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1989年12月発行の書籍

人気の作品

      キドリントンから消えた娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

      コリン デクスター

      4.0
      いいね!
      • 【妄想全開!エラリー・クイーンなどの理論派名探偵の対極を突き進むモース主任警部は真相にたどり着くのか?】
        ある日、モース警部は上司に呼び出されました。
         亡くなった同僚のエインリー警部が担当していた家出娘の捜索を引き継げと言うのです。
         モースはまったくやる気が起きません。
         2年3か月前の家出娘の捜索だって?
         年間何人の家出娘が出ると思ってるんだ。
         エインリーは11日前に不可解な交通事故に遭って死亡していました。
         
         「何か動きがあったんですか?」そう尋ねるモースに対して、家出したバレリーという娘の両親に宛ててバレリーから手紙が届いたということが知らされます。
         「自分はロンドンで楽しくやっているので心配しないでくれ」という内容の手紙でした。
         その手紙はエインリーが亡くなった翌日に投函されたというのです。

         偶然……なのか?
         エインリーは何かをつかんだのではないのか?
         そのために事故に偽装されて殺された。
         バレリーは既に死んでいる。
         これは殺人事件だ!
         事件の発覚を恐れ、エインリーを殺した犯人が、バレリーも殺したことが表沙汰になるのを防ぐために偽装の手紙を出したのだ!
         俄然やる気が出てきたモース警部です。

         バレリーは、キドリントンという町に住む女子高生で、頭の方はイマイチなのですが大変な美人で、多くの男性を虜にしていたようなのです。
         モースは、部下のルイス部長刑事を指名してバレリー失踪の捜査に乗り出す決意を固めました。
         しかし……、モースは口では「事実が重要だ」とは言うものの、やっていることは妄想をたくましくすることばかりでした。
         バレリーは既に殺されているという一念に凝り固まっており、バレリーが通っていた高校からバレリーのノートを探し出し、両親に届いた手紙との筆跡対照鑑定をしたものの、90%バレリー本人が書いた手紙に間違いないという結果を全く信用しません。
         あれは偽装の手紙なのだ! そうに決まっている!

         実直なルイス刑事はあきれかえるばかり。
         モースは事実など全く無視して、「いいか、こう仮定するんだ」と妄想に次ぐ妄想を繰り広げていきます。
         そんなところへバレリーが差出人名義になっている2通目の手紙が届きます。
         「私のことは探さないで欲しい」という内容でした。

         これも筆跡鑑定に回されますが、前の手紙同様、90%バレリー本人が書いたものに間違いないという結果が出ます。
         ルイスは、バレリーはまだ生きていてロンドンにいるのではないかと、極めて常識的な判断をするのですが、モースは2通目の手紙などまったく歯牙にもかけません。
         「何故なのですか?」
         食い下がるルイスに対して、「2通目の手紙は俺が書いたものだからさ」とうそぶくモース。

         何ということでしょう!
         筆跡鑑定の結果を信じたくないあまりに、鑑定の信用性を破壊するような工作を自ら行い、バレリーは死んでいる、これは殺人事件なんだという自分の考える方向に事件を持っていこうとするなんて!
         ますます呆れかえるルイス刑事なのです。

         というわけで、本作はモースが妄想を全開にして真相に挑むという非常に変わったスタイルのミステリです。
         この後も色々な事実が明らかになっていくのですが、モースは客観的な証拠を緻密に分析し、間違いのない証拠だけに基づいて理詰めで推理するなんていうことは絶対にやりません。
         まるでエラリー・クイーンなどの理論派名探偵の対極を行くかのようです。

         モースは、一応信じられそうだと自分が考える証言やいくつかの客観的事実を総合し、それら全てが説明できる筋書きをあれこれ考え出すというスタイルの捜査をするのです。
         そこには論理必然性や具体的な裏付けなどなく、思いつき、推測、説明がつくだろう?という、ある意味では邪推だろうという推理のオン・パレードです。
         モースの推理には何らの証拠も伴わないので、クイーンなどの作品を読み慣れている私にとっては「だからそれが何だというのだ?」という思いで一杯になってしまうようなシロモノなのです。

