こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


1990年1月発行の書籍

人気の作品

      7月4日に生まれて (集英社文庫)

      ロン コビック

      3.5
      いいね!

      • ロン・コビックの「7月4日に生まれて」は、実際にベトナム戦争に従軍し、負傷して半身不随となった、帰還兵ロン・コビックが、1976年に書き下ろした自伝的手記だ。

        この自伝的手記が、風変わりなのは、全編にわたって、語り手であるコビックが、一人称の「俺は」で書かれている部分と、三人称の「コビック軍曹は、或いは彼は」で書かれている部分があることだ。

        中には同一の章で、「俺は」ではじまり、途中から急に「コビック軍曹は、或いは彼は」に変わってしまうところもある。

        これは、著者が混乱しているわけではなく、意識的に書き分けられているのだろうが、その意図は明確にはわからない。

        ただ、彼が負った、悲痛な体験と状況に対して、本人自身が必死になって、冷静であろうとする心理と、一方、それでも抑えきれない怒りや悲しみを、文章の中にぶつけようとする気持ちが、折り重なって、このような書き方になったのだろうと思う。

        いずれにしろ、過去と現在が入り混じり、「俺は」と「彼は」が無作為に入れ替わっても、著者の心情は熱く、ストレートに私の胸に突き刺さってきます。

        それは、まさに当時のアメリカそのものなのだと思う。
        過激な愛国心にかられて、ベトナムに参戦し、ボロボロに傷ついて帰ってきても、まだ国を疑うことを知らず、やがて次世代からの突き上げにより、次第にあの戦争は、間違っていたのではないかと思うようになり、新しい自分を取り戻していくのだ。

        コビックのたどった道のりは、アメリカが、1960年代から1970年代にたどった道のりと同一線上にあるのだ。

        この本の中で、或る反戦集会に参加したコビックが、俳優のドナルド・サザーランドが読み上げる、ドルトン・トランボの書いた「ジョニーは戦場へ行った」を聞いて、まさに自分自身だと感じ、体に戦慄が走ったとあるが、恐らく、彼がこの手記を書いたのは、この時の体験が、執筆の動機となったのかもしれません。

        >> 続きを読む

        2019/05/26 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      文学部唯野教授

      筒井康隆

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 大学で文学や哲学をかじった方ならば、これよりも良いガイド・ブックはあるかと……というよりも、啓蒙を批判するはずの小説、のはずなわけですが。 >> 続きを読む

        2015/10/15 by aaa

    • 2人が本棚登録しています
      ぼくねむくないよ (大型絵本)

      アストリッド リンドグレーン

      5.0
      いいね!
      • 自分のことは棚に上げて「なんでこの子はねむたくないんだろうね?まだあそびたいのかな?」などと上から目線で発言。色々な子どもがそれぞれのシチュエーションで眠りについていくのが楽しい様子。
        何度も何度も「読んで」と持ってきた。
        5歳の誕生日プレゼント。
        >> 続きを読む

        2015/02/25 by ぶぶか

    • 2人が本棚登録しています
      千利休無言の前衛

      赤瀬川原平

      岩波書店
      カテゴリー:茶道
      3.0
      いいね!
      • 芸術としての茶道と芸術家としての千利休について、ウィットにとんだ文章でつづられた一冊。とくにわかりやすかったのは、茶道の一連の手順を野球のバッターや相撲の力士にたとえたもの。これまで茶道に関する本を読んできたが、茶道があそこまで一挙一動にこだわるのか、その理由が垣間見えた気がした。また、茶道が完成された事態における位置づけから、茶道がいかに「伝統」ではなく「前衛」であるかが説明されていて、茶道の本質的な部分もわかったような気になるが、ちょっと観念的な表現が多いので読みにくさは否めない。 >> 続きを読む

        2015/10/29 by Ada_bana

    • 1人が本棚登録しています
      BE-BOP-HIGHSCHOOL - 13

      きうちかずひろ

      講談社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • BE―BOP―HIGHSCHOOL 第13/全48巻

