こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


1994年2月発行の書籍

人気の作品

      深夜特急

      沢木耕太郎

      新潮社
      カテゴリー:地理、地誌、紀行
      3.9
      いいね! makoto chao sunflower tadahiko tomato halujack ice momomeiai
      • だいぶ前から読みたいと思ってた本。図書館で借りてきた。33年前に書かれたものだけど現在進行形じゃないかと思うほど新鮮で生々しいので暇さえあれば読んでいた。
        主人公がマカオで博打に嵌っていく様子が詳細に模写されているのだけどギャンブル依存症ってこういう過程で成っていくんだなと納得できた。
        すばらしいくだりだよな。
        >> 続きを読む

        2019/01/15 by キトー戦士

    • 他20人がレビュー登録、 68人が本棚登録しています
      夏の庭 The friends

      湯本香樹実

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 夏の間に読みたいと思っていた本。
        一人暮らしの老人の死を観察する為に、その老人の家に集まっていた少年三人組。
        結局観察はバレてしまうのですが、そこから老人と少年達との不思議な交流が始まります。
        裏表紙のあらすじから、
        あ、このじいさん死ぬな。と、思っていましたが、予想通りの展開でした。泣けはしなかったです。
        「この世界には隠れているもの、見えないものがいっぱいあるんだろう」
        「死んでもいいと思える何かをいつかぼくはできるのだろうか」
        「もの」「何か」等、抽象的な表現がやや多くありましたが、言わんとしている事はなんとなくわかりました。

        話は、おじいさんと少年達との交流が始まった所から面白くなります。
        死んだらどうなるのかわからない、逃れられない恐怖、そして、幾ばくかの好奇心から、少年三人はある一人暮らしのおじいさんの死を観察します。
        しばらく、本人に気づかれないよう観察をするのですが、主人公の少年木山がおじいさんの顔をなかなか覚える事が出来ず、
        「家に帰って思い出そうとしても、輪郭のぼやけた人形みたいで、はっきりと思い出す事が出来ない」と書かれている所から、あの世に片足を突っ込んでいる、おじいさんの死が近づいているのを予感させました。
        観察に気づいたおじいさんは、少年達との出会いによって、健康的な生活に変化していきます。きちんと洗濯をしたり、ゴミを出したり、料理を作ったり……いきいきとしてきます。
        そして、この三人の少年は、それぞれ家庭内にわだかまりを持っているのですが、おじいさんとの出会いを通して、それも変化していきます。
        主人公の木山は父母間が不仲で母親はアルコールに逃げている、デブの山下は母親から父親の魚屋を継ぐ事に対して良く思っていない、眼鏡の河辺は母親と二人暮らしで父親に別の女性が出来て離婚、腹違いの子供もいる状況です。
        しかし、おじいさんから家事や考え方を学んだ三人は、それによって家庭内の風向きを変えるのです。
        木山の母親は、元々お酒を飲まずに自分の子供と向き合って接してきたのですが、今ではアルコールに逃げてしまって子供を見ずにどこかぼんやりしています。しかし、おじいさんから教わった梨を剥く様子を母親に見せ、その梨を食べさせた時、母親の目が覚めるのです。子供の成長に気づいた驚きと後悔と共に。
        この作品のテーマは「死」ですが、それとは逆の「生」もまた、描かれています。
        生きていく中で、自分にとっての人生の目標を見つけたり、死んだ人の考えが心の中に残り続けて、それが今後の人生において様々な場面で影響していったりする事もこの作品で表現されています。
        主人公達がサッカー合宿でのバスの移動中、なぜか窓に老人の姿が映ります。
        バスの窓に映っていた見知らぬ老人、ですがどこか見覚えのある姿は、観察していたおじいさんだったのではないでしょうか。もしかしたら、おじいさんはその時に亡くなっていて、会いに来ていたのかもしれません。
        主人公が昔飼っていた犬のチロが死んだ時は亡骸が段ボールの中に入れられて、ちゃんと見る事が出来ず、色々な事を見過ごしてしまった不安に襲われていましたが、おじいさんが死に、火葬場で骨になった時は決して目をそらさず見届けていました。
        最初は死んだ人やあの世がなんとなく怖いものだと思っていた三人でしたが、これを機に怖さはなくなり、成長します。
        成長していく者と死にゆく者、切ないお話でした。
        >> 続きを読む

