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1990年3月発行の書籍

人気の作品

      吾輩は猫である

      夏目漱石

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! Shizu
      • ミステリアスな猫目線を介して、人間社会の矛盾、不条理など言いたいことをアウトプットする手法を考えた100年以上前の小説家による自由力に今さらながら脱帽。

        処女作のパワーは、いつの時代も最先端に生きているフォーカス力だと痛感しながら、500ページ余、全11エピソードのボリューム感と格闘。

        1文豪の洞察力は、管理しやすい方向へまっしぐらに進む現代を予言しているようにも思え、刺激にゃんにゃんだぜ!
        >> 続きを読む

        2019/03/03 by まきたろう

    • 他3人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      流転の海

      宮本輝

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!

      • 父と子の小説にもいろいろあるが、王道は子供が生まれ、成長し、やがて父が死んで子が主人公となっていくという大河小説だろう。

        これまでにも、さまざまな作家が趣向を凝らして、父と子の小説を書いているが、そのパターンに忠実な正統的な作品も忘れてはいけないと思う。

        五木寛之の「青春の門」、伊集院静の「海峡」などがその代表で、先駆的な作品は、子供時代の描写は少ないにしても、やはり尾崎士郎の「人生劇場」だろう。

        このタイプの小説に登場する父親は、巨大な存在感を持った人物として描かれることが多い。
        強くて、正義感にあふれ、それでいて弱さを持った人間味のある男。

        彼は息子を社会という広大な海に案内する役割を負っている。
        自然の大切さや人に愛されることを息子に教える教師なのだ。

        そして、子はその父の背中を見て育っていく。
        したがって、このタイプの小説は教養小説に近いと思う。

        宮本輝の「流転の海」も、そういう父と子の長い人生を描く物語だ。
        このタイプの小説の例に洩れず、先ず父親の像が圧巻だ。
        事業をやらせると鬼のように鋭いくせに、承知で人に騙されたりする。

        ヤクザに向かっていく獰猛さを持ちながら涙もろく、妻を愛していながら平気で何人も愛人を作ったりする。
        満足な教育を受けていないものの、人生の機微に通じ、書物から引用して説教したりする。

        知的で、猥雑で、嫉妬深く、妻に言わせると、いかさま師。
        とにかく不思議な人物なのだ。

        このように父親の造形が圧巻で、その強烈な個性とパワーに圧倒される。

        物語は、さまざまな人物が入り乱れる終戦直後の大阪で、五十歳にして彼が初めて子を持つところから始まるが、事業を営むこの男の奮闘ぶりが描かれる。

        彼を取り巻く悪党やちんぴら、裏切り者に競争相手、運のいい奴、悪い奴、そういうドラマが盛りだくさんで、その錯綜した挿話の背景から、ひとりの男の強烈な生き方が立ちあがってくる。

        しかも、主人公のドラマだけではなく、脇役に至るまで、一人ひとりが豊富なエピソードとともに活写されていく。

        例えば、彼の妻となる女性の不幸な生い立ちは、それだけで大長篇になる素材だが、そういうドラマを凝縮してこの長篇小説は成り立っている。

        この「流転の海」第一部に続く第二部「地の星」では、息子の健康のために温暖な故郷に帰った一家の日々を描いているが、第三部「血脈の火」では、妻と幼い子を連れて、再び大阪に戻ってくる。

        やがては、父が死んでその子が主人公となっていくのだろう。
        彼は成長した後、どんな時に、どういう風に父親を思い出すのか。
        そんなことをふと考えてしまう。

        私がこのタイプの小説が好きなのも、父と子、彼ら主人公の長い人生をともに生きる充実を、行間から伝えてくるからだ。

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        2019/02/12 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      彼岸過迄

      夏目漱石

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 【続く「行人」「こころ」とあわせ後期三部作とされる。修善寺で生死の間を彷徨い、五女のひな子の急死などに直面したあとの小説。人間の心の奥の苦悩と愛の不毛を描く。主人公の川田敬太郎が聞き手としてさまざまな登場人物を引き出す6編の短編と「結末」からなる。長編小説の新しい手法の先駆と位置づけることができる。】

