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1990年2月発行の書籍

人気の作品

      薔薇の名前

      EcoUmberto , 河島英昭

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • このイタリアの記号論学者のウンベルト・エーコの大長編小説「薔薇の名前」上下巻を、今回じっくりと時間をかけて再読しました。

        この作品は、1327年のイタリアの僧院を舞台にして、若き見習修道士アドソの視点を通して、約800ページを費やして記された7日間の物語です。

        この作品の中で綴られるのは、宗教、記号論、暗号、迷宮、異端審問、そして、連続殺人------。

        この作品は、難解そうにみえますが、恐れることはありません。約20ページほどの前置きは確かに少々とっつきにくい感じはしますが、それを通り過ぎれば、後はもう、それこそグイグイとこのウンベルト・エーコの豊饒な物語の世界に引き込まれてしまうのです。

        なにしろ、重厚な小説であるわりには、非常に読みやすいのです。とにかく、物語の中に散りばめられた数々のエピソードが、実に面白いのです。

        例えば、冒頭で探偵役のウィリアムが、その卓越した推理能力を披露する場面がありますが、ワトスン役のアドソに対して種明かしをして見せる様子が、控え目なユーモアを交えて描かれていて、実にワクワクしてくるのです。

        とにかく、難解であるという先入観を捨てさえすれば、この作品ほど面白い小説は滅多にないと思います。

        もちろん、ストーリー自体も起伏に富んでいて、キリストの清貧とは何かを議論するだけの小説ではないのです。

        迷宮のような文書館の中へランプを手に侵入し、暗号を解いて「アフリカの果テ」を見つけようとするあたりは、まるで、モーリス・ルブランの「奇巌城」でも読んでいるかのような興奮を覚えてきます。

        連続殺人について言うならば、動機が奇抜ですこぶる面白いのです。犯行方法も、その動機に密着したものである点が、非常に素晴らしいと思うのです。

        そして、真相が明らかになった時点で、犯人の動機と手段に納得できるという、用意周到に計算され尽くした仕掛けになっているのです。とにかく、この緻密で、尚且つ大胆な伏線には、ただただ感心するしかありません。



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        2017/05/15 by dreamer

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      日本海殺人ルート (講談社文庫)

      西村 京太郎

      4.0
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      • 今から30年くらい前 青函連絡船が廃止され、青函トンネルができた年に 同名のドラマを 土曜ワイド劇場で放送されました。なんと 舞台は 私のこの小さな田舎でした。共同墓地も使われ、犯人の墓参りは隣のうちの墓でした、この頃、スカパーで再放送されました。亀井刑事は青森出身ということで よく西村京太郎先生は 青森舞台に書いてますね。これも 列車のトリックですが 私は 読みやすくて 若いころはよく読んでました。今は手元にこの一冊だけです。 >> 続きを読む

        2017/01/27 by 缶詰め

    • 1人が本棚登録しています
      はじめの一歩 The fighting!

      森川 ジョージ

      講談社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね!
      • 今も続くボクシング漫画。今も読んでいます。

        気の弱かった青年がボクシングを通じて、強いって何なのか追及していく笑いあり、涙ありの面白い漫画です。

        今は100刊以上ありますが、読む価値ありです。


        とりあえず30巻までは読んでみるといいです。
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        2013/06/20 by BlueBull

      • コメント 9件
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      雨やどり

      半村良

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • バーテンダーを主人公にした小説だ。彼を取り巻く人達の悲しい物語が展開する。

        きっと、こんな人達がいるんだろうなと思う。どこかで過去から脱出できない人達がいる。

        でも、懸命にふみとどまってしまう。びっくりするような種明かしもあって退屈させない小説だ。きっと、若い頃に読んでいたらスルーしてしまっているかもしれない。私も同じように歳を重ねたからかな。

        共感できるところが多くなった気がする。全8編の小説に堪能した。
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        2018/01/14 by KameiKoji

