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1992年11月発行の書籍

人気の作品

      狼男伝説 (朝日選書)

      池上 俊一

      4.0
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      • 「狼男」こそ怪異のイメージの王者だった。
        中世ヨーロッパの人々の心性を、底から絡めとり、揺さぶった。

        この池上俊一の「狼男伝説」は、フランス仕込みの「新しい歴史学」を、あくまでオリジナルに噛み砕いて展開し、西洋中世史の読み方を刷新しようとする著者が、狼男などの「怪異現象」の解読を試みた、すこぶる知的な興味に溢れた本なのだ。

        「狼男」といい、やはりこの本で語られる「不思議の泉」といい、むろん想像界に属する事柄だ。
        目には見えないし、手で触れることも不可能だ。

        しかし、この本の序章で語られる、想像界こそ「歴史を形成する本質的源泉の一つ」という信念が、遥かな旅ともいえる、史的探求へ著者を向かわせたのだと思う。

        文学を探り、史料を訪ね、図像を解いていく著者の旅は、読み手の胸をも騒がせるものだ。

        もともと、変身への欲望が生んだとみえる「狼男」が、やがて教会の権力によって、悪魔的な性格を刻み込まれ、遂には「魔女」と共に、弾圧の対象となっていくプロセスの解明は、その思いがけなさで、読みながら肝を摑まれた思いがします。

        あるいは「他者の幻像」の章。領土拡大に悩む、キリスト教世界のスケープゴートとして「悪辣なユダヤ人」「臭いライ病患者」という、まがまがしい「他者」のイメージが生成され、ヨーロッパ人の深層を浸食していくさまなど、その強迫的な想像界の恐ろしさが、肚を打ってしまう。

        この肚を打たれ、肝を摑まれるのは、底知れぬ人間の心性の不思議をのぞくからだと思う。
        我々もまた、我々自身の"想像の深層"に、のっぴきならず捕らわれていることを、思わずにはいられないからだ。

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        2019/05/25 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      火の鳥

      手塚治虫

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
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      • なんなんだこれは。なんか、もう凄すぎて…けどなぜか本当に、現実もこの本の通りなんじゃないかと思ってしまう。この本を自分の中でどう受け止めたらいいのかよく分からない。 >> 続きを読む

        2017/10/12 by 豚の確認

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      四千万歩の男

      井上ひさし

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • この井上ひさしの「四千万歩の男」は、講談社文庫で全5巻の歴史大作小説です。希代のエンターテイナー作家、井上ひさしの作品世界を十分に堪能させられました。

        寛政十二年(1800)、幕府に蝦夷地の測量を願い出た伊能忠敬は閏四月十九日に三人の弟子と二人の従者を連れて江戸を出発します。その真の目的は、誰も実測していない日本の子午線一度の長さを測ることだったのです。

        陸羽街道を経て、蝦夷地の南岸までの道中、同行する仲間の一人が、実は白河藩の隠密であったことが発覚したり、仙台では幕府の巡察人と間違われたりと、行く先々で彼らは困難に遭遇するのです。

        隠居と同時に、本格的に星学暦学の勉強を始め、五十六歳から七十二歳までの十七年間、「二歩で一間」の歩幅で日本国の海岸線を歩き回り、実測による日本地図を完成。距離にして約三万五千キロ、歩数にして約四千万歩を歩いた伊能忠敬の実像に肉薄した、井上ひさし渾身の大作です。

        伊能忠敬と言えば、このように寛政十二年から幕命により、蝦夷を振り出しに全国を測量し、幕府天文方とともに、「大日本沿海輿地全図」を完成。かつて、太平洋戦争中に修身の教科書にも載ったことのある、"艱難刻苦の人"としても知られています。

        この歴史大作「四千万歩の男」は、蝦夷を舞台とした前半では、日本の子午線一度の長さを測るべく腐心する忠敬の姿を、公儀、松前藩、アイヌの三つ巴の思惑の中で、実に生き生きと描いていると思います。

