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スティーヴン キング
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【凝縮された恐怖】 本作の主人公、ポール・シェルダンはベストセラー作家です。 代表作は、『ミザリー』という女性を主人公にしたシリーズ物でした。 確かに大変売れているシリーズなのですが、ポールにしてみればこの作品はただ売れるだけの作品であり、自分の作家としての力量を十分に示した作品ではないと考えていました。 そこで、ポールは、遂に作中でミザリーを殺してしまったのです。 それは、まるでコナン・ドイルがホームズにウンザリした挙げ句、ライヘンバッハの滝にホームズを突き落としたように。 これが『ミザリー』シリーズの最終作、『ミザリーの子供』でした。 この作品は、間もなく出版されることになっていました。 ポールはミザリーをやっかい払いした後、すぐさま次の作品に取りかかっていました。 これは、ミザリーシリーズとは全く異なる作品で、これこそ自分が書きたかったものだとポールは考えていました。 そして、今、最新作の最後に『end』の文字を打ち終わったところでした。 「完璧な作品だ。絶対の自信作だ。」 ポールは、書き上げたばかりの原稿を持ち、嵐が接近しているというのに車に乗って走り出したのです。 それは、傑作をものにしたという高揚感だったのかもしれません。 「ニュー・ヨークなんかに帰るものか。」と。 ……鈍く、重苦しい眠りから目覚めたポールは、自分が見知らぬ家のベッドに寝かされていることに気づきます。 両足には激痛が。 「私はあなたのナンバー・ワンのファンなのよ。」 アニー・ウィルクスと名乗る、雌牛のようなごつい中年女性が立っていました。 ポールは、嵐が近づく中車を運転していて事故を起こしてしまったのでした。 そこに偶然通りかかったアニーがポールを助け出し、町から離れた自分の家に連れ帰ったのでした。 アニーは、元看護婦でした。 「誰もがしていることよ。」 アニーは、自宅に大量の様々な薬をため込んでいたのです。 その薬を使ってポールを治療していたのでした。 でも、何故警察や病院に連絡しないのか? ポールの両足は、治療をしてあるとは言え、ぐちゃぐちゃに潰れているというのに。 「だって、私はあなたのナンバー・ワンのファンなんだよ。ミザリーのファンなのさ。全部読んだよ。」 アニーは、ポールを強力な薬で薬漬けにしていました。 ポールは、激しい足の痛みから逃れるために、アニーが渡してくれる薬が無くてはいられない状態にさせられてしまっていたのです。 ある日、アニーは、「あんたの最新作、『ミザリーの子供』を買ってきたよ。」と嬉しそうにポールに言うのでした。 「それは……」 そして、アニーは激怒したのでした。 「何だってミザリーを殺しちまったんだい!」 その後、アニーは、ポールに対して、「あんたが持っていたあの原稿、読んでも良いかい?」と聞くのでした。 それは、ポールが書き上げたばかりのあの最高傑作の原稿です。 ポールは、これまでもそうでしたが、完成した原稿の写しを取らない主義だったのです。 「それは構わないが……」 「あれは良くないね。あな物を書いちゃいけないんだ。あんたはミザリーだけを書けば良いんだ。」 アニーは、ポールが最高傑作と考えている原稿を燃やすように迫るのでした。 「素直に言うことをきかないなら、薬はあげられないね。」 完全に薬物中毒にされていたポールは、断腸の思いで原稿に火をつけたのでした。 その後、ポールは徐々に回復し、車椅子に乗ることができるようになりました。 アニーは、ポールに対して、「書くんだよ。ミザリーの続きを書くんだ。」と迫ります。 「そんなこと言っても、ミザリーは死んでしまったんですよ。」 そんなことで引き下がるアニーではありませんでした。 nの文字が欠けた中古のタイプライターを買ってきて、ポールに与えたのです。 「書くんだよ。」 何とも恐ろしい話です。 粗筋はご紹介したとおり、監禁され、薬漬けにされたベストセラー作家の運命を描いたものです。 極めてシンプルな筋立てで、非常に凝縮された感じを受けます。 主人公は、まるでキング自身のことを書いているかのようでもあります。 作品を書き上げる過程や、ファンとのやりとりなど、まさにキングが経験したのではないかと思われる出来事も書かれています。 事実、キング自身、『あなたのナンバー・ワンのファン』という人たちには随分と苦しめられたそうです。 ある時、やはり『ナンバー・ワンのファン』と自称する男から強引に「一緒にポラロイド写真に写ってくれ」と頼まれたことがあったそうです。 キングが渋々応じると、「サインもしてくれ」と言われて、仕方なく言われたままに写真にサインをしてやったことがあったのだそうです。 その男は……、後に、全く同じ手口でジョン・レノンに近づき、ジョンを射殺したマーク・チップマンだったのだそうです。 >> 続きを読む
