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真保裕一
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真保裕一の第37回江戸川乱歩賞受賞作「連鎖」を読了。真保裕一のデビュー作ですね。主人公は、厚生省の元食品衛生監視員、羽川。チェルノブイリ原発事故の放射能に、汚染されていることが判明し、輸入差し止めになった食品の、国内での横流しという一件を調査することになる。この一件は、マスコミに取り上げられ、社会問題になったが、最初にこの記事を書いたのは、羽川の大学時代の友人、竹脇だった。竹脇は、まだ事件を調査中であったにも関わらず、車ごと海に飛び込み、意識不明の重態に陥ってしまう。警察は、状況から見て自殺と断定するが、羽川には、それは信じられなかった。なぜなら、その数日前、羽川は、竹脇の妻・枝里子と関係を持っていたからだ。だから、それを苦にしての自殺だとは、考えたくはなかったのだ。羽川、竹脇、枝里子の他にも、たくさんの人物が登場する。タイトルの「連鎖」の通り、一つの事件が、様々な人々に不幸を連鎖させていくことになる。汚染食品を使っていると告発された、外食チェーンの社長が自殺をする。その中学生の娘が、父親を殺した犯人に復讐しようとする。輸入品にかけられた、保険に関する疑いも浮上し、保険会社も動き出すことに。羽川や竹脇に協力している、輸入食品検査センターの篠田、羽川の上司の高木など、主要な登場人物がどんどん増えていく。こんなに登場人物を増やし、こんなに風呂敷を広げて、どう終息させるのだろうと、心配しましたが、綺麗にまとめていましたね。だが、やはり、終盤は、急ぎ過ぎた感じはしましたが、意外な方向からまとめていたので、ラストに失望感はありませんでした。それにしても、エピソードがやたらと多くて、ページ配分にやはり無理を感じること、登場人物が多く、誰にも感情移入できなかったこと。それから、ハードボイルドでミステリーで、社会派で人情派という、デビュー作らしく、なんとも気負いの感じられる、色んな意味で詰め込み過ぎの感じがしましたね。 >> 続きを読む
2021/03/31 by dreamer
有栖川有栖
登場人物は基本的に学生のみ。4グループから成る内訳は、主人公である「有栖川有栖」を含む京都私大の英都大学・推理小説研究会の男性4人、東京の雄林大学のハイキング同好会の男性4人と女性3人、同じく雄林大学の別グループで法学部三回生の男性3人、神戸の神南学院短期大学の英文科の女性3人の計17人となっている。夏休みに浅間山系に出掛けた前述の大学生たちは、偶然の出会いから4グループ合同でのキャンプ生活を楽しむことになる。合宿中のある朝、突然、女子学生の一人が姿をくらました後、火山噴火によって16人の学生たちが山中に閉じ込められる。混乱のさなか、参加者のうちの一人が刺殺体で発見される。この辺りで全体の1/3弱。クローズド・サークル、主要な登場人物が学生、ミステリ研究会、学生の合宿が事件の舞台、そして作者のデビュー作であることなど、最近読んだ綾辻行人『十角館の殺人』と共通する要素が多かった。ただしトリックについては、『十角館』のような開けてビックリの仕掛けはなく、あくまでストレートな展開だった。大学生ばかりの数多い登場人物については、犯人を当てにくくする以外の必然性があったか疑わしく思えた。学生たちのノリやキャラクターには三十年以上前の雰囲気はあるが、個々の登場人物に魅力を感じられなかったのは、没入できなかった理由のひとつだ。総じて、あくまでミステリ愛好家に向けた作品に読めた。はじめて読む著名な推理作家のデビュー作とあって、読書前の時点でハードルが高くなっていたのかもしれない。他には、私が犯人を推理しながらミステリを読まないことも評価に影響している可能性がある。犯人当てを楽しまれる方に向けた情報として、終盤のある時点で「真犯人を特定するに十分なデータが出揃った」として、作者による「読者への挑戦」の1ページがしたためられている。いきなり犯人が明かされる展開にはならないので安心して読み進めることができる。個人的に気に入ったのはエピローグにおける、この旅のなかで起こった主人公の恋愛感情の行方だった。年頃の平凡な青年の異性への想いには、懐かしみと親近感を覚えた。 >> 続きを読む
2021/03/08 by ikawaArise
小野不由美