        それまでの伊能忠敬につきまとっていた"修身色"を排し、その"バイタリティーの在り方"に焦点を絞って描いているのです。

        ストーリーの運びも、史実や歴史ものの骨格を保ちつつも、エンターテインメント小説のあの手この手が駆使され、伊豆方面に測量が及ぶ後半は、幕府から十分な協力も得られぬまま、武蔵の国から相州、豆州に及ぶ三国を廻り始めた忠敬たちが、川崎宿で藍の栽培をめぐるもめごとに首を突っ込むところから幕が開きます。

        保土ヶ谷宿では、十返舎一九と飯盛歌舞伎を作り上げ、金沢道では松尾芭蕉の書をめぐる俳諧師の下僕殺しの捜査に乗り出すという一幕もあります。

        このように、道中ものの面白さが横溢する中、忠敬を陥れようとする奸計もあり、その都度、彼は持ち前の沈着冷静な判断力で難局を脱していくのです。

        この他にも、忠敬と韮山の代官・江川太郎左衛門や、薄幸の浪人の忘れ形見で、後に忠敬の弟子となる少年との出会いなども描かれており、一方で、当時の学者・文化人たちの群像を巧みに作品中に盛り込むことによって、寛政から享和へと移り変わる時代相も生き生きと描かれているのです。

        この歴史大作「四千万歩の男」を読み終えて思うことは、作品中に刻まれた一歩一歩を支える、伊能忠敬という人間の"精神の在り方"に触れた時、つまるところ、その一歩がこの作品を産み出すために呻吟を重ねた作者・井上ひさしの一歩であり、日々の生活の中でこの作品をひもとく私の一歩であることに気づかされるのです。
        >> 続きを読む

        2017/09/13 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています
      伝染るんです

      吉田戦車

      小学館
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      2.0
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      • 3巻ではマフラーを巻いた「椎茸」が好きでした。
        いい先生なんだけど得体の知れない山崎先生とか、
        やっぱりハワイに行きたいかわうそくんとか。
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        2015/02/11 by すもも

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています
      死のサハラを脱出せよ

      CusslerClive , 中山善之

      新潮社
      5.0
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      • 私が大好きなシリーズものの一つであり、ご存知ダーク・ピットが大活躍するクライブ・カッスラーの「死のサハラを脱出せよ」(上下巻)を読了しました。因みに、この小説の映画版は、そのあまりのひどさに原作者も怒ったくらいにつまらなかったので、お勧めできません。

        この小説は、基本的には近未来を背景としつつも、南北戦争の時代までを視野に入れた作品で、ホラ話としての壮大さに拍車がかかった観があります。

        時は1996年、アフリカのサファリに赴いた観光客が消息を絶ち、疫病発生の報が伝えられる一方、アフリカ寄りの大西洋で赤潮が異常発生したため、人類は遠からず滅亡へ向かう危機に瀕していた。

        たまたま、エジプトの古代王の葬船の調査に来ていた、我らがヒーロー、ダーク・ピットは、上司から赤潮の発生源に関してニジェール川の調査を命じられる。

        同僚とともに、新式の船で川を遡行するうち、ピットはマリを舞台に不当な利益を貪るフランス人実業家に到達する。

        この小説は、将来にわたる地球環境がテーマに据えられ、環境破壊を顧みず私服を肥やす実業家と、彼と結託したマリの支配者が悪役として登場するのです。

        そして、彼らを敵に回して闘うピットたちが、いかにして苦境を打開するかという興味だけでも充分にこの一作を支えることができると思います。

        だが、例によって作者のクライブ・カッスラーは、別の基軸も絡ませ、プロローグの形で、アメリカ南北戦争の末期に出航したまま永久にその姿を消した、南部連合国海軍の甲鉄艦テキサスと、1930年代のオーストラリアの女性飛行家キティ・マノックが消息を絶った最後の飛行を描き、これらの歴史的な要素を強引にダーク・ピットの物語世界に引きずり込んでいるのです。

