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1992年6月発行の書籍

人気の作品

      粗にして野だが卑ではない 石田礼助の生涯

      城山三郎

      文藝春秋
      カテゴリー:個人伝記
      4.3
      いいね! iwiw405 Tukiwami
      • 自分の気持ちに素直に生きること
        飾らず、嘘をつかず、自分に無理をしない

        ありのままに生きること。
        それを肯定的に表現すれば上の通りだろう。

        常にそう美しくあれないから、人は行儀や作法を生み出し、
        その倣いの中に飛び込むことで半強制的に人とうまく馴染める文化を創り出している。
        「空気を読む」ことを求め、求められる。


        それはそうだ。
        常に自分のままの人なんて
        人との衝突も不和も絶えないだろう。


        そんな人が、それでもゆるまず、腐らず、貫いた生き方がこの作品。
        貫いた先には、多くの人から愛され、受け入れられた後世があった。

        裏表がない
        ということが人に与える安心感。

        たとえその口に出るフレーズがネガティブなものであっても、
        そこに嘘も交わしもためらいもなければ、
        人はその人を真っすぐに理解できる。


        ありのままの自分を出して、なお人に受け入れられるか。

        そこから先はその人の哲学や人間性だろう。
        この石田礼助にはそこに正義があり、粘着質が無く、利己心がなかった。
        そして何より愛嬌があった。


        とてもとても怖いし、勇気がいるものだが、
        自分を素直に周りに解放するのは手である。
        そこにある人の反応は、嘘偽りない自分の本性に対する評価である。
        否定的な反応があればそこで初めて自分を真摯に問いなおせばいい。

        自分を出さなければ、出し方を考えてしまうようでは、
        自分はちゃんと理解されてない
        という愚痴とともに、自分の内面は淀んで入れ変わらない。


        とはいえ、勇気がいる。
        まずは胆力ということでしょうか。
        >> 続きを読む

        2017/08/18 by フッフール

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      収容所から来た遺書

      辺見じゅん

      文藝春秋
      5.0
      いいね!
      • 太平洋戦争が終わってるにも関わらず、シベリアでは壮絶な抑留生活を送っていた日本人がたくさんいたことを改めて知った。生活の細かい点まで描写してあり、著者の精緻な取材により我々がその実態を知ることができる。遺族に向けた遺書はまさしく愛する家族への最後の叫び、帰国できなかった無念さが痛いほど伝わり、一行一行が胸に響いた。それを分担して暗唱し、それを遺族に伝えた人々の責任感、連帯感にも心より感動。平成初期の今後も読み継がれるべき作品。 >> 続きを読む

        2018/01/30 by MT1985

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      でんしゃ

      BartonByron , こじままもる

      金の星社
      4.5
      いいね!
      • 無性に楽しくなってきた。
        とってもシンプルな絵で、シンプルなことを伝えているだけなのだが、不思議な楽しさが伝わってくるのは何故だろう?
        それは、”でんしゃ”が自分の中に持つエネルギー・夢からくるんだろうなと思った。
        ”でんしゃ”は乗っていること自体、楽しいからな。
        >> 続きを読む

        2014/07/25 by けんとまん

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      ひめゆりの沖縄戦 一少女は嵐のなかを生きた

      伊波園子

      岩波書店
      カテゴリー:日本史
      4.0
      いいね!
      • 当時を思い出し、書いたり語ったたりするのも相当に辛いことなのだ
        ろうと思う。それでも、ひめゆり学徒隊の生き残りである女性たちは
        自らの体験を書き、語り、後の世代に戦争の惨禍、そして平和の大切
        さを伝えようとした。

        心を引き裂かれ、血の出るような思いで書かれたり、語られたりした
        ことを、私を含め戦争を知らない世代は受け止め、考えなくてはいけ
        ない。

        ひめゆり学徒隊。沖縄県女子師範学校と沖縄県立第一高等女学校の
        教師と生徒を主体に作られた女子学徒隊の悲劇については映画や
        小説でも取り上げられた。