         そのため、モースの推理は二転、三転していきます。
         ある推理をひねり出した途端、それをオジャンにしてしまうような事実が明らかになるという展開。
         確かにどれも一応の説明はつけられる推理ではあるのですが、何の根拠も伴わない推理でしかないのです。
         実直なルイスも、モースに当てられたのか、インフルエンザで苦しむ病床でもう一つの推理(妄想?)をひねり出す始末。

         本作を読んでいて、最初は「なんなんだこの作品は!」とちょっと憤ったのですが、分かりましたよ。
         この作品は敢えてこういうスタイルを選んでいるわけですね。
         つまり、本作はアントニー・バークリーの怪作『毒入りチョコレート事件』のような多重解決ものを狙っているわけです。
         『毒チョコ』と違うのは、作中で提示される多重解決がモース一人(+インフルエンザのルイス)が作り出している推理だという点だけです。

         『毒チョコ』も根本的に同じなのですが、多重推理ものを書く場合、決定的な客観的証拠を事前には読者に示しにくいという隘路があります。
         クイーンのようにフェアにそれを書いてしまうと、誤っている推理を作中で展開できなくなってしまうからです。
         ですから、本作のモースにも客観的証拠に基づいた緻密で合理的な推理というスタイルを取らせることができないのです。
         妄想をたくましくするからこそ、さまざまな、それでいて一応の説明はついてしまうような解決を次々と読者に示すことが可能になっているわけです。

         そういうカラクリに気付いた途端、俄然本作の魅力が見えてきました。
         なるほど、そういうことなのね、と分かりニヤニヤしながら読めるようになってきたのですね。
        読者は次々と示されるモースの推理に、「あぁ、確かにそういう説明もできるけどな~」、「そんな馬鹿な……でも、説明はつく」と唖然としながらも振り回され続けることになります。
         ここに作者の狙いと本作の味があるわけですね。
         作者は多重解決をこれでもかと示し、あるいはまた読者をミス・ディレクションする仕掛けも仕込んでいるのです。
         冒頭のプレリュードは……おっと、ちょっとこれはここでは書けません。

         いやぁ、最初はちょっと戸惑い、あるいは憤りましたがなるほどね~。
         こういうタイプの作品もそれなりの魅力があるものだなぁと再認識させられました。
         ミステリを読みながら頭を悩ませて犯人当てをするのなんて苦手だ!という方にこそぴったりな作品と言うことができるかもしれません。
         だって、読者側であれこれ考える間もなく、モース警部が次々と妙な推理をヒネリ出してくれるのですから。
         読者はその度に目を白黒させながらその推理の帰趨を追いかけていけば良いのです。
         ユーモラスな味こそ真骨頂である本作は、決して眉間に皺を寄せて読んではいけませんよ~。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2020/03/24 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      ハーバード流交渉術

      金山宣夫 , Ury, William , Roger Fisher , 浅井和子

      三笠書房
      カテゴリー:社会学
      4.0
      いいね!
      • 言ってることは正しいと思う。本文も研究されて論理的に書かれている印象。でもやっぱりアメリカ人的だと感じてしまうのは自分が日本人だからなのか?上手く使うのはなかなか難しそうだ。 >> 続きを読む

        2013/06/15 by freaks004

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      スペイン民話集 (岩波文庫)
      4.0
      いいね!
      • 本書は昔話集として楽しめるだけでなく、わかりやすく解説された「民話の比較のための注」が巻末についているので、グリムの昔話などとの類似性も楽しめる。

        おさめられた八十二篇の民話は整然と分類されている。その教訓話にある「聖女カタリーナ」が、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の原話として有名だとは知らなかった。
        天国にいる聖女カタリーナが、罪深い母親を地獄から引き上げてほしいと主にお願いする。願いがかなって天使が地獄へ母親を引き出しに行くと、すべての魂も母親につかまって出てきた。放せと悪態をついたために再び地獄に落とされた母親を追って、カタリーナも地獄へ行くという結末になっている。龍之介が西欧の民話にも題材をとっていたとは、魅かれるものを感じる。
        「悪魔の名前」がイギリス民話の「トム・ティト・トット」にそっくりなのも楽しかった。