        この小説は、冒険小説に伝奇小説の風味が付加されたような作品で、19世紀半ばに行方不明になったアメリカの船が、130年後にアフリカの砂漠の真ん中で発見され、しかもそこには、アメリカ史上で最も重要な人物の一人が乗っていたという具合に、謎は破天荒なスケールにまで膨らんでいくのです。

        砂漠に船とは、いったいどうしたことかと思いきや、今度はダーク・ピットたちが、その砂漠を何とヨットを使って脱出してしまうのだ。

        こうした大胆な趣向に虚心坦懐に喝采を送れるかどうかが、もしかしたら人生における遊びの部分を、余裕を持って味わえるか否かの分かれ目になるのかも知れません。
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        2018/02/04 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      流転の海 第1部

      宮本輝

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 松坂熊吾(まつざか くまご)は、15時間かかって岐阜から大阪駅に着いた。戦争が終わり、戦争で空爆を受けた大阪の街には闇市が立ち並んでいた。戦争前に熊吾の会社のビル松坂ビルのあたりにも、持ち主の熊吾に無断で数十軒のバラックが立ち並んでいた。

        日中戦争が始まる前まで、松坂ビルは、乗用車やトラックの車両とか
        ベアリングやフライホイルといった自動車部品を中国に輸出する事務所兼倉庫として活気を呈していたが戦争が始まると、いやおうなしに閉鎖せざる得なくなって家族と共に故郷の宇和島に疎開していたのだ。

        そして、熊吾自身も戦争に召集され怪我を追って戻されてきていた。

        50歳にして初めての子供である息子を抱くことのできた熊吾は、もう一度大阪で一旗あげようと思って動き出していた。

        第一部は、熊吾の生い立ちや妻との出会い、戦後の混乱の中で仕事を立ち上げようとした男たちの駆け引きと、妻の病気をきっかけにして、自分が今何をすべきかを考え伊予に移ることにした熊吾までが、淡々と描かれています。

        各自がいろんな過去と戦い、しあわせを求めて行こうとする姿と
        幸せであるがゆえに、過去でおきた不幸がまた起こるのではないかと
        不安に押しつぶされながら生きている姿が痛いほど共感した。

        まだまだ続いていくのでどう展開していくか楽しみです。
        >> 続きを読む

        2015/01/28 by ゆうゆう

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    • 4人が本棚登録しています
      悪党の裔

      北方謙三

      中央公論新社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 日本の歴史において中世期に登場した「悪党」というのは、歴史学的には、農耕民のように定住するのではなく、技術を売るために諸国をめぐったり、物流によって利益を得たりした集団のことを言うんですね。

        後醍醐天皇を助けたのが、この「悪党」だったことは、中世史の第一人者、網野義彦の「異形の王権」での論考で指摘されていますね。

        今回読了した北方謙三の「悪党の裔」は、このような最新の歴史研究を援用しながら、悪党・赤松円心の生き様を描いた小説ですが、この作品でとても興味深いのは、歴史の流れが基本的に赤松円心を中心に再構成されていることなんですね。

        そのため、円心が知っていることは我々読み手側にも伝えられますが、円心がキャッチしていない情報は、分からないままにされることも多いんですね。

        それだけに、南北朝の動乱が深まるほど、敵と味方が分からなくなり、日本史の教科書でお馴染みのエピソードが違った様相を見せるので、最後までワクワクするような興奮が途切れることがありません。

        自分に厳格なルールを課し、それを守るためには周囲から誤解されても、一切の妥協をせず、反論もしない円心の生き様は、北方謙三がずっと書き続けて来たハードボイルド小説の主人公そのものであると思うんですね。

