読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)
松本人志
1クリック登録
読了日は適当。私は松本人志さんを愛している。まああれだけの天才だから、幼少期から多少なりと観てきてはいたのだけど。最近になって再燃した。ぎりぎり引き絞られた矢のような、笑にストイックな様子に今更気がついた。で、本を執筆しているというから、もうなにもかもたまらず、買ってしまった。好きな人の本を読むことは、好きな人の心臓を食べることだ。読んで、もっとぎらぎらしてシビアでクレイジーな松本さんを知った。私は凡人であることを心から喜んだ。天才の業を易々と手に入れて、ただ笑っていられるのだから。その反面、天才の苦悩はいかばかりか。 >> 続きを読む
2016/05/20 by kido
Wingfield, R. D , 芹沢恵
1983年のイギリスはロンドンから100キロほど離れた田舎町デントンを舞台に、クリスマス10日前の日曜日から木曜日までの5日間にいくつかの事件を描いたのが本作です。捜査に乗り出すのは無作法でがさつだが仕事熱心な自由人、やもめのフロスト警部。そして日曜日にロンドンからデントンに到着し、新たに配属となった警察署長の甥で野心家でもありフロストを白い目で見る新米巡査クライヴ。偶然も重なってソリの合わないこの二人が相棒となり事件解決に挑みます。そんな二人のまわりには上昇志向が強く出世第一でフロストを忌み嫌う署長マレットをはじめとした署員たちと田舎町デントンに住む人々が配置されます。事件は行方不明となった娼婦ジョーンの娘トレーシーを捜索することにはじまりますが、捜査を進めるにつれて発生する少女失踪とは直接関係のない問題を、平行して解決に当たることになります。方向性としては、フロストたちとともに数々の事件を体験していくことに重点を置いており、謎解きを楽しむための作品としては作られていません。またミステリーといえば名探偵の推理力による鮮やかな事件解決によって読み手を楽しませるものが王道ですが、フロストはこのようなパターンには当てはまらず、独自の洞察力と直感を武器に強引な行動力で捜査を進め事件解決に至りはするものの、その推理が外れることも少なくなく、成功のほとんどは棚ボタの幸運なしでは成り立たないもので、主人公のずば抜けた能力に心を奪われるといった類のものでもありません。本作は主人公フロストの人物像を売りにした小説といえるであろうとは思いますが、わたし個人としてはキャラクターとして際立った魅力を感じることはできず、前述の通りフロストの能力や作品の方向性もあってミステリーとしてのカタルシスも少なく、かといって決してリアルさにこだわったものでもなくあくまで娯楽作品であり、全体としての印象は悪くないものの明確にその強みを語りにくい作品だと感じました。 >> 続きを読む
2020/07/24 by ikawaArise
萩尾望都
面白かった。 なんとも不思議なSF作品。 やや難解なのだけれど、この感覚、なんとなくわかるような気がするのはなぜなのだろう。 無限ループを脱するために、かすかな箇所に時空のひずみをつくって修正すること。 と同時に、やっぱりそれは何か、犠牲や人柱のようなものを必要とするかもしれないこと。 テーマややけにリアルなことである。 またそのうち読み直してみたい。 >> 続きを読む
2017/01/14 by atsushi
Homerus , 松平千秋
