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鈴木光司
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映画では、映像的に恐怖をあおる貞子がテレビから這い出してくるシーンがあり印象的だが、小説のほうはじっくりと謎を解いていくという雰囲気があり、面白かった。 >> 続きを読む
2019/02/06 by うえしん
小野不由美
十二国記第4巻。泰国に誕生した麒麟が新たな王を見つけるまでの苦悩。ついに来ました!と言う感じで、やっとページを捲るのが楽しくなって来た。これで十二国記も第4巻になるが、正直これまでは、あまりピンと来てはいなかった。これまでのレビューでも繰り返していた通り、現実世界とのオーバーラップに違和感が有ったことと、幾何学的に国境(大陸さえも!)が設けられた世界観に違和感を感じていたのが、その理由。今も、違和感は全く減じていないのだが、そこへの固執が薄れて来たと言うか、王と麒麟の関係など、全体の設定が、やっとインプットされ、ストーリーを楽しむ余裕が出て来たのではないかと思う。今回は、生誕直後に現実世界に流され、10歳になって連れ戻されたために、麒麟としての教育を全く受けて来なかった少年麒麟の苦悩が描かれる。先輩麒麟との微妙な距離感が微笑ましい関係や、初めての折伏(怪物を手下にする行為)など、見所では、なかなか楽しませてくれるし、やっと叶った転変(人間型から麒麟型への変形)は感動的ですら有った。10歳の少年が、王を選択することで国家の未来を決めると言う重責を負うのは酷だと思うが、苦悩する彼を受け止める王の包容力や、近隣国の王と麒麟のフォローアップが素敵だった。上下巻構成なので、これで2つのエピソードを終えたことになるが、やはりどこかで全て繋がって欲しいと強烈に思った。 >> 続きを読む
2013/01/28 by ice
酒見賢一
【な、なんと! こ、これは史上最低の戦いだぁ…(゚д゚lll)】 地上のどっかにある中国っぽい国。 そこの皇帝が腹上死しました(だから後に諡して腹宗なんて名前をつけられたわけなんですが)。 帝位は弱冠17歳の皇太子に継がれたわけなのですが、そうなると後宮も新たに作り直しになります。 宦官たちは、それぞれ地方に散って後宮に入れる宮女候補を探しにかかります。 緒陀(おだ)というド田舎にも宮女募集のお触れが立ち、その地方に住んでいた銀河(もうすぐ14歳)は「応募してみよっかな~」とか考えています。 後宮の実情については部外秘で固く口留めされているため、その実態は庶民が知るところではないのですが、噂だけは色々流れてきます。 銀河が聞いた噂は、宮女になると『三食昼寝付き、贅沢し放題』というものでした。 父親が止めるのもきかず、銀河は宮女に応募し、まぁ、それなりに可愛らしいところもあったのでしょう、採用されて仮宮(宮女養成所みたいな所です)住まいを認められ、宮女としての修養を積むことになりました。 で、この後、しばらく銀河の仮宮での生活が描かれるのですが、まぁ、本作はフィクションなんで結構いい加減でありまして、銀河はめでたく後宮入りを果たし、しかも、当面のポジションとして正妃という第一位に就いてしまうのです(何故田舎出の作法も何も分かっていない銀河がそんなことになったのかについては、実はちょっとした裏があるんですけれどね)。 一方で後に史実に語られる『幻影達の乱』というものが起きます。 これは、皇帝の治世に対する庶民の不満を代弁した乱とされていますが……実はそんなもんじゃありませんでした。 ごろつきの幻と、その兄弟分の混沌らが何の大義名分も無いのに挙兵したというもので、何でそんなことをしたかというと、「ヒマだったから」。 で、この乱が何だかんだ上手くいっちゃうんですよ。 ほとんど運で勝ち進み、しかも本人たちもそんなに真面目に乱を起こしているつもりもないので、物見遊山気分で進軍コースを決めちゃったりするもんだから、逆に官軍の裏を突くことになったりしてどんどん勝ち進んでしまうのです。 まぁ、実態は地方の役所を襲って金を奪い、近くの遊郭などで飲めや歌えの大騒ぎをしているという、ほとんど強盗団みたいなもんなんですけどね。 