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1992年1月発行の書籍

人気の作品

      ダイヤモンドダスト

      南木佳士

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 毎年信州に冬、何年も訪れてている。
        朝の靄がたつ日も、晴れ渡る日もかんじるしっとりとした空気
        太平洋側の乾いた冬とは異なる空気を吸い
        いつも信州に来たと実感している。
        凍てつく湖上の上はもちろんだが
        東京の夏、駅のホーム上でもそんな
        湿り気のある空気を感じた話ばかりであった
        >> 続きを読む

        2018/09/26 by kotori

    • 他3人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      十字屋敷のピエロ

      東野圭吾

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.1
      いいね!
      • 屋敷で起こった、一人の飛び降り自殺の事件。

        その飛び降りた人の葬儀に出るために、久しぶりに帰ってきた水穂。
        そこで、またしても事件が起きる。

        地下室で殺されていた、家主。
        同じ場所で殺されていた、秘書。

        いったい誰が犯人なのか。

        この二つの事件を全て見ていたのは、人形のピエロだった。
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        2014/09/26 by ゆずの

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 24人が本棚登録しています
      寄生獣 -  4

      岩明 均

      講談社
      4.5
      いいね!
      • 学び舎に戻り平穏な暮らしをする新一の元に、女教師、田宮は同族の島田を送り込む事で、監視の目を光らせる膠着状態と緊張感を漂わせる異様な第4巻。

        誰よりも生に執着した者が生き残る。

        生にしがみつく事こそが、生物の本能であるからこそ食への好奇心は何よりも重い。

        警察が入手したサンプルを手に入れる事で、人は隠密に寄生獣退治に本格的に取り組む。

        知恵を得て組織的な活動を始める寄生獣と人の科学力がぶつかり合い、血みどろの終わりの見えない争いは、目を覆いたくなるほどに、真っ赤な花が咲き誇るように残酷でどこか艶やかさがあった。
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        2019/07/14 by ebishi

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      夢野久作全集

      夢野久作

      筑摩書房
      カテゴリー:作品集
      3.0
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      • 「キチガイ地獄」

         精神病院の患者が「もう治ったらから出して」と院長を説得する、というお話。

         作品の大半を占めるのは患者の饒舌な身の上話です。これが非常に引き込まれます。記憶喪失の男、呪われた血族、名家のスキャンダル、世間と隔絶した山小屋……と盛りだくさんです。しかし、ページ数残り僅かというところで、思わず「ひぇっ」となってしまう展開をみせ、作品はそのまま幕を閉じます。

         なんとも後味の悪い余韻が残りますが、改めてタイトルを見ると、妙に納得してしまいました。夢野久作おそろしや……。

        「瓶詰地獄」「少女地獄」「キチガイ地獄」の地獄巡りを終えました。これらを読んでみた上で、やっぱり「ドグラ・マグラ」が集大成なんだな、と思います。まさに結実という感じです。でも、地獄シリーズのどれもが負けず劣らずの「夢野久作らしさ」を持っていました。

        「ドグマグ」には、様々な主張や表現、アイデアが詰め込まれていて、代表作として非常に完成していました。しかし、単純に作風を楽しみたいのなら「瓶詰地獄」、「少女地獄」の「何でも無い」、そしてこの「キチガイ地獄」を読めば十分その目的は果たせると思います。特に「瓶詰」は15分もかからないのでオススメです。

        (読んだのは青空文庫の「キチガイ地獄」のみですが、見当たらなかったためこちらで代替とさせていただきます)
        >> 続きを読む

        2015/10/13 by あさ・くら

      • コメント 2件
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      幸福論

      三谷隆正

      岩波書店
      5.0
      いいね!
      • 本当に素晴らしかった。
        すごい名著と思う。
        長年、なかなか自分では漠然と思いながら明晰につかめなかったことや、よくわかっていなかったことが、やっと整理され、明晰に見えた気がする。

        以前、何回か読もうと思って、どうも難しそうなので、読まずにいてしまった。
        というのは、この本は最初から最後まできちっと読まないと全体がつながっているのでなかなか十分にはわからない。
        しかも、出だしはいきなりギリシャ哲学のストア派やエピクロス派なので、とっつきにくいことこの上ない。