    • 2人が本棚登録しています
      耳をすませば

      柊 あおい

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね!
      • ジブリ映画耳をすませばの原作であるコミック

        読書ばかりしている女の子月島雫がいつも借りる本の図書カードに書かれていた天沢聖司という顔も知らない男の子が気になってしまい
        色々な運命的な出会いによって最初は嫌な奴だった見ず知らずの男の子が天沢聖司だと知り段々と恋に変わっていくというストーリー

        何年かに一度ちょっと恥ずかしくなりながら無性に読みたくなる気分になるので映画を見てから読んでみた

        原作を完成形にしたジブリの映画版は最高傑作の1つだと思っているのだけど
        映画版が好きな人は原作にも心揺さぶられるはずと思う
        原作は荒削りなところはあるけど映画版と違うところも多く逆にその違いが楽しめる要素でもあると思う

        原作では聖司のお兄さんが登場し、雫の姉と実は付き合っているという設定があったり
        そのお兄さんがなかなかいいキャラをしている変人さんで(めちゃくちゃ映画版で見てみたかったなと思える人物で)あったり映画の裏設定に当たるようなとこがある

        他にも猫のムーンに瓜二つな猫が出てきたり、聖司くんがバイオリン職人じゃなく絵描きを目指しているなどの違いもある
        そして何と言っても映画だとわからなかったタイトルの耳をすませばの意味も原作を読んではじめて明らかにされる

        この原作コミックを読むときはジブリ映画と一緒に読むとどっちも楽しさが倍増すること請け合いな作品
        >> 続きを読む

        2017/02/22 by くじら

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    • 2人が本棚登録しています
      マリンブルーの風に抱かれて

      矢沢 あい

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.0
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      • 中学生の頃に憧れた「天使なんかじゃない」に頻繁に「マリブル」の話が出てきたので、当時、気になって読んだマンガ。

        なんだか読んでいて恥ずかしいほど爽やか。イラストも最近の矢沢あいとは全く違ってなんだか逆に新鮮。こんな純粋でストレートなストーリーは、今の矢沢あいにはもう作れないだろうなぁという感じがする。
        >> 続きを読む

        2012/02/08 by sunflower

    • 1人が本棚登録しています
      榎本武揚

      安部公房

      中央公論新社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!

      • 幕末ものの歴史小説を貪り読んでいますが、今回読了したのは、安部公房の「榎本武揚」

        「壁」でこんなにも凄い小説があったのかと衝撃を受けて以来、「砂の女」「他人の顔」「燃えつきた地図」「箱男」などの安部作品を次々と遍歴した私としては、この本のページを開く前から、一癖も二癖もある作家・安部公房が、歴史上、忠義の臣、共和主義を志した軍人という賛美もあれば、幕府、明治政府の双方に仕えた転向者という烙印も押された、毀誉褒貶の激しく、奇っ怪で捉えどころのない榎本武揚を、どう料理するのかと心躍ったものです。

        しかも、安部公房の歴史小説ときている。安部公房と歴史小説という組み合わせは、ミスマッチの妙という感じがして、実に興味深いと思いましたね。

        「五年ほどまえ、ある放送局の依頼で北海道旅行をしたさいのことである。釧路から汽車で二時間ばかりの厚岸という町で、面白い話を聞きこんだ」という書き出しから、いつもの安部公房の作品とは手触りが違うのだ。どことなく、ルポルタージュという趣なのだ。

        文中で彼は、旅館の主人に案内されて、榎本兵の残党が生き延びていたという証拠を確認に出掛けているほどだ。そうか、安部さんも、榎本武揚と真正面から向かい合おうという魂胆なのだ。少々意外なプロローグではあったが、同時に今回は毎度お馴染みの、救いようのない安部ワールドとは縁が切れるとホッとしたりもしたものだ。

