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1995年3月発行の書籍

人気の作品

      仮面山荘殺人事件

      東野圭吾

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 知人に面白いと勧められて読みました。本当に面白かったです。まさかの結末。そして見事な叙述トリック。謎が明らかになったときのゾクゾク感が最高でした。東野さんの読者の裏の裏を描く構想力、すごいですね。まさか視点の人物が…びっくりです。結構前の作品と聞いてなお驚きました。ますますファンになりました。 >> 続きを読む

        2019/05/06 by kohkun

    • 他1人がレビュー登録、 47人が本棚登録しています
      幽霊たち

      AusterPaul , 柴田元幸

      新潮社
      4.2
      いいね!

      • オースターの著作を発見したのは「孤独の発明」だった、それからは底に流れるテーマを読み続けてきたが、著作順でなく、この「幽霊たち」を自分なりに初期作品の区切りとして最後に持ってきたことを、自分で誉めたい気分になった。これはどの作品にも流れている「孤独」というテーマの究極の姿を著したものだと感じたからで。

        解説で伊井直行さんは、

        三部作はそれぞれ単独で読んでもなんら支障のない作品群なのだが、他の二編をあわせて読むと、一作だけ読んだときとは随分印象が違ってくる「幽霊たち」は特にそうだろう。だから却って、真っ先のこれを読んで、奇妙な小説世界を堪能してみる手がある ---といっては強引に過ぎるだろうか。
        全く、私と同じ読後感をもつ人ではないかと、僭越ながらひそかに喜んだ、先に読んで、スタイルのヒントにするのは勿論いい、そして「幽霊たち」を最後に読んで、初期からの作品と三部作はこうしたテーマで繋がっている、と感じることも、オースターの作品を読む楽しみ方のひとつであってもいいのではないだろうか。

        「幽霊たち」は奇妙な話で、世界がごく狭い。色の名前のついた人物たちが登場する。まず探偵のブルー、その師匠のブラウン。仕事として見張るように言われた対象のブラック、最初は謎の人物として現れるホワイト。脇役のレッドとゴールドもちょっとした彩を添えている。

        ブルーはブラックを見張り続けている。定期的に報告書を送ればいい楽な仕事で、真向かいのマンションの部屋から見ていると、ブラックは一日机の前で何か書いている、作家らしい。

        ブラックの生活パターンは見張る必要もない単調なもので、ブルーは変化のない時間に倦んで疲れて、次第に見張っている自分について考えるようになる。そしてついにたまりかねてブラックに接触を試みる。

        彼と四方山話をするが、なかでも彼の作家の緒孤独についての話に心を引かれる。
        会うことが重なってくると、ブルーはブラックの窓越しに感じる孤独が自分のものと同化してくるのを感じる。

        お互いに身分が同化しお互いが裏返しのように分かちがたくなったと感じ始めた朝、彼はブラックの部屋に入っていく。

        長く見張るだけの生活はブルーの精神を現実生活から遠ざけ、存在の曖昧な時間を作り出していた。

        こうして、奇妙な二人の人間が出会って別れる。ブルーはブラックを打ち倒し、現実であって非現実な感じのまま生活の中に戻ったが、いつか彼はブラックの世界に入ってしまっている。



        色の名前のついた人たちは、ある意味人間の最大公約数であって裏返せば最小公倍数でもある。数字というものの意味を生物に置き替えれば、目にする複雑な色は突き詰めれば単純ないくつかの混色であり、違ったように見えても非現実的な世界でそれを見たり感じるとすれば、共通する感情や数字に変換されたものが絡み合っていることに過ぎず、いつか全ての根はゼロが虚数になるかも知れない、などと思いながらこの三部作を締める自分なりの感想にした。
        >> 続きを読む

        2016/08/01 by 空耳よ

      • コメント 6件
    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      クォヴァディス ネロの時代の物語

      木村彰一 , SienkiewiczHenryk

      岩波書店
      カテゴリー:その他のスラヴ文学
      4.0
      いいね!
      • 【ゆるゆると幕を開けるローマの物語】
         時は、ローマの絶対皇帝、暴君ネロの治世。
         ローマの軍団将校であるウィニキウスは、戦いを終えてローマに戻って来ました。
         彼は、戦傷を癒すために逗留していた老将軍アウルスの家でリギアという娘に出会い、一目惚れしてしまったのです。
         それはもう身を焦がすような想いで、どうあってもリギアを我が物にしたいという一念に取り憑かれてしまいました。

         ウィニキウスは、知恵者として名高く、ネロの覚えもめでたい叔父のペトロニウスにリギアに対する思いを打ち明け、何とか力になって欲しいと相談を持ちかけたのでした。
         ペトロニウスも甥っ子を可愛く思っていたこともあり、ここは一肌脱いでやることとし、ウィニキウスには安心して待っていろと言うと密かに手を回したのでした。

