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ロバート ゴダード
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【何故、彼女は突然私を拒否したのか? 誰かが糸を引いているのか?】 主人公のマーチン・ラドフォードは元歴史教師でしたが、今は教師を辞し、その後に就いた仕事も長続きせず、失業状態にあります。 今も友人の家に転がり込んでいるのですが、どうにもしょぼくれた感が漂います。 そんなマーチンのもとに、旧友から手紙が届きました。 旧友のアレック・ファウラーとは、若い頃お互いに馬鹿をやり合った仲でした。 その後も、アレックは自由な生き方をしているようで、今はポルトガル領マデイラで、良いスポンサーを見つけ、地元雑誌を発行していると言います。 マデイラは良いところだから一度遊びに来ないか? 良い話もあるからと誘われ、なけなしの金をはたいてマデイラに行ってみたのです。 そこで、アレックのスポンサーだという富豪のレオ・セリックと引き合わされるのですが、レオは、現在の自宅のもとの持ち主であったというエドウィン・ストラトフォードという政治家の話を始めます。 マーチンも歴史家でしたので、エドウィン・ストラトフォードのことは知っていました。 一時、アスキス内閣の内相を務めたものの2年程で辞職し、以後、消えていった政治家といった認識でした。 それはその通りなのです。 ところが、レオが言うには、ストラトフォードのこの屋敷に、本人のメモワール(回想録のようなもの)が残っており、それを読んだところ謎にぶち当たったというのですね。 マーチンはそのメモワールを借りて読んでみたところ、ストラトフォードは将来を嘱望された若き政治家で、異例の抜擢で内相に就任したものの、過激な婦人参政権運動家のエリザベス・ラティマーと婚約していたことが分かりました。 二人は相思相愛で、すぐにでも結婚したかったのですが、ストラトフォードが入閣していた内閣は、婦人参政権に反対していたこともあり、その閣僚が婦人参政権運動家の女性と結婚するのはいかにもまずいと結婚を止められていたことが分かります。 とは言え、結婚を絶対に認めないというわけではなく、目下喫緊の課題となっている上院との関係が整理され次第、内閣としても婦人参政権の導入に反対し続けるつもりはないので、問題が片付くであろう半年程結婚を待ってくれと言われたらしいのです。 それはそれで理解できないわけでもなかったので、とりあえず半年待ったのですが、事態は一向に改善されず、このままではいつまで経っても結婚など無理だと思わざるを得ない状況になってきます。 業を煮やしたストラトフォードは、内相を辞任してエリザベスと結婚する道を選びました。 なるほど、これがストラトフォードが突然辞任した理由だったのか……。 辞任を決めた朝、ストラトフォードはその旨エリザベスに話し、辞任したら午後にでも結婚届を出そうと言い、エリザベスもこの決断を喜んでくれたのです。 また、ストラトフォード一人を犠牲するわけにはいかないので、自分も過激な婦人参政権運動から手を引くとまで言い出したのです。 ストラトフォードは何もそこまでする必要は無いと言ったのですが、エリザベスは、それでは自分の気持ちが済まないと言い張ったようです。 アスキス首相に辞表を提出したストラトフォードは、その足でエリザベスの家に向かったのですが、様子がおかしいのです。 親族はストラトフォードを家に入れてくれず、帰れと言うではないですか。 この態度の豹変は何なんだ? 事情が全く分からないストラトフォードは、強引に家に入り込み、エリザベスの名前を呼びました。 そうしたところ、エリザベスが出てきて、ストラトフォードをなじり、婚約を破棄すると言い、二度と会わないので出て行けと言うではないですか。 一体何があったんだ? 全く理由が分からないストラトフォードは激しく打ちのめされてしまいます。 エリザベスの心変わりは固く、また、何が原因なのかどうあっても教えてくれません(そもそも会うことすらできないのです)。 エリザベスを失ってしまったことは確実ということのようです。 ストラトフォードは、仕方なく、せめて政治家として生きていこうと思い直し、首相を訪れ、辞表を撤回したいと申し出たのですが、あれほど慰留した首相も手のひらを返したような対応をするのです。 