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シェイクスピア
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なんやかんやで名前知れど読んだ事なくて。いつか読もうみたいな・・・で、やっと読みました!映画とか劇とか見た事はないが、何故か、ロミオ=ディカプリオが最後まで脳裏から離れなかった・・・で、ジュリエット=自分の昔、好きだった名前も知らないと、ある女性がイメージとして読み終えるまで頭に漠然と浮かんでいました。これも個人の小説読む、活字の醍醐味でした!で、ロミオとジュリエットのイメージは、純粋な綺麗な恋愛ストーリーだったのですが、熟読?してみて、思ったのは、かなり残酷な殺戮、自死、地獄絵図的な、映画で言うならホラースプラッターのような、血、血、血・・・みたいな。。。そんな感想というか、特に最後のシーンなんて、、、墓、血、死体みたいな・・・グロテスクなストーリーとまで言い切りたい感じを受けました。もちろん、そのパート、パートの受け方、見方、読み方としてもとてもおもしろかった。神父に説教されるロミオなど、ただの駄々こねる子供みたいだったし、、、決してかっこいいとは思わない。言葉に酔っているみたいな・・・私なりの解釈というか、そんな感じですね。でも自分も世間的には大人だろうけど、案外シチュエーション次第では人生においてそんな子供じみた駄々を言うかもしれんし、あまり上から目線では感想を思いたくない思いでもあります。うまく自分の感想の一部分を書けたかどうかわかりませんが、大体こんな感じでした! >> 続きを読む
2018/04/18 by ジュディス
若竹七海
若竹七海のデビュー作「ぼくのミステリな日常」をワクワクしながら一気に読了。ミステリらしいミステリを読みたいという渇望感の時に読んだため、久し振りにミステリを読む、読書の悦びに浸ることが出来ました。ミステリらしいミステリとは、あくまでも謎解きを主眼とし、できれば趣向が凝っていて、作者の力点が作品のどのような要素に置かれているにせよ、全体として知的な筋がビシッと通っているミステリだと思うんですね。特に、最近の翻訳ミステリは、主人公の人間性やライフスタイルや過去のトラウマや細かい心理の綾、さもなければ、現代世界の風俗や政治情勢などが重要視され、謎解きの試みは二の次になっているものが主流を占めているような気がします。それはそれで、とても楽しく、面白いのですが、時には活字が創り出す異空間の中で、謎解きの醍醐味を追求するという、ミステリ本来の"知的快楽"に浸りたいと思うんですね。この作品「ぼくのミステリな日常」は、社内報の編集を任された作中人物、若竹七海の実に屈託のない原稿の依頼状によって、さりげなく幕が開きます。プロローグに相当する三通の手紙は、全体の構造----匿名の作者がじかに経験した事柄に基づいて短編を執筆し、それらが一年にわたって社内報に掲載される----を要領よく説明していると思う。そして、読者である私の前には12本の短編がずらりと並ぶ。春の桜に始まる季節ごとの風物がそのつど盛り込まれ、どの作品もトリックや設定や語りに様々な工夫が凝らされている。これを普通の連作短編集と受け取って、ごくのんびりと活字を追っていても、楽しい気分に誘われるのは間違いなしだ。だが、さらに注意して深読みをすると、何やら意味ありげな伏線が張り巡らされた、油断のならない仕掛けがあるのに気付くのだ。12の短編を堪能して結末の部分に達すると、快い驚きなり、悔しさなりを味わうことになるのです。結局のところ、この作品は並みの連作短編集ではなくて、ミステリの中にミステリが埋め込まれた、いわゆる"入れ子構造"をとった小説なのだ。しかも、短編の配列と体裁には見事な仕掛けが施してあり、単なる趣向と思われたページにも重要な伏線が隠れているのだ。ミステリ好きが泣いて喜ぶ、頭のきりもみ状態が申し分なく満喫できる作品になっていると思う。 >> 続きを読む
2018/03/24 by dreamer
長野まゆみ
【鄙びた村を舞台にした、しっとりとした不思議なお話】 中学2年生の男子である岬が主人公です。 岬は、物書きの父親である梓と二人暮らし。 この父親が変わった男で、闇雲に転居を繰り返すのです。 1か月も同じ所に住んでいれば良い方で、急に思い立ったように転居するのです。 住むところはいつもどこかの家に間借りするような状態です。 こんなに落ち着きの無い生活だと色々困るだろうとは思うのですが、岬はもうすっかり慣れっこになっていて、転居届や転校の手続きも自分でしてしまうのでした。 あまりにも頻繁に引っ越すため、岬の所持品も旅行鞄1つに詰め込める程度の物しか持っていませんでした。 今度もまた、「おい、準備しておけよ」と前日の夜に言われてまたまた引越です。 