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宮部みゆき
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宮部みゆきワールドの重量感のある主流をなす社会派ミステリの傾向は、平成のバブル崩壊後の不安と頽廃とに訴えていると思う。経済低成長時代に入った社会の証言なんですね。社会的な不公正への抗議の質そのものが変容しているのだ。そして、彼女が取り上げる題材としてあがってくるのは、イメージ商法、チャネリング、催眠術、自分捜しゲーム、新薬開発、カード破産と人間蒸発、ローン破産と債権詐欺なんですね。今回読了した「レベル7」は、これらの中の自分捜しゲームについての物語だ。自分という殻をいったん解除して、そのあとに自分のところに戻ってきて、七段階のレベルで数値化されている。 -----以下、ネタバレあり-----四日間の出来事で、二層のストーリーが並行して語られる。一層は、見知らぬ部屋に見知らぬ相手と一緒に目を覚ました若い男女の話。二人とも記憶を失っている。力を合わせれば、光明が見えるわけではない。混乱が助長されるだけだ。電話線は不通。部屋から出て来たのは、札束の入ったスーツケース、何かのキー、拳銃、血を吸ったタオルといったように、パズルのピースはバラバラのまま、ストーリーはもう一つの層に切り換わる。元小学校教師、34歳の真行寺悦子が、17歳の失踪した高校生のみさおを捜す話だ。この悦子は、宮部みゆきの小説に特有の、不徹底な傍観者と不徹底な探偵役とを兼ね備えたキャラクターで、ヒロイン自身のあまり幸運でなかった人生の範型を、たっぷりと与えられているんですね。ファザコンで、年の離れた男と結ばれるみたいな予想を持っていたけれど、適齢期に4歳だけ年上の男と平凡な結婚をして、一人娘のゆかりが生まれます。夫が10年後に過労死で逝ってしまってから、彼女は単身で自分の人生に向き合わされるのです。友達のような夫婦だったし、もしかして、本当の愛が生まれる前に夫は死んでしまったのかもしれないと思うのです。再生のために、求めた職場は、電話相談室のカウンセラー。生命保険会社が市場調査を兼ねて開いている一部署なので、専門職ではないし、また、それほど深刻な相談を持ちかけられるわけではない。みさおとは、そこの電話相談を通して知り合うことになったのです。失踪したみさお。「レベル7まで行ってみる 戻れない?」「真行寺さん♡」など、残された謎の言葉。職場では相談者と深い関係を結ぶことは禁じられているのです。電話サービスを利用する顧客の身勝手さに特別の感情を持っても、何の益もないからです。味方は、10歳の娘のゆかりと、新聞社の自動車部員を勤めていた父親だけです。悦子の行動は、ハードボイルド小説の主人公の選択する典型的な形であると理解できます。そして、彼女が父親や娘に励まされるという構図は、アメリカ型の女性私立探偵ものに共通する絵柄なんですね。失踪した少女が、特別の存在だったということではないのです。彼女を捜すことが、ヒロイン・ストーリーの主人公としての当然の選択だからです。記憶喪失の男女の文字通りの自分捜しは、女の目が見えなくなったりして、すんなりと前進するわけではないが、少しずつ進展していく。隣の部屋の三枝と名乗るフリーライターの手助けを得て、軌道に乗り始める。一つの中継点が見えてくる。榊クリニックという病院に鍵がある。そして、遠く離れた土地で、去年のクリスマスに起こった「幸山荘事件」のこと。それから数カ月が経過している。村下猛蔵を中心とした複雑な利害関係を持つ人物圏があって、そのうち四人が撃ち殺され、犯人は逃亡中に死んだ。二人は、自分たちが誰かを知る。家族を殺された事件の生き残り、そして第一発見者だった。