君のような者を内閣に残すわけにはいかないなどと言い、けんもほろろな対応をされてしまいます。 結局、ストラトフォードはそのまま政治家を引退し、その後、首相となったロイド・ジョージからお情けでもらったマデイラ領事の職に就き、マデイラで暮らすようになったということらしいのです。 何故、エリザベスは突然変心し、また、アスキス首相はどうしてストラトフォードを放逐するような挙に出たのか? 歴史家としてのマーチンの興味はいたく刺激されました。 メモワールを貸してくれたレオも同様の疑問を抱き、歴史にも興味があったことから自分なりに調べてみたものの、まったく謎は解けないままなのだと言います。 そして、アレックからマーチンは優秀な歴史家だと聞いているので、この謎を解いてみるつもりはないか?費用は出すからと提案されたのです。 自分でも興味を持っていたマーチンは、この有難い申し出を受け、以後、この謎の解明に動き出すという物語です。 読者は、まず、ストラトフォードが残したメモワールを読むことになりますが、確かに謎だとしか思えない内容になっています。 そして、何と驚くことに、エリザベスはまだ存命であり、しかもマーチンの元妻の祖母だということが分かったのです。 なんという巡り合わせ! マーチンは、イギリスに戻り、元妻の祖母であるエリザベスに会おうとしますが、エリザベスの息子(元妻の父親)から非常に冷たくあしらわれ、会うことができません。 どうやら、マーチンは元妻の一族からとことん嫌われているようなのです(その理由は上巻の最後に分かるのですが……)。 マーチンは、他の方面からも調査を進めていき、かつて歴史を学んだケンブリッジを訪ねます。 そこで、指導教官だった教授に会い(教授は、ストラトフォードに関する短い文章を書いていたのです)、メモワールの存在を教え、教授の意見を尋ねたのです。 教授は、当時の婦人参政権運動を専門にしているというイブという講師のことを紹介してくれました。 マーチンはイブに会い、これまでの事情を説明したところ、イブも関心を抱き、一緒に調査することを承知してくれたのです。 その後、イブの調査により、ストラトフォードの結婚証明書が発見されます。 つまり、ストラトフォードは南アに従軍していた時に、現地の女性と結婚していたのに、それを隠してエリザベスに求婚した。 事情を知らなかったエリザベスもストラトフォードとの結婚を決意したものの、ギリギリのところで事情を知り、ストラトフォードを激しく拒絶したのではないかというのです。 筋は通っている……。 しかし、そうだとしたらストラトフォードだって拒絶された理由はよく分かっているだろうに、それなのに何故あんなメモワールを書くのか? また、エリザベスはその後、クーシュマンというストラトフォードの戦友と結婚するのですが、何故突然クーシュマンが現れるのかも謎でした。 確かにまだ不明な点はあるけれど、歴史上の人物が自分に都合の悪いことを伏せて、自分の人生を美化して回顧録を残す例はないわけではないとイブは言います。 それはそうなんだが……。 イブは、丁度婦人参政権運動に関する本を執筆しているところでしたが、是非、この発見も本に盛り込みたい、マーチンを共同研究者として本を出版したいと申し出てきました。 マーチンにとってもそれは有難いことでしたし、何よりも女性としてのイブに魅かれてもいました。 イブもそんなマーチンの気持ちを受け入れてくれているようなのです。 どうにも釈然としないところは残るけれど、一応の説明はつく。 イブの申し出を受けて、新しい人生を歩き始めよう……と、一度はマーチンもそう考えるのです。 しかし……。 マーチンは、イブがクーシュマン財団から援助を受けているという事実を知ってしまいます。 イブはこの件に何か関係があるのか? あくまでもエリザベスやクーシュマンの名誉を守ろうとして歴史を曲げてはいないだろうか? そんな疑問を抱きながら、イブに会いに行ったところ……。 イブの態度は180度変わっていました。 「あなたは自分の過去を隠して私とつきあうつもりだったの!」と。 ここで、マーチンの過去、離婚の理由、何故いまも元妻の親族から手ひどく扱われるのか、その理由が明らかになります。 もはやイブとの関係修復は不可能です。 マーチンは、歴史家として抱いた自分の疑問を抱えて、一人で調査を続けることを決意し、下巻に続いていきます。 最後のイブとマーチンの場面は、なんだかエリザベスとストラトフォードの破局場面の再来のようではありませんか。 少しずつ、マーチンとストラトフォードの人生がオーバーラップしていくような感じすら覚えます。 読み応えのある歴史ミステリという感じでしょうか。 いや、もっと深いものがありますよ。 下巻もレビューしますので、よろしくお付き合い願います。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2021/07/03 by ef177
