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1996年7月発行の書籍

人気の作品

      孤島パズル 現代日本推理小説叢書)

      有栖川有栖

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね!
      • アリスとマリアのやり取りには
        『爆発しろ!』と言いたくなりますが、
        学生アリスでは一番お気に入りの作品。

        クローズドサークルであり、パズルと銘打つに
        相応しい論理的なトリックと推理。悲しい人間ドラマと
        犯人の動機。
        自分が推理小説に求めるものが全て備わっています。

        作家アリスが実写ドラマ化されたので
        こっちも見てみたいですね。
        >> 続きを読む

        2017/08/16 by UNI

    • 他2人がレビュー登録、 16人が本棚登録しています
      じぶん この不思議な存在

      鷲田清一

      講談社
      4.5
      いいね!
      •  私達は自分が今、ここにいるというしっかりした感覚をどうしたら抱くことができるのだろう。<私>というものは≪他者の他者≫としてはじめて確認されるものだ、私達の「誰」はむしろ、他人との関係のなかで配給される。私が私自身であるためには、彼(あるいは彼女)が必要である、

         他の人が彼(あるいは彼女)自身であるためにはどうしても私が必要となる。レインによれば、人は自分の行動が<意味>するところを他者に知らされることによって教えられる、自分の行動が他者に及ぼす<効果>によって自分が何者であるかを教えられるのである。
        >> 続きを読む

        2014/09/02 by カカポ

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      センス・オブ・ワンダー

      上遠恵子 , レイチェル・ルイーズ・カーソン

      新潮社
      カテゴリー:科学史・事情
      4.5
      いいね!
      • 文章量も少なく、写真が多用されたコンパクトな本

        読書疲れを癒やす本として利用するつもりだったけど
        今年5本の指に入るほど得るものはあった

        タイトルのセンス・オブ・ワンダーとは
        神秘さや不思議さに目を見張る感性という意味

        要は子供の頃の何にでも感動した体験、いつまでも飽きずに自然を観察し続けた感性を
        もう一回見なおして呼び起こせたら素敵ですという本

        心に響いたところは

        ・知ることは感じることの半分も重要じゃない

        ・美しい物を美しいと感じる力、新しいもの未知のものに触れた時の感激、思いやり、憐れみ、賛嘆、愛情など様々な感情が呼び起こされると
        次はそれについてもっと知りたいと思う。そのように見つけた知識はしっかり身につく

        ・空を見上げる

        ・風の音を聞く

        ・雨の日に外に出る

        ・鳥の渡来で季節を知る

        ・植木鉢の成長を見る

        ・しばらく使っていなかった感覚の回路を開く。つまり目、耳、鼻、指先の使い方をもう一度学び直す

        ・見過ごしてきた美しさに目を開く方法
        「もしこれが今まで一度も見たことがなかったものだとしたら?」
        「もしこれを、二度とふたたび見ることができないとしたら?」

        ・虫や植物などが生きる小さな世界を観察する

        ・宇宙の果てしない広さに心を解き放ち、宇宙の美しさに酔いながら、今見ているものの意味に思いを巡らし驚嘆する

        などなど

        読めば読むほど新しい発見ができるスルメのような本

        子供の頃の感動を思い出したい人、またあの頃の気持に戻りたい人におすすめ
        >> 続きを読む

        2016/06/26 by くじら

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      白鳥異伝

      荻原規子

      徳間書店
      カテゴリー:文学
      3.7
      いいね!
      • 長い!長かった!!
        ハードカバーで590ページは開くのもなかなか億劫になりながら、
        それでも続きを求めて読んでやっとの読了です。


        勾玉三部作、二本目は日本神話の中でもヤマトタケルをモチーフにした話だとか。
        ヤマトタケルと聞いても朧げにしか分かりませんが、
        前作「空色勾玉」からは時が経ち、水の乙女と風の若子が先祖と呼ばれる時代。
        輝(かぐ)や闇(くら)の大御神など世界観は同じだが、全く別のお話。


        幼い頃から姉弟のように育ってきた遠子と小具那(おぐな)。
        いつも強気な遠子に守ってもらっていた小具那は、
        ある日都からやってきた皇子に御影人にならないかと持ちかけられる。