悲しみは一度で済むはずなのに、記憶を失くしたことによって、同じ悲しみを同じ苦しさでプレイバックしなければならない。それが片方の二日目の終わりだった。もう一層のストーリーは、次の章で、みさおの居場所を明らかにしている。悦子が探し当てたのではなく、悦子の外の視点から、監禁されている様子が語られるのだ。場所は榊クリニックの一室らしい。榊医師は親切だが、村下先生と呼ばれる老人は、鎮静剤をみさおに撃ち続ける。二つのした並行したストーリーは、ここで接点を持ってくるのだった。自分捜しの断片が、ぐろりとひと回りしてリンクする。どちらにもまたがる共通の敵が見えたところで、オーソドックスな社会派ミステリの骨格が、前面に出て来るのだ。けれども、この小説においても、探偵役の捜査は不徹底な結果に終わります。簡単に言えば、「レベル7」という社会派ミステリの構造が、二重底になっているせいで、悦子の役割が外側に振り飛ばされてしまうからなんですね。振り飛ばされて、もう一度、内側に入りこもうとした時、彼女は、自分の母親の秘められた恋について初めて聞かされるのです。母がずっと年下の男と関係を持っていたことを娘に告げるのは、悦子の父親です。こうして、ヒロインの人生は新たな陰影のもとに描き直され、また事件の進行とも絡まり合ってくるわけです。「母親の年下の恋人」は、並行される話の一方に登場していて、みさおが「真行寺さん♡」というメモに残した人物だと明らかになります。しかも「恋人」とは、みさおによる符牒であり、もっと別の意味で使われていると知れた時、事件のミッシング・リングがぴったりとはまってくるんですね。 >> 続きを読む
2019/02/05 by dreamer
岡本太郎
アホみたいに苦労して、アホみたいに無力さを知り、アホみたいにうまくいかないことだらけの人生を自ら選ぶこと。今の世の中ではそれが、無条件で、無目的な人間本来の生き方に重なる。素っ裸な"今"の爆発の一つ一つが己の芸術。 >> 続きを読む
2018/02/17 by Jay
東野圭吾
最後のワンシーンにやっと、ブルータス登場・・・なぜこのタイトルにしたのか、良くわからないのは私だけでしょうか?最初に、完全犯罪の構想で盛り上げてみたものの、その構想以上に膨らみがなかったような気がします。かなり尻つぼみな印象になりました。 >> 続きを読む
2016/05/04 by きりちょん
隆慶一郎
著者の名前とこの本の噂は、発表当時から聞いていた。面白いとは聞いていたが、文句なしに面白い。先の展開がまったく読めない。こういう本は久しぶりだ。 >> 続きを読む
2017/09/16 by Raven
司馬遼太郎
ずっと読んでみたかった司馬さんの随筆をやっと手に取る。話があっちこっちいったりするのだが、寄り道で語られる歴史の考察も深くて面白い。歴史は好きだが、こんな風に緻密な考察をしながら歴史書や小説を読んではいなかった。個人的には幕末や明治維新の頃はあんまり好きではないのだが、司馬さんはそちらに思い入れが強いので、本書にもよく取り上げられている。「燃えよ剣」を読んだ時にも思ったが、幕末の印象がだいぶ変わった。続きが楽しみになってきた。 >> 続きを読む
2014/01/23 by freaks004
宮城谷昌光
宮城谷昌光は三国志を読んだことがあったがやたらと長く細かいことが書いてあるなと思った程度で良い印象は持っていなかったのだが、古代中国の夏王朝ということで興味を覚え手に取った。車がまだ発明されていない時代とかで、場面の様子の想像が難しいのだが、それなりに読んでいて楽しい、そんな感じで下巻に突入する。 >> 続きを読む
2020/03/02 by 和田久生
新美彰 , 吉見義明