        しかし、きちんと読むと、非常に明晰に書かれているし、別に衒学のためでなく、非常に重要なことを言うためにあえて古代ギリシャから解き明かしていることがよくわかる。

        著者が言うには、ソクラテスから始まった主知主義、つまり善を知ることにより行うことができる、ゆえに知が重要である、という伝統は、素朴な快楽主義や共同体主義が徐々に変容し、エピクロスやストア派に至って、個人主義と無感覚主義に行きついたことを指摘する。

        つまり、自分自身の幸福を大事にするための探究が、なるべく世間とかかわらず、あらゆる物事に超然と無関心になり、なるべくわずらわしいことを避けるような消極的な姿勢になり、自分自身の内面に幸福やいのちの源を追求した結果、エピクロス派もストア派も自殺を賛美し、多くのそれらの哲学者が自殺するという行き詰まりに至ったという。

        この個人主義や内面にのみ目を向けた探究を、全く方向転換させたのが、キリスト教だった。
        キリスト教は、いのちの源を自己の内面ではなく、超越的な外在的な絶対者に見出し、人生の方向転換をもたらす宗教だった。

        しかし、中世のカトリックは、アリストテレスの影響により、主知主義の傾向を強めた。
        それに対し、もう一度、プロテスタントが主知主義ではない主意主義、つまり神と人との関係は知よりも前に愛であることを、信仰が救いであり、知は救いではないことを説き明かした。
        この結果、知ることよりも、実際に行動し生きる、積極的な姿勢がプロテスタントの社会に起こり、近代社会を準備した。

        そうした世界史の大きな流れを著者は指摘しながら、それが非常に実感のこもった、それぞれの人の内面や人生体験に通底するものとして、普遍的でありながら非常に実存的に語られている。
        その点、他に類書のない、稀なる本だと思う。

        私も漠然と、セネカやマルクス・アウレリウスなどのストア派の書物や、エピクロスなどは、素晴らしいとは思いつつ、どこか何かが物足りないし、行き詰る気がしていた。
        一方、キリストやパウロは、うまくは表現できないが、何か生命力がある気がしていた。
        それがなぜなのか、その方向性がどう違うかが、ようやく分かった気がする。
        また、自分がなぜ、昨今の日本にも多い、自分探しやスピリチュアリズムや神秘主義の類にいまいち興味が持てなかったのかも、はっきりわかった気がする。
        と同時に、どうも自分は、ギリシャ哲学や仏教をかじったせいか、主知主義の傾向が強すぎるので、主意主義の方向で生きたいと明晰に思うようになった。

        実に良い一冊だった。
        >> 続きを読む

        2013/10/15 by atsushi

      • コメント 4件
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      検屍官

      CornwellPatricia Daniels , 相原真理子

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • このパトリシア・コーンウェルの「検屍官」は、女性検屍官ケイ・スカーペッタが活躍する人気シリーズの1作目の作品で、ようやく読了しました。

        この作品は、顔全体が腫れあがって見分けのつかない死体に対面しなければならない、検屍官という職業の女性が活躍するサイコ・ミステリ。

        検屍官といえば女性でなくとも、あまり楽しい仕事とは思えない。
        なにしろ、死体との対面が仕事で、扱う人体の組織の断片はすべて犯罪に関わるもので、気味が悪い。

        ケイの管轄であるバージニア州都リッチモンドで連続殺人事件が起こる。
        残虐きわまりない殺し方だった。
        そして、数カ月の間に5人の女性が次々と殺される。

        被害者の共通点は、一人暮らしで土曜の早朝に自宅で襲われ、絞殺されていること。
        しかし、絞殺といっても、たんに首を絞めただけではなく、ナイフで脅し、電気のコードで縛り上げ、ありとあらゆる開口部を犯すという残忍なものだった。

