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1991年3月発行の書籍

人気の作品

      舞姫

      森鴎外

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 昨年の課題図書で読んだとき、読書ログでいろいろ語り合えたのでこの作品に関してはほぼ満足していたのですが、久々に読みたくなり手に取りました。
        2回目なので文体も、豊太郎が置かれている立場や葛藤も落ち着いて読むことができましたが、身重で不安定なときにこの仕打ちはショックだろうなという女性目線で、やはり好きになれない作品でした。

        前回はちくま文庫の「舞姫」オンリーな一冊だったので、集英社版「舞姫」に収録されている他3作が気になっていました。
        「雁」がとても良かったです。

        *普請中
        日本はまだ普請中だ、と繰り返し言い、相手と壁をつくる冷淡さ。
        この女性はエリスなのか、舞姫のときとは違う印象。
        子どもを出産したことで、逞しく生きてくれたのなら良いと思いました。舞姫のエリスは、あまりに儚げだったので。
        近代国家として、日本と西洋との差を「普請中」という言葉で表現していることに良さを感じました。


        *妄想
        ここに登場する「白髪の主人」も二十代の頃ベルリンにいたと書かれているので、鴎外自身と思われます。
        ショーペン・ハウエルや今まで人の書いたものを見れば、老いが迫ってくるにつれて、死を考えることが切実となるが、主人の考え方は違うという。
        哲学的で難しかったです。
        幾何もない生涯の残余で師について考えたけれど、結局はそれも自分はこうだという妄想でしかない、ということでしょうか。


        *雁
        高利貸しの妾・お玉と大学生・岡田の淡い恋心。
        150頁と一番長いお話なのですが、とてもおもしろく、最後まで楽しく読みました。
        この人の作品でこんなに熱中したのは初めてかも。(正直)
        気になるイケメンから会釈してもらえるようになり、女性としてキラキラしていくなんて可愛らしいじゃないですか。
        岡田の友人が語り手となっており、視点が主役二人から離れているのが良いと感じました。
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        2018/07/12 by あすか

    • 他4人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      愛するということ

      鈴木晶 , エーリヒ・ゼーリヒマン・フロム

      紀伊國屋書店出版部
      4.2
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      • この本を読んで最初に思ったのは、「落ちる」恋や愛もあるけれど、愛することを「決心する」ことで後から気持ちを作り始める、いわば感情は「後付け」の恋や愛もあるという、自分が常日頃抱いていた持論が一致したことが印象的だった。

        そして、この本が提言する「愛するということ」が正しい愛のかたちだとしたら、自分のいままでの恋愛体験は否定されてしまうことになった。
        自分だけじゃなく、友人、テレビや雑誌、音楽など世間の恋愛感や結婚感、ましてや自分を生むきっかけとなった両親の愛も、本当の愛ではないんじゅないかと思った。

        未成熟な人が求める愛は、人を愛するより自分がどれくらい愛されるかに執着し、相手が自分に何をもたらしてくれるかに着目し、まるで商品のように品定めをして条件の良いものがあったらそれに飛びつき、依存し、支配し....
        本にも書いてあったが今の愛のかたちは孤独からの避難所で、二人はひとつにならず、互いを隔ててる壁を乗り越えることはせず生涯他人のまま、ただ「利己主義」が二倍になっただけの関係である。

        そしてなにより、愛は対象(愛する、好きになる人)の問題ではなく自分の中の能力、「人間力」なんだと思った。
        自分の中から愛を生み出そうとする生き方であり、世界や他人に対しての態度や姿勢、そこに「愛」があるかが個人に対する愛に影響してくるし正しく愛すにはそれが重要なんだと思った。

        それができるのは成熟した人間にしかできない。
        成熟した人とは、簡単に言えば「精神的に自立している人」で、そしてその人間的な成熟度によって愛の深さに違いが出てくる。
        未成熟な人は、幼少期の母親からの無償の愛を克服していなくて、大人になってからの恋愛で母性愛を引きずった形になってしまう。