横溝正史
読み始めて何作目かの短編集。女の恨みって恐ろしい。
2018/01/27 by aki
井上雄彦
バスケ漫画の歴史に残る名作です。今まで読んできたバスケ漫画の中ではもちろん、全ての漫画の中でも1番だと思っています。バスケ経験者、未経験者問わず楽しめると思います。特に最後の試合、そしてラストシーンは何度見ても飽きません。全ての人に読んでもらいたい作品ですね。 >> 続きを読む
2015/05/20 by ありお
宮尾 登美子
川端康成の古都と同様に、宮本輝好きという人にこの本を薦めている記事を読んで読み始めたのだが、やや時代がかった文体が読みづらくて読むのをやめた。田舎で家がどうだこうだと、冒頭の30ページくらいでドロップした。 >> 続きを読む
2019/05/29 by 和田久生
下条信輔
前半部分では、私達の日々の選択は自分が自覚しない要素によって左右されている、という事を様々な実験を例を使って説明しています。後半では、前半部分を踏まえて、犯罪を行った人間にどこまで罪を問えるのかという話に展開していきます。心理学についての本格的な本を読むのは初めてでしたが、上手く整理されていて、読みやすかったと思います。読み込めば、仕事や恋愛が上手くいかない隠れた原因が分かるかもしれませんね。中盤あたりの説明は長くてうんざりするけど、後で総括するので、飛ばしてしまってもとりあえずは支障無いです。 >> 続きを読む
2020/06/01 by ひな♪
アリソン・アトリー , 中川李枝子 , 石井桃子
英国の作家アリソン・アトリーの童話集。個人的には、先に訳された『西風のくれた鍵』に比べると、お話の面白さがいまひとつという感じがする。フェアリー・テイルズの伝統は確かに息づいているのだが、設定が現代により近づいているようで、物語の世界にひたりきることができなかった。会話文の訳が少し硬い感じがするのも、楽しめなかった一因かも。 >> 続きを読む
2017/09/26 by Kira
高木貞敬
知識を得たら、専門書で知識を深める。脳を育てる・問題に直面して逃げない→本を読むときに飛ばし読みは効果的である。それは途中で投げ出しやすくするリスクを抑えるからだ。しかしさらにレベルを上げるならば、数式や理解できないことを理解する努力をしよう。・良い書物をよむ。→古典は表面だけではなく奥深い。・情報の取捨選択・未知への興味・いい友人・特技や趣味・自分の意見をせいかくに伝える・たくさんの人と話し合う・歴史を学ぶ得ることはできているが、深めることができていない。知識を深めるとはどういうことだろう。 >> 続きを読む
2016/06/13 by ryochan333
竹下文子 , 鈴木まもる
やさしい雰囲気の絵と内容が気に入り購入しました。子供も気に入っていて毎日のように読んでいます。町中から山道まで、いろんな場所で人を乗せたり降ろしたり。日常のできごとですが、運転手さんの優しさに心が温まります。バス以外にも子供の好きな車たちがちょこちょこ登場。大きくなるまで楽しめると思います。 >> 続きを読む
2014/09/16 by oaemon
銀色夏生
2~3行の短文の詩が多い写真詩集。発行が平成8年ということもあり、季節の花や風景の写真は今ほど鮮明ではないが、綺麗で物寂しい雰囲気がある。銀色夏生さんなのでやはり恋に関する詩が多い。どれもいい言葉ばかりだが、あまり直接的なものを例として挙げるとやはり恥ずかしい。そこで、それ以外で気に入ったものを2つ。詩のタイトルがないので、本文抜粋になってしまうが。「あなたを盾にして」人に頼ってばかり、人のせいにしてばかりなので、それを指摘されたような気がした。「精神統一 それから 一粒の砂のように軽く 海の底のように静かに」イメージしてみると、なんだか落ち着く気がする。いつあるかはわからないが、精神統一する必要があるときはこの詩を参考にしようと思う。 >> 続きを読む
