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Wingfield, R. D , 芹沢恵
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フロスト警部シリーズ第1弾。クリスマス迫る田舎町デントンで起こる複数の事件。少女の誘拐や、銀行への泥棒。それらがフロストと、相棒になってしまうロンドンから来たクライヴの苦難の始まり。もう今じゃ珍しくもない複数の事件が並行して進んでいくモジュラージャック型事件。ここにワーカーホリックで、人の神経などお構いなしの捜査をするフロスト警部の独善が冴えわたる。1作目から既にキャラが完成しているし、常に頭を抱える上司などのやり取りも笑えて楽しい。後のシリーズも読んでいきたい。 >> 続きを読む
2022/03/12 by オーウェン
Homerus , 松平千秋
【明日は帰ろうオデッセイ!】 トロイア戦争終結後、オデュッセイア一行は故郷のイタケを目指していましたが、その途中で、禁じられていたにもかかわらず、陽の神ヒュペリオンの家畜を部下が屠ってしまったため、大神ゼウスの怒りを買い、船もろとも沈められてしまい、部下も全部失って大海に投じられてしまいました。 そんなオデュッセイアを救ったのはカリュプソの島に住む仙女カリュプソでした。 カリュプソは、オデュッセイアの世話をし、自分の夫になるように口説き、永遠の命を与えようと申し出るのでしたが、オデュッセイアはこれに応じません。 しかし、申し出を断ったからといって島を出ることを許されることはありませんでした。 というのも、オデュッセイアは、帰国途中にキュクロプスに捕まった際、知略を巡らせてキュクロプスの目を潰していたため、キュクロプスの父でもあるポセイドンの怒りを買っていたからでした。 故郷のイタケでは、いつまで経っても帰って来ないオデュッセイアはとっくに死んだものと考えられており、オデュッセイアの屋敷にはその妻であるペネロペイアに求婚する男たちが詰めかけ、勝手に屋敷の財産を食い荒らしていたのです。 トロイア戦争の頃からオデュッセイアに目をかけていたアテナは、これはあまりにも酷いと考え、大神ゼウスにオデュッセイアの帰郷を願い出ました。 ゼウスはこれを許し、カリュプソにオデュッセイアの帰郷を許すように命じたのです。 ゼウスの命とあってはこれに背くことはできず、カリュプソもオデュッセイアを開放することとし、オデュッセイアに筏(というよりは小舟と考えた方が良いそうです)を作らせ、酒や食料を積み込んでやって島から出してやったのです。 一路故郷を目指すオデュッセイアですが、ポセイドンはそう簡単に許しはしませんでした。 オデュッセイアはパイエケス人が住む島を目指していたのですが、その目前で大波が襲い、オデュッセイアは海に投げ出されてしまいます。 しかし、女神イノに助けられ、なんとかパイエケス人が住む島に泳ぎ着いたのです。 さて、この島に住んでいたのはパイエケス人の王やその娘のナウシカアでした。 オデュッセイアは、王の助力を得て船でイタケに送ってもらう約束を取り付けたのです。 王の宴席で、これまでの冒険を語ることを求められたオデュッセイアは、トロイア戦争終結後、どうしてカリュプソに捕らわれることになったのかの一部始終を語り聞かせます。 ここで冒頭に書いたヒュペリオンの家畜の話やキュクロプスの目を潰した話、または、大変有名なセイレンの話などが語られるのです。 上巻はこの辺りまでなのですが、私はオデュッセイアの物語を、子供の頃、ジュヴナイルで愛読していました。 繰り返し読んでいたのですが、キュクロプスやセイレンの話は、オデュッセイアがイタケに帰る途中(ですからパイエケスの島からイタケに向かう途中)に起きた事だとばかり思い込んでいました。 そうではなくて、カリュプソに捕らえられる前の話だったんですね。 あるいは、私が読んだ本ではその辺りを簡略化して、すべて帰郷途中の話としてまとめて書かれていたのかもしれませんが。 おっと、リードに書いたことにも触れておきましょうか。 昔、ラジオの深夜放送で、『明日は帰ろうオデッセイ』というラジオドラマが放送されていたんです。 これはギャグ・ストーリー(加えてちょっとHなの)でしたが、オデッセイがしょーもない事件に巻き込まれてなかなか故郷に帰れない(帰らない)というお馬鹿な話だったと記憶しています。 もういい加減帰ろうよ~みたいなストーリーだった記憶です。 今回、本作を読んで突然思い出したのでタイトルを使わせていただきました(笑)。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2021/12/22 by ef177