        自立するためは、母性愛のような他人からの無償の愛を受けたいというナルシスズムを克服し、自分への愛を自分自身で見い出し、誰を愛すより先に自分を正しく愛せてなければならない。(自己愛)
        それができる人が自分を信じれて、「愛しい私」と言える人が揺るぎない信念で「愛しいあなた」「愛しい世界」と言えて、そんな人だけが個人からも「愛しいあなた」と言ってもらえるのかもしれない。

        そしてなにより愛すること、自分が持っているもの、ましてや自分自身を与えることはとても幸せな行為で、それが本当の豊かさで幸福への道なんだと思えた。

        この本を読んで、人に愛される自信をつけるより、人を正しく愛す自信を身に付けようと思った。
        >> 続きを読む

        2017/11/09 by seinen-boy

      • コメント 1件
    • 他4人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      コンスタンティノ-プルの陥落

      塩野七生

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.6
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      • 現在イスタンブールと呼ばれているトルコ最大の都市は、かつてはコンスタンティノープルと呼ばれるビザンチン帝国の首都であった。
        ビザンチン帝国は、ローマ帝国から派生したが、キリスト教を国教とし、ギリシア語を使うなどローマ帝国とは、非常に異なる文化として発展した。
        また、非常に伝統主義かつ権威主義的でありであり様式化された儀式を重んじる特徴があった。
        (英語の辞書で"Byzantine"と引くと"複雑で難解な"という意味の形容詞にもなっている)
        ローマが滅亡した後も約千年に渡り存続したが1453年トルコにより占領され、ビザンチン文明は、その幕を閉じた。

        この物語は、コンスタンティノープル攻防を描いたドラマである。
        作者は、様々な資料からこの事件に立ち会った人々の人物像を再構成し、この一つの文明の終焉のドラマを多様な人間の視点から活写している。
        この攻防戦がどのような経緯で始まりそして終結したかが、まるでドキュメンタリーを見ているような感じで語られ、非常に分かりやすかった。
        また、作者の想像で補っていると思われる部分のドラマも非常に良い感じで、物語としての面白さを増していると思う。
        しかし、ローマもビザンチンも滅亡時の皇帝の名前が建国者と同じとは、なにか運命のようなものを感じさせる。
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        2018/01/04 by くにやん

    • 他3人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      河童が覗いたインド

      妹尾河童

      新潮社
      カテゴリー:アジア
      5.0
      いいね!
      • 旅行記で最高の1冊をあげなさい。と言われたらこの本を迷わずに選びます。
        解説の椎名誠氏も言っています。
        ついに゛輝け!インド本第1位”が出たぞ、と思った。と。

        スケッチブックと巻尺をもって、あらゆるものを詳細に観て、測って、描きとめて、人と出会い、芸術に触れ、食い、
        文字通り地を這うように旅している様子に
        感動するやら呆れるやら。

        例えば泊まったホテルの部屋のレイアウト、内装、サイズまで
        細密画のようなイラストで描かれているのです。

        そして、これも、絶対に言っておかないと。

        『この本は文字まで全て河童さんの手書き』なのです!!!

        文庫だと字が細かすぎ~(と最近の私は思います)

        しかし、この本の最高の素晴らしさは、このオタクなこだわりだけにあるのではありません。

        河童さんのインドへの理解と敬意が込められているという点にあります。

        素晴らしい歴史と文化を誇るインドには、すべてがあります。
        悠久の時の流れを感じる息の長い人の営み。
        究極の貧困から贅を尽くした王侯の暮らしまで。
        その懐の深さ、幅の広さを彼は理解しています。

        河童さんの人柄や芸術に対する深い洞察の前には、
        多くのインド本が単なる“貧乏体験自慢”に過ぎないように思えます。
        おもしろおかしいインド体験記も悪くはないです。
        インドは日本人からするとあまりに違う国だから、
        誰が行っても何か書けてしまうはず。

        けれど「河童が覗いたインド」は妹尾河童さんにしか書けません。
        彼の素晴らしい目を通してインドを眺められる幸せ。
        それは、自分が直に旅行で漠然と目にするインドよりも
        もっと真のインドなのかもしれません。