        著者は沖縄県女子師範学校の卒業間際に看護要員として動員された。
        そして、体験した沖縄戦。アメリカ軍の攻撃を避けながら壕を転々と
        し、その合間に傷病兵の手当てをし、極度の疲労と食糧不足に悩まされ、
        多くの恩師や級友を失いながらも「鉄の暴風」を生き延びた。

        小学校高学年以上向けの作品なので、筆は抑えられているのだろうが
        それでも沖縄戦の悲惨さは伝わって来る。

        逃げ延びる為に足手まといになる傷病兵を置き去りにしたり、海に入って
        自決することを求められたり、子供が泣くからと壕から追い出された女性
        がいたり。

        本土からの支援物資は届かず、負傷者の手当ての為の包帯や薬品も満足に
        ない。

        文字通り、沖縄が捨て石だった。そんな激戦を生き延びても、戦後には
        生き残った後ろめたさを抱え込まなければならないなんてなぁ。

        生き延びて語る勇気を出してくれたことで、沖縄戦で何があったかを
        知ることが出来るのだと思う。

        国は国民を守らない。改めて感じた。
        >> 続きを読む

        2018/01/20 by sasha

    • 2人が本棚登録しています
      諸葛孔明―「三国志」の名軍師 (講談社 火の鳥伝記文庫)

      桜井 信夫

      5.0
      いいね!
      • 作者の慧眼というか人物に対する見方が鋭く
        物語に於いても要所を外す事なく上手くまとめていて
        孔明は勿論、劉備の人となりについてよく描けてる。
        史実をベースにした物語で、演義要素がなくても面白い。
        >> 続きを読む

        2015/08/21 by トマズン

      • コメント 1件
    • 1人が本棚登録しています
      詩をよむ鍵

      大岡 信

      5.0
      いいね!
      • 大田区の図書館から廃棄される本のなかにあったので持って帰ってきました。
        読んでみたらとても面白かったです。

        短いコラムを集めていますが、文章がほんとうに読みやすいです。

        いちばんおもしろかったのは・・・詩でもなんでも、日本人はすぐ「車座」を組んで内向きになってしまうことを指摘し、それを否定するのではなく、そのようなつながりと緊張感のなかから連歌など日本の詩歌は生まれてきたのではないかと書いており、印象に残りました。確かに、一匹狼のような詩人たちだって、すぐに集団になってしまいいますね。

        古今和歌集、源氏物語などについても、いろいろなエピソードが述べられて面白かったです。古今集の編集者たちは強烈な「これはこのように見るべきです」という意思を持って分類を行ったことや、わたしたちのなかにも「古今和歌集」が生きている可能性を気づかせてくれました。

        北原白秋や、萩原朔太郎の美人姉妹・朔太郎の詩の都会のイメージについて、なども面白かったです。いずれも詩に広がりを与えてくれるエッセイでした。
        >> 続きを読む

        2017/01/07 by みやま

    • 1人が本棚登録しています
      藤沢周平全集

      藤沢周平

      文藝春秋
      カテゴリー:作品集
      4.0
      いいね!
      • 市井小説短篇(1)

        デビュー作の「冥い海」ほか、昭和46年から50年に書かれた作品、21編を集める。
        たしかに暗い作品が多いが、「父と呼べ」のようなほろりとさせる作品もある。
        一作ごとの完成度と、発表のペースに驚かされる。

        【収録作品】
        溟い海、囮、賽子無宿、黒い縄、帰郷、恫喝、夜が軋む、割れた月、闇の梯子、父と呼べ、疑惑、密告、入墨、馬五郎焼身、旅の誘い、鬼、おふく、霜の朝、時雨のあと、穴熊、冬の終りに
        >> 続きを読む

        2017/09/09 by Raven

    • 1人が本棚登録しています
      O嬢の物語

      RéagePauline , 渋沢竜彦

      河出書房新社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 子供は読んじゃいけません、いいですね!!


