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1990年7月発行の書籍

人気の作品

      リプレイ

      ケン・グリムウッド , 杉山高之

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.6
      いいね!
      • 1988年10月18日、午後1時6分。ジェフ・ウィンストンが死んだのは、妻と電話しているときだった。
        43歳で死んだはずの彼が目覚めると、記憶と知識はそのままで、25年前に逆戻りしていた。
        その記憶を活かし、莫大な富を築き上げるが…

        10月の課題図書。
        何度も何度も繰り返される「リプレイ」に、次の人生はどう生きるか、どのような選択をするか。夢中になって読んでいました。なかなか読書できない日々が続いたのですが、通勤時間でこの本を少しずつ読んでいくのが楽しみでした。

        「リプレイ」の前には何もかも無力だ。未来を知って人生をやり直しても、また繰り返されるだけ。自分には何ができるのかわからない。次第に失意や絶望に陥ってしまう気持ちがリアルに伝わってきて、より物語に入り込んでいきました。
        人生を繰り返していくなか、「リプレイ」のおかげで出会えた愛がありました。同じく人生を「リプレイ」しているパメラの存在は、主人公にとって大きな力となったことでしょう。しかし二人の時間にも、ずれが生じていることがわかり…徐々に共に過ごす時間がなくなっていくのも、切なさを加速させました。
        個人的にはリンダとのすれ違いが気掛かりだったので、こちらもどうなるか気になっていました。「私たちに必要なのは…」の続きが良いものであることを祈っていました。
        それから、老人を見て老いに羨望の眼差しを向けるシーンが印象的でした。自分には手に入らないもの。その描写がすごく好きです。

        ラストはとても希望に満ち溢れています。無為に過ごしてきた時間が宝物のようで、可能性は無限であることに気がつきます。私も愛する人たちとの時間を大切にしようと思いました。なんて清々しいんだ。
        >> 続きを読む

        2020/01/30 by あすか

      • コメント 4件
    • 他3人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      寄生獣 -  1

      岩明 均

      講談社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.5
      いいね!
      • この本の名言をご紹介します。

        ***
        ほとんど可能性ゼロに近いじゃないか!
        …………でもやらなきゃ…………
        確実な0だ!!
        >> 続きを読む

        2013/09/26 by 本の名言

    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      百舌の叫ぶ夜

      逢坂剛

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 図書館で三ヶ月予約まち。ドラマも見ないで待ちました!
        途中、人物関係が誰が誰だかわかんなくなったり、時系列もきちんと理解できていない気もするけど…
        でも面白かった!
        百舌の正体が明かされるところは、うわぁぁぁぁぁ!(◎_◎;)といった感じ。
        次々出てくる意外な真実。ラスト数ページまで安心できない、スピード感のある本でした。
        もう一回読み返して、きちんと理解したいけど、まずはシリーズ第二作へと進みます…。あと、テレビドラマもやっと見ます(笑)
        >> 続きを読む

        2014/11/11 by もんちゃん

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      ガンダム・センチネル Aliceの懺悔

      高橋 昌也

      大日本絵画
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 読んだ日は適当。
        ガンダムが現実になったこんな感じになるのかという新たなガンダムの一面を見せてくれた、すばらしい作品。
        普通に考えればコクピットの中はそんなもんだよね。Gのレコンギスタでも同じような演出しているしな。
        >> 続きを読む

        2015/01/23 by Logikoma41

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    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      不思議の国ニッポン

      BonnetPaul

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:社会学
      3.0
      いいね!
      • 日本での生活が長いフランス人著者から見た日本。

        客観的に見た日本人。世界における日本を知ることができる。

        親日家を自称するフランス人の著者の目線で見た日本像が刺激的。

        日本の歴史にも精通し、武家諸法度なども引き合いに出すなど、下手な日本人より日本についての造詣は深い。

        幾つもエピソードは有るが印象に残ったのは中曽根首相の政治姿勢だった。
        当時の作品で有るというのはもちろんだが、日本暮らしが長いとは言え、外国人の視点で日本の首相が分析されているのが刺激的だった。