2019/09/10 by ef177
深沢 美潮
フォーチュンの4巻は、叫びがいっぱいの連続の巻です。 1つ目は、これまでの1巻から3巻まで、事情があってなかなかパステルたちと共に冒険が出来なかったリーダーのクレイが今巻はずっと一緒の嬉しい叫びです。 2つ目はメインの『呪われた城』とその城に入る前の保険屋のヒュー・オーシの脅かしや、数々のゴーストタイプのモンスター出現により、パステルの怖くてたまらない悲鳴の叫びになります。 3つ目は、呪われた城で出会ったレディ・グレイスにさらわれ、悲鳴のノルでしたが、レディ・グレイスのノルへの予想外の気持ちに読者の方が心の叫びがきそうです。 4つ目は、いつも文中と挿し絵の食べ物や飲み物がおいしそうでたまらないお腹の虫の叫びになります。ここ読むと必ずお腹がぐうって鳴ります。フォーチュンの醍醐味です。 そして、5つ目がパステルとクレイの会話が良くて感動の叫びです。もし、フォーチュンのアニメがこの辺、やっていたら、名場面ベスト10にランクインの特集されていてもおかしくないかもしれません。 こういうふうに、叫びの連続がくるフォーチュン・クエスト4巻もオススメします!パステルとトラップのやりとりも多いですよ! >> 続きを読む
2018/12/18 by 佐渡惺
きうちかずひろ
BE―BOP―HIGHSCHOOL 第16/全48巻ラブコメ一色のショートストーリー集。ある意味、theビーバップとも言うべき、ラブコメ?一色の展開。まぁたまにはこんなのも良かろう...ここのところ大きなストーリーの進展が無いことを不満視して来たが、この巻に関しては、JR沿線に繰り出す一話を除いては全てラブコメという振り切り方。ここまで潔いと、ある意味納得させられるから不思議である。とは言っても、ラブコメとは言え、そこはビーバップ。オトコもロクデナシなら、オンナもロクデナシだったりして、高校生なのに、かなりオトナな設定だったりするのが笑える。いい大人になった今だからこそ、若さの暴走と笑って読んでいられるが、現役高校生にしては刺激が強すぎたりはしないかと心配になるのは、老いた証明なんだろうと寂しくなった...最近、良く聞かれるのが、何で今になってビーバップを再読しているのか?ということ。答えはひとつ。抜群に面白いから!!ある種の男の生き様が間違いなくここには有る!!ただかなりお下品なのも事実ですけど...(笑)ちなみに、気付かずにいたら、このレビューが1000件目になるところでした... >> 続きを読む
2013/09/18 by ice
夏目漱石
誰か一人作家の作品を禁じられるとして、いちばん困るのはやはり夏目漱石ではあるまいか。かくいう私はそうだ。志賀直哉なんて忘れたし、谷崎や三島とかは外国にくれてしまえ。古事記と源氏と漱石が日本をつくったと威勢を張ってみる。すこし時がたつ。野暮なことを吐かしたと反省し、口を漱ぎに川へ行く。 先般、ジェイムズ・ヒルトンの『チップス先生さようなら』を読んだ。愉快だった。変わったことも考えた。これを漱石先生が読んだらたいそう喜ぶのではないか?という想像、くだらないが丸めて捨てるには惜しい。多くの点で対照的だけれど『坊っちゃん』と並べてみたくなる。並べても仕方ないから『坊っちゃん』の方も読んでみた。こちらも愉快だった。 ところで、これは差別小説ではないだろうか。田舎や地元人の悪口しか出てこない。褒められるのは温泉だけだ。愛媛松山はどうしてへそを曲げないのだろう。『坊っちゃん』の舞台であることをいちばんの誇りにしている。小説の仕舞いを読んだのだろうか。あんなに嫌われているのに。主人公の人柄が憎めないのが大きいか。江戸っ子持ち前の気っ風のよさに加え、何度も出てくる清へのあたたかい思い。うらなりへの同情。わるい人ではないのは本当だろう。 私も田舎がきらいだ。田舎の観光街で買物をすると、懐かしい千円札をお釣りでもらってすこしおどろく。そうして帰り際に、これだから田舎は困るとつぶやいてみたくなる。 >> 続きを読む
2015/02/26 by 素頓狂