        …というような非常に官能的な小説でした。確か最初に興味を持ったのが、アール・ヌーヴォーの旗手であるルイ・マルの『好奇心』か何かで、作中に出てくる少年がませていることを示すための小道具として本書を読んでいる、という描写があったのです。それまでにもほかの映画だったか小説だったかで本書の存在は知っていたようにも思うのですが、内容は知らなくて、じゃあ読んでみるか、ということで、BOOKOFFにあったのを買いました。澁澤龍彦ってだけで、まぁ、ご存知の方は予想がつくでしょう。鞭で叩かれる系です。百合もありますよ。

        ただ官能的なだけのSM小説ではないんだな、というのは、読んでわかりました。フランス小説の神髄ともいうべき執拗なまでの心理描写とか、男女の悲しい性だとか。惜しむらくは最終章が欠落していることです。尻切れ蜻蛉感が…

        しかし重ねていいますが、子供は読んじゃいけません。男の子も女の子も、どちらもですよ!
        >> 続きを読む

        2017/05/05 by ワルツ

    • 1人が本棚登録しています
      ひこうき

      BartonByron , こじままもる

      金の星社
      5.0
      いいね!
      • 「バートンののりもの絵本」シリーズ。

        「でんしゃ」(http://www.dokusho-log.com/b/4323019211/)
        がもうすぐ2歳の息子の今一番お気に入りの絵本なので
        それならばこれも、と思い購入。
        見事ハマりました。

        イラストが分かりやすく、言葉もシンプルで分かりやすい。

        字が読めないはずなのに、ページを開くと
        「たかいそらです」
        「おきゃくさんがたくさんのっています」
        と読んでいる(?)からびっくり!!!

        何度も何度も読み聞かせているうちに、暗記したんですね。
        記憶力、2歳児に完敗です。
        >> 続きを読む

        2013/02/22 by アスラン

      • コメント 4件
    • 2人が本棚登録しています
      幽体離脱殺人事件

      島田荘司

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 親友だった女性達だが、長い歳月は様々な溝を作った。

        少し強引なと思われるトリックが気になってしまった。

        少し間が空いてしまったが、読みきってしまわぬよう大事に読み進めている島田氏作品。
        吉敷刑事シリーズで、いつにも増してスピード感溢れる解決編が楽しめる。

        他作品と比較すると社会派な面は薄く、展開やトリックも想像の範疇だったので特筆すべき点は無い。

        教訓とまではいかないが、読後、過去にいつまでも固執したり、他人と自分を過度に比較してはいつまでも幸せにはなれないことを再認識した。

        全体的にサイコ的な暗い空気が支配している作品だが、最後の子供との対話で多少救われた思いがした。

        とは言え、島田氏作品。当たり前のように面白い。
        >> 続きを読む

        2011/11/14 by ice

    • 2人が本棚登録しています
      奴隷と奴隷商人

      国領苑子 , MeyerJean

      創元社
      カテゴリー:社会史、社会体制
      4.0
      いいね!
      • 豊富な図版をまじえながら、わかりやすく奴隷制や奴隷貿易の歴史をまとめてあった。

        の本によれば、古代ギリシャ・ローマの時代は、ほとんどの奴隷は白人だったらしい。
        また、中世は、シェルムと呼ばれるガレー船の漕ぎ手として、誘拐されたスラブ人などが奴隷となることがしばしばあっていたそうだ。

        しかし、そうしたそれまでの歴史のものと、大航海時代以降のアフリカの黒人を新大陸に連れて行き、奴隷として労働させるという黒人奴隷制は、規模も残酷さも相当に異なっていたようである。
        この本も、主に黒人奴隷制について焦点をあてて書かれている。

        綿花のみでなく、コーヒー・タバコ・砂糖の新大陸での生産は、黒人奴隷制に大きく依存していた。
        砂糖をつくるための精糖圧搾機は極めて危険で、よく手をはさまれてケガをする黒人奴隷がいたそうである。