        >「彼岸過迄ひがんすぎまで」というのは元日から始めて、彼岸過まで書く予定だから単にそう名づけたまでに過ぎない実は空むなしい標題みだしである。

        ・・・だそうで、初め同じ下宿の森本との話は読んでいてよく分からなかったし、どういう話なのか見当がつかないもんで、なかなか話に入り込めず(ただの集中力の問題?)ちょっと苦労した。けれど、友人須永の叔父田口に頼まれて探偵のようなことをする話や須永といとこ(田口の娘)千代子との話などから次第に面白くなってきました。

        大学を出て未だブラブラしている敬太郎が同じ下宿の森本やら、友人の須永やら、須永の叔父やら、須永のいとこの千代子やら、千代子の叔父やら、の話から、世間を(少~し)知るという形の小説となっております。

        千代子が幼いいとこの死を目の前にした話などは、人はなんとまあ簡単に死ぬんだと思ったし、探偵している場面はなかなかスリリングでもありました。それに、人は見かけだけじゃわからない、それぞれの物語をもっているというようなことも思ったりして・・・。

        ただ、須永は何というかめんどくさいというか、自尊心が強いというか、自分に自信がないのに(それゆえ?)千代子に対して素直になれないというか、うじうじして吹っ切れないというか・・・・

        その性格の根っこに母親との関係があったようだけど(!)、でもな~それはそれ、まあ人それぞれ色々ありますね~。

        人間、あれこれ考えすぎるとあんまりよくないのではないかと、思ったりもします。しかしまあ、人間(の心)って、なんと複雑でめんどくさくて難しいものなんざんしょ。^^;

        敬太郎さんには、人の話を聞くだけじゃなく、今後は自分自身が主人公になるべく、色々と経験を重ねていってほしいものでございます。(何でもいいから働け・・^^)

        先に「こころ」を読んでしまったけど、もう忘れてるからもう一度後期三部作に挑戦!
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        2015/01/17 by バカボン

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      戒厳令下の山口組 日本アウトロー史)

      飯干晃一

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:社会病理
      4.0
      いいね!
      • 三代目組長を失い弱体化の一途を辿る山口組の実態。
        組織というもの、リーダーというものについての理解が深まる。

        反社会的組織では有るがヤクザ社会は一般社会を考える材料として有効と考えている。

        厳しい上下関係や盃による擬似的な親兄弟関係など、有る意味では一般社会よりも
        整然と統制された社会とも言える。

        本作では、歴史に名を残す名組長、田岡一雄氏の死去に伴う山口組激震を描いている。

        各所に田岡組長が偉大過ぎて四代目が育たなかったというような論旨が見られるが、
        誤解を恐れずに言えば、自分が死んだ後の組織運営までを考える必要は無いと思う。

        彼は戦後復興の中、全力投球して組織を磐石なものにして来たわけで
        残された者は当然その莫大な遺産継承に伴い、リスクは背負うべきと考えるからで有る。
        親分が育てなかったのではなく、子分が育たなかったのだと考えたい。

        一般社会でも、リスクは全く取りたく無いものの、会社から自分個人に対して、
        どれだけの利益を引き出せるかということに執着する者がいる。

        そもそも、そういう人間は人間としての品性が激しく低く組長の器ではないのは明白で有る。
        田岡組長は全く登場しないのだが、ますますその人物像に興味が沸く。
        >> 続きを読む

        2007/12/15 by ice

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      アメリカ精神と日本文明

      佐渡谷重信

      講談社
      カテゴリー:近代哲学
      4.0
      いいね!
      • この本、随分昔に古本屋で買って、ずっと本棚に眠っていたのだけれど、最近読み始めたらとても面白かった。

        この本では、縦横無尽に明治や大正の頃の人物や書物を具体的に挙げながら、いかにアメリカの思想や文学、特にエマーソンやホイットマンやソローが、日本に大きな影響を与えたかを論じている。

        明治には、中村正直や徳富蘇峰や北村透谷、さらには時代が下っては高木八尺らにエマーソンは受容された。
        また、ホイットマンは、夏目漱石、内村鑑三、有島武郎、武者小路実篤、白鳥省吾らに読まれ、特に大正の頃は白樺派や民衆詩派に大きな影響を与えた。
        ソローも、内村鑑三や西川光二郎らにとって生きる指針となった。
        この本では、生き生きとそれらの歴史が書かれ、よくまとめてあった。

        著者が言うには、もともとエマーソンやホイットマンやソローらは、仏教や儒教やヒンドゥー教の古典を愛読しており、東洋思想的な要素があった。
        それゆえに、明治になってから、多くの日本人が共鳴する素地があり、実際、彼らの思想を大乗仏教や陽明学との関連から論じる日本人も多かったそうである。