        ところが、旅館の主人の福地伸六と、私=安部との関係が次第に怪しくなってくるのだ。東京に帰った私の元に、突然、届けられた福地からの小包。中身は数百ページもありそうな「五人組結成の顛末」という原稿用紙の束。これはどうやら、榎本軍兵の書き記したものらしい。さらに、小包に添えられた手紙で明かされる、福地が元憲兵だったという陰々たる半生と苦悩。

        これはどうも怪しい。ノンフィクションなんかではなく、あのいつもの安部公房の沼地ではないのか。一度はまり込んだら、どうあがいても抜け出せない"不条理の湿地帯"ではないのか。それでいて、安部公房ファンの身としては、たまらなく胸苦しい甘美な薫りが漂ってくるんですね。

        しかし、第二章から、また様子が異なってくる。劇中劇のような形で「五人組結成の顛末」が進行し、やがて、これの主人公・浅井十三郎が大きくフューチャーされるのだ。往時の新聞や書物の引用をしばしば文中に配して、時代の目や耳の捉えた世相を伝えている点も見逃せない。そして、全篇を通して流れる、安部公房独特のユーモア感覚も読書のスピードを加速させてくれる。

        この浅井は、元新選組隊士で、土方歳三に師事していたという設定になっている。「五人組結成の顛末」は、五稜郭に到る幕府の残軍の忠実な敗走記であり、榎本武揚を変節漢と決めつけ、獄中の榎本を誅殺しようとする浅井の行動録でもあるのだ。また、福地の変節を正当化する道具としての意味づけもあるのだと思う。

        もっとも、文中で浅井が罵倒する榎本は、後に明治政府の高官として活躍する榎本だけではない。幕府軍の総領でありながら、新政府側の勝利を呼び込もうとしているとしか思えない行動をとる榎本だ。

        安部公房は「五人組結成の顛末」を通じて、つまり浅井の口を借りて、榎本を相当、胡散臭い人物として描き切っていると思う。ついでに大鳥圭介も、プチ榎本として切り捨てられている。

        それは、どうやら転向者と呼ばれる裏切り者に対する憤りではなく、ヨウとして得体の知れない榎本武揚に対する安部公房なりのアプローチなのかも知れません。

        しかし、読み終えて、よく考えてみると、この作品で描かれる口八丁手八丁のご都合主義者の榎本だけではない。幕府政治の限界を予見していた先取りの人であり、オランダ留学で身につけた博識を、新しい日本で活用しようとする篤志家であり、土方歳三らの硬直した考えを揶揄する、新時代の思想家の顔なのだ。

        どうやら、安部公房の描きたかった榎本武揚像の真意は、ここにあったのではないかと思いますね。


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        2018/03/25 by dreamer

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      こんな美しい朝に 瞬きの詩人・水野源三の世界

      水野源三 , 百万人の福音編集部

      いのちのことば社
      カテゴリー:詩歌
      5.0
      いいね!
      • 水野源三さんの詩を絵や写真とともにわかりやすくまとめてある一冊。
        すばらしかった

        水野源三さんは、子どもの時に脳性麻痺によって全身が動かなくなり、言葉も話せず、ただ目のまばたきだけによって意志を通わせ、それによって多くの詩をのこした「瞬きの詩人」。

