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東野圭吾
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対称的な二人の客室乗務員を探偵役として綴られるユーモアミステリーの短編集のめり込めなかった・・・・・・・・容姿端麗で優等生のエー子と少々太り気味でおおらかなビー子エー子だって、ビー子だって人には言えない悩みも秘密も多々あるでしょう二人のエピソード的なところをもう少しツッコんでほしかった・・・・・・だけどストーリー自体はなかなかです短編だし、ライトな感覚のミステリーなんだけど結末は「おっ」引き付けられるところもあり中学生くらいが読むミステリーとしたら秀作なのではないでしょうか最終話の『狙われたエー子』過去に結婚も考えた元彼との物語最後の最後に彼女の弱い一面をほんの少し知ることができて、親近感が湧きました最後の最後は花丸!!!!! >> 続きを読む
2015/02/04 by momokeita
泉鏡花
久し振りに、泉鏡花を読みました。【高野聖】名古屋で同じ一折の鮨を求めたことがきっかけで、道連れになった旅僧が語った物語。それは、僧が飛騨の山越をして、松本へと向かった時の物語。天生峠という辺りで、幾度となく大蛇に遭遇し、森の中では、蛭の群れに襲われた僧は、やっとの思いで森を抜け、疲れ切った身体で、一軒の山家を通りがかります。そこにいたのは、22~23歳ほどの少年と美しい婦人。もうこれ以上歩けないと、僧はその家に泊めてもらうことに。【眉かくしの霊】霜月の半ば。木曾の桟橋、寝覚の床などを見物するつもりで、上松までの切符を持っていた境賛吉は、ふと木曾街道の奈良井の駅で、泊まりたくなり、侘しそうな旅籠屋を選んで入ることに。その宿はなかなか良く、夕食にこの辺りで、佳品と評判の鶫の丸焼きを食べた彼はご機嫌に。しかし、湯に入ろうとした時、無人のはずのその湯には、女性の人影が-----。「高野聖」のように、美女の姿をした妖怪に誘惑され、徳の高い僧が、それを退けるという物語は、それほど珍しくはなく、中国の妖怪譚や上田秋成の「雨月物語」にもありますが、やはりこれは、泉鏡花の幻想的で唯美的な世界にぴったりですね。山の中で遭遇した大蛇や、森を抜けている時の蛭の大群などが、とても不気味だからこそ、その後の水辺のシーンが、一層生きてくるのでしょう。「可い工合に身に染みる」水、「それから両方の肩から、背、横腹、臀、さらさら水をかけてはさすってくれる」婦人、そして「うとうとする様子で、疵の痛みがなくなって気が遠くなって、ひたと附ついている婦人の身体で、私は花びらの中へ包まれたような工合」。このような艶っぽい表現が、何とも言えずエロティックです。しかし、この表現だと恋人というよりはむしろ、母親のようなイメージでもありました。そして全てが終わってみると、夢を見ていたような気さえしてきます。「眉かくしの霊」堺の前に登場する物の怪は、柳橋の芸者お艶。元々美しいにも関わらず、「桔梗ヶ池の美しい奥様」に憧れて、眉を落としてしまったせいで、物の怪と間違えた猟師に撃たれ、自分も物の怪となってしまうことに。最後の「似合いますか」が効いています。 >> 続きを読む
2021/07/20 by dreamer
綾辻行人
面白いミステリーないかなぁ?と探しているとたびたび目にする綾辻行人氏の館シリーズ。以前からずっと気になっていて、やっと読んだ。迷路館という密室で起こる不可解な出来事と連続殺人。作中作も出てきて非常に凝った構成になっている。期待した通り、迷路館に閉じ込められた中での殺人事件と犯人探しを楽しむことはできたものの、個人的にはトリックが「それってアリ!?」と感じてしまいスッキリできず、ちょっと消化不良気味になった。もっと爽快に騙されたかった。ただ、なぜか私は何も考えずに「迷路館の殺人」を読んだのだが、「十角館の殺人」、「水車館の殺人」を先に読むべきだった。1作目から順を追って読んだ方が楽しめたのではないかなぁとちょっと後悔。 >> 続きを読む
2012/07/22 by chao
WickWalter , MarzolloJean , 糸井重里