        と同時に、エマーソンやホイットマンやソローらは、当時の日本にはなかなか確立されていなかった、自立した個人の思想をよく現しており、その点が日本人にとって新鮮であり、自己の確立に際して大きなインスピレーションを与えたようである。

        著者は、自由民権運動がなぜ失敗したかということについて、自由の思想的な深い把握に欠けていたことと、一般大衆の理解と協力を得る努力が欠けていたことの二つを指摘する。
        なるほどと思った。

        そして、その反省や意識に立って、おそらく明治後半や大正の多くの日本人が、エマーソンやホイットマン、ソローを読みふけったのだろうと、この本を読んでいて思えた。

        しかし、徐々に日本の国家主義が強化されるにつれ、特に昭和になっていくと、ホイットマンやソローらは危険思想のような扱いを受け、読まれなくなっていったらしい。

        著者が言うとおり、戦後の日本は、一見アメリカと深く結びついたように見えて、ただアメリカの物質文明を余裕もなく摂取したばかりで、本当の意味でアメリカの精神文化をきちんと理解し受用したわけではないのだろう。

        ホイットマンやソローらがアメリカの物質文明を批判したように、仮にアメリカの現実にある負の側面を克服しようと思うならば、参考になるのはアメリカの中のこのような精神文化なのかもしれない。

        そして、それはまた、エマーソンもホイットマンもソローも東洋の古典を愛読していたように、特定のどこの国かにこだわる必要のない、世界的な古典というものなのだろう。

        もう一度、エマーソンやホイットマンやソローは、日本人にとって熟読されるべき存在なのかもしれない。
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        2013/03/23 by atsushi

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      岬一郎の抵抗〈1〉 (集英社文庫)

      半村 良

      4.0
      いいね!
      • めんどくさいので、これ、1から3まで通しての感想。
        面白いじゃないですか、戦国自衛隊とはまた違う、人情物的な要素もあって。話の進め方も丁寧で、安心して読んでいける感じ。若い作家の方の作品は、油断してると置いてかれる感がするけど、とにかく語り口が自然で、ストーリーを追うということで考えれば職人芸といえる。そのうちこの著者の時代物も読んでみよう。 >> 続きを読む

        2015/07/09 by げんなり

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      アド・バード

      椎名 誠

      5.0
      いいね!

      • 第11回日本SF大賞受賞作の椎名誠初めてのSF長編小説「アド・バード」を、じっくりと腰を落ち着けて味わいました。いやあ、とにかく凄い小説です。

        エスカレートした広告戦争の結果、文明が没落した世界での父親探しの物語-----と言えばよくある話のようだが、この架空の世界の描写がとんでもなく奇想天外かつスリリング。

        スターリングふうの生体改造や遺伝子改変によって、広告のために、あるいは敵側の広告媒体撃滅のために生み出されたキメラ生物群の異様さは、まるで筒井康隆の「ポルノ惑星のサルモネラ人間」にも匹敵するんじゃないかと思えるほどだ。

        巨大な絨毯のごとく、大地を疾走する地ばしり、すべてを食いつくし果てしなく増殖するヒゾ虫など、圧倒的な存在感だ。

        配下の小鳥や虫たちを使い、壮絶な死闘を繰り広げる戦闘機、カーテンを開けて泊り客に外の広告を見せるためだけに命を捨てる虫、はたまた人間の客を待ち続けるうちに発狂してしまった百貨店の接客アンドロイド-----。

        この物語の合い間に挿入される、これらのエピソードは、独立した短編としても抜群の出来で、強烈な印象を与えてくれるんですね。

        グロテスクな中にもブラッドベリ的な詩情さえ漂い、異様でありながら奇妙に美しい。SF小説ファンなら必見の作品だと思いますね。


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        2018/04/03 by dreamer

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      暗夜行路

      志賀 直哉

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 志賀直哉の『暗夜行路』を三カ月ぐらいかけて読み終わった。
        去年の年末の大掃除の時に本棚で見つけて、それからちょっとずつ読んだ。
        高校の時に買って、最初のあたりでどこが面白いのかさっぱりわからず読むのをやめてしまっていたのだが、あれから二十年経って読みだすと、とても面白かった。

        たぶん、あらすじだけ言っても、面白さが全然わからないし、何か的外れなことしか言えなくなる、不思議な小説と思う。
        細部が何か不思議な豊かさに満ちている。