        今度は城東の山田も加え、またも、ガチャピン&チャッピーのシマまで繰り出す。

        役者は揃ったと言うべきか、マンネリ化が始まったと言うべきか。

        町では「恐怖のシバタくん」などという異名を持つ柴田だが、そろそろ暴れてばかりもいられないと、就職面接に挑戦し、採用に漕ぎ着ける。

        仲間の西も、不貞腐れながらやって来たバーテンだったが、髪を黒く染めて本腰を入れる覚悟を固める。

        柴田と西。「不良の心で堅実な生活」に進むかに見えたのだが...
        そこは筋金入りの不良。更正までに道は遠い。


        これまで何度か遠征して来たJR沿線。
        今度は城東の山田を連れて、ガチャピン&チャッピーに殴り込み。

        安定の面白さが有るので、毎度クスクス笑わされると言う点では何ら文句は無いのだが、さすがにマンネリ化の兆候を感じざるを得ない。
        せっかく久々に立ち上がって来た、チャッピー&ガチャピンの伏線に頼りすぎて、もはやレギュラーメンバーのようになっているのが残念だ。

        どうせなら、JR連合VS私鉄連合くらいのデカイ花火が欲しくなる。
        >> 続きを読む

        2013/07/13 by ice

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      骨の音 傑作集

      岩明均

      講談社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.5
      いいね!
      • こちらも再読。

        地元で必死に探しても見つからず
        大学に行ったところで、あっさり見つかったのは
        懐かしい思い出です。

        6編収録。
        傑作揃いとは言い難いが
        その後の『風子のいる店』『寄生獣』に至るまでの
        この著者の傾向がよくわかる作品集。

        まずはデビュー作の『ゴミの海』や『未完』
        表題作の『骨の音』までの
        人の死とそれが遺された者に対する影響についての短編たち

        読後感は正直、良くありませんが
        ATGの映画などが好きな方は気に入ってもらえるかもしれません。

        特にヒロインが三人とも
        本当に精神的にギリギリの状態にある描写には圧倒されます。

        中でも、『骨の音』のヒロインの目つきなどは
        『寄生獣』の田宮良子の目の描写や
        『七夕の国』の東丸幸子が時折見せる表情に反映されている気がします。

        ある種の精神状態の表現が 
        いわば、人間に似た人間以外の生物や
        特殊な能力によって様々な傷を負った人物の
        描写に役立ったとも言えるかもしれません。  

        『夢が殺す』
        やはり、この作品も
        人の死が出てきますが、前述の三作品に比べると
        どことなく「笑い」の要素が入ってきています。

        作中に登場する心を繋げる、ある種の通信(テレパシー)は
        『寄生獣』の加奈の能力の原型とも呼べるものかもしれません。

        『指輪の日』
        素行の悪い、いわゆる当時不良と呼ばれていたタイプの妹が、
        結婚の決まった姉の指輪を無くしてしまったことから始まる騒動。

        ここにも次作の『風子のいる店』に登場する人間たちや
        『寄生獣』の加奈も髣髴とさせます。

        『和田山』
        この作品も、この著者らしい変なユーモアに溢れており

        『寄生獣』『七夕の国』『剣の舞』の最初の部分に
        出てくるなんともいえない笑いを思い出させます。

        それにしても
        物事の見方が、普通の人とやはりどこか違うのを感じます。

        この著者の『寄生獣』や
        『剣の舞』の上泉伊勢守の刃物を使った“撹拌”や
        『七夕の国』丸神頼之の言動
        『ヒストリエ』のスキタイ人の目つきなどが好きな方には
        おススメです。

        それ以外の方にはおすすめしません。
        >> 続きを読む

        2013/07/13 by きみやす

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      課長 島耕作 - 7

      弘兼憲史

      講談社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 課長 島耕作 第7/全17巻

        ついに離婚という選択をする島。

        残り10巻も有る上、部長や常務...とシリーズとしての続きも有るのに、読み終えるのが怖いほどハマって来た。

        ショールーム課の新入社員、久美子と関係を持ってしまう島。

        彼女からアプローチされて押し切られたような形では有るが、島の言葉を引用すると「今は彼女しか見えない」と言うほどハマっていく。

        そんな久美子だが、総勢4人しかいない同じくショールーム課の別の男性とも関係を持っていることが発覚する。

        会社帰りにデートしていた島と久美子だが、先回りされていたために3角関係の当事者全員が顔を揃える修羅場を迎える。

        そこで久美子の口から語られた生い立ちは、初芝社員なら全員がブッ飛ぶで有ろう、新旧会長のスキャンダルと重なっていた。


        モテモテの島のバレンタインデーだったが、妻からは離婚届が送られて来たのはシュールだった。

        押印して独身となり、心機一転といった体の島だが、彼が独身になってしまったら歯止めが効かないような気がしたが、早速引越中の新居に銀座のママの典子が押しかけて愛し合っているところに、新入社員の久美子と娘の奈美がニアミスするという事件が発生。