        立場は違えど、盟友と認めた楠木正成の死を、「悪党は、燃え尽きたりしないものだ」と断じる円心のストイシズムは、とにかく読んでいて、惚れ惚れするほどカッコいいんですね。

        だが、この作品の凄いところは、登場人物の魅力だけではなく、限りなく三人称一視点に近い形式で歴史を描くという困難に、北方謙三が挑んだ点にこそ、ハードボイルドの神髄があるのだと思う。

        北方謙三の歴史を題材にした小説は、常に権力に反抗する男たちを描いているので、寡兵で大軍に立ち向かうケースが多いんですね。

        この作品でも中盤の六波羅探題との合戦、そしてクライマックスの新田義貞軍の阻止戦と、迫真のスペクタクルが二度も描かれています。

        このように、反権力の組織にシンパシーを感じている北方謙三の作家的姿勢がとても好きで、これからも彼の作品を読み続けていきたいと思っています。

        >> 続きを読む

        2018/08/30 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      緑の底の底

      船戸与一

      中央公論新社
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 南米の密林をいく怪しげな文化人類学者達・・・って裏表紙に書いてあるから、よくあるサバイバル系かと思いきや、違った。
        読んでる途中は、今回こそ絶対読み応えないよって思うのに、やっぱり最後はスッキリしてしまった。
        原住民の苦しみとかも書いてある。
        >> 続きを読む

        2012/02/22 by bob

    • 1人が本棚登録しています
      百億の昼と千億の夜 1 (少年チャンピオン・コミックス)

      萩尾 望都

      3.0
      いいね!
      • とあるセミナーの必読書との情報を得て

        漫画なら読めるぞ!と、ポチリ。

        届いて2巻(完結)一気に読んだけど…
        「なんじゃこりゃ?」…

        もうね、描いてる世界が大きすぎ。
        SFで 宗教で 哲学で 輪廻で 転生で オーパーツで 超未来で
        とにかくワタシの小さな脳みそにはぶっ飛びすぎだった

        …ダカラ SFショウセツハ ニガテナンダ…

        しかし、ここで投げては金がもったいないと、再読。。。

        うーん、ちょっとだけ、面白さがわかった気もした。
        きっと…
        難解で答えのないテーマだけに、惹きつけられるんだろうなぁ。

        宝物になるか?と問われれば、微妙。
        だけど、手放せない。。。そんな本になりそうな予感。
        >> 続きを読む

        2015/11/27 by nekoya

    • 1人が本棚登録しています
      愛しい女〈上〉 (河出文庫)

      ピート ハミル

      4.0
      いいね!
      • ピート・ハミルの「愛しい女」上下巻を一気に読了しましたが、読みながら自分の若き日のことを何度も何度も考えていました。この本は、そういうことを考えさせる力に満ちた書だと思います。

        17歳の青年がアメリカ南部の海軍基地で、様々な水兵たちと知り合って大人になっていく------簡単に言えば、そういう話です。

        もっとも、それだけならオーソドックスな青春小説にすぎませんが、この小説はひと味もふた味も違っているのです。

        では、どう違っているのか。この作品は自伝小説ということらしく、時代背景は1953年。黒人差別がまだ色濃く残るアメリカ南部が、この小説の舞台であること。すなわち、アメリカの歴史と人間の憎しみが背景にあるのです。つまり、このことが、この物語にドラマチックな広がりを与えているのだと思います。

        次は、主人公が知り合う年上のヒロインの魅力が圧倒的であること。青年はこの年上の女性から性の手ほどきを受けるのですが、奔放なヒロインが登場して二人が知り合うあたりから、この小説には濃厚なエロティシズムが漂い始めます。

        彼女との性に溺れていく青年の真っ直ぐな欲望が、行間にあふれ出してきます。ここが、この小説の読みどころです。しかも、実はもうひとつの仕掛けに私はまいってしまいます。