十二国記第5巻。領民を失う経験をした青年が、新天地で新たな国民を得る。優柔不断でいつもフラフラとしている王。そこからのふり幅の大きさにグッと来た。いつも10冊以上を同時並行で読むため、ある程度仕方がない面は有るのだが、ときどき、やたらめったら読み終わるのに時間がかかる作品ができてしまう。そういう作品は、途中まで読んでしばらーく放置。続きから読む場合に、その前のことを忘れてしまっているため、10ページくらい巻き戻った位置から読み始めることになる。そして流れを思い出して来た頃に、駅に到着して中断。そしてしばらーく間が空くと言う運の無さ?みたいなものも持っている。この作品も、なんやかんやで10ヶ月くらいかけて読み終えに至ったのだが、当然最初の頃の記憶などほとんど無いという何とも冴えない読了感を味わっている。それでも断片的(笑)な記憶を辿ると...十二国記の世界は、我々の住む世界と、全く別の世界が遮断されていながら、わずかに限られた行き来の手段が有る。そんな設定になっている。今回は、押し寄せる村上水軍を前に、領民を安全に逃がすために、身体を張りつつも敗色濃厚な弱小勢力の跡継ぎが、別の世界からやって来ていた麒麟(いわゆるキリンとは全く違う存在)に、「国が」欲しいか?と尋ねられ、「欲しい」と答えたことで、異世界の中の1国の王になると言うお話。普段がグダグダなのに、要所はバシっと締める辺り、遊び人の金さんと遠山の金さんを見るようで痛快だった。正直入り込み度はそんなに高くは無いのだが、読んでいる人の多いシリーズだし、最後まで読んでみようと思っている。 >> 続きを読む
2013/11/09 by ice
藤原正彦
イギリスのリアルを知った気がした外から見る私たちには決して見えないイギリスの中だけのルールや価値観彼らの考え方を垣間見れた面白かったしイギリスのそういった伝統時代遅れだとしてもイギリスだから許される点もあり、そんな独自の価値観をこれからも続けて言ってほしい私もイギリスが好き >> 続きを読む
2016/12/10 by snoopo
森下弓子 , ロバート・アンスン・ハインライン
月うさぎさんにおすすめしてもらってから、読みかけでずっと積んでいましたが、やっと読み終わりました。主人公のロレンゾが、なんとも言えずよかったです。SFでなくてもよかったのではという感じですが、おもしろかったです。 >> 続きを読む
2015/01/24 by りんりん
百々佑利子 , BashBarbara
一本のバオバブが、どれほど多くのいのちとつながり、養っているか。瞠目させられた。とても良い絵本だった。 >> 続きを読む
2013/10/12 by atsushi
岸本重陳
経済にまつわる100のキーワードについて、すべて「2ページ」で説明するという、なかなかの苦行をやってのけている本です。この本の目的について著者は「ふつうの言葉を使って、根本から理解する」述べていますが、確かに言葉づかいは比較的簡単なものの、2ページという自ら設定した制約のせいで、説明不足になっている部分が多々見受けられます。「なんとなくわかったような気にはなったけど、説明しろって言われたらできないよね」という状態になってしまう。無理に2ページにおさめるのではなくて、もっとキーワードを減らしてでも、もっと丁寧な説明をしてほしかった。「たとえばコレとコレあるでしょ。この場合〜」という具合に、イメージしやすい例をもっと活用すれば、良い本になれたのにな、ともったいない気分になりました。 >> 続きを読む
2014/03/12 by ふれいぶ
杉山亮 , 中川大輔
3台の赤い車が面白かった。
2016/12/27 by Na-chan
竹本健治
怖くないホラー。そんな印象の作品。時々ホラー作品が読みたくなるため、実はかなり買いだめしている。この日もホラーが読みたい日だったらしく完全にホラーの思考回路で臨んだのがいけなかったのかもしれない。印象としてはホラーではなくSF作品。外国映画で近未来モノ(Matrixなど)の世界観に近いように感じた。近未来SFは苦手な部類のため、そこに分類されていれば手に取らなかった可能性は高いが、ホラーに分類されていたのが評価に影響している観は否めない。とはいえ、それなりの爽快感は確実に有るので評価の分かれる作品だと思う。 >> 続きを読む
2011/01/22 by ice
島田荘司
