こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


1995年8月発行の書籍

人気の作品

      夏姫春秋

      宮城谷昌光

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 春秋時代の戦国騒乱の世を舞台に、妖艶なる美女夏姫をめぐる男たちの数奇な運命と、自分の美貌に翻弄され続けた夏姫が、天下の覇権を手にした楚王のもとで、天与の伴侶、巫臣と出逢うまでの波乱万丈の人生を描いた、この宮城谷昌光の三作目の長編小説「夏姫春秋」は、第105回の直木賞受賞の何度繰り返し読んでも、その都度あらたな発見のある、そんな見事な歴史小説です。

        彼の第一作目の長編小説「王家の風日」が、なぜ、受王(討王)は、酒池肉林のような狂態を行なったのか、第二作目の「天空の舟」が、なぜ、伊尹は湯王と桀王の間をしばしば往来し、敵対する二人の王に仕える事が出来たのか、という疑問に対する自分なりの答えとして、作者の宮城谷昌光が書いたと語っているように、この「夏姫春秋」は、なぜ、夏姫を撫有した者は次々と奇禍に遭い、巫臣だけがその災厄から免れたか、という事に対する答えとして書かれているのだと思います。

        この疑問に対する解決は、この作品において夏姫をどのように描くかという事は、後に楚王が、「夏姫は、風伯を体内に宿しているらしい」というように、夏姫は天が遣わした「風」として描かれています。

        この作品の題名にある「春秋」とは、歳月に通じ、この作品は夏姫という「風」に吹かれた、突き詰めて言えば、夏姫という太陽に照らし出された星々である男たちの物語なのだと思います。

        男たちが妖星を見るのは、「風がまったくない静かな夜」であり、彼らは、「緑翠の風を胸いっぱいに吸いこんで」出陣して行くのです。この時、彼らは好むと好まざるとにかかわらず、夏姫が送り出す「風」の中に、いわば、彼女を中心とする"宇宙"の中にいるのだと思います。

        その中で、巫臣は夏姫と会う直前に、「天は明るいのに、風が暗い、と感じたこと自体、奇妙なことであった」と思いをめぐらし、夏姫を一目見るなり、「その性、童女なり」と断じ、唯一、彼女の心の中に入ろうとした人物だったのだと思います。

        そして、巫臣は神と対話の出来る祭祀の官であり、ここに至り、"陰陽、日月"が一体となって夏姫の不幸に終止符が打たれるのは、当然の帰結だろうと思うのです。

        それでは、作者の宮城谷昌光は、なぜ、夏姫を「風」として描いたのか、という事を考えてみると、この作品における夏姫の描写といものは、詳細でなおかつ簡潔であるにもかかわらず、時には"抽象的"ですらあると感じるのです。

        恐らく、この作品で作者が描こうとしたのは、夏姫を余白を持って、あるいは、"描かないで描くという手法"ではなかったのかと思います。悪女として歴史上の汚名と共にある夏姫----。

        彼女を救済するには、目に見えないもの、すなわち「風」にでもするしかなかったのではないかと推察出来るのです。そのため、この作品のラストの一文で吹く「風」の愛らしくも、かそけき描写が生きてくると思うのです。

        絶世の美女、夏姫を描きつつも、物語を通して一つの"宇宙観の創造"に至る、この「夏姫春秋」という作品は、類まれなる傑作であり、宮城谷昌光の作品特有の"馥郁たる豊穣なロマンの香り"を余すところなく描いた、見事な歴史小説だと思います。
        >> 続きを読む

        2016/09/12 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      台所のおと

      幸田文

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね! niwashi
      •  この短篇集では、病気と食べ物と家族、夫婦がクローズアップされます。

         「台所のおと」は、料理人をしている佐吉という男が病気で寝込む。3人目の妻である、あきが立てる台所のおとに敏感になる佐吉。

         料理を味ではなく、音で表現、出来たものでなく作る課程でたてる音に敏感に、粗雑だ、とか、丁寧だとか何を洗っていると敏感にならざるを得ない病気で寝ている身という設定にうなる。

