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1993年9月発行の書籍

人気の作品

      乱れからくり

      泡坂妻夫

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • 奇術師でもあった泡坂らしいトリック満載の本格ミステリ。
        複数の殺人事件が起こるのだが、その真相の中に一つ絵的にとても興味深いトリックがあった。
        頭の中でイメージした時に、とても印象深いのだ。
        島田荘司の傑作にも同じようなイメージを抱く。
        >> 続きを読む

        2018/12/28 by tygkun

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      行け!稲中卓球部

      古谷実

      講談社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.7
      いいね!
      • 行け!稲中卓球部 第1/全13巻

        稲豊中卓球部のアホ6人衆。

        なんと言うか笑いにキレがある。ナンセンスと言ってしまえばそれまでだが、この作品は笑えるナンセンスと言える。

        学生時代には読んでおらず、社会人になって同期に全巻セットで借りて読んだ作品。
        社会人になってまで読むような作品か?と言われれば全くそんな作品では無いが、やっぱり面白いは面白い。

        読書ログを初めてから、マンガも1巻ずつレビューという苦行(笑)を続けているが、辛いのがギャグマンガ。
        全体を通じたストーリーに相当する部分がないものは、なかなか書きづらい面がある。

        そこで稲中。
        正直言って、完全なギャグ(しかもお下品...)マンガなのだが、1巻に関しては不思議と書きやすい。

        印象的なキャラクターは、主役の6人ではなく、死んだ鶏の替りに学校で飼育されるホームレスのサンチェ。
        ただ問題は、マンガを読んでいれば面白くても、こうして文字で書いても全く伝わらないことだ...

        お下品承知かつ勢いで書くが「はみちんサーブ」なる必殺技を持つ前野。
        ネプチューンのホリケン的に、好きな人は好き、嫌いな人は嫌いとはっきり分かれるキャラクターだが、彼を受け入れられるか否かで、稲中に対する許容度が測れるように思う。

        この年齢になって再読しても、やっぱり爆笑する箇所はあるので、面白いのは面白いと思う。大切なので2回言いました(笑)
        >> 続きを読む

        2013/10/13 by ice

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      この国のかたち

      司馬遼太郎

      文藝春秋
      4.5
      いいね!
      • 「職人」の項。

        司馬さんと同じように、職人という言葉の響きはとてもいいと思う。
        日本のように職人を尊ぶ文化を保ち続けている国はめずらしいのだという。
        職人、特にその道を極めたとされる人に対する敬意は尋常ではないし、
        それが当たり前だと思っているのだが、他の文化からみればふしぎなかんじになるのだと。

        職人を尊ぶ国...理解されないなんて残念だなぁ。
        外国の職人が気の毒にすら思えてくる。
        >> 続きを読む

        2014/02/02 by freaks004

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      禁欲のススメ

      姫野カオルコ

      角川グループパブリッシング
      2.0
      いいね!
      • 五十音順にあ~んまで、それぞれの文字から始まるタイトルのエッセイ集。

        それぞれ一話完結の短いエッセイが、タイトルで50音順に並ぶ構成。

        つまらなくは無いが、分かり易く言えば、駄文の羅列。
        読み進めるのに全くストレスも疲れも無い替わりに得るものも何も無い。
        お金を払ってまで読む対象ではないと思う。

        この手の作品が期待する読者層は、どの辺りなのだろうか?

        正直、縁もゆかりも無い著者の日常には興味が無い。
        大した変化も無い自身の日常をただただ書き付けたような作品を世に出すのはやめて欲しい。

        変化の無い日常に興味を持ってもらえるのは、芸能人などの有名人のみ。
        読者が自身の日常に興味を持ってくれていると考えて、本作品のような書籍が世に出ているとしたら勘違いであり驕りとも思える。

