こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


1993年3月発行の書籍

人気の作品

      遠い太鼓

      村上春樹

      講談社
      4.0
      いいね!
      • 村上春樹を読んだことないって言ったら、自分が紀行モノが好きだと知っている同僚が貸してくれた。

        ひっきりなしの仕事に一区切りをつけて奥様と欧州での生活。
        その間に書いた作品がその後に大ヒット。
        羨ましいことこの上ない感じなのだが、文中の村上さんあんまり楽しそうじゃないw
        もちろんどこで何してても楽しいことばかりではないのだが。
        村上さんが欧州へ旅立った年齢とあまり変わらない現在の自分。
        今から旅立つ?...難しいよなぁ。

        小難しい内容ではないのでサラッと読んでしまった。
        読後感も悪くないし、また何か借りよかな。
        >> 続きを読む

        2013/06/28 by freaks004

      • コメント 4件
    • 他2人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      風の海 迷宮の岸(上) 十二国記-講談社X文庫

      小野不由美

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! niwashi
      • 十二国記第3巻。時系列的には前2巻より前に位置する。

        世界観に慣れて来たせいかも知れないが、前2巻よりは俄然入り込み易かった。

        まず驚いたのが、まだ世界観が確立していない段階で、前2巻に続かないストーリーを扱っていること。

        元々、シリーズ化構想は無かったということなので、逆に思い切った手を打ちやすかったのかも知れないが、やはり長編シリーズでは、導入部分は丁寧に世界観の確立をするのがオーソドックスなのではないかと思う。

        ただ、概ね上下巻で1つの国を扱うようなスタイルのようなので、その単位で切り替えているのなら納得できなくもない。

        まだ上巻を読んだ状態では有るのだが、前2巻と比較して随分入り込めて読めている。

        もちろん、前2巻で世界観を知ったという点は有ると思うのだが、おそらく現代とのオーバーラップが少ない点が大きいように思う。
        前2巻で最も違和感が有ったのが、まさにそこで、今回も類似の設定は有るものの、それが許容範囲に収まっている。

        ライトノベル?だから仕方がないのかも知れないが、現代と接点を設け、弱年齢層への間口を広げる意図が有るのかも知れないが、これに関しては確実に没入を妨げていると言わざるを得ない。


        麒麟が生まれる前の状態で現代に流されてしまい、約10年後に発見されて戻って来る。

        この期間は、麒麟としては空白の期間となっているため、麒麟としての成長が止まっており、先輩の麒麟からの指導を受けつつ、王を選ぶ前の準備をしていると言う話。

        王ではなく麒麟を主人公にしている点に特色が有って面白い。
        だが、時系列の前後はともかく、主人公は一致させてくれないと、これまた没入を阻害する。

        そう言えば、十二国記。7月に12年振りの続編が出るらしい。著者が亡くなったグイン・サーガファンとしては羨ましい限り。

        ◆十二国記通信―麒麟便り―|小野不由美「十二国記」新潮社公式サイト
        http://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/log/34.html
        >> 続きを読む

        2013/01/18 by ice

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      アンクル・トムの小屋

      StoweHarriet Beecher , 丸谷才一

      河出書房新社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 子供向けの愉快な話をイメージして読んだらとんでもない。
        嗚咽混じりの大号泣。

        2016/03/17 by one

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      ムンジャクンジュは毛虫じゃない

      岡田淳

      偕成社
      カテゴリー:文学
      5.0
      いいね!
      • ムンジャクンジュって、いったいなんだ?
        毛虫のように見えるけど、ふわふわしてぬいぐるみみたい。
        いいにおいがして、人なつっこいところもある不思議な生きもの―。
        伝説の山・クロヤマで良枝が花畑を見つけた日から、やがて大騒動が持ちあがってゆく十五日間の物語。
        自然とひととのかかわりあいを考えさせる傑作児童文学。
        小学上級から。
        >> 続きを読む

        2013/12/06 by books

      • コメント 3件
    • 2人が本棚登録しています
      三毛猫ホームズの騒霊騒動

      赤川次郎

      角川グループパブリッシング
      4.0
      いいね!
      • 名探偵の行くところに事件あり。
        今度の舞台はポルターガイストの起きる幽霊屋敷。
        そこでタレントと一晩過ごす企画に巻き込まれた片山刑事。
        幽霊屋敷の自殺した人の部屋というだけで不安しかないのに、
        出演者もマネージャーも社長も、一癖も二癖もある人ばかり。
        案の定事件が起きてしまうが、ポルターガイストのせいじゃない?