ホメロスの「イリアス」に引き続き、今回は「オデュッセイア」を紹介してみます。そのタイトルを訳すると、「オデュッセウスの歌」。ここでは、おおむねトロイヤ戦争の登場人物を引き継ぎ、また、有名な「トロヤの木馬」のくだりが回想録として登場したりしますので、「イリアス」の続編として、ぜひ読まれる順番は、「イリアス」⇒「オデュッセイア」でどうぞ(恥ずかしながら、学生のころ逆に読んで挫折寸前まで落ち込みました……汗)。10年におよんだトロイヤ戦争。瀕死の勝利を手中にしたギリシャ軍の英雄オデュッセウスは、愛妻ペネロペイアと息子テレマコスが待つ故国イタケに向けて意気揚々と船出します。ところが、奢り高ぶるギリシャ軍の不埒なふるまいに、とうとう神々の怒りを招いてしまいます。思わぬ島に吹き流されるわ、現地人との戦いに巻き込まれるわ、一つ目巨人の島で次々に部下が喰われるわ、魔女キルケの虜になってしまうわ……散々な目に遭うオデュッセウスの10年にわたる冒険活劇でして、そのダイ・ハードぶりには拍手喝采です。実は、この物語が面白いのは、オデュッセウスの笑える冒険譚だけではなく、故国で夫を待ちわびる深刻な賢妻ペネロペイアの話がオムニバス形式で描かれているところです。並行していた物語は、クライマックスで華麗に交差します。緻密に練られたプロットや組み立ては、はるか2000年以上も前の作品とは思えない見事なものです。ペネロペイアのほうを少しご紹介しますと……。故国イタケの領主オデュッセウスがトロイヤに出征して20年。誰もが死んだものと諦める中、ペネロペイアだけは夫の生還を信じています。ところが、彼女の美貌とオデュッセウスの財産を虎視眈々と狙う――婚約者と称する100名あまりの――連中は、オデュッセウス宅に入り込んでやりたい放題。我が物顔でのさばり、どん食を尽くし、次々に財産を食いつぶしていきます。軽薄な彼らの蛮行に身も細る思いで貞操を守っていたペネロペイア。そしていつ何時謀殺されるかわからない年若い一人息子のテレマコス。切羽詰まったペネロペイアは、自分の織物が完成したら正式に婚約者を決めて再婚すると宣言し、必死で時間を稼ぎます。昼間はせっせと機織りに励み、夜はせっせとその糸をほどく……まことに暗く健気な作業を3年も続けていた彼女でしたが、とうとうその偽計も露呈してしまい、万策尽きてしまいます……。この作品は、「イリアス」と同じように、オリュンポスの神々が違和感なく同居しています。トロイヤ戦争のさなかより、とりわけ女神アテネに寵愛されたオデュッセウスでしたが、この仁侠女神、ギリシャ軍の熱血英雄アキレウス(トロイヤ戦争末期に戦死)といい、武勇・奸智に長けたオデュッセウスといい、どうやら知と勇姿に優れた男性がお好きなようです(私もそうですが…笑)。この作品では、パラス・アテナのオデュッセウスに向ける熱烈寵愛ぶりがとても可愛らしいです。ぜひ注目してみてください。ご存じのとおり、ホメロスの「オデュッセイア」は世界の教養古典として名高く、その後の数多くの作品の下敷きとされ、引用されています(多分、あげればキリがないでしょう)。私は決して古典派でも教養派でもないのですが、この人の作品はとりあえず読んでおかれても損はないものと感じています。また、「イリアス」よりも、「オデュッセイア」のほうが主人公に寄り添いやすい洒脱なタッチになっていますので、するすると読めてしまう楽しい書物だと感じますが、実はそれだけでは終わりません。ホメロスにインスパイアされた世界中の名著をより奥深く面白いものに変えてくれる不思議な魔法がかかると思います。興味のある方はぜひどうぞ(^^♪ >> 続きを読む
2015/12/06 by アテナイエ
長谷川町子
テレビのサザエさんとはかなり違った印象。愉快で楽しい♪というよりも昭和の日本の生活が垣間見れる。読んでいて、サザエさんが生きているのは戦後の日本なのだと気付いてハッとしたりする。そういった意味で子供向けというより、大人が読んでもとても意味あるマンガ。「タラちゃん」とか「マスオさん」と聞けば誰でもあのタラちゃん、マスオさんを思い浮かべるように、サザエさんは世代を問わず愛されている作品。マンガを読むとただ楽しいだけじゃない何かがあって、これだけ多くの人に愛されているのはそれなりに理由があるんだなーということが納得できる。 >> 続きを読む
2012/04/04 by sunflower