        モテモテの男性は離婚した瞬間に女性が群がるので、かえって自由が効かなくなることを知った。


        女性から怒りを買いそうでは有るが、家に帰ると食事を作って待っていてくれた娘の奈美に対しての島のボヤキが面白かったので引用しておく。

        > 正直言って奈美のこの親切の押し売りには、いささかうんざりすることは確かだ。
        > おそらく奈美は成長しても、この調子で男友達のマンションを突然訪れ・・・
        > 勝手に台所を散らかして、さっさと帰ってしまう迷惑タイプの女になるのだろうか・・・

        女性から怒りを買うのが怖いので、ここはあえてコメントを避けよう(笑)
        >> 続きを読む

        2013/03/17 by ice

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています
      BE-BOP 海賊版 1 (ヤングマガジンワイドコミックス)

      まんひるめめおか

      講談社
      4.0
      いいね!
      • Be-Bopファンなら笑える。
        サル番長。

        2012/03/06 by yutaka

    • 1人が本棚登録しています
      食わせろ!!

      山藤章二 , 景山民夫

      講談社
      4.0
      いいね!
      • 文章は景山、イラストは山藤。最後のみ、それが逆転。

        小学校時代に趣味を「テレビにいちゃもんをつけること」と応えたヤツを思い出した。

        エッセイと言うかコラムと言うか、安全圏からシニカルな目線で、様々なネタに毒を吐くという構成。

        サラサラと読み進め、とくに何も印象には残らないというのが正直なところ。

        共著のようなクレジットになっているものの、文章の99%は景山氏なので、彼の作品と考えて良いだろう。

        そこで景山氏だが、正直色眼鏡で見ているかもしれない自覚は有る。
        というのも、テレビでコメンテータをしている姿を何度か見ているが、大橋巨泉的な「もはや誰にも相手にされていないのに大物感」を醸し出しており、どこの偉そうなオヤジやねん?という印象が強く残っている。

        本人の人間性、ましてやテレビというメディアを通じて、断片的に得た情報で、その人の作品を判断するのは愚の骨頂だと思うのはもちろんだが、宗教団体の広告塔として絶叫していた姿も浮かびやすく、やはり苦労する。

        シニカルなことと、不愉快な印象を持たれることは違うはず。
        >> 続きを読む

        2012/06/25 by ice

      • コメント 1件
    • 1人が本棚登録しています
      修羅の刻 陸奥圓明流外伝

      川原 正敏

      講談社
      5.0
      いいね!
      • マンガとともにアニメ版も全部見ました。
        様々な時代に素手で最強の力を発揮する陸奥圓明流の伝承者がいたら?という歴史のif。

        個人的には幕末編がとても良かった♪
        でも、他の時代も良いですよ。
        >> 続きを読む

        2012/04/25 by yutaka

      • コメント 1件
    • 2人が本棚登録しています
      ピアニシモ

      辻仁成

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 僕だけのヒーローはどこにいる?
        学校に、家庭に、伝言ダイヤルのむこうに。
        それとも都会のコンクリートジャングルに?

        転校を繰り返す僕にあるのは
        冷たい視線と敵意に満ちた教室。
        崩壊寸前の家庭。

        そんな僕を救ってくれるのは
        僕にしか見えないヒカルと共にヒーローを探すことと。
        その中で伝言ダイアルで知り合った少女・サキだけだった。

        ブランク・ジェネレーション(空白の世代)におくる
        新しい時代のビート文学。
        1989年・すばる文学賞受賞作。

        自分たちの世代では“ECHOES”の印象が強い
        著者なんですが

        いくつも作品を読んできて
        一番好きで、手元に残っているのは
        処女作のこの作品のみです。

        もう、何もかもが古く感じてしまいますが。
        伝言ダイアル・コンクリートジャングルって(笑)

        ただ、ここにある少年の衝動。
        その時代に産み出された、文字通りのイマジナリーフレンドであるヒカル。
        彼らの目に映る街の情景。

        過酷な現実を知りながらも
        ラストでの彼の痛みを伴った成長のシーンは
        今でも忘れられません。

        できれば、若いうちに(遅くとも20代前半に)
        読んでもらいたい小説のひとつです。
        >> 続きを読む

        2013/07/13 by きみやす

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      私が愛したグリンゴ

      カルロス フエンテス

      4.0
      いいね!
      • メキシコの作家カルロス・フエンテスが書いた「私が愛したグリンゴ」は、私の大好きな二人の俳優ジェーン・フォンダとグレゴリー・ペックが競演した映画をかつて観ていて、いつか原作も読んでみようと思っていて、ようやく読破しました。