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        2017/10/31 by Kira

    • 2人が本棚登録しています
      ぼくらの(危)バイト作戦

      宗田理

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 2020年21冊目。英治たちの仲間の安永が、父親がけがをした為に収入が安定せず、代わりにもぐりでアルバイトをして学校に来ないことを心配した英治たちが、色々な知恵を駆使して安永の生活費を稼ぐという話の筋。やることは痛快で過激な子どもたちに今回も笑わせていただきました。「ぼくら」シリーズを始めて読んだのはこの本からなので、再読して懐かしいなあと思いながら読んでいました。続きも読んでいきたいと思います。

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        2020/01/25 by おにけん

    • 4人が本棚登録しています
      吹雪物語

      坂口安吾

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      1.0
      いいね!
      • いかな安吾好きといえど通読することに多大な困難が伴う書物。ファルスとはなにか、などを書きながら、安吾が本来どのような小説を書きたかったのか、ということが透けて見える。実は大がかりな「本格小説」に取り組みたかったというか、自分に書けると信じていたのではないか。 >> 続きを読む

        2015/10/14 by aaa

    • 1人が本棚登録しています
      縄文土器に魅せられて―ある土器作り人生

      関 勝

      4.0
      いいね!
      • 前半は縄文土器に魅せられて家族を振り回す話・・・ひどいwww

        後半はいよいよ縄文土器を作り続けた人による、作り方の解説。

        一度撚り斜縄文 ん?

        そうか、撚った縄を水平に転がせば、斜め45度に紋様ができるのか。
        こんな基礎的なことも知らなかったとは、自分が情けない。

        一度撚り斜縄文
        二度撚り斜縄文
        三度撚り斜縄文
        二度撚り単線および複線文
        二度撚り格子目文
        ・・・・・

        ダブルトウループ
        トリプルアクセル
        トリプルフリッツ
        ダブルサルコウ
        トリプルルッツ
        ・・・・・

        研究者やプロフェッショナル=分類ができるともいえますね。

        さて、縄文土器は各家庭で自分たちで使うために作っていたとのことです。
        つまり紋様など無くても実用には困らないのですが、でも装飾を施している。
        人間も少なく、狩猟や採取に困ることもなく、そういった心の余裕がある豊かな暮らしだったのではないか。

        一方、現代人は縄文土器の紋様すら作れなくなっている。文明や道具は進歩したのだけれど、何か大切なものを失ってしまっているのではないか。
        筆者は縄文土器を通じて、読者にそう投げかけています。
        >> 続きを読む

        2016/02/17 by torum

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています
      天使のカノン

      倉本由布

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 小学生のときに読んだ花音ちゃんシリーズ。ふと思い出して図書館で借りた。
        懐かしい!の一言。
        ふわふわ漂うような、ちょっとポエミーな文章が特徴的。

        このシリーズ一作目は、ママと別の町に暮らしていた花音が、ママが亡くなって(パパのいる)生まれ故郷へと帰ってくるところから始まる。
        新しいお母さんと、幼い頃別れたパパとお姉ちゃん。ぎくしゃくして暮らす日々。でも幼馴染みのみーくんと淳くんと頼ちゃんにも再会して新しい友達も出来て。
        みーくんと淳くんとの三角関係を少し意識するんだけど、この巻は家族中心の話だった。

        13歳の花音はまだまだ子供で、意地になったりモタモタしてたり鈍感だったり、兎に角落ち着かない。
        今フラグ立ったね!?ってところもどんどんへし折って「ま、いいか」で済ますもんだから、ずっこけるわ…
        何はともあれ、お母さんとお姉ちゃんとちゃんと家族になれて良かった良かった。
        >> 続きを読む

        2014/03/07 by パクパク

    • 1人が本棚登録しています
      恐竜物語 ブロンのぼうけん

      松岡達英

      小学館
      4.0
      いいね!
      • 舞台は今から約1億4千万年前の北アメリカ大陸。
        恐竜アパトサウルスの子「ブロン」の成長過程と共に、他の恐竜だけでなく、植物や昆虫まで緻密なイラストで描かれ、ジュラ紀の不思議な世界が再現されています。

        読む前の私の想像も、子供の期待も、「ブロン」はオスでした。
        しかし結果はメスで、卵からかえった赤ちゃんブロンが成長して母になるまでのお話でした。
        恐竜というと、つい強いオスを想像してしまっているのだなぁと、親子共々実感f^_^;)