        米(コメ)問題での政治的駆け引き。
        圧倒的な貿易黒字による逆風の中での訪米。
        人種差別的な発言など問題は有れど、バイタリティ溢れる首相で有ったのは間違いない。

        日本人としての誇りを持ち、世界相手に胸を張って正対するためにも我々日本人は、まず祖国日本を知る必要が有ると改めて感じた。

        国際化の第一歩は祖国を知ることなのかもしれない。
        >> 続きを読む

        2012/10/19 by ice

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    • 1人が本棚登録しています
      網走発遥かなり

      島田荘司

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 短編が組み合わさって一つのストーリーを展開。

        それぞれ別の味付けを施された短編は楽しめるものの、全体としては難有り。

        プロットはサスガだが、短編が組み合わさって全体を成すという性質上、主役脇役を含めると多少登場人物が多すぎた感が有り、焦点がぼやけた。

        せっかく短編それぞれで立てたキャラで固め、全体を通して大きな感動に導くという試みだっただけに残念でならない。

        江戸川乱歩が絡んで来る短編が有るのだが、その名前から醸し出される乱歩的世界観についてのイメージは出来るものの、思い入れが全く無い人間には、返って感情移入して読み進めることの妨げになっている。

        良い意味でトリッキーな展開が多い島田氏作品だが、本作品は、読後に人物間の相関関係を再度整理してやっと納得するという状態で有ったため、やはり少し行き過ぎが有ったのではなかろうか。

        島田氏作品の中では、少しランクが落ちると言わざるを得ない。
        >> 続きを読む

        2012/06/21 by ice

      • コメント 1件
    • 2人が本棚登録しています
      学生街の殺人

      東野圭吾

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      2.7
      いいね!
      • これはかなり古い作品だけど、読んだのは割と最近だった。
        出版されてからかなり経っていることもあり、昭和な古い感じは否めない。

        ボリューミーな作品のわりに煮え切らない感じ。

        面白くないわけではないけど、東野圭吾の作品としては普通。
        切ないストーリーです。
        >> 続きを読む

        2012/12/23 by mahalo

      • コメント 2件
    • 13人が本棚登録しています
      情報フィ-ルドノ-ト 激動の世界を読む

      小川和久

      講談社
      3.0
      いいね!
      • 天安門事件やペレストロイカで揺れる1989年当時の世界情勢。

        米中ソを中心とした諸外国と日本との関係について毅然とした態度で主張する。

        題材として、国際情勢の様々な局面を取り上げてはいるものの、一貫して、国際人としての豊富な知識と毅然とした主張の必要性を説いているように感じた。

        とくに気になったのは、主従で有る前に、親子関係という言葉を使っても言い過ぎではない程の依存度で有るアメリカとの軍事面における関係。

        戦争放棄は大前提として、国家としての軍備に対する考え方をはっきりと示す必要性が有るという主張に対しては大いに頷けるところが有った。

        このままアメリカの強大な軍事力の傘の下で生きていくというスタンスが明確なら、国内の軍事産業など不要であろうし、ましてや国産戦闘機開発など大いなる無駄である。

        また仮にも自国内で軍事力を開発生産するつもりが有るのなら、そこにアメリカの意志が関係してくるのは内政干渉以外の何者でもないことを十二分に理解し、強い姿勢で拒否する勇気が必要であろう。

        巻末の対談で、軍事問題と経済問題のすり替えを許さなかったノルウェーの例があがっているが、日本も、これくらいのしたたかさを持つ必要が有るのは間違いない。

        安易に日本の政治家の腰砕けぶりを嘆くのではなく、個々の国民を啓蒙する作品である。
        >> 続きを読む

        2011/05/19 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      愛と幻想のファシズム

      村上龍

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 初めて、「夢中で」読み進めた本。

        タイトルがおしゃれだな~と思って(そんな単純な理由で)
        まずは上巻を買ってみたらハマってしまいました。

        それまで、上下に分かれていると
        うわっ長い!めんどくさい!と思って手を出していなかったのですが
        するする読めてしまいました。

        古めかしいセリフの言い回しとか
        ノスタルジックな雰囲気と男くさい主人公が
        グッと来たんですね、きっと。

        何かに反抗・抵抗している姿が眩しく見える
        そんなフェチがあるのかも。
        「青臭さ」への憧れ。
        10代の頃にパンク・ロックにハマったのも
        そのせいかもしれません。