小学生の頃、同級生や兄弟とこの本で遊びました。結構難しいです!!競い合って、夢中でお題の物を探すので、時間つぶしにとてもいいです。ただ数回解くと、もう飽きてしまいます。値段の割に、飽きるのが早い本ですね。なので、星4つ!! >> 続きを読む
2015/05/29 by coco
姫野カオルコ
自虐的エッセイ。 自分がいかにモテないかという事がいろいろ書いてある。 姫野カオルコはどちらかというとキレイな顔をしている。 どうすればモテるのかということも知っているので、それを素直に実行に移せばモテるだろう。 しかし、彼女は実行に移さない。 ひねくれている。 そのひねくれた考え方私は好きだ。 この人の書いた本を読んでみたいと思った。 >> 続きを読む
2011/08/25 by Iris
勝目梓
読書しながら世界一周!マレーシア半島の東側、イスラム教が厳格に信仰されているコタバルという街の安宿にありました。藤田圭子は甲田組組長の息子の甲田健介とその子分の塩野道夫と武井茂行の3人に体育倉庫で強姦される。国語教師の宇津木光弘は体育倉庫から逃げる3人の人影を目撃、不審に思いそこへ行くと無残な姿の圭子がいた。それ以来塞ぎ込んでしまった圭子に宇津木は教師として寄り添おうとするが、甲田に恐れをなしていることを指摘され、偽善者と罵られてしまう。宇津木はその言葉をきっかけに甲田組と対立する決心をした。まさか性に厳しいイスラム教の街でこういう小説に巡り会うとは思わなかった。ただただ胸くそ悪いだけでなにも得るものはないです。最初から最後まで熱血教師宇津木先生が独自の正義感を振りかざして周りに迷惑をかけまくるだけ。宇津木先生が頑張れば頑張るほど事態は拗れて悪い方向に進んで最後はこのざま。合間合間で「圭子のため」とか「やるしかない」とか言ってますが、やりたくないならやるな偽善者と。なんで自分を絶対的な正義と思いこめるのか嫌気がさします。まあ圭子の呪いが成就したってことなのかな。静かで穏やかなこの街を気に入ってたんですが、読了してなんだか嫌になりました。明日この街を離れることにします。 >> 続きを読む
2016/05/22 by 旅する葦
林芙美子
『骨』ゼミで発表担当の本。担当の本とあって、何回読んだかわからない。出口のないような暗闇のような話だったので、読んでいてしんどかった。戦争未亡人についてが一番気になり、調べた。しかし調べれば調べるほどしんどくなった。パート分けで他の女性人物や作品表現の白について考えて、またしんどくなった。希望を見ることなく、ただ堕落する自分を、さらにひどい人を見てまだ大丈夫と自分を励ます虚しい日々。誰にも理解・共感されない戦後の日常彼女も同情がほしいわけではない、ただしんどいだけなんとなく今の日常から抜け出せるのが弟・父の死だと考えていると思う。 >> 続きを読む
2015/03/01 by 匿名
きうちかずひろ
BE―BOP―HIGHSCHOOL 第20/全48巻アタマがイカれたアブない野郎ども。ちょっかいを出さなければ良いものを見過ごすことができないとは不良と言うのも大変なものだ。まさかビーバップからビジネスシーンでの気付きを得るとは。ためになるマンガとして周囲に勧めてみるか(笑)翔子とのデート中にすれ違ったアブない野郎2人組。鬼島刑事が通りかかったことで本格的な喧嘩は回避されたが、トオルの災難は思えばここから始まった。後になり、彼らが西を病院送りにした2人で、柴田が彼らが奪った西の給料袋奪還のため行方を追っていると知る。結局、柴田より早くトオルが彼らと再遭遇し、盛大に暴れまわっているところを鬼島に補導される。余罪が多い彼らはそのまま逮捕拘留となってしまい、金の回収ができなくなった柴田は有ろうことかトオルに不満をぶつける。ヒロシの見事な代案提示により、納得した柴田だが、トオルの怒りは収まらず、校門の真ん前で柴田を殴り付けるのだが、その現場を校長に抑えられ停学が決まる。不良として停学を恐れるトオルではないが、セットでになっている坊主がどうにもイヤ(笑)坊主になるくらいなら辞めてやるよバカ野郎!と、安直なコースに進みそうになる彼だが、そうされると困るのは同じくダブリ組のヒロシ。自分だけダブリではカッコ悪いので、何とか停学措置を回避すべく、柴田の元を訪れる。結局のところ、被害者たる柴田が被害取り下げと言うか、あれは喧嘩じゃなく仲間内でじゃれていただけだと校長に伝えれば停学は回避されるわけだが、そこは柴田。むしろトオルの坊主頭を見て溜飲を下げたいと言い出す始末。このミッションをクリアするために、無茶苦茶なシナリオを書き上げ、それを実行したヒロシを見て、彼ほどの発想力、実行力が有ればビジネスマンとして成功する素養も少なくないのに...と思ってしまった。 >> 続きを読む