         その後、ウィニキウスがアウルスの家を訪れたところ、何と、リギアが皇帝の命により宮殿に連れ去られたというのです。
         リギアは、そもそもローマの周辺蛮族であるリギ族の王女でした。
         リギ族が蛮族同士の戦いに臨んだ際、その戦火がローマに広がらないことの保障として、リギアが人質としてローマの将軍に預けられたのです。
         その後、リギアの身柄は老将軍アウルスに委ねられたのですが、アウルスもリギアを実の娘のように可愛がり、リギアも幸せに暮らしていたのです。

         ところが、ネロは突然アウルスの家に百人隊長を送り、「これまでリギアの面倒を見てもらって苦労をかけたが、これ以上負担をかけるわけにはいかない。そもそもリギアはローマ帝国に差し出された人質なのだから皇帝直々に庇護するのが筋である」などという都合の良い口実をつけてリギアを連れ去ったというのですね。

         これを聞いて怒り心頭に達したウィニキウス(短気なのですよ)は、「約束が違う!」と激怒してペトロニウスの家に怒鳴り込んだのです。
         しかし、これはすべてペトロニウスの策略だったのですね。
         ペトロニウスは、先ほどのような口実を設けてリギアをアウルスの家から連れ出し、一旦は宮殿に置いた後、翌日には囲い者としてウィニキウスに与えることをネロに約束させていたのでした。
         今夜の宴会にはリギアも出席することになっているから、その隣にお前も座れとペトロニウスに諭され、ウィニキウスは天にも昇る気持ちになったのでした。

         さて、その夜の宴会でウィニキウスはリギアの隣に席を占め、熱烈に口説き始めたのです。
         実はリギアも美貌の将校であるウィニキウスに惹かれるところもあり、ウィニキウスが真摯にその想いを語っている内はその熱意にもほだされかかっていたのですが、酒が回って来るにつれてウィニキウスは単なる酔っ払いの助平おやじと化してしまったのです。
         強引にリギアの唇を奪おうとするなどしたため、リギアの熱は一気に醒めてしまいます。
         まあ、当時のローマ貴族にとってはそんなのは当たり前のことだったのでしょうけれど。
         しかも、悪いことに、自分とペトロニウスの計略によりリギアをアウルスの家から連れ出したこと、明日の夜には自分の家に来ることになっていることなどをペラペラとしゃべってしまうのです。

         事の真相を知ったリギアは、ウィニキウスにすっかり愛想を尽かしてしまい、王宮に伴った巨漢の配下の手助けによって宴席から抜け出してしまったのです。
         そしてその夜、リギアは決意したのです。
         このままではあの嫌らしいウィニキウスの囲い者にされてしまう、そんな目に遭うのなら逃げてやると。

         王宮でリギアの面倒を見ていたアクテ(かつてネロの寵愛を受けた女性です)は、リギアに対してもっと冷静になりなさいと諭します。
         もし、リギアが逃亡してもすぐに見つけ出されてしまうでしょうし、逃げてしまえば間違いなくアウルスが疑われ、アウルス一家は皇帝によって滅ぼされてしまうでしょうと言うのです。
         それならとにかくウィニキウスの下へ行き、自分を正妻に娶ることを要求しなさい、そうすれば堂々とアウルスと会うこともできるし裕福な生活も保障されるじゃないですかと。

         アクテの言うことはごもっともなのですが、リギアは聞く耳を持ちません。
         実は、リギアはキリスト教に帰依しており、その教えのこともあり、ローマの放蕩貴族のような生活は耐えられないとも考えていたのです。
         キリスト教は徐々にローマにも浸透し始めてはいたものの、まだよく知られていませんでした。
         何だか分からない淫祠邪教ではないかと誤解もされていたのです。
         しかし、ローマにも着実に信者を増やしていたので、リギアはキリスト教徒達に頼めば自分を救い出してくれるだろうと考えたのです。
         その後、貧しい生活を送らなければならなくなっても神への信仰に生きる分には何ほどの苦労だろうかというのですね。
         そして、その計略通り、翌夜、ウィニキウスの家に送られる途中でキリスト教徒達により奪還されたのでした。

         怒り狂ったのはウィニキウスです。
         ペトロニウスにも責任の一端はあるとしてその協力を求め、配下の奴隷を要所要所に張り付けてリギアがローマ市内から脱出できないようにし、ローマ中をくまなく探すのですがどうしてもリギアを見つけることができずにいました。
         そんなところへ姿を現したのはギリシャ人の自称哲学者と名乗るキロンという胡散臭い老人でした。
         キロンはリギアを探し出して見せると豪語し、高額の報酬を要求するのでした。

         こんな感じで幕を開ける本作は、全3巻という大作で、上巻(約350ページ)では、ウィニキウスがキロンの助けを得てリギアを見つけ出し、強引に奪い返そうとするところまでが描かれます。
         この先まだまだ長いですね~。
         全体の展開がまだ見えないので何とも言えないのですが、気持ちゆっくりとしたスタートのように感じました。

         沢山の人物の名前があちこちで出てきますので、ちょっと面倒かなとも感じますが、でも主要な登場人物はそれほど多くはないので、色んな人の名前が出てきてもさらっと流して読んでしまっても概ね大丈夫です。
         この作品は、某書評サイトで『徹夜小説』と激賞されていたので読み始めたのですが、さて、この先どうなりますか。
         随時レビューしていく予定ですので、よろしくおつきあい願います。
        >> 続きを読む

        2019/10/09 by ef177

    • 3人が本棚登録しています
      クオ・ワディス〈中〉

      木村彰一 , SienkiewiczHenryk

      岩波書店
      カテゴリー:その他のスラヴ文学
      4.0
      いいね!