        読み進めていくうちに幽霊さんを応援したくなるかも。
        特に最後はわかっていても切なさを感じずにはいられない。
        読後少しやさしい気持ちになれるかもしれない、そんなミステリー。
        >> 続きを読む

        2015/05/12 by 冷しカレー

      • コメント 2件
    • 3人が本棚登録しています
      新興宗教オモイデ教

      大槻ケンジ

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • ロックバンド筋肉少女帯のボーカルで有る著者が、新興宗教と青春をテーマに書いた小説
        エッセイやファン向けの資料集などで逃げない姿勢を評価したい。

        著名人が書籍を発売することは多々あれど、その強烈な個性を武器にしたジャンル
        ばかりが対象になるのがほとんどで有る。

        しかし、大槻氏は完全な創作SF小説として本書を世に送り出した。
        これだけでも大いに評価すべきなのはもちろん、
        色眼鏡を外して作品と向き合う必要性を意識した。

        内容については、苦手なジャンルで有る「安いSF」で有ったため、
        正直読み進むのに消耗する面が有った。

        とはいえ、話が進んでいくに連れ、その特殊な世界観に読者を引きづり込んでいく
        強烈なパワーは確かに存在し、気づけば違和感無く受け入れている自分に驚いた。

        はじめから多くを期待せず、大槻氏の世界観に遊ぶ程度の気構えで臨みたかった。
        >> 続きを読む

        2011/01/14 by ice

      • コメント 1件
    • 4人が本棚登録しています
      ビッグ・イベント

      村上龍

      講談社
      カテゴリー:スポーツ、体育
      2.0
      いいね!
      • F1、オリンピック、パリ・ダカールラリー、マスターズetc..人々を熱狂させる世界的なスポーツの大会について自身の取材記などを含めたエッセー。

        絶版本らしく書店で見かけたことはありませんでしたが古書店で発見。村上龍はあまり好きではないけれども、F1ファンとしてはセナが表紙に写っていては買わないわけには行かなかったのです。20年以上前の内容なので古い点もありますが面白い視点で刺激的な内容も多く興味深い。

        でも偉そうに決めつけるような論調、鼻につくカタルシスがやっぱり嫌いだわ。
        >> 続きを読む

        2015/01/19 by ybook

      • コメント 1件
    • 1人が本棚登録しています
      空飛び猫

      Schindler, S. D , Le GuinUrsula K , 村上春樹

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 自分の四匹の子猫たちみんなに、どうして翼がはえているのか、
        ジェーン・タビーお母さんはさっぱりわけがわかりませんでした。

         アーシュラ・K・ル=グインの名を知らない方も、
        『ゲド戦記』という優れたファンタジーの名はご存じでしょう。
        彼女が描いた「猫の絵本」を、村上春樹が翻訳しています!

        この猫たちには翼があります。
        といってもSFでも、おとぎの世界のお話しでもなく現代の現世の物語です。
        ピーターラビットの世界にちょっと近いかな。と思ってください。

        「村上さんなら、こういうのを訳してみたいと思われるんじゃないでしょうか」と
        ある読者からこの本が送られてきたそうです。

        表紙を一目見たとたん、「これはどうしたってやらないわけにはいかない」と決心したそうです。
        だって猫に羽が生えているのだから。
        彼ってこういうノリです。(^^)

        しかも、春樹さんはル=グインの文章がもともとお好きだったそうな。
        これはなんとも意外な事実ではあったのですが。
        思えば村上春樹という人の書く小説世界は半分はファンタジーですものね。


        子猫の名前は、セルマ、ロジャー、ジェームズ、そしてちびのハリエット。
        お母さん猫のジェーン・タビーは普通の猫です。
        翼を見てはときどき「なんでしょうねこれは」と頭をひねるのでした。

        子猫たちが自分の力で飛べるようになったことを知った時、
        お母さんは子猫たちに、環境の悪いこの街から飛び立つように勧めます。

        「お前たちはここから飛んで出ていくためにその翼を授かったのです。」

        子猫たちは泣きますが、お母さんは「邪魔」という厳しい言葉を使ってまでも
        子どもたちの旅立ちを促します。

        猫たちの世界では独り立ちできる力が付けば、子どもが親から独立するのは当たり前。

        そして、子どもたちの真の幸せを考えれば、新しい世界にこそ幸せがあると
        お母さんは信じたのです。
        この勇気と潔さは、人間の親(特に日本人)も見習わなくてはなりませんね。

        旅に出た仔猫たちが新世界で出会ったのは?