        そして、その地に行く日が巡ってきたら、必ずこの本を同伴して行きたい。
        そう思わせる本です。
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        2012/11/06 by 月うさぎ

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      ラッセル幸福論

      安藤貞雄 , Russell,Bertrand Arthur William Russell,3rd earl

      岩波書店
      カテゴリー:近代哲学
      3.5
      いいね!
      •  幸福論3冊目。

         幸福を訪ねて3千r……3冊目。
         これまでの中では最も分かりやすい一冊でした。

         まずはじめに言い得て妙だなと思ったのが次の言葉。
        「ほしいものをいくつか持っていないことこそ幸福の不可欠な要素である」30ページ
         満足を追い求めるくせに、満足に浸りきっていると退屈に囚われてしまうのが、人間の難しいところです。

         人生の緩急、静かな生活を楽しむことが大切なのだと説くところでは、趣味・読書な人間として思わずニヤけてしまうたとえが。
        「最もすぐれた小説は、おしなべて退屈なくだりを含んでいる」69ページ
         退屈なくだりがあればすぐれた小説だという逆を言えないところが面白いところなんですがね。

         不幸への対処法として、とても共感できたのが次の言葉。
        「あなたが何かをくよくよ考えこみがちになっているならば、それが何であろうと、つねに最善の策は、それについていつもよりも一段と多く考えてみることだ」86ページ
         一度考えると、案外たいした事ないように思えたりするものです。

         そして、本書の一番のメッセージ。
        「幸福の秘訣は、こういうことだ。あなたの興味をできるかぎり幅広くせよ。そして、あなたの興味を惹く人や物に対する反応を敵意あるものではなく、できるかぎり友好的なものにせよ」172ページ
         世界は素晴らしい上、自分の力でいくらでも素晴らしくできるということですね!

         ググってみて初めて知ったのですが、ラッセルさんて数理学者で「ラッセルのパラドックス」の人だったんですね! ちょうど「ゲーデル」をテーマに少し読書していたので、思わぬ繋がりが出て驚きモモノキです。
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        2016/12/11 by あさ・くら

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      罪深き緑の夏

      服部まゆみ

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 服部まゆみの「罪深き緑の夏」を読み終えて、しばらくの間、私はこの作品の白昼夢のような世界から抜け出せなかった。

        甘美な毒薬----服部まゆみの描く世界を一言で表現するなら、そうなると思う。
        典雅な文章で綴られた耽美と背徳の迷宮を彷徨ううちに、私はいつの間にか魂も凍えるような深淵を覗き込んでいるかのような錯覚に捉われてしまうのだ。

        主人公の淳は、駆け出しの画家。父や兄も同業だ。
        かつて少年の頃、彼は百合という少女に連れられて、西洋の城のような「蔦屋敷」に迷い込み、百合の祖母だという老婆から「なんて醜い子」と罵られる。

        その日のうちに、老婆が死んだことを後で知った淳は、百合が祖母を毒殺したという疑惑に捉えられる。
        そして現在、彼の前に百合は再び現われたのだった----淳の兄・太郎の許嫁として。

        多彩な登場人物の中でも、百合の兄で異端文学者の鷹原翔のデモーニッシュなキャラクターが印象的だ。
        近親相姦やホモセクシャルの彩りを散りばめつつ、品格を崩すことなく物語は淡々と進んでいく。

        そして、最後に明かされる真実は、石をひっくり返して虫の群れを発見した時の感触に似て、ひたすら恐ろしい。
        この作品は、ゴシック・ロマンの傑作だと思いますね。

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        2018/08/15 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      ネゴシエイター

      フレデリック・フォーサイス , 篠原慎

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 英国留学中のアメリカの大統領の一人息子が誘拐された。それは、大統領が推進するソ連との軍縮条約の批准阻止を狙う一味の謀略だった。