        奴隷商人というと血も涙もない人間を想像するが、当時のイギリス・フランス・オランダなどの国々の奴隷商人は、ごく普通の市民だと本人も思っていたし、実際自分たちの社会ではそのような人が多かったそうである。
        さまざまな理由によって、奴隷貿易は正当化されていたようだ。

        反抗を試みたり逃亡する黒人奴隷は、しばしば悲惨な結果に終わった。
        彼らの心の支えとなる一種の伝説として、ザンビア共和国という黒人の国や、50年以上ジャングルの中に逃亡した奴隷たちによってつくられた都市として存在したという、パルマレスという都市の物語が伝わっていたという話は、興味深かった。

        また、ヴォルテールやモンテスキューやコンドルセらは、奴隷制を辛辣に批判したり諷刺していた。
        ストウ夫人らの文学作品が大きな奴隷制廃止の世論をつくった。

        フランスは、1794年にフランス革命でいったん奴隷制を廃止したが、ナポレオンの帝政時代の1802年にまた奴隷制を復活し、1827年にやっと奴隷貿易が禁止され、1848年に奴隷制度が廃止された。
        ヴィクトール・ショルシェールという弁護士が、二十年以上かけてフランスの奴隷制廃止のために長く努力したそうである。

        イギリスではウィルバーフォースらが中心となって、1807年には奴隷貿易が禁止、1833年に奴隷制廃止が実現した。
        アメリカでは、1812年に奴隷貿易が形式的には禁止(実質はかなりその後も存在)、1865年にやっとリンカーンの手によって南北戦争の多大な犠牲の上に奴隷制が廃止された。

        こうした歴史を見ると、本当に一朝一夕には動かないということと、四半世紀もの長きに渡ってこれほどの苦しみをどうしてこれほど多くの人が受けねばならなかったのかということを考えざるを得なかった。

        また、この本を読んで驚いたのは、サウジアラビアでは1963年まで、モーリタニアでは1980年まで奴隷制が存続していたという話である。
        つい最近まで、奴隷制はこの世に存在していた。

        制度としては一応廃止されたが、現代でも形を変えた奴隷的な状況は多数存在し、この本では、一説には五千万人もの人々が、奴隷的な人身売買や拘束状況にあるということも書かれていた。

        世界人権宣言の第四条には、明確に奴隷制の禁止が書かれている。

        私たちが過去の歴史を無にしないために、そして今の世の中のありかたを考えためにも、奴隷制の歴史というのはきちんと踏まえておく必要があるのだと思う。
        この本の監修の猿谷要さんが、「白人の、白人による、白人のための歴史」ではなく、別の視点から再構成された歴史をつくる時に、黒人奴隷制こそ最も重要な世界史の一つの軸だと述べているのは、本当にそのとおりだと思った。
        >> 続きを読む

        2013/03/20 by atsushi

      • コメント 5件
    • 1人が本棚登録しています
      現代思想の冒険

      竹田青嗣

      筑摩書房
      5.0
      いいね!
      •  近代から現代の思想史を俯瞰するための一冊となればと思い読んだ。結論から述べると、当初の目的である「哲学史の俯瞰」のための一冊としては適していなかった。つまり、この本の内容は著者による近代思想から現代思想へ至る過程のまとめと再解釈であった。最終的にバタイユでしめるのは、恐らく正統派の哲学史書では有り得ないことであろう。しかしながら、だからと言って決して面白くなかったわけではない。現代思想家の説明も簡単ながら行われているし、デカルト、カント、ヘーゲル、マルクスの流れと、反ヘーゲルのキルケゴール、ニーチェの流れを対立させ、現象学をも利用し、現代思想における「私」と「社会」の問題を解決する試みは興味深いものであった。また、個人的にはキルケゴールについての説明を読む中で、ドストエフスキーやカミュにおける「生の意味」の問題と重なる部分を見言い出せ、今後の思索に生かせる材料が見つかって良かった。
         タイトルから、現代思想に関する哲学史の本と勘違いして読んだが、その内容は著者による現代思想のまとめと再解釈であった。しかしながら、近代から現代へ至る思想を有機的に結び付ける作業は読んでいて面白いし、こういった解釈もあるのかと勉強にもなる。現代思想関係の概説書を一読した後、参考書として読むのが良いだろう。
        >> 続きを読む