        メキシコ革命の時代、アウトローは儲け話を探して国境を南下していた。サウス・オブ・ザ・ボーダーは、いつもUSAの属国だった。

        ところがこのメキシコに死にに行った男がいた。命を捨てに行ったのではない。そろそろ寿命だから、自分の墓を探しに行ったのです。その男とは、あの「悪魔の辞典」で有名なアンブローズ・ビアス。文学史に謎の死の記事を残す作家です。

        アンブローズ・ビアスは、怪奇小説も数多く書いているので、その謎の死は、由来、ホラー作家の好んで取り上げる題材になったと言われています。

        このメキシコ人作家カルロス・フエンテスによるビアスの肖像は、錯綜したオマージュになっていると思います。老いぼれグリンゴ。国境ではない、まるで傷痕だ、と小説は語っています。

        そして、グリンゴ(白人)とは、アメリカ大陸のよそ者だ、と。もともとUSAの領土はメキシコの外縁に属していたのだから、ラテンアメリカの辺境が北アメリカなのではないか。一度、連中を侵略してやろうか、と凄みをきかせる人物も登場してくる。

        歴史と国家についての深くて示唆に富んだディスカッションを含む、短いけれども豊かな広がりを持つ小説だと思います。そして、ビアスの作品をイメージ喚起に利用したいくつかの場面が、とりわけ素晴らしい。

        "ときめきに死す"を演じようと迷い込んできた白人のグリンゴは、ラテンアメリカ文学のかっこうの養分になったのではないかとも思います。

        この小説の中で好きなセリフがあります。「ここじゃあ、ほとんど何にも大きくならん。思い出と恨みのほかは」-------。
        >> 続きを読む

        2017/08/29 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      百

      色川武大

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • どうも色川武大と武田泰淳が混じるので、読んで識別することにしました。まずは色川武大から。
        私小説に家族はつきものですが、父親との確執、近づいたり離れたりの物理的心理的距離感が痛々しくて、一気読みしました。よく書いたな、と思います。私小説を書く人は、ほんとうに、書くしかなくて書くというか、書かざるをえなくて書くというか、魂を削って文字にしてる感じがしますが、これもそんな迫力を感じました。

        親との付き合いというのは不思議なもので、あらゆる作家があらゆる形で書いているのに、こんなにもそれぞれ違うんですね。類型化すれば似たものはあるけれど、ジャンルとして同じなだけで、まったくもって別物です。人の数だけ関係性があるというかんじ。

        小さなころは親は大きくて、絶対的な神様のような存在だったのが、大人になってそうでもないことに気づいたときの裏切られたような気分や、壮健な身体に老いを見たときの狼狽、そういうものを書かれると私は弱いのですが、容赦なく書かれていて、でも目が離せなかった。「私」の父親への理解が、実際父親にとってあたっているかどうかはとにかく、そういう一定の解釈をもって接しているのが、なんだか、見ていてたまらないのです。いたわられる父親に、私は感情移入している。ずっと強く大きくいてほしいと、弱ったところなんてみたくないと、およそ現実的でない思いを、まだ健在の両親に対して感じているのを自覚させられます。その時に私は逃げないでいられるのか、わかりませんが。

        血のつながりということではなくて、家族として付き合ってきた、自分を管理してきた大きな存在が、権力を失っていく。そのさまが、哀愁を誘い、無常を感じさせるのでしょうか。
        いろいろ考えてしまいました。
        >> 続きを読む

        2015/10/07 by ワルツ

    • 1人が本棚登録しています
      子子家庭は危機一髪

      赤川次郎

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 【読了日不明】

        父は贈賄の容疑で手配中の逃亡犯、母は男と二人で駆け落ち―両親が同時に家出して、残されたのは姉と弟二人だけの“子子家庭”。
        慣れない台所仕事にアルバイトとてんてこ舞いの小学生主婦・律子とたよりない弟・和哉。
        泥棒の仲間に引き込まれそうになったり、父を捕まえようとする刑事に尾行されたりで、“子子家庭”
        >> 続きを読む

        2013/12/09 by books

    • 3人が本棚登録しています
      パーカー・パインの事件簿 (創元推理文庫)

      アガサ・クリスティ

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 「世の中の不幸は5大項目に分類できます」
        パーカー・パインは人生における不幸を治療してくれるお医者さん。