        遠子が自分のことを心配しなくてもいいように強くなる。
        その時は必ず帰ってくると、遠子に約束をした小具那だったが…。

        強くなる約束を果たし遠子に会う決意をした矢先、思わぬ事態に巻き込まれる。

        遠子に会わせる顔がなく帰れなくなった小具那と、
        小具那に会いたい一心でその後を追うように旅に出る遠子。


        行く先々で目の当たりにする小具那の力の数々。
        途絶えた血。
        最後は目的を果たせるのか?
        どうなる?!と思っていたけど、そこはうまく伏線回収していました。
        (→すっかり失念していたけど、そんなこと言ってたよ!!)

        序盤に出てきた白鳥の夢の話は最後まで出てきたけど、
        そこまで不吉な物を暗示させるキーワードではなかったかな。

        どんな作品にも鳥彦や菅流(すがる)のような明るいキャラクターがいるだけで
        心救われるものだなーと思う。
        辛い時でも一緒に励ましてもらっている気になるのかな。
        >> 続きを読む

        2016/09/19 by starryeyed

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      一の悲劇

      法月綸太郎

      祥伝社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね! ooitee Tukiwami

      • 夜の雨が道路を濡らし、人々は車内に息をひそめる。
        母の祈り。警察無線が告げるのは、最悪の結果だ。

        子供の笑顔は永遠に還ってこない。だが、犯人はさらうべき子供を取り違えていたのではないのか?

        暗い緊張に覆われた誘拐事件で幕を上げ、衝撃のトリックで終わる法月綸太郎の第5作目の長篇小説が「一の悲劇」だ。

        エラリー・クイーンの信奉者として有名な著者・法月綸太郎だが、サスペンス小説的な設定を多用するのも、彼の特徴のひとつだ。

        この本でも、秘密を抱えた男の視点から事件を物語ることによって、終始、張りつめたトーンが保たれている。
        だが、その語りの裏には、「頼子のために」で探偵という存在に絶望した法月綸太郎の彷徨が暗示されているように思われる。

        彼を待っていたのは、ここでも家族の悲劇、どこにもない「完全な人生」を犯罪という形で象徴的に埋め合わせようとする、"観念の暴走"としての事件だった。

        私とあいつの人生はなぜ違うのか? どうして私は満ち足りていないのか?
        ふときざした空虚感が次第に肥大化し、グロテスクな犯罪計画へと変貌してゆく。

        こんな人々の織り成す"地獄絵図"を前にして、綸太郎は立ちすくむ。
        探偵は、ここでいったい何ができるのか、と-------。

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        2019/01/13 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      新美南吉童話集

      新美南吉 , 千葉俊二

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      •  宮沢賢治とならび称される童話作家
        新美南吉の作品集です。
        小学校の教科書にも取り上げられていて有名な
        「ごん狐」などの作品が14本おさめられています。
         
         あらためて読み返してみると
        非常に教訓的な話が多いことに気づきます。
        それと、戦争をやっていた時代だったことが 
        ストレートに読み取れる作品もいくつかあり、
        時代背景を考えさせられたりします。
         
         宮沢賢治のようなファンタジーではなく、
        あくまでも日常生活の中にある題材をふくらませた 
        素朴なストーリーが多いのですが、
        それだけに自分たちに近いというか
        ストンと胸に落ちてくるものがあります。
        文句なく名作集です。
        これからも読み継がれていってほしい一冊です。
        >> 続きを読む

        2015/02/04 by kengo

    • 1人が本棚登録しています
      砂糖の世界史

      川北稔

      岩波書店
      カテゴリー:食品工業
      4.0
      いいね!
      • ~どんな本?~
        砂糖を中心として歴史を追うことでプランテーション、植民地をめぐった戦争、奴隷制度、産業革命などの背景や繋がりを教えてくれる。これらを理解することは今、私たちが暮らしている世界のシステムや抱えている問題(例えば南北問題)を理解することに繋がるだろう。