        2018/09/09 by shinshi

    • 2人が本棚登録しています
      柳田国男 (ちくま日本文学全集)

      柳田 国男

      3.0
      いいね!
      • ちくま日本文学全集033。

        柳田國男の作品には、あんまり興味を引かれませんでした。
        私には縁遠い人のようです。

        「遠野物語」
        はあ。こういう中身なんですね。

        唯一面白かったというか、勉強になったのは、「笑いの本領」という作品。
        芭蕉の俳句というのは、
        「笑ってこの人生を眺めようとする」もので、しかも「何でもかも笑いのめし、笑わせ続けようとするのではなくて、本当に静かなまた朗(ほがら)かな生活を味わいたいと思う者に、親切な手引きをしようというのであった」
        (笑いの本願 p381)

        えええ、俳句ってそんなものだったの!と初めて知りました。
        どうもそういうことらしいです。

        ふ~む。
        ま、それだけです。

        次は大岡昇平。
        大岡昇平といえば「野火」だなあ。
        >> 続きを読む

        2017/11/04 by Raven

    • 1人が本棚登録しています
      大岡昇平 (ちくま日本文学全集)

      大岡 昇平

      3.0
      いいね!
      • 「中原中也の思い出」とか「富永太郎伝」、それに第二次世界大戦中の日本軍兵士の人肉食を扱った「野火」とか、興味深そうなタイトルが並んでいるけれども、読んでいてあまりひっかかるところがなく通り過ぎてしまいました。
        今はあまりこれらの話に関心が湧かない。

        それに「野火」の風景描写は、ほとんどわたしには読めない。読もうという気も起こらない。ただ文字を眺めるだけ(昔から風景描写についてはそうで、たいてい読み飛ばしている)。

        「レイテ戦記」の抜粋は、文藝春秋かなにかの論説記事みたいで、文学全集にはふさわしくないような気もするが、作者のこのような側面を紹介するものとして載っけたのだろう。
        けど興味ないので、これも斜め読み。

        「一寸法師後日譚」
        ここだけですね、面白かったのは。
        楽しくて、セクシーで、大笑いできるお話です。
        >> 続きを読む

        2017/11/05 by Raven

    • 1人が本棚登録しています
      必然の結末 (創元推理文庫)

      ピーター ロビンスン

      4.0
      いいね!

      • ウォークマンでブルースを聴く、アラン・バンクス首席警部。

        こんな警部がいるのかって? それがいるんですね。
        クルーゾーみたいにヘボじゃないが、ポワロほどの切れ者でもない。

        ピーター・ロビンスンの"アラン・バンクス首席警部シリーズ第三作目の「必然の結末」が、とても面白い。

        舞台は、イギリス北部の片田舎。というより世界有数の核汚染地帯ウィンズゲールの近郊。

        反原発デモと機動隊の衝突で死者が出た。それも鎮圧側の警官が刺し殺されたのだ。

        そこで、中央はテロリスト対策専門の腕利きを派遣してくる。
        コミューン生活者たちが、いの一番に疑われる。
        凶器も容疑者も見つかるけれど、果たして真相は?-------。

        良心的な警部と手段を選ばない上司との対立、と思わせてこの二人は結構、意気投合してビールばかり飲んでいる。

        対立はむしろ、物語の暗鬱さからの息抜きだ。デモ規制に生き甲斐を見い出していた被害者の像が暴かれてくるあたりから、結末の見当はほぼついてくる。

        警部が聴いているビリー・ホリデイの歌よりも残酷だ。一歩間違えば告発主義、一歩間違えば悲劇の押し売り。
        この作品は、そこを悠揚と読ませるんですね。

        しかし、タイトルは「必然の結末」なのか「不可欠の結末」なのか。
        賛否が分かれるところだろう。

        >> 続きを読む

        2018/11/14 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      新版 指輪物語 - 1 旅の仲間 上1 評論社文庫