        合わせて聴きたい一曲
        Some Might Say / Oasis
        >> 続きを読む

        2017/07/18 by Lilly

    • 14人が本棚登録しています
      松のや露八

      吉川英治

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 幕末の動乱期を不器用ながらもしぶとく生きる侍。

        正直、主人公の人物にあまり魅力が無い。

        登場人物を魅力的に描くことに関しては他の追随を許さない吉川氏。

        しかし本作品では、そもそも魅力的で無い人物らしく、いかに吉川氏を持ってしても魅力的な存在とはなりえなかった。
        筆者が何故このプロットを選択したのかが良く分からない。

        分かりやすいキャラクターということも有り、感情移入は容易と思われるのだが、おそらく短絡的かつ無分別に人生を選択する姿に不快感が大きいのだと思う。

        斜に構え世間を批評しながら、自身は楽な方へ流されて行く。
        現代でも、そういう人間は存在するが彼らは何も生み出さないし人から本当に好かれることも無いだろう。

        とは言え、さすがにその圧倒的な実力で、それなりのところで纏め上げられている。
        >> 続きを読む

        2012/05/28 by ice

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    • 1人が本棚登録しています
      ハーツ

      倉本由布

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 花音15歳。
        この巻は印象深い。おばあちゃんが亡くなってしまう巻。

        花音の家庭教師をしている不破先生の忘れられない(誘拐されて殺された)女の子が、花音の学校の坂本先生の妹だった。
        …これはすっかり忘れていた。なかなかヘビーな内容だな。

        坂本先生を好きな野村くんと先生宛のプレゼントを買いに行くところは可愛らしくて好き。野村くん、良いやつだ。

        みーくんと淳くん。
        どちらかを選ぶことに決着をつけた花音だけど、それで良いのか!な選び方。先に告白してきたほうなのね…。
        でも早速後悔してない?良いのかそれで。なかなか次巻が気になるよー。
        >> 続きを読む

        2014/03/07 by パクパク

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    • 1人が本棚登録しています
      猛き箱舟

      船戸与一

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 1巻
        まだ激しい銃撃戦はでてこない

        2013/10/18 by bob

    • 1人が本棚登録しています
      猛き箱舟

      船戸与一

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 2巻
        西サハラのマグレブ地方は、モロッコ王国軍とポリサリオ解放戦線が争ってて、、
        外情勢よく分からないけど、激しくなってきた。
        とりあえず銃撃戦始まったし、戦車?とかでてきてワクワクした。
        >> 続きを読む

        2013/10/18 by bob

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    • 1人が本棚登録しています
      スリーピング・マーダー

      アガサ・クリスティ , 綾川梓

      早川書房
      3.0
      いいね!

      • 若くて美しい人妻グエンダ・リードは、イングランド南部の海辺のひなびた町ディルマスで、その売り家を見た時、「ほとんど確信に近い胸さわぎを覚え」ながら、「これが、わたしの家だ!」と思った。

        確かに、今は名前こそ違ってはいるが、このヒルサイド荘は、彼女が幼かった頃、ニュージーランドの親類に引き取られる前、父と義母と一緒に住んでいた家だった。

        しかも、グエンダは、そこで女が死んでいるのを見た。「誰が死んでいたの?」と聞く、詮索好きの老嬢、ミス・マープルの問いに、彼女は「素早く機械的に」答える。「ヘレンが------」。