「御手洗潔」シリーズの、長編小説です。ひょんなことから、人喰いの木の存在を知った、御手洗潔と石岡君が、この謎に挑むのですが。最後まで、人喰いの木が恐ろしく思え、推理小説なんだけれど、どこかホラー小説のような感じもして、面白かったです。推理していく内に、展開がどんどん広がり、なかなかの長編小説でしたが、読み応えがありました。 >> 続きを読む
2019/07/16 by ゆずの
鳴海章
第37回江戸川乱歩賞受賞作鳴海章のデビュー作M航空ニューヨーク行きのジャンボジェットはエンジントラブルにより墜落寸前にまで追い込まれた。ピンチを間一髪切り抜けたが、貨物に乗せられたアルミ合金を急激に腐食させる細菌が漏れ出し、飛行困難な致命的なダメージを受ける。なんとか日本へ引き返し切り抜けようとするが、細菌めぐる思惑から米軍は旅客機撃墜に動き、自衛隊は何も知らぬまま緊急発進する。陰謀渦巻く中、謎のジェット機「ナイトダンサー」も人知れず発進していた。「ナイトダンサー」とは何者なのか?国家某略航空冒険小説。ミステリー要素はありません。米国大統領、首相までが登場するスケールの大きな物語で、冷戦の名残が色濃く残る時代を感じる設定ですが、スピード感も有り面白いです。専門用語はさらりと読み流してやれば無問題。ジャンボジェットが墜落の危機を切り抜けるハラハラのスリル。ナイトダンサーと自衛隊機の息もつかせぬドッグファイトが見どころです。僕は新谷かおるの「エリア88」「ファントム無頼」が大好きだったので航空物結構好きな事に今回気がつきました。今回の主力はF14トムキャットとF15イーグルですが、僕の好きなファントムも重要な役割を果たします。ちなみにマクロスの戦闘機ロボットバルキリーのモデルはトムキャットです。戦闘ヘリ、アパッチも出てきます。アパッチという映画で中学生位の時に流行りました。どうでも良い情報でした。 >> 続きを読む
2015/05/10 by ありんこ
中島らも
大阪を中心とした関西圏の庶民文化を綴るエッセイ集。変わった看板の写真や標準語と大阪弁の対応表など、B級テイストで描く関西分析。「関西」をキーワードとする言葉に、関西圏、大阪、関西人などが有るが、それぞれに対するイメージは人それぞれで有るものの、全国的に「関西」に対して、有る程度の共通イメージを持っていると言える。この共通的なイメージと関西に在住する人自身が持つイメージとのギャップの上に成り立っている作品で有る。正直、得るものの少ない作品では有るが、気楽に読める娯楽として消費する気持ちで臨めば案外楽しめるかもしれない。アジアの喧騒に近い異国情緒を味わうことが出来ると噂の大阪に更に興味を持った。 >> 続きを読む
2011/04/12 by ice
MartiniSteven Paul , 白石朗
私のご贔屓の法廷ミステリーの第一人者のジョン・グリシャムが絶賛した法廷ミステリーという事で、以前から気になっていたスティーヴ・マルティニの「重要証人」をようやく本棚の奥から引っ張り出してきて、読んでみました。この作品は猟奇的な連続殺人事件の謎と犯人探しと、その犯罪の立証をめぐって展開する、実によく出来た法廷ミステリーの傑作で、やはりジョン・グリシャムが絶賛するだけの事はあるなというのが、正直な感想です。とにかく、この小説は読み始めると、途中でやめられないのです。主人公を初めとするキャラクターの造形はいいし、プロットの展開も素晴らしいし、おまけにサスペンスも十分で、申し分ありません。しかし、私はこの法廷ミステリーとしての面白さももちろん良かったのですが、それ以上に惹かれたのは、実はこの主人公の"父親としての哀しみ"みたいなものに、妙にシンパシーを感じ、引きずり込まれたのです。どうも、この小説の主人公のポールには他人事ではない親近感を感じてしまうのです。それは、スティーヴ・マルティニの「重要証人」の主人公ポールが置かれた状況のことなのです----。彼は刑事弁護士なのですが、幼馴染の地区検事が病に倒れ、しばらくの間、その代行を頼まれます。そうなると、深夜でも早朝でも休みなしに呼び出される事になります。しかし、それはポールにとっては仕事なのだから仕方がない事なのです。しかも志願したわけでもなく、友情からなのです。それなのに、彼の妻はヒステリックに怒り出すから、これでは彼の立場もありません。娘のパレエ公演を観に行く約束をしていても、重要証拠が発見されたという連絡が来たからには、駆けつけなければならないのです。それなのに、この妻は、「お父さんは来ないの?」