しあい、作品世界に彩りを与えているのだ。第二部では、これらの次元がの垣根が崩れ融合し、ストーリーに反映される計画だったようだ。この作品のテーマは詩、愛、喪失と再生なのだと思う。黄金時代は太古の昔に失われているし、ハインリヒは第一部から第二部の間に最愛の女性を失っている。ノヴァーリス自身、婚約者ゾフィーとの死別というショッキングな体験をしている。しかし、「期待」と銘打たれた第一部の最後にクリングゾールが語るメールヒェンでは、ファーベル(詩)が活躍し、エロス(愛)はフライア(平和)と結ばれて新王として君臨し、万物が息を吹き返し、長い苦しみの夢は過ぎ去り、永遠の国が打ち立てられる。この「期待」を受けて綴られる第二部の表題が「実現」だ。作中のあらゆる次元が溶けあって、期待が実現されるはずだった。遺稿には「ハインリヒに関しては心情の内面的浄化が詳細に描写される。ハインリヒは、ゾフィーの国――あらまほしき自然――寓意の国へおもむく。」とある。読んでみたかった。もしあなたが辛い別れに悩んだり、失われた過去に囚われているなら、この本を手に取るのも一つだと思う。読んだところで問題が解決したり、悩みが軽くなったり、生きるヒントが得られるわけではない。だが、数世紀も前に生きた異国の詩人が死の間際まで追い求めた理想郷に思いを馳せたとき、己の心情との共鳴を感じ、少しだけ勇気づけられるかもしれない。もちろん、詩やロマン的なもの、教養小説、寓意に満ち想像力豊かなメールヒェンなどを求める向きには打ってつけの一冊だ。未完の作なので星を四つにしたが、四点満点という気持ちで星をつけた。 >> 続きを読む
2018/01/10 by solnian
きうちかずひろ
BE―BOP―HIGHSCHOOL 第12/全48巻ノブオの勇気から学ぶべき点は意外に多いように思う。やっと1/4に到達。正直今更Be-Bop...と思わんでも無いが、読み返してみるとスゲー(笑)面白い♪ひょんなことから菊永の額を割り、返す刀でその報復として自分も割られたノブオ。翌日の学校では、「菊永の鉢を割った男」的な英雄視で完全に調子に乗る。このどこか微笑ましい光景を整理してみると、大物(強敵)相手の場合、結果勝利に至らなかったにしても、挑むだけで名前が売れたりという効果が有るのがわかる。すぐに反撃を食らい、自分も額を割られたことは、単に不名誉なのにも関わらず、ややもすると「勲章」みたいな扱いにならないとも限らない。大物食いを薦めるつもりではないのだが、勝って当たり前の環境でひたすらスライムを倒し続けるよりは、次の町を求めて、ドラキーと遭遇するくらいのリスクはドンドン取るべきなんだと改めて思った。リスクを恐れて行動しないことは、中長期で見れば、実は最大のリスクを背負わされていることを自覚すべきだろう。少し前にボコボコにした遠方の高校、白山のチャッピーからの刺客。求めに応じて再度電車に乗り込む、ヒロシとトオルだが、途中、天保工業高校、副番のパクによりインターセプトが入る。苦戦はしたものの、トオルの気合いで窮地を逃れることができたと思うもつかの間、天保工業のトップ、ガチャピンが登場。激闘の末、ガチャピンをも退けた2人は、傷だらけになりながら、当初の目的である白山高校のチャッピーの元を訪ねるが、ガチャピンをも倒したその実力に慄くチャッピーは復讐を完全に忘れ懐柔策に切り替える。敵の敵は味方と言う言葉も有るが、日和見に見えるチャッピーの振る舞いが、白山高校のトップとしては合理的に思える。 >> 続きを読む
2013/06/12 by ice
スティーヴン キングStephen King深町 眞理子
【だめだ! それだけはやっちゃいけない!】 飼い猫のチャーチを埋葬したら甦った『動物霊園』(ペット・セマタリー)ですが、どうやらこの土地は昔はインディアンのものだったらしいのです。 インディアンの呪術か何かの力により甦るのか、あるいは土地そのものが持つ力なのか、その辺りは今の人間には分からないことなのですが、埋葬すれば甦るということは確からしいのです。 ただ、普通に甦るというわけではなさそうです。 第一、チャーチも昔のチャーチとは違う、何か別なもののようになってしまっているではないですか。 そして、ルイス一家に新たに不幸が訪れます。 なんと、2歳の息子ゲージが家の前の道でトラックに轢かれて亡くなってしまったのです。 それも両親の目の前で。 悲しみに打ちひしがれる一家です。 腑抜けのようになりながらも、隣家のジャドの力を借りながら、なんとか葬儀を出すのです。 その時、ルイスの胸にある考えがよぎりました。 ゲージの死体をペット霊園に埋めれば甦るかもしれない。 ゲージが帰ってくるのなら何だってやってやろうじゃないか……。 ルイスのそんな考えにジャドが気が付きました。 ジャドは、その夜、ルイスを訪れある話をしたのです。 実は、昔、この村のある者が死んだ人間をペット霊園に埋めたことがあるんだ、と。 埋められた者は確かに甦ったそうです。 しかし、それは邪悪な者として甦ってしまったというのです。 それは聞くだに恐ろしい話でした。 だから、お前さん、ゲージをペット霊園に埋めようなどとは決して考えてはいけない。 ジャドはそう言ってルイスを諫めるのでした。 しかし、ゲージを取り戻したいというルイスの気持は止められませんでした。 