        特に物語自体に感動がある訳ではありませんでしたが、その後の解説がとても興味深く面白かったです。
        大昔の恐竜や植物・昆虫などを、地層や化石をもとに推論する。
        あらゆる事実を考察し、新しい学説も生まれる。太古を想像するって果てしないわぁ…

        たまたまダイナソーのDVDも観たので、何だか恐竜づいている今日この頃です…(笑)

        >> 続きを読む

        2013/05/11 by kumahachi

      • コメント 5件
    • 1人が本棚登録しています
      虎口からの脱出

      景山民夫

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 満州事変を背景に睨み合う日本軍と中国軍。両軍に追われながら展開する逃走劇。

        緻密な時代背景の設定と大胆な逃走劇のコントラストが印象的。

        既に故人だが、健在な頃は「幸福の科学」の広告塔として活躍するなど、執筆活動以外でも主義主張の強い方という印象から、興味は持っていた。

        第8回吉川英治文学新人賞、第5回日本冒険小説協会最優秀新人賞のダブル受賞作ということで、かなり期待の大きい状態で手に取ったにも関わらず、十二分に満足させてくれる作品だと言える。

        惜しいのは、逃走劇があまりにも現実離れしており「やりすぎ感」が有ること。
        自由かつ大胆な逃走劇には心躍るが、やはり一定の枠組みの範囲から逸脱すると、興醒めな面が有るのは否めない。

        満州事変については知識が無いため、時代考証については意見を述べることが出来ないのだが、非常に緻密に時代背景を調査している印象を持った。
        日本人として、この辺りの時代認識をしっかり正しておくべきと反省する。

        著者の言動はともかく、作家としての力量については納得できた。
        >> 続きを読む

        2011/04/03 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      人情武士道

      山本周五郎

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 竜と虎
        性が合わぬというのは不思議なものである。二人の仲はまさに絵に描いた竜と虎。顔を合わせれば喧嘩ばかり。だが…。 >> 続きを読む

        2019/05/09 by playbook

    • 1人が本棚登録しています
      戦闘マシーン ソロ (新潮文庫)

      ロバート メイスン

      4.0
      いいね!
      • このSF小説「戦闘マシーン ソロ」は、虫を愛するロボットが主人公。だが、このロボットは、ドラえもんのような可愛い存在ではない。兵器なのだ。アメリカ軍が二十億ドルの費用をかけて開発した殺人兵器なのだ。

        身長百九十センチ、体重百三十六キロ。人体の構造を模して油圧システムで動く。動力は内蔵のバッテリー。百万個のユニットからなる並列処理コンピュータを頭脳として持っている。

        堅牢な皮膚は、防水機能はもちろん、小さな火器程度ではビクともしない。数千個の感覚センサー及び通信センサーを備えていて、情報の収集発信能力は抜群なのです。

        とにかく面白いのは、このロボットに生きる歓びや恐怖、そういう人間の感情があることだ。確かに機械ではあるけれど、歩くことから学習して、時には当意即妙な会話までしたりする。そうして生まれた人間型ロボットなのだ。

        この最新鋭兵器ソロが、中米のジャングルで訓練中に逃走するところから話が始まります。なぜロボットが逃げ出したのか? その理由が「虫を愛する」というあたりにつながってくるのです。



        SFにおけるロボットや人造人間の歴史を眺めてみれば、彼らが自我に苦しみ続けてきたことが、すぐにわかります。フランケンシュタインの怪物にしても、チャペックやアシモフのロボットたちにしても、昔、人間と同じ能力を持ちながら、人間そのものでないことを悩み、苦しんでいる。

        自分が何者であるのか------。つまり"自我"の問題に直面しているのです。

        この小説におけるソロも例外ではありません。しかし、彼は自分が機械であることを自覚している。だから、人間でないことを嘆きはしない。ただ、自分が生きている存在であることを宣言するのだ。そして、同様に生きている虫たちをも尊重するのです。

        こうして、彼の反逆が始まっていきます。ソロをめぐっての、現地の政府軍、反政府ゲリラ、アメリカ軍が入り乱れての戦いが展開していくのです。

        スーパーヒーローの活躍するアクションものの一種だとは言えますが、人工知能の詳細やエネルギー確保の方法など、細部にまで先端技術が反映されているのが実に楽しいSF小説です。