        2018/08/30 by May

      • コメント 3件
    • 他10人がレビュー登録、 49人が本棚登録しています
      今夜、すべてのバ-で

      中島らも

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 読了日は適当。これは、私が中2の時、父の晩酌を横から頂戴した翌日、母から渡されたものだ。ガンガンする頭で読み始めた。骨身に染みるような(未成年者のくせに)飲酒の快楽と地獄。酒飲みのバイブルにしてもいいと思う。
        ところで、中島らもさんの最後って、中島らもさんらしかった。びっくりした。
        >> 続きを読む

        2016/05/20 by kido

    • 他3人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      深夜特急 - 2 マレー半島・シンガポール 新潮文庫

      沢木耕太郎

      新潮社
      カテゴリー:地理、地誌、紀行
      4.0
      いいね! momomeiai
      • 軽く読んでみようと思い手に取ると、大当たりだった。実体験をもとに作り上げられているとの評判を聞いてさらにワクワクした。ちょうど東南アジアに留学の予定があったため、バックパックでアジアを回ってみる良いきっかけを得た。それもただ飛行機で移動するのでなく、この人がしたようにバスで移動したり、鉄道を利用するなどとても貴重な経験をすることができたきっかけの本となった。これからも大切にしたい。 >> 続きを読む

        2017/06/21 by よしりよ

    • 他3人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      南イタリア周遊記 (岩波文庫)

      G. ギッシング

      5.0
      いいね! Moffy
      • ちょっと旅に出たい、でも時間もお金も……という時にはこういう本がぴったり:)
        更に普段行かないカフェなどで読むと、より旅気分に浸れます。

        分からない地名などがどんどん出てきますが、気にせずに読み進み、作者と共にあの時代の南イタリアの旅に。
        ちょっぴりタイムスリップ感もあり。
        一回だけでは旅の全貌を捉えきれないので、「ふらり旅」じゃ足りない方は、2、3回読み直すことをオススメします。
        >> 続きを読む

        2018/02/12 by Moffy

    • 1人が本棚登録しています
      やがて哀しき外国語

      村上春樹

      講談社
      4.0
      いいね!
      • 初!村上春樹さん・・と言いたいところですが、
        20年位前に、
        一度だけ図書館で借りてきたことがあるのです。
        タイトルすら覚えていないんですが・・・(^_^;)

        当時、何とも翻訳本のような文体になじめず、読み切れないままに挫折した苦い記憶とともに、「村上春樹」という単語が頭の片隅に追いやられてました。

        普段読んでいる文章にない、ものすごい違和感は、この本を読んで、
        彼が外国文学を読んでいたこと、手本とする日本人作家がいなかったこと、などの事柄が書かれていることにより、ああ~!と納得しました。
        それで翻訳本のような、不思議な文体なのでしょうね。


        今回は、読み手の私の読解力も、20年分レベルアップしているので、
        むしろ読みやすい文章と思え、しかも心地よさすら感じて、
        あっという間に、読了。

        村上さんが感じた、
        アメリカ、プリンストンの空気をそのまま味わえる臨場感と、
        後日付記という、あとがきというか、
        追記文がまた、面白さを加えて、永遠に、このエッセイを読んでいたい!そんな気持ちにさせられました。





        >> 続きを読む

        2016/08/03 by きりちょん

      • コメント 3件
    • 3人が本棚登録しています
      昔話の深層 ユング心理学とグリム童話

      河合隼雄

      講談社
      カテゴリー:伝説、民話(昔話)
      2.0
      いいね!
      • ううむなんだろうね…
        空想、想像、連想の上に論理を展開しているようにしか思えず。
        には合わなかった、という事なのでしょう。
        ユングが合わないのか河合隼雄が合わないのか、フォンフランツが合わないのかは知らない。
        >> 続きを読む

        2016/04/08 by maru

      • コメント 2件
    • 3人が本棚登録しています
      行け!稲中卓球部

      古谷実

      講談社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.5
      いいね!
      • 行け!稲中卓球部 第2/全13巻