        出版という形で世に送り出す作品で有るからには、せめて興味を引く話題が発生した時に限定していただきたいと思う。

        乱読が信念とは言え、このような作品に当たるとガックリ来る。
        >> 続きを読む

        2011/04/13 by ice

      • コメント 1件
    • 2人が本棚登録しています
      群衆心理

      桜井成夫 , Le BonGustave

      講談社
      カテゴリー:社会学
      4.0
      いいね!
      • 1895年にフランス人によって書かれた古い本です。
        ヒトラーも参考にしたとかしてないとか。
        現代社会ではインターネットやSNSによって誰でも簡単に群衆に飲み込まれてしまう環境にあり、本書を読んで群衆に関する知識を持っておいて損は無いと思います。

        本の内容ですが
        ①群衆の性質、特徴
        ②群衆の思想
        ③群衆の指導者の振る舞い
        ④様々な群衆の分類
        というテーマについて、フランス革命やナポレオンの時代の出来事を例に挙げながら解説しています。

        本書では愚かな群衆の一員になる事をどうしたら防げるかは明言されていません。
        もし書いてあっても100年以上前の本なので有用かは分かりませんが。
        答えは自分で考える必要があります。
        >> 続きを読む

        2019/03/13 by ひな♪

    • 4人が本棚登録しています
      毒薬の輪舞 (講談社文庫)

      泡坂 妻夫

      4.0
      いいね!

      • 泡坂妻夫の「毒薬の輪舞」は、警視庁刑事部特殊犯罪捜査課の最古参の警部、海方惣稔と、その部下の小湊進介が活躍するシリーズ2作目の作品。

        海方は、出臍の切除手術の後遺症で物忘れがひどくなり、意識が混濁するようになったとのふれこみで、同じ病院の精神病棟に入院していた。

        実は仕事を怠けるための方便だったのだが、奇妙な患者が跳梁跋扈する中、事件の気配を感じ取った海方は、小湊を呼んで事件の発生を防ごうとするが、それも虚しくとうとう被害者が出てしまった。

        この本は全編、これ毒づくしの趣向で、絶対に混入不可能な状況で苦味を感じさせる薬を混入する犯人の行為は、トリックスターのいたずらのような不気味さとおかしみに満ちており、それが精神病棟の患者の振る舞いとの相乗効果で、単なるドタバタとも違う、幻想的な雰囲気を醸し出している。

        入院患者の奇妙な振る舞いのすべてに伏線が仕込まれ、最終の70ページに渡って、海方が謎を解き明かしていく怒濤の解決編は、海方のとぼけた語りやあっけにとられる意外性とも相まって、まさに圧巻の一言に尽きる。

        >> 続きを読む

        2019/04/14 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      深川澪通り木戸番小屋 (講談社文庫)

      北原 亞以子

      4.0
      いいね!
      • まるで落語や浪曲の世界。

        火消の噺で、「火事息子」「帯久」の雰囲気だったり、

        花火の噺で、「両国夫婦花火」だったり

        出稼ぎの亭主を待つ噺、これは直接似てるのは無くてこじつけで「不動坊」。

        掏摸の噺で、「一文笛」。

        読んで、その世界に、どっぷり。


        木戸番夫婦の、笑兵衛とお捨、この仲の良さ。

        どんなに亭主が事件に首を突っ込もうと、優しさに周りの女性が惚れようと、
        一心に夫を信じる、女房の鑑・・・・・・羨ましい限りでおます。


        これも、シリーズもの、あまりの多さに図書館利用ですな。


        >> 続きを読む

        2015/09/11 by ごまめ

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      ちょっとしたものの言い方

      パキラハウス

      講談社
      カテゴリー:言語生活
      3.0
      いいね!
      •  日常やビジネスの場面における
        ちょっとした技あり的なものの言い方が載っているのかと思い
        購入してみましたが、
        期待とは少し違う本でした。
        そういう狙いで作ったようなのですが、
        残念ながら あまりそうした言葉は収録されていなかったのです。
         
         むしろ、場面ごとに
        手本となるような標準的な言い回しと
        その言葉に暗に含まれる意味、
        そこから導かれる
        使ってもいいケースといけないケースをまとめた
        小事典のような本です。
         