        ホワイトハウスは、誘拐犯との交渉人を雇い入れ、犯人との接触を開始するのだが-------。

        「ジャッカルの日」「オデッサ・ファイル」「戦争の犬たち」などの国際謀略小説、欧米ではドキュメンタリー・スリラーと呼ばれている傑作を次々と発表してきたフレデリック・フォーサイスの特徴は、複数の衝撃的な情報が作品の柱になっている点だ。

        そして、「わたしの作品では、ストーリーこそが重要で、会話とか状況描写、人物描写は二の次」と彼が自作について語っているように、ジャーナリスト的な生硬な文体が、フォーサイスの"フィクション"を国際政治の裏を暴く"ドキュメンタリー"あるいは"情報"といわせているのだろうと思う。

        この作品「ネゴシエイター」の発表時には、日本の三井物産の支店長誘拐事件との類似性にばかり話題が集中し、世界最大の産油国サウジアラビアの内情や、ソ連の政治システムの問題点といった他の情報が見逃されていたのではないかと思う。

        久方ぶりにこの作品を再読してみると、そういった見逃された部分の新鮮さに改めて驚かされましたね。


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        2018/03/01 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      ドクターズ〈上〉

      エリック シーガル

      4.0
      いいね!

      • 医学小説が面白いのは、現代科学の最先端そのものがサスペンスにあふれた世界だからだろう。
        ひとつの発見が人類に何をもたらすのか、科学者たちは常に手探りの状態で研究せざるを得ない。

        現代科学は、そういう未知の領域に踏み込んでいる。
        人間の倫理と衝突するのはそのあとだ。
        つまり、科学の最前線は本質的に倫理の地平を越えているのだ。

        誤謬かそうでないかの線が紙一重なのもその道筋を語っている。
        日本の医学小説の名作、山崎豊子の「白い巨塔」で裁かれる財前教授に一片の真実があるのもそのためだ。

        したがって、医学小説はいつもサスペンスにあふれている。
        ロビン・クックの医学小説が、いつもサスペンスと銘打たれるのは、そのストーリー意外にも理由はあるのだ。

        もっともそれは医学小説の本質的な側面にすぎず、すべての医学小説がサスペンス小説になるというわけではない。
        サスペンスは、医学小説の底にいつもひっそりとある要素だ。

        だから、エリック・シーガルの「ドクターズ」(上・下巻)も、サスペンス小説というわけではない。
        この作品は、正統的な医学小説の傑作だと思う。

        ハーバード医科大学院に進んだ若き医学徒たちが、卒業後どういう道を歩んでいくのか、そのそれぞれの人生を多角的に鮮やかに描いた小説で、医学小説好きの私にとって、その本格ぶりがとても嬉しい。

        初めての手術の緊張、過酷な仕事に耐えかねて挫折していく友。
        そして功名争い、責任回避、古い徒弟制度などの醜悪な医学界の内幕。

        その中での迷いと不安と医学への献身。
        そういうさまざまな局面を、この作品はくっきりと描いていると思う。

        主人公は、一応バーニーとローラという幼馴染みで、彼らのドラマが中心となる。
        彼らが結ばれるのかどうか、その大河小説的な愉しみもあるが、彼らを取り巻く多彩な登場人物のドラマも、丁寧に描いて読ませる。

        この作品の著者エリック・シーガルは1970年代の初めに大ベストセラーとなり、その映画化作品「ある愛の詩」も大ヒットした「ラブ・ストーリー」で有名になった作家だ。

        そのため、一般的には純愛小説作家のイメージが強いが、この作品はシンプルな「ラブ・ストーリー」から一転して、黒人差別問題やベトナム戦争や医学界の封建制や安楽死問題まで、盛りだくさんに扱っている。

        純愛小説「ラブ・ストーリー」のイメージで読み始めると、社会的な問題をたっぷりと詰め込んだその物語には驚いてしまう。

        この作品を書くために、かなり綿密な取材をしたと思われるが、医学界の内幕のディテールが克明に描かれているのは当然で、むしろその医学界を舞台に、涙と感動とロマンに満ちた物語が、最後の最後まで緊度をゆるめず展開していくのが、まさしく驚異だ。