        こうして、二十年近い昔の殺人事件が、にわから浮かび上がってくるのだった。

        この「回想の中の殺人」の謎を解決するのは、もちろんミス・マープルであり、それがミス・マープル最後の事件となる「スリーピング・マーダー」は、1976年に85歳で亡くなったアガサ・クリスティーの遺作なのです。

        彼女の死後に出版されて、イギリスとアメリカではベストセラーになりましたが、このマープルものが書かれたのは、どうも1930年代の終わりごろらしいと言われています。

        しかし、読みようによっては、この「スリーピング・マーダー」は、偉大な女流推理作家の遺書とも受け取れると思います。

        初めて海外の推理小説を読むなら、アガサ・クリスティーからというのが、無難なところだろうと思います。

        謎があり、トリックがあり、名探偵が登場し、最後には邪悪な犯人が明らかにされる。つまり、伝統的な"探偵小説"なのです。

        もちろん、絶対にアガサ・クリスティーでなければならないということはありません。エラリー・クイーンでも、コナン・ドイルでもかまいません。

        この作品は、過去の殺人の謎を解き明かすという、いかにもクリスティーらしい推理小説だけれども、彼女の作品の中では、少し不満が残ります。翻訳がたどたどしくて、素人くさいせいかも知れません。

        この「スリーピング・マーダー」に少し失望しても、クリスティーを見捨てないで、彼女の短編を集めた「クリスティー傑作集」(深町真理子訳)を読んでみると、クリスティーが創造した名探偵を知ることができます。

        シャーロック・ホームズ以来の名探偵と言われる、口髭をワックスで固め、卵形の頭をしたエルキュール・ポワロ、夫婦探偵のトミーとタペンス、幽霊探偵ハーリー・クイン、私立探偵パーカー・パイン、それに、平和な村の生活を楽しみながら「人間の極悪なすべてを知りつくしている」、この作品にも登場するミス・マープル。とにかく、この作品と違って、翻訳が格段にいいので、安心して読むことができます。

        その後で、「アクロイド殺人事件」や「そして誰もいなくなった」など、クリスティーの傑作を読んでみるのがいいと思います。


        >> 続きを読む

        2018/01/22 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      おやじの値段 '87年版ベスト・エッセイ集

      日本エッセイストクラブ

      文藝春秋
      2.0
      いいね!
      • 60作品程度が収録されたエッセイ集。

        テーマも作家達の共通点もとくにない普通のエッセイ集。

        このジャンルは苦手意識が強いので、再挑戦的な心構えで臨んだものの正直辛い。

        せめて同一テーマで有るとか、書いている作家に共通点が有るとか、何がしかのテーマを設けて収録作品を集めてもらわないと雑誌の切り抜きを読まされている感が有って萎えて来る。

        気持ちが乗らないせいだろうと思うのだが、読後に収録作品を思い返しても片手分も思い出せない始末。

        ショートショートは、起承転結までは行かないにせよ、短い中で必ず盛り上がる場所を持っているが、エッセイとして分類されるものは著者の日記かと思うような何の得るものも無い文章でもまかり通る感じがして嫌い。

        そもそもエッセイというのは雑誌のコラム的なもので、まとめて本になるようなものではないのかもしれない。

        やはりエッセイというジャンルは苦手だという認識を深めた。
        >> 続きを読む

        2012/05/10 by ice

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    • 1人が本棚登録しています
      ロンドンの見世物

      AltickRichard Daniel , 浜名恵美

      国書刊行会
      カテゴリー:大衆演芸
      4.0
      いいね!
      • 【教育か娯楽か。それが問題だ。】
         しばらく間が空いてしまいましたが、以前レビューした『ロンドンの見世物』の最終巻をようやく読み終えました。
         いやぁ、このシリーズ、密度が濃いので読むのが結構大変なんですよね。
         そのため、2巻までは読んだものの、最終巻に手をつけるのがためらわれてしまい、なかなか読み出せずに引っ張ってしまいました。