鎌田敏夫
ホラー短編集。6編。女性心理に着目したホラー短編6編を収める。鎌田氏作品の例に漏れず、軽快なテンポで目を閉じると場面が浮かんで来そうなほどビジュアルとして訴えて来る作品。サラッと読める上、それぞれのシチュエーションで心を揺さぶる局面は必ず盛り込まれているため短編集としての完成度は高いと感じる。ただし怖さの度合いは強くないので、ホラーとしては物足りない面は有るかもしれない。 >> 続きを読む
2011/03/05 by ice
杉田望
超ワンマン体質の一流企業で繰り広げられる覇権争い。人事権を駆使して独裁体制を固める会長と管理職とのやりとり。迎合して上位の役職を得る者。叛旗を翻して日陰で終わる者と生き方が問われる。親会社と子会社。提携先の外国籍企業など細かい設定がリアル度を高めており上級管理職それぞれの生き方は考えさせられるものが有った。研究所の反乱分子を無力化するために、籍は研究所に置いたままで営業させるなどはジョブローテーションという名目で実施されてしまえば会社員としては拒否権など無く、現実的に起こりうる脅威と感じた。結末までリアルを追求しているため爽快感に欠ける面も有るが自身のアイデンティティと組織内での立場を再考するきっかけになる良書だと思う。 >> 続きを読む
2011/01/24 by ice
小野不由美
十二国記4作目下巻。(4作目だが、中2作は外伝だったらしいことが最近発覚)十二国記ファンの中でも「風の万里 黎明の空」は人気らしい。景王陽子と鈴、祥瓊、3人の少女たちの出逢いと成長。個人的には上巻でそれぞれ別の国の少女たちにスポットを当てることで、国同士の大きな話に発展してほしかったが、最後まで少女たちの心の変化がメインに描かれている。人のせいにして不幸ぶってても仕方なくて、自分で道を切り開かないといけないよ!というような彼女たちの気付き。16歳頃の思春期の時期は私も通ってきた道だし、わかるけど、とてもわかるんだけど、でも私はそれが読みたいわけではないのだよー!!というのが正直な感想。(ファンの方、ごめんなさい。)このシリーズを読むならもっと若い時に読むべきだった気がする。私が読みたいファンタジーとちょっとズレを感じた。 >> 続きを読む
2012/10/25 by chao
ねじめ正一
香港をキーワードにした短編集。完全に予想を裏切られた。5編を収めた短編集という形を取っているが、それぞれの落差が凄過ぎる。作風やタッチが違うという一言では語れないバリエーションと言える。著者の作品に触れるのは本書がはじめてだったことも有り、何の予備知識も持っていなかったことが影響し、1編読み終える毎に、自分の中での著者像を修正し続ける必要が有った。他の作品を読んでいないため断言は出来ないが、この引き出しの多さは天才の域に入っていると思う。5編それぞれ別々の光るものを持っているが、現地ガイドとのやりとりを題材とした「ジャッキー君の大志」には思いっきり笑わされ、中国と香港との関係に端を発した悲哀を描く「恋愛伝説1997」には泣かされた。著者の別作品が早く読みたい。 >> 続きを読む
2011/01/05 by ice
神尾葉子
花より男子8巻。怒りまくる道明寺。でもそれはつくしを本気で好きになってしまった証拠。好きになった人が自分の親友を好きって辛いだろうな。花沢類とつくしを退学させるとかいう騒ぎもあり(←このくだりはそこまで面白くもないけども…)その後みんなのお節介もあって、男ならビシッと決めろと友人たちが花沢類とつくしを部屋に閉じ込める。そこで何があるのか?少し展開がマンネリ気味でトキメキが少なくなってきている気がする。 >> 続きを読む
2014/08/15 by sunflower
小野 庄一
百歳。1世紀。そもそもの始まりが屋久杉だという。どの写真も、凄いと思う。凄いというか、味があるというか、素敵な方のなんと多いことか。こういう風に齢を重ねるのも悪くないなあ~と思える。まさに王様の風格を感じてしまうのは、自分だけだろうか? >> 続きを読む