        >> 続きを読む

        2018/02/10 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      わが町わが旅

      永井路子

      中央公論新社
      4.0
      いいね!
      • 女流歴史作家として著名な著者が鎌倉や大和(奈良)を訪れ、歴史物語や氏の想い等を著わしたエッセーですが、特に鎌倉の妙法寺や長楽寺の内容が面白い。妙法寺は、所謂「鎌倉の有力な御家人の一人」比企氏の氏寺だが、武蔵(今の埼玉県)を本拠し、功により頼朝から鎌倉のこの地を与えられた。源頼朝・頼家(2代将軍)の乳母が比企氏から出ている関係で幕府創立時から、御家人の中でも重要なポストであったのだが、比企氏の権勢にあせりを募らせた北条時政(幕府初代執権)の謀略により一族は滅ぼされた、という悲しい歴史の紹介や、その北条時政の娘で鎌倉幕府を開いた源頼朝の正室であった北条政子にゆかりのある長楽寺と京都の長楽寺と関連づけた話等も面白いです。鎌倉めぐりが更に楽しくなる好著です。 >> 続きを読む

        2011/08/26 by toshi

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    • 1人が本棚登録しています
      奥寺康彦の楽しいサッカー (ジュニア・スポーツ・セレクション (3))

      奥寺 康彦

      5.0
      いいね!
      • 1989年の本なので当然今の時代とは考え方は違う。いや、ここに書いてあることはすごく基本で、これは時代を選ばない。止める、蹴る、運ぶ。この3つをいかに正確に、速くこなすか。ゴールをするために。風間八宏氏もこの3つを訴えていたような。年代毎にやるべきこと、考え方。子供をサッカー選手にしたいと前のめりなそこのお母さん、騙されたと思って読んでみて下さい。たくさん遊ばせてあげて下さい!それにしてもインパクト抜群の表紙。 >> 続きを読む

        2018/01/18 by fraiseyui

    • 1人が本棚登録しています
      世界の悪女たち

      NicholasMargaret. , 木全富美香 , 岡田康秀

      社会思想社
      カテゴリー:伝記
      4.0
      いいね! Tukiwami
      • 日本の三大悪女は日野富子、北条政子、淀殿らしい。NHKの大河
        ドラマで岩下志麻が演じた北条政子は凄みがあって美しかった
        記憶がある。

        しかし、「悪女」と一括りにしても男社会の権力闘争に巻き込ま
        れ、後世になって「悪女」のレッテルを貼られた女性もいたので
        はないか。

        本書は日本で悪女と呼ばれる女性たちは取り上げられていないが、
        ルクレツィア・ボルジアは野心的な父や兄の政治的謀略の道具と
        された女性なのではないかな。「悪女」と呼ぶには気の毒な気が
        する。

        時の権力者の愛人となり、自身も国政に口を出し危うく国を傾け
        させるとこだった女性もいれば、ロシアのエカテリーナ二世や
        中国の西大后のように男性支配者よりも残忍だった女性支配者
        もいる。

        ロシアが、ウクライナやベラルーシ、リトアニア、ラトビアへ
        領土を広げたのはエカテリーナ二世の時代。例のクリミアの
        併合も彼女だった。

        文化や芸術の発展に力を注ぐ一方で、農民たちの権力を奪い、
        次々と愛人を変えて「王冠を戴いた娼婦」と呼ばれた。

        映画「俺たちに明日はない」のボニー&クライドのボニー・
        パーカーのような犯罪に手を染めた女性もいれば、自身の若さ
        を保つために処女の血を求めたエリザベート・バートリーも
        取り上げられている。

        保険金や財産目当てに富裕な男性を誘惑して貢がせたり、殺害
        したりの女性の犯罪は今も連綿と引き継がれているんだよな。

        近年の日本でも「リアル後妻業」なんてマスコミが掻き立てた
        女性もいたな。

        時代が移り変わろうとも、人間が持つ妄執は不変なのかもしれない。
        >> 続きを読む

        2019/01/09 by sasha

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    • 1人が本棚登録しています
      建築探偵の冒険

      藤森照信

      筑摩書房
      3.5
      いいね!
      • 藤森照信といえば赤瀬川原平の仲間のイメージが強くて、建築系の人ということは知っていましたがあまり詳しくは存じ上げませんでした。
        とはいえ建築好きとしてはやはり読んでおかなくてはね、と思って図書館で借りてきたのですが、めちゃくちゃ面白かったです。まさか看板建築の名付け親とは知りませんでした!