         これが普通に働いている時はそんなに気にならなかったでしょうが、台所の鍋を、食器を扱う音に耳をそばだてる夫。それが料理人という仕事である怖さ。

         前の2人の妻が料理で、台所でたてる音は佐吉にとっては、耐えがたい、許しがたいものでした。

         「食欲」という短篇では、やはり病気になった夫を看病する妻がでてきます。

         夫婦といっても、もう離婚を考え始めたような微妙な時に、結核で夫は病院に入院。かいがいしく看病し、入院や薬や手術の費用に奔走する妻。何度も、妻はもう嫌だな、なんか急にかいがいしくなる自分が嫌だ、と思うのですが、わがままを言って困らせる夫。

         最後に手術が成功して、快方に向かう時に、夫がみせる食欲は、「自分しか考えてない」そのもので、この夫婦のあやうさを旺盛な食欲でもって描きます。

         美味しいとか、見た目がきれい、といった結果や表面でなく、その作る課程の音や食欲の影にある思惑、人間の食欲というものを別の面から、冷静に見つめ、描写する。

         また、匂いや温度など体感といったものの使いかたの上手さもあります。

         「草履」という短篇で息子の病気に苦労する母が出てきます。
        その母は、金策に苦労する訳ですが、最後にはなんともいえない余韻を持ちながらもおさまるところにおさまる。苦労というものをさんざしてきた女の内面の言葉で短篇は終わっています。

         「若い女のひとは、春の感じの人も秋の感じの人もいます。
        それがおばあさんになると季節から外れて、無季の女といったふうになります。私は当分、焚火のにおいを身につけている女でありたく思うのです」

         若い頃、知らず知らずに季節感を体から出している女たち。そして焚火のにおいを身につけている女になりたいと願う、ささやかだけれども的確な言葉でもってその気持を表す。

         幸田文のこの短篇集の女たちは、若さを謳歌する、というより焚火のにおいを身につけている女たちです。
        >> 続きを読む

        2018/07/08 by 夕暮れ

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      真夜中の時間割 (角川ホラー文庫―転校生)

      森 真沙子

      4.0
      いいね!
      • 森真沙子の「転校生」に続いて、「転校生2」とサブタイトルの付いた「真夜中の時間割」を読了。

        前作の「転校生」は、少女小説風の抒情味と作者の森真沙子ならではの"奇妙な味"が、絶妙に配合された作品だったと思う。

        そして、今回の「真夜中の時間割」は、新卒の女性教師を主人公に据えることで、前作とは異なる角度、つまり教師の視点から「学校の怪談」を描いているんですね。

        電脳怪談、音楽怪談、過去への帰還、前世の誘い----いずれも話の展開に意外性があり、完成度はこの作品の方がずっと高い。

        修学旅行の夜の怪談話大会の盛り上がりを、そのまま作品化したような「百鬼の夜」は番外篇といった趣ですが、作者持ち前の"怪談愛"があふれていて、特に印象に残りましたね。

        なお、この作品は前作と単なる続篇以上の因縁めく関係にあるんですね。
        それが何なのかは、もちろん読んでからのお愉しみにしておきましょう。
        >> 続きを読む

        2018/05/10 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      らせん

      鈴木光司

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 読了日はダミー。

        リングの続編という事で、リングのオチに非常に満足していた私は期待せず読み出した覚えが。
        裏切られましたねぇ。
        一気に話が大きくなり、それでいて壮大には破綻していない。
        後に映像化され貞子のブームが来るのも頷ける内容でした。
        絶望的なオチも相変わらずで見事な鈴木光司ワールド。
        >> 続きを読む

        2013/03/04 by loki

      • コメント 5件
    • 1人が本棚登録しています
      あの夏に…

      折原みと

      講談社
      5.0
      いいね!
      • 【読了日不明】

        暮林エリカ、16歳。職業・アイドル。
        終戦50周年記念の映画、『HIROSHIMA・1945』に初主演することになったあたしは、なんと撮映中にタイムスリップ。
        昭和20年7月の広島で、ひとりの男の子と出会ったの。
        広島に原爆が落ちるまで、あと1か月。どうしたら、もとの時代に戻れるの。
        だけどあたし、いつのまにか…50年まえの日本で、“彼”を愛してしまったんだ。
        >> 続きを読む