松本人志
読了日は適当。私は松本人志さんを愛している。まああれだけの天才だから、幼少期から多少なりと観てきてはいたのだけど。最近になって再燃した。ぎりぎり引き絞られた矢のような、笑にストイックな様子に今更気がついた。で、本を執筆しているというから、もうなにもかもたまらず、買ってしまった。好きな人の本を読むことは、好きな人の心臓を食べることだ。読んで、もっとぎらぎらしてシビアでクレイジーな松本さんを知った。私は凡人であることを心から喜んだ。天才の業を易々と手に入れて、ただ笑っていられるのだから。その反面、天才の苦悩はいかばかりか。 >> 続きを読む
2016/05/20 by kido
萩尾望都
面白かった。 なんとも不思議なSF作品。 やや難解なのだけれど、この感覚、なんとなくわかるような気がするのはなぜなのだろう。 無限ループを脱するために、かすかな箇所に時空のひずみをつくって修正すること。 と同時に、やっぱりそれは何か、犠牲や人柱のようなものを必要とするかもしれないこと。 テーマややけにリアルなことである。 またそのうち読み直してみたい。 >> 続きを読む
2017/01/14 by atsushi
【おっと、もう屋敷に着いてしまうのか】 下巻に入り、いよいよオデュッセイアが故郷のイタケに向かう航海が始まったかと思うと、あっという間に(しかもオデュッセイアが眠っているうちに)イタケに着いてしまいました。 この航海でもう一波乱があるのかと思っていたら、ここでは何も起きず、あっさりと到着なんですねぇ。 う~む、子供の頃読んだ物語の記憶と全く違っていました。 さて、ようやく自分の屋敷に戻ったオデュッセイアですが、女神アテナの力により、みずぼらしい老人の姿に変装して正体を隠します。 屋敷にはオデュッセイアの妻であるペネロペイアの求婚者たちが連日詰めかけ、屋敷の財産を食いつぶしているのですから、早いところ正体を明かして求婚者たちを追い払えばいいものをと思うのですが、そうはしないのですね。 この辺りは読んでいてちょっとまだるっこしく感じるところです。 オデュッセイアは、しばらく後、ようやく息子のテレマコスに対してだけ正体を明かし、求婚者たちを葬り去る相談を始めるのですが、相変わらず妻のペネロペイアには教えないんですよね。 ペネロペイアに対しては、復讐が全部終わってからようやく真実を告げるのですが、連日求婚者たちに詰め寄られて参っているのですから、オデュッセイアが帰って来たことを早く教えてやっても良さそうなものなのに言わないんですね~。 「いいのか?それで」って思っちゃいますよ。 教えてあげなさいよ~! 復讐の方法は、ペネロペイアが求婚者たちに対して、オデュッセイアの弓を引いて的を射てみよともちかけ、もし的を射抜けばその者の妻になると申し出させるというものです。 オデュッセイアの弓は強弓ですので、誰も引くことができないのですよ。 そして、そこへ正体を現したオデュッセイアが登場して弓を引き、求婚者たちを射殺していくという算段なんです。 回りくどい! ということで、下巻はオデュッセイアによる求婚者たちに対する復讐がもっぱら描かれるということになります。 物語としては、上巻の苦難の航海の方がバラエティにも富んでいて面白いんですよね。 どうも下巻に入ると復讐劇一本になってしまって、話の面白さという点では上巻に譲るように思いました。読了時間メーター□□ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK) >> 続きを読む
2021/12/23 by ef177
長谷川町子