        その後、口に布を詰め込んでリンチ、手の指を一本一本折られた女性もいる。

        被害者たちは、長い苦痛を死に到るまで味わわされているのだ。
        彼女らがリンチの苦痛に身体をよじるたびに、巻かれたコードが首を絞めあげていく。

        検屍官であるケイは、殺人現場の様子から犯行をほぼ確実に想定することが出来る。
        ケイのショックと怒り、そして捜査への情念が燃え上がる。

        ケイは犠牲者の夫の一人、マット・ピーターセンの嗅いだ甘い残り香、犯人の体臭を手掛かりに、同僚や上司たちと敵対しながらも犯人を追いつめていく。

        しかし、なんと犯人が、6人目に狙っていた犠牲者はケイだったのだ-------。

        この小説を読むと、今までの婦女暴行や殺人などのイメージを大きく超える生々しい犯罪の実態に唖然とさせられる。
        こんなことはミステリの中だけのことだろうと、タカをくくりたいが、ケイの検屍によって明らかにされる"犯行"は、きわめてリアルだ。

        著者のパトリシア・コーンウェルは、前歴が検屍局でコンピュータグラマーとして働いていたということと考え合わせても、かなり現代アメリカの犯罪の本質に肉迫したものではないかと思われて慄然とさせられる。

        もはやこの手の犯罪者は、刑事やFBIでは割り出せない。
        検屍官でなければ-------。

        舞台といい、設定といい、陰鬱この上ないが、主人公ケイ・スカーペッタのひたむきなヒューマニズム、理想主義、一徹さによって救われていると思う。

        また、セクハラ、子供に無関心な親たち、サディズムに走り身を滅ぼしかけている弁護士など、ケイの周辺にはさまざまな社会問題が山積みされている。

        この作品は、そんな社会的な問題意識を多く含む、サイコ・ミステリの傑作だと思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/05/19 by dreamer

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      役に立つ日本史物語

      鈴木健二

      講談社
      カテゴリー:日本史
      4.0
      いいね!
      • NHKアナウンサー鈴木氏による日本史。

        さらさらと読み進められるが、記憶にはあまり残らない。

        噺家調というか講談調というか、好き嫌いの有るテイストだと思うが、日本史という学問を、平易な文章で紹介していくことには意義が有ると思う。

        全体を通して、人の話を聞いているかのように、さらさらと読み進められるのが特徴だが、反面、読み終えた後に、内容を思い出そうとしても、あまり記憶に残っていない。
        結果だけ見れば、薄っぺらい作品と言えなくも無い。

        著者は元NHKのアナウンサーで「クイズ面白ゼミナール」の司会者だったらしいが、記憶にはほとんど残っていない。
        何となくメディアに露出する著者のイメージは、上から目線の感じが悪い人というものだったが、本書に表れる広範な知識は勉強家の一面を感じさせる。

        アナウンサーとしても優秀だったようだが、どちらかというと、どこかの大学教授というイメージの方がしっくり来るように思う。

        写真や絵の差し込まれ方が絶妙で、より想像力が刺激された。
        >> 続きを読む

        2012/02/24 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      ふたりの星

      掛川恭子 , ロイス・ローリー , うらべちえこ

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 1943年ナチス占領下のデンマークのお話。このお話を読むとデンマークが大好きになるのでデンマーク人が書いたお話かと思ったらアメリカの方の著作だそう。ニューベリー賞受賞作です。

        感想:もしも小学生の中高学年でお話を読むのが好きな子供がいたらぜひ読んでほしいと思う素晴らしい作品。
        前に「永遠の0」のレビューを書きましたが、その頃にデンマークではこんな事がおきていたのだと思うと、戦争に対する考え方にまた異なる方向を与えてくれます。
        日本の子供たちは日本の戦争時代のお話を読むのと同時に、きちんと歴史を親が教えてあげながら、その時に他の国ではどんな事がおきていたのかをわかるお話を読むことがとても重要だと思います。
        作者のローリーはハワイで生まれ日本で育ち、アメリカで暮らしたそうです。彼女が書いたデンマークのお話にはデンマークの人々の優しさと強さを教えてくれると共にデンマークの自然や暮らしの素晴らしさも描かれています。そして、海を挟んだ隣国スウェーエデンの素晴らしさ、そしてよく読むとドイツ兵の優しさ(人間味?)もきちんと書かれています。
        自分の国を愛すること、自分のまわりの人々を愛すること、勇気とは何か。そして読み終わったあとには必ず作者のあとがきを読んでください。ここには物語ではかかれていない素晴らしい真実が書かれています。
        異なる文化に対する親愛、人種や民族や宗教を超え、自分が何を愛して大切にしているのかという信念は、後書きに書かれている実際の青年の手紙の「品位」または「プライド」というものに繋がる大切な要素のひとつだと思います。
        >> 続きを読む