2013/11/03 by ice
高橋源一郎
【読了日不明】ある朝、一隻の宇宙船がペンギン村に不時着して、その中からニコチャン大王が部下を一人連れて降りてきた…。 この本に登場するのは則巻千兵衛博士、ドクター・マシリト、鉄腕アトム、キン肉マン、サザエさんetc。 ポップ小説の旗手が新しい文学に挑戦する破天荒な痛快ファンタジー。 >> 続きを読む
2013/12/09 by books
原田宗典
これはかなり初期の作品なので若い。 まだまだ煩悩いっぱいのハラダ君が、あれこれ苦悩している様子が笑える(ゴメンね・・) バイクの話はよく分からなかったが、人間ドック、歯医者の話などはかなりウケた(今は直腸はやってないようですが・・) >> 続きを読む
2013/01/16 by バカボン
藤子・F・不二雄
夜に、ジャイアンたちが、帰れなくなったところが面白かった。
2016/01/19 by ムーリン
コニー ウィリス
【コニー・ウィリスらしさはこれからかな?】 本作は、コニー・ウィリスの第一長編だそうです。 コニー・ウィリスは大好きで、これまで色々読んできました。 あらかた読み尽くしたかなと思っていましたが、本作を見落としていました。 図書館にあったので借りてきてみましたよ。 主人公のジェフは歴史小説家の助手で、作品に必要な様々な事柄を調査するのが仕事でした。 彼の雇い主である小説家のブルーンは凝り性なんでしょうかね? やたらに細かい、ある意味ではどうでも良いじゃないかと思えるような事柄についてまできっちり調査しなければ気が済まない男だったのです。 ブルーンは、今、新しい作品のためにリンカーンが見たという夢の意味について調べているところでした。 丁度、ジェフの昔のルームメイトに、現在睡眠治療を専門にしている医師のリチャードがいたことから大喜びです。 是非とも今夜のレセプションに来てもらってくれ。 ジェフはリチャードを誘うのですが、リチャードは手が離せない患者がいるなどと言い、出席を渋っています。 そこを何とか説き伏せて、ガールフレンドと一緒に出席することを承諾させたのでした。 レセプションの夜、リチャードは彼のガールフレンドだというアニーを伴ってやって来ました。 実はアニーはリチャードの患者でもあったのです。 アニーは奇妙な夢に悩まされているということでリチャードの治療を受けているのでした。 アニーが見る夢は、どうも南北戦争の夢らしく、しかも南軍のリー将軍が見た夢がそのままアニーの夢になっているらしいのです。 アニーに同情したジェフは、南北戦争にも詳しかったことから助力を申し出ます。 その後、どうもリチャードはアニーに対して不適切な治療をしているらしいことがうかがえ、または患者を自分のガールフレンドにしているのではないかという疑いも出てきました。 憤慨したジェフは、リチャードの元から逃げて来たアニーを自分の取材旅行に連れて行ったのです。 本作は、アニーが何故リー将軍の夢を見るのか、リー将軍は夢を通じて何を求めているのかを、南北戦争の歴史を背景に語る作品です。 他人の夢が紛れ込んでくるというテーマは、コニー・ウィリスらしいとは思うのですが、いつものコニー・ウィリス作品にみられるユーモアは感じられません。 また、コニー・ウィリスと言えば思い通りにならないイライラ感満載のもどかしさもウリなのですが、そういった要素も無いのです。 強いて類似作を上げるとすると、『航路』かなぁとは思いますが、『航路』の方が圧倒的に出来がよろしいのですよ。 どうも、本作ではまだコニー・ウィリスらしい魅力が発揮されていないようです。 