        深いキリスト教の信仰に裏打ちされた、純化された言葉の数々は、本当に胸を打たれる。

        また、この本には、水野源三さんの人生についての簡単な紹介や、言葉も描かれていて胸打たれた。

        「自分とまわりの人とを比べず、ただ、イエスさまだけを見つめて生きてください。イエスさまは、いつも私たちのそばにいます。」

        という水野さんの言葉には胸打たれた。

        あと、水野さんは、無教会の高橋三郎先生と長年にわたり深い交流があったというエピソードも興味深かった。

        多くの人に読んで欲しい、素晴らしい一冊である。

        「しみる」

        屋根の雪をとかす
        柔らかな日差しも
        ヨハネ福音書を読むには
        まぶしすぎるから
        障子をしめる

        雪解け水が
        地にしみる
        主の御言葉が
        わが胸にしみる


        「はっきりと分かりました」

        焚火の温かさは
        焚火に手をかざした
        その時に
        はっきりと分かりました

        焼きいものうまさは
        焼きいもを食べた
        その時に
        はっきりと分かりました

        キリストの愛は
        キリストを信じた
        その時に
        はっきりと分かりました


        「砕いて砕いて砕きたまえ」


        一、み神のうちに生かされているのに
        自分ひとりで生きていると 
        思いつづける心を
        砕いて砕いて砕きたまえ

        二、み神に深く愛されているのに
        ともに生きる人を真実に
        愛し得ない心を
        砕いて砕いて砕きたまえ

        三、み神に罪を赦されているのに
        他人の小さなあやまちさえも
        赦し得ない心を
        砕いて砕いて砕きたまえ


        「目には見えない」


        心に迷いある時には
        私たちの目には見えない
        私たちを導きたもう
        恵み深き主の御手を覚えよ

        心が飢え渇く時には
        私たちの目には見えない
        私たちを養いたもう
        恵み深き主の御手を覚えよ

        心まで疲れた時には
        私たちの目には見えない
        私たちをいたわりたもう
        恵み深き主の御手を覚えよ


        「キリストを知るためだとわかりました」

        病に倒れたその時には 
        涙流して悲しんだが
        霊の病いやしたもう
        キリストを知るためだと分かり
        喜びと感謝に変わりました

        友にそむかれたその時には 夜も眠れずに恨んだが
        とわに変わらない友なる
        キリストを知るためだと分かり
        喜びと感謝に変わりました

        過ち犯したその時には 心を乱しくやんだが
        すべてをばつぐないたもう
        キリストを知るためだと分かり
        喜びと感謝に変わりました
        >> 続きを読む

        2014/02/07 by atsushi

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      ヤマタイカ

      星野 之宣

      潮出版社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
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      • ヤマタイカ 第4/全6巻

        再生したオモイカネ(巨大銅鐸)。第2部 東征編の開幕。

        前巻で溶かされたオモイカネが戦艦大和ではなく大仏になっていたことで激しく失望したが、この巻で機嫌復活!

        かなり重厚な作風なので、それなりに読み進めるのが大変なのだが、過去3巻まで読んだ段階で、相当気持ちが失速したものの、残り3巻なので読み終えよう!というモチベーションで手にとった。

        失速の原因は、溶かされたオモイカネが戦艦大和になったとばかり思っていたら、大仏になっていたというガックリ感に寄るものだが、大仏から元の銅鐸の形に戻ったオモイカネは、台風の力を利用して戦艦大和を引き上げにかかる。

        太平洋戦争に興味が有り、戦艦大和にも強い思い入れを持っているので、正直、大和さえ出てくればもう楽しいのは確実なのだ。

        復活した戦艦大和は、日本人の思念の拠り所として在日米軍に牙を向ける。

        この辺りの展開は、なぜ平和になった現代日本でアメリカとの摩擦を招くのかと不快に思う。
        更に、大和復活を成し遂げた現代の卑弥呼が民衆を扇動するテロリストにしか見えなくなっているのが残念だ。

        陸上戦の戦地となった沖縄だが、そこに派兵されて来ていたのは、北海道のアイヌも少なくなかったらしく、分断されていた北と南の血が合わさったら...などと興味の有る設定も多いだけに、ここからの立て直しに期待したい。

        第2部が「東征編」なら、第1部は何編なのかと、1巻を確認したが、第1部という記述さえなかった...
        >> 続きを読む

        2013/05/06 by ice

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      羽衣伝説の記憶 長編推理小説

      島田荘司

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 島田荘司作品では圧倒的な人気を誇ると思われる吉敷刑事が事件とともに元妻を追う。