        文庫の解説には、「強い意志で幸せをつかもうとする主人公」みたいなことが書いてあるが、正直、私には全然そうは思えなかった。
        主人公はどこかのほほんとした人の良さを持ちながらも、かなり適当な、そしてあんまり強くもない人間に思える。
        ただ、主人公のもろもろの心情は、なんとなく、「よくわかるなぁ」という気がした。

        この面白さというのは、たぶん、十代ぐらいではあんまりわからなくて、三十代以降ぐらいに面白いと感じるものなのかもなぁ。

        あらすじに関わることで言えば、ラストのあたりのことは、たぶん、人によっていろんな受けとめ方があるんだろうけれど、私は、あの大山の山の影というのは、人間の生活に神の愛が影を落とし見守っている、という、そういうことの暗喩に思えた。
        また、主人公は、人を赦せない気持ちや憎む気持ちが、実はそれもまた愛しているからこそ生じる感情だと気付いたので、ラストのあたりの表情や態度になったのではないかと思えた。

        またいつか、だいぶ時が経ってから、ゆっくり読み直してみたいものである。
        >> 続きを読む

        2016/04/07 by atsushi

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      七都市物語

      田中芳樹

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 田中芳樹のSF小説。銀河英雄伝説、タイタニアといった架空戦争物が有名だが、この作品も隠れた傑作。田中作品の中ではかなり好きな方です。

        舞台は21世紀末から22世紀初頭。未曾有の大災害により人口が激減した地球に対して、月面へ移住し厄災を免れた幸運な人々は地表に生き残った人類に対して7つの都市を建設。
        また絶対的な支配権を手にすべく「オリンポスシステム」を設置。
        政府の管理下にない航空機はレーザーにより撃墜されてしまう。

        しかし絶大な支配権を持っていた月面の政府は謎の疫病により死滅してしまう。オリンポスシステムは持ち主がいなくなった後も稼働続け、地表の人々から自由な空を奪ってしまった。
        やがて主を失った七都市は覇権をめぐり戦争を始める。

        これが絶妙に面白い架空戦記作品の舞台になっている。
        ガンダムのミノフスキー粒子もそうだが、航空技術の喪失という時代を逆行させる技術的制約が戦略・戦術の頭脳戦を引き立てる重要な要因になっている。SFというより近未来ミリタリー小説として抜群に面白い。

        田中芳樹作品の最大の欠点はその長編作品のほとんどが完結していないこと。銀河英雄伝説は完結しているが10巻の長編なのでちょっと・・という方には一冊完結の本作がおすすめです。
        >> 続きを読む

        2013/06/08 by ybook

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      談志楽屋噺

      立川談志

      文藝春秋
      3.0
      いいね!
      • はじめに、落語の世界では、前座という修行期間が終了すると、
        一段進んで、二つ目となる。当然、前座名から二つ目の名前に変わる。

        なかには、先代小南のように、生涯ひとつの名で通した人もいる
        (人間国宝、米朝師匠もしかり)が、当時の客は、芸人の名前には格というものを
        識っていたから、芸人の方も伝統上、改名するのがルールであり、楽しみであり、
        名誉であり、喜びであった。

        二つ目昇進のときはともかく、真打になるときには真打の名に変えるべきと・・。
        升蔵が月の家円鏡に、全生よりも円楽になれと、当人も小ゑんではいけないと、
        改名して、立川談志に、・・この名前、柳家一門の名ではなかったらしいが、
        後の彦六、当時の正蔵師匠に頼んでもらったらしい。

        この本が出版された当時、談志、志ん朝、円楽、円鏡というのは、
        若手真打、中堅どころの名前であって、やがて、円楽は円生に、
        私も小さん師匠のところを破門になったが、そうでなかったならば、
        やがて、小さんになるとか、馬楽になるべきと、言い切っている。

        上方は、二つ目、真打制度が無いので、名前について無頓着のようであるが、
        この平成の落語ブームを定着させる為にも、つく枝さんが、文三さんに変わって
        風格が出てきたように、大師匠がおられる間に、多くの名跡を継いで欲しいものですな。

        上方の名跡・・・・・吾竹、福松、梅香、梅鶴、梅枝、文都、文団治、文之助、梅丸、文吾、
        花団治、菊団治、文雀、など、・・・・・名跡かどうかも混じっていそうですが
        重みがあって良い名と思えるのですが・・・・。