        東京にある名建築を訪ねて歩くエッセイです。1986年初版で、実際に歩いたのはその前なので、もうないものもありますね。東京駅もすでに改築されていますし。既にみられないのは残念ですが、当時の建物について、こうして書き残してくれたのは非常にありがたいです。

        東京駅の章と看板建築の章が特に興味深かったです。あと地元なのでホテル・ニューグランドにはぜひ行きたい。あそこ、敷居が高くて入りづらいのですが、読んだら是非とも中に入りたくなりました。
        しかし藤森さんは文章がうまいですね。内容は濃いのに口調は軽いので、面白くてすいすいよめます。文体が昭和なのが懐かしい感じ。

        ちなみに、ちくま文庫には安野光雅さんが装丁画を描いているのが多いですが、これもそのひとつ。このやわらかいタッチが好きです。
        >> 続きを読む

        2017/04/05 by ワルツ

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    • 2人が本棚登録しています
      時間衝突 (創元推理文庫)

      バリントン・J・ベイリー

      3.0
      いいね!
      • 【時間が衝突するってどういうこと?】
         長い長い時の経過により、人類は様々な種族に分化していきました。
         それぞれの種族が大本は一つの根っこから派生しており、それが人類という種の発展の形態だったわけですね。
         ところが、その中の一つの種族(それがオリジナルに最も近いというわけですらありません)が、自分たちのことを『真人』と名乗り出し、ある種の優性思想の下に、他の派生種は全て『亜種』であるとしてその殲滅を始めたのです。

         今や、真人は地球を制覇しており、亜種は特別居留区で細々と生存を許されているだけの状態になっていました。
         さて、このような真人は、異星人との戦いにも明け暮れていました。
         長い歴史の中で、今から800年ほど前に異星人からの侵略攻撃を受け、辛くも退けたという歴史を持っていたのです。

         800年前の激烈な戦争により、異星人によって地球上に建設された建造物等は徹底的に破壊されて遺跡となり、それすらひどく破壊された状態にありました。
         真人は、再び異星人からの攻撃を受けるおそれは無くなっていないと考えており、過去の異星人の遺跡を調査・研究することにより、対異星人戦争に役立てられる情報、知識を得ようと務めているというのが『現在』の状況です。

         遺跡調査に従事していた考古学者のヘシュケは、ある時奇妙な事実に気付いてしまいます。
         それは、今から300年前に撮影されたという異星人の遺跡の写真を発見したことがきっかけでした。
         その写真に映っている遺跡と、現在の遺跡を比較すると、どう見ても現在の遺跡の方が新しく見えるのです。
         つまり、300年前の古びた遺跡が時を経るに従ってどんどん新しくなっている……そんな馬鹿なことがありますか。

         この様な出来事に端を発して始まる本作は、時間物というSFの定番テーマに新機軸を生み出した作品と言えそうです。
         時間物というテーマは定番中の定番ですので、これまでに様々な作品で書かれ、しゃぶり尽くされたテーマであり、SFの世界ではもはや古色蒼然とした、ある意味では陳腐化してしまったテーマだと思われがちです。
         ところが、まだ変化球があったのですね。

         著者のベイリーは、何とびっくり!というような時間概念を持ちだし、本書を書き上げ(でっち上げ?)てしまったのです。
         本作によれば、時間軸は複数存在するというのですね。
         そして、その複数の時間軸は宇宙の中では様々な方向に伸びていると言います。
         ですから、極めて稀なことではありますが、複数の時間軸が正面衝突することだってあり得るというわけです。
         その様な時間軸同士の正面衝突が、実は地球がある宇宙空間で生じるのだというのが本作のコアテーマになります。

         私は門外漢なので正確に説明することはできませんが、本作を読んでいて『時間の矢』という物理学上の問題を思い出しました。
         空間は前後左右上下、どの方向にも対称的に移動できるのに、時間は過去から未来へという一方向にしか移動できない。
         それは何故なのか?という問題です。

         本作のとっかかりに出てくる、年を経るに連れて新しくなる遺跡というエピソードは、本来不可逆であるはずの時間が逆行している(未来に行くほど新しくなる)ということを思い出させたのですね。
         しかも、その異星人の遺跡の時間だけが逆行しており、その他の地球上の時間は逆行していないのはこれいかに?