        「これまで私が愛したすべての猫たちに」捧げられた一冊。

        正しい猫との付き合い方も、学ぶことが出来ます。(=^・^=)


        例によって、翻訳の際の訳注とあとがきが添えられています。

        第1作目のこの本は、シンプルに子供さんに音読してあげたい童話です。
        春樹さんも意識してシンプルできれいな言葉を使うことを心がけたと言います。

        A human being?と A human bean?
        ニンゲンをインゲンマメと言い間違える箇所の翻訳のネタバラシ。みたいなものとか。
        私はこの解説も、結構好きなんですよね。
        >> 続きを読む

        2013/07/11 by 月うさぎ

      • コメント 16件
    • 1人が本棚登録しています
      ニュートン 万有引力の法則を発見した科学者

      堀ノ内雅一 , よしかわ進

      集英社
      カテゴリー:個人伝記
      5.0
      いいね!
      • ニュートンといえばリンゴが落ちたのを見て万有引力の法則を見つけた科学者!っていう漠然としたイメージがあったけど、実際は天文学や光学や幾何学などなどいろんな学問に励んでいた博学者だった。

        こういった偉人たちは華々しい生活をしてるんだろうなあ、と思ってたけれど、そうでもなかった。
        やっぱり実験をするのでお金は持っているが、それで華々しく生活するわけではなく、ずっと部屋に閉じこもって勉強と実験、観察ざんまい。
        彼は傍から見たら大人しい性格のように見えるけれど、心のなかは探究心でわくわくと熱い気持ちだったんだろう。

        彼はエジソンのような成り上がり系ではなく、わりと最初からエリート生だったようだ。
        この本を読んでみた限り、家族、友達などの仲間たちと心の交流をするというよりは、ひたすら研究・観察・勉強でたびたびライバルと対立するという、本当に探究心に向かって真っ直ぐでそれ以外のことは見えないといった勉強バカ(褒め言葉)みたいだ。
        見た感じは地味だけど、まさしく天才!
        >> 続きを読む

        2015/01/05 by Nanna

      • コメント 2件
    • 3人が本棚登録しています
      ホワイト・ノイズ

      DeLilloDon , 森川展男

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •  最初に読んだ「コズモポリス」の印象がいまひとつで、2冊目を読むかどうか迷っていたのですが、読んでみてよかった!
         
         お互い何度目かの再婚で、夫の連れ子2人、妻の連れ子1人、2人の間の子ども1人の6人家族。夫は大学で「ヒトラー学」を教えながら、大学には内緒でドイツ語の個人教授を受けています(ヒトラーが専門なのにドイツ語ができないことは内緒なのです)。長男のハインリッヒはやたら生意気で、父親が何を話しかけてもまともには答えません。今、雨が降ってるかどうかを問う父親に、彼はこう答えます。

        「今なんてものがあるのかな? 『今』が来て、その言葉を言ったとたん過ぎてしまう。もしパパの言う『今』が、ぼくが言ったとたん『あの時』になったら、ぼくはどうして今雨が降っているなんて言えるの?」
        「おまえは過去も現在も未来もないって言ったよ」
        「ぼくたちの動詞にだけはあるよ。そこだけにしかないけどね」
        「雨は名詞だよ。ここに雨はあるのか。ここ、正確にこの場所に、おまえが質問に答えるのと決めて二分以内のあいだにだよ?」
        「もしパパが明らかに動いている自動車に乗っていながら、正確にこの場所について話したいのなら、ぼくはこの議論には問題ありと思うよ」