        ~利益をもたらす甘い砂糖、栽培するのは甘くない~
        砂糖を獲れば儲かるけれど、砂糖きびの栽培の条件は厳しい
        ・適度の雨量と温度が必要
        ・栽培による肥料分の消耗が激しく土地が荒れるため、耕地の移動が必要になる→天候に恵まれた広大な土地が必要→プランテーション、植民地獲得へ
        ・砂糖を栽培するのはとても重労働で現代な規則正しい集団労働が必要→奴隷が必要

        ~三角貿易で豊かになったヨーロッパとその犠牲~
         莫大な利益をもたらす砂糖を手に入れるため、西欧諸国はカリブ海の島を植民地としモノカルチャー化した(これが後に経済発展の妨げの要因となり現在にも爪痕を残している)。収穫された砂糖は宗主国である西欧諸国に輸出された。そして労働力となる黒人奴隷はアフリカ大陸からたカリブ海や南米地域の植民地へ輸出された。西欧諸国は植民地から砂糖、綿、タバコなどを安価に入手する一方、アフリカの黒人王国へは綿布、鉄砲などを輸出し莫大な利益をあげていた。(三角貿易)
         これによって大きく経済発展しさらに経済的な豊かさをもたらすイギリスの産業革命へとつながってゆく。しかしヨーロッパの豊かさは黒人奴隷や植民地の犠牲の上に成り立っていたのだ。そしてそれは飢餓でたくさんの人が死ぬ国がある一方で、食べるものに困らず豊かな生活を送っている、先進国の私達にも言えることだろう。
        >> 続きを読む

        2015/09/19 by けやきー

      • コメント 1件
    • 5人が本棚登録しています
      自然断面図鑑

      リチャード オーモイラ バターフィールド

      4.0
      いいね! momomeiai
      • いやあ~素晴らしい!
        見ていて飽きることがない。
        それどころか、見るたびに、発見があるような絵本。
        あっ、ここにもいた!という繰り返し。
        しかしまあ、よくぞここまで描いたものだと思う。
        そのためには、どれだけの観察と調査があったのだろうと想像するだけでも、凄いことだ。
        そこで、改めて感じたことは、この地球という星は、本当に豊かで複雑な生き物たちの関係で成り立っているのだということ。
        もしかすると、人間が一番、仲間外れなのかもしれない。
        >> 続きを読む

        2016/03/29 by けんとまん

    • 1人が本棚登録しています
      夕ごはんまでの五分間

      平野卿子 , ProcházkovaIva , PokornyVáclav

      偕成社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 家族とは何?という根源的なことを、考えた。

        お互いを思うこころが、すべてなのかもしれない。

        傍からみると、決して幸せとは思えないような状況であったとしても、当人たちの関係が良ければ、まったく、意に介することもない。

        反対のことのほうが、もと多いのではないかとすら思う。

        僅か5分間の物語のようであって、全然、そうではない深いものがたりだ。
        >> 続きを読む

        2016/07/16 by けんとまん

    • 1人が本棚登録しています
      人格転移の殺人 (講談社ノベルス)

      西澤 保彦

      3.0
      いいね!
      • タイトル通りに人格が他の人間に乗り移る。
        SFな設定ながらも、その人格の入れ替わりで起こるのは殺人。

        アメリカのダイナーで突如起きた大地震。
        そこに居合わせた7人のうち6人がシェルターに避難する。
        だがそこは人格が交換されるシステムの研究所だった。

        システムの説明だったり主要な人物の紹介が長いが、一旦6人が閉じ込められると次々人格の移動が始まる。
        かなりこんがらがるのだが、丁寧に体と人格のキャラが表記されているので、その意味では助かる。

        あとは殺人を起こしたのはどの人格かという問題だが、これは真相が読めてしまった。
        もう少しミスディレクションするとかして、ボカシてほしかった所。
        >> 続きを読む

        2018/06/26 by オーウェン

    • 1人が本棚登録しています
      教祖の文学・不良少年とキリスト (講談社文芸文庫)

      坂口 安吾

      5.0
      いいね!
      • 教祖の文学 不良少年とキリスト。坂口安吾先生の著書。坂口安吾先生の著書は初めて読みましたが、エッセイが醸し出す独特の雰囲気に惹き込まれてしまいました。坂口安吾先生の他の作品も読んでみたいと思わせる内容です。 >> 続きを読む