テレビのサザエさんとはかなり違った印象。愉快で楽しい♪というよりも昭和の日本の生活が垣間見れる。読んでいて、サザエさんが生きているのは戦後の日本なのだと気付いてハッとしたりする。そういった意味で子供向けというより、大人が読んでもとても意味あるマンガ。「タラちゃん」とか「マスオさん」と聞けば誰でもあのタラちゃん、マスオさんを思い浮かべるように、サザエさんは世代を問わず愛されている作品。マンガを読むとただ楽しいだけじゃない何かがあって、これだけ多くの人に愛されているのはそれなりに理由があるんだなーということが納得できる。 >> 続きを読む
2012/04/04 by sunflower
鎌田敏夫
ホラー短編集。6編。女性心理に着目したホラー短編6編を収める。鎌田氏作品の例に漏れず、軽快なテンポで目を閉じると場面が浮かんで来そうなほどビジュアルとして訴えて来る作品。サラッと読める上、それぞれのシチュエーションで心を揺さぶる局面は必ず盛り込まれているため短編集としての完成度は高いと感じる。ただし怖さの度合いは強くないので、ホラーとしては物足りない面は有るかもしれない。 >> 続きを読む
2011/03/05 by ice
杉田望
超ワンマン体質の一流企業で繰り広げられる覇権争い。人事権を駆使して独裁体制を固める会長と管理職とのやりとり。迎合して上位の役職を得る者。叛旗を翻して日陰で終わる者と生き方が問われる。親会社と子会社。提携先の外国籍企業など細かい設定がリアル度を高めており上級管理職それぞれの生き方は考えさせられるものが有った。研究所の反乱分子を無力化するために、籍は研究所に置いたままで営業させるなどはジョブローテーションという名目で実施されてしまえば会社員としては拒否権など無く、現実的に起こりうる脅威と感じた。結末までリアルを追求しているため爽快感に欠ける面も有るが自身のアイデンティティと組織内での立場を再考するきっかけになる良書だと思う。 >> 続きを読む
2011/01/24 by ice
小野不由美
十二国記4作目下巻。(4作目だが、中2作は外伝だったらしいことが最近発覚)十二国記ファンの中でも「風の万里 黎明の空」は人気らしい。景王陽子と鈴、祥瓊、3人の少女たちの出逢いと成長。個人的には上巻でそれぞれ別の国の少女たちにスポットを当てることで、国同士の大きな話に発展してほしかったが、最後まで少女たちの心の変化がメインに描かれている。人のせいにして不幸ぶってても仕方なくて、自分で道を切り開かないといけないよ!というような彼女たちの気付き。16歳頃の思春期の時期は私も通ってきた道だし、わかるけど、とてもわかるんだけど、でも私はそれが読みたいわけではないのだよー!!というのが正直な感想。(ファンの方、ごめんなさい。)このシリーズを読むならもっと若い時に読むべきだった気がする。私が読みたいファンタジーとちょっとズレを感じた。 >> 続きを読む
2012/10/25 by chao
ねじめ正一
香港をキーワードにした短編集。完全に予想を裏切られた。5編を収めた短編集という形を取っているが、それぞれの落差が凄過ぎる。作風やタッチが違うという一言では語れないバリエーションと言える。著者の作品に触れるのは本書がはじめてだったことも有り、何の予備知識も持っていなかったことが影響し、1編読み終える毎に、自分の中での著者像を修正し続ける必要が有った。他の作品を読んでいないため断言は出来ないが、この引き出しの多さは天才の域に入っていると思う。5編それぞれ別々の光るものを持っているが、現地ガイドとのやりとりを題材とした「ジャッキー君の大志」には思いっきり笑わされ、中国と香港との関係に端を発した悲哀を描く「恋愛伝説1997」には泣かされた。著者の別作品が早く読みたい。 >> 続きを読む
2011/01/05 by ice
神尾葉子
花より男子8巻。怒りまくる道明寺。でもそれはつくしを本気で好きになってしまった証拠。好きになった人が自分の親友を好きって辛いだろうな。花沢類とつくしを退学させるとかいう騒ぎもあり(←このくだりはそこまで面白くもないけども…)その後みんなのお節介もあって、男ならビシッと決めろと友人たちが花沢類とつくしを部屋に閉じ込める。そこで何があるのか?少し展開がマンネリ気味でトキメキが少なくなってきている気がする。 >> 続きを読む