         個人的には少し思惑を外してしまいましたが
        参考になる部分はある本だと思います。
          
        >> 続きを読む

        2015/02/04 by kengo

    • 1人が本棚登録しています
      ユダヤ五〇〇〇年の知恵 聖典タルム-ド発想の秘密

      TokayerMarvin , 加瀬英明

      講談社
      カテゴリー:ユダヤ教
      5.0
      いいね!
      • 実はこの本、かれこれ二十年ぐらい前に、まだ十代の頃に買った。

        当時もぱらっと読んだ記憶はあって、最近ユダヤ関連の本を読んでたので、ふと思い出して本棚を探していたら出てきた。

        それで読み始めたら、とても面白かった。
        ほとんど覚えていないところを考えると、当時はあんまりきちんと読まなかったのか、あるいは読んでもまだよく理解できなかったのだろう。

        とても簡潔に、ユダヤの口伝説話集であるタルムードのいろんな物語が紹介されており、面白かった。

        また、それを敷衍した、ラビである著者自身の体験談も面白かった。

        ユダヤの知恵というのは、本当にすごいものだと思う。

        人間の心の動きの機微に触れる、すごい深い人間洞察と課題解決の知恵の宝庫だと思う。

        繰り返し読みたいし、また多くの人にオススメしたい。
        ただ、非常に簡潔にいろんな内容をぎゅっと一冊に濃縮して書かれているため、他の『ユダヤ賢者の教え』やユダヤ人の歴史やユダヤ教の本もある程度読んでから読むと、より理解がしやすい本かもしれない。

        ユダヤの知恵は本当にすごいが、

        「人生の最上の目的は、平和を愛し、平和を求め、平和をもたらすことだ。」

        というラビ・ヒレルの言葉が、その目的と意義を最も簡潔に伝えてくれているのだと思う。

        せっかく、ユダヤ五千年の知恵が、今はユダヤ人以外にも、この本やいろんな書籍で紹介されているので、せっせと学びたいものだと思う。
        >> 続きを読む

        2013/06/12 by atsushi

      • コメント 5件
    • 1人が本棚登録しています
      ことばの国 (集英社文庫)

      清水 義範

      3.0
      いいね!
      • 久しぶりに読んだ、清水義範さんの本。

        言葉のおもしろさにかけては、一番の書き手。
        読書を初めて、約50年。

        北杜夫にはじまり、安岡章太郎、吉行淳之介、團伊久磨、
        井上ひさし、なだいなだ、永六輔、岩城宏之、青木雨彦、出久根達郎、
        内田洋子、平松洋子、本上まなみ、そして穂村弘さんなど、
        エッセイを中心に読んできましたが、根底にあるのは、
        “言葉”のおもしろさ、“言葉”の難しさ、“言葉”の無限性。
        そんな“言葉”の限りない愉しさを・・・
        再び、フツフツと蘇えさしてくれるこの本。


        でも、決して作者の本を読破しようとは思いません。
        むしろ、思ってはいけないと思っています・・・・・

        ・・・・・・“言葉”好きには、毒ですもの。
        >> 続きを読む

        2019/09/11 by ごまめ

    • 1人が本棚登録しています
      まっすぐにいこう。 (1) (マーガレットコミックス (2141))

      きら

      5.0
      いいね!
      • 滅多に漫画を買い揃えない私がはまった漫画。
        結局は動物モノが好きなんだな。
        マメタロウといくちゃん。
        絵がかわいい(^-^)
        >> 続きを読む

        2015/02/13 by すもも

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています
      白土三平 野外手帳 (小学館ライブラリー―OUTDOOR EDITION)

      白土 三平

      4.0
      いいね!