もし、おかしなものになったとしても、それでもゲージが帰ってくるのならそれでもいいじゃないか。 例えば、障害を持って生まれた子であっても、親は懸命に愛するのだ。 自分だって、どんなゲージであっても愛せないわけがない。 仮に、邪悪な者となって戻ってきてしまったら……。 その時は、私は医者だ。 人とは思えないものに変わってしまったのなら、自分が始末すればいいことだ。 ゲージが生き返ったら、妻のレーチェルや娘のエリーにどう説明できる? 世間からどう見られる? 家族もゲージを受け入れるに違いない。 ゲージが帰ってくるのなら世間の目など関係ない。 もはやルイスは何かにとりつかれたようになってしまったのです。 ただ、ゲージを帰して欲しいという父親としての心だけではなく、何か別の物にそそのかされるように、この考えに取り憑かれてしまうのです。 頭ではそんなことをしてはいけないとは分かるものの、気持ちを押さえられそうにもなくなっていきます。 果たして、ルイスはゲージの墓を暴き、その死体をペット霊園に埋めてしまうのか? 私は、この作品を読みながらいくつかの結末を予想しました。 せめてこういう結末であって欲しいと考えたラストがあるのですが、それは見事に裏切られてしまいました。 私が思うに、最悪の結末を迎えてしまうのです。 そのおぞましさ故、☆を減らしてしまいました。 ホラー作品としては、一番嫌な結末を、キングはもって来たのでしょう。 この結末を受け入れるか、どうか。 それは読者それぞれの気持なのでしょうけれど。 皆さんはどう感じられるでしょうか?読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2021/12/15 by ef177
長尾 誠夫
第4回サントリーミステリー大賞読者賞受賞の長尾誠夫の「源氏物語人殺し絵巻」を、手間取りながらも読了。何しろ「源氏物語」である。今様の陰謀サスペンス風に、生々しくアレンジされているとはいえ、平安時代の時代背景や、当時の恋愛スタイル、独自の物語展開にはスンナリと溶け込みいくいところがあるんですね。当世のギャルのごとき紫式部が登場する"夕顔"の第三章以降から、ようやくエンジンがかかり出しましたね。桐壺帝の御代。事件は宮中で起きた。桐壺更衣が死亡したのだ。惨死状態で。喉を掻きむしり、血を吐いての死だった。何者かに毒殺されたようなのだ。桐壺更衣は、帝の寵愛を一身に受けていた。その関係を妬んだ者の犯行か?----とすれば弘徽殿女御?------。帝には二人の子供がいた。弘徽殿との間に一子、桐壺との間に一子。桐壺の子が東宮になれば、弘徽殿一族の栄達は絶たれてしまう。弘徽殿にとって、桐壺抹殺は至上命令だった。それから約二十年後。第二の事件が起きた。殺害されたのは夕顔。桐壺の一子、光源氏の愛する女性だった-------。おどろおどろしい、魑魅魍魎の跋扈する平安京の闇のゆらめきが、私を妖しい悪夢の世界に引きずりこんでいく。意外な人に意外な才能。優美な中にも怖さを秘めた作品なんですね。 >> 続きを読む
2018/05/04 by dreamer
村上春樹 , クリス・ヴァン・オールズバーグ
絵もお話しもとても独特で素晴らしい。物語は語られるためにある。絵本は観られるためにある。それを感じる絵本です。表紙の絵の表情にちょっとぎょっとしますが、でも、不気味な話ではありません。ご安心を。とにかくとてもきれいな青い目で非常に豊かな表情をしている人なんです。ある秋の終りの日、ベイリーさんが運転する車が何かをはねてしまった感触に大慌てで飛び出すと、そこには不思議な革の服を着た男の人が倒れていました。家に連れ帰りましたが…〝記憶を失っているようだな とお医者は言った”その男の人は言葉をまったく話さないのでした。家族は「名前のない人」に親しみを覚え、農場で一緒に働きながら、楽しく日々は過ぎていきます。しかし、ある異変が起こっていることに気づいてしまいました。「名前のない人」は、本当は誰なのか?それは、最後までわかりません。それこそが、物語らしさなのです。けれど、温かい確信をもって、「名前のないひと」の存在を信じることができるでしょう。この本を読んだ誰でも。「また 来年の秋にね」 村上春樹翻訳絵本シリーズ >> 続きを読む
2012/10/09 by 月うさぎ
松本一男
孔明を例に社会を見る。リーダーとしての振る舞い部下に対する接し方等会社にまつわる話が多くかなり前の本だからか、松下幸之助がよくでてくる。 >> 続きを読む
2015/09/01 by トマズン
福本 伸行
この本の名言をご紹介します。***責任をとる道は身投げのような行為の中にはない責任をとる道は…もっとずーっと地味で全うな道…… >> 続きを読む
2012/10/15 by 本の名言
宗田理
吉川英治
村上龍
上野千鶴子
大岡 信
野田良之 , MontesquieuCharles de Secondatbaron de
笹沢左保
河東 碧梧桐
江藤淳
逢坂剛
出版年月 - 1989年8月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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