高校の教科書に載っていて読んだ小説。とても思い出深い作品だ。私は同時期に何やら難しい哲学の本を読んでいた。デカルトの方法序説だったと思う。それが読みづらくて読みづらくて面白くなく、授業でこの本を読んで「本は楽しいなあ」と思った。ストーリーは別に楽しいものではない。自分が読んでも理解できない文学的な深さを授業で説明してもらえたことや「先生」やKに共感できたからだった。私が特に思い出深いのがこの小説自体ではなく、友人O君が授業中にこの本を読んだ感想を発表した時のことである。お調子者的キャラでクラスの中心であるO君とイけてないグループにすら馴染めない私が仲良くなったのは名前が近く趣味が同じで意外とひねくれ具合が似ていたからだろう。彼とは何故か二人で島にでかけて野宿して夜通し好きなモノの話をして仲良くなった。青春である。クラスの人間ひとりひとり全員の悪口を話して夜が明けた。これも青春である。クラスのお調子者というのは前に立った時点で面白いことを言ってくれるんだろうな。という雰囲気が流れて、面白さに関係なく皆が笑う準備ができている。「「精神的に向上心がないものはバカだ」この言葉がですね。大事なんですよ。向上心のないものは馬鹿なんだ!つまり、向上心のないものは馬鹿なんだ!」発表中声を荒げて意味不明にこの有名なセリフを繰り返し、クラスでは笑いが起きたが、私には彼の気持ちが痛いほどわかった。クラスの人に対して本気で「お前らは精神的に向上心がない」と思っていること。本音を冗談っぽくでないと人に話せないということ。そして現状向上心が足りていないという自分への罵倒。彼の発表に強く共感した。いまから思い出しても私にとってこの本は内容関係なく青春小説なのである。 >> 続きを読む
2016/04/16 by ryochan333
さくらももこ
この頃、健忘症がでかかっているようだが、この「もものかんづめ」も既に読んでいるようでそれもこの春に、解かっていて読みだしたんですが、話の中できっちりと思い出せるのが半分、あとは読んだような読んでいないような、それでいうと半分は無駄にならなかったようで・・・。内容は「ちびまる子ちゃん」で、あとがきでももこさんが、「ちびまる子ちゃん」という漫画はエッセイ漫画と言われているが、全てが事実であるわけではない。以前からよく言っているが“よくいそうな架空の人物”というのが登場したり、自分なりの感想や、事実のデフォルメや、物語としての架空のエピソードも含まれている。それらを思い出のフィルターを通して仕上げているので、実際の体験を含む“物語”となっている・・と。実体験、「ちびまる子ちゃん」、エッセイ、は三兄弟のごとくつながっている。そうすると、真ん中に立ている、“さくらももこ”さんはユニークな人でおます。 >> 続きを読む
2021/07/29 by ごまめ
保阪正康
戦中戦後、一貫して参謀として実力を発揮した瀬島龍三氏の分析。真実の糾弾。名誉の保護。非常に難しい問題を扱っている。戦時中は大本営作戦参謀を務め、戦後は伊藤忠の企業参謀。その後、行財政改革で大きな影響力を持った「第二臨調」の中核として、政治参謀までを務めた瀬島龍三氏の生き様を分析している。瀬島氏賛美の内容だと想定して読み始めたが、逆に瀬島氏の生き方への問題提起が全体を占めていたのが意外だった。その場その場で権力に迎合し、その権力の威光を上手く利用し、自分の都合の良い方向へ誘導して来た瀬島氏の言動を状況証拠で固め、とくに戦時中またシベリア抑留時代に関して、真実の開示と謝罪を要求しているのが主旨で有る。かなり反瀬島視点が強い論調に対し、反感を持ったわけではないのだが、戦時中またはシベリア抑留中という生命の危機に、権力に迎合して保身を図ったことは、決して褒められたことではないが、後の人間が、そこまで糾弾して良いことなのだろうかと悩んでしまう。確かにロシアに対し、抑留者を労働力として提供するような密約が存在し、彼がそれを主導したとしたら、罪で有るのは間違いないと思う。しかし、それを彼が口にすることで、日本を揺るがす大スキャンダルにはならないか。被害者、犠牲者の方々の心中はお察しするが、開けてはいけない蓋も有るのではないかと思う。将校では有ったものの、それほど身分が高かったわけではない瀬島氏に、戦争責任を問うというのも何か違う気がしてしまう。きっと現代社会における官僚なのではなかろうか。権力を握り、勘違いを犯す場合も多いが、テストで良い点数を取るべく地道に努力を続けて来た、根は真面目な人なのだろうと思う。参謀という言葉からは、補佐対象に対して、溢れる泉のような知識から、様々な助言を与える軍師としてのイメージを持つが、一貫して参謀だった瀬島氏を見る限り、有能なネゴシエータとしての側面ばかりが目立つのが少し寂しい。結果的に大きな足跡を残したのは事実。そこはきちんと評価すべき。 >> 続きを読む
2012/05/01 by ice
スコット・トゥロー