2015/02/26 by しでのん
田中 章義
作者が、大学一年から五年間、「月刊カドカワ」(1992年12月号~1996年2月号)に掲載されたものをまとめた歌集。解りやすい歌でありながら、なぜか尖がる若さがみえる。青春ともいえる、斜に構えたみずみずしさがある。気になった歌は、幸せをかたっぱしから追いかけるあしあとも明日への接続詞幸せは目に見えなくて目に見えてオムレツの上のケチャップの顔他の誰かじゃわからないものひとつずつ増やしてゆこう僕らのパエリアどんなに小さな約束も呼吸していることを気づいてほしい土曜日があり一度離れたらもう二度と木には戻れない葉っぱは空のどこを見ているあかりのついた向かいのビルの部屋見れば東京の星座、空のみならずせつなさに耐えきれなくてアクセルを踏めばせつなさも加速しておりギリギリまで予定を入れずあけていた土曜日 具のなきシチューと思う客が一人でも五十人でも同じリズムで廻る観覧車を眺めておりぬ消しゴムは哀しからずやいつの日も消すことだけが役目だなんて行く場所より大事なものがあることを言わずにそっと拾ったどんぐりメニューの少なさが優しく思える夜もありマスターが出す塩の焼き鳥大切なこの一日のしっぽゆえ捨てずにしまおうライブの半券朝が来てベットを出てもまだ二つのまくら仲良くくっついており >> 続きを読む
2018/08/07 by ごまめ
田中芳樹
薬師寺涼子の怪奇事件簿 シリーズ。警察のお偉方が集まった会場に現れた大理石の中を自由自在に動き回る謎の生物。あれだけ面白いと思っていたシリーズだが、アニメを離れ小説だけを考えると、そんなに面白くないような気がして来た。アニメ作品から入ったという珍しい作品。シリーズとしては「東京ナイトメア」に続き、2冊目として手に取った。この作品は何と言っても、感動的なほどアニメが気に入っている。小説でもマンガでもそうなのだが、動画も、とにかく飛ばし読みみたいな感覚で、細かいところにはこだわらずに、ストーリーを追って行くような観賞の仕方になってしまう。それでも、この作品だけは、絵の美しさ、世界観、(きっと)声優のクオリティと、全体的なレベルの高さを感じざるを得ない。その勢いで、前回はじめて小説版を読んだわけだが、今思えば、アニメ化された際にストーリーは知っていたし、脳内でアニメの再上映をしていたに過ぎなかったように思う。今回の話は、アニメ版では観ていないものだったため、あくまでも小説として向き合えたわけだが、あれ?と思うほど面白く感じなかった。もしかしたら、最初からアニメの原作として書かれたものなのかも知れない。表題作「摩天楼」に比べると圧倒的にページ数は少ないのだが、もう1編収録されている「さわらぬ女神にタタリなし」の方が面白かった。薬師寺涼子シリーズとしては珍しく、怪奇要素が押さえられた異色作なのだが、かえってこれくらいの方が誰にでも楽しめる塩梅なんじゃないかと思った。田中芳樹作品と言うことで気付かなかったが、もしかしたら(定義がよくわかっていないが)ライトノベルに分類されるべき作品かも知れない。 >> 続きを読む
2013/05/14 by ice
東野圭吾
「名探偵の掟」で登場した天下一が再登場する2作目。その天下一が巻き込まれた架空の町で起こる事件。密室事件と消失事件を解決していくが、そこは本格推理という概念が存在しない世界。そして誰もいなくなったのように展開していくラストの章。ミイラの正体や、盗掘した真犯人。そして天下一がなぜこの町に巻き込まれたのか。東野さんの本格推理に対する思いが見え隠れする1作。 >> 続きを読む
2019/03/23 by オーウェン
福本伸行
カイジ 第2/全13巻終了時刻が迫る中、カイジが気付いた必勝法とは。ギャンブルをネタにするだけである程度のスリルは約束されるのに、更に敗者の生死までをも盛って煽って来られると逆に引いてしまう。引き続き、カードじゃんけん。極限状態の中での心理の読み合いが続く中、着々と近付く終了時刻。これまでは、チョキが2回続いた場合、次もチョキだと読むか読まないか。などという、心理戦のようで、そんなんきまぐれだろう!!と突っ込みたくなるような、どうでも良い場面が多かったが、カード枚数の残りが減るに従って、買占めなどの策が次々に登場して来る。とは言え、真面目ぶるつもりは毛頭ないのだが、やはりギャンブルに全てを賭ける心理がどうしても理解できない。負けてしまえば、もしかしたら生命さえも失ってしまうのが怖いと言うのはもちろんだが、仮に大勝利して巨万の富を掴んだとしても、それがそこまで魅力的に感じない。大富豪の家に生まれていれば、お金の使い方もわかるのかも知れないが、嗚呼小市民... >> 続きを読む