        ンチメンタルな感情に彩られた番外編的作品。

        他の作品では頭脳明晰な敏腕刑事である吉敷刑事だが、本作では人間的な弱さや感情を曝け出している。

        一応、事件を追う形にはなるのだが、完全に脇役で、元妻への想いと再会というドラマが主役であった。

        元夫婦とはいえ、再開後、二人に芽生えた感情は恋と言われるものだったように思う。

        このような作品で肉付けされ、本来の刑事モノとしてのシリーズの魅力が増す。
        >> 続きを読む

        2012/08/24 by ice

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      ロンドンの見世物 1

      R.D.オールティック

      4.0
      いいね!
      • 【ロンドンっ子は見世物好き?!】
         本書は、ロンドンで繰り広げられてきた各種見世物の歴史をたどった一冊です。
         いやぁ、ロンドンっ子って見世物が好きだったんだなぁと感じる一冊でもあります。

         ロンドンでの見世物のはしりは中世の教会にありました。
         何を見せたのかというと、教会が所蔵する聖遺物なのですね。
         何だかありがたそうな物もあれば、中には相当胡散臭そうな物もあったようです。
         ところがその後勢力を得たクロムウェル一派により、これらの聖遺物崇拝はけしからんとされ、教会での見世物は消えていったのでした。

         次に出てくるのがいわゆるヴンダーカンマー(驚異博物館)とも呼ばれた、『キャビネット』でした。
         これは、世界中の珍品、奇品を個人が蒐集したことが始まりで、それを個人の邸宅などで公開したのが見世物化していったわけです。
         博物館のはしりとも言えるのですが、相当に何でもアリ状態で、しかもちゃんと分類、整理されていたとは限らず、中にはもうごった混ぜであれこれ詰め込んだキャビネットも多かったようです。

         この様な珍品、奇品の展示は、必ずしも個人の邸宅でばかり行われたわけではなく、居酒屋などに展示されて客引きの具とされたこともあったようですし、また、新しく生まれたコーヒー・ハウスなどもその展示の場所になったのだとか。

         また、これらの展示の場所として重要なのは、各地で開かれたフェア(縁日)でした。
         そこではさらに雑多な展示、見世物もあったようで、各種のフリーク・ショウ(奇形を持った人やそのフェイクなどの見世物)も生まれていきましたし、大道芸のような出し物もあったようです。

         醜悪なのは、フリーク・ショウの流れでもあると思うのですが、精神病院の中を見せたことでしょう。
         これは入場料を取って、収容されている『狂人』を見世物にしたのです。

         さらに、蝋人形が生まれてきました。
         マダム・タッソーが有名ですが、あんな蝋人形館が建てられ、さまざまな人物や歴史的場面が蝋人形によって再現されたのですね。

         で、蝋人形は動きませんが、動く人形はどうだい?ということで、自動人形(オートマタ)や、各種からくりが生まれてきます。
         中には実は人間が動かしているというインチキもあったのですけれどね(有名なのはメルツェルの将棋指しで、これについてはポオが謎解きをした作品を書いています)。
         これらのからくり仕掛けは、見世物として世に出たわけですが、その機械の工夫は実は様々な新しい機械を生む原動力にもなったという事実は見逃せません。

         一方で、見世物の流れは絵画の鑑賞という文化も生み出しました。
         最初は、絵画というものが鑑賞の対象となるという文化をイギリスは持っていなかったのですね。
         しかし、次第に美意識というものも生まれてきたわけで、芸術としての絵画という観念が成り立ってくるわけです。
         
         で、その絵画の発展形というか、亜種として、パノラマが生まれます。
         遠近法を強調し、リアルに描く絵画から、360度見渡せる景色としてのパノラマが生み出され、専用のパノラマ館が建てられたというわけです。
         これは一時期大流行したそうですよ。