         本作はかなり強烈な、独自の時間概念を作り上げることによって書かれた、アイディア命の作品と言えるのでしょうけれど、それを結構巧く使っていて、物語としてもなかなか面白く読ませる作品に仕上がっているのではないでしょうか。
         登場人物の思考や行動が浅い(薄っぺらい)という難点はありますが、SFの本質とも言えるセンス・オブ・ワンダーを堪能できる魅力的な作品だと思います。
        >> 続きを読む

        2020/03/23 by ef177

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      雪中の奇跡

      梅本弘

      大日本絵画
      4.0
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      • ソ連軍から分捕った軍服を着こんでソ連兵に紛れ込み、「部隊
        全員分っ!」とバケツいっぱいのシチューを持ち帰る。しかも、
        ばれないのをいいことにこれを2週間も続けた。

        同じようにソ連軍から分捕った信号旗を手にして、ソ連軍の補給
        車輌でごった返す林道で交通整理をする。大渋滞から救われたソ連
        軍の指揮官は交通整理をしてくれた男に感謝の言葉を投げかけた。

        指示された方向がフィンランド陣地のど真ん中であることも知らずに。

        分捕ったのは軍服や信号旗だけではない。なんでも分捕る。戦車、
        弾薬、機関銃その他もろもろ。分捕って使う。そして分捕られたソ連
        軍を苦しめる。

        そんな奴らの正体はフィンランド。第二次世界大戦のどさくさに紛れて、
        「お前らの国の一部、俺らに貸せや。貸せって言っても実質、俺らの
        領土にするけどな」と侵攻したソ連に対し、「はぁ?何言っているか
        分かんねぇ。そんな条件、飲めるかよ。もう怒ったっ!」と立ち上がっ
        たフィンランドとの戦争「冬戦争」を詳細に描いたのが本書だ。

        「白い死神」と称される狙撃手シモ・ヘイヘ、帝政ロシアの軍人であり
        祖国フィンランドの危機に立ち上がった「白い将軍」マンネルヘイム等、
        ソ連・フィンランド戦争は数々のフィンランド伝説を生んだ。

        「軍備も人員も圧倒的に俺らが上。負ける気しないわぁ」と無理くり
        フィンランドに侵攻したソ連。周囲の国も「国力違うし、フィンランド
        はお気の毒だが1週間くらいしか持ちこたえられないだろう」と思って
        いた。

        しかし、フィンランドは善戦する。1週間では終わらなかった。国を挙げ
        てソ連に立ち向かったフィンランドは105日を戦い抜いた。

        各戦闘場面がかなり詳細に描かれている。著者はフィンランドまで取材
        に赴き、さまざまな資料にあたったのだろう。冬戦争の生き残りの兵士
        からも貴重な話を聞いている。

        決して私が書いたようなふざけた内容ではない。いたって真面目。しか
        もとことん、調べて書かれているので戦史としても大変参考になるし、
        図版も多くて読み物としても楽しめる。

        冬戦争の初期こそ、優秀な軍人を粛正しまくったスターリンのおかけで
        イケイケだったフィンランドだったが、戦争が進むにつれて苦しい立場
        に追い込まれる。

        ソ連側の提案した和平を飲み、国土の一部は奪われたものの独立を
        勝ち取ったことが、バルト三国とフィンランドの違いかもしれない。

        「戦える力がかろうじてまだ残ってる今こそ、和平協定のテーブルに
        着かなければならない、もし軍がこれ以上戦えないというのであれば
        我々は何を材料にソ連と協定を結べるというのだ、そこに残されてい
        るのは完全な屈服だけだ」

        マンネルヘイム将軍の言葉だ。奥が深い。

        贅沢を言えば、政治的な動きが戦場の様子と並行してもう少し描かれ
        ているとよかったかも。

        シャイだと言われるフィンランド人、本気で怒らせたら怖いかもしれん。
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        2018/06/01 by sasha