        友情があり、希望があり、挫折がある。心のときめきと孤独がある。
        この作品は、群を抜く医学小説であると同時に、素敵な青春小説であり、しかも優れた恋愛小説にもなっていると思う。

        >> 続きを読む

        2019/02/14 by dreamer

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      B・B 31 (少年サンデーコミックス)

      石渡 治

      5.0
      いいね!
      • もう二十~三十年前の漫画だけど、面白かった。

        この熱さはハンパじゃない。

        荒唐無稽なほど壮大な作品で、読み終わるとなんだかしみじみ感動した。

        すごい漫画だった。
        >> 続きを読む

        2015/03/31 by atsushi

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    • 1人が本棚登録しています
      春燈 (新潮文庫)

      宮尾 登美子

      3.0
      いいね!
      • 今年最初に読み終えた本は宮尾登美子さんの「春燈」。
        ただ、こちらは昨年末から読んでいたものなので、昨年最後に読んだ本でもあるかも。

        「櫂」の続編に当たる本書は、娘綾子の目線で描かれている。
        「櫂」と重なる時期の描写もあるが、目線が綾子に移っているので、語られる世界も異なって見える。

        綾子は父親である岩伍の高慢な性質を受け継いでいる。
        高慢であるが所以に、親の紹介業を恥と感じ、自分の上手く行かないことは親のせいと考える。それでいて、親の稼ぎに頼らず自身で生計を立てるといった気概もない。金銭面では完全に親を頼る生活に疑問さえ持てない。
        成長に伴い大学を受験したいとか家を出たいと考えるが、試練を乗り越えて遂行するだけの決意もない。
        わたしとは対極の生き方なので、読んでいても気持ちに寄り添えず入り込めない。
        勿論、それだけでなくひとを思いやる気持ちや物事を真っ直ぐ捉える清潔さなど綾子の良さも多いのだけれど。

        それでも四国の暮らし、戦争前から戦中の波立つような世情、幼少から少女、女性へと階段を昇る綾子の心象が丁寧に描かれる様は素晴らしい。

        好みの問題だとは思うが、わたしは「櫂」のほうが好みだった。
        不条理な暮らしでも懸命に生きた喜和の生き方にのめり込んだ。
        戦時下の満州での綾子の結婚生活などを描く「朱夏」へとつづく宮尾さんの自伝小説。
        宮尾さん自身である綾子に寄り添えないことが残念ではあるが、もしかしたら違ってくるかもと期待して、入手次第読んでいこうと思う。
        >> 続きを読む

        2016/01/08 by jhm

    • 2人が本棚登録しています
      ルーズベルトの刺客

      西木 正明

      4.0
      いいね!
      • 歴史好きで、尚且つミステリー好きの私にとって、その両方の興味を満たしてくれる、"歴史ミステリー"が大好きで、その中でも"現代史ミステリー"をこよなく愛し、暇をみつけては色々と読み漁っています。

        歴史的な事実を背景にして、その中でフィクションとしてのミステリーが渾然一体となって融合している"歴史ミステリー"、本当に大好きなジャンルです。

        かつて、"魔都"と言われた、悪魔的で魅惑的な都市、上海を舞台にした、壮大な現代史ミステリーの西木正明原作の「ルーズベルトの刺客」を胸をワクワクさせながら読み始めると、あまりの面白さに一気に読破してしまいました。

        この小説のテーマは、ズバリ、"ルーズベルト大統領の暗殺"で、主人公は当時、"上海のマヌエラ"と呼ばれた美貌のダンサー、山田妙子。

        彼女の他にも、周恩来や、映画「慕情」で知られるハン・スーイン、ジャーナリストのアグネス・スメドレーなど、歴史上の有名な人物が時折、顔を出し、虚実入り混じった、ワクワクするような物語が展開するという、緻密な時代考証のもとで紡ぎ出された、リアリティー溢れる大長編になっているのです。