2014/10/04 by けんとまん
江川卓
ドストエフスキーの「白痴」の謎とき本は、「緑色のカーテン」に続き2冊目。ほとんどの作品は巻末のあとがきや解説を読めば十分に満足してしまいますが、「白痴」だけはどうも違う。新しい発見がすごく楽しいのです。1つ1つのシーンに細かい設定があると、ついニヤリとしてしまいます。ドストエフスキーにとって、かなり思い入れのある作品だったことでしょう。自らの思想もたくさん入れていますし。おもしろかった解説はいろいろとあるのですが「『白痴』の作中人物の姓は、ふしぎと動物に関連したものが多い」フェルディシチェンコはドイツ語のPferd(馬)から派生したものプチーツィンは「プチーツア」からというように鳥に関係した姓が多い。レベジェフは白鳥。あまりにかけ離れているので、レベジェフの娘ヴェーラ自身が似つかわしい?レフ・ニコラエヴィチ・ムイシュキンの「レフ」は「獅子」の意味。しかし、「ムイシュ」鼠、ないし「ムイシュカ」子鼠から出た名前という、あまりにも不釣り合いなフルネームとなっています。これならムイシュキン公爵がさまざまに変身を重ねても当然ということになるだろう、と江川さんの解釈です。本編で語られることのないこういった設定は、謎解き本だからこそのおもしろさですね。それと、「死」の描写が多いにも関わらず、悲壮感が漂っているわけではないことも書かれていました。アグラーヤのラストが、構想時は全然違うものになっていたのにも驚きです。(個人的には構想通りのラストを迎えてほしかった)知れば知るほど興味深い、「白痴」の世界です。 >> 続きを読む
2018/03/16 by あすか
外間守善
2012年11月末、読売新聞にある方の訃報が載っていました。その人は「外間守善:ほかましゅぜん」さんで、「おもろさうし」の研究を大成した人でした。「おもろ」というのは、日本でいう「和歌」に相当するでしょう。 その「おもろさうし」について、wikipediaから引いてくると、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『おもろさうし』(おもろそうし)とは、尚清王代の嘉靖10年(1531年)から尚豊王代の天啓3年(1623年)にかけて首里王府によって編纂された歌集。沖縄の古い歌謡であるおもろを集録したものである。漢字表記すれば「おもろ草紙」となり、大和の「草紙」に倣って命名されたものと考えられる。なお「おもろ」の語源は「うむい(=思い)」であり、そのルーツは祭祀における祝詞だったと考えられている。全22巻。王・高級神女・勇者・詩人・航海者をたたえ、風景・天象・戦争・神話について歌われている。わずかではあるが恋愛を歌ったものもある。(中略)編纂時期が不連続で、巻一が編纂されてから約70年間編纂が途絶えており、薩摩侵入後の万暦41年(1613年)になって巻二が、十年後の天啓3年に残りの二十巻が編纂されている。・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんな訳で「おもろさうし」に興味を持ったので、図書館で「南島の神歌 おもろさうし」(外間守善:中公文庫)を借りてきて読んでみました。目についた作品をいくつか。あがるいの大ぬし大主が御まへにくねぶげはおへておちへおれづむ またないな ちやはな さちやる(対訳)東方の大主大主の御前に九年母木を植えてウリズンを待とうおや、もう花が咲いたよ原詩に出てくる「おれづむ」は「ウリズン」と同義で、沖縄の人が待ちわびる季節で、日本本土のように厳しい冬がない人たちのあいだで宿望される、「春」とも違う季節であり、「若夏」という言葉と同義とほぼされるようです。細かくは、旧暦2,3月頃がウリズン、おなじく4,5月ころが「若夏」と呼ばれるようです。