         こんな家庭の日常が綴られていく第1章に続き、第2章では、ナイオディンDという薬物を積んだタンクローリーが交通事故で爆発炎上し、物語が動き始めます。
         
         それは空媒毒物事故による黒く渦巻く雲で、七機の陸軍ヘリコプターの明るい光線で照らし出されていた。ヘリコプターは風に運ばれていくものをずっと視界にとらえて負っていた。どの車のなかも、頭が動き、運転者たちはクラクションを鳴らしてほかの車に注意を促し、窓から出した顔には、異国の驚異すべきものを見た表情が浮かんでいた。
         巨大な黒い塊は、夜のとばりを螺旋状の翼をもった生きものたちに守られ、北欧伝説の死の船のように動いていた。わたしたちはどう反応すればいいのか分からなかった。それは見るのも恐ろしく、ひどく近く、ひどく低いところにあって、クロダイトや、ベンジンや、フェノールや、ハイドロカーボンや、あるいは間違いなく毒物を包含しているものだった。

         わたしの乏しいレビュー能力ではこの小説の面白さの千分の一も万分の一も伝えられませんし、わたし自身、理解できたかどうかあやふやな部分もずいぶん残っているのですが、この作家が現代アメリカ文学を代表する1人であることは納得できました。
         つぎは「リブラ〜時の秤」を読んでみようと思っています。
        >> 続きを読む

        2013/08/17 by 弁護士K

      • コメント 5件
    • 3人が本棚登録しています
      ナルキッソスの鏡

      小池 真理子

      3.0
      いいね!

      • 小池真理子のサイコ・スリラー「ナルキッソスの鏡」を読了。

        この作品は、信州の避暑地・逢魔高原を訪れたカップルが、そこで知り合った大女の家で惨殺される。

        やがて、現地の別荘に作家志望の美青年が移り住むが、彼は散歩の途中、殺されたカップルと三角関係にあった娘と出会い、奇妙な同居生活を送り始める。

        物語は、その「双子を溺愛する異形の大女」と「美しき服装倒錯の男」の身辺話を軸に進んでいく。

        小池真理子の熱心なファンなら、妹の犯罪を隠蔽すべく信州の高原に赴いた青年が、不審な父娘の営むペンションに紛れ込む「夜ごとの闇の底で」を思い浮かべるだろうが、いずれもヒッチコック映画でお馴染みの「サイコ」を原型とするオーソドックスなサイコ・スリラーのパターンになっていると思う。

        だが、この作品は複数の、それも際立って対照的なサイコパスが演じるドラマを交錯させたことで、これまでとは一味異なる迫力が生まれていると思う。

        この「サイコ」パターンに映画「悪魔のいけにえ」の凄味が加わった感じなんですね。

        >> 続きを読む

        2018/11/19 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      草の竪琴

      大沢薫 , トルーマン・カポーティ

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね! abeille

      • 今回読了したのは、「冷血」で有名なトルーマン・カポーティの「草の竪琴」。

        この作品は、世間からはみ出し、木の上に住み始める少年と風変わりな大人たちの物語。
        退去命令を出しに来たはずの老判事までが、共に住むことになって生まれる不思議なユートピア。

        60歳の叔母と70近い老判事のとりたてて何を求めるでもない愛の在り様とかを見ていると、愛の形はなにもひとつじゃないんだなと気づかされる。

        アラバマの草原をわたる風が、読んでいる私の心にまでそよいできて、目からうろこでも落ちたような感覚にとらわれてしまいます。

        自分はいったい今の今まで、こんなにも何に固執していたんだろうかと------。

        すると、不思議なことに、これまでの喪失感とか苦しみとか、あるいは、思い通りにならなかったことへの腹立ちといったものが、自分自身の傲慢なプライドとか、愚かな執着の問題だったのではないかということが、透けて見えてくるんですね。

        読み終わった後、心の中を爽やかな風が吹き抜けていった、そんな心持ちにしてくれる素敵な作品でしたね。

        >> 続きを読む

        2018/04/14 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています
      ぼくは勉強ができない

      山田詠美

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • この本大好きになりました(^_^)

        大人になっても今の気持ちを忘れたくないです
        大人になった私にこの本を読んでもらいたいなぁ

        この本の主人公のような、自分に正直な生き方が良いと思います。
        つまらない大人には絶対なりたくない。
        >> 続きを読む

        2014/04/03 by Arisa

      • コメント 6件
    • 2人が本棚登録しています
      遊女の江戸―苦界から結婚へ (中公新書)