        2013/12/12 by books

    • 1人が本棚登録しています
      白秋

      伊集院静

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 鎌倉を舞台にした、美しい小説だった。

        27歳になった真也は子どもの頃からの心臓病で、病院生活を繰り返し、鴨川の病院から連れて来た志津という看護婦と鎌倉の家で静養している。
        治る見込みのない生活の中で、志津は、月見廊下に花を活けて真也に見せようと思いつく。
        数軒先に高名な生花の師匠が居て、そこから文枝と言う娘が花を活けに通ってくることになった。

        活けられた花を見て、信也はぼんやり幻のように見た女性が現れて花を活けているように思う。
        野の花をあしらった生花の飾り気のない美しさ、文枝が身に纏った雰囲気まで、彼が待っていた女性だった。

        信也はアメリカの移植手術が成功したというニュースで、文枝との淡い未来を夢みる、しかし患者が7ヵ月後になくなったということを知る、常に背後から死の足音を聴き続けたような毎日が、また続く、かすかな希望が崩れていく、彼の絶望感が痛々しい。


        恋に落ちた二人に気がついて志津の嫉妬は狂気を帯びてくる。外に風に当たるだけでも体調を壊して寝込む信也は、文枝に会うために志津の目を盗んで浜に月を見に出る。出入りの道具屋の機転で、二人は出会い、結ばれる。


        と言う少し現代の恋愛小説には珍しい純愛が、静かな美しい文章で書かれている。鎌倉に咲く季節の花、特に野山の何気ない花が、陶器の一輪挿しや竹かごに活けられる、月見の夕べはすすきに白い桔梗、時には白萩や吾亦紅、山から摘んできた杜鵑、ひよどり草、竜胆などが信也が住んでいる家の書斎や茶室、築山を配した庭などにしっとりと馴染んでいる。

        慌しい現代の恋愛に比べて、病身の青年と和服の似合う女性という組み合わせに、どことなく距離感があるにしても、この品のいい作品を何かの折に心静かに読みかえしてみたい。



        道尾さんの「月と蟹」を、読み込まれて書かれている上に、子どもたちの住んでいる鎌倉の、風景や海の香が漂う解説を読んで、伊集院さんのこの「白秋」を読んでみたくなった。

        一度は読んでおかないといけないと思ながら漏れているものがまだまだ多い。
        >> 続きを読む

        2015/03/10 by 空耳よ

      • コメント 10件
    • 3人が本棚登録しています
      創竜伝

      田中芳樹

      講談社
      3.0
      いいね!
      • アメリカへとやってきた竜童四兄弟の前に、地球の闇の支配者・四姉妹の手が伸びるが――!?

        今回、超能力部隊が登場します。
        得kが枯れている経歴などからして彼らはすごいエスパーだったのでしょう。
        けれど、竜童兄弟の前では形無しでした(笑)

        竜童兄弟はもちろん、大人3人組+松永くんのやりとりが好きだなぁ。

        【http://futekikansou.blog.shinobi.jp/Entry/216/】
        に感想をアップしています(2010年11月のものです)
        >> 続きを読む

        2014/03/07 by hrg_knm

      • コメント 6件
    • 3人が本棚登録しています
      長崎オランダ村

      村上龍

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 「69」の続編。
        ケンとナカムラが中年になっている。
        二人は、ひたすらに食べ、ひたすらに飲み、またひたすらに語り合う。
        読んでいてお腹が苦しくなってくるから不思議である。
        村上龍のエッセイを読んでいるような感覚にもなる、
        ちょっと変わった小説である。
        「69」を読んでなくても楽しめますが、できれば両方読むことをおススメします。
        >> 続きを読む