        ユーモアに溢れた気楽に楽しめる短篇集。なのですが、
        クリスティの目線や考え方がとても普遍的で、今でもドラマの原作にできそうなお話しがたくさんあることに気づくでしょう。

        クリスティの名言をご紹介。
        「大衆なんて保守的なものでね、パインさん。昔からの紋切り型の趣向が好きなんですよ」
        「わたしの長い経験からみて、一番簡単な方法が常に一番よい」
        「結婚生活では、女に嘘をつかなくてはならないというのが基本原則です。」
        「先入観というやつが、人間の感覚を狂わすんだ」

        私がクリスティを愛しているのはその哲学が自分ととても近いからかもしれません。

        それって詐欺じゃないですか?と、疑問に思ったりするでしょうが、
        彼の考えはこうです。

        「真実とは何です?……真実とは往々にして、ものごとを台なしにしてしまうものですよ!」

        パーカー・パインのトリックは騙された本人も気づかないほど完璧。
        人を幸せに導くことが目的なので、時には感謝されないことも。
        本当に影のお仕事なんです。そこがポアロと逆な部分で面白いです。

        【翻訳】
        「パーカー・パイン登場」(早川)との翻訳違い。収録作品は共通です。
        翻訳の違いは結局は好みの問題ですから、お好きなほうをどうぞ。
        再読なので今回は平行読みしてみました。
        地の文が読みやすいのは早川。
        ストーリーがわかりやすくて早く読めるほうが好きならこちらをどうぞ。
        文学的な表現や会話の上品さを求めるなら創元ですね。
        ちょっと古風で、カタカナ表記が時々変ですが、
        英国風のこの時代の雰囲気を味わえますし、私は厚木氏の訳の方が好きでした。

        パーカー・パインの事件簿 厚木淳訳 創元推理文庫
        作者まえがき
        1.中年の人妻の事件 4☆  女心、わかります。ラストにジンとします
        2.不満な軍人の事件 4☆  予想を逆手にとっての大団円 
        3.悩めるレディの事件 2☆  真相はどこに?
        4.不満な夫の事件  4☆  まさかのリアリティ?!
        5.ある会社員の事件 3☆  秘密( ̄b ̄) シーーッ!!
        6.金持の夫人の事件 5☆  彼女はすばらしい女性です。 
        7.ほしいものは、みんな手に入れましたか? 4☆   新婚さんに送る一篇。
        8.バグダッドの門  3☆ 砂漠のムード満点。
        9.シラズの館   5☆ 中東ロマン。ポアロもので長編でもいいかも
        10.高価な真珠    3☆  人の心の不確かさ
        11.ナイル河の死    3☆  ああ勘違い。ワガママは命取り 
        12.デルファイの神託  4☆  叙述ミステリー。この手もクリスティが始めたのかしら?

        創元推理文庫版にはクリスティ自身の「まえがき」が掲載されていて、
        クリスティはここに「不満な夫の事件」と「金持ちの婦人の事件」がお気に入りと書いています。
        確かにこの2篇は面白いです。特に「金持ち婦人」のスケールの大きさ大胆さにはびっくりです。
        あと、この短篇集については、物語の順番も重要。
        前のお話しの余韻が効果的に次に登場する物語をミスリードしている。その絶妙さといったら!
        彼女はトリック重視のミステリーファンが軽く見るようなヤワな作家じゃありませんね。
        大胆で勇敢でサービス精神とユーモアがあり、哲学をもち、テクニシャンです。

        【おまけ】
        準レギュラーが脇役で登場しています。
        ミス・レモン(秘書)
         テレビシリーズ「名探偵ポアロ」ではレギュラーになっていますね。
         本作ではめがねをかけ、いかめしい顔をした(器量が悪い)「若い女」となっています。

        ミス・オリヴァー(売れっ子女流作家)
          ポアロの友人でもあり他の多くの作品に出演。アガサの分身ともいえる人物。
          オーバートークに取り散らかった部屋にリンゴ好きというキャラは変わらずです。
        >> 続きを読む

        2014/05/02 by 月うさぎ

      • コメント 14件
    • 1人が本棚登録しています
      ロビンが跳ねた―ラクダと犬と砂漠 オーストラリア砂漠横断の旅〈下〉

      ロビン デビットソン

      いいね!
      • 映画「奇跡の2000マイル」の原作です。

        たまたまレンタルで見かけた映画「奇跡の2000マイル」
        女性がオーストラリアの砂漠をラクダと横断するというもの。
        映画を見終わって検索してみたら原作があるという・・・
        ほうーこれは読んでみたい、あるかなーと検索したら図書館に!
        さっそく借りて読んでみました。