(56P)はつにしやかふし地天とよむ大ぬしちうらのはなのさいたる みもん天ちとよむ大ぬし(対訳)天地に鳴響む太陽よ美しい花が咲き渡っていくさまのみごとに美しいことよ天地に鳴響む太陽よ太陽を花に喩えて、その見事さを歌っています。(221P)まにしか まねまね ふけばあんしおそいてたのおうねと まちよるおゑちへか おゑちへと ふけは(対訳)真北の風が吹くと按司襲い様(国王)の御船をぞ待っているのです追手風が吹くと薩摩に囚われの身となっている国王に、一刻の早く帰ってきて欲しいと王妃が歌った抒情詩。おもろのなかでは珍しい恋の歌です。「釜山港へ帰れ」みたいですね。(224P)最後に:この本の説明に「万葉・祝詞・古事記の三つに該当する」と言われる沖縄の古謡集「おもろさうし」。・・・とありますが、私が読む限り祝詞(のりと)の集成のように見え、さほどの多様性は感じませんでした。特に、恋愛の歌があまりないのにはちょっと不満でした。 >> 続きを読む
2013/11/26 by iirei
高橋克彦
7編からなる短編小説集。最初は推理小説なのかなと読み進めていくうちに、ぞっとするような怖い話になった。そんな話ばかりだ。直木賞を受賞した緋い記憶も摩訶不思議な話だった。それぞれの小説が記憶という曖昧な事実が途中でとんでもない方向に流れていく展開なので、怖い思いをするのにもかかわらず、次の話をめくってしまう。最後の冥い記憶という小説は最後の最後で驚くような展開に驚いた。十分楽しめた。 >> 続きを読む
2018/05/11 by KameiKoji
金 賢姫《キム/ヒョンヒ》
著者が事件後にオーウェルの1984年を読んで「よもや祖国はこの本を読んだのか」と驚いた、というエピソードに何とも言えない気持ちになりました。 >> 続きを読む
2016/07/05 by one
秋山匡
眠れない日が続いた時に買った本です。でも、読んだら余計寝られなくなっちゃいましたー☆ブタさんがぎゅうぎゅうに詰まっているシーンはカワイイけど絶対寝られない♪でも、ネガティブに寝られなかったのが、ポジティブに寝られなくなったので効果は有りますよ☆ >> 続きを読む
2012/09/18 by tamo
クリス・ヴァン・オールズバーグ , 村上春樹
大人の絵本に分類されるのでしょうけど、なんとも不思議な本です。まず表紙。小指立ってます。あくびしてるわけじゃありません。栗を食べてるわけじゃありません。私はこの表紙がすごく好印象だったので楽しく読めましたが、この本って表紙が全てなんじゃないかな。作品の雰囲気が表紙に凝縮されているみたいで、表紙に拒否反応が有る人はきっとダメだと思います。さらに翻訳は村上春樹。少しセピアがかったような雰囲気が文章にも反映されているようで、サスガ!と思いました☆食べると夢が叶ういちじく。1つ目を食べて、それに気が付きました。じゃあ、2つ目を食べて何を叶えてもらおう?そんな本です。 >> 続きを読む
2012/09/28 by sayaka
原田宗典
えーと・・・ また ハラダ君です。 ハラダ教の信者だね。 どうして、こんなにくだらない、 いや、くだらなくないことを次から次へと考えられるのか・・・ 身の回りのあらゆる謎・疑問についてかんがえる、ハラダ君の痛快エッセイ集。 ずっと、こんなことばっかり書いてください。面白いから。 小池龍之介というお坊さん(「超訳」を書いた人)が 「考えない練習」という本を出して売れているらしいが(実は私も買った) “ハラダ君のように”何で?どうして?ってあれこれ「かんがえる」のはとてもよいことだと思う。お釈迦様も「面白いじゃんッ」って言うと思う。 >> 続きを読む
2013/01/17 by バカボン
ダイアナ・ウィン ジョーンズ