      • 【「火を消す奴は殺すぞ!」/ローマは燃えているか?】
         キリスト教徒であるリギアに心を奪われたローマ軍団将校ウィニキウスは、狡猾な自称哲学者というキロンの手を借りて遂にリギアの居所を突き止めました。
         ウィニキウスは力ずくでリギアを奪おうとしたのですが、その企みはキリスト教徒達によって阻止されて失敗し、ウィニキウスも負傷してしまいます。

         もはやここまでと観念したウィニキウスは自分を殺すように言うのですが、キリスト教徒達はウィニキウスに赦しを与え、その傷の手当てをしてくれたのです。
         ウィニキウスは、リギアを見つけたキリスト教徒達の集会で聞いた使徒ペテロの説教を思い出し、不思議な思いにかられます。

         その後、ウィニキウスは徐々にキリスト教の教えに惹かれていき、もはや今までのローマの愉しみなど何の価値もないと思うまでに至りました。
         リギアも、信仰を持ち始めたウィニキウスに心を許し、もともと好ましく思ってもいたものですから、その気持ちを愛にまで高めていったのでした。

         ウィニキウスは、これまで自分が力によってリギアを奪おうとしたことは誤りであると気付き、リギアを尊び、崇拝し、愛することを心から誓うようになり、リギアもその思いに応えたのです。
         そして二人の思いは使徒ペテロにも祝福され、ウィニキウスは皇帝のアンティウムへの旅行の随行から戻ったら洗礼を受け、正式にリギアを妻に娶ることを誓いました。

         一方のネロですが、芸術を愛したことは史実のようですが、本作ではそれは滑稽な独りよがりと描かれます。
         もっとも誰もネロに対してそんなことを言うことはできないのですが。
         そして、ネロは、「自分はトロイアのように都市が燃え滅びるのを見たことがないからすばらしい詩作ができないのだ」と嘆くのです。
         そんなネロに対して、側近のティゲリヌスは密かに耳打ちをするのでした。

         ネロがアンティウムに滞在していた夜、急使が駆け込んで来ました。
         「ローマが燃えています!」と。
         ネロは、「今すぐ出発すればその火事を見物するのに間に合うだろうか?」などと言う始末。
         そして、悲劇役者を呼び入れ、火事を見る際にはどのような嘆きのポーズを取れば良いかを相談し始めるのでした。

         火事の知らせを受けたウィニキウスは、ローマにいるリギアを救出すべく馬を疾走させました。
         しかし、ローマから逃げてくる群集に押し戻されなかなか近づくことができません。
         ようやくリギアが身を寄せていた家にたどり着いたものの、そこには既に誰もいませんでした。
         煙と炎にまかれながらかろうじて逃げ出すウィニキウスですが、意識も薄れていき遂に倒れてしまいます。
         そんなウィニキウスを助けてくれたのはキリスト教徒達でした。
         そして、ウィニキウスをリギアやペテロのもとに連れて行ってくれたのです。

         ウィニキウスは、リギアやペテロ一行に対して、自分の領地に避難して欲しいと申し出ました。
         そこには他のキリスト教徒達にも来てもらい、自分の領地をキリスト教の国にすれば良いと言ったのです。
         しかし、ペテロは、ローマで苦しんでいる人々がいるのに自分たちだけが逃げることはできないとこの申し出を断りました。
         ウィニキウスは、ここに至り己の心の狭さを思い知らされ、ペテロの言葉に従いました。
         この時、ペテロはウィニキウスに洗礼を施し、ウィニキウスは正式にキリスト教徒となったのでした。

         さて、大火事が収まったローマは悲惨な状態になっていました。
         市街の大部分が焼き払われ、略奪、暴虐の限りが尽くされ、人々は飢え、苦しんでいました。
         人々の話では火をつけて回った者達がいたというのです。
         火を消そうとすると「これは命令だ。火を消す奴は殺すぞ!」と剣をふるわれたと言うのですね。
         ネロが火を放った……。

         ローマに戻ってきたネロ達も市民達の不穏な空気を感じ取っていました。
         このままでは叛乱が起きる、殺されると。
         ネロは、キロンとティゲリヌスの言を容れ、火を放ったのはキリスト教徒であると己の罪をなすりつけることにし、キリスト教徒の捕縛を命じたのです。

         さて、中巻に入り、史実に名高いローマ大火災が描かれました。
         実際にネロが火をつけたとまでは史実上認められているわけではないようですが、幾多の物語でそのように語られていますよね。
         そして、歴史上、ネロがローマ大火災の責任をキリスト教徒になすりつけて弾圧したことは事実のようです。

         本作は、そんな歴史をなぞりながら、ウィニキウスとリギアの愛を描いていくわけですね。
         あぁ、ウィニキウスは信仰に目覚め、洗礼を受けて正式にキリスト教徒になったばかりだというのに、今度は弾圧が待っているというのでしょうか?