      下山 弘

      2.0
      いいね!
      • 遊女のことを学ぶ為には不向きだが
        結婚に関しては、良いものだと思う。
        遊女の予備知識がないために損してる気がしないこともないが、
        面白かった
        こんなこともあるのねと教えてくれるよう。
        >> 続きを読む

        2015/09/24 by kotori

    • 1人が本棚登録しています
      土蜘蛛草紙・天狗草紙・大江山絵詞 (続日本の絵巻 26)
      いいね!
      • 日本に古来伝わる絵巻物を書籍形式で収録し、絵・原文に加えて、読みやすく説明文を付け、巻末に解説を付けた大型本シリーズ(正20巻・続27巻)のうちの1冊です。
        この巻は3つの絵巻を収めます。いずれも重要文化財です。
        どのお話にも異形のものが現れます。「土蜘蛛草紙」は化け物蜘蛛、「天狗草紙」は僧侶の形をした天狗、「大江山絵詞」は人肉を食らう鬼を描きます。いささかおどろおどろしい不穏な雰囲気が漂います。

        ほか2作とはいささか毛色が異なる「天狗草紙」を先に見て行きたいと思います。
        この絵巻は、鎌倉時代頃の諸大寺の驕慢ぶりを天狗になぞらえて風刺したものとされています。本書では、原本・模本併せて7巻分が紹介されています。
        平安期以降、仏教思想を背景に、天狗は驕り高ぶるものの象徴と捉えられており、その慢心は「天狗の七類」(七慢:卑慢、慢、過慢、慢過慢、我慢、邪慢、増上慢)と分類されていました。他人と自分を比べ、他人の方が勝っているのに自分と同等と見なしたり、さらには自分の方が勝っていると思い込んだり、悟ってもいないのに悟ったと思い上がったりという状態です。絵巻制作当初の構想では、どうやらこの七慢それぞれに各寺を当て、その増長ぶりを描いていこうとしていたらしいのですが、散逸があったり、錯簡(乱丁落丁)があったりして、現在でははっきりとは当てはめられないようです。
        聖とされる僧が入滅する際に、仏が迎えに来たかと思いきや、怪しい天狗の群れだった(=聖は本当に気高い人物であるわけではなかった)というような、痛烈な批判と思われる部分もところどころあります。一方で、風景や寺の伽藍が優美に描かれている箇所も多く、そこだけ見ると縁起もののようでもあります。印象としてはいささか散漫です。
        やまと絵の部分などは雄大で美しく、料紙も巻によっては手の込んだものが使われていることから、お話として楽しむよりも、絵画や書としての美術品的価値の方が注目される絵巻のように思われます。

        さて、残りの2つ「土蜘蛛草紙」と「大江山絵詞」。いずれも、源頼光による化け物退治の話です。能や歌舞伎の題材になっている点も両者に共通します(能の土蜘蛛についてはこちら→『土蜘蛛 (対訳でたのしむ)』)。
        冒頭で触れたように、討たれるものは、化け物蜘蛛と人食い鬼。絵巻に描かれる姿は、化け物冥利に尽きるだろうと思うほどあっぱれなおどろおどろしさと異形ぶりです。
        蜘蛛の方はなかなか本来の姿を現しません。髑髏が空を飛んでいるのを見かけた頼光は、家来の渡辺綱(四天王の1人)とともに廃屋に入り込みます。そこには老婆が座っていました。道具を使ってまぶたをめくり上げ、唇を引っ張って襟首で結び、乳は膝まで垂れ下がるという異様な有様。なぜそんな姿なのか意味不明なところがまた不気味です。次に現れるのは尼君。背は3尺と言いますから1メートルほどでしょうか。このうち2尺が顔。1.5頭身とでも言えばよいのでしょうか。異様です。
        途中、欠けている部分があるのが残念ですが、どうやら主従は出直して、化け物の住処に退治に出かけることになったようです。蜘蛛の子分どもも出てきますが、鬼やら牛男やら狐女やら付喪神やら、百鬼夜行の有様。血痕を辿ってようやく蜘蛛を探し当て、首を切り落とし、腹を割きます。中からはあまたの髑髏が、という結末です。
        絵師の筆さばきも見事なおどろおどろしい一幕です。
        1つ、どうしても納得がいかないのは、蜘蛛の脚が6本であること。これは少々残念ですね。