        2014/06/13 by che_k

      • コメント 3件
    • 2人が本棚登録しています
      夏姫春秋

      宮城谷昌光

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 中国の悪女として伝えられている絶世の美女、夏姫。
        悪女と言われる夏姫を、ではなぜ彼女は巫臣だけは死ななかったのか。という点で書かれている作品。

        絶世の美女なのに、悲惨な人生を送っている彼女を知り、一国の王の娘であっても、女性は道具として扱われてきたと感じた。

        この小説には主役の夏姫本人はあまり登場しない。
        夏姫から風を感じることができる、と書くこの小説には、本人よりも風の描写が多く書かれている。
        どの場面にも夏姫を感じることができるのかもしれない。それを思うと読み返したくなった。
        >> 続きを読む

        2011/09/02 by bob

    • 3人が本棚登録しています
      ハウス

      谷村志穂

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 連作短編集。
        1話目の脇役が2話目で主人公、
        2話目の脇役が3話目の主人公って具合に話が進みます。

        各々が自分の人生のなかでは自分が主人公。
        これと言って面白いって話じゃないけど
        人それぞれ…それなりに生きてます!(b^ー°)


        連作短編ってのは結構好き
        みんなそれぞれ自分の人生をそれなりに生きている(●´ω`●)ゞエヘヘ
        >> 続きを読む

        2012/07/04 by あんコ

      • コメント 4件
    • 2人が本棚登録しています
      聖女チェレステ団の悪童

      中嶋浩郎 , BenniStefano

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 孤児を主人公にした文学作品って結構あるもんですよね。
        思うに、やっぱり我々は、孤児の話が好きなんだろうって思いますね。

        なぜかと考えてみると、それはひとつには、大抵の人は主人公が成長する話を好むからという理由が挙げられるかもしれませんね。

        家庭というバックグラウンドを背負わない孤児の場合、その成長のさせ方の自由度が増すから、作者は書きやすいし、そして読者も楽しいだろうという訳なのでしょう。

        そして、忘れてならないのは、やっぱり憧れなんだと思う。
        「あーあ、ハックルベリー・フィンや長靴下ピッピみたいに、自由きままに遊んで暮らせたらなあ」と思わない子供時代を過ごした人がいるだろうか。

        私たちは皆、その実情は無視して、孤児になりたかった、と-------。

        このステファノ・ベンニの「聖女チェレステ団の悪童」にも、うっとりしてしまうくらい自由きままな孤児たちが登場するんですね。

        しかも、彼らはストリート・サッカーの名手だ。
        このストリート・サッカーというのは、通常のサッカーと違ってプレイヤーは5人。

        芝目の揃ったグラウンドなんてとんでもない、路上やドロドロの空き地といった悪条件の下で行なわれ、大抵の反則は許されるという、実にアナーキーなスポーツなのだ。

        不慮の出来事でプレイ自体ができなくなれば「コトニシヨウ」方式の試合さえ行なわれる。
        言ってみれば、想像によるゲーム。「〇〇というプレイをしたことにしよう」と言葉を応酬し合って決着をつけるわけなんですね。なんか実にいいなあと思いますよね。

        我らが愛しの孤児たちは、そのストリート・サッカー世界選手権に出場するため、肥溜めみたいに不愉快な聖女チェレステ孤児院から脱走するのです。

        追手は孤児脱走などという不祥事がバレては困る教会サイドと、謎に包まれたストリート・サッカー選手権の開催場所を突き止めようとするマスコミ。

        主人公たちは、仲間を増やしながら、敵のフェイントをかいくぐって、世界選手権に出場するのだが-------。

        教会や政治、マスコミに対する風刺も織り込まれていて、転がり続けるサッカーボールそのものといってもいいほどの饒舌かつ予測不能な語り口とは裏腹に、硬派なメッセージも読み取れるんですね。

        けれども、あくまでもこの作品の本領は、孤児たちの悪童ぶりと痛快無比なホラ話にあると思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/08/17 by dreamer

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      花より男子(だんご) (11) (マーガレットコミックス (2383))

      神尾 葉子

      3.0
      いいね!
      • 花より男子11巻。

        ティーンオブジャパンに出場するために2週間、華道に茶道、英会話と猛特訓するつくし。これだけ徹底的に投資をして女を磨くっていいなーなんてちょっと羨ましくなってしまう。

        そして大会本番!