        というのは、この小説は、51歳を過ぎた主人公が昔のことを回想するという構成なのです。彼はもう若くはなく、太りぎみで、三番目の妻と離婚したばかりだ。

        つまり、すでに何ものかを"喪失"してしまった地点から、この青春記は始まるのです。世界を知らず、自分に何が待っているのかも知らない若者では、すでにないのです。

        こう言ってよければ、人生をある程度、終えてしまった男なのです。そういう構造をこの小説は持っています。だからこそ、読みながら哀しくなってくるのです。

        なぜ、哀しいのか。奔放な年上の女性と青年のエロティックな場面が、まぶしければまぶしいほど、それは同時に、もはやその輝きは二度と自分には訪れないのだ、と言い聞かせなければならない現在の主人公の哀しみであるからだ。

        この官能的な物語で描かれているのは性ではなく、"生命の輝き"であることを考えれば、そのドラマティックな構図が浮かび上がってくるのです。

        もはや後戻りできない主人公の哀しみが、読んでいる私の細胞にどんどん沁み込んでくるのです。

        青春小説は、若者の文学ではなく、人生の年輪を重ねた者の"哀惜の文学"なのだと思います。


        >> 続きを読む

        2017/12/27 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      ノーム

      寺地五一 , 山崎陽子 , Poortvliet, Rien , Huygen, Wil

      サンリオ
      5.0
      いいね! sunflower
      • ノームの生態が書かれた、夢のある素晴らしい本。

        小学生の時だったと思うが、この本は父から誕生日プレゼントでもらった。それだけなら良かったのだが、父は朝の5時に起きて読めない漢字や解らない言葉があったら辞書で調べながら読み進めるというルールを一方的に私に言い渡した。今思えば父は私を読書家にさせたかったんだろうと思う。

        毎日父は朝5時に起こしにくる。私は眠いし素直に従う気になれず、意地になって布団から出ない。そんな父と私の戦争が勃発し、険悪な空気が家中に流れ、それは数ヶ月続きいつの間にか父も私もそのルールを忘れた。結局私が朝起きてノームを読んだのは最初の1日か2日、ほんの数ページだった。そして、父の期待に反して私は読書家にならなかった。今思い出すとかなり笑えるエピソードである。

        プレゼントしてもらった時にもっとちゃんと読めばよかったと今はちょっぴり思うが、でも父のやり方はやはり強引すぎたと思う…(笑)

        大人になってこの本を改めて見てみると、想像力を掻き立てられる、非常に美しい本だった。本の値段を見てびっくりするが、その価値は十分にあると思う。リアリティのある色彩豊かなイラスト。ユーモアのある文章。大判、フルカラーで大人が読んでも心躍る。ずっとずっと宝物にしたい本。

        こんな素敵な本を誕生日にプレゼントしてくれた父に感謝しよう。
        >> 続きを読む

        2012/09/02 by sunflower

      • コメント 5件
    • 1人が本棚登録しています
      知謀の虎 猛将加藤清正

      豊田有恒

      祥伝社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 虎退治のエピソードで有名な加藤清正の知られざる実態。

        かなり仮定の話も多そうだが、許容できる解釈である。

        豊臣秀吉子飼いの部下で、朝鮮出兵でも虎退治という派手な活躍を見せた、生粋の猪突猛進型武将というのが、加藤清正のイメージで有った。

        つまり期待していたのは、斬った張ったの大立ち回りという爽快な活躍談で有ったわけだが、小気味良いくらい正反対に近い内容にも関わらず、かなり楽しむことが出来た。

        もともとキャラクターが立っている人物が好きでは有るものの、蜀の張飛のような本当の猪武者では魅力的とは言い難い。
        しかし、人間的な弱さだとか葛藤だとかが見えてくると、その奥行きが立体的な魅力となる。

        本作品では猛将加藤清正を、計算高くむしろ武術は苦手という思い切った解釈で再定義している。
        一言で言えば小役人タイプで器用に立ち回って利に聡い人間ということなのだが、彼の場合は、大陸掃討という大きな夢を信じて見続ける姿勢と、実益のためとは言え、領民のための統治を行う必要が有ると判断した点が魅力的に映る。