        男ばかりの卓球部に女性マネージャが加入。

        やはり男性ばかりの所帯に女性が加入することで劇的に変わる何かが有ることを痛感した。

        卓球部のマネージャに就任することになった岩下京子。

        なかなかイキの良い不良なので、女の子女の子したところは無いものの、美人と言うことも有って、女性に免疫のない男子の巣窟に放り込むことによる化学反応が面白い。

        お色気的な特典でヤル気をアップさせるところなどは、そんなバカな!と思いつつも、中学校だったら、自分も絶対最強に力を発揮しただろうなぁと思ってしまう...(遠い目

        幼馴染だった部長の竹田と岩下。
        お互い素直になれないながらもデートに漕ぎ着ける。

        それを備考する前野と井沢。
        デパートの屋上に有るパンダの乗り物に乗ったまま後を尾ける彼ら。

        おそらく何の説明もなく繰り出された彼らを示す言葉「死ね死ね団」

        なぜかこの「死ね死ね団というネーミングが好きで、いまだに時々使ってしまう(笑)
        >> 続きを読む

        2013/10/23 by ice

      • コメント 5件
    • 2人が本棚登録しています
      五稜郭残党伝

      佐々木譲

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!

      • 佐々木譲のゴキゲンな痛快小説、「五稜郭残党伝」を一気に読了。

        著者・佐々木譲「初の時代小説」というキャッチコピーに、つい油断してしまったが、読み始めてからしばらくしてハッと気付いたんですね。

        これは"西部劇小説"ではないのかと。
        それも、佐々木譲版「明日に向って撃て!」なのだと。

        1869年(明治二年)五月十六日、箱館・五稜郭で榎本武揚率いる幕府軍の命運が、尽きようとしていたその夜、歩兵隊指図役の蘇武源次郎は、降伏投降を潔しとせず、脱走を決意する。

        彼は、榎本軍随一の狙撃の腕を誇る名木野勇作と共に、奥蝦夷を目指し、海岸線を北上していく。
        彼らは、途中で知り合ったアイヌのシルンケと共に蝦夷地を渡り歩いていくが、その過程で各地を支配する和人たちがアイヌを虐げ、暴利を貪っている実態を目の当たりにする。

        一方、その頃、箱館では戊辰戦争で数々の戦功を上げた仮軍監・隅倉兵馬が討伐隊を組み、執拗な追跡を開始していた-------。

        ストーリー自体は、実にストレートなんですね。
        新たな随行者であるアイヌとの出会い、悪行を重ねる街の支配者たちとの小競り合い、切支丹を初めとする様々な入植者たちとの交流、そして討伐隊との追いつ追われつの死闘と、実にオーソドックスな追跡活劇になっている。

        冒険小説好きの私にとってこの展開は、それだけでも応えられないところですが、著者の佐々木譲は、さらに主人公の二人に、アイヌを率いて新政府軍を打ち破った後、蝦夷地のアイヌに一斉蜂起を呼び掛けるという"自主独立の夢"を託すことによって、はみ出し者=異人の再生ドラマをも織り込んでいくんですね。

        その意味では、蘇武と名木野は、従来の佐々木譲の小説に登場したヒーローの原型と言うべきなのかもしれません。

        この作品でも、例によって、著者はこの二人の熱い戦いぶりをクールな筆致で描いていくんですが、ラストに至っては、まさに目頭が熱くなるほどの盛り上がりを見せてくれるんですね。

        >> 続きを読む

        2018/05/06 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています
      銃撃の森

      ParkerRobert B , 菊池光

      早川書房
      5.0
      いいね!
      • ハードボイルド小説が無性に読みたくなり、本棚の奥から、かつて貪るように読んでいたロバート・B・パーカーの小説の中から「銃撃の森」を取り出して、再度じっくりと読んで見ました。

        ロバート・B・パーカーの"ハードボイルド小説"は、「約束の地」「初秋」「ユダの山羊」などの、私立探偵のスペンサーシリーズが特に好きなのですが、この「銃撃の森」はスペンサーシリーズ以外で最も好きな小説で、とにかくこういう小説に食指をそそられるのです。

        ストーリー自体はすこぶる単純です。マイケル・バー=ゾウハーの「パンドラ抹殺文書」のようにプロットが複雑に絡み合い、錯綜し、そして二転三転するというようなことは何もないのです。

        主人公の作家が殺人現場を目撃し、証言台に立とうとしますが脅迫されて屈服します。そこまでが30ページ。残りの240ページはその屈服から彼がいかに這い上がるか、というだけのストーリーです。