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      木を植えた男

      BackFrédéric , ジャン・ジオノ , 寺岡襄

      あすなろ書房
      5.0
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      • これは本当に名作。


        これほど感動する作品は、絵本のみならず、他のジャンルの文学などを含めて考えても、めったにない。


        1913年、旅をしていた若者は、たまたまフランスのヴァントゥー山脈の奥の、荒涼とした地で、ひとりの羊飼いに出遇う。
        その羊飼い・エルゼアール・ブフィエは、たった一人で、どんぐりを十万個、地面をそのつど深く掘って埋めていた。
        このうち二万本は芽が出、そのうち一万本は途中でだめになるだろうけれど、一万は育つだろうと語り、黙々と植え続けていた。


        若者は、その後、第一次世界大戦に出征し、人々が破壊にばかり狂奔する姿をいやというほど見た後、戦争が終わって、ふとあの地はどうなったろうかと思って行くと、なんと多くのカシワの若木が育っていた。


        年を経るごとに、どんどん緑は豊かになり、枯れ果てていた井戸は満々と水を湛えるようになり、ほとんど廃墟だった村は復興され、新しく多くの人がやってくるようになった。


        誰もエルゼアール・ブフィエの功績を知らず、彼もまた誰にも自分からは語らず、ただ黙々とさらに樹を植え、育てるばかりだった。


        やがて第二次大戦がやってくるが、ブフィエは木を植え続け、林は木炭をとるために伐採されたりもするが、それでもなんとか生き残り、また戦後はさらに豊かな土地になっていく…。


        しかし、その背後には、どれほどの苦労と試行錯誤と失意や挫折があったか。


        人知れず、信念を持って、木を植え続けたエルゼアール・ブフィエの生涯とその姿には、ただただ感動。


        多くの人にぜひ読んでもらいたいし、また、本当の偉大さとは何なのか、教えてくれる、すばらしい絵本だと思う。
        >> 続きを読む

        2012/12/21 by atsushi

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      湯川れい子の幸福(しあわせ)へのパラダイム

      湯川 れい子

      3.0
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      • 湯川さんというと
        訳詞家というイメージが強くて
        アマポーラなんかが好きなんだけれども
        こういう精神世界にハマってる方だとは
        これを読むまで知りませんでした

        この本に出会う直前
        「20年くらい前に
        シャーリー・マクレーンの
        なんとかという本を読んで
        私も精神世界にハマりかけたっけ・・・
        なんていう本だったかな?」などと
        急にその本のことが頭をもたげてきて
        今頃そんなことを思い出すなんて
        どうしたのだろうと思っていたのですよね

        でももしそのシャーリーの本に縁があるならば
        他からまた知らせてくるでしょと
        深く考えずにいたところ・・・

        ある病院の待合室で
        なにげなく手に取ったこの湯川さんの本を
        時間つぶしに読み始めたところ
        いきなりシャーリー・マクレーンの名前が出てきて
        そしてその本のタイトルは
        「アウト・オン・ア・リム」であることが書かれていて
        あ!と思ったのでした
        シンクロニシティですね

        かといってまだシャーリーの本は読んでませんが
        湯川さんはシャーリーと会ったり
        色んなミラクルなことに遭遇しているようです

        そういえば
        本の中に出てくるヒランヤは懐かしかったです
        ヒランヤプレートを下に敷いておくと
        生けてある花が枯れないとか
        古いかみそりの刃が切れるようになったとか
        ヒランヤのシールが家にもあったっけ・・・

        エイトスターダイアモンドも気になります
        湯川さんの旦那さんが会社をやってるみたいだけど
        ちょっと身に着けてみたいものです






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        2017/11/09 by bluepopy

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      にゅーっするするする

      長新太

      福音館書店
      3.0
      いいね!
      • 図書館をぶらぶらしていたら目に止まった本です。
        長新太さんの絵が好きで、本は何冊か読んでいます。

        水面から「にゅーっするするする」と手が伸びて、猫やら車やらサラリーマンやらを水の中に引き込んでいきます。

        最後はどうなるの?とページをめくっていくと…

        えーそんな終わり方なのー!と思ってしまいました。
        どの本を読んでも、長新太ワールドです。
        >> 続きを読む

        2012/08/13 by montitti

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