著者の方の回想の聞書。とても考えさせられる、すごい戦時中の体験談だった。著者の方は、夫がフィリピン勤務だったために夫婦でフィリピンに住み、平和に幸せに暮らし、赤ちゃんも生まれた。が、やがてアメリカ軍の空襲が始まり、夫は徴兵される。赤ちゃんを連れて、山の中に逃げていくが、食べるものもないし、軍もろくに守ってくれない。大変な苦労がリアルにこの本には描かれているが、とうとう赤ちゃんは飢えと病気で死んでしまう。その数日後、戦争は終わる。夫は、すでに戦死していたことを後で知る。この本を読んでいると、いくつもの不条理な話に、なんとも言えない気持ちになる。著者の夫は、急に徴兵されて、ろくに訓練も装備もない中で、マニラの防衛を命じられ、戦死したらしい。当時、本当の職業軍人たちは山の中に兵力温存の大義名分のもとに自分たちだけ逃げていき、ろくな訓練も装備もない部隊がマニラで死ぬとわかっていて防衛を命じられほぼ全滅していったらしい。また、著者の方をはじめ、当時フィリピンには何千人という女性や子供たちもいたので、せめてもこれらの民間人だけでもアメリカ軍に降伏させるようにすれば被害はずっと少なったはずなのに、何の世話もしないのに山中に逃れるように軍は指示したそうだ。そのため、逃避行における飢えと疲れで、多くの女性や子供が死んだそうである。女性たちが歩いて道を苦労しながら逃げているのに、軍人たちはトラックに乗ってどんどん山の中に撤退していったという話を読むと、どうも当時の軍隊は民間人を防衛するという意識や任務がほとんどなかったのではないかという気がしてくる。また、この本を読んでいて考えさせられたのは、現地の人々、特に山の中のイロゴット族という少数民族の人々は、戦争の末期も敗戦後も、まずほとんど日本人に報復しようとはせず、むしろしばしば食べ物をくれたり、非常に親切だったという話である。日本人は生きるために仕方がないとはいえ、随分と田畑を荒らしたり、物を盗んだり、住居を奪ったり、山を荒らしたそうだが、ほとんどのフィリピン人たちは日本人に対して報復や攻撃をしなかったとこの本に書いてあった。かえって、何度か食べ物をくれた話が書かれているのには、なんともこのような極限状況の中だけに、胸を打つものがあった。この戦争の苦労の体験談を聞いていると、理屈ではなく、戦争はやっちゃいかんし、平和というのは本当に尊いものだと、あらためて思わざるを得なかった。 >> 続きを読む
2013/05/22 by atsushi
阿刀田高
ディベートやっていた時に先輩に薦められて読みました。「詭弁」とはWikipediaによると「詭弁(きべん、sophism)とは、主に説得を目的として、命題の証明の際に、実際には誤りである論理展開が用いられている推論。」ということです。この本は世の中に溢れている詭弁を具体例をまじえてテンポよく、軽快に紹介している本です。とても面白いです。詭弁はあまり良い意味ではありませんが、色々なパターンの詭弁を知っておくことでディベートにおいても役立つことはたくさんありました。主に使う方ではなくて、相手の詭弁を見抜くことですが、時にはわかっていて詭弁を使うこともあります。こういうことを言うと口だけ達者で言いくるめるのがディベートだとまた誤解されてしまいそうですが…^^;そういうわけではありません。でも誰かに伝えたい時、必ずしも真実を言えばいいというわけではないと思うのです。詭弁を使いましょう♪ということではありませんが、世界の色々な詭弁を知ることで頭がちょっと柔らかくなる気はします。そんなわけで、大学時代にだいぶお世話になりました。著者の豊富な知識も楽しめて、オススメです。 >> 続きを読む
2012/11/21 by ただひこ
銀色夏生
詩集。「静かな失恋」、「自己矛盾、「雨あがり」、「白衣を着た彼女」がよかった。「小さな手紙のようだった、かわいらしい人よ」 >> 続きを読む