        明治45年生まれの山田妙子は、東京松竹楽劇部の一期生として芸能界に入ります。結婚後2年で夫が病死、わずか19歳で未亡人になった彼女はやがて再婚しますが、放蕩な再婚相手に嫌気がさし、なかば捨て鉢になって別の男と満洲へ駆け落ちをします。

        そして、大連で逮捕された彼女は、かつてのダンサー仲間に助けられ、やがて上海に渡り、"上海のマヌエラ"と異名をとるトップダンサーへとのし上がっていくのです。

        一方、明治42年生まれ、陸軍砲兵少尉の和田忠七は、特務機関配属となり上海に派遣され----。

        この物語は、ダンサーとして山田妙子が成長していく姿と、和田忠七の上海の英米支配下の租界地である敵性地域での活動ぶりを、交互に描いていく形で展開していきます。

        この二つのストーリーが、脈々と進行し、ラスト近くになって交錯し、ようやく二人の男女が出会い、サスペンスに満ち溢れた結末へと怒涛のようになだれ込んでいくのです。

        一気呵成に読み終えて思うのは、この作品は、妙子が和田と出会うまでの一種の人間が成長していく物語のような気がします。しかし、現代史ミステリーを数多く書いている著者の西木正明の持ち味は、この作品でも見事に発揮されていて、その巧みな文章で、"歴史の大きなうねり"の中の人間模様を、ダイナミックにそして、サスペンスフルなタッチで鮮やかに描き上げているなと思います。

        特に、感心したのは、第二次世界大戦下の"魔都"上海の、混沌とした雰囲気の描写は、リアリティーに満ち溢れていて、見事のひと事につきます。

        >> 続きを読む

        2016/09/29 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      イスラエル

      石浜みかる , FeinsteinSteve

      国土社
      カテゴリー:アジア
      4.0
      いいね!
      • わかりやすくイスラエルのことについてまとめてあって面白かった。

        それにしても、1985年頃のインフレ率が400%だったということに驚いた。
        かつてイエスラエルは、80年代など、リクード政権のもとですさまじいインフレになったそうである。
        すれすれのところで国家財政の破綻が回避されたらしいが、当時は大変な面もあったのだろう。
        日本も、やがてそうなることもあるのだろうか。

        今のところあまり見つかっていないそうだが、イスラエルには地形的にはかなり豊富な油田がある可能性もあるそうだという話も興味深かった。

        国内に、世俗国家と宗教色の強い国家を目指す人々の対立や、アシュケナジム(西欧出身のユダヤ人)とセファルディム(中東アフリカ等の出身のユダヤ人)の対立、労働党とリクード党の対立など、いくつもの対立や問題も抱えているようだけれど、それでもまとまっているのは、ユダヤ教や歴史の記憶の共有があるのだろうし、人々の知恵があるのだろう。

        マクペラの洞窟という、アブラハムの墓があるとされる場所についての記述も興味深かった。

        いつか行ってみたいものである。
        >> 続きを読む

        2013/07/01 by atsushi

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています
      暗い夜の記憶 (現代教養文庫―ミステリ・ボックス)

      ロバート バーナード

      4.0
      いいね!
      • この「暗い夜の記憶」は、アガサ・クリスティの研究者としても有名なロバート・バーナードの"自分探しミステリー"の渋い作品だ。

        この物語の主人公は、第二次世界大戦下、イギリスの地方に疎開した学童の列に紛れ込んだ、名前のない幼児だった。そして、彼を苦しめる悪夢が、唯一、彼の出生を探るための手がかりだった。

        彼は成人し、研究者と結婚生活という個的な選択の双方に失敗する。その後、動物園に研究員の仕事を見つけると共に、出生の謎を明かす機会が訪れる。

        彼の前に現われたのは、暗い下宿屋の不快な家族たち。そして、向き合った過去とは、戦時下の空襲、疎開などの記憶の背後にある、イギリスの草の根ファシズム運動の高揚という歴史の一場面だった。