2014/08/15 by sunflower
小野 庄一
百歳。1世紀。そもそもの始まりが屋久杉だという。どの写真も、凄いと思う。凄いというか、味があるというか、素敵な方のなんと多いことか。こういう風に齢を重ねるのも悪くないなあ~と思える。まさに王様の風格を感じてしまうのは、自分だけだろうか? >> 続きを読む
2014/10/04 by けんとまん
江川卓
ドストエフスキーの「白痴」の謎とき本は、「緑色のカーテン」に続き2冊目。ほとんどの作品は巻末のあとがきや解説を読めば十分に満足してしまいますが、「白痴」だけはどうも違う。新しい発見がすごく楽しいのです。1つ1つのシーンに細かい設定があると、ついニヤリとしてしまいます。ドストエフスキーにとって、かなり思い入れのある作品だったことでしょう。自らの思想もたくさん入れていますし。おもしろかった解説はいろいろとあるのですが「『白痴』の作中人物の姓は、ふしぎと動物に関連したものが多い」フェルディシチェンコはドイツ語のPferd(馬)から派生したものプチーツィンは「プチーツア」からというように鳥に関係した姓が多い。レベジェフは白鳥。あまりにかけ離れているので、レベジェフの娘ヴェーラ自身が似つかわしい?レフ・ニコラエヴィチ・ムイシュキンの「レフ」は「獅子」の意味。しかし、「ムイシュ」鼠、ないし「ムイシュカ」子鼠から出た名前という、あまりにも不釣り合いなフルネームとなっています。これならムイシュキン公爵がさまざまに変身を重ねても当然ということになるだろう、と江川さんの解釈です。本編で語られることのないこういった設定は、謎解き本だからこそのおもしろさですね。それと、「死」の描写が多いにも関わらず、悲壮感が漂っているわけではないことも書かれていました。アグラーヤのラストが、構想時は全然違うものになっていたのにも驚きです。(個人的には構想通りのラストを迎えてほしかった)知れば知るほど興味深い、「白痴」の世界です。 >> 続きを読む
2018/03/16 by あすか
外間守善
2012年11月末、読売新聞にある方の訃報が載っていました。その人は「外間守善:ほかましゅぜん」さんで、「おもろさうし」の研究を大成した人でした。「おもろ」というのは、日本でいう「和歌」に相当するでしょう。 その「おもろさうし」について、wikipediaから引いてくると、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『おもろさうし』(おもろそうし)とは、尚清王代の嘉靖10年(1531年)から尚豊王代の天啓3年(1623年)にかけて首里王府によって編纂された歌集。沖縄の古い歌謡であるおもろを集録したものである。漢字表記すれば「おもろ草紙」となり、大和の「草紙」に倣って命名されたものと考えられる。なお「おもろ」の語源は「うむい(=思い)」であり、そのルーツは祭祀における祝詞だったと考えられている。全22巻。王・高級神女・勇者・詩人・航海者をたたえ、風景・天象・戦争・神話について歌われている。わずかではあるが恋愛を歌ったものもある。(中略)編纂時期が不連続で、巻一が編纂されてから約70年間編纂が途絶えており、薩摩侵入後の万暦41年(1613年)になって巻二が、十年後の天啓3年に残りの二十巻が編纂されている。・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんな訳で「おもろさうし」に興味を持ったので、図書館で「南島の神歌 おもろさうし」(外間守善:中公文庫)を借りてきて読んでみました。目についた作品をいくつか。あがるいの大ぬし大主が御まへにくねぶげはおへておちへおれづむ またないな ちやはな さちやる(対訳)東方の大主大主の御前に九年母木を植えてウリズンを待とうおや、もう花が咲いたよ原詩に出てくる「おれづむ」は「ウリズン」と同義で、沖縄の人が待ちわびる季節で、日本本土のように厳しい冬がない人たちのあいだで宿望される、「春」とも違う季節であり、「若夏」という言葉と同義とほぼされるようです。細かくは、旧暦2,3月頃がウリズン、おなじく4,5月ころが「若夏」と呼ばれるようです。