        上巻は旅の準備やアボリジニのことなどが大半で
        最後あたりでようやく旅にでます。
        下巻は旅にでてからラストまで。
        上下巻通して自分の内面の中のことなどが結構書かれています。
        旅をしながら書いたのでなく終わってから振り返ったみたいですね。
        旅自体のことを期待して読むと残念なことなるかなw

        挿画はどこかで見た画だと思ったら沢野ひとしさん。
        映画と原作比べたら映画のほうがいいな〜



        上巻読み始めて感じたのはなんか二十歳の原点みたい?と
        そんな感じでした、僕は。
        >> 続きを読む

        2016/05/09 by 降りる人

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      くろねこかあさん (幼児絵本シリーズ)

      東 君平

      4.0
      いいね!
      • モノクロ、切り絵なのかな?

        リズム感があって楽しい。

        かあさんは、やっぱり大きくてあったかい^^
        >> 続きを読む

        2017/09/30 by けんとまん

    • 1人が本棚登録しています
      「三国志」この人間的魅力をみよ!

      松本一男

      三笠書房
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 三国志登場人物の分析。

        タイトル通り、確かに三国志は登場人物それぞれが魅力的な作品としては稀有なものかもしれない。

        劉備、曹操、孫権。諸葛亮、呂布。一線級のキャラクターは当然としても、あげればきりがないほど、魅力溢れるキャラクターの宝庫で有る三国志を味わい尽くす。

        基本的には、魏呉蜀の三国について、それぞれ曹操、孫権、劉備周辺を掘り下げる形。
        やはり圧巻なのは曹操。劉備や孫権は配下武将とセットで偉大な気がするが、曹操の場合、彼個人で既に偉大な気がした。

        おそらく強烈なリーダーシップがその原因だと思う。
        部下に諮ることは彼も得意としていたようだが、何かを決定する場面をイメージした際、曹操が一番ぴったり来る。
        彼個人も強かったことから、方針を決定するだけでなく、自ら戦地に赴いて、現場で遂行する能力を併せ持っていたのも大きいように思う。

        三国志ファンの中で、今の自分は三国志の武将で言うと誰的なトークをすると本当に楽しい。
        そして、読者それぞれの中に、それぞれの三国志ワールドが存在することに驚く。

        憧れの人物になったつもりで思考すると意外と成長できる要素が簡単に見つかる。
        >> 続きを読む

        2011/10/22 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      滝沢克己講演集

      滝沢 克己

      5.0
      いいね!
      • 「神様は共にいます」という意味の「インマヌエル」ということについて、とてもわかりやすく説き明かされており、すばらしかった。

        人間の根本的な事実は、自分ではない、自分以外のところに支えがあり、その支えに支えられて生きているということ。
        この生命の根本的な約束のことを、なぜか人は忘れがちであること。
        そして、これを忘れると、何か他の本当の支えにならないものに支えを求めたり、力みが生じてしまうけれど、人は誰でも本当はインマヌエルの事実の中にいるということ。

        繰り返し忘れてしまいがちなこのことを、また繰り返し思い出したいものである。
        >> 続きを読む

        2014/07/14 by atsushi

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      マタイ伝講話

      手島郁郎

      手島郁郎文庫
      5.0
      いいね!
      • マタイ伝講話の三巻。
        とてもすばらしかった。
        信仰とは何か、教えられる気がした。

        「愛とは自分の心を閉ざさないこと、自分の生命を人に流してやまないこと」

        「信仰によって生きるとは、見ゆるところによらず、隠されているものをすでに発見して生きること」

        などの言葉がとても印象に残った。

        また、キリストともに歩むということや、キリストに従うとはキリストの弟子になること、などの話もなるほどーっと思った。

        キリストはどうお思いだろうか考え、キリストがお喜びになるような生き方をする、というのも、なるほどと思った。

        また、病気を癒すよりも、人格を癒すことが大事だという話もなるほどと思った。

        二巻ともども、読むことができて良かった。

        困難はそれを乗り越えるためにある、という言葉も、なるほどと思った。

        良い本だった。
        >> 続きを読む

        2013/06/10 by atsushi

      • コメント 6件
    • 1人が本棚登録しています

出版年月 - 1990年1月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本

未来
  • 未来
  • 湊かなえ (著)