        まったくストレートな構成なのですが、これが唸らされるんですね。この小説は、実は私が考えるハードボイルド小説の理想形に限りなく近いものなのです。

        まず主人公ニューマンは体を鍛え、いささか自分でもそのタフネスさに自信を持っているという設定です。しかし、ギャングの脅迫にあった時、彼は恐怖心にとらえられます。この"タフな男"というのは、幻想にすぎなかったのです。その体の震えが、まず行間からヒリヒリする感覚で伝わってきます。

        このプロローグから前半は、親友のクリスの手を借りてギャングたちとの闘いを決意し、下調べをする描写に費やされます。その間もニューマンは絶えず脅えているという状況が続いて行き、むき出しの暴力と向き合った時の恐怖が克明に描かれていくのです。

        そして、ニューマンが意を決してすがるのは、このまま屈辱に埋もれたままで男は生きていけない、という一点なのです。この前半部が生き生きと活写されているので、後半部の活劇が俄然、生きてくるのです。

        この後半部は湖に浮かぶ樹々におおわれた島での戦闘シーンが描写されていきますが、これがいいんですね。

        ニューマンは最後まで震え続けていて、突然、戦士として雄々しく立ち上がるわけではありません。逃げ道はなく、殺らなければ殺られるのです。闘わざるを得なくなるという筋立てなのです。

        後は、具体的な戦闘の中で彼がどう動くか、その反応が読みどころとなって、ロバート・B・パーカーは我々読者をグイグイと有無を言わさず引っ張っていきます。そして最後にはサバイバル描写まで出て来て、もう言うことはない小説なのです。

        再読して思ったことは、この小説の鍵をニューマンの妻ジャネットに求めることも出来るだろうということです。もし、仮にそう読むならば、これはまた違った色彩を持ち始めるような気もしてきます。

        例えば、この小説を、ニューマンとジャネットの愛の物語と読めないこともないのですが、やはり私はこの小説を"男の復権の物語"として読むほうがピタッとくるような気がします。

        ロバート・B・パーカーは、現代という複雑で巨大な迷路の中で、めくらましにあっている男=ヒーローを、原始的な森に引きずり出して来たのだと思うのです。
        >> 続きを読む

        2016/08/26 by dreamer

      • コメント 6件
    • 2人が本棚登録しています
      青い湖水に黄色い筏

      マイケル ドリス

      5.0
      いいね!
      • 本棚の整理をしていて、ふと手にした1冊の本。マイケル・ドリスの「青い湖水に黄色い筏」。さして期待せずに読み始めると、これがぐいぐいと瞬く間に、この小説の世界に引きずりこまれ、一気に読了してしまいました。

        いやあ、うまい、うまい。とにかく、うまい。舌を巻くうまさとは、こういうことを言うのだろうと思う。

        まず第一章は、祖母の家から抜け出して、あてのない旅に出る15歳の少女レイヨーナの視点から語られます。自分勝手で不仲な両親のこと、頑固な祖母のこと、旅先で知り合う善良な夫婦のこと。少女の眼に映る様々なことが、群を抜く描写力とともに描かれます。

        彼女の旅は、自己発見の旅だ。父親が黒人で、母親がインディアン。レイヨーナは、都会にも保留地にも居場所がなく、自分が何者であるのかを知りたいのだ。

        この作者のうまいところは、彼女の心象風景をあまり描かないことだろう。そのために、キャンプ場のインストラクターの女の子を遠くから見る場面に、ハッとしてしまう。

        もし、その子にかかわることが出来たら「どんな言いわけをする必要も、嘘をつく必要」もなくなるのにと、レイヨーナが思う場面だ。このさりげない一行に、思わず立ち止まる。周囲の無理解、差別、疎外から、超然としているようで、その幼い心は、やはり深く傷ついていたのだということが、インストラクターの女の子を見るレイヨーナの視線から立ち昇ってくるんですね。

        ここまでは、大変優れた少女小説の趣がありますが、続く第二章は、一転して母親クリスティーンの視点に変化するのです。今度は母親の側から、どうしてこういう生活を選んだのかという話になります。

        すると、不思議なことに、少女の眼には自分勝手な母親以外の何ものでもないと見えたのに、彼女には彼女の人生と考えと屈折があり、彼女なりに必死に真面目に生きてきたことがわかるのです。

        第一章と同じ場面まであるので、同じ現実を娘と母親が異なって見ていることもわかるのです。これが、実に絶妙な効果を上げているんですね。その後、裏切られることになる夫への真剣な恋、娘への真っ直ぐな愛。クリスティーンの感情がどんどん伝わってくるんですね。