【空想好きな少女の魔法冒険物語】 いや、なかなか複雑なお話でした。 物語の主人公、ポーリィは、女子大生なのですが、どうも自分の幼い頃の記憶に混乱があることに気づきます。 「隠れた記憶」と「単一の記憶」と作中では表現されているのですが、本の内容が変わったように思える、確かに出会ったはずの人なのにみんな知らないと言う……。 何かの原因で自分の(あるいは周囲の人々の)記憶が改変されている? だとしたら、真実は一体どういうことだったのだろう? といううことで、物語はポーリィが10歳の頃に遡ります。 当時、幼なじみだったニーナとふざけて走り回っていた時、近所にあるお屋敷の葬儀にうっかり迷い込んでしまいました。 そこで出会ったのがトーマス・リン(トム・リン……すなわち、あの伝承の「タム・リン」のもじりですね)でした。 リンは、ポーリィを葬儀会場から連れ出してくれ、何かと話しかけてくれました。 夢見がちの少女だったポーリィは、それをきっかけに、リンとの間で空想の物語を作り始めるようになったのです。 それは、普段は雑貨屋をやっているけれど、一度事が起きると勇者タン・クールになるリンと、男の子に扮して勇者見習いをやっているヒーローという名前のポーリィの物語でした(後に、タン・クールの仲間達の勇者も創作されるんですけれどね)。 ところが、二人で作り出した物語が現実になるではないですか。 二人が雑貨屋をやっているとした架空の名前の町は実際に存在したし、そこに行ってみたら雑貨屋もあるんです! そして、物語のとおりに巨人が襲いかかってくるではないですか! 危うく危難を回避するリンとポーリィ。 これは一体どういうことなのでしょう? 一方で、あの葬儀が行われていた家の主(とその息子)からは、これ以上リンに関わるなという警告を再三、再四に渡り受けることになります。 どうやら、あの巨人もそうですし、ポーリィがリンと接触しようとするとことごとく見張られていてそれが邪魔されているように思われます。 記憶を改変しているのもこいつらのせい? 本作は、この様な子供時代の空想的な物語が妙に現実に入り込んできて、むしろどちらが真実の出来事なのかが分からなくなってくるような物語です。 時制も、昔を振り返っているポーリィが語られているかと思うと、いつの間にか魔法めいたむかしの出来事にすり替わってしまいます。 そもそも、記憶が改変されているのではないかという疑いが大前提にあるため、本書に書かれていることも、それが真実なのか、改変された偽の記憶なのか、あるいはポーリィの空想なのかが判然としなくなっていきます。 そもそも、何故リンと接触しようとすると邪魔されなければならないのか、その理由は物語の最後の最後になるまで伏せられていますので、読んでいる途中では、一体これはどういう物語なの?と、もどかしく思うかも知れません。 なかなかすっきりと筋を追わせてくれない点でも複雑さを感じてしまう面があるように感じます。 それから、本書は、「少女小説」とでも言うのでしょうか、そういう趣がふんだんにあります。 ポーリィにとって、リンは自分の空想を共有してくれる素敵なおじさんですし、いつも離れたところから(リンはチェロ奏者でよく演奏旅行に出かけているのです)ファンタジーなどの本を送ってくれるリンの大好きな人なのです。 この本がまたふるっていて、ファンタジーを中心とした名作ばかり(本好きにはたまらないラインナップになっています)。 そんなポーリィが学校の友達とワイワイやりながら、演劇に入れ込んでみたり、他の男の子と関わってみたり、友達と絶交してみたり、そんな「少女」らしいエピソードがたくさん盛り込まれたお話でもあります。 なかなかの長編ですが、ファンタジー好きで、少女小説が好きで、読書が好きという方にはぴったりの作品ではないでしょうか? >> 続きを読む
2019/07/06 by ef177
鎌田三平 , ロバート・アンスン・ハインライン