         さて、第三巻は1798年~1817年にかけてスプリング・ガーデンズのグレイト・ルームで公開された自動人形の話題から始まります。
         様々な芸を見せる機械仕掛けの人形がブームになったんですね~。
         第一巻でも触れていましたが、『メルツェルの将棋指し』なんかが有名です。
         もっとも、この将棋指し人形はインチキで、その点については、ポオが『メルツェルの将棋指し』という作品で、「中に人が入ってるんだぞ!」とからくりを暴露しちゃいました。
         このポーの作品も人気を煽る要因の一つになったというから皮肉なものではあります。

         このような自動人形が人気を博した理由の一つとして、大衆の科学に対する関心という点があったのだということです。
         この時代、産業革命を目前に控え、様々な技術が開発され、科学万能感のようなものも醸成され、機械によってどんなことでもできる的な夢が広がっていった時代だったのかもしれません。
         労働者に対する啓蒙的な意味合いも込めて(職工学校普及運動とも関連していたそうです)、色々なカラクリ仕掛けが盛んに公開され人気を呼んだのだとか。

         さらに教育的色合いを強めたのはロイヤル・インスティテューションで行われた一連の科学講演でした。
         炭鉱で安全に使用できるライトであるデービー灯を発明したハンフリー・デイヴィや、子供たちを相手に恒例のクリスマス講演で『ろうそくの科学』を披露したマイケル・ファラデーらの科学講演が人気を博したのです。

         このような教育的側面をさらに進めた『見世物』施設は色々と作られたようなのですが、中でもポリテクニック・インスティテューション(科学技術会館)が注目されるところです。
         ここでも様々な出し物が公開されたのですが、酸水素顕微鏡(どういうものなんだ?)なる物で様々な物を拡大して見せたのだそうです。
         その白眉は、テムズ川の一滴の水に潜むうじゃうじゃとした微生物だったとか。
         「うへ~。こんなもん飲んでたのかぁ。」的な驚きがあったのでしょう。
         で、じゃあテムズ川を浄化しようとなるかというとそうはならず、人々は「こんな水なんか飲むのをやめて、ギネスかウィトブレット・ビールに限る!」となったんだとか(あらら)。

         しかし、大衆が本当に科学的啓蒙を求めていたのかというとどうもそうでもなかったようなのです。
         当初は物珍しさも手伝い、盛況だった科学演目も、徐々に翳りがさし始め、ポリテクニック・インスティテューションでも出し物が段々様変わりしていくのです。
         演芸をやり始め、こっちの方が人気が高くなっていったようなんですね。
         教育を主目的にと設立されたは良いものの、やっぱり大衆は教育より娯楽を好んだようなんです。
         かくしてポリテクニック・インスティテューションを始めとする教育施設は、徐々に大道芸人たちの演芸場的なものになっていったとか。

         このような『見世物』に政府はどのように関与したかというと、基本的に干渉していないのだそうです。
         もっぱら民間により推進させられていたようなのですが、4つだけ、国家的な文化施設がありました。
         それは、ウェストミンスター寺院、セント・ポール大聖堂、ロンドン塔、大英博物館でした。
         これらの公的機関は、当初は大衆の入場を制限し、また、入場料を徴収していたのですが、それで良いのかという議論が国会でも沸き上がったのだとか。

         諸外国ではこういった公的施設では入場料など取らず広く大衆にも開放されているというのに、イギリスは情けないという議論なのですね。
         金銭面では特にウェストミンスター寺院は批判のやり玉に挙げられ、入場料を取るばかりか寺院内の様々な物を見ようとする度に堂守がその都度金を徴収する意地汚い場所だと批判されたのだそうです。
         また、大英博物館もろくに整理されておらず、劣悪な環境に収蔵物をぎゅう詰めにし、しかも公開時間が短いとは何事だというわけです。

         一方で、大衆が押し寄せてきたらあいつら何をしでかすか分からないという議論もあり、この辺り、当時のイギリスの階級意識がモロ見えの議論が国会で行われていたんですね。
         解放賛成派は、大衆が安酒場に入り浸るのを防げるから開放すべきなんていう主張までしていたとか。
         この議論には、労働時間の短縮も影響しており、徐々に労働時間が短縮されていた時期ですので、仕事が終わった後見物できるように施設開放時間を伸ばせというような議論もあったようです。