        「大江山」の方はいわゆる酒呑童子のお話です。このお話は御伽草子を始め、さまざまな版があり、細部に相違はあるものの、筋立ては似ています。人気の1編といったところです。
        本作では、御堂入道の御曹司が掠われ、助けにいくように頼光と藤原保昌に命が下ります。一行は途中、神社に参詣し、武運を祈ります。浪速の津から船出して、大江山に向かう一行。途中、洗濯の老婆に道案内され、神仏の加護もあって酒呑童子の館にたどり着きます。
        童子は礼儀正しく一行を迎え、見目麗しく、親切な人物に見えたのですが、酒を過ごすにつれて次第に本性を現します。余興を演じる手下たちは鬼や化け物。美女と見えたものたちも異形の者。童子の目を盗み、そっと奥に忍び込むと、そこには多くの囚われた人々が。何と酒呑童子らは人を切り刻み、桶に漬けて鮨として食べていたのです。
        頼光一行は遂に、酒呑童子討伐の戦端を開きます。苦戦しますが、神仏の加護もあり、どうにか征伐に成功します。童子の首を落としてみれば、目が15もある大鬼でした。
        囚われた人々とともに凱旋する一行。京雀たちは鬼の異様な生首に目を見張りました。
        多くの武者や鬼が生き生きと描かれ、躍動感溢れる絵巻です。

        異形のもの。異類のもの。まるで見てきたかのようなおどろおどろしさで描き出される迫真の姿が印象的です。
        この時代の人々にとって、土蜘蛛や天狗や酒呑童子は、あるいは、戸板1枚隔てた向こうに実際にいるかのような、そんな存在に感じられていたのかもしれません。
        >> 続きを読む

        2016/05/29 by ぽんきち

      • コメント 6件
    • 1人が本棚登録しています
      ジュラシック・パーク

      マイケル・クライトン , 酒井昭伸

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • スティーヴン・スピルバーグ監督による映画化で、すっかりお馴染みになったバイオパニックSFとも言える、マイケル・クライトンの「ジュラシック・パーク」(上・下巻)を、大いに楽しんで読みました。

        バイオテクノロジーで、恐竜のDNAを復元して現代に甦らせるという着想からして、すでに抗えない魅力を持った小説なんですね。さすが、マイケル・クライトンです。ベストセラー小説のツボをよく心得ていますね。

        コスタリカの孤島に建設された開業前のテーマパークへ、関係者や学者たちが招かれる。そこには、最新の技術で復活した本物の恐竜が放たれ、太古の世界が再現されていた。

        しかし、厳重な管理機構で守られているはずのパークに、突如、システムの異変が生じてしまうのだった-------。

        設定や大筋とも、映画と原作で大きな違いはあまりない。映画の脚本も原作者のマイケル・クライトン自身が書いているのだから、当然といえば当然なのですが、映画が映像の迫力を生かした"パニックもの"であるのに対し、原作は豊富な情報を駆使して語られる"テクノスリラー"といった印象が強いように思う。

        古生物学やクローンのような最新の話題を、物語形式で解説してみせた科学読み物といった感じなんですね。

        特に、1980年代後半には最先端だった学説、ロバート・バッカーの"恐竜温血説"に基づいて、新しい恐竜像を緻密に描き込んでいるのが印象的だ。従来のイメージが、すっかり塗り替えられて、血の通った"獣"として見えてくる。恐竜ブームの発火点になったのも頷けるというものだ。

        こうした科学のトピックをわかりやすい娯楽作に仕立てることに定評のあるマイケル・クライトンですが、作品自体を科学技術への批判と受け取るのは、どうも間違っているような気がします。

        この作品が発表された当時は、反科学的だと一部で強い非難を受けたそうですが、この作品で描かれているのは、あくまでも判断ミスの積み重なった人為的な事故、つまり"ヒューマン・エラー"の問題なのだと思いますね。