      • 今回読了した「白土三平 野外手帳」の著者・白土三平とは、言うまでもなく、あの「忍者武芸帳」や「カムイ伝」などで有名なマンガ家だ。

        1960年代の後半、白土三平の作品は、当時「唯物史観マンガ」と呼ばれていて、人気を博していたそうだ。

        今から考えると、実におかしな訳の分からない呼び方をしていたものだと感じられますが、田を耕す者、山で狩りをする者、海で漁をする者、すなわち、自然と直接の関係を持った生産者たちの肉体を、白土三平はひたすら、史観など抜きで、描こうとしただけだと思う。

        彼らの春夏秋冬にわたる自然との接触ぶりを、マンガという表現媒体の中で仕立てようとしただけだと思うんですね。

        敢えて、白土三平の作品を言うとしたら、第一次産業への愛を貫いた「第一次産業マンガ」と呼ぶほうが、より彼の本質に近いような気がします。

        そう考えるならば、この稀代のマンガ家が、千葉県房総半島の漁村に移転までして、野外での労働や遊びにこだわっているのが得心できる。

        食を中心に房総での生活を書いた、このエッセイ集も、かつての白土マンガと真っ直ぐにつながるものだ。

        村の漁師たちと交わって暮らす。海に潜ってハブ(クロアナゴ)を捕る。
        ぶつ切りにしてゆで、酢味噌で食べる。
        ナマダ(ウツボ)は茶漬けやカバ焼きにする。
        エラコ(ケヤリ虫の仲間)の塩ゆでは酒の肴として最高だ-------。

        こうして、自然との格闘の日々はすっかり板につき、例えフグの毒に当たって寝込んでも、「呼吸が三分の一ほど不足する感じで、少し呼吸を早目にしてやるとつじつまが合う」と書くほどの泰然自若ぶりなのだ。

        >> 続きを読む

        2018/07/21 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      パプリカ

      筒井康隆

      中央公論新社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 読みやすかったが、最後にかけて夢の中の自由すぎる発想がすこし分かりにくかった。
        かし満足出来る作品である。
        >> 続きを読む

        2017/01/11 by rojin

    • 1人が本棚登録しています
      メビウスの時の刻

      船戸与一

      中央公論新社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • おれ、わたし、わし、あたし、おいらの5つの一人称で進むお話し。
        それぞれがメビウスのように繋がって、一つの事実に気づいた時には、わっ!って驚いた。こうやって書いてる間にも、2つ伏線があって繋がってた事に気づく。もっと他にも伏線があるんだろうけど、読み直しはしないかな。
        暴力色はかなり薄いミステリーでした。
        驚いた分、船戸与一小説の中では読後感サッパリでした
        >> 続きを読む

        2013/01/29 by bob

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      ハイブリッド・チャイルド (ハヤカワ文庫JA)

      大原 まり子

      3.0
      いいね!
      •  最近のSFは分かり易すぎる。もっとハードに。もっと幻想的に。not only サイエンス、but also センスオブワンダーだ、という御仁にこそ。

         様々な生物にメタモルフォーゼしながら軍から逃亡を続け、その途中で少女・ヨナの記憶と人格を受け継いだ不死身の最終兵器・サンプルB群。
        「時間的奇形」により800年の時間に偏在し、軍の神官として運命を動かす「かれ」。
        「天翔る天の医師団」によって延命装置に繋がれ、六本足の白い棺となったシバ。
         精神に異常をきたしながらも惑星を管理する仕事を続け、死んだ人々の人格を取り込んでいく人工知能・ミラグロス。
         都市の水路の奥深くに引きこもり、愛とは何かについて考え続ける機械帝国の敗残兵・アディ。

         あらゆる点で異なる登場人物たちが繰り広げる物語は、まさに人間の想像力の結晶という感じ。

         読後、他の方がこの作品をどう読んだのか気になってネットサーフィンしていると、AKIRAや旧エヴァなどを例に挙げた面白い感想を見ました。言われてみれば、機械と肉体が融合したモチーフや神々しさのあるグロテスクさ、ラストで全てが愛に包まれる展開はそれぞれの作品を思い起こさせます。私も面白い着眼ができるようになりたいものです。

         そう言う意味では、本作は様々な目の付け方が出来る作品です。いくつかのジブリ作品のように、色々な見方や解釈の余地があり、かつそれらをしなかったとしても楽しめる作品かと思います。AKIRA、エヴァ、ジブリと考えると、映像化すると非常に映えそうです。