         下巻を読了したら引き続きレビューいたします。
        >> 続きを読む

        2019/10/10 by ef177

    • 2人が本棚登録しています
      クォ ヴァディス ネロの時代の物語

      木村彰一 , SienkiewiczHenryk

      岩波書店
      カテゴリー:その他のスラヴ文学
      4.0
      いいね!
      • 【本を読む時の予備知識などについて】
         クオ・ワディス、全3巻読了しました。
         下巻は、ローマ大火災の後のネロによるキリスト教徒迫害と、その中でのリギアとウィニキウスの絶望的とも思える愛の行方が描かれていきます。
         そこでは、敬虔なキリスト教徒として目覚めるウィニキウスと、キリスト教の力を認めつつも最後までキリスト教への帰依を拒否し、己の信じる快楽と美に殉ずる道を選ぶペトロニウスとの対比が際だって来るように思われました。

         そう、この作品、主人公はウィニキウスなのでしょうけれど、時としてウィニキウスは単純過ぎるように感じる部分もあり、ペトロニウスの存在はかなり重要です。
         むしろ、ペトロニウスの生き様に共感する読者も多いのではないでしょうか。

         読了してみて、読み応え十分の作品と感じました。
         そして、これは歴史小説なのだと再認識した次第です。

         本を読み始める時、それがどんな本なのか、ある程度の知識を持って読み始めることが多いと思います。
         その方が、おそらくその本に向かい合う姿勢というか、どういう心構えで向き合うかという自分の心の準備ができるでしょうから、望ましいことが多いように思えます。

         もちろん、『予備知識』の程度は様々で、内容をかなり詳しく承知した上で読み始める場合もあれば、SFとかミステリという風にジャンル程度を認識した上で読み始める場合もあるでしょう。
         時には、「これ面白かったよ」というオススメの言葉程度しか知らずに読み始めるという場合もあると思います。

         どういうケースが理想的なのかということについては一概には言えないとは思うのですが、本作に関して言えば、少なくともローマを舞台にした歴史小説なのだという程度の予備知識は持って読み始めた方が楽しめますし、おそらく読みやすいと思われます。

         私も、ある程度のことはブックレビューによって承知はしていたつもりだったのですが、いざ読み始めた時にはそんなことはすっかり抜けていて、かなり白紙の状態で読み始めてしまったため、「さて、これはどういうお話なのだろうか。どういうスタンスで対峙したら良いのだろうか。」と上巻位までは手探りに近い状態で読み進めてしまいました。

         フィクションの部分もありますが、一応歴史的事実を下敷きにしている歴史小説なのだと承知して読み始める方が良かったと、読了後思いました。
         私は歴史小説にはそれほど造詣は深くないのですが、例えば佐藤賢一さんの作品のように、史実をベースにしつつも、作者一流の解釈を加え、エンターテイメントとしても楽しめる作品に近いような読後感を感じたのが本作でした。

         キリスト教を軸にしており、その賛美的な部分もかなりのヴォリュームを占めますが、そこはそれ、そういうお話なのだと割り切ってお読みになればそれほど鼻につくこともないのではないでしょうか。
         素直に読めば感動的な美しいと思える場面も見つかると思います。

         私がそういう読み方をしたせいかもしれませんが、巻を追うに連れて読みやすくなり、またのめりこみ易くなりましたし、評価も上がっていったように感じました。
         それはきっと、この作品はこういう作品なんだという割り切りというか、心構えが自分の中で確立したからではないかと思うのですね。
         だったら最初からそういう作品だと知って読めばもっと早くから入り込み易かったかなともったいなくも感じた次第です。

         というわけで、上巻、中巻の私のレビューは粗筋中心に書かせて頂きましたが、そこである程度のこの作品が描く舞台、世界を把握して頂き、この下巻のレビューを参考にして読み始めて頂けたら、割と入りやすくならないかなと思い、ややこれまでとは異なるスタイルでレビューを書かせて頂きました。

         良い作品だったと思います。
         大作ですが、興味を持たれた方は、ご自身でお読みになられても損はないと思います。
        >> 続きを読む

        2019/10/11 by ef177

    • 2人が本棚登録しています
      華僑 (岩波新書)