        この物語での我々読者への問いかけは、科学や技術そのものではなく、それが現実に応用される際の"人間の責任"にあるのだと思います。

        この作品の続篇となる「ロスト・ワールド」は、映画の方は今一でしたが、原作では生命の進化と複雑系を結びつけた新しい話を展開していて、単なる二番煎じに終わっていなかったのは、さすがマイケル・クライトンだなと思いましたね。


        >> 続きを読む

        2018/02/09 by dreamer

    • 5人が本棚登録しています
      ダメージ

      ジョゼフィン ハート

      5.0
      いいね!
      • ・何度目かの再読
        ・イングリットに惹かれる
        ・10代の時は「愛が私たちに復讐した」という台詞を陳腐だと思ったが、今は薄っすらと分かる様な気もする >> 続きを読む

        2018/02/11 by michi2011

    • 1人が本棚登録しています
      小公女

      中山知子 , フランシス・ホジソン・バーネット

      河出書房新社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 私が小さい頃、『小公女セーラ』のアニメがあっていた。
        裕福な家の少女・セーラが、ある日を境にお父さんも財産も一切を失い、寄宿していた学校で召使としてこき使われるが、明るく健気に生き、最後はお父さんの親友が見つけてくれてハッピーエンド、という物語は誰もがよく知っていることだろう。
        テーマソングはよく覚えいたし、そうした大筋も覚えていたが、ほとんど細部は忘れてしまっていた。

        なので、この前、同じ作者の『小公子』をなつかしくて読んだら面白かったので、この『小公女』も読んでみた。
        すると、想像以上にとても面白かった。

        原作を読んでいて興味深かったのは、主人公のセーラの想像力の豊かさと不思議な冷静さである。
        もともと、没落する前から想像力が豊かで、いろんな物語を紡いではクラスメイトたちに語り聞かせてあげていた。
        没落して屋根裏部屋に住む身になっても、ここはバスチーユ牢獄だと思ったり、いろんな想像によってみじめなつらいはずの生活を耐えられるものに、豊かなものに工夫している。
        何かに「なったつもり」、あるいは何かが「あったつもり」。
        そう想像して生きていく姿勢は、読んでいて素晴らしいと思った。

        どんなにつらいことがあっても、自分は軍隊の兵士で、「長いつらい行軍」をいまやっているんだ、と思うセーラは、並みの男よりよほど忍耐強く勇ましい。
        また、フランス革命の歴史が大好きで、バスチーユ牢獄の囚人や、あるいはマリー・アントワネットのことに思いを馳せる様子は、バーネットがこの作品を書いた頃はまだベルばらはなかったはずだが、ずっと後世の日本の子どもたちと通じるものがあるのかもしれない。
        (アニメ版にそういうフランス革命史にセーラがはまっているシーンがあったのか、ちょっと覚えていない。)

        誰もが「ひとりの人間」であり、恵まれているのも偶然、つらい境遇にいるのも偶然と心得て、かつての恵まれていた時も有頂天にならず謙虚で、没落してみじめな境遇でも誇りを失わないセーラは、十一歳ぐらいにしてすでに並みの大人より人生をよく理解していると読んでいて感心。
        できすぎた良い子の気もする。
        しかし、アニメの完全に良い子であるより、原作のセーラが面白いのは、ミンチン先生に対してけっこうシビアな観察眼も持っていて、内心ではかなり辛辣なことも思っているのが面白かった。
        決して天使なだけではなく、駄目な大人を駄目だとはっきり認識して、嫌悪しているところが、アニメ版よりも原作のセーラの良いところだと私には思えた(その分、完璧な天使のようなキャラというわけではないのかもしれないが)。

        どんなに貧しくみじめでも、自分は「公女」、プリンセスなのだと思い、誇りを失わず、気品と心の豊かさを持って生きようとする姿勢は、他人からは滑稽に見えたのかもしれないが、セーラほどに貫き通すと、本物のことになってくるということなのだろう。

        「わたし―それよりほかのものには、なるまいとしたのです」
        "I—TRIED not to be anything else"

        つまり、誇りを持ったプリンセス以外のものにはどんなに境遇がみじめでもなるまいとした、と言うセリフは、誇大妄想や生意気の域を超えて、何か人生の真実を教えられるような、胸打たれるものがあった。