「自分は金星人でも地球人でもなく、太陽系市民である。」私がハインラインを好きな最大のポイントはここです。母が金星移植者の第2世代で父が地球人、生まれたのは宇宙空間。金星で育ち、学校は地球で実家は火星。国籍無し。ドン(ドナルド)・ハーベイはそんなめんどくさい経歴の少年です。ある日、金星植民地が地球連邦に反旗を翻し、独立戦争が勃発。ドンは火星にいる父母の元に届けるように託された「ある物」を手にしたまま惑星間戦争に巻き込まれてしまう。彼は敵対国のハーフとなり、生まれながらの「潜在的な反逆者」と断定され、平和時には想像もできない事態が次々にドンを襲います。火星に行くつもりが金星に送られ、無一文で生き延びなければならないハメに。連邦軍の攻撃が始まり、ドンは反逆軍である金星軍に入隊することに。困難が少年を強く成長させていくさまを応援しつつ、見守るのはYA小説の醍醐味ですd(-_^)good!!それにしても、ハインラインは少年少女を描くのが上手い!地球的審美眼では醜怪とおもえる外見の異星人とその異文化をリアルに描くのも上手です。金星原住種族である<ドラゴン>のサー・アイザック・ニュートンのチャーミングなこと!主人公だけではなく魅力的なキャラクターがあちこちに登場し、物語として感情移入できるのがハインラインの小説の特徴です。ハインラインのYAはどれも質が非常に高く、大人が読んで充分面白いです。むしろYAのほうが好きという人もいるくらいです。少年の冒険と成長を描く物語というだけではなくて、戦争(軍隊)というものの実態を描きたいという意図があるように思います。ストーリーはあっさりしていて、戦闘シーンもそう多くは描かれない。映画やビジュアル追求SFに慣らされてしまうと、ラストはあっけなさすぎに感じるかも。このまんま映像にしたら、映えないぞ、きっと(^m^ )クスッ 所属惑星を持たないドンがいかに軍隊に帰属していくことになったか。彼の本来の場所はどこにあるのか。たどり着いた結論は?そちらがメインなのではないかと思います。ハインラインは第1次世界大戦時に海軍に入隊し、特に第二次大戦には作戦にも関わった筋金入りなので、組織としての戦争、時代認識についても的を得た洞察を持っているように思います。彼は、人間の帰属意識というものが、戦争へ参加する最大の心的要因であることを指摘しています。傭兵は別ですが、私は戦争を戦う若者の心理は、まさにこれだと思っています。「戦時の難民が味わう根源的な悲哀を――根無し草の惨めさを感じるようになっていた。」「人は集団の一部として、認められ、尊敬される人間関係を欲するものだ。」「志願者は(中略)――つまり帰属意識を、得たいのだ」戦争の実態は経済的要因であること。権力行使の暴力的理不尽さ。人は誰を仲間とし信用すべきなのか。などなど。するどい指摘がされています。「政府や準政府という、より大きな、そして浸透力をもった組織のもとでは個人の自由は失われてしまう」「しかし人は、いつかは誰かを信じなければならないのだ!人間はひとりではやっていけない」よきSFは、啓蒙小説なのですよね。では、なぜわざわざSFの形をとるのか?まず第一に、SF作家は自由を愛する芸術家です。第二に、「SFであればこそ」の軽さと嘘くささと、それゆえのリアリティというものがあるからです。現代や過去を舞台にしたのでは信じられないことも、仮想の未来の世界ではやすやすと信じることができます。そして、社会や人類の抱える問題は、悲しいかな、常に存在し、時代を超えて普遍的なのです。(蛇足)SF作家でもフレデリック・ブラウンは下っ端の悲劇を経験しています。戦争をとらえる目線は、この2人の大いなる相違点でしょう。以前は「宇宙戦争」の邦題で抄訳版が出ていたそうです。原題:「Between Planets」(1951) >> 続きを読む
2012/09/06 by 月うさぎ
出版年月 - 1994年9月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
ページの先頭に戻る
会員登録(無料)
レビューのある本