列車を乗り継いで、しかも行き先と聞いていた駅とは違う駅で急に降りてしまう父親。 「話をつけてくるからちょっと待ってろ」と言い、岬を駅に残してどこかに行ってしまいます。 岬は、誰もいない古びた駅舎で一人で座って待っていたところ、急に男の子がそこにいることに気付きました。 自分と同じくらいの年……あるいはもう少し年下でしょうか? その子から話しかけられて、持っていた清涼飲料水をあげたところ、交換にということで鬼クルミの殻をもらいました。 判子にすると良いよと言われて。 そこへ父親が居候先の家の男性と共に車で戻ってきました。 岬は、その男の子の名前くらい聞いておこうと思い駅舎に戻ったのですが、その子はもういなくなっていたのです。 岬は、いつもの通り一人で役場に行って転入届を出し、学校の場所を教えてもらって転校の手続きを取りました。 その日から授業に出ることになったのですが、一つだけのクラスには駅で会った男の子がいました。 でも、どうやらその男の子は他の生徒達から疎まれている様子なのです。 身体が小さいせいか、「まめ彦」などと呼ばれて揶揄されてもいました。 岬は、転校が多いことからあまり同級生と関わりを持たないようにしてきたのですが、今回ばかりはその男の子に肩入れしてしまうのでした。 でも、その子がみんなから疎まれているのには理由があったのです。 という、いかにも長野さんらしい、短いけれど良いお話しになっています。 ラストはちょっとうるっときてしまいました。 こういうお話なのに、なんで『天然理科少年』というタイトルなんでしょう? 物語の冒頭に、「何も見えないからといって、そこに何一つ無いとは限らない。理科の理には磨くという意味がある。諸君は又、天然自然の理を疎かにしてはならない。」という文が添えられています。 そういう意味でつけられたタイトルなんですね。 >> 続きを読む
2019/11/18 by ef177
平尾圭吾 , リチャード・バック
この本の名言をご紹介します。***アイデアを使えば使うほど、新しいアイデアが浮かぶのを不思議に思ったことある?それはね、アイデアの妖精が、自分はあなたにとって大切なんだと知って、張り切るからなのよ。 >> 続きを読む
2013/02/18 by 本の名言
あさのあつこ
青春は、夢が現実とぶつかり合う時期です。 真っすぐ全力で走りたくとも、様々な障害物とぶつかる人生の「折り合い期」であり、この期間を通し、本当に進むべき道を見つけていくのです。 何故かこういった作品に出てくる大人たちは、ほとんどがつまらない人(笑)。 でもよくよく考えてみたら、確かに大人って、つまらないものですね。 折り合いをつけ過ぎて、夢も熱情も何もかも犠牲にしてしまうことが多いですから。 そんな大人たちの中でも一人や二人、少年達に大きな影響を与える大人がいますーー「折り合い期」をくぐりながらも夢を守り、熱い心のままで育った大人たちです。 成熟さと冷静さを身につけながらも、本心を忘れなかった大人。 そういう大人は、やっぱりなくてはならない存在ですし、また、そのようになった方が良いのではないかと私は思うのです。 十分な力と知識を得た今こそ、実はスタートチャンスなのですから。 >> 続きを読む
2018/12/19 by Moffy
島田ゆか
島田さんの絵本の醍醐味は細部!小物や出てくる軽食が可愛くて且つリアリティがあって引き込まれます。今回は二人の親友となるあひるのカイちゃんが登場します…が、最後のページでは思わず私も「え~っ!?」と大爆笑!!子どもに魅力的な本のようで、初めて見つけてきたのも息子自身だし積極的に彼が自分で借りるシリーズのうちの一つです。 >> 続きを読む
2016/07/06 by Misa
エリック・カール , 森比左志
ちいさな雲のちいさな冒険のお話です。ある日小さな雲は高い空の上の雲の集団から離れ「いえのちかくまでおりてきて、きのてっぺんにとまってみました。」「大きなくもたちは みえなくなってしまいました。」あらあら、大変、迷子じゃない!と思ったのに、ちいさなくもはのんびりしています。ひつじに変身したり、飛行機に変身したり……。そんなことやってる場合か~?と思うのは親の心。子供は知ったこっちゃありませんよね。世の中が珍しくて面白いことがたくさんあって。好奇心でいっぱいで、心配事なんか何もない。小さな雲はそんなこどもと一緒ですね。自由でのんびりしていて楽しくて。これを読むと雲っていいなあ。と思ってしまうでしょう。可能な限りのカラフルさが特徴のエリック・カールの絵本にしてはほとんどのページが水色の空と白い雲の2トーンという珍しい絵本になっています。空の色も「単色」で描かれているわけではありませんが。それでもくもの表情やらシンプルな構図の中にもみられるタッチの面白さで、絵本を飽きさせないのはさすが。ちいさなくもがとても可愛いです(#^.^#) >> 続きを読む