        私も、自分として、そういう風に思い、そういう風に生きていきたいなぁとあらためて思った。

        あと、アニメ版にそういうシーンがあったのかさっぱり覚えてないのだけれど、たまたま道ばたで少しの小銭を拾い、しかもお腹をすかせてそうな浮浪児が近くにいて、パン屋に行ってその小銭でパンを六個手に入れるが、自分もろくな食事を日々もらっていなくてお腹がぺこぺこなのに、自分は公女だと自分に言い聞かせて、そのうちの五個のパンをその浮浪児にあげるシーンは、究極の瘠我慢と思えて、自分も真似したいと思った。

        小公女セーラは、本当に人生の書だとあらためてしみじみ。
        アニメ版の主題歌も、youtubeで久しぶりに聞いたが、歌詞が良い歌詞でしみじみ人生の歌だと感動した。

        小さい頃に見た児童文学の名作は、本当に良い作品が多いものである。
        >> 続きを読む

        2014/01/11 by atsushi

      • コメント 8件
    • 1人が本棚登録しています
      奇想、天を動かす

      島田荘司

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 陳腐な事件に疑念を抱いた吉敷刑事が壮大なスケールの事件を掘り起こす。

        島田氏の真骨頂とも言える本格と社会派の融合。

        相変わらず多少のご都合主義は存在するものの、島田氏作品の中でも指折りの名作と言える。

        非常に残念なことに、島田氏作品に慣れてしまったため、トリックのほとんどと、展開の大半が読めてしまった。
        これが無ければ更に引き込まれたのは間違いない。

        北朝鮮の国家ぐるみの誘拐を考える際、多くの日本人の一人として、とんでもない国家だと考える自分がいるが、本作で単純に北朝鮮を糾弾しない価値観を持つことができた。

        吉敷刑事が上司に詰め寄るシーンに震えた。
        >> 続きを読む

        2012/04/09 by ice

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      ヴァイキング 海の王とその神話

      久保実 , CohatYves

      創元社
      4.0
      いいね!
      • ヴァイキングという言葉から何を想像するだろうか?
        それは独特なシルエットを持つヴァイキング船に乗って襲来する完全武装の野蛮な戦士の集団だろうか?
        たしかに彼らにはそのような一面もあり、当時のヨーロッパ人からは、悪疫の様に恐れられていた。
        しかし、彼らの生活を詳細に調べてみるとその素顔が見えてくる。
        最初の部分で特に目を引くのはノルウェーで発掘されたほぼ原形をとどめた状態のヴァイキング船の写真であろう。
        機能性とヴァイキングの職人たちの高い芸術性を併せ持つその流線型のフォルムは、ため息が出るほど優美である。
        野蛮さがイメージとしてある彼らだが、彼らは基本的に祖国では普通の農民であり、シングと呼ばれる民会が決める法にしたがっていたらしい。そして彼らの職人は当時のヨーロッパで最高水準の技術を持っていた様だ。
        驚くべき事にコロンブスの数百年も前に彼らがアメリカ大陸発見し、一時的に入植さえしている事実に驚愕させられた。
        彼らは、アメリカ大陸を”ヴィーンランド(葡萄の地)”と呼んでいたらしい。
        また、広大なロシアへも進出し、そこでルース人と呼ばれ、これがロシアの語源になったと言う。
        ヴァイキングとロシアの関係など今まで考えてみた事もなかったが、こんな事実を知ることができるからこそ歴史は興味深い。
        フランク王国を襲いその領地に定住した者たちは、ノルマンディー公国という国をつくる。これが後のノルマンコンクエストにつなる。
        カラーページの巻末には、ノルマンコンクエストを描写したバイユーのタピストリーの写真が11ページに渡って掲載されており圧巻であった。
        資料編の方も盛りだくさんで、特にマイケル・クライトンの小説で映画化もされた”北人伝説”の元ネタのアラブ人旅行者イブン・ファドラ―ンの手記からの抜粋もあって非常に興味深かった。
        冒険心に富んだヴァイキング達について知るための最適の入門書としてお勧めの一冊です。
        >> 続きを読む

        2017/12/28 by くにやん

    • 1人が本棚登録しています

出版年月 - 1993年3月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