        自分の父親は、ファシストの先兵の人種差別主義者だったのか? 現在、目の前にいる初老の男の卑屈にも陋劣な姿が、そのなれの果てなのか? -------。

        だとすれば、どういう巧妙な手段で自分は捨てられたのか? あまりにも不快なアイデンティティ探しの試行は、一つの破局をもって終わるのだが-------。

        そして、終幕はさらに十数年後の現在。謎の環が閉じると、同時に、この物語の隠れた主調音も明確に聴きとれることになる。それは、イギリス社会の暗部への、ある憤怒に満ちた問いかけなのだ。
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        2018/01/14 by dreamer

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      宮沢賢治 (ちくま日本文学全集)

      宮沢 賢治

      5.0
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      • ちくま日本文学全集003

        2017/10/27 by Raven

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      ちくま日本文学全集

      太宰治

      筑摩書房
      カテゴリー:作品集
      4.0
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      • ちくま日本文学全集004

        2017/10/27 by Raven

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      ちくま日本文学全集

      坂口安吾

      筑摩書房
      カテゴリー:作品集
      4.0
      いいね!
      • ちくま日本文学全集006

        2017/10/27 by Raven

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      ベルセルク

      三浦建太郎

      白泉社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.0
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      • ベルセルク 第2/第37巻(未完結)

        「ベヘリット」と呼ばれている崩れた顔のみの生命体?らしきものに導かれるように核心に迫る。

        名作と言われることの多い作品では有るが、まだ実感できない。

        前巻のラストで登場した、崩れた顔のみのような生命体?ベヘリット。
        > 「太古から人間の闇の歴史を支配してきた異次元世界の化け物ども...5人の"ゴッドハンド"を呼び出す鍵だ」
        と言うことなので、どうやらそういうことのようで有る。

        自分でも感じるのだが、なんとなく入り込めず、距離を置いてしまう。

        上手く言えないが、開幕早々に良く説明をしないまま、展開の早いストーリーに放り込んでしまった後、じっくりと引きずり込もうという意図を感じるのだが、「置いてけぼりなんすけどー」と冷めた目で手を上げている心境である。

        狂戦士ガッツが妖精的な仲間を連れ、悪者退治の旅を続けると言うシンプルなストーリー。

        近い人にもファンが多い作品だけに、おそらくは相当面白いはずなので、いつか没入スイッチが押されることを期待しつつ、今しばらくは我慢して読んでいこうと思う。

        ガッツの左手は武器を装着できる義手になっているようだ。当然前巻でもそうだったはずで、入り込めていない証拠だなぁ...
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        2013/10/07 by ice

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      スティンガー〈上〉 (扶桑社ミステリー)

      ロバート・R・マキャモン

      5.0
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      • 現代のモダン・ホラーのBIG3と言えば、スティーヴン・キング、ディーン・R・クーンツ、ロバート・R・マキャモンだろう。そのBIG3のひとり、ロバート・R・マキャモンの「スティンガー」は、とにかく圧倒的に読ませる小説です。

        舞台は、銅山が廃坑になり、住民も数少なくなったメキシコ国境に近いアメリカ南部の田舎町。その町に異星人が降りてくるのが発端だ。

        ところが、その異星人を追って凶悪なエイリアンまでやってくる。つまり、最初に逃げてきた異星人は「いいエイリアン」で、後から追いかけてくる異星人は「悪いエイリアン」との構図だ。

        それで、どうなるのか? 町の住民が「いいエイリアン」に味方して、「悪いエイリアン」と闘うという物語だ。確かに、ストーリーはある意味、陳腐だが、この長篇の読みどころは、実は別にあるんですね。

        とにかく、読み始めたら、やめられないのだ。最初は何ということもない場面から幕が開くが、じわじわとサスペンスが高まり、気が付くと完全に目が離せなくなっている。途中で何度も読むのをやめようと思いました。一気に読んではもったいなくて。

        まず、二つの不良高校生グループが対立しているという設定がある。メキシコ系の"ガラガラ蛇一族"と白人系の"背教者団"だ。町自体が滅びようとしているのだから、彼らには希望がない。