2017/04/29 by しでのん
うみのさかな宝船蓬莱
すげー、下らない。でも面白い。一生に一度くらい、日ペン美子ちゃんやロータスクーポンに、心を奪われるのも悪くないのでは。 >> 続きを読む
2013/12/05 by che_k
奥泉 光
奥泉さんの初期の秀作。読みたかったのでとても満足した。ジャズがらみの一編と、もう一編の「滝」は鬼気迫る表現で若者の純粋さを書ききった一編(芥川賞候補作)、ミステリ感もある不思議な空間を体験した。その言葉を高校時代同級生だった飛楽俊太郎は、田舎の秀才が集まるという進学校でも飛びぬけた、桁外れの秀才だった。 理論家で行動派、自由研究で作った読書会を牽引する、白皙で痩身の男だった。僕は同じクラスだったし、読書会でも繋がっていた、一度訪れた飛楽の部屋は一面が書棚で重厚な本に圧倒された。だがいつも噂の種になっていた飛楽家の跡継ぎは、アカにかぶれたらしい、右翼らしいという話を裏付けるように、卒業を前に姿を消した。 僕は大学に入って、ボロ下宿に落ち着き、近所のジャズ喫茶「キャノンボール」に通いつめ入り浸っていた。学校ではジャズ研に入りドラムをたたいたりしていた。 三年後「キャノンボール」で飛楽を見かけた。すぐに声を掛けるのはためらわれたが飛楽のほうは気がついていたようだった。 油に汚れたつなぎ姿は近所の工場ででも働いているようだった。僕はおずおずと近づき話しかける間柄になった。飛楽は言葉を忘れたかのように寡黙な男になっていた。 常連から、飛楽が河原でテナーサックスを吹いているという話を聞いて見に行った、彼は下手な音を出して、同じ音階を繰り返し繰り返し吹いていた。およそテナーサックスに似合わない孤独な姿は印象的だったが、僕のこだわりはその程度だった。 同じ常連の、太めで開放的なビリーさんと言う女性と付き合っているとのことで、時々二人連れで現れた。ビリーさんに誘われていった飛楽の部屋はビリーさんのせいで殺風景ながら綺麗に片付いていたが。実家の本棚を覚えていた僕は一冊の本もなく押入れに束になったマンガ本の山を見ただけで、寒々とした印象をうけたのだった。 店で初めて飛楽の大声で怒鳴るのを聞いた次の日、ビリーさんが顔に絆創膏を貼っていた。 僕は渋谷に引越したが、ふと思いついて荒川河川敷に行ってみた。飛楽はやはりそこで吹いていた、はなれてから三年間、痩身に大きすぎるようなテナーサックスを抱えて、同じ音階練習を繰り返し練習していたが、明らかに進歩した音色が聞こえてきた。僕は驚いた。ジャズ研のコンサートを、閉店するという「キャノンボール」で開いたが飛楽は最後に現れた。軽薄で騒々しく彼を持ち上げて紹介した僕をじっと見ていたが、手にしたグラスを床にたたきつけて去っていった。飛楽が拳銃所持で捕まった、あの時しっかり縄で縛ってあった漫画本の中に隠していたらしい。それから暫くして駅近くのアーケードで出合った、僕は行き過ぎようとしたが近づいてきた飛楽が手を見せた、左手に三本の指の先がなくなっていた。 「やっちゃったよ」と言い照れくさそうに言って去っていった。 秀才といわれた男が酷い凋落振りで現れる。高校生の折には輝いた将来を思い描き、将来の目標にしていたらしい運動にも身が入らず、河川敷で疲れたように音階練習を繰り返している。何か物悲しい風景が心の中に沈んでくるような不思議な話だった。 最近読んだ「虫樹音楽集」で「イモナベ」と言う男が河川敷でテナーサックスを吹くシーンが出てくる。原点はここにあったのかと思った。 滝 宗教団体の若者組は恒例の行事で、白い装束に地下足袋をはき、奥日光連山に指定された7つの社を周り山岳行を行うのが決まりだった。それぞれの社に着くとリーダーの勲が榊の枝についた神籤を引く。精進がよければ白い布がでるが、心がけが悪ければ黒い布がついている。