        展開は今に始まったことではないがもはや現実的ではなく、おいおいと突っ込みたくもなるが、根っからのお嬢様ではないつくしが頑張っているのは応援したくなる。

        次はいよいよティーンオブジャパンラストの3次審査へ!
        >> 続きを読む

        2014/08/15 by sunflower

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      るろうに剣心 - 明治剣客浪漫譚 - 巻之六 心配無用

      和月伸宏

      集英社
      4.0
      いいね!
      • るろうに剣心 第6/28巻

        石動雷十太編、月丘津南編に加え、番外編「戦国の三日月」を収録。

        石動雷十太は何なの!尻すぼみ感がガックシ...

        余りにもしょうもない石動雷十太は語る点も無いが、弟子?の塚山由太郎が今後の伏線になったので良しとしたい。

        月丘津南編に関しては、相楽左之助。いや、相楽総三の存在感がグッと来た。
        決して変な意味では無いのだが、美形で少し線が細い王子タイプのキャラが好きなので、彼のルックスは、まさにそれを満たしてくれる。

        既に亡くなっている人物だが、番外編とか外伝とか言う形ででも、彼が颯爽と暴れまわる姿を見てみたいものだ。

        番外編「戦国の三日月」も、これまた好みのキャラクター比古清十郎が登場。
        宝刀「冬月」が作り出す三日月のシーンには痺れてしまった。

        わずかなページ数なので、正直物足りなさは残るのだが、三日月のシーンを持って来られては大満足と言わざるを得ない。

        1巻毎にレビューを書いてから次を読んでいるのだが、正直ドンドン先を読みたくて仕方が無い。
        >> 続きを読む

        2012/09/20 by ice

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      トーマの心臓

      萩尾望都

      小学館
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね!
      • 心に残る作品だった。

        最後まで読むと、けっこういろいろ考えさせられる。

        自分の来し方をいろいろ反省させられた。

        なかなか、人は誰しも不器用で、愛を受け容れることも、与えることも、必ずしもうまくできない時もあると思う。

        しかし、心の戸口に立っていつも戸を叩き続けている、「愛」ということに気付くか、気付かないか。
        あるいは、気付いて戸を開けるかどうか。

        それが、人生には、自分自身にとって、とても大切なことなんだろうなぁと思う。
        >> 続きを読む

        2014/03/30 by atsushi

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています
      訪問者

      萩尾望都

      小学館
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね!
      • ある方から以前いただいた一冊で、とても面白かった。

        表題作は『トーマの心臓』の番外編で、これも面白かったのだけれど、他の三作品もとても心に残る良い作品だった。

        「城」の中の、人は自分の城を自分の石を積み重ねて心の中につくるけれど、それは白と黒の両方がそろってないと本当はいびつなもので、良い心も悪い心もしっかりバランスよく自分で理解して整理していないと、どちらかだけというのはありえないというのは、なんだか考えさせる話だったし、たしかになぁと思った。

        また、第二次大戦のパリが舞台が「エッグ・スタンド」の、生も死も愛もきわどいところにある、というメッセージは、なんだか胸に迫るものがあった。

        「天使の擬態」も、良い作品だった。

        萩尾望都は、人生の難しさや人間のあやうさや業について、さらっと鋭く描いているところが本当にすごいもんだと思う。
        >> 続きを読む

        2014/06/15 by atsushi

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      月と六ペンス

      サマセット・モーム , 大岡玲

      小学館
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 有名な本はとりあえず読んでおこう、と図書館で借りたんですが、

        1ページの字数が少なくて字も比較的大きい。あれ?子ども向け?と思いながら読み、、、あとがきを読んで、これ、原作の3分の2弱しかないそうです^^;。内容はわかったんですが、ちょっと残念。ちゃんとしたのを読んでみたいと思いました。