        高校を卒業しても職そのものがないのだ。したがって苛立ちのやり場がないから、喧嘩も凄惨な様相を呈するのだ。結局、日々そういう喧嘩を繰り返しているのだ。

        この基本設定を軸に、様々な登場人物が入り乱れる。鬱屈した不良どもを卒業したら運び屋にしようと狙っているのが、麻薬の密売と盗難車の転売で儲けている町の実力者。その闇商人から金を貰って悪事を見逃している臆病な保安官。なんとか生徒を更生させたいと願いながらも努力が実らない高校教師。町を創設した功労者の未亡人は、一文なしで希望を失っているし、"背教者団"のリーダーはアル中で働かないダメな父親を抱えて、身動きの取れない状態だった。

        この他にも、もっと多くの人間が登場するのだが、そういう人間たちが錯綜して、とにかく絶望と倦怠と対立の町に蠢いているのだ。

        物語は、町の高校が廃校になる卒業式の前日から始まりますが、この設定も実にうまいと思う。何ひとつ希望がない町にエイリアンが降りてきたらどうなるか、というように展開するわけだから、卒業式を翌日に控えたという象徴的な時間設定が、実にいいんですね。

        そして、こういう中にエイリアンが降りてくる-------。

        ただ、正直に言うと、不満も少しあります。好都合すぎる展開や、ラストのあっけなさという点です。しかし、その欠点を補って余りある魅力がこの長篇には満ちあふれているのです。

        それは、アル中の父親と不良の息子の交情とか、臆病な男の克服劇とか、そういう人間の心理の襞を描く描写力ではないのです。そのあたりは、類型的と言っていいかも知れません。結構、感動的な件りもあって、目頭が熱くなったりしますが、それも格別目新しいわけではありません。

        では、この長篇のどこがいいのかと言いますと、それはイメージの豊かさ、描写力の的確さなのです。とにかく、これが群を抜いているのです。謎の飛行物体が空中を飛んでいく冒頭のシーンから最後まで、まるで映画を観ているかのように、あらゆる場面が鮮やかに私の体に染み込んでくるのです。

        読みながら胸が躍り、頬がゆるんでくるのは、徐々に高まってくるサスペンスの巧妙さもありますが、その鮮やかな描写力に驚くためで、こんな作家はみたことがありません。

        すでに、この作家は短篇「ベスト・フレンズ」で証明ずみではあるものの、特にまがまがしいものである"怪物"を描写させたら、まったく唸ってしまうほどうまい作家だと思う。それをこの作品では、長篇で堪能できるのだから、嬉しくなってしまいます。

        これでもか、これでもかと怪物と闘う「スティンガー」の後半の面白さは筆舌には尽くし難いほどの凄さです。この物語が、たった24時間の出来事であることを忘れてしまうほど。

        とにかく、エイリアンの描写は、息を呑むほど新鮮で、みずみずしいんですね。この迫真性、この豊饒なイメージの喚起力は、他の凡百の作家にはないもので、これこそがロバート・R・マキャモンの独創性なのだと思う。

        スティーヴン・キングが人間の心理を描き、ディーン・R・クーンツがアイディアとプロットの作家ならば、ロバート・R・マキャモンはこの描写力の作家だと言えると思う。

        そして、殺戮の場面が陰惨にならないのは、つまりは作者に悪意がないからで、その点が人間の悪意を描くスティーヴン・キングとの大きな違いだと思う。


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        2018/01/25 by dreamer

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      片恋がステキ!

      みつはしちかこ

      学研マーケティング(立風書房)
      いいね!
      • この本の名言をご紹介します。

        ***
        知らないから知りたい、と思うし、
        知れば知るほど奥深くて、
        恋をすることは私にとって、
        宇宙旅行をするようなものです。
        >> 続きを読む

        2013/11/15 by 本の名言

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      だましっこ (かがくのとも傑作集)

      佐伯 俊男

      2.5
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      • 母が選んだ本。難しかった?興味薄。

        2015/12/06 by ぶぶか

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出版年月 - 1991年3月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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