         そして、国家的営為と言えば忘れちゃいけない水晶宮です。
         1851年、ロンドンで開催された第一回万国博覧会のパビリオンですね。
         これが大人気!
         壮大な国家的見世物小屋だったわけです。
         万博終了後も、水晶宮を壊してしまうのは忍びないということで、ロンドン南郊のシデナムに移設され、ますます見世物小屋的色合いを強めて運営されていたそうです。

         そんなこんなを経て、再びパノラマに戻ってきます。
         いやぁ、ロンドンっ子ってパノラマ好きなんですかねぇ。
         一時、凋落したパノラマも完全に息の根を止められていたわけではなかったようなのですが、そこにスターが登場したのです。
         その名もアルバート・スミス!
         もとは医者だったのですが、根っからの旅行好きだったこともあり、自分が訪れた場所の探訪記的な出し物を演じて大ヒットだったそうです。
         中でも『モンブラン登頂』という演目がすこぶる人気が高かったのだとか。
         一応、パノラマということになってはいるのですが、従来のように大きな絵を見せるだけというのとは異なり、スミスの軽妙な語りや歌がメインで、絵はその添え物的な出し物だったそうです。

         これがヒットすると似たような演目があちこちで行われるようになるのですが、スミスはエンターテイナーだったのでしょうね。
         彼の語りは他を寄せ付けなかったようです。
         で、これってよくよく考えてみると、もはやパノラマというよりも映画やテレビの先駆け的な演目なんじゃないですかね?

         そうなんです。
         長く栄華を誇ったロンドンのパノラマですが、遂に息の根が留まる時代を迎えるのです。
         それが写真であり、ぼちぼち上映され始めた映画だったのですね。
         こうしてロンドンの見世物は一つの時代を終えていくのでした。

         というわけで、全3巻にわたり、ロンドンで公開されたあれやこれやの見世物をご紹介し、当時の風俗や文化にも立ち入った大変な労作がこのシリーズです。
         本当に情報量が多く、また、よく調べたなぁと思わせる作品になっています。
         地味な本ですが、良書でもあると思いますので、図書館などでお見掛けの際は、ちょっと読んでみると面白いのではないでしょうか。


        読了時間メーター
        □□□□□   しばらくお待ち下さい(5日以上、上限無し)
        >> 続きを読む

        2020/05/20 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      私の猫たち許してほしい

      佐野洋子

      筑摩書房
      4.0
      いいね! Arisann
      • 佐野洋子さんのエッセイは読んだことがありますが、こんな風だっけ?と感じました。処女作だそうですが、なんだか全編に張りつめたさびしさというか、小さい子が些細なことで感じる絶望がところどころでリアルに出てきて、わりと心をやられました。小さいときの悔しい思い出とか、思い出してしまった。

        なんだかもっとコミカルなタッチだった気がしていたのですが、誰か別の人と勘違いしていたのかもしれません。とてもぐっとくる重みがありました。率直さゆえの残酷さというか、こどものそれですよね。あの感受性。かなしくてかなしくて、もう。
        ベルリンで佐野洋子が出会ったという老婆の話とか、寂しさがたまらないのです。私も黒い心の持ち主だから、きっと引っ張られるのでしょう。

        子供の頃の黒い気持ちを再び思い出させられたので、正直きつかったです。でも読んでしまった。しばらく佐野洋子は読みたくないけど、たぶんまたいずれ別のエッセイを読むでしょう。怖いもの見たさで。
        子供の頃も、『百万回生きた猫』は悲しすぎて苦手でした。それよりも、『おじさんのかさ』が好きでした。
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        2016/07/24 by ワルツ