        2018/12/13 by 香菜子

    • 1人が本棚登録しています
      奪取

      真保裕一

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 初めて読んだ真保裕一の作品がこの「奪取」。

        2011/04/24 by parker83

    • 3人が本棚登録しています
      顔に降りかかる雨

      桐野夏生

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • ミロという32歳の女性がいい、弱さも強さも含めて彼女のキャラクターが魅力的で面白い。
        今回行動を共にする村瀬も、ハンサムで知的、ミロがちょっと惹かれかけるのも無理がない。
        又、展開の速いストーリーも飽きないし、ミロの周りには、調査業を引退した父親の、アドバイスもある。
        優秀な探偵だった父親の友人も多い。
        夫に死なれた過去をまだ引きずってはいるが、ミロは自分が家庭で静かに人生を送るタイプではないと自覚している。
        こういう自立した生き方は女性の形としては歓迎されるだろう。

        ミロという名前に見覚えがあったので探してみると本棚の奥から「天使に見捨てられた夜」という第二作目の本がでてきた。
        1997年の文庫としては初版本で、乱歩賞の作家を読んでみようと思ったのかもしれない、忘れてしまっていたけれど。
        >> 続きを読む

        2015/01/17 by 空耳よ

      • コメント 4件
    • 12人が本棚登録しています
      金雀枝荘の殺人

      今邑彩

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 密室で起こった不可解な連続殺人。

        凄惨で有るはずの殺戮シーンさえ心を動かされない。

        タイトルからも新本格の流れを汲む作品と思われるが、残念ながらトリック主義に陥りすぎて登場人物の内面の書き込みが甘い特徴を色濃く受け継いでいる。

        新本格の定義に興味は無いが、設定的には嵐の山荘パターンが代表で、読者に謎解きの要素を全て提示した上で密室殺人を解いていく形式が多い。

        この形式は決して嫌いでは無いのだが、なぜか新本格に分類される作品は、登場人物の心の機微に触れるような表現は無く、感情を揺さぶられるような作品が極端に少ない。

        本作品もプロットは非常に良く練られており、ドラマ性も高かったため、もう一歩踏み込んで、人物の内面を書き込んで欲しかった。

        新本格という枠組みに囚われて人物の内面描写を避けているとしたら本末転倒だと思う。
        >> 続きを読む

        2012/11/12 by ice

      • コメント 3件
    • 2人が本棚登録しています
      剣心秘伝 原典・るろうに剣心 明治剣客浪漫譚

      和月伸宏

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 課題図書が「るろうに剣心」だったので、本棚でパラパラと見ていたらふとこの本を見つけて笑った。私はかなりファンだったのだなぁと、若干恥ずかしい…(照)

        いわゆる「るろうに剣心」のファンブックで京都編までのキャラのプロフィール(しかもかなり詳細に!)、戦歴やストーリーが載っている。るろ剣ファンの人は面白く楽しいと思う。そして当然だけど、ファンじゃない人は退屈だとも思う(笑)

        ファンブックは他にも「剣心華伝」というものがあるらしく、そちらは読んだことがない。もう今更読むこともないような気がするけど、機会があればチラっと見てみたい。
        >> 続きを読む

        2012/09/23 by sunflower

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      オークション・ハウス

      叶精作

      集英社
      3.0
      いいね!
      • オークション・ハウス 第16/全34巻

        前巻で、長年勤め上げたオークションハウス全体を的に回したかと思いきや、今度は密かに守られ影響力を行使し続けて来た真のヨーロッパ史を武器とする勢力が登場。

        名画を切り裂くことで、美術品市場を壊すとか、歴史を武器に君臨するとか、発想の面白さは相変わらずながら、余りにも次から次へと用意されるところに若干胃もたれのような感覚が有る。

        まだまだ先の長いシリーズだが、こうなったら最後まで見届けてやろうと思う。
        >> 続きを読む

        2015/02/03 by ice

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      感謝知らずの男 (小学館叢書)