本作は、スコット・トゥロのデビュ作にして記念碑的傑作である。スコット・トゥロは当時実際に弁護士の職に就いていて、法廷ミステリとして実務の経験を存分に活かしたであろう作品となっている。登場人物表では11人しか掲載されていないのだが実際の登場人物はもっと多くいるため、できれば2倍くらいの人数を掲載してほしかった。被害者の検事補キャロリン・ポルヒーマスが主人公のロザート・K・サビッチと不貞関係を持ったことから、この物語は始まる。検事補マックの「キャロリンがウェストから上の犯罪に興味を持っていたとは知らなかったわ」との発言の通りキャロリンは性的犯罪を主に取り扱っていて、当の本人も性的犯罪の被害者として処理されたのは皮肉である。ロザートの父親はパン屋を営んでいたが、客には愛想よくせず、そうする度量もユーモアもなく、店に入ってくる客を潜在的な客とみなし、さんざん苦情を言い値切り万引しようとし、あげくの果てに一日前の安いパンだけを買っていく敵とみなしているという人物で、ロザートがなかなか複雑な家庭環境で育ったことが伺い知れる。サビッチとキャロリンとの濡れ場シーンも描かれているのだが、どうもミステリでこういうシーンがいきなり出てくるとドキッとするのは僕だけではないだろう。タツオ・クマガイという日系人の監察医の人格に対する描写は結構手ひどく死体を扱わせるのが一番いいということで、京極堂シリーズの監察医・里村紘市やジョジョのチョコラータを連想した。サビッチがキャロリン殺害の容疑の疑いで起訴されるシーンから、俄然緊密な雰囲気となり法廷ミステリとしての真骨頂が発揮される。サビッチの息子のナサニエルが父親が容疑者となったせいで、学校で孤立しているにも関わらず父親にそのことを言わないシーンには目頭が熱くなる。本作の真犯人は僕にしては珍しく、直感で当てることができた。トリックも動機もシンプルだが、本作が法廷ミステリの里程標的な傑作であることに疑いようはない。さて僕の書評を読んでくれている奇特な方にお知らせするが、僕は4月から仕事が忙しくなるため読むのに時間と労力のかかる翻訳物の書評を書くことが難しくなった(無念である)。そのため4月からは、ほとんど国内物の書評しか書かない予定である。 >> 続きを読む
2021/03/25 by tygkun
芥川龍之介
ちくま日本文学全集001
2017/10/27 by Raven
寺山修司
ちくま日本文学全集002 寺山修司は、なんだか嫌な作家だと思っていて、ちくま日本文学全集を46巻まで読んだのだが、なぜか第2巻のこの作者だけは飛ばしていたのはそのせいにちがいない。読んでから嫌だと思ったわけではなく、食わず嫌いなのだが、それはおそらく、文庫本の解説かなにかで、強烈なマザーコンプレックスや倒錯を描いたものが多いということを読んでいて、薄気味悪く感じていたせいだと思う。実際、そういった内容が多く、それに加え、和歌や歌謡曲、競馬、野球といった、こっちがあまり関心のないジャンルがメインだった。とはいえ、有名な作家だけあって、面白くないことはないのだが、露悪的で、さわやかさのカケラもないね。嫌いな作家という点は変わらなかった。 >> 続きを読む
大塚英樹 , 堤義明
西武グループ元総帥、堤義明氏語録。失墜してしまったものの、余りにも広い視野とダイナミックな発想は学ぶべき点は多い。ビジネス界の要人の中でも、堤氏は以前からとても好ましく感じている。発想が明確で無駄が無く、かと言って冷酷無比というわけでもないという、非常にバランスの取れた厳しい経営者の印象。おそらく、あれだけの遺産と事業を受け継いで、単純に金儲けだけに走っていたら、きっとモチベーションは保てないと思う。そんな中、堤氏は日本のリゾート創出や僻地開発などで大いに国家に貢献したといえなくもないだろう。男として学ぶべき、俯瞰する力をまた学んだ気がする。義明氏が失脚した際、母親が異なる兄弟とは言え親族で有る当時の豊島園の社長が非常に不愉快な発言をした。仲たがいは理解できるが、社長とも有ろう者が、見る範囲の広さが負担の重さになることを理解できないのだろうか。まさに、あれを身内に背中から切られるというのだろう。西武グループの一員で有りながら当事者意識の無い態度を取ったことは大いに安目を売ったと思う。あれだけの高みに身を置いていた人間は、引きずり降ろされて何を思うのだろうか。 >> 続きを読む
2012/09/23 by ice
原ゆたか
幸田 文
大友幸子
水野良
竹内洋
小川洋子
生越 嘉治
遠藤周作
出版年月 - 1991年2月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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