         さて、本書は実は全3巻のシリーズなのですが、第1巻は大体この辺りまでが紹介されます。
         このレビューでは触れられなかった物も沢山登場してきますよ。
         物見高いロンドンっ子たちを驚かそうと、次から次へと新機軸が生み出され、その派生として機械工作や美術鑑賞といった重要な技術や文化も出てくるという、結構ダイナミックな流れを通覧することができます。
         なかなかに興味深い本ではないでしょうか。
         丹念に『見世物』を追った労作です。


        読了時間メーター
        □□□□□   しばらくお待ち下さい(5日以上、上限無し)
        >> 続きを読む

        2020/05/18 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      薔薇の名前〈下〉

      ウンベルト エーコ

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 既に手元にない(図書館に返却してしまった)ので記憶を頼りにしたレビューというか感想となりますことをお伝えしておきます。

        非常に面白かったです!
        下巻巻末には訳者解説がついていたのですが、河島さんって、パヴェーゼの訳もされた方なんですね。イタリア文学の翻訳の方なのか。

        ミステリとしても、歴史小説としても楽しめました。相変わらず中世ヨーロッパの情勢が良くわからなくて、教皇と皇帝がいるとか、ヨハネスとか親しげに名前呼びされても、彼がどっちだかわからないですよ…(ヨハネスは教皇でした)

        異端審問の場面がお気に入りでした。あのベルナールとかいういけ好かないやつ、権力を笠に着て弱きものをいたぶり楽しむサディストですが、人間って愚かだなぁって思いますね。探偵役のウィリアムも、僧院長も厨房係も、それぞれ欠点はあって、しっかりと描写されているところがいい。
        特に人の弱さや愚かさを容赦なく書いています。そこがいい。キリスト教的にいえば、迷える仔羊を導く立場であるはずの修道士たちも仔羊の一匹でしかないというところでしょうか。うーん。

        ちなみに作品の舞台は14世紀なので、ルターさんはまだ生まれていないんですね。プロテスタントはまだ存在しない時代。大変だったんだろうなぁ…

        翻訳がまた良くて、ちょくちょく出てくる大仰な言い回し(倒置法を用いた、「○○だ、××であるからして」というような口調)が修道院っぽくて良かったです。

        薔薇の名前については解説本とか論文もいろいろ出ているようなので、それらを読むのも楽しめそうだなと思います。いずれ読んでみたいです。
        >> 続きを読む

        2016/03/21 by ワルツ

    • 5人が本棚登録しています
      かいけつゾロリのチョコレートじょう

      原ゆたか

      ポプラ社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • チョコレート城をてにいれたのに。

        2015/01/28 by ムーリン

    • 4人が本棚登録しています
      ドラゴンクエストへの道 マンガ

      滝沢ひろゆき

      スクウェア・エニックス
      5.0
      いいね!
      • 和製「闘うプログラマー」
        ドラゴンクエストの開発プロジェクトを紹介した漫画です。「ドアドア」の中村光一と「ポートピア連続殺人事件」の堀井祐二が出会って当時アクションやシューティングが主流だった日本のゲーム市場でウィザードリーに負けないRPGの制作を目指します。
        今では当たり前の「コマンド」のアイディア。すぎやまこういちや鳥山明との出会い。ゲームバランスを改善するために発売目前に1週間でプログラムのやり直し。プロデューサー(現取締役)自ら徹夜でのデバッグetc...
        数々の困難を超えて発売されたドラゴンクエストはRPGが日本に受け入れられるかという当初の不安を吹き飛ばす大ヒット!(めでたしめでたし)
        この漫画を読んで将来の夢をプログラマーに決めました。人生を変えた一冊なのでひいき目の評価高めです。
        先日ドラゴンクエスト25周年記念でドラクエ展をやっている長崎ハウステンボスに行ってきました。最初の手書きの設計書の展示をみて感激し、この作品を思い出しました。
        >> 続きを読む

        2012/06/07 by ybook

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