        この第二章だけでも独特の"いい小説"ではあるけれど、第一章から読んでくると娘のドラマと渾然一体となり、とりたてて波瀾万丈というわけでもないのに、人生の深い意味について思いを馳せてしまうんですね。

        ところがこの「青い湖水に黄色い筏」という小説は、まだ終わらないんですね。最後の第三章が待っているのです。ここで、ようやく祖母の視点になります。

        物分かりの悪い頑固な祖母アイダ。彼女は、娘と孫をどう見ているか、という章になると、なんと驚くべき真実が明らかになり、事態はより錯綜してくるのです。

        この小説は、このように構成が優れているのですが、ただそれだけではなく、家に帰ってこない父親を探しに幼いレイヨーナが、街に出て行く場面や、興奮に顔を輝かせてダンスをする場面。そういう場面のひとつひとつが、きらきらと輝いているんですね。

        実は、これが何よりもいいんですね。ヒロインの三代記としては、異色の傑作だと思います。


        >> 続きを読む

        2018/01/27 by dreamer

      • コメント 1件
    • 2人が本棚登録しています
      大地の子

      山崎豊子

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 戦争孤児として生き別れになった妹との再会!
        一心の受けた迫害や労働改造所での生活も地獄でしたが、あつ子の痛ましさも言葉に出来ません。
        嫁の来手のない男の嫁として買われ、望まぬ結婚、牛馬の様な生活。
        一心との病院での幾ばくかの時間がどれだけ彼女の救いになったことか。この時間がなければ、あつ子は本当に惨めすぎます。そして、一心がどれだけ自分を責めたのか。察するに余りあります。
        一心の義父である陸徳志と、あつ子の義母の対比が際立ちます。同じ兄妹、同じ戦争孤児なのに・・・。このどちらも現実だったのでしょう。
        戦争孤児に対し政府が何もしようとしなかった件があります。おそらく、私たちみんなが無関心だったのでしょうね。終戦とともに過去の様々なことから目をそむけ、蓋をしてしまったのだと思います。最近のニュースであらためて感じました。
        >> 続きを読む

        2013/05/28 by Hiropika

      • コメント 3件
    • 4人が本棚登録しています
      大地の子

      山崎豊子

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 妹あつ子の死、日本の父との出会いと葛藤、再度の内蒙古送りと、次々と苦難が襲う最終巻。
        それでも負けない一心に本当に頭が下がります。
        そして、ようやく苦節七年の宝華製鉄の完工。高炉初出銑が二国間のわだかまりを押し流す歓喜の情景が胸を打ちます。
        あっという間に残り頁が少なくなりどう終わるのかと思ったところで一心の口から流れる「大地の子…」。
        あれだけ苦しめられた黄土の大地。
        ふと感じる日本人の血と、祖国への思慕。
        それら全てを昇華させた終幕は素晴らしい!!
        続編があればと心から思いました。
        >> 続きを読む

        2013/06/13 by Hiropika

      • コメント 3件
    • 5人が本棚登録しています
      ルルドの群集

      J.K.ユイスマンス

      5.0
      いいね!
      •  作者はあの退廃的な「さかしま」を書いたユイスマンスです。
         ちなみに、ユイスマンスは、私の大好きな作家でもあります。
         彼は、「さかしま」を発表した後、「出発」などの作品を公表し、敬虔なキリスト教徒になったのだと自らは言っていますが……。
         当時は、あの「さかしま」の作家がキリスト教徒になったって?ということで、その回心は懐疑的な目で見られもしたようです(あるいはユイスマンス一流の皮肉とも)。

         さて、「ルルドの泉」とは、フランスとスペイン国境との近く、ピレネー山脈のふもとにあるルルドという村にある泉です。
         かつて一人の少女がこの泉で聖母マリアを現認し、その泉の水は人びとの病気を快癒させたと言われています。
         この泉の逸話はキリスト教世界では定番のお話らしく、日本にある教会などにも、このルルドの泉を模した物が設けられていたりもしますよ。

         「ルルドの泉」には奇跡を求めて今でも多くの巡礼が訪れています。
         中には、瀕死の状態で体中から膿を流しながら不潔な泉に放り込まれる病人。
         その多くは治癒するはずもなく失意のまま帰っていきますが、中には治癒したのだと主張する者達もいます。