        本に話しを戻せば、
        楽屋の中は、狂気ともいえるメチャクチャな芸人さんのオンパレード、
        芸人さんの噺のおもしろい事。
        芸だけではなく、芸人の生き様の伝承も、大事ですな。
        そういう意味で、談志師匠の新刊の本も、早急に読まなければ・・・、
        今、読まなければ、いつ、読むのですなぁ・・・・・・。

        三年前の、レビューですが、昨今であれば

        今でしょ。
        >> 続きを読む

        2013/05/24 by ごまめ

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      真珠の文化史

      杉山 二郎山崎 幹夫坂口 昌明

      2.0
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      • 真珠をテーマに対談方式で、多岐にわたる話題があった。
        この本だけでは難しいことがあるので
        何かの出発点としてはいいのではないかなと思う。
        >> 続きを読む

        2015/09/19 by kotori

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      白馬山荘殺人事件 長編推理小説

      東野圭吾

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 東野圭吾さんの初期の作品。
        ペンション『マザーグース』の「ハンプティ・ダンプティ」の部屋で一人の男性が死んでいるのをペンションのマスターと従業員が発見。
        男性は猛毒トリカブトを服用しており、調査の結果、部屋が密室であったことから自殺と断定された。
        男性が死ぬ前日に妹に送ったはがきには自殺をにおわせるようなものはなく、むしろ希望を持っていたような内容。そしてそこには『マリア様が、家に帰ったのはいつか』を調べてほしい、という謎の1文が書かれていた。
        兄の自殺に疑問をもった妹の菜穂子はペンションに同じ時期に常連が集まることを知り、1年後の同時期、大学の付き合いのあるマコトに付き合ってもらい白馬のペンションに向かう。

        マスターがイギリス知人から譲られた洋館のペンションの各部屋はイギリス知人が住んでいた当時、各部屋につけていた名前をそのまま使ってほしいという遺言があり、マザーグースの中のタイトルが部屋名としてつけられており、部屋の中にはその中の一文が書かれている。
        マザーグースといえば、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』を連想し、二番煎じ?と頭をよぎるが、マザーグースの歌をいくつも組み合わせて謎解きしていく様子が、高度な仕上がりとなっているように思える。
        ここで問題解決か、と思いきや、さらに隠し玉がいくつもあり、最後まで気が抜けない。
        >> 続きを読む

        2020/02/18 by taiaka45

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      ロンドンの見世物 2

      R.D.オールティック

      4.0
      いいね!
      • 【結構悪趣味な物もあったようです】
         さて、第二巻は、第一巻から引き続き、『パノラマ』、『ディオラマ』の話題から始まります。
         『パノラマ』、『ディオラマ』という言葉は、現在私達が考えているのとはちょっと違った物を指しているようでもあるようです。
         というか、巨大な、遠近感を強調したような絵画を展示していればそれをそういう名前で呼んでいたらしく、厳密な区別も無かったのだとか。
         それ以外にも似たような展示物が色々あり、それぞれに名前をつけて公開していたので、当時のロンドンには『~オラマ』というのが溢れていたようです。

         また、この当時、風景画などの他によく取り上げられていたテーマは会戦の場面だったとか。
         それは、今日の私達がニュース映像を見るのと同じような感覚で、最新の出来事を巨大画で楽しんでいたようです。

         さらに、当時は『グランド・ツアー』と呼ばれていた海外旅行が流行していたのですが、その代用品として、世界各地の名所、風光明媚な場所の巨大画というのも人気があったようですね。
         つまり、実際に旅行に出かける代用として楽しまれていたようなのです。

         で、この様な巨大画の展示ですが、画題を変えるだけでは段々飽きられてきてしまうことから、今度はこれを動かそうとし始めたのだとか。
         巨大画の一部(雲だったり、描かれている建物のドアだったり)を機械仕掛けによって動かしたのだそうです。
         ところが、絵の中の一部が動くと、何だか不調和で、他の部分が動かないことが余計に目についてしまったらしく、さほど好評というわけにもいかなかったようです。
         『パノラマ』の類は、遠近法を駆使した『だまし絵』なのですから、下手に動かしたりしない方が良いのでしょうね。

         さて、より刺激的な見世物は無いのかというと、光学器械を使った見世物も出てきました。
         『ファンタズマゴリア』が有名ですが、要はスライド、幻灯のようなもので、幽霊の像を映したり、それを拡大、縮小して見せたりして動きを演出したそうです。
         これがまた結構当たったようで、こういう物を見慣れなかった当時の人々の間では相当怖がられたのだそうですよ。