      瀬田貞二 , 田中明子 , J・R・R・トールキン

      評論社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 大いなる力を秘めた指輪を手に旅立つフロド。

        タイトルにもなっている指輪の神秘性が際立っており今後の展開に期待してしまう。

        ロードオブザリング原作。
        世界三大ファンタジーには各説有るようだが、ナルニア国物語とともに、必ずエントリーされるのが本作「指輪物語」。

        昔懐かしいアドベンチャーゲームブックの頃から、ホビットやらドワーフやらが登場する世界観に親しんでおり、その後ダンジョンズ&ドラゴンズ、更には家庭用ゲーム機のRPGでも継続して触れていたため、起源とも言われる本作には以前から大いに興味が有った。

        それでも、これまで読むのを見送っていた理由は、翻訳モノに対しての不信感。
        更には映画が公開され大ヒットしたことに対してのミーハー感だったように思う。

        ただし、いつかは読みたいという気持ちが強く、映画ロードオブザリングは未だに一作も観ていない。

        ここに来て手に取る気になったが、あまりにも思い入れが強い状態のため、正直怖い部分も有るが、第一作目となる本作では、裏切られることは無かった。

        大作だが、少しずつ読み進めて行きたいと思う。
        >> 続きを読む

        2011/11/01 by ice

      • コメント 2件
    • 8人が本棚登録しています
      いえすさまの あしあと (至光社国際版絵本)

      佐久間 彪井口 文秀

      (有)至光社
      4.0
      いいね!
      • とても良い絵本だった。
        心が、なんだかあたたかくなった。

        福音書に書かれているわけではないけれど、舟に乗っているイエスに手を振ってもらい、仲良く過ごす少年が、浜辺でイエスの足跡に自分の足跡を重ねて歩く遊びをしていた。

        そんなのどかな光景が、本当にあったのかもしれないなぁと、読んでいて思わされた。
        >> 続きを読む

        2013/05/10 by atsushi

      • コメント 5件
    • 1人が本棚登録しています
      現代人のためのユダヤ教入門

      TelushkinJoseph , 松江伊佐子 , 松宮克昌 , PragerDennis

      ミルトス
      カテゴリー:ユダヤ教
      4.0
      いいね!
      • とても面白かった。
        内容は、ざっと以下のようなもの。

        ユダヤ教は、神の存在を信じるかどうかより、トーラーの実践が大事だとされる。
        人は、神への疑問を持ってもよく、自分で問い続け、調べ、神と対話していくことは、ユダヤ教においては肯定される。
        むしろ、絶対的確信は狂信につながり、忌むべきこととされる。

        しかしながら、ユダヤ教においては、神の存在は当然肯定され、大切にされる。
        なぜならば、神がいなければ、理性や感情以上のモラルの根拠がなくなるからである。
        シナイ山でモーゼに啓示された神の教えこそ、道徳の客観的な根拠である。

        ただし、神への信仰さえあえれば、善い人や善い世の中になるとはユダヤ教は考えない。
        信仰に加えて、モラルの尊重と理性の使用が必要であり、したがってトーラーの学習と実践が重視される。

        善人とは、他人を傷つけないだけの人ではなく、積極的に善を追求する人のことであり、ユダヤ教はトーラーによってそのための道を示している。
        トーラーは、再帰律法・倫理律法・聖性律法・民族律法の四つの要素を持つが、どれも人を善に進めさせるための大きな指針となり基準となる。

        ヘブライ語で祈りを意味するヒトパレルという語は、自らの点検という意味であり、ユダヤ教においては、祈りは神に立ち帰り、トーラーの光に自分を照らしてみることでもある。