        現代社会では、より綺麗事では済まない対人関係に晒されていると思われるため、ある程度は、器用で利に聡いことも必要だと考えている。
        小役人タイプとして終わるか、大人物になるのかは、何はなくても未来のビジョンが描けるかにかかっていると思う。

        結果的には敗走することになったが、大陸に夢を追った清正は素敵だと思う。

        とは言え、やはり武術でも強い武将で有ったことは間違いないと思う。
        >> 続きを読む

        2011/08/14 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      小説・捨てていく話

      松谷 みよ子

      4.0
      いいね!
      • モモちゃんシリーズは作者の松谷みよ子さんが、娘たちのために書いた本だと知り、興味を持って読んでみました。

        モモちゃんシリーズの中では柔らかい表現で書いてあった大人の事情がしっかりと書いてあります。あの時代に子供を預けて仕事をし、離婚をしてシングルマザーで生活をしていくのは本当に大変だったと思います。

        松谷さんとその旦那さんは最後まで本当にとても愛し合っていたんだなと思います。でも、生き方や考え方が違うと、やっぱり一緒にはいられなかったんでしょう。
        >> 続きを読む

        2015/08/28 by みさき

    • 1人が本棚登録しています
      七つの棺 密室殺人が多すぎる

      折原一

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 折原一の「七つの棺」は、著者のデビュー作「五つの棺」に二編を追加して改題された短編集だ。

        探偵役の黒星警部は、その後も「鬼面村の殺人」などでシリーズ・キャラクターとして活躍している。

        この黒星警部は、熱烈な推理小説好きが災いして、出世コースから外れてしまったという変り者で、埼玉県の白岡という地方都市で、次々と起こる"密室殺人"に、不謹慎にも目を輝かせて立ち向かっていくという、ユーモアとパロディ精神に溢れた短編集になっていると思う。

        「ディクスン・カーを読んだ男たち」「脇本陣殺人事件」などなど、各編のタイトルにもニヤリとさせられるが、それぞれの短編は、単なるトリック小説のパロディではない。

        複数の解決を織り込んだり、あるいはダイイング・メッセージを絡めたりと、すこぶる手が込んでいる。

        著者の折原一は、様々な本格ミステリの手筋をネタに、我々読者と楽しく遊ぶことに成功していると思う。

        ミステリの仕掛けをとことん意識化した果ての極まった場所に、折原一の作品は位置づけられると思うが、その意味でこの作品は、著者の本領である"叙述トリック系の作品"と、一定の距離を置きながらも、確かな共鳴音を発していると思う。

        >> 続きを読む

        2019/03/18 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      ジャパン (ジェッツコミックス)

      三浦 建太郎武論尊

      白泉社
      3.0
      いいね!
      • バブル期で増長した金満日本。自国だけの利益追求が招く将来に、タイムスリップすることで直面する。

        それなりに面白いのだが、最終ページがどうしても納得いかない。

        北斗の拳の武論尊に、ベルセルクの三浦建太郎という(たぶん)夢の組み合わせ。
        (ベルセルクは読んだことがないので、たぶん...)