      斯波 義信

      4.0
      いいね!
      •  華僑と言えば東南アジアに住む中国人が一番のイメージに挙がりますが、そのイメージを見事に崩す一冊と言えるでしょう。

         長きにわたって世界で一定の割合をしめ、近現代では経済的・政治的にも大きな影響をもたらしてきた華僑についての概説です。上述したように華僑と言えば東南アジアに移住した中国人のイメージが強く、シンガポールに代表されるようにそれは決して間違いではないのですが、華僑はほかにもオーストラリアや日本、果てはアメリカなどにも数多く進出している人々なのです。アメリカのパシフィック・セントラル鉄道の建設に華僑が大きな役割を果たしたことはその好例と言えます。このように広く太平洋世界に活躍した華僑をそのルーツから探っていく一冊となっています。
        >> 続きを読む

        2017/04/15 by aokaze

    • 1人が本棚登録しています
      彗星物語

      宮本輝

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • かつて”木犀屋敷”と呼ばれた時期もあったくらい敷地の広かった城田家。敦子の夫である晋太郎の事業の倒産で、敷地の3分の2を売って負債の返済に充てたため、残りの敷地に母家を2階建てにして住んでいた。舅の福造、夫の晋太郎、妻の敦子と4人の子供たち、夫の浮気が原因で離婚した晋太郎の妹でめぐみとその子供4人、そしてアメリカンビーグルのフック。さらにハンガリーからの留学生を受け入れることになり、13人と一匹の大所帯となった。舅の福造と自分が犬だとは思っていないふしのある犬のフックとの座る場所争いや、家計が苦しくて自分が大学をあきらめたのに、学費から生活費まで面倒を見て3年間も、留学生を引き受けることになったのは、どういう事なのかと不満を募らせる次女など、どこにでもありそうな日常の風景の中、些細な揉め事は日々おこり、そのたびに、争いの嫌いなフックが「ケンカせんといて・・。」とでもいう様に吠える。でもいくら吠えてもフックにも止められない家族の揉め事もあり、ある出来事をきっかけに長男と長女が家を出て一人暮らしをすることになる。

        親も精一杯生きていて、完璧じゃないし、子供だって毎日が大変で親の悪い所だけに目が行く時期があり、売り言葉に買い言葉でもめてしまう。何処にでもある事なのだけれど、両方の気持ちがわかるだけに
        どちらにも、そうなんだよなぁ~と共感してしまう。
        舅の福造と息子の嫁である敦子の掛け合いは羨ましい感じがした。

        はたして・・この家族はどこに行きつくのか・・
        後半が楽しみです。
        >> 続きを読む

        2014/10/15 by ゆうゆう

      • コメント 3件
    • 2人が本棚登録しています
      殺人よ、さようなら

      赤川次郎

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 【読了日不明】

        一度しかない十六歳の夏、私とママは再び海辺の別荘にやってきた。
        そう、三年前にあの「事件」が起こった場所だ。
        ママも私も事件のことは口に出さず、毎日が穏やかに過ぎてゆく。
        ところが一週間後、新たな殺人事件が発生。
        私とそっくりの服を着た少女が目の前で殺されたのだ。
        そして次々と届けられる奇怪なメッセージ。
        誰かが私の命を狙っている…。
        『殺人よ、こんにちは』から三年、過去の秘密を胸に抱き、ユキがあの海辺に帰ってきた。
        大人への階段を登り始めたユキを再び駆け抜ける、切なく輝く夏の嵐。
        >> 続きを読む

        2013/12/12 by books

    • 2人が本棚登録しています
      華麗なる誘拐 (講談社文庫)

      西村 京太郎

      5.0
      いいね!
      • 人質は日本国民、一億三千万人。
        身代金は5000億円。
        犯人はいかにして、一億三千万人を『誘拐』したのか?

        学生の頃、この設定に惹かれて読んで発想の斬新さに
        驚いた記憶があります。
        奇抜なようで筋が通っている犯人の論理、
        『人質』が殺されても手も足も出ない警察。
        恐ろしく頭の切れる犯人の弱点とは?
        逆転の発想で犯人を追い詰める探偵・左文字の行動が見ものです。
        >> 続きを読む

        2015/04/29 by UNI

      • コメント 1件
    • 2人が本棚登録しています
      日本史をつくった101人

      山崎 正和森 毅伊東 光晴丸谷 才一五味 文彦

      5.0
      いいね!
      •  この本を紹介しようと思い検索したら、なぜか漫画『犬夜叉』の画像がでてきた。懐かしくもあり、笑ってしまった。ちなみに、この本は漫画じゃないよ。気をつけて!