最初は地方の小さな騒動程度に考えていた帝も本気になり、王斉美という軍才優れた男を軍師にして討伐軍を送り出したのです。 通常ならこれで幻影達の乱もジ・エンドとなるはずなのですが、実は宮廷にも内紛があり、また、帝を弑逆して帝位を乗っ取ろうとする陰謀などもあって、有能な王は戦中に味方から殺されてしまい、軍師を失った討伐軍は潰走してしまったのです。 あらら、また勝っちゃった。 実は、混沌は王の人となりに惚れ込んでおり、敵ながらある種の敬意も抱いていたのですが、それがこんな形で殺されてしまったことに激怒します。 ここから歯車がちょっとずつ狂い始めて行くのですが、混沌はもはや乱などどうでもよくなり(まぁ、最初からどうでも良かったんですけれど)、この後はただただ王の仇を討ってやるという一念で戦いに臨むことになります。 幻影達らは、遂に王宮を取り囲むところまで攻め入り、幻は根が助平ですから、「皇帝を廃した後は後宮は自分のものにするかんね~。待っててね~(はーと)」なんて公言してしまうのです。 これを聞いた銀河は、「何言ってんだこの助平オヤジ!」ってなわけでいきり立ち、何と、宮女たちだけで軍を組織してしまいます(ほとんどの宮女は嫌々なんですけれど、何せ正妃の命令ですからねぇ)。 仮宮で同室だった、無口だけどなかなか鋭いところがある江葉に対して「あんた将軍をやりなさい」と言いつけ、言われた江葉も「無茶をいう」とは言いながら、武器庫を開けさせて銃やら大砲やらを後宮に運び入れさせ、にわか軍事訓練を始めます。 江葉は、王宮を試射の的にして大砲を撃ち込んでしまうなどもう無茶苦茶やります(ま、籠城覚悟なので、侵入口になる部分を潰したと言えばそうなんですけれどね)。 宮女たちも段々面白くなってきて、大砲撃ってはきゃっきゃと騒ぎまくります。 これに対して、混沌はあくまでも王の仇討ちに専念していて全体的な戦力には貢献せず、後宮へは幻影達率いる反乱軍が攻め入ろうとするのですが、馬鹿な力押し一本なので江葉らの大砲の餌食になってしまい、結構な被害を被っています。 あぁ、ここに史上最低の戦いが……。 というわけで、タイトルからすると後宮に渦巻く女たちの陰湿な陰謀……なんていう内容を想像してしまうのですが、実際にはかな~りあっけらかんとした銀河を中心とするユーモラスで明るく楽しい小説になっています。 なんでもアニメ化もされたのだそうですよ(『雲のように風のように』というタイトルだそうです……確かに可愛い女の子を沢山出せるアニメになりそうではありますが)。 良い意味ですっかり予想を裏切られました。読了時間メーター□□ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK) >> 続きを読む
2020/11/04 by ef177
中沢 啓治
久々に懐かしのNGワード全開の本でした。時代ですね(笑)最初の1~2巻は原爆の描写とかそれによっての死体の描写などが怖くて、「これは小学生のころだったら読めないかも」と、思っていたのですが、戦争も終わり、復興に向けて頑張っているゲンたち。お金がいし食べ物もない。人は冷たいし、いろいろ大変なんだけど、とんちが利くのか賢く生きていく。凄く心根の優しいゲンです。戦争を心から憎み、仲間を大切に思う。小学生の物語とは思えないくらい。ただ、天皇陛下に対しての思いというか、発言にはやや引いちゃいます。戦争責任が天皇陛下にあると固く信じているタイプ。この間見た「終戦のエンペラー」でも天皇陛下に戦争責任があるかというのが問題視されてましたけれど、ゲンは疑うことなくあると言ってました。・・・作者の中沢さんがゲンの口から言わせているようですが。そういえば、ゲンの被爆体験は中沢さんが経験したことそのまんまだそうです。友達のお母さんと話している最中に原爆が落ちて、気付いたら友達のお母さんは死んでたとか。自分は学校の門の陰にいて無事だったそうです。運やタイミングもあるんだな。中学卒業して、東京に向かうところまでがこの10巻までの内容。「第一部完」と書かれてました。