        そう言えば、設定はかなり北斗の拳に似ている。

        環境破壊が進んだ地球では農作物の収穫量が減り、食糧自給率が低かった日本は致命的な大打撃を受ける。

        食糧難により難民化した日本人は、他国民の奴隷のような状態に成り下がる。

        テレビレポーター、子供、そしてヤクザが、そんな世界に現代からタイムスリップする。

        あとは、北斗の拳的に、体制側に追い詰められたり、盗賊化した勢力が襲って来たりと言う内容。

        ただ、奴隷として生きる日本人に新たな秩序を打ち立てようとする辺りは、読み応えが有るのかもしれない。

        最終ページに、「ジャパン 第1部 おわり」と書いて有るものの続刊は無い様子。続きが有るなら読みたいものだ。
        >> 続きを読む

        2012/11/06 by ice

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      キリスト教神秘主義著作集

      谷隆一郎 , 熊田陽一郎

      教文館
      カテゴリー:キリスト教
      5.0
      いいね!
      • もうかれこれ十数年前、たしか二十歳の頃、たまたま読んでいた西欧神秘主義の概説書に、ニュッサのグレゴリオスの『モーセの生涯』という本が紹介されていて、いつか読みたいと思っていた。

        その解説によれば、モーセの旅路を霊的に解釈したもの、だとのこと。

        最近、今年に入ってから、再び聖書にはまって、出エジプト記や申命記も何度となく読んだ。
        関連の解説書なども何冊か読んだ。
        それで、ふとそのことを思いだし、いつか読みたいとかねて思っていた。

        と、つい先日、何の気なしに図書館の本棚で手にとってぱらっとめくったこの本に、なんとこの『モーセの生涯』が収録されていた。

        驚いて読み始めたところ、想像以上に素晴らしい本だった。

        著者が言うには、モーセは私にたちにとっての「範型」、つまり人生のモデルであり手本である。
        モーセのように、高みをめざし、山に登るように徳に向かった道のりを無限に進むこと。
        そのような人生を「アレテーの道行」と著者は言っている。
        アレテーとは、徳のことである。

        著者が言うには、人間というのは常に生成変化している存在であり、「自由な選び」(プロアイレシス)により、良い方向に進むこともできれば、悪い方向に堕ちることもできる。
        常に生成変化する存在である以上、ある意味、人は誰しも自分自身の生みの親である。

        だからこそ、ロゴスの形相を自分に刻み付けることが大切だという。
        そうしないと、悪徳の教えの形相を自分に刻み付けることになってしまう。
        人は、このどちらかを常に選択することになる。

        モーセのように、神にひたすら聴き従い、アレテー(徳)に向かって前者の道をひたすら進むことが、人間として最も望ましい。

        そうした観点から、著者は、出エジプト記などのさまざまな出来事を、すべて象徴主義的に解釈し、そこに霊的な意味を見い出していく。
        おそらくキリスト教徒以外から見たらかなり強引な解釈もあるけれど、その手際があまりにも見事なので、霊的な解釈とはこのようなものかと眼が醒める思いがするところもとても多かった。

        また、異郷の哲学は、アレテーを生む限りにおいては役立たせられるべきで捨ててはならないということを力説しているところが興味深かった。
        異郷の哲学の肉的な部分を除去することが、本当の意味の割礼ということだそうで、そうした観点から正しく異郷の哲学もキリスト教の信仰によって純化し、善用すべきだと著者は述べる。

        信仰と生に関する善き良心。
        この二つを、著者は重視している。

        キリスト教とアリストテレス哲学とモーセのトーラーが絶妙に合わさって昇華されている、稀なる良い本だった。

        ニュッサのグレゴリオスは四世紀頃の人だそうであるが、
        「生のありかた・かたちを択びとることは、各々の人の自由な択びの力に委ねられている」という考え方は、ルネサンスのピコ・デラ・ミランドラなどをはるかに先取りするものだと思う。

        私も遠く及ばぬながら、キリストやモーセに倣って、少しはあやかって生きたいと、あらためて深い感銘とともに思わせてくれる、そうした勇気や活力を与えてくれる本だった。
        この本にめぐりあえて良かった。
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        2013/12/09 by atsushi

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      ファンタジーRPG100の常識 (富士見文庫―富士見ドラゴンブック)

      長尾 剛

      4.0
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      • RPGによく出てくる城は実際には一体どういう作りになっていたのか?
        軍隊はどうやってできたか?
        商人は何を売っていたか?