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      やぶれさる探偵―推理小説のポストモダン

      ステファーノ ターニ

      4.0
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      • 【一風変わった視点からの推理小説論】
         タイトルがなかなか魅力的ですよね。
         本書は、サブタイトルにもあるように、ポストモダンの立場から推理小説を捉えてみようという論旨の本です。
         著者の言うところの『ポストモダン』とは、脱-中心、脱-構築と説明されていますが、これを推理小説に当てはめる時、それは、推理小説にお決まりのスタイルを脱した『新たな』推理小説が生み出されてきているのだという主張に要約できると思います。

         著者が挙げる典型的な推理小説は、その創始とも言われるポーの『モルグ街の殺人』です。
         ここには謎があり、探偵する行為があり、解決があるという、定型的なスタイルが確立されているわけですね。
         そして、その謎の解決に当たってはすぐれて合理的、論理的に推理を働かせることが必須とされています。

         これが永らく推理小説の定型だったわけで、それはイギリスにおいて、アガサ・クリスティを代表とする作家らにより墨守されてきました。
         もちろん、アメリカにおいてもこのスタイルを堅持する作家はいましたが(ヴァン・ダインやエラリー・クィーン)、アメリカはやや事情が異なっており、そこに論理よりも現実性を重視したハードボイルドが割って入って来たという経緯があります。
         いずれにしても、古典的な推理小説のスタイルは行き詰まりを迎え、そこから反-探偵小説、ポストモダン的な探偵小説が生まれてきたのだと、著者は説きます。

         著者はイタリアの出身なのですが、イタリアではやや事情が異なっているものの、やはり反-探偵小説を生みやすい素地があったのだと指摘します。
         それは、イタリアでは推理小説が紹介されたのが極めて遅く、1929年までイタリアには探偵小説という概念すら無かったのだそうです。
         紹介が始まっても、時折イギリス産のミステリが散発的に現れるのがせいぜいで、イタリア文学において推理小説が書かれることは久しく無かったと言います。
         第二次世界大戦を挟み、ようやく推理小説が本格的に流入してくるのは1941年のことで、その中身もほとんどがイギリス産のミステリだったため、アメリカのハードボイルドを見た時にはそれはミステリとは全然別物というとらえ方がされたのだとか。
         この様に、別の言い方をすればミステリに関する素地が十分に無かったことから、逆に反-探偵小説のような作品が柔軟に生まれやすかったのだというのが著者の主張です。

         さて、本書の構成は、まず、典型的なミステリ(ポーですね)はどういうものなのかを分析、紹介した上で、反-探偵小説の具体例として8つの作品を挙げ、それらを①革新的な反-探偵小説、②脱構築的な反-探偵小説、③メタフィクショナルな反-探偵小説の三つにカテゴライズして、一作ずつ解説していくという形になっています。

         取り上げられている作品は、①の類型として、『人にそれぞれのものを』/レオナルド・シャーシャ、『太陽の対話』/ジョン・ガードナー、『薔薇の名前』/ウンベルト・エーコ、②の類型として、『あらゆる点で』/レオナルド・シャーシャ、『競売ナンバー49の叫び』/トマス・ピンチョン、『堕ちる天使』/ウィリアム・ヒョーツバーグ、③の類型として『冬の夜ひとりの旅人が』/イタロ・カルヴィーノ、『青白い炎』/ウラジミール・ナボコフです。

         私は、取り上げられている作品のうち、『薔薇の名前』、『競売ナンバー49の叫び』、『冬の夜ひとりの旅人が』の3作しか読んでいませんでしたが、未読の作品でもそれなりに言いたいことが伝わる程度には内容が紹介されています(でも、読んでいた方が理解がし易いのは間違いないのですが)。

         著者は、これらの作品について、ある物は結末が何も解決しない、推理が全く無駄になる、結論が示されない、結論は推理の結果とは別の偶然からもたらされる等々の特徴を挙げ、いかに従来の典型的なミステリから脱却した作品なのかを論じます。
         そして、それが一時期に世界各地で同時発生したような観を呈することから、これこそがポストモダンの一つのスタイルであり、それが反-探偵小説なのだと結論づけるわけですね。