         ルルドには医者団が常駐しており、治癒したと主張する者達が本当に治ったのかどうか診断したりしてもいます。
         さて、敬虔なクリスチャンになったというユイスマンスは、この泉の奇跡についてどのように考えているのでしょうか?
        様々な例を引き合いに出しながら果たしてその様な奇跡はあり得るのかを合理的な立場から検証しようとしているのが本書です。

         キリスト教徒であれば無条件に信じ込んでしまいそうな話なのに、それをある意味では懐疑的な目で見ようとするユイスマンスは、本当に回心したのか?と問われるのかもしれません。
        >> 続きを読む

        2019/03/13 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      腐爛の華 スヒーダムの聖女リドヴィナ

      田辺貞之助 , HuysmansJoris Karl

      国書刊行会
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 【腐蝕していく肉体~聖女リドヴィナ】
         リドヴィナは、1380年、オランダの小村であるスヒーダムの貧家に生まれた少女です。
         美しい少女で、15歳までは健康に育ったのですが、15歳の時、友人に誘われて半ば無理矢理スケートに連れ出された時、友人が衝突してきて肋骨を骨折し、以後、この世にあるありとあらゆる病苦を一心に背負ったとされています。

        彼女は、他者の不品行の償いや、病苦を自らの身体に転化することによって人びとを救済したとされ、列聖されました。
         本書は、そんな聖女リドヴィナの生涯を、様々な文献を元にしてまとめあげた作品です。

         リドヴィナは、その病苦のために、身体が腐敗し、腹は割けて内臓が飛び出し、血の涙を流し、手足は萎え、皮膚はただれ、健康な身体の部分などどこにもない程醜く崩れ落ちました。
         ですが、その身体は薫香を放っていたとされています。
         そして、臨終を迎えた後、病苦にさいなまれる前の美しい身体に戻ったとのことです。

         ご承知のとおり、作者のユイスマンスは、あのディレッタント文学の粋とも言われる『さかしま』を書き、その中ではデカダンスの極みに達したわけですが、その後、キリスト教に回心したとされています。

         あの『さかしま』を書いたユイスマンスが?
         と、人びとを驚かせ、それはまやかしではないのかとも言われたそうですが、当のユイスマンスは、回心に至る道を、その苦悩を『出発』などの作品に赤裸々に描いています。

         そんな回心後のユイスマンスにより書かれたのが本書です。
         そこには聖女リドヴィナが、己の肉体に科せられた余りの苦難をどう乗り越え、神の下に到達したのかが描かれていきます。

         この作品は、ユイスマンスの『ルルドの群集』と同列に並ぶ作品でしょう。
         『ルルドの群集』では、信仰の力によりあらゆる病を癒すとされるルルドの泉のこと、そこに群がる群集の様を描き出しています。

         本書は、伝記的に、リドヴィナが生きた53年の生涯を、その奇蹟と共に実直に描いています。
         そこには、信仰を強いるような態度はなく、淡々とリドヴィナの生涯を追っていきます。

         私は、信仰を持たないものですが、ユイスマンスが好きなことから本書も手にとってみました。
         信仰を持たない者も、一つの奇蹟物語として、素直に読まれれば良いのではないでしょうか。
         ユイスマンスの静かな筆に、時に感動を覚えたことも事実です。
        >> 続きを読む

        2020/01/10 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      1分間顧客サ-ビス 熱狂的ファンをつくる3つの秘訣

      BlanchardKenneth H. , BowlesSheldon M. , 門田美鈴

      ダイヤモンド社
      カテゴリー:商業経営、商店
      5.0
      いいね!
      • 一時期、ビジネス書しか読めない時期がありました。
        今は、逆にビジネス書が読めない時期(笑)に突入していますが
        そんな中でもこの本は今でも時折読み返す本の一つです。

        ストーリー型のビジネス書に分類されます。

        ある種の困難に陥っている主人公がメンター(師)と出逢い
        問題を解決していく、王道のストーリーなのですが
        個人的に好きなのは
        途中で登場するタクシー運転手デニスです。

        彼がどのように感じ、行動に移したのか
        単純ですが、(考え込みすぎて)動けない時に読むと
        まず、一つずつやることの重要性がわかります。