         今まで何度も読み返している一冊。そして、なにかしら新しい発見がある一冊。
         内容は書名のとおり、日本史において影響の大きかった101人を選ぶ話し合い。メンバーは、伊東光晴、五味文彦、丸谷才一、森毅、山崎正和の計5人。まず、二つの選考基準が確認された。ひとつは、教科書的発想を排して、現代の日本人の生活への影響で選ぶ。もうひとつは、本質還元主義はやめる。なぜなら、元祖を辿りすぎると、古い人物ばかりになるから。
         さあ、みなさん。どんな101人が揃ったと思います? わたしは意地悪だから教えませんよ ( ̄∀ ̄) 誰が選ばれたかも興味深いですが、誰が落とされたか、こっちの方が個人的には面白かった。
         しかし、この話し合いのなかで、もっとも卓見だったのは山崎正和さんのこの発言。
         「広い意味での情報を扱う人間が圧倒的に多いね。情報で世の中を動かした人が選ばれている」(選び終わったあとの反省会での一言)
         わたしたちは、正真正銘の情報社会のなかで生きているらしい。これでは、ラリー・ペイジやジェフ・ベゾスといった面々が、世の中をコントロールするのも無理はなかろう。
         
        >> 続きを読む

        2015/01/27 by 素頓狂

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      ドラゴンヘッド

      望月 峯太郎

      講談社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 全十巻読了。
        まあまあ面白かった。
        この先がどうなったのやら。

        2015/07/17 by atsushi

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      オークション・ハウス

      叶精作

      集英社
      4.0
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      • オークション・ハウス 第12/全34巻

        敵組織の中核に乗り込むためロンドンに渡ったリュウを待っていたのは待望の情報だった。

        敵組織の名前の由来が面白く感じた。意外性が有るし、どこかオシャレで。

        ロンドンを拠点として活動する美術品関連の犯罪組織「闇の底(ダークボトル)」。
        そのボスである、全身蛇のタトゥーに彩られたセクシー女性と対面するリュウ。

        何とか信頼を勝ち得ることに成功した彼は、彼らの悩まされている問題の解決を条件に、組織が過去に雇った殺し屋達のリストを入手。
        そして、ついに両親の敵たちの名前を知るに至る。

        普段は無敵に近いハードボイルドな彼が、

        やっと...26年かかって...
        名前がわかったよ、パパ...ママ...

        と、少年のような表情で、下唇を噛み締めつつ、涙をながすシーンが非常に印象的だった。

        以降、両親の敵討ちのため、世界を巡ることになると思うのだが、敵は全部で2人。
        これで、まだ1/3を過ぎた辺り。敵討ちを終えた後の先行きが不安だ。
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        2013/08/25 by ice

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      サラリーマン金太郎

      本宮ひろ志

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
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      • サラリーマン金太郎 第2/全30巻

        金太郎暴走族時代の伝説の大暴走。

        意味は全くわからないのに込み上げて来る涙。不思議な経験としか言いようがない。

        会長の別荘に招待された金太郎。
        帰りの電車で、今はニューハーフをやっている昔の構成員に出会う。

        そこで明かされる伝説の暴走の真実。

        後に結婚することになる明美が乱暴されたのをきっかけに塞ぎこんでしまう。

        犯人に対する憤りと、明美を元気付けるため、関東全域のチームが集結し、最終的には二万台を超える伝説の暴走が始まる。

        途中、地元グループとの衝突。
        メンツを賭けて止めに来る警察との衝突。

        様々な障害を打ち破りつつ、爆走の末、ついに最終目的地多摩川に到着。
        そこに大集結した関東一円の暴走族の前で、金太郎が吠える。

        確かに、このシーンは盛り上がる。
        それはわかるのだが、なんで爆走すると明美が元気付くだろうと言う発想になるのかがわからない。

        不思議だし、笑っちゃうのだが、ボロボロ泣けた。

        会社では、会長派と社長派、そしてそれに連なる中堅層の謀略が水面下で進み、こちらも面白そうだ。
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        2012/12/22 by ice

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      カムイ伝

      白土三平

      小学館
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
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      • いつか読もうと思いながら、なかなか読まずに来たけれど、このところ何カ月もかけてちょっとずつ読んで、今日やっとカムイ伝文庫版全15巻を読み終わった。

        たしかに、カムイ伝を読まずして日本の漫画を語ることはできないと思った。
        日本漫画史上に残る不滅の金字塔だろう。

        江戸初期の、百姓と非人と武士たちをめぐる、大河作品。

        舞台は江戸時代の、ある架空の小藩。

        百姓の正助と、非人のカムイと、武士の竜之進の三人の少年が、いちおう主人公格だけれど、他にも大勢のキャラが登場する一大大河作品である。

        私がわりと好きなのは、笹一角と苔丸とゴンである。
        本当に男の中の男とはああいう人々のことだろう。

        にしても、幕藩体制というのは、なんと非情なものだろうか。
        百姓と非人に対する巧妙な分断政策を見ていると、なんともひどいものだと思う。

        ラストのシーンについては、以前少し話しに聞いたことはあったのだけれど、本当になんとも言えぬ結末だった。

        当時はこんなことも多々あったのかもなぁ。

        福岡や各地にも、義民や百姓一揆の歴史が伝わっているけれど、あらためてちょっとずつ調べてみたいと思った。

        続編の「カムイ外伝」も、ちょっとずつ読んでいきたいと思う。
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        2016/10/08 by atsushi