         まぁ、確かに挙げられている作品は、ミステリ的な要素があると言えばある(濃淡はありますが)し、そのような読み方もできるかもしれません。
         ただ必ずしもそう読まなくても(敢えて典型的なミステリとの対比をしなくても)と感じたことも事実であり、やや牽強付会(と言うと言いすぎですが)というか、深読みが過ぎるのではないかとも感じました。
         いずれにしても、一風変わったミステリ(アンチ・ミステリ)論であり、興味深く読むことができました。
         

        ■■■     普通(1~2日あれば読める)
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        2020/02/25 by ef177

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      雨の日のネコはとことん眠い―キャットおもしろ博物学

      加藤 由子

      PHP研究所
      カテゴリー:家畜、畜産動物各論
      4.0
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      • 猫は脳と身体の動きが直結している。
        人間が猫の右の首辺りを掻いてやると、猫の右足が自分の首を掻く様に動く。左でも同様である。
        身体がそう感じている事に対しては、身体がそう動いていないといけない様なのである。

        猫の目は嘘がつけない。猫だけが猫舌なわけではない・・・・等々。

        猫好きにもあらためてなるほどと思わせる一冊であるにゃぁ。
        >> 続きを読む

        2012/11/13 by <しおつ>

      • コメント 16件
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      血まみれの月 (扶桑社ミステリー)

      ジェイムズ エルロイ

      4.0
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      • 「LAコンフィデンシャル」で、すっかり私のお気に入りの作家のひとりとなったジェームズ・エルロイ。

        今回読了した「血まみれの月」は、彼の"ロイド・ホプキンズ・シリーズ"の第一弾で、以後、「ホプキンズの夜」「自殺の丘」と続いていくんですね。

        自称"詩人"という連続殺人犯は、暗い過去を持っていた。
        彼は少年時代、同性の同級生から犯され、以来、狂気を抱えることになったのだ。

        それは成人とともにセックスへの異常なまでの嫌悪感となって現われ、彼を犯行へと向かわせたのだった。
        目をつけた美しい女性を、セックスの虜になる前に救おうという名目で、次々と異なった手口で殺していたのだ。

        その一見、何の関連性もない殺人事件に、ロス市警のキレ者部長刑事、我らがロイド・ホプキンズが目をつけるんですね。
        彼は犯行が、天才によって行われていることを直感。
        こうして、二人の頭脳合戦が繰り広げられていくことになるのだった-------。

        このシリーズの面白さは、何と言ってもロイド・ホプキンズのキャラクターの強烈さにあると思う。

        幼い時にとんでもない目にあい、23歳の時には同僚を、ある理由があって殺害し、死体を抹消。
        その後、結婚し妻を愛していながらも他の女性と関係を持ち、幼い愛娘には「現実を知るために」といって殺人事件を詳しく語って聞かせたりするのだ。

        ホプキンズが異常なまでに正義感にこだわるのも、自分が殺人者だったといううしろめたい過去のせいなのだ。
        まさに一筋縄ではいかない"コンプレックス・ヒーロー"。
        この陰影に富んだホプキンズのキャラクターが、この作品の最大の魅力だと言っていいと思う。

        一方、犯人の方は、ホプキンズ同様、明晰な頭脳、暗い過去を抱えながら、それがマイナスの方向へと傾いていった男なのだ。

        いうなれば、この二人は"合わせ鏡"のような存在で、その対比が絶妙なんですね。
        個人的には、この関係がトマス・ハリスの「レッド・ドラゴン」の刑事グレアムと犯人ダラハイドと重なって見えましたね。

        同じ経験を共有する者だけが理解し得る心理が、ここでも決め手になり、追いつ追われつの強烈なサスペンスとなって展開していくんですね。

        因みに、ホプキンズの身長は二メートル。
        過激な言動、暗い過去でも有名な作者のジェームズ・エルロイが、同じような身長であることを考えて読むと、二人の像がまたしても重なってしまいます。

        >> 続きを読む

        2018/05/23 by dreamer

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