作品自体はそう悪くはないものの、話の盛り上がりももう一つですし、なかなか物語に引き込まれずちょっと弱い作品かなぁというのが読了後の感想です。 コニー・ウィリスを読むのであれば、やはり『オックスフォード大学史学部』シリーズが最高傑作だと思います。 偶然にも本作を最初のウィリス作品として選んでしまった方がいるとすれば、「コニー・ウィリスはこんなもんじゃないですよ」と声を大にして言いたい。 是非、本作だけで評価して見切りをつけてしまうことはせず、他の作品も読んでいただきたいと切に思ったのでした。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2021/11/17 by ef177
藤沢周平
士道小説短篇(1)直木賞受賞作である「暗殺の年輪」ほか、昭和48年から50年にかけて書かれた以下の短編を治める。暗殺の年輪、ただ一撃、紅の記憶、証拠人、唆す、恐妻の剣、潮田伝五郎置文、密夫の顔、嚔、十四人目の男、桃の木の下で、臍曲がり新左、夜の城、冤罪、一顆の瓜、鱗雲、鬼気、竹光始末、果し合い、遠方より来る、乱心、雪明かり計22編。なかでも「臍曲がり新左」が傑作。シリアスな作品が多い中で、この作品や「一顆の瓜」「遠方より来る」などのユーモア系は、よりインパクトがある。 >> 続きを読む
2017/09/11 by Raven
岡部史 , BirdMalcolm.
あなたは魔女のことどれくらい知っていますか?ほんとうは、魔女ってとってもオシャレ。身近なものを、いろいろと工夫して着こなしちゃうんです。それに、お菓子づくりだっておてのもの。とにかく、魔女のすべてなんです。もう、ビックリ!読みおえたら、あなたも魔女になれる。 >> 続きを読む
2013/12/05 by books
P.F. ドラッカー , 上田惇生
この本の名言をご紹介します。***上司をマネジメントすることが重要であることを認識している者があまりに少ない。困ったことには、上司をマネジメントできることを知っている者もあまりいない。 >> 続きを読む
2013/06/20 by 本の名言
正岡 子規
ちくま日本文学全集037 正岡子規。正岡子規は脊椎カリエスのため、35歳で亡くなる最後の4、5年は、まったくの寝たきり状態でした。それはなんとなく知ってましたが、どれほどひどい状態であったのか、そういうほとんど体を動かせない中で、いかにたゆまず諦めず文学者としての活動を行っていたかということについては、「墨汁一滴」や「病状六尺」を読んではじめて知りました。ただ、文語文はやっぱりなじみが薄いし、俳句もあまり興味ないので、「歌よみに与うる書」や「古池の句の弁」に込められた熱は分かるものの、あまりピンときませんでした。文章を読むのにせっかちなせいか、俳句や短歌をゆっくり味わうなんてことができないんで、作者が全力を傾注した文学の革新についての関心がさっぱりわきません。苦痛に満ちた日々の途切れ途切れの呟きといえる彼の作品に求める方が無理なのかもしれませんが、諧謔の要素、笑いの気配がまったく伝わってこないのはつらい。正直言って、読むのがしんどかったです。かといって、暗く陰惨な苦労話が語られているというわけでは、ちっともないのですけどね。どうも私とは縁遠い人のようです。でも、ベースボールの歌はよかったな。打ち揚ぐるボールは高く雲に入りて又落ち来る人の手の中に今やかの三つのベースに人満ちてそゞろに胸のうち騒ぐかな(p435)それにしても解説は最悪です。この天野祐吉という人が何者かしりませんが、1度目はそうでもなかったけれども、2度目読んだらなんだか気持ち悪くなった。寺田寅彦の解説を書いていた藤森照信という人もひどかったけど、それに匹敵する不快な文章。う~ん、なんでなのかなと考えたみたところ、藤森氏の場合は、寺田寅彦の解説を書いているにもかかわらず、当の作者への愛情が感じられなかったからだと思う。今回のも、やっぱり作者よりも自分が目立とうとする姿勢とか、ワン・ヒントで最後まで押し通そうという厚かましさとか田舎臭さとかがが鼻につくからだろうな。正岡子規の凝縮された文章と短い人生をたどったあとで、こんなスカスカ文を読まされてはかないません。解説者がどうこうというより、こういう人を選んできた編集者が悪いんでしょうけが。次は大佛次郎。誰だろうこの人。名前だけは知ってますが…。たしかオサラギと読むんでしたっけ。 >> 続きを読む