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      東京発千夜一夜

      森瑶子

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 何度目かの再読。
        25年ほど前に新聞の夕刊に連載されたショートストーリー200話をまとめたもの。文庫化は1995年で上巻には100話収録。

        この短編が連載されていた頃、毎夕がとても楽しみだった。今日はどんな話かなと、ワクワクしながら夕刊をめくったものである。その各話につけられていたイラストも、本書にそのまま収録されているのがうれしい。200話の短編はすべてがバラバラというわけではなく、6つのタイプに分かれている。イラストもそのタイプごとに、6人の個性的なイラストレーターが担当している。

        一話がわずか3ページほどの短編はミステリ風、ほのぼの系、ホラー調や恋愛ものなどバラエティに富んでいるが、都会風のちょっとおしゃれな話にまとまっているものが多い。ブラックなユーモアや哀愁の漂うオチがついている話もあり、どこから読んでも気楽に楽しめる一冊。

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        2017/11/07 by Kira

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      東京発千夜一夜

      森瑶子

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 下巻。何度目かの再読。200話のうちの残り100話収録。
        第117話から私立探偵竜門が定期的に登場する。フィリップ・マーロウを気取っているのだが、いかんせんドジな探偵で笑わせてくれる。

        本作を読み返すたびに思うのだが、新聞連載でショートストーリーを毎日書き続けるというのは、たいへんなエネルギーを要するのではないだろうか。締め切りに追われながらアイデアもプロットもひねり出さなければならないだろうし、限られた字数に合わせて起承転結と、それなりのオチも考えなければならないだろう。それをおよそ8ヶ月繰り返し、数年後の1993年7月に森瑤子氏は永眠している。毎夕ワクワクさせてくれた氏に感謝すると共に、心から冥福をお祈りする。

        >> 続きを読む

        2017/11/12 by Kira

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      吾輩ハ苦手デアル (新潮文庫)

      原田 宗典

      5.0
      いいね!
      • 声をだして笑うぐらい可笑しかった。

        あるある~と思うことばかりで共感できたり、言われてみれば…と気づかされたりととにかく面白かった。

        ふざけた文章が軽くて良かった。

        著者の子供のころの話なども、当時の生活や子供たちはどんな遊びをしていたのかなど読むのもとても私としては微笑ましくて、もっと聞きたい!と思った。

        たぶん著者は私の父と同じ世代かな?

        父から聞く、子供の頃の遊び方の話とかぶる部分がいくつかあるのできっと同じ世代だ。

        父もそんな風な子供時代を過ごしてたんだなぁと思うと素敵だ。
        もっと知りたい。
        >> 続きを読む

        2016/03/14 by snoopo

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      おとり捜査

      FreemantleBrian , 真野明裕

      新潮社
      4.0
      いいね!

      • ブライアン・フリーマントルの「おとり捜査」を読了。
        この作品は、多国籍ビジネスの最前線を迫真的に描いた、優れて今日的な経済小説だ。

        主人公のファーは、ウォール街の一流投資コンサルタントだ。
        ある日突然、とんでもない災厄が彼を襲うのだった。

        意思に反して「FBI対マフィア&コロンビアのコカイン・ブローカー」の戦争の先端に立つことになる。
        高校生の息子が、麻薬密売人として逮捕され、彼の免訴と引き換えに協力を余儀なくさせられるのだ。

        一人息子は罪を問われるだけではなく、重症の中毒患者にもなっていた。
        息子を救うためには、政府機関との取引に応じるしかなかった。

        ファーは、その専門領域での実力を発揮し、特殊な作戦での工作を引き受けるのだった。
        巨額の麻薬マネーの投資についての相談窓口となるのだ。

        ダーティ・ビジネスのダーティ・マネーを合法化するためのロンダリングを専門とする仲介企業だ。
        国情も違い、法制度も違うので、わかりづらいところもあるが、これは表の経済と裏ビジネスとの相互依存という厳然たる事実がなければ、成り立たない話なのだ。

        こうして、作戦は成功したかにみえた。狡猾な麻薬屋たちも、うまく罠に食らいついてくる。
        しかし、司法の側は、仕掛けが不十分だと難色を示すものだ。

        更なる危険なアプローチに取り組まない限り、彼は政府の後押しを得て、非のうちどころのないマネー・ロンダリング機構を作っただけという、皮肉な結果に甘んじなければならなかった。

        そのように、計画は少しずつ目算を外れていくのだった。
        そして、結末は、いかにもこの著者らしい、暗いアイロニーに満ちている。

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        2018/10/27 by dreamer