と尋ねる娘に向かって皮肉を込めて、「お父さんはね、もっと大事なご用事があるんですって」と言うのです。この主人公は妻に対して何も言わないから、彼に代わって、それはないだろ。遊びに行くわけじゃないんだ。彼だって娘を愛しているんだよ。強く強く愛しているんだよ。しかし仕事なんだ。となれば、どうしても出かけて行かねばならない。なぜ、その父親の哀しみをわかってあげないの?----と言ってあげたくなる程のシンパシーを感じてしまいます。この主人公のポールは本当に大変なのです。判事は法律を知らないし、刑事はやる気がないし、弁護人は証人をでっち上げて偽証させるし、まともな人間は誰一人いないという状況なのです。そんな中で、ほんの少数の仲間と共に犯人を捜し、その立証のために彼は奮闘していくのです。そして、主人公に対して復讐を誓うワルが次々に出て来るし、犠牲者の遺族からの圧力はかかるし、情報は漏れるし、更に出世の事しか頭になく、そりために捜査の邪魔をする者までいたりして、もう大変なのです。それで、くたくたになって帰宅すると、ヒステリックな妻が待っているので、ほんとに彼の立場がないのです----。このように、主人公を取り巻く状況は全く絶望的で、これは法廷ミステリーなので最後にはうまく事件が解決していくんだろうなと思いながらも、彼の男としての哀しみに付き合っていると、読んでるこちらの方もどんどんストレスが溜まってきて嫌だなという気持ちになり、こうなると早く終わりを見届けたくて、ページをめくるスピードがどんどん速くなり、一気に読み終えたという次第です。 >> 続きを読む
2016/09/22 by dreamer
神尾葉子
花より男子7巻。花沢類とつくしが砂浜で抱き合っているところに現れた道明寺。道明寺は怒り狂い、つくしは無視され、花沢類はF4脱退させられることに!?好きな人と一緒にいるはずなのに、相手も優しいけど、緊張するし、どこかかみ合わない気がする、どうしてかしっくりこないという感じわかるなぁ、切ないなぁ。お互いに好きだったらうまくとも限らないもんね。この巻では道明寺のお姉ちゃんも登場。サバサバしてて強くてカッコイイ。 >> 続きを読む
2014/08/15 by sunflower
青山剛昌
吾輩の生誕日である。自害する気はまだない。幾つになったか見当がつかぬ。薄暗いジメジメとした時間がコクコクと過ぎて行ったことは記憶にある。吾輩はここで初めて五十路へ向かう自分というものを見た。 いや~、一年でいちばん嫌な日がやって来ました。また一つ馬齢を重ねるようです。ようやく、源氏の帖数の、前後をひっくり返した年齢になっちゃった。テへっ。源氏の帖数まで生きていられるかしら、そしてそれまで、楽しく読書できてるかなあ~。あああー、やっぱりなんか怖い、これだから誕生日はつらいぜ。 今日は、本の話ではない話をしてもいいですか? いいよね、今日くらい付き合ってよ。『名探偵コナン』の好きな女性キャラについて語ります。本日、やっと映画を見に行くんです。誰と行くかは聞かないでね、友だちが少ないことを察して下さい。ちなみに、GWの予定らしい予定はこれ一つ。高校生か、ぼくら。 えーと、第五十位は、いやいや、第五位は『結婚前夜の密室事件』のお嬢様。「子宝に恵まれますように」の台詞が印象的な社長令嬢です。この話は、蘭と和葉が打ち解けるエピソードもあり、とても面白い。 第四位、『そして人魚はいなくなった』の犯人の巫女さん。ぼくが代わりに罪を被りますw 第三位は遠山和葉。レギュラーキャラではいちばん好き。こういう明るい子がいいね。関西弁もわりあい好きかも。ただ、ぼくは平次くんに勝てる要素がありませんねんw 第二位は、『呪いの仮面は冷たく笑う』、『黒いイカロスの翼』に出てくる、本当にそっくりの双子の姉妹。この二つはアニメオリジナルだから、原作しか知らない人は分かりません。ちょっと不気味な感じがいいんだ。男の夢だね。 第一位は、映画『名探偵コナン 世紀末の魔術師』の香坂夏美さん「バルシェ・ニクカッタベカ」のお姉さんです。いや~、コナンはほとんど見ていますが、この人が圧倒的にいいね。それに、パティシエ。破産するまでケーキ買いに行きますw でもね、四位の巫女さんがいちばん好きかも。だって神社だもん。だけど、やっぱり香坂さんがナンバーワン! (今日は自己満足的な感じでスミマセン。どうかお許し下さい) >> 続きを読む
2015/05/01 by 素頓狂
東野圭吾