         最後にアディの言葉を。
        「だが愛は奇跡ではない、なぜなら現にそこここで起こりうるからだ」(p.325)
         幻想の世界に浸ることのできる上質な文学作品です。
        >> 続きを読む

        2015/05/24 by あさ・くら

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています
      決断のとき 歴史にみる男の岐路

      杉本苑子

      文藝春秋
      カテゴリー:日本
      3.0
      いいね!
      • 8代将軍 足利義政(京都の銀閣寺を建てたことで有名)の記載内容が面白い。世評では、「ダメ将軍」とのレッテルを貼られている感がある
        室町幕府8代将軍足利義政(京都の銀閣寺を建てたことで有名)は、3代将軍義満(室町幕府が最も強かった時の将軍で、金閣寺を建てたことで有名)の時のように「幕府の権威」を取り戻そうと、彼なりの想い(ビジョン)から、諸々のことを実行するのだが、結局幕府自体の力の衰えはどうしようもない状態で、義政の思いどおりにならなかった様々ないきさつが面白い。
        また、本能寺の変で主君織田信長を討った明智光秀の決断に至るまでのいきさつ等も面白い。信長の方針によって人質となっていた母が殺されたこと等の「恨み」が、主殺しの理由とか世評では諸々言われているが、無防備な(少ない兵しかいない)本能寺に主君が滞在している今が
        自分(光秀)が「天下をとる」絶好のチャンスで「今しかない」…という気持ちが最大の理由であったと筆者は言っている。
        とき(土岐)は今あめが下しる五月かな。と光秀が「決意」を詠んだと
        されるうた(連歌)も印象深いものがあります。
        >> 続きを読む

        2011/07/20 by toshi

    • 2人が本棚登録しています
      div,grad,rot,… (物理数学One Point)

      大槻 義彦

      2.0
      いいね!
      • 内容は薄いです。もし一度でも電磁気学を熱心に勉強した方なら、この本で学べることはほぼないと思います。 >> 続きを読む

        2015/12/27 by bungo

    • 1人が本棚登録しています
      約束の土地―現代アメリカの希望と挫折

      ニコラス レマン

      3.0
      いいね!
      •  アメリカ合衆国は人種のサラダボール。

         中学校の地理の時間にそう習ったことを、なぜか今でも覚えている。かつては坩堝(るつぼ)と呼ばれていたけれど、その後はサラダボールと呼ぶようになったらしい。

         アメリカにはたくさんの人種や出身国の人たちがいて、その人たちは団子のように混ざらず、サラダのように個別に存在しているから、という説明がされたような気がする。

         本書は、アフリカ系アメリカ人の主に20世紀の歴史を綴ったものである。

         知ってのとおり、アメリカ合衆国の多くのアフリカ系アメリカ人(黒人)は、奴隷として大陸に「輸入」されてきた。彼らの多くは南部の綿花畑で労働を強制される。綿花栽培は、人手がかかり、その労働も過酷だから、そのために奴隷が必要だったのだ。

         そして南北戦争(1861-65)の最中、リンカーンの有名な奴隷解放宣言により、彼らは奴隷から自由身分へとなった。、しかしながら奴隷としてまともな教育も受けられなかったアフリカ系の人々は、その後も多くは綿花畑での過酷な労働に従事することを余儀なくされたのだった。

         20世紀になり、農業が機械化されていくとアフリカ系アメリカ人の労働力は必要となくなり、その多くは高賃金を求め、また根強い差別から逃れるように北部の工業地帯へと移動を開始した。

         その目的地の一つがシカゴである。しかし、アフリカ系アメリカ人に対する差別は根強く、その権利獲得には長い時間と努力が必要であった。

         “I have a Doream”の演説で有名なキング牧師(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)もそんな差別と闘った者の一人である。