        2012/09/28 by emurin

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      究極超人あ~る

      ゆうきまさみ

      小学館
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      いいね!
      • やっと全巻読破!
        と言うわけで全部読んだ感想を。


        一巻はちょっと古臭いし、なんならギャグも上滑りしている感じ(あまりにも自由すぎる作風だった)でちょっと面白さが分からなかったが、そこは無理やり読み進めるとRくんが風邪を引くエピソード辺りから変化が。
        その辺りからRくんとトサカ先輩の掛け合いは完成した感があり、最終巻までの様式美的な混沌が完成するのである。
        ゆうきまさみのTwitterによると、当時のサンデー編集長に、「この漫画は分からん」と言われていたらしい。うーん、よく連載までこぎつけたなあ。


        ゆうきまさみのギャグセンスは、この頃には完全に完成している。
        コミックエッセイに描いてあった話だが「漫画を描くことが大好き」らしい。うーん、天性の漫画家だなぁ……と思ってしまう。それくらい、初期作の今作で既にゆうきまさみは出来上がってる。出来上がってるけれど、ちゃんと伸び代もあるという(後の作品がそれを証明している)、なんとも不思議なゆうきまさみの漫画を形成しているのだ。
        >> 続きを読む

        2017/04/09 by れのお

    • 1人が本棚登録しています
      ちくま日本文学全集

      夏目漱石

      筑摩書房
      カテゴリー:作品集
      4.0
      いいね!
      • ちくま日本文学全集023

        2017/10/27 by Raven

    • 1人が本棚登録しています
      ちくま日本文学全集

      梶井基次郎

      筑摩書房
      カテゴリー:作品集
      3.0
      いいね!
      • ちくま日本文学全集024

        2017/10/27 by Raven

    • 1人が本棚登録しています
      ルネサンスとしての中世―ラテン中世の歴史と言語

      兼岩 正夫

      5.0
      いいね!
      •  いわゆる「12世紀ルネサンス」および、12世紀を評価する見方からの論考を集めたもので、12世紀を中心に活躍した思想家・哲学者・歴史著述家(年代記作者)のありよう、イメージがつかめる良書。
         イギリスとドイツでの歴史記述のあり方の違い(イギリスは実証的な地域史・同時代史が早くから発展、ドイツは神秘主義的解釈による歴史哲学が発展)、および中世ヨーロッパの知的世界がある程度フランス中心であったのが、イタリアへとうつってゆく(そしていわゆるルネサンス時代へ)ことなど、おおまかなイメージが語られるため、広く関心を持つ読者の指南書になるだろう。また、キリスト教世界とは何か、キリスト教文化が中世世界にもたらしていたものは何だったのかなど、根本的なことに興味を持つ人の好奇心も刺激してくれる。
        >> 続きを読む

        2017/05/13 by コノハ♦

    • 1人が本棚登録しています
      修羅がゆく

      山口正人

      日本文芸社
      4.0
      いいね!
      • 修羅がゆく 第6/全41巻

        西と東の巨大組織がぶつかり合うことになった伊豆。

        西から捨て石同然に放たれた先兵の火野組は、行き場を無くし隠れ家に潜む。

        運良くどちらの組織よりも早く彼らを見つけた本郷は、責任を取らせる形で火野組組長を刺殺することで、東の組織との示談に成功し、残された子分達を安全保証する。

        この活躍により、伊豆の1/4を手中にした本郷は、小さいながらも、ついに本郷組事務所を再建。
        本郷に生命を救われた、元火野組の子分達は本郷の盃を切望し許される。

        長らく本郷を支えて来た工藤は幹部となり、組の会計を任されるが、アコギな稼ぎを良しとしない本郷の方針から、なかなか豊かにならない軍資金を増やすべく、別の組の賭場に挑む。

        しかし、訪れた工藤を本郷組の幹部と知った相手にイカサマで狙い打ちされ、莫大な借金を作った挙句、本郷にも言い出せずに黙って指を詰める。

        これを知った本郷は、バクチは素人同然の工藤をハメたことに激怒し、組を上げての賭場荒らしに向かう。
        圧倒的な本郷組の勢いは、相手を壊滅に追い込み、その組のシマだった情ヶ崎を奪取することに成功する。