その後は、峻険な坂を下り、邪気をはらい神気を充実させるために、滝壷で結跏趺坐を組み、禊祓の滝行を行って心身を正常に戻す、高い崖を上っていって道の続きから次の目標に進む。若者組は事前に行われた剣道試合の成績順に、5人で一つのグループを作り、グループごとに、時間差で出発するが、一番に出発できたのだから、どこよりも早くつきたいと15歳の祐矢は思っていた。冷静でたくましい勲を心から崇拝していた。しかし5の社まで神籤は黒が出続ける。これは裕矢の兄の属する、青年組の罠だった。 勲は、開祖の側で発展に寄与し今でも長老の筆頭に地位にいる、その孫で将来が約束されていた。だが先触れになり仮社をつくり若者組みを迎える準備をする染矢の兄たちは、勲のひく神籤を全て黒にした。 次に封筒に並んでいる榊の中の、白の位置をしたためる手紙を入れた。社に着いた勲は手紙を無視し、また黒を引く。 少年たちは雨に降られ、野営し、限られた食料で山を歩く上に、滝への上り下りに苦行を強いられていた。疲労も極限状態で、白い神籤がでることを祈り願っていた。だが5の社で黒が出、滝行に降りたところで、もう一度上るには体力がつき、体を壊すもの風邪を引くものがではじめる。勲は寡黙に、負ぶったり介抱をしながらここまでたどり着いた、だがその時に脱走者が出た。 揃って行を終えなければ意味がない、勲が探しに行っている隙に、染矢は体力をふりしぼり、走りに走って6の社で神籤を引く、白が出た。後20分で7の社、ゴールだった。知らせようと引き返してしてみると、勲は一人6の社目指して出た後だった。道を探してすれ違ったのか、社に着いて見ると勲の姿がなく枯れた滝の下に黒い神籤を握った勲の姿が見えた。 荒行の途中、元気に空を見、通り雨の後の虹を見て歓声を上げた若者たちは、行くたびに滝に打たれ、火を囲んで野営する、それが重なるごとに疲弊していく。道の上に覆いかぶさってくる木々たちやさまざまな山の声、自分たちの心の声。勲の俗世間から遊離したような清純な行い。組織の厳しい規則に縛られながら、勤めを果たそうとする少年たちの苦行、それらが限界に近づきやがてそれも越えてしまう。あるべき人の姿は信仰の中にあるのか、人の争いはどこにあっても静まることはないのか。ただ純な世界を持ち続けるものが生き延びるには汚れすぎているのか、様々な問いの中で、美しい自然描写と過酷な修行を対比させた壮絶で美しい物語だった。 >> 続きを読む
2015/02/24 by 空耳よ
村上龍
居酒屋で中年のおじさんが悪態つきながら「最近の若いもんは…。」と言っているような内容。常に上から目線で煩い説教ばかりがずっと続きます。内容は中身がないようなくだらないことばかりで面白くないと感じる方も多いかもしれません。私はあまり人におすすめできるような本ではないように思いました。たぶん大多数の人がイライラするエッセイなのではないかと思います。私はこういう人をイライラさせるような文章を書いてしまう作家さんは大好きです。確かにへんくつで煩いおじさんではあるのですが、ユーモアのセンスもあふれていてどことなく憎めないような…。読む人を選ぶ、エッジのきいた本だと思います。 >> 続きを読む
2015/07/04 by mokoko
神尾葉子
花より男子4巻。静が美しかった髪をバッサリ切ってフランスへ戻り、日本には戻らないと宣言。花沢類はどうするのか。好きな人が誰か別の人を想うのは辛いけど、それが納得のいく素敵な人であれば、その事も含めてその人が好き、みたいな気持ちもわかるなぁ。この巻での類の行動はカッコよかった!道明寺がつくしをデートに誘うくだりもいいなぁと思うけど、やっぱりあの変な髪形はどうにかして欲しい。夜の街でカッコイイ外国人にお持ち帰りされてしまうつくし。カッコイイ人が続々と登場するのには違和感を感じるが羨ましくもある(笑)だからといってお持ち帰りされるのはダメだよ、つくしちゃん!!! >> 続きを読む