         一口にアメリカの歴史と言っても、それは実に多面的である。

         コロンブスのアメリカ大陸「発見」からボストン茶会事件、独立革命、西部開拓などは、いわゆるヨーロッパ系アメリカ人の歴史と言ってもいいだろう。

         インデアンと呼ばれたネイティブアメリカンの人たちから見れば、住む場所を奪われ、病気や銃によって弾圧された苦難の歴史である。

         日系人は、第二次大戦中に収容所に入れられた。

         そしてアフリカ系アメリカ人にしても、また別の歴史と記憶を持っている。

         そう考えるとアメリカ合衆国は多面的である。様々な人種が混在しているゆえに、国家としての一つの歴史を共有するのはかなり難しい。それでも一つの国家として存在しているので、その存在は内戦で悩む国々にとっては奇跡的に見えるかもしれない。

         本書はそんな多面的なアメリカの一つの側面を描いた作品である。そしてその物語は今も続いている。

         2014年8月9日、アメリカ中西部ミズーリ州で非武装の黒人少年を、警察官が射殺した事件では、大規模なデモに発展し、大きな混乱をもたらした。事件の背景には、アフリカ系住民に対する差別があったことは否めないだろう。

         彼らの「物語」に終わりはまだ来ない。
        >> 続きを読む

        2014/09/22 by ぽんぽん

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      十字軍 ヨーロッパとイスラム対立の原点

      TateGeorges , 松田廸子 , 南条郁子

      創元社
      3.0
      いいね!
      • 十字軍に関する入門書として購入しました。
        全体的に紙面の都合などありちょっと駆け足的な説明だった気もするが、十字軍の歴史がコンパクトで分かりやすく書かれている。
        視点もフランク、ビザンチン、イスラムと多角的な視点で捉えており好感が持てる。
        興味深かったのが、私はこれまでイスラム側の英雄サラディンがその天才的能力により単独でイスラム側の統合を成し遂げたとばかり思っていたが、実は彼の能力による面もあるがサンギー、ヌール・ウッディーンと進められてきたイスラム統合の事業を引き継ぐ事によりそれを達成することが可能となった事実である。
        また、あのアラビアのロレンスが十字軍時代の城塞について論文を書いていたことも興味深かった。本書巻末の資料編にはその論から抜粋されたスケッチなどが掲載されている。
        少し残念だったのが、十字軍時代の考古学的資料が少ないのか各ページに掲載されている写真が写本等からの絵ばかりであった事である。
        >> 続きを読む

        2018/01/07 by くにやん

    • 1人が本棚登録しています
      ロボットの魂 (創元SF文庫)

      バリントン・J. ベイリー

      4.0
      いいね!
      • やっぱりバリントン・J・ベイリーは凄いな。この「ロボットの魂」を再読しての正直な感想です。

        このSF小説は、限りなく人間に近く作られたロボットの冒険譚。ピカレスク・ロマンだ。

        冒険また冒険の息をつかせぬ物語でありながら、何やら深刻めかした哲学的な設問まで盛り込んでいる。曰く、存在とは何か、意識とは何か。

        ハイデッガーによって問われ、人間哲学の中心に座った命題だ。放浪と冒険、そして存在の難問と共に、このロボットの主人公は存在するのです。

        暗闇の中で存在として活性化された時、すでに意識はあった。年老いたロボット製造者の息子として存在となったのです。未存在からかえったのです。そして、彼の最初の行為は、両親を捨てることだった。どんな回路を埋め込まれたのか。

        彼の悩みは、虚構のセルフイメージに帰着したのだった。つまり、自分は存在するのか、もし存在するとしたら、それは最終的に意識に還元されるのか。自分が在るという意識とは何なのか。

        難問を抱えながらも、知的には卓越したロボットだった。戦火にあけくれる小王国にあって軍師として活躍する。人間以上の才覚と野望と闘争心を持ったロボット。

        小王国をクーデターで乗っ取って皇帝の位についたり、宇宙船の修理の奴隷労働に売り飛ばされたり、最初は持っていなかった性的能力を植えつけられたり、窮地に陥って各パーツに解体されてしまったり、とにかくこの物語は、波乱万丈だ。

        大活劇の進行の中に、巧妙に織り込まれた"存在哲学"。これが、まさしくバリントン・J・ベイリーの真骨頂だと思う。
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        2017/11/09 by dreamer

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出版年月 - 1993年9月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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