        芸術家小説というのは、
        >だいたい、この種の小説に登場する芸術家で人格円満な者はいないと相場は決まっていて、常軌を逸した行動、狂ってるかのごとき情緒不安定、一途な情熱といった要素を必ず持っている。

        と訳者があとがきで書いているが、「ジャン・クリストフ」もそうだったな、たしか・・・。

        このストリックランドも、なんちゅう非道い、自己中人間。普通に生活してる人間から見ればそう見えます。

        タヒチは彼にとっていい場所だったのでしょう。でも、いきなり妻や子どもを捨ててしまう、親切な友人の妻を寝取って無慈悲に捨てる、、、傍若無人で、人の親切にも嫌悪感丸出しの振る舞い、、、絵を描くためなら何やってもええんかいっ!て思うわ。

        自分の人生を生き切る…って、自己中人間は結局本当の幸せを感じることはできないんじゃ? だって、”自分”に縛られてて自由じゃないから。

        けれど、きっと彼は世の中の常識が嫌になって、何もかもから(特に女性や家族や世間)自由になりたかったんだろうなあ、と思います。自分を放っておいてくれることを望む、てところはわからなくはない。ただ社会に暮らすと難しい。なので、100%嫌なヤツとは思えない、ちょっと気の毒な人。”自分”からも解放されればもっと楽に生きられたんだろうけど。

        ちなみにゴーギャンはここまで非道い?人ではなかったそうです。
        ついでに、月は芸術 六ペンスは俗世間を表してるそうです。


        ・・・カットされてないのをもう一度読んでみようかな?でも、けっこう面白かったです。
        >> 続きを読む

        2015/10/13 by バカボン

      • コメント 1件
    • 1人が本棚登録しています
      上意討ち心得 (新潮文庫)

      滝口 康彦

      4.0
      いいね!

      • 滝口康彦の「上意討ち心得」は、八篇の作品からなる、士道小説の傑作だ。

        逼迫して、食えなくなった浪人が、貧窮の果てに、大名屋敷の門前で切腹をさせてくれと申し出、金子を貰い受けることを思いつくが、かえって竹光で腹を切らされてしまうという、武家社会の底辺にある残酷さを打ち出した「異聞浪人記」。

        一度、藩士に下げ渡した愛妾を、藩の都合でもう一回、藩主が召し上げてしまうという、封建君主批判を込めた「拝領妻始末」など、著者の滝口康彦は、武家社会の掟の厳しさや非人間性という視点から、常に作品を世に問うてきた作家だと思う。

        「異聞浪人記」は、小林正樹監督、仲代達矢主演の「切腹」で、また「拝領妻始末」は、小林正樹監督、三船敏郎主演で映画化され、ともに日本映画史に残る屈指の名作として、忘れ難い印象を残してくれました。

        当時、映画界は、講談調の東映時代劇が衰退し、折からの忍者小説や残酷もののブームに歩調をあわせ、シリアスな政治劇や封建体制下の矛盾をついた作品が、数多く作られるようになっていました。

        そうした意味合いから、映像畑においても、武家社会の暗黒面に目が注がれていった時代で、この後、世相的にも管理社会の問題が露呈してくることを考えれば、これらの作品の映画化が、時代を先取りしていたことは注目に値すると思う。

        表題作の「上意討ち心得」に関しても、上意討ちとは本来、討手の事情を挟むことの許されない至上命令であり、殺人という行為を、主君の一言で遂行したその後に、一つの問題が生じるというように、作品的にもひとひねりがしてあるのがミソと言えると思う。

        著者に関して言えば、なぜ特権階級の武士のことばかり描くのか、という質問に対して、「彼もまた人間であるから」と答えたそうです。

        今日的な視点から、侍を封建時代の象徴として捉える、というのは、ある意味、簡単なことだろうと思う。
        そしてまた、武士道を賛美するのも容易なことであろう。

        だが、それよりも以前に、彼らは武家社会という枠組みの中で、この本に収録された諸作に見られるような生き方しか許されなかったのだ。

        その中で、彼ら侍が、人間としてどのように叫び、悩んだのか。
        それが、滝口康彦の作品のテーマになっているのだと思う。

        冷徹な筆致によって綴られた歴史の実相が、ひしひしと私の胸に伝わってくる、読み応えのある作品集でしたね。

        >> 続きを読む

        2019/05/25 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      アガタイトの葬列 (新潮文庫)

      クレイ レイノルズ

      4.0
      いいね!