         リードでも書いた悪趣味な見世物と言えばフリーク・ショーでしょう。
         本物、偽物を問わず、人間の奇形を見世物にしたのです。
         これらは『個人』を見世物にしたわけですが、これを『民族』に拡大していったのですね。
         いわゆる『野蛮人』を見せるというものです。
         『ホッテントット・ヴィーナス』と称して、ホッテントット族の女性を見世物にしたり、インディアン一家を連れてきて踊らせてみたり。
         そこには、イギリス人達の優越感があったのでしょう。
         何と、醜悪な見世物なんでしょうね。

         奇形と言えば、この世に存在しない生物のまがい物を見せるというのもありました。
         魚と猿を合体させてミイラ化させた人魚の見世物なんていうのが有名なようですが、その他にも5本足の牛とか、もうそんなのいるわけないじゃんというまがい物が作られて公開されたようです。

         これに近いのは動物ショーでした。
         学者豚とか、そういう類ね。
         本書で、『蚤のサーカス』が紹介されているのですが、これはどういう物だったんでしょうね?
         本書の記述によれば、蚤が自分の背中に何匹もの蚤を乗せて運んだり、大砲を発射したり、皿を運んだりしたということですよ(それを拡大鏡で見るんだとか)。

         さて、忘れてはいけないのが蝋人形です。
         マダム・タッソーが有名ですが、当時のロンドンにはそれ以外にもかなり多くの蝋人形館があったのだそうです。
         しかし、やはりマダム・タッソーの蝋人形が最も精巧だったとか。
         とにかく実物に忠実に作られており、デス・マスクが取れればそれを基にしたそうですし、取れない場合にも一番似ている肖像画を基にして、衣装も忠実に再現したのだそうです。
         ひどい蝋人形館だと、同じ人形を名前を変えて別人に仕立てて展示したなんていうのもあるそうですから、マダム・タッソーの蝋人形館は良心的だったのでしょう。

         ということで、駆け足で内容をご紹介しました。
         この本、とにかく丹念に書かれているんですよね。
         一つのトピックについても、当時の宣伝チラシ、新聞記事、その見世物について書かれた文章などをよく拾い、どういう内容だったのかを詳細に書いています。
         見世物の絵が残されている場合には、その図版も紹介されています。
         活字も小さく、それだけに読むのも相当に大変なのですが、労作ではないでしょうか。


        読了時間メーター
        □□□□□   しばらくお待ち下さい(5日以上、上限無し)
        >> 続きを読む

        2020/05/19 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      ケルトの神話 女神と英雄と妖精と

      井村君江

      筑摩書房
      カテゴリー:神話、神話学
      3.0
      いいね!
      •  なかなか面白かったです。
        ファンタジーやゲーム好きな人なら一度は聞いたことがありそうな、
        クー・フーリン(本書の中ではク・ホリン)のお話とかが収録されています。

         世の中にたくさんあるファンタジーの原型がいっぱいつまっていますね。
        ギリシャ・ローマ神話や北欧神話とはまた違って楽しめました。
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        2015/02/02 by kengo

    • 2人が本棚登録しています
      招かれざる客たちのビュッフェ

      深町真理子 , BrandChristianna

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 【何と巧妙な作品なのでしょうか】
         ミステリ短編集なのですが、ちょっと変わった構成を取っています。
         ビュッフェというよりは、コース・ディナーのようにメニューを組み立て、それぞれの『料理』に合う作品を何編かずつ揃えて提供しているんですね。

        そのメニューはというと……
        ① コックリル・カクテル(4編)
        ② アントレ(3編)
        ③ 口直しの一品(1編)
        ④ プチ・フール(4編)
        ⑤ ブラック・コーヒー(4編)
        です。

         ①のコックリル・カクテルというのは、探偵役を務めるのがコックリル警部であることからそういうネーミングになっています。
         
         どの作品を読んでも感じるのですが、極めて巧妙な筋立てになっています。
         しかも、その巧妙さが分かるのが最後の最後です。
         そう、料理を食べ終えた後の余韻、後味的なところでガツンとやられます。
         それは思いもかけない決着だったり、非常にシニカルな味わいだったり。
         通常の謎解きミステリとは異なる、独特の風味が感じられます。