2013/11/30 by ice
哲郎
「人形」作品を検索していて、からくり人形を題材としたミステリとのことで、興味を引き購入。 あとがきによると、ミステリ作品は初で、学生時代に読んだ有名作品だけのイメージで描き上げたらしい。 ミステリのツボを押さえている様で微妙に外している具合はそんな辺りが原因かしら。 電話も通じず、道も閉ざされた陸の孤島で、からくり人形師の館で起こる事件を扱う。 本格か社会派かで言えば、本格寄りではあるが、前述のとおり、ミステリファンが膝を叩いて喜んじゃうタイプの構成では無く感じた。 しっかりまとまってはいるんですけどね。 >> 続きを読む
2019/11/28 by 猿山リム
篠田節子
読み終わったもの備忘録。確かに朱鷺って、天然記念物で絶滅したばかりに悲劇の鳥になっているけれど、赤い脚はちょっと迫力あるよね。というところから、繰り広げられるミステリー。篠田節っちゃんお得意の怖さ。今ならCG使って、かなり怖い映画化ができそう(期待)男性に素直になれない主人公と、ガサツだけど優しい男の展開が少し古臭く感じるけど、そこがまたいい。 >> 続きを読む
2019/12/30 by 寺嶋文
石ノ森章太郎
ここまで読んだら全部同じ感想(笑) この本も2003年6月に読んでるのでそれ以来!!w(*゚o゚*)w 内容綺麗に忘新鮮な感じで読んだ、短篇8話。出版社からのコメント通りの内容で文化文政期のお江戸八百八町に、佐武の縄が飛び、市の居抜きが悪を切る! 歌舞伎、読み本、大相撲など当時の風俗を巧みに織り込みながら、情緒豊かに「情と業」の複雑な人間模様を描く!▼第1話/叢雲(むらくも):普段は心の奥底に隠れている嫌な記憶▼第2話/名月や池をめぐりて夜もすがら:たらい回しにされた首なしの死体とその裏にある計画▼第3話/一重:天才と狂気、愛と憎しみ、表裏一体。▼第4話/紅葉狩(もみじがり):男まさりの鬼姫▼第5話/菊人形:老いに対する悲しみ、恐怖。老いと若さ。▼第6話/だだぶだぶ:結果、ただ一つ、信じていたモノに殺された金貸し▼第7話/針:針で人生が変わってしまった兄妹▼第8話/北風のみち:なぜ自分だけがこんなに不幸なのか…愚痴と諦めと…▼第9話/七福神:密室殺人と木彫りの七福神の謎▼第10話/紅い捕縄:女中の5両の簪の秘密表現力が凄い(´ー`*)ウンウン忘れられない嫌な記憶や 一つの事を突き詰めて周りが見えなくなる者、女心に不平不満や欲やら何やらと…心の中に潜んでるモノが描かれている >> 続きを読む
2020/01/21 by あんコ
石ノ森 章太郎
ここまで読んだら全部同じ感想(笑) この本も2003年6月に読んでるのでそれ以来!!w(*゚o゚*)w 内容綺麗に忘新鮮な感じで読んだ、短篇10話。出版社からのコメント通りの内容で、文化文政期のお江戸八百八町に、佐武の縄が飛び、市の居抜きが悪を切る! 歌舞伎、読み本、大相撲など当時の風俗を巧みに織り込みながら、情緒豊かに「情と業」の複雑な人間模様を描く!▼第1話/氷の罠:世間を騒がせた兄弟泥棒と狙われた市。義弟の付いた嘘。▼第2話/黒い雪割草:惚れ合う武士と町娘。武士には親の決めたプライドの高い許嫁がいたが…自分の感情に嘘は付けない。▼第3話/生首雛人形:見た目で幼少の頃からイジメられた少年の復讐▼第4話/窮鼠は猫を(きゅうそはねこを):妬まれる佐武、早とちりの後から分かる真実▼第5話/巾着きり:復讐と恋心▼第6話/地獄門:必要とされなかった連れ子の嘘。捻じれてしまった心。▼第7話/菖蒲(しょうぶ):勇気がなかったために付いた嘘と女の賭け▼第8話/燕返し:理詰めでは分からない人の心▼第9話/入梅穴(ついりあな):弟と比較されてた兄。心の隙間▼第10話/かわうそ:本気になってしまった女と仕事と割り切り女と寝る男冴えわたる市の居合に一端の十手持ちに成長した佐武。怨み、嫉妬、道ならぬ恋に、秘めたる思い、不条理な出来事と人生の裏側10話 >> 続きを読む
スティーヴン レザー