      萩尾 望都

      5.0
      いいね!
      • 面白かった。

        バレーに関しての短編がいくつか入ってるのだけど、どれも気楽に面白く読めた。
        萩尾望都の作品はとてつもなく重い作品もある一方で、こういうわりと軽めの感じのもあって、どちらも良いと思う。
        >> 続きを読む

        2014/09/27 by atsushi

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      東京都大学の人びと (新潮文庫)

      谷 俊彦

      5.0
      いいね!
      • 病床で読んだ。
        とても面白く、色々な知識も得られる小説だ。

        短編集だが、主人公の生き方がみんな潔く賢い。

        現代社会こそ組織に依存するのではなく
        それをうまく利用する生き方ができれば楽しそう。
        >> 続きを読む

        2017/04/16 by snoopo

    • 1人が本棚登録しています
      好色五人女

      牧美也子

      中央公論新社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね!
      • 「好色」なんてタイトルがついているけれど、今と随分意味が違ったのか、本当にどれも、命がけのひたむきな恋の物語だなぁと思った。

        八百屋お七の相手だった男性が、あとから西蓮上人という立派なお坊さんになって多くの立派な土木工事を行ったという話は、恥ずかしながらこの漫画を読んではじめて知った。
        よほど思うところがあったのだろう。

        江戸時代の、やたらと厳しい道徳や掟の世界でなければ、今であれば、これらの男女は別に死なずに済んだのかもしれない。
        しかし、逆に言えば、現代は、なかなかこれほどのひたむきな恋はあんまりないのかもしれない。

        恋は愚かしい狂気と言いつつ、若干うらやましいような、まぶしいような気もする。
        が、甘美というのとは程遠い、なんともはや恐ろしいものだともあらためて思う。

        江戸時代の日本の庶民は、たいていはのほほんと能天気に過ごしていたんだろうけれど、たまにこういう生命の火花を激しく燃やすこともあった、ということなんだろうか。
        今の世は、おおらかさも、ひたむきさも、どうも珍しくなってしまっているとしたら、人間としてはあまり面白くなくなっているのかもしれない。
        >> 続きを読む

        2014/03/19 by atsushi

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています
      類推の山 (河出文庫)

      ルネ ドーマル

      5.0
      いいね!
      • ――不可視のものの門は可視でなければならない。

        惜しくも未完に終わったルネ・ドマールの遺作。ここ数年の内に読んだものの中でも1、2を争うくらい夢中になって読んだ。
        不思議で、明るくて、哲学的で、元気の出る冒険小説だ。

        始めは、主人公の突飛な思いつきで書かれた論文の上にのみ存在していた類推の山。しかし、その論文を読み、類推の山の実在を確信したソゴルという男から届いた一通の手紙によって物語は動き出す。

        要は、この類推の山を見つけ山頂を目指そうという話なのだが、ソゴルの展開する因果の逆転したロジックや、作中に挿入されるメルヘン『空虚人と苦薔薇の物語』、類推の山の神秘的なさまなどが、冒険のワクワク感や物語に漂う爽やかな雰囲気とあいまって素晴らしい魅力を生んでいる。

        巻末の覚書を読むと、作者の哲学がいかにして登山と結びつき作品へと反映されたか窺い知ることができる。この覚書には教訓めいた説教臭さもあるが、それが物語に昇華されると、こんなにも爽快で心躍る冒険譚になるのだからすごい。

        類推の山はおそらく、人間の叡智や徳の象徴なのだろう。あるいは希望への道、とでも呼ぶべきか。
        物語が未完に終わってしまったため、この「不可視のままそびえる」類推の山の絶頂は未踏破のままだ。
        しかし、だからこそ読者はその頂に、各々の思いを馳せることができるのかもしれない。
        物語の続きを想像したり、自分なりの<類推の山>を登ってみるのも素敵なことだと思う。

        この本を読んだ時は落ち込む出来事が重なっていたのだが、本当に勇気づけられた。元気の出る一冊、心に残る一冊だ。

        蛇足ながら、この小説を題材にしたジョン・ゾーンの音楽作品「類推の山」や、レメディオス・バロの絵画「類推の山の登攀」も、併せてお勧めしたい。
        >> 続きを読む

        2017/12/21 by solnian

    • 1人が本棚登録しています

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