(56P)はつにしやかふし地天とよむ大ぬしちうらのはなのさいたる みもん天ちとよむ大ぬし(対訳)天地に鳴響む太陽よ美しい花が咲き渡っていくさまのみごとに美しいことよ天地に鳴響む太陽よ太陽を花に喩えて、その見事さを歌っています。(221P)まにしか まねまね ふけばあんしおそいてたのおうねと まちよるおゑちへか おゑちへと ふけは(対訳)真北の風が吹くと按司襲い様(国王)の御船をぞ待っているのです追手風が吹くと薩摩に囚われの身となっている国王に、一刻の早く帰ってきて欲しいと王妃が歌った抒情詩。おもろのなかでは珍しい恋の歌です。「釜山港へ帰れ」みたいですね。(224P)最後に:この本の説明に「万葉・祝詞・古事記の三つに該当する」と言われる沖縄の古謡集「おもろさうし」。・・・とありますが、私が読む限り祝詞(のりと)の集成のように見え、さほどの多様性は感じませんでした。特に、恋愛の歌があまりないのにはちょっと不満でした。 >> 続きを読む
2013/11/26 by iirei
浅倉久志 , Varley, John, 1947-
【ヒューマニスティックな味わい深い良質のSF作品集】 本作は、6編の中・短編を収めた作品集ですが、どの作品にも温かみが感じられ、良作揃いと評価できます。 さっそく収録作をご紹介しましょう。〇 プッシャー ロリコン、変態おやじの話か?と思っていると最後でホロリとさせられます。 短い作品ですが、良作。〇 ブルー・シャンペン 月の周回軌道に位置する『バブル』と呼ばれる人工施設がありました。 中には特殊なプールやゴージャスなホテルが備えられています。 そのプールの救助員であるクーパーは、バブルにやって来た超有名タレントのメガンと恋に堕ちます。 メガンは、子供の頃の事故で首の骨を折り、四肢麻痺になってしまったのです。 しかし、外骨格を装着することにより身体の自由を取り戻し、今は最先端の外骨格を装着しているんです。 それは、初期の外骨格のような無骨なものではなく、ほとんど皮膚と変わらないような洗練されたものなんですね。 本作では、身体障碍者のsexがテーマとして描かれ、純愛小説かと思えるほどピュアな作品になっています。〇 タンゴ・チャーリーとフォックストロット・ロミオ 『ブルー・シャンペン』でクーパーの最初の恋人として登場したアンナ=ルイーゼ・バッハが登場する中編です。 アンナは、ブルー・シャンペンで語られていた通り、プール救助員を辞めて警察官になっています。 本作では、激烈な伝染病が発生したため遺棄された『タンゴ・チャーリー』という月周回軌道に浮かぶ人工施設を舞台にします。 タンゴ・チャーリーには生存者はいないと考えられていたのですが、一人の女性が沢山の犬たちと共に生存していることが判明したのです。 タンゴ・チャーリーは、老朽化しており、6日後には月の裏側に激突することになっていました。 生き残っている女性を救出しなければ。 しかし、タンゴ・チャーリーにはあの恐ろしい伝染病が減菌されないまま存在しているはずです。 そんな中にいた女性を連れ出したらまた恐ろしい速さであの病気が蔓延し、人類滅亡だってあり得る状況です。 このまま墜落させてしまうべきなのか?〇 選択の自由 性転換が当たり前になっている未来社会が描かれます。 性転換は非常に簡単な施術でできますし、元に戻ることも自由自在なのです。 ある時、妻が突然性転換をしてしまうのです。 これは結構ショッキング!〇 ブラックホールとロリポップ この物語の世界では、ブラックホールを探し出すホール・ハンターという職業があります。 うまくブラックホールを見つけ出せれば、それをエネルギー源として使えるので、発見すれば大金が手に入るのです。 主人公のゾウイという女の子は、母親(ゾウイを自分のクローンとして作った女性という意味での母親なんですけどね)と一緒にブラックホール探索に出ていた時、なんと、ブラックホールから通信が入ったのです。 「あなた誰?」 「ブラックホールだよ」 ブラックホールが意思を持ちしゃべるという奇想天外な設定の作品です。〇 PRESS ENTER■ 退役軍人のヴィクターは、隣人が自宅で拳銃自殺しているのを発見します。 隣人は奇妙な男で、家から一歩も外に出ず、コンピュータばかりいじっている男でした。 