2015/11/04 by 月うさぎ
筒井康隆
まだ手を出せていないピンチョンの重力の虹を矮小化したら、こんな感じなのかなと思えそうな作品です。(手を出せていない作品で喩えるのも変な感じですが・・・あと、褒め言葉なはずです、たぶん)あらすじとしては、気がつくと、同じなのにどこか違う世界にいた男が、元の世界へと脱走を計ろうとする物語です。しかし、内容はドグラ・マグラを酷くしたような方向性で、ドグラ・マグラがしっかり作られてることを実感できる貴重な本かもしれません。(もっとも方向性としては、重力の虹の方が近そうです)ちなみに、ドグラ・マグラを酷くした感じだからといって、決して発狂することはございません。発狂することはございません。発狂しているのは、この主人公であって私ではございません。私は決して主人公ではございません。緑色の服の男でも、ましてや正子でもございません。ですから、発狂してはございません。 >> 続きを読む
2015/06/09 by ミコト・T
手塚治虫
私の名は美倉洋介・・・超売れっ子の流行作家で、社会的にも尊敬される地位を持つ。ただ私にはおかしな性癖が多々あり、それは主として異常性欲なのだが・・・その私は新宿で「バルボラ」に出会う。それは「都会が何千万という人間をのみ込んで消化し、たれ流した排泄物のような女―それが「バルボラ」」。まるで動物を拾ってくるかのように私はバルボラを自宅に連れてくるのだが。(二人の出会いは、「バルボラ」がヴェルレーヌの詩の一節「ヴィオロンのためいきの身にしみてひたぶるにうら悲し・・・」と口ずさんでいたことから。) 手塚治虫の伝奇マンガ「ばるぼら」は、以上のように始まります。大体美倉本人のモノローグが多くて、一種の「私小説(Ich Roman:イッヒ・ロマン:一人称小説)」風の変わったマンガです。 美倉の「異常性欲」はきわめて強く、それを克服するためにボクシング、俳優稼業、謡曲、ボート、馬、剣道などにのめり込み、それがまた、ファンを増やすように機能していましたが、「バルボラ(作中ではカタカナ表記)」には、彼の行動が客観的に見ることが出来、たとえば美倉が「マネキン人形」に恋したり、「美しいメスイヌ」に恋したりしたとして、美倉を現実に引き戻すなどの役を果たしたりしました。 この2人の関係に、転換期が訪れます。ルッサルカというアフリカの作家が政治活動で敗れ日本に亡命してきます。彼は「バルボラ」を見るなり、正確にその名を言い当て、「また私の傍に帰ってきて欲しい」と懇願します。でも「バルボラ」は「あんた、嫌い」とすげありません。ルッサルカが言うには、「「バルボラ」はミューズ(芸術の女神)だ」。 さすがに美倉は最初、酒の上での寝言か、と相手にしませんが、ルッサルカ自身が「ブードゥー」の呪いのため、政敵に暗殺されることもあり、「バルボラ」がミューズであり、しかも魔女であることを徐徐に納得していきます。 その「バルボラ」、それまで美倉に見せていなかった極めてセクシーな姿を見せ、「先生の奥さんになろうかと急に思ったんだ。フフフ。」と囁くと、美倉はその魅力に対抗できずに、体を合わせます。(それまで一度も「バルボラ」を抱く気にはならなかった美倉ですが。) そして「結婚式」・・・極内密で行われる「黒ミサ」ですが、この式が無事に完了すれば「バルボラ」は永遠に美倉に芸術上のインスピレーションを与えつづけることになるところでした。 ところが、この式のことを美倉からほの聞いていた出版社の社長・・・この男は娘を美倉の嫁にと考えていた・・・がマスコミに通報していて、踏み込まれ、「バルボラ」は嘆き悲しみ、号泣します。「淫らなヌーディスト・パーティー」の話題がマスコミの紙面を飾ります。 この一件での「バルボラ」の落胆は大きく、美倉を憎み、以後美倉の記憶は母のムネーモシュネー(記憶を司る女神)によって消去され、以後美倉はその意味でまるで「逃げ水:蜃気楼の一種」を追いかけるように「バルボラ」を追いますが・・・(この本が入手可能な人は、ぜひ続きを読んでください。) 美倉は、実際、狂気に満ちた男でした。また、その妻になる予定だった「バルボラ」も、芸術の守り神であると同時に狂った「魔女」でした。狂気が芸術を産む・・・この辺の消息についてもよく考えさせてくれる作品です。角川書店から上下2巻出ています。なお、手塚氏はオッフェンバックのオペラ「ホフマン物語」をよくBGMにしたそうですが、E.T.A.ホフマンという小説家は、「砂男」など、幻想的、怪奇的、猟奇的な作品を残していて、それをモデルにしたかったらしいですが、本人が言うにアクが強すぎ、オカルト・テーマに傾斜したそうです。この「ばるぼら」を執筆したのが、ちょうどオカルトブームの前夜だったそうです。(著者本人によるこの作品の解説文より