      • クレイグ・レイノルズの「アガタイトの葬列」は、不思議な小説だ。
        とりたてて、どうということもないのに、つい読み耽ってしまう。

        舞台は、テキサス州の小さな町。保安官エイブルとひょんなことから銀行強盗に身を堕とすブリードラヴ。
        この二人の男が一応主人公だが、その間を縫って、この町に住む人々の視点が随所に挿入される。

        農場主と結婚して後悔している人妻、人生に何の情熱も持たない金物屋、浮気に積極的な牧場主の妻、大学に進むことを夢見る青年と、その希望を打ち砕く銀行家、そして淫乱な夫婦。

        それらの人物のエピソードと述懐が何の脈絡もなく、次々に語られていく。
        これは、町全体を描く時によくあるパターンで、決して珍しくはない。

        若い女性の惨殺死体が発見され、保安官エイブルがその捜査に乗り出すという縦糸があり、さらに時制がごちゃごちゃになっているという仕掛けもあるが、それも取り立てて言うほどのものではない。

        これらの様々なエピソードが、クライマックスに一直線に向かっていくのも、この手の小説にはよくあるパターンだ。
        つまり、ことさら目新しい手法ではないんですね。
        それに強烈な謎があるわけでもない。
        ところが、読み始めるとなぜかやめられないんですね。

        それは、流されて流されて、遂には銀行強盗にまで身を堕とすブリードラヴの描き方に現われているように、"人生の曲がり角の風景"をこの著者が鮮やかに描いているからだ。

        例えば、ハイスクールのフットボールの花形選手と結婚したはずなのに、毎日が育児と労働に追われ、夫との会話もなく、人生に何の希望も持てない農場主の妻がいる。

        こんなはずじゃなかったという彼女の思いは、ブリードラヴにも共通するものだ。
        しかし、夫には夫の言い分があって-----という風にドラマが濃いのがこの作品の核の部分だ。

        ほんのちょっとした違いで人生が狂い始める風景を、鮮やかに描いていて、実にうまい。
        ラストで噴出する狂気が、この町を特殊なものに見せてはいるが、実はこの町に住む人々はまぎれもなく私たちなのだ。

        地味な小説だが、そういう"普遍的な力"を物語の底に隠していると思うんですね。

        >> 続きを読む

        2019/01/19 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      スキップ

      北村薫

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • おもしろかった。

        17歳が42歳にスキップ!


        教師として教えれるのかなと思ったが、どうにか慣れてむしろフレッシュで周りにいい影響を与えてる。でも、仕事ってはそういうとこがあると思う。持ってる責任感・意欲・素質も?、があれば、時間・経験も大事だけれどそれを上回る。

        家族との関係では本人はもちろんだが、娘も夫もつらいかと。夫が垣間見せる妻への思いがせつなくていい。夫とはこれから時間をかけると、夫婦のように男女の関係に戻っていくのだろうか?

        三部作?のようなので、次も読みたい。
        >> 続きを読む

        2017/04/29 by Matching

    • 3人が本棚登録しています
      ホワイトアウト

      真保裕一

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • タイトル買い。

        まさに息をも付かせぬといったテンポの良さ。
        ストーリーもキャラも設定も高レベル。

        あえて文句を付けるならちょっと詰め込み過ぎか。
        途中のエピソード1つくらい削ってもよいかも。
        >> 続きを読む

        2014/01/28 by ud_4771

      • コメント 2件
    • 5人が本棚登録しています

出版年月 - 1995年8月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本