ジャッキー・チェンとピアース・ブロスナン競演の映画「ザ・フォーリナー 復讐者」の原作小説である、スティーヴン・レザーの「チャイナマン」を読了。爆弾テロ事件で、最愛の妻子を失った男が、たった一人敢然として復讐に立ち上がる。事件の発端から復讐を貫徹するラストまで、かなりオーソドックスに一貫してその話だ。枝葉のエピソードも手堅く取り込み、場面転換のキレも良く、そのまま映画を観ているように、軽快にページをめくっていける。それなりの満腹感と満足感はある。けれども、ただの一行で感想が書けてしまう作品だ。では何かプラスαはないのか。それはある。ヒーローの造型だ。チャイナマン。ロンドンでテイクアウトの中華料理店を家族で切り盛りしている、ベトナムからのボートピープル。前歴は、南ベトナム軍の爆薬班のエキスパートだ。香港に逃れる際に、上の娘二人を失った。深い自責の念にとらわれていた男が、最後に残された家族も奪われた。男の顔貌は「苦労しすぎた四十代でも通用し、若く見える六十代のようでもある」。見すぼらしい皺だらけの小男として登場して、だんだんと髪の毛を逆立てた、冷酷な復讐者としての本性を顕わにしていく。いかにも「西欧の眼の下に」像を結んだ東洋人だ。慈悲深く、容赦なく、そして適度に神秘的だ。オリエンタリズムの視点で捉えた「チャイナマン」。つまり、怪物の変種のヒーローだ。その点では成功した読み物になっている。東洋人は珍しいという、"コンセプト"を使ったお話で、うまく決まっていると思う。この要素がなくても、IRAの内部抗争を描いたドラマの部分は、それなりに読ませてくれる。ヒーローに頼らなくても、充分に面白くはある。要するに、実にB級タッチなのだ。そして、テロリズムは世界中を輪廻すると教えてくれる。 >> 続きを読む
2020/07/13 by dreamer
安部 龍太郎
天下分け目の関ケ原の戦いを描いて、この時代小説作家・安部龍太郎の「関ケ原連判状」は、これまでにない物語性と史観、更には圧倒的な興奮を呼ぶ時代小説の傑作だと思う。物語は、東西両陣営の帰趨を制する前田家への密書の争奪戦を描く前半、細川ガラシャ夫人の死から細川幽斎の田辺城の籠城戦を描く中盤、そして関ケ原の合戦を目前に控えた朝廷工作が展開する後半へと、水面下における新たな戦国史の創造を画策しつつ、揺るぎない筆致で進められていく。著者にそれを可能たらしめたのは、田辺城をめぐる攻防が勅命による和議にこぎつけた時点で、既に合戦の雌雄は決していたという仮説であり、その仮説を裏付けるのが、本朝で唯一人「古今伝授」を司る男、細川幽斎の存在なのです。和歌の正統を継ぐことが、そのまま、天皇の正統性を保証するものであるならば、朝廷の動向は幽斎の掌中にあり、ここに関ケ原の合戦における皇室を抱き込んだ第三の陣営が現出することになる-------。この構成を紡ぎ出すために、著者が呻吟に呻吟を重ねた資料踏査の結果、前田利家の未亡人である芳春院をはじめ、これまで正史から顧みられなかった幾多の人物が屹立してくるのです。そして、古今集に秘められた死者たちの思いが、権謀術数をふるった幽斎よりも、故郷を持たない一介の武辺・石堂多門の胸に宿るラストまで、作品はこみあげる情を抑えて、なお広い懐を私に投げかけてくるのです。 >> 続きを読む
2018/02/17 by dreamer
司馬遼太郎
司馬氏のエッセー集の中の1冊ですが、中国の元首相・鄧小平氏の以下の一節が印象的です。『日本は軍国主義の時代に中国に迷惑をかけたが、それはたかだか数十年だった。しかし中国はもっと大きな迷惑を日本にかけてきた。その1つは漢字であり、2つ目は「孔孟の教え(つまり儒教のこと)」である。特にこの儒教の方は、1,700年以上もの永きに渡り日本人の思考や生活態度等に大きな影響を与え続けてしまった。』鋭い中にも独特のユーモアが含まれた含蓄のある内容です。他にも異教徒(イスラム教)と司馬氏の友人である陶芸家との旅の中での「宗教」についてのやり取りを面白く描いた「友人の旅の話」等も非常に面白い内容です。 >> 続きを読む
2011/06/02 by toshi
出版年月 - 1996年10月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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