2014/08/15 by sunflower
叶精作
オークション・ハウス 第7/全34巻倒錯したリュウへの愛から、復讐だけを生き甲斐に生きてきたユミ。彼女に訪れた転機。何巻か前から、早くもマンネリで、全34巻までどうやって繋げていくのかと不安になっていたが、予想もしない急展開に恐れ入った。オークション・ハウス。世界的に有名な絵画を鑑定の上、販売する組織だが、ここのところ、リュウに対してのユミの復讐劇ばかりが扱われ、もはや美術品鑑定なんて関係ない世界を突き進んでいた。元々、美術品に興味はないと言うか、ほとんど知らないため、これはこれで全く構わないのでは有るが、あまりの迷走っぷりに呆れるやら、まだまだ続く今後のストーリーを大いに悲観するやらで、正直かなり参っていた。それが、まさか、ここまでの急展開が用意されているとは!一応、自分なりに今後の方向性を考えてみることは有ったのだが、正直全く予想がつかなかった。このために、前何巻かが費やされて来たのだと考えると、先の展開を悲観していた自分の読みの甘さを恥じるようだ。と言っても、この先の展開は読めるどころかリセットされたようなものなので、やっぱり楽観はできないのだけれど... >> 続きを読む
2013/04/30 by ice
2巻目に入って登用人物がほぼ出そろい、物語も落ち着いてきた。とはいうものの、次々に新しい事態が出現。主人公二郎三郎は息つく暇もない。関ケ原以降の徳川家康が実は影武者だったという突拍子もない物語を、じつはこっちのほうが事実でははなかったかと思わせる作者のリアリティの再現力がものすごい。 >> 続きを読む
現実社会の中では、うまくいく筈がないとか、こんなことをやっている場合ではないとわかっていても、仕事としてやらなければならないという状況はいつでもある。先が見えない人々の中で、将来このままではダメになるとわかっていながら、自分のできる範囲内で、最大限努力し、事態の変化を待つということはいくらでもある。いや、そういう場合の方が大部分だろう。本書の主人公である徳川家康の影武者、世良田二郎三郎は、権力の頂点に立っているといえども、その点ではわれわれと同じである。豊臣家の滅亡と二郎三郎からの権力奪取を狙う二代目秀忠と、豊臣家復興の機をうかがう大坂方の間に立って、ひたすら平和と共存を図ろうとするその努力は、三巻目に入って、時代の勢いに押し流されるかのように次第に後退を余儀なくされていく。こうした苦さは、この社会の真実である。六十歳を過ぎて作家になったという隆慶一郎が描くその苦さは、作者が大人であるゆえんであり、そこがこの作品に重みを与えている。そして最後の場面。そのような人生が直ちに絶望に終わるわけではなく、そこにも人間の夢と幸福があるのだということも、作者の語る通りだと思う。 >> 続きを読む
安部 龍太郎
歴史小説が面白い。安部龍太郎の「血の日本史」は、古代から明治までの「血」で彩られてきた日本の歴史を、従来の視点とは異なる斬新な発想で書かれた、46の短篇小説からなる作品だ。歴史とは、戦争に勝利した側が、自分たちを正当化するために書くものだ。そのため、勝ち残った者は常に正義であり、己の主張も弁解できないまま死んでいった敗者は、不当に排斥され、貶められるばかりだった。この作品は、タイトルにある「血」に象徴されるように、権力闘争や戦乱から歴史を捉えようとしている。これは勝敗が決する時、つまり、どちらが正義で、どちらが悪かが混沌としていた「場」をクローズアップすることで、まさに「歴史」が生み出される瞬間を描こうとしたからに他ならない。それだけに、悪人と呼ばれた人間が正論を語り、英雄の卑怯かつ姑息な一面を見ることにもなる。