        “「グチをこぼすのをやめることだ!
        競争相手と自分は別だと認めたほうがいい。

        アヒルでなく鷲になるんだ。

        アヒルはガーガー鳴いて

        不平をもらす。

        鷲はその群れの上を

        高く舞い上がる」

        「私はショックを受けました」デニスは言った。

        「彼はまさに私のことを言ってたんです。
        私は不平ばかり言ってました。ガーガー、ガーガー、ガーガーと!
        私は態度を改め、鷲になろうと決心しました。
        ほかのタクシーと運転手に目をやりました。
        車は汚いし、運転手は無愛想で、お客は不愉快になっています。
        それを変えようと思いました」

        (中略)

        「私はすぐにそうしよう、楽しくしようと思いました。
        一つずつ変えていきました。
        車をきれいにし、電話をつけ、しゃれた名刺を印刷して。
        それに、お客様を第一にしようと決めたんです」”

        シンプルですが、本当の意味で仕事に対する“心構え”を
        その時々に確認するために、とても有用な本です。
        >> 続きを読む

        2014/02/20 by きみやす

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      イルカの島

      小野田和子 , アーサー・C・クラーク

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 綺麗な話なので、心が疲れているときにまた読み返したくなるかもしれない。イルカってどれだけ賢い生き物なのだろう。 >> 続きを読む

        2017/12/17 by aki

    • 1人が本棚登録しています
      ダ-ビ-スタリオン必勝攻略法

      ファイティングスタジオ

      双葉社
      カテゴリー:室内娯楽
      5.0
      いいね!
      • ゲームと言えば、ドラクエ、三国志、ダビスタが御三家。

        それぞれ攻略本を買ったけど、ダビスタが一番やり込み要素が強かった気がする。

        ナスルーラとか、インブリードとか、予後不良とか。

        競馬を知らなかった自分には初めて聞く言葉ばかりだったけど、対戦で勝ちたいばっかりに、かなり血統の掛け合わせには燃えた。

        「おたべ」とか「たき」とかが騎乗してくれると嬉しかったっけなぁ。
        >> 続きを読む

        2011/11/11 by yutaka

    • 1人が本棚登録しています
      悪夢の八月 (扶桑社ミステリー)

      ティモシー ウィリアムズ

      4.0
      いいね!

      • 今回読了した作品は、イギリスの作家ティモシー・ウィリアムズの「悪夢の八月」。

        舞台は北イタリアの小都市で、ローマほどではないにせよ、やはり夏は暑い。
        この作品は「自転車に乗った警視」などと同じシリーズで、内務警察のトロッテイ警視が主人公。

        アパートの一室で発見された女性の死体は、人相が判然としないくらい損傷がひどかった。
        現場に急行したトロッテイ警視は、部屋の主の名前を聞いて愕然とする。
        めったに会う機会はないものの、以前にある事件を通じて知り合い、密かに好意を寄せていた相手だった。

        この事件を別の警視に担当させた署長の意向に反し、彼は腹心の部下を駆使しつつ独自に捜査を進めていく。
        ところが、間もなく意外な事実が判明し、局面が一変する------。

        この作品の最大の見どころは、やはり主人公のトロッティ警視のキャラクターだろうと思う。
        彼は何度も引退を考え、口に出しながら、62歳を迎えてなお燃え尽きない。

        仕事に熱心なあまり、長年連れそった妻に去られるなど私生活では不遇だが、それが人物造型に厚みを増していると思う。

        一方、当初の方針が根本から間違っていたのをはじめ、捜査手順に不備がないとはいえない。
        暑さのせいで、微妙なところに目が届かないのだろうか?
        あるいは酷な見方をするなら、イギリス人である作者が、イタリア社会の鷹揚さを軽く揶揄しているとも言えるだろう。

        >> 続きを読む

        2018/04/09 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      シンプル・プラン

      近藤純夫 , SmithScott

      扶桑社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 誰でも、ある日思いがけない大金を手に入れたらと夢想することがあるだろう。でも、それが現実に起こったら自分の毎日はどう変わっていくのだろう。良い方向に変わっていくのか、それとも思いがけない方向に坂道を転げ落ちるように変わって行くのか。静かで怖い恐怖に包まれる毎日。人間のエゴが悪い連鎖を生み出していく。ラストシーンで暗澹たる気持ちになるミステリーです。 >> 続きを読む

        2013/07/28 by moonIihght

      • コメント 5件
    • 2人が本棚登録しています

出版年月 - 1994年2月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本

B.B. con game (ガッシュ文庫)