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      砂男

      種村季弘 , FreudSigmund , HoffmannErnst Theodor Amadeus

      河出書房新社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 「砂男」とその周辺文化~「言葉の恐さ」


         E.T.Aホフマンの怪奇短編小説である「砂男」は、極めて恐いお話です。本編の主人公・ナタナエル少年は、子どものころから「恐ろしい」お話を聞かされます。「あんまり寝ないでむずかっていると、砂男が眼に砂をこすり付けにくるよ、だから早くお眠りなさい」というような定型文句だったのですが、乳母の女性に「砂男って何?」と訊くと、「あれはおそろしい男でな、子供たちがお寝んねしねえで駄々をこねていると、そこへやってきて目ン玉のなかさ砂を一つかみ投げ込んでくだ。そうして目ン玉が血だらけになってギョロリと飛び出すと、それを袋に入れて、半月の夜に自分の子供らの餌食に運んで行くだよ。・・・」


         このお話を聞いたナタナエルは慄然とします。なぜなら、毎夜のように、ナタナエルが寝る時間になると、階段をぎしぎしゆらす来訪者の気配があったのです。それは、ナタナエルの父を訪ねてくる弁護士・コッペリウスだったのですが、ある夜、コッペリウスの来訪中、父が爆死するという惨事があったあとは、コッペリウスも来なくなり、砂男に関する関心も消えていきます。


         ただ、ナタナエルはあくまで不運です。場所を変え、こんどは絶世の美女と恋仲になります。コッポラという晴雨計販売商人から大枚のお金を払って買った望遠鏡でその女性を垣間見るのですね。その女性・オリンピアは特に瞳の美しい美少女でしたが、(それはナタナエルには気付かぬことでしたが)、彼女はスパランッァーニ教授という人物が作った精巧な人形だったのです。


         このオリンピアをめぐってコッペリウスとスパランッァーニが争い、人形はバラバラになり、目がナタナエルに投げつけられます。ここに、かねてより持っていた砂男の記憶と、愛した女性が人形だったというダブル・ショックでナタナエルは発狂してしまいます。
        「フイー――フイー――フイー!――火の輪よ――火の輪――火の輪は回れ、ぐるぐる回れ――楽しいな――面白いぞ!――木のお人形さん、フイ、きれいな可愛いお人形さん、ぐるぐる回れ――」(こういいいながらスパランッァーニ教授の首を絞めますが、騒ぎに訪れた群衆に捕らえられ精神病院に入れられてしまいます。)


         精神病院を退院したナタナエルは、また別の機会にコッペリウスに遭遇し、こんどは高いところから身を投げ、頭がこなごなになって死んでしまいます。「はァ!きれいなおめめ――きれいなおめめ」と金切声をあげながら。ここに、コッペラ(コッペリ)とはラテン語で「眼窩:目の入る頭蓋骨の窪み」という意味で、まさに砂男と大いに関連性がある名称です。(コッペリウスとコッポラは大体同一人物として描かれているようです。)


        以上は「砂男  無気味なもの」(種村季弘 訳)がソースです。怪談なみに恐いお話です。
        「無気味なもの」はG.フロイトの評論です。


         ところで、「砂男」のモチーフは、ひろく西欧に広がっているのだと思います。たとえば、バレエ「コッペリア」は、ナタナエルによって生命を与えられたオリンピアのお話で、

        ・・・・・・
        パリ・オペラ座で1870年5月25日に初演された。E.T.A.ホフマンの物語『砂男』にヒントを得たもので、台本はサン・レオン自身とシャルル・ニュイッテルによる。『砂男』は人形に恋した男の狂気性を前面に押し出した物語であるが、『コッペリア』はその狂気性を抑え、陽気で明るい喜劇として再構成されている。
        ・・・・・・
        Wikipediaより。

        さらに、私が大学教養課程にいたころ、子守歌集であるマザー・グース(:Mother Goose)(フランスではマ・メール・ロアと呼ぶ)の楽譜集を読んだことがありますが、そこに砂男の歌も載っていた記憶があります。「砂男」を書いたのはドイツ人のホフマンですから、おそらくドイツ圏にもあるでしょう。今はその本が手元にないので以下を引用します。

        ・・・・・・・
        眠りを擬人化した名前には、Wee Willie Winkieの他にも
        SandmanやDustmanなどがあります。
        Sandman(砂男)は、子供の目にすなをまき、子供を眠りに誘う睡魔で、眠くなると子供があたかも目に砂が入ったかのように目をこすることから名付けられました。
        ”The sandman is coming.”と言えば「ああ眠くなった」という意味。
        ・・・・・・
        http://blogs.yahoo.co.jp/risingforce12001/16287239.html  より

        今日のひと言:眠気を誘ったり、寝かし付ける際の言葉は本来中立なはずなのに、人によっては劇物、毒物になるという例ですね、ナタナエル。「言葉は恐い。」
        >> 続きを読む

        2012/08/26 by iirei

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      アリはなぜ一列に歩くか (ドルフィン・ブックス)

      山岡 亮平

      5.0
      いいね!
      • いつ読み終わったか忘れたのですが、とにかく面白い本です。(^^)

        2017/01/21 by とりゴロー

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