誰もが知っている有名な事件ばかりが取り上げられているので、次々と浮かび上がる意外な真相は、圧倒的な知的興奮を与えてくれる。そして、もう一つ忘れてならないのは、自らが民衆の畏怖の対象になろうとした織田信長を描く「余が神である」や、革命に不要な孝明天皇の死を望んだ岩倉具視が、死後に天皇の真意を知る「孝明天皇の死」など、「神」と歴史の接点を見据えていることだ。これは、著者・安部龍太郎が一貫して追求しているテーマであり、この著者の第一作品集から、その萌芽が見られるのも実に興味深い。ただ、留意すべき点は、必ずしも著者が「神」を絶対視していないことだ。蒙古襲来を題材にした「異敵襲来」には、神国日本を主張する少弐資能に、家臣が蒙古にも信じる神があると応じる場面が出てくる。これは歴史を作る「神」=立脚点が複数あることを示し、歴史を語るには、相対的な視点が必要なことを明らかにしているのだ。今も絶対的な「神」を信じる国家が歴史を紡ぎ、世界中で戦争が続いていることを考えると、この作品から学ぶことは、決して少なくないと思う。 >> 続きを読む
2018/12/13 by dreamer
黒柳徹子
楽しめて読めました^ ^面白いエピソードたくさんです。黒柳さんも意外とおっちょこちょいなところあるなと思いながら読みましたが、それらを明らかにしていないだけで、本当は私も相当やらかしているのでしょうね;;;;;;;でもそれはそれであるから、人生は面白いかも。そして、それらを笑い飛ばしながら語れるようになれば、それなりに成長したということかも。 >> 続きを読む
2017/10/05 by Moffy
塩野七生
古代の大国ローマの興隆期最大の危機が、読みやすい文章で描かれています。当時の人々が生き生きと描かれており、あっというまに物語に引き込まれてしまいます。名将ハンニバル率いるカルタゴ軍とローマの繰り広げる数々の戦闘、いまなお世界中の士官学校で勉強するという「カンネの会戦」、そしてハンニバルと対決するローマの英雄スキピオ。興奮すること間違いなしです。 >> 続きを読む
2012/05/16 by KATTS
石川 保昌小柳 次一
戦後70年ってことで、戦争関係の本を…。小柳氏は戦意高揚の為、昭和13年〜20年の敗戦まで旧帝国陸軍報道部の嘱託として、軍や兵士と最も長く行動を共にし、最も多くの写真を撮影した日本では数少ない従軍カメラマン。昭和20年8月15日の敗戦前後、戦争責任の証拠になりかねないなどの理由から命がけで撮った従軍カメラマンたちの写真はほとんど強制廃棄された。本書で紹介されているのは、小柳氏が秘かに手元に残していた戦争写真の一部で歩く兵隊の姿や、埋葬される兵士たち、束の間の休息や宴会模様、中国人捕虜と楽しげに話す日本兵や、花を摘む若い日本兵などあまり見た事のない、当時の国策に沿わなかったような写真が多い。終戦から50年がたち出版が決まった時に療養先から「従軍中の苦しかった撮影も、保存したプリントもやっとお役に立つことができます。カメラマンとして生きてもう悔いはありません」と著者の石川氏に電話している。戦後、従軍カメラマンということから“戦争協力者”とされ不遇の日々を送っていた小柳氏が亡くなる一年ほど前に出版された。狂気の時代の記録者になった小柳氏の写真に温かさはあるものの、見続けてきた小柳氏や戦争の犠牲になった人たちの悲しさだけが伝わってくる。戦争は残酷だ。 >> 続きを読む
2015/08/05 by achiko
出版年月 - 1993年8月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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