        RPGというよりは中世ヨーロッパがどういうしくみで動いていたのかを
        身近なRPGと比べて楽しく学べる本

        著者の神話や武器や歴史などの知識の深さと情報量の多さに驚かされた
        こういう人がRPGを作ったら凄い面白そうだしやってみたい。
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        2015/10/23 by くじら

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      ゴルゴ13

      さいとう たかを

      リイド社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 「ゴルゴ13」をずーっと読んでみたいと思っていて、やっと読んだ記念すべき1冊目。

        私は当然1巻から読み始めようとした。しかし、全部のストーリーが繋がっていないから何巻から読んでもよく、33巻がオススメなのだと説得され、なんだか邪道な気もしつつ、33巻を読んだ。

        感想は…うーん、面白いような気もするけど、なんとも言えない。
        安心して読める感じはある。
        男性好みのストーリー?
        そしてデューク東郷、クールすぎ…!

        元々、根強いファンが多い作品は本でも映画でも、その面白さを知りたい気持ちが強く、たとえ昔の作品でも読んでみたい、観てみたいと思う性格。(今後チャレンジしたいものは三国志、タッチ、ガンダムなど)

        ゴルゴ13もそういった経緯で興味を持っていた。ゴルゴ13の魅力をわかりたい気持ちがあるので、今後もちょこちょこ読んでいこうと思う。
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        2012/07/18 by sunflower

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      ジッポー完全読本 (ワールド・ムック 1 モノ・コレクション・シリーズ)
      ワールド・フォト・プレス
      カテゴリー:燃料、爆発物
      5.0
      いいね!
      • 奥深いZippoの世界。
        こうして歴代のZippoを眺めているだけで懐かしいような気持ちになります。

        高校時代に制服の中でカチャカチャやって取り上げられたり、たき火やってる時にZippoのオイルをぶっかけてボヤ騒ぎになったり。ろくなことしてない・・・
        でもいくつになってもZippo持って不良ぶってたいな。

        気に行ったやつほど失くしちゃうんだけど記憶に残ってるのはそういうのだっていうのも不思議なもんです。
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        2012/05/08 by katsu

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      かずのえほん1・2・3

      五味太郎

      絵本館
      4.0
      いいね!
      • くまくんがうさぎさんのお家に手土産をもって遊びに行きます。
        うさぎさんのうちはこどもが7人の9人家族。
        誰に何のおみやげをあげるのかな?

        幼い子供に絶大の人気を誇る五味さんのイラストが楽しい。

        ストーリー仕立てなので、数字のことなんかまったくわからない赤ちゃんから、
        足し算引き算がわかるようになった小学生まで、長年楽しめそうなお得な絵本でだと思います。

        うさぎさん宅ではおみやげを配ったら、数をつかった遊びやクイズが始まります。
        お子様用と侮るなかれ。数のクイズ、結構難しいです。

        数のページにはさりげなく数を数えるしかけもあって、
        「数字」を教えることよりも、数そのものを体感する絵本かもしれません。

        実生活の中で、ものを分け与えたり、平等ってどういうことか理解したり、
        足したり割ったりというのがごく自然にわかるようになっています。

        数字クイズは、園児には無理だと思いますが、それでいいんでしょう。
        お勉強のため。という絵本ではないと思います。
        数を嫌いにならないように絵本で遊ぼうよという本です。
        だからママ。無理に知育絵本で子供を調教しないでね。
        幼い子は訓練すれば驚くようなことができるようになるかもしれません。
        でも、足し算ひき算が5でできようと、6歳で始めようと、
        ゴールが一緒ならいいじゃないですか。

        計算で正答をだせることよりも数の概念をわかるほうが大切ですよね。
        この絵本を繰り返し読んで長いお付き合いしましょうね。

        そんな五味さんのメッセージが聞こえてくるのです。
        (と、勝手に解釈しております)
        >> 続きを読む

        2014/10/05 by 月うさぎ

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出版年月 - 1992年11月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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