1990年の吉川英治文学新人賞候補になった『鳥人計画』は、私が好きな『ブルータスの心臓』『宿命』『分身』『天空の蜂』に先駆けた1989年に刊行された。ここに挙げたいくつかの作品は、いずれも当時注目された社会問題をテーマに据えるという意欲的な作品であると共に、そのような問題に翻弄される登場人物の心理的な葛藤をも描き出していところが魅力的なのだが、鳥人計画は、人間ドラマというよりも、古典的な推理小説的を思わせる謎解き的な側面が強く、残念ながら好みではなかった。 この物語は、複数の登場人物の三人称視点で描かれているのだが、それぞれの登場人物を克明に描いているとは言いにくく、どの登場人物にも共感できなかった。そのため、登場人物に捜査の手が及ぶ場面でも、一緒に追込まれるようなスリルを味わう事が出来なかった。 しかしながら、この『鳥人計画』による助走が、後の東野圭吾さんの大ジャンに繋がったことは間違いない。 >> 続きを読む
2014/11/02 by カカポ
司馬遼太郎
司馬氏のエッセーですが、「カセット人現」の中に記載された「感受性が豊かであれば世界と社会ほど面白いものは無い。」今日一日の新聞だけでも無数の劇場を提供してくれている…」という言葉が非常に印象に残ります。 また、「たかが身長のために…」の中の小村寿太郎(明治の外務大臣で吉村昭の名著『ポーツマスの旗』の主人公)や高田 嘉兵衛(司馬氏の「菜の花の沖」の主人公で江戸時代の豪商)についての記載等も非常に面白いです。 >> 続きを読む
2011/04/25 by toshi
伊藤典夫 , SmithCordwainer
猫好きな作者が贈る、SFで猫を文字通り擬人化したのに、猫耳がないという斬新な、人類補完機構シリーズの短編集。ノーストトリアでも触れられている「人類の再発見」に至るための物語が主で、ノーストトリアで名前だけしかでなかった人物についても描かれていたりする。逆に、こちらから読むと、これらの物語がどのように実を結んだのかが、ノーストトリアで読めることに。よく読めば、意外と哲学的な問いのようなものもあり、人類補完機構が人類を幸せにした世界での、人類の衰退に対して、現代の私たちの文化を語るときに、気が狂った人種を見るが如く語られるのが面白い。車一つとっても年間5万人は死ぬのに、それが戦争ではないなんてっ!人類補完機構シリーズは、西暦の1900年から16000年まで、かなり長い歴史を描いている作品のため、歴史を追うという意味での特有の面白みがあるものの、やっぱり初めて読む分には「鼠と竜のゲーム」「ノーストトリア」がおすすめ。未完のシリーズのため、ここまで全部読んでしまうと、最後の「落日の補完機構」が読めないことがとても悔やまれます。 >> 続きを読む
2015/07/03 by ミコト・T
ジェイン・スタントン ヒッチコック
「目は嘘をつく」というタイトル、ヒッチコックという名がつく著者名、騙し絵画家というヒロインの職業と謎めいた絵。この本を手に取った瞬間から、何かをやってくれそうなゾクゾクするような予感を感じてしまいましたが、読み終えてみて、その期待を裏切らなかったと思う傑作でした。著者が巧妙に仕組んだ罠が待ち受ける結末まで、私は息を抜く暇もなく、一気に読ませられ、ミステリの醍醐味を心ゆくまで味わうことができました。とにかく、ごく少数の登場人物は、いずれも風変わりでかつ魅力的であり、作品全体に満ちている上品な、それでいてどこかゴシック風な雰囲気は、私を一気にこの作品のミステリアスな作品世界に、引きずりこんでしまうんですね。まるで背筋が寒くなるような結末まで、よどみなく私を誘うさまは、とてもじゃないが、これがデビュー作とはとうてい思えないほどの見事さでした。 >> 続きを読む
2018/02/09 by dreamer
石ノ森章太郎
吹き荒ぶ風が良く似合う 9人の戦鬼と人の言うだが我々は愛のため 戦い忘れた人のため涙で渡る血の大河 夢見て走る死の荒野サイボーグ戦士、誰が為に戦う弔いの鐘が良く似合う 地獄の使者と人の言うだが我々は愛のため 戦い忘れた人のため闇追い払う時の鐘 明日の夜明けを告げる鐘サイボーグ戦士、誰が為に戦う >> 続きを読む
2011/08/24 by RZ350
出版年月 - 1994年6月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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