        しかし、急激に勢力を拡大する本郷組の勢いを怖れた伊豆の既存勢力は伊豆連合を結成して本郷組包囲網を築く。

        最大勢力から一度地に落ち、改めてのサクセスストーリー。

        ヤクザものなので、やはり大量に人が死ぬなどマネできたものでは無いのだが、折衝や縄張り争いは意外と詰め将棋的で、学ぶべき点も多い。
        >> 続きを読む

        2015/11/16 by ice

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      問題児は問題の親がつくる

      相部 和男

      5.0
      いいね!
      • 問題児は問題の親がつくる―すこやかな子に育てる20の提言。問題児の親は問題親、毒親であることが多い。問題児の指導や教育には、その親である問題親、毒親に対する指導や教育が不可欠。子供は親を選べないという残酷な現実。相部和男先生の著書。少年院法務教官や保護観察官としての経験をお持ちの相部和男先生の提言は説得力が違います。 >> 続きを読む

        2018/11/04 by 香菜子

    • 1人が本棚登録しています
      ユダヤ賢者の教え

      SegalYocheved , 母袋夏生

      ミルトス
      カテゴリー:ユダヤ教
      5.0
      いいね!
      • ユダヤの聖典・タルムードの中のアガダーと呼ばれる説話集を、現代人にわかりやすくまとめたシリーズの最終巻の第四巻。

        この巻もとても面白く、これでこのシリーズが終わってしまうのが、とても残念に思えるほどだった。

        印象深かったのは、以下のいくつかの物語。

        ツァディクのベンヤミンが、常に多くの人を助け、飢饉の時に自分に助けを求めてきた寡婦とその七人の子どもを、自分も貧乏なのになんとか養った。
        そのことにより、人一人の命を救うだけでも全世界を救ったのと等しいと考える神により、八人もの命を救ったので、本来ならば死ぬべき時が来ても奇跡的に病気が治り、二十二年、さらに寿命が伸びた、という話。

        また、ある町に、みんなから嫌われているゴロツキたちがいた。
        しかし、ラビ・ゼラだけは、いつも彼らにあいさつし、彼らが良くなるように祈り、困ったときには助けたり、かばったりしてあげていた。
        しかし、ゴロツキたちは、ラビ・ゼラを馬鹿にし、ラビ・ゼラは背が低くて足にやけどのあとがあったので、チビのやけど足と呼んでいた。
        だが、ある時、ラビ・ゼラが高齢のためになくなると、はじめてゴロツキたちも寂しく思い、もう自分たちのことを心配してくれる人も愛してくれる人もいなくなったのだと思い、いかにどうしようもない自分たちもラビ・ゼラが変わらず慈しんでくれていたかを思って、行いを改めて更生していった、という話。

        あと、マアセルという、財産の十分の一を神のためにささげることが律法に定められているが、それをしなかった人がだんだんと財産が減っていき、きちんとするようになったらだんだんとまた元のように栄えていった、という話。

        などなど、とても面白かった。

        他にも、お金より友人が大切なこと、身体の毛の一本一本にちゃんと栄養がいきわたるように神は人を必要な分は養ってくださること、貧しくとも誇りを失わず足るを知っていたいろんなラビの話、神は敬虔な人には高い水準を求めて自らの行いをその人が正すことを求めること、ほんのわずかな驕りの心も持たないように気を付けるべきこと、などがわかりやすい説話で説かれていて、とても面白かった。

        四百回以上教えないと物事を覚えることができない弟子に、根気よくトーラーを教えた先生の話も感動的だった。

        ユダヤの人々は、こうしたアガダー(説話)によって、おのずと、トーラー(律法)への愛や献身を身につけていくのだろうと、読んでいてあらためて思った。

        また、最も恐ろしいことは、心がトーラーに対して閉じられることだというメッセージも、なるほどーっと考えさせられた。

        この全四巻は、多くの人におすすめしたい、素晴らしい説話の数々だったと思う。
        このシリーズでわかりやすくアガダーを読めて、本当に良かった。
        >> 続きを読む

        2013/07/13 by atsushi

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています

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