その素性は全く分からないのですが、コンピュータに遺書を残していました。 そのコンピュータには色々細工がしてあるようで、普通の方法では中を見ることができないのです。 この男の死に不審な点を感じた警察は、男の家にリサというエキスパートを派遣し、事件の手がかりを探させ始めます。 その内、ヴィクターとリサは恋に堕ちるのですが、二人は年齢差はあるものの共に過去に傷を持つ身で、それがお互いを求めさせたのかもしれません。 物語には徐々に不穏な雰囲気が漂い始め、陰謀的な話になっていきます。 いや、これは結構怖いですよ。 この作品は、感動すら覚えるような話に仕上がっています。 本書を読み始めた時は、ちょっと波長が合わないというか、うまく読み進めることができなかったのですが、徐々に作風に慣れ、『ブルー・シャンペン』の途中辺りからは読むスピードも上がりました。 そして読み終わった時には、本書に対する評価が一段階アップしていましたよ。 これはなかなか優れた作品だと思います。 著者の作品を読むのは多分初めてだったと思うのですが、もう少し読んでみたくなりました。読了時間メーター□□□□ むむっ(数日必要、概ね3~4日位) >> 続きを読む
2021/05/12 by ef177
高橋克彦
7編からなる短編小説集。最初は推理小説なのかなと読み進めていくうちに、ぞっとするような怖い話になった。そんな話ばかりだ。直木賞を受賞した緋い記憶も摩訶不思議な話だった。それぞれの小説が記憶という曖昧な事実が途中でとんでもない方向に流れていく展開なので、怖い思いをするのにもかかわらず、次の話をめくってしまう。最後の冥い記憶という小説は最後の最後で驚くような展開に驚いた。十分楽しめた。 >> 続きを読む
2018/05/11 by KameiKoji
金 賢姫《キム/ヒョンヒ》
著者が事件後にオーウェルの1984年を読んで「よもや祖国はこの本を読んだのか」と驚いた、というエピソードに何とも言えない気持ちになりました。 >> 続きを読む
2016/07/05 by one
秋山匡
眠れない日が続いた時に買った本です。でも、読んだら余計寝られなくなっちゃいましたー☆ブタさんがぎゅうぎゅうに詰まっているシーンはカワイイけど絶対寝られない♪でも、ネガティブに寝られなかったのが、ポジティブに寝られなくなったので効果は有りますよ☆ >> 続きを読む
2012/09/18 by tamo
クリス・ヴァン・オールズバーグ , 村上春樹
大人の絵本に分類されるのでしょうけど、なんとも不思議な本です。まず表紙。小指立ってます。あくびしてるわけじゃありません。栗を食べてるわけじゃありません。私はこの表紙がすごく好印象だったので楽しく読めましたが、この本って表紙が全てなんじゃないかな。作品の雰囲気が表紙に凝縮されているみたいで、表紙に拒否反応が有る人はきっとダメだと思います。さらに翻訳は村上春樹。少しセピアがかったような雰囲気が文章にも反映されているようで、サスガ!と思いました☆食べると夢が叶ういちじく。1つ目を食べて、それに気が付きました。じゃあ、2つ目を食べて何を叶えてもらおう?そんな本です。 >> 続きを読む
2012/09/28 by sayaka
原田宗典
えーと・・・ また ハラダ君です。 ハラダ教の信者だね。 どうして、こんなにくだらない、 いや、くだらなくないことを次から次へと考えられるのか・・・ 身の回りのあらゆる謎・疑問についてかんがえる、ハラダ君の痛快エッセイ集。 ずっと、こんなことばっかり書いてください。面白いから。 小池龍之介というお坊さん(「超訳」を書いた人)が 「考えない練習」という本を出して売れているらしいが(実は私も買った) “ハラダ君のように”何で?どうして?ってあれこれ「かんがえる」のはとてもよいことだと思う。お釈迦様も「面白いじゃんッ」って言うと思う。 >> 続きを読む
2013/01/17 by バカボン
出版年月 - 1994年9月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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