        ユダヤ教は信仰より行動という立場であり、その点が、キリスト教の行動より信仰という立場と異なる。
        パウロは律法を完全に守らないと呪いとなると述べているが、実際のユダヤ教の聖書やトーラーの中にはそんな箇所は全く存在しない。
        おそらくパウロは申命記の二十七章二十六節を誤読している。
        ユダヤ教においては、もともと人間は完全にトーラーを実践できない場合があることを考慮しているし、立ち帰り(テシュヴァー)によってトーラーを破っても贖われることが説かれている。
        テシュヴァーには、罪を認め、心から悔悛し、トーラーを成就するために立ち帰るという三つのプロセスが必要だが、そうすれば神は許す。
        そのことは、ホセア書十四章三節、レビ記二十六章四十から四十五節、申命記四章二十九節から三十一節などに記されている。
        また、ユダヤ教は、神に対する罪は上記のことにより神により許されるが、人に対する罪はその相手が許し癒されない限り許されないと考える。

        さらに、キリスト教は悪人を愛せと命じるが、ユダヤ教はそうは教えない。
        ユダヤ教においては、悪には果敢に抵抗し、悪を社会からなくすことが説かれる。
        悪人に対しては、公正であるべきだとは教えられるが、愛すべきだとは言わない。

        また、詩編百四十五章十八節にあるように、神と人とが直接結びつくことを説き、媒介者を必ずしも必要だとは考えない。

        さらに、マルクス主義は、ユダヤ教の世界を完成するという考えの、無宗教的な分派と言えるが、神を否定し、人間を至上の存在としたため、モラルを主観的なものにしてしまった。
        マルクス主義は悪は経済から生じると考えるが、ユダヤ教は悪は人間の中から生じると考える。
        マルクス主義は、自由は外的な束縛をなくすだけで達成できると考えるが、ユダヤ教は外的束縛と内的束縛の両方をなくさないと達成できないと考える。
        したがって、革命で一挙に自由や善が達成できるとは考えず、一人一人が自分の内面に目を向け、善を実践し悪を慎み、人間として成長し善く変化することを重視する。
        二十世紀は、いわば、モーゼとマルクスの論争の時代だったと言える。
        マルクス主義は理性を万能としたが、理性とモラルは無関係であり、人間至上主義はモラルを主観化し、スターリン粛清などの悲劇を生み出すことを止めることができなかった。
        モラルには倫理的一神教という根拠が必要である。

        ユダヤ教の唯一神教は、世界史を変えた。
        キリスト教・イスラム教・マルクス主義は、いわばユダヤ教の分派である。
        しかし、ユダヤ教の倫理的唯一神教は、倫理と理性を無視する宗教的狂信主義とも、倫理の相対化や主観化を帰結する無宗教主義とも、どちらとも異なるものであり、そのどちらとも闘う。

        反シオニズムは、反ユダヤ主義の一種であり、大半のユダヤ人は到底受け入れることができない。

        ユダヤ人の若者が拒否しているのは、「まやかしのユダヤ教」であり、本当のユダヤ教を知れば、そうではないはずである。

        ユダヤ教は必ずしも排他的な宗教ではなく、歴史の上において、アリストテレスやスーフィーやキルケゴールから学んできた。

        「無知な人は有徳たりえない」
        したがって、トーラーは学ぶ必要がある。

        神が存在しないなら、人生の究極の意味はなく、善も悪もない。
        人間は根本的に善ではないので、善を規定し、法制化する必要がある。
        ユダヤの使命は倫理的唯一神教を広めることである、つまり、善悪の判断の根底にある神を破壊する企てと闘うことである。

        といったことが書かれていて、なるほどーっと思った。

        ユダヤ教というのは、本当に現代においても寄与することの大きい、とてもすぐれた宗教だとあらためて感じた。
        他の立場からの応答や対話も、ぜひ聴いてみたいと思ったし、ユダヤ教についてさらに知りたいと思った。
        >> 続きを読む

        2013/07/30 by atsushi

      • コメント 4件
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      ねこがほしい!

      トニー ロス

      3.0
      いいね!
      • この行動力は凄すぎる!。。。って、最後のオチがまた^^

        2017/07/27 by けんとまん

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