2017/11/12 by Raven
大仏次郎
ちくま日本文学全集038 大佛次郎。鞍馬天狗の作者ですか、そうですか。でも、鞍馬天狗だって。いまさらなあ。古くさいチャンバラ物なんて読みたくないなんて思っていたら、これが断然面白い。冒頭から引き込まれ、あっという間に読んでしまいました。続く「幻燈」も本格的な物語。面白い。大佛次郎は文豪の風格がありました。大量の作品を残しているようです。新しい鉱脈を発見した気分です。 >> 続きを読む
2017/11/13 by Raven
ThalerMike. , せなあいこ , WiesnerDavid
きょうは、しんせきのおうちにきています。ぱそこんのちょうしがわるいので、ぜんぶひらがなです。ちょうど、なんでもしりたいじきにはいった、おいっこにこのほんをよみきかせたところ、すばらしいはんのう。へぇー。ふくろうのぼうやも、なんでもしりたいんだねーってなかまとおもったみたいです。おねえちゃんと、ふしぎをさがしにいこうっていったら、いそいできがえにいったところです。かわいいな。。。きもちがなごむれんきゅうをありがとう。。。 >> 続きを読む
2013/05/04 by tamo
デイヴィッド マーティン
デイヴィッド・マーティンのサイコ・スリラー「嘘、そして沈黙」を読了。ワシントンの郊外で、裕福な実業家が血まみれの姿で発見された。それは自殺と推定されるものの、人間嘘発見器の異名を取る刑事キャメルは、残された若く美しい妻メアリーに、不審の念を抱く。彼女は前夜、邸宅に忍び込んだ男の存在を隠しているのだ。その狂気の男フィリップは、その後も次々と残忍な殺人を重ねてゆくが、メアリーは彼との関係に堅く口を閉ざしたまま、一向に口を開こうとしないのだ。一体なぜ? 彼女とフィリップとの繋がりは?キャメルは執拗にメアリーを追い続けるのだが-------。おぞましい惨殺死体やサイコな殺人鬼。これでもか、これでもかのプロットと、すでにありとあらゆることをやり尽くした感のある、このサイコ・スリラーというジャンルですが、その中で抜きん出るためにはやはり、巧みな人間描写と、キャラクターたちの深層心理を突き詰める筆力と洞察力が必要だと思う。これさえきちっと押さえていれば、たとえどこかで読んだことのあるプロットだろうと満足できる作品になるはずだ。それをしっかりクリアしたのが、このデイヴィッド・マーティンの「嘘、そして沈黙」だと思う。サイコな殺人鬼、異常な人間関係は登場するが、そのバックグラウンドの肉付けが極めて秀逸なんですね。この本の原題は、「LIE TO ME」(私に嘘をついて)ということからもわかるように、これは誰もが経験する嘘をベースに話しが転がってゆく。だから当然、身に沁みる。嘘をつかなきゃ生きていられなかった人たちの深い哀しみが、じわじわと伝わってくる。それは、犯人を追う刑事キャメルにも言えることだ。人間嘘発見器とまで言われ、様々な嘘を見抜いてきた男が、嘘を見破れなかったために家族に去られ、虚しい人生を送る。彼にも、犯人やその鍵を握る人物たちと同じように嘘が大きく影を落としている。人間誰もが、嘘をつくことの贖罪をしょって生きているということなのだ。これは胸に痛く、ズシンとくる。しかし、著者のデイヴィッド・マーティンは、それだけで終わってはいない。大きな不幸を招き、傷という形で人間の心に残る嘘に、ひと筋の光を当てることも忘れてはいない。それが「私に嘘をついて」という原題の意味が明かされるラストの三行だ。ここで思わず、目頭が熱くなってくるのは、私だけではないはずだ。 >> 続きを読む
2019/02/27 by dreamer
折原一
出版年月 - 1992年8月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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