         中には、ちょっとそれはあまりにもご無体なと言いたくなるようなトリックのものもあるのですが、問題はそのトリックの荒唐無稽さではなくて、そういうトリックを持ってきたことによって醸し出される得も言われぬ味わいこそが、クリスチアナ・ブランドの料理の魅力なのですよね。

         一作だけ、内容を簡単にご紹介しましょう。
         『ジェミニー・クリケット事件』です(アントレの一作です)。
         ドアが一つしかない事務室内で殺人事件が起きました。
         その部屋にいた男性から、通りを挟んで向かいにある警察署に助けを求める電話があり、男性は電話の中で、「長い腕」、「どこへともなく消えていく」などと訳の分からないことを言うのです。
         異変を察知した警察官達がその事務所に駆けつけてみると、男性の養子がドアを開けようとしているのですが、どうしても開きません。
         どうやらドアには鍵がかかっている上、中から閂をかけているようなのです。
         閂はドアの上下にあるということなので、上下の板を外してそこから手を突っ込んで閂を外し、体当たりをしてドアを破りました。
         部屋の中には煙がもうもうと立ちこめ、男性が座っている椅子の前のテーブルが燃えていました。
         その時、ガチャンというガラスの割れる音がし、部屋に唯一あるガラス窓が割れていて、割れ残ったガラスが揺れていました。
         しかし、窓の外には何の異変もありません。
         男性は、首を絞められた上、ナイフが背中に刺さって絶命しており、ナイフは刺されて間もない様子で、傷口からはまだ血が出ていました。
        完全な密室なのでしょうか?
         それから1時間ほどした頃、パトロールに出ていた警察官から署に助けを求める電話が入り、その電話で、警察官は「長い腕」、「どこへともなく消えていく」などと言うのです。
         電話をかけていると思われる場所に急行したところ、警察官が首を絞められた上、背中にナイフを突き立てられ、さらに水の中に突っ込まれて死んでいました。
         背中に突き立てられていたナイフは、事務所で死んだ男性の事務所から持ち出されたナイフだと判明します。
         さて、これは一体?

         かなり奇妙な状況が描かれますが、その謎解きを読むと、「おいおい」と言いたくなる部分もないではありません。
         しかし、やはり奇妙な味わいを残す作品なのですよ。
        >> 続きを読む

        2020/01/03 by ef177

    • 2人が本棚登録しています
      財界人物我観 (経済人叢書)

      平岩外四福沢桃介

      3.0
      いいね!
      •  福沢諭吉の婿養子、福沢桃介による明治・大正期の財界人の紹介文…なのでしょうか。どの章も最終的には著者の説教になってしまってなんだかなぁ、というのが読み終わっての第一印象です。

         著者が紹介する面々は荘々たるものです。三菱の創始者岩崎弥太郎、その番頭荘田平五郎、三井物産の重鎮益田考など…その来歴・裏話を紹介するまでは面白い。ただ気がつくと「倹約こそが成功の秘訣」「算板(数字に基づく知見)こそが企業家にとって大事」と言う話になってしまって「またそれか…」とため息が出てきます。いやそれはもう分かったから、と何度突っ込んだことか。後書きを読むと口伝形式で福沢桃介の秘書が文を起こしたようですが、割とうんざりしながら書いたのではないでしょうか、これ(笑)

         時代が時代(初出が昭和4年です)なので方位を大事にしろだのや神仏を崇めよだとか、胡散臭い部分も見隠れします。本人は至って真面目に言ってる節があるのがなおタチが悪い。まぁ、これは時代なのでしょうが。

         人物の紹介自体は面白いのですが、以前に読んだ他の「経済人叢書」シリーズに比べると俗っぽく、上述の説教臭い面も加わり格落ちと言ったところでしょうか。引きたててオススメ出来る本では無いですね・・・。
        >> 続きを読む

        2017/03/01 by aokaze

    • 1人が本棚登録しています
      めっきらもっきらどおんどん

      長谷川摂子 , 降矢奈々

      福音館書店
      カテゴリー:芸術、美術
      4.7
      いいね!
      • 近所のお兄ちゃんにおばけごっこで遊んでもらってから「おばけブーム」到来。おばけが出てくるお話にしては怖くないし、セリフの抑揚が楽しいので2010年年間通してのベスト1。 >> 続きを読む

        2015/02/01 by ぶぶか

    • 9人が本棚登録しています

出版年月 - 1990年3月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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