今回、ニュースでは強姦のシーンや拷問のシーンが問題視されてましたが、強姦ったって・・・当然少年ジャンプなんだからリアルな表現があるわけでもないし、拷問だって・・・今はもっと酷い映像とか漫画やテレビで見ていると思う。今の小学生たちも。この小学校に文句を言った保護者・・・アホだろ。と、思いましたがそのおかげで「はだしのゲン」は飛ぶように売れ、何がどうなるか分からない世の中だなと思いました。1人の男の物語としてはとても面白く、戦争を忘れないという事のほかに普通に漫画として楽しめました。最近の保護者、子供の事気にしすぎというか、全て把握しないと気が済まないの?ゲンなんて何日も家に帰らないのよ。まぁそれはそれで大問題かも(^^;) >> 続きを読む
2013/09/21 by igaiga
尾崎豊
若者の苦悩を歌い、若くして逝ったことで、もはや青春の象徴とも言える存在となった尾崎豊の小説作品集。世代は違うのに、やはり彼のことを思い浮かべると、青春を共に生きたような気がするのが不思議だ。没してなお、未だに歌い継がれる名曲の数々が有る。その魅力は端正な美貌だけではなく、歌詞に滲み出る若さの葛藤ではないかと思う。そんな尾崎豊による小説作品集。ファンとしては、大いに期待し、ノスタルジーを感じる。芸能人の出版物と言うと、ゴーストライターによるものが疑われるが、彼の場合には、題材や表現により、本人によるものだろうと素直に思わされる。・変貌・たたずむ瞬間(とき)・ファースト・フード・LOVE WAY・フェアリー・ウイスパー・普通の愛・雨の中の軌跡・(後記)変貌タイトルだけを見ても、(曲名そのままのものも有るが)いかにも彼が選びそうな言葉だとファンなら思うはずだ。結び方も彼らしいと言うか、自省的に締められている。「...その他出会った全ての皆さんに感謝し、僕の罪を証言します。」正直、ファンでは無い方の鑑賞に耐えるものばかりではないけれど、ファンとしては☆を1つオマケしておきたい。ちなみに好きな曲は幾つも有るけれど、ベストを選ぶとしたら「誕生」かなぁ。 >> 続きを読む
2013/07/25 by ice
赤川次郎
女子高生の布悠子が学校行事で行った遺跡の奥で「何か」に触れる。その日を境に布悠子の住む町のあらゆる物が徐々に「若返り」始める。壊れたものは直り、古びれたものは新しくなっていく。そして死んだ人間も、、全く面白くない。異変の元凶である「何か」に対しても、背景を考えると同情の余地は無い。登場人物全員の倫理観が著しく欠如しているように思えた。読了後の感想は、ただただ「不快」である。 >> 続きを読む
2012/02/18 by po1415
スティーヴン・ギャラガー
年に数回、無性にサイコ・スリラーを読みたくなる時があります。そんな時に、以前、購入して本棚の奥にひっそりと眠っていたスティーヴン・ギャラガーの「戯れる死者」(角川ホラー文庫)を取り出して、貪るように読みました。この小説の主人公は、不正を許せぬ正義感ゆえに、前に勤めていた警察署を追われた刑事ニック・フレイジャー。そして、今度の新しい職場で彼のパートナーとなったのは、幼馴染みのジョニー・メイズだった。サイコ野郎として署内では有名なジョニー。彼は勤務中に、街で不愉快な目にあうと、相手の車のナンバーを手帳に控え、それを警察のコンピュータで紹介するのだった。そうやって、相手の身元を調べては、陰湿な嫌がらせを続けていたのだ。ニックはなんとかして、そんなジョニーの行動を止めようとするのだった。そんなある夜、ニックとジョニーは、盗難車で逃走する不良少年たちを追跡する。暴走するジョニーはニックの制止も聞かず、少年たちを車ごとダムへ追い落としてしまう。そして、ニックが車を降りた後、ジョニーも運転を誤りダムへ転落してしまう。翌日、川から引き上げられた車の中に、ジョニーの姿はなかった。奇跡的に助かったジョニーは、完全な異常者になっていた。彼は自分の手帳に控えてある人物を、次々と狙い出したのだ。そして、驚くべきことに、ジョニーの手帳の最後にはニックの名前があったのだ-------。読み終えて思うのは、この作品のテーマは恐らく、"転落すること"だろうと思う。この物語の序盤では、ちょっとオカシイ奴だったジョニーが水中に落ちて、完璧な異常者となって生還する。そして、生還後のジョニーは記憶もほとんど失っているが、手帳の意味だけは忘れていないのだった。品行方正とは言えないまでも、一応は警官だったジョニーが、生還後は殺人者へと"転落"してしまう。つまり、この作品の原題である「DOWN RIVER」からも分かるように、川への転落と人間ジョニーの転落を引っかけているんですね。幼馴染みでありながら、ちょっとした資質の違いで、まったく違った道を歩んでしまった二人の悲しみが、この作品の全編に渡ってよく描かれているので、サイコ・スリラーとは言いながらも、ちょっぴりセンチメンタルな気分になってしまいます。そもそも、ジョニーが警官になったのは、幼馴染みのニックに憧れていたからだし、ニックがパトカーの模型を持っていたというだけの理由で、自分もそれを父親にねだったという幼少時のエピソードなど、ジョニーには心底、憎めない部分も多いんですね。わがままな子どものまま、大人になってしまったというところが、ジョニーという人間の最大の悲劇だったのではないかと思えてなりません。 >> 続きを読む
2018/03/12 by dreamer
小川洋子
【あとがきがあって良かった】 私は、佐野元春さんが好きです。 彼がデビューした時から着目していて、新しいアルバムが出るとすぐに入手して聞き込んでいました(ブルース・スプリングスティーンのパクリだなんていう批評は受け付けません!)。 特に、初期の頃が大好きで、それはもう何度聞いたことか。 この作品は、何と、佐野元春さんの曲をモチーフに、小川洋子さんが10の短編を書いてくれたという、佐野さんも好きなら小川さんも好きだという私にとって嬉しすぎる位の短編集です。 選ばれた曲は次の10曲です。 アンジェリーナ バルセロナの夜 彼女はデリケート 誰かが君のドアを叩いている 奇妙な日々 ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 また明日…… クリスマスタイム・イン・ブルー ガラスのジェネレーション 情けない週末 あぁ……ため息がでてしまいます(でも、実を言うと、「Cafe Bohemia」や「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」辺りから段々離れていってしまったのですけれどね。それ以前の作品が大好きなのです)。 小川さんが書く短編は、それぞれの曲を大変うまく反映してくれています。 あの、切ない感じ、やりきれない想い、不器用なこと、一途な気持ち、そんな感情を、ある時は不思議な物語に、ある時は悲しい物語にまとめあげてくれています。 佐野元春さんの曲って、歌詞の量がとても多いじゃないですか。 ところが、何度も聞いて口ずさんでいると、不思議なことに次から次へとあの長い歌詞が自然に浮かんでくるんですね。 全部つながっているように、間違えることなく、あんな長い歌詞だというのに自然と口をついてきます。 だから、佐野さんの歌詞は未だに結構頭に残っているのですが、小川さんは、そういう歌詞のかけらを、上手に作品の中に織り込んでくれているのです。 「時々ふたりは、言葉が足りなくて、確かなものを失いそうなるけど、愛してる気持ちはいつも変わらない」/バルセロナの夜 「ぼくはどうにも変わらない、悲しいけれど」/ガラスのジェネレーション 「うすのろの(ケーキ)」/情けない週末などなど。 直接歌詞を引かなくたって、その曲の雰囲気を絶妙に取り入れてくれています。 「アンジェリーナ」の彼女は、もちろんバレリーナですし、「彼女はデリケート」に登場する彼女は、ベジタリアンだし、「ガラスのジェネレーション」に出てくるおじさんが飼っていたのはフラミンゴ、「クリスマスタイム・イン・ブルー」は「です、ます」調で書かれていることなどなど。 読んでいる最中から、どうしてこういう作品を書こうと思ったのだろう? 小川さんも佐野元春さんのことは好きなんだろうか?と疑問に思っていました。 「あとがきがあるといいな……」そう思いながら読み終えたのです。 単行本でしたので、「あとがき」が無いもの、多いじゃないですか。 でも、この本にはちゃんとあとがきがあって、私の疑問に答えてくれていました。 よかった。 とても好きな作品です。 >> 続きを読む
2019/05/05 by ef177
志賀 直哉
この話を読んでいたら無性にお寿司が食べたくなって、パックの寿司を買って食べた。『小僧の神様』というタイトルが最初、小僧の姿をした神様をイメージしていた。しかし実際は、小僧が神様だと思ってしまう人のことを指していた。小僧に寿司をご馳走し、親切にした貴族院議員のA。しかし、喜ばせたにもかかわらず変に淋しい、いやな気持になる。その優しさは本当に小僧のためになったのだろうか。変に甘やかしてはいなかっただろうか。本当は、小僧が自分でお金を貯めて寿司を食べた方がもっと違ったものになったのではないか。そして、作中において今まで読んだ小説ではありえないような衝撃のラストを飾る。なんと、最後に作者が出てきて筆を置くことにすると締めくくったのだ。小僧が寿司をおごってもらい親切にしてくれたAの正体を掴むために、Aが出鱈目に書いた番地を尋ねていくのだが、そこには小さい稲荷の祠があったことを書こうとしていた。しかし、そう書くことは小僧に対し少し残酷な気がしてきたので擱筆することにしたという。これが小説の神様といわれる由縁か……( ゚д゚)ここから面白くなってくるところなのに興が醒めてしまった。なぜ、この作品が有名なのだろう。やはり突如作者が出てきたからか。残酷なところも書いていくのが小説じゃないのか。 >> 続きを読む
2018/09/27 by May
有栖川有栖
疑わしき双子がいながらもアリバイを崩せない殺人事件。張り巡らされた伏線が集約していく様は見事。論理的な展開に固執する余り、ドラマ性などが疎かにされてしまい、小説としての完成度が低い。これが新本格というものへの評価だった。しかし、本作はついにそれを打ち破り、満足度の高いものに仕上がっている。まず第一にドラマ性。事件が起こった直後から疑わしき人物が特定されているものの、安易な謎解きに終わるのではなく、むしろそこから本当の事件が始まるという展開になっている。信じたい人を疑ってしまったところから、真実に突き進んでいくところは、悲しみに彩られたドラマ性の高い展開で読み応えが有る。更に特筆すべきは豪華な伏線。タイトルのマジックミラーもさることながら、アリバイ偽装とアリバイ崩し。移動トリックなど、多くの要素が盛り込まれ、論理的な謎解きという新本格お得意の部分だけでも十分に楽しめる。とは言え、正直もっとドラマ性が高い作品が好みでは有る。 >> 続きを読む
2011/08/06 by ice
室生犀星
美しい、そして妖艶なのにかわいらしくポップなお話でした。老作家の悲哀に対して金魚の可憐さ、無邪気さが映え、「おとな」でありたい老作家さえもまた、どこか少年に戻ってしまう。そんな二人の掛け合いが読みやすい文体でつづられているほっこり美しいお話だと感じます。少女と老人でエロスが出てしましまいがちなシチュエーションなのに、なぜかそれよりも縁側にいる二人のようなほほえましさが勝ってしまうのは、金魚の勝気さ、無邪気さ、透明感ゆえか、老作家のかっこいいというよりもどこかうじうじとした気の弱さなどの等身大の普通のおじさま感ゆえか?外出のシーンなど当時の風景や街並み、日常がなにげなくつづられた一人と一匹の物語、素敵でした。 >> 続きを読む
2018/10/07 by kaoru-yuzu
きうちかずひろ
BE―BOP―HIGHSCHOOL 第22/全48巻今回も単発のストーリーばかりで、今後に影響するようなものはない。とくに目立ったわけでもないが読後に記憶に残っていたものをあげておくと、不器用なクセに上手く立ち回ろうとしてドツボにハマったノブオが限界まで追い込まれた結果、トランス状態的な境地に達した話。泣き虫な子が、ある一定ラインを越えると、大泣きしながら見境なく暴力を振るって、周囲からアブナイやつと思われるようなことは実際に有るような気がするが、BeBopでは、もはやこのパターンも定番化している。不良マンガなのに、水戸黄門的なパターン化の面白さに達している点に、この作品の真価が有るのかも知れない。 >> 続きを読む
2015/02/12 by ice
軽部 潤子
ろうあ者:美栄子ちゃんの日常と恋愛とやさしさが丁寧に描かれている。たまに読むとすごくいいんだよなこれ。話の組み立て方とか、引きつけ方とか、色々上手い。手話って難しそうなイメージあるけど、この漫画はほとんど気にならないくらい自然に読める。ドラマ化もされた、講談社漫画賞もとった、安心して読める作品だ。 >> 続きを読む
2014/01/07 by ウサギ
青山 剛昌
ドラえもんが出したバットを甲子園球児手に入れたら的な発想のスポーツマンガ。野球好きな自分としてはそんな道具でどんどん勝ち進んでいって狡いんじゃないかとイラッとしていたが・・・ラストで合点がいきました。多分ラスト直前まで釈然としない方がラストに爽やかな気分になれると思います。 >> 続きを読む
2015/07/20 by くじら
マイケル・クライトン , 乾信一郎
西暦922年にアラブ人ヤクート・イブン・ファドランが古代北欧人について記した手記をベースにベストセラー作家マイケル・クライトンがイマジネーションを膨らませ、一級の伝奇ロマン冒険譚にしたもの。物語は、イブン・ファドランの手記という体裁をとっており、まえがきには手記やヴァイキングについての学術的見解が述べられており、この作品のリアリティーを高めるのに一役買っている。物語は、バグダットの使者ヤクート・イブン・ファドランが旅の途上、ヴァイキング達と遭遇し、危機に瀕した北の王国を救うという彼らの冒険に巻き込まれるといったストーリーである。前半は、紀行文の様な感じで展開し、イブン・ファドランが訪れた土地や民族の生活習慣が克明に描写されている。旅が進むにつれ、彼とヴァイキング達とのやり取りを通して、ヴァイキング達の習慣・風俗・哲学・行動原理・信仰等が鮮明に描写されていく。そこで描写されているヴァイキング達は、まぎれもなく過去のある時代を生きた人間たちで、資料を読んでいるだけでは味わうことのできない小説にしかなしえない醍醐味が感じられた。専門家ではないので、どこまでがイブン・ファドランの筆によるものでどこからがマイケル・クライトンのイマジネーションによるものかは判らないが、ヴァイキングに関する現存の資料から生きた人間としてのヴァイキング達を緻密に真に迫った形で描き出す彼の能力には、脱帽するしかない。言いすぎかもしれないが、ヴァイキングに関する入門書を読むならこの本を読んだ方が、彼らがどんな民族であったかをリアルに知ることができるんじゃないかとも思ったりもした。後半は、王国を危機に陥れている謎の敵”霧の怪物”達とヴァイキング達の手に汗握る戦いがメインとなる。この謎めいた敵の設定も人類学上の興味深いifの上に成り立っており、すごく面白かった。この小説は、まさに大人の為の一級のエンターテイメントであると言えるでしょう。また、西洋史やヴァイキングに興味のある方にもお勧めの一冊です。 >> 続きを読む
2017/12/28 by くにやん
Derisbourg, Yves , 福田素子
本田宗一郎氏の生涯をフランス人ジャーナリストによって書かれた本。数ある本田宗一郎氏の本のなかでも、フランス人からの視点もあり、読んでよかったです。本田宗一郎氏の生涯と、最後の章では、中嶋悟氏、アイルトン・セナ等からの本田宗一郎氏に関しての記載もあり、おすすめします! >> 続きを読む
2018/04/11 by みんみん
大久保輝臣 , 福永武彦 , Malot Hector Henri
『家なき子』は、私が小学生の頃、再放送のアニメで毎朝見た記憶がある。私が生れた頃にできたかなり古いアニメだったが、とてもよくできていて、幼心に非常に強い印象と感動を覚えたものだった。ふとなつかしくなり、原作はまだ読んだことがなかったので、この本を読んでみた。途中、なつかしくて、しばしば心震える思いがした。幼い頃の記憶力というのは大したもので、レミやビタリスはもちろん、カピ、ドルチェ、ゼルビーノ、ジョリクールといった犬や猿たちの名前、ビタリスの本名がカルロ・バルザーニだということや、御世話になったアキャン一家、白鳥号の名前などもよく覚えていてなつかしかった。ただ、アニメ版とところどころ違うところや、どうも私が覚えてない忘れてしまっていたことなどもあり、あらためてとても興味深く読んだ。福永武彦による訳文もとても読みやすくて、本当に良い一冊だった。『家なき子』の魅力は、思うに、大きく三つあるのではないかと思う。ひとつは、師匠であるビタリスの、本当の優しさと厳しさと、老賢者のような生き方だと思う。「教えることは、同時に自分が教えられることでもある。」というビタリスの言葉は、本当にそうだなぁとあらためて深い感銘を受けた。旅芸人の境涯であっても、決して誇りを失わず、レミや犬たちにも本当の愛情を持って接するビタリスは、小さい頃アニメで見た時もとても感動し、自分の魂の師のように思えたものだが、今回読み直してあらためて思えた。作中、ビタリスの墓がモンパルナスに建てられたことが記されていて、もちろんフィクションなので実際にあるわけではないのだけれど、モンパルナスの墓地は私も旅の途中でぶらぶら歩いたことがあったので、あの中にビタリスの墓があったのか感慨無量なものがあった。ふたつめは、そうしたビタリスの影響を大きく受けながら、しっかりと成長していく主人公の少年・レミの健気な姿である。注意深く、素直で、いろんな逆境や困難にもめげずに挫けずに、ビタリスが教えてくれた人間としての誇りや筋を通すことを忘れずに生きていくレミの姿は、小さい頃も感銘深かったが、あらためて読み直して感動させられるものがあった。フランスやイギリスを子どもの足で旅し続けるその逞しさは、読者に対して、その読者が大人であっても、あればこそ、大きな勇気を与えてくれるものだと思う。みっつめは、親友のマチアや、アキャン一家の人々や、バルブランママたちの、心の優しさである。旅芸人に対する行く先々の、どちらかといえばほとんどの人の無関心さや冷たさを考えると、たまに出遇う人々の優しさは、本当に読んでいる我々の心にもしみるものがある。特に、後半の方のマチアの活躍は目覚ましいものがあるし、持つべきものは友であるし、またそのような友を持つためには、レミのように要所要所で、自分のパンを割いて渡し、自分の利害よりも友情を大切にする心を持ってこそなのだろうとあらためて思った。作中、ビタリスの好んだ言葉で、のちにレミもしばしば言う、「前へ」(En Avant!!) というセリフがある。これも、なんだか元気が出てくる、良い言葉だと思う。児童文学というのは、子どもの時にも魂の糧となるが、大人になってまた再度巡り合った時にも、あらためて魂の糧となるものだと思う。特に、大人になると、いろんな勇気や力や希望を失いがちになりそうな時に、こうした児童文学が、どれほどの慰めと励ましを与えてくれるかはわからない。参考HP めちゃくちゃ熱くアニメ版家なき子について語ってありすごい。http://www.kanazawa-bidai.ac.jp/~hangyo/naisei/remi.htmhttp://www.youtube.com/watch?v=JROTuUA51Xw >> 続きを読む
2013/10/07 by atsushi
山村美紗
キャサリンと浜口が活躍するミステリー。犯人は途中から容易に想像できる。内容的には千利休の話が大半をしめ、歴史書のようだ。 >> 続きを読む
2011/04/11 by suzudon
山田 風太郎
ミステリー短編のおすすめに載っていたので読んでみた。面白いの一言であった。時代や国を超えた物語だが、現代にもつながる話である。著者の着想には驚くべきものがある。それぞれの物語には関連性はないのだが、ひとつ終わるごとに次の物語を読みたくなる。 >> 続きを読む
2019/11/09 by KameiKoji
安井季子 , 田中四郎
小さいころ熱を出したときに兄が買ってきてくれた思い出の大好きな絵本。いるかのルーくんのために大活躍するジロちゃん。大好きです。^^* >> 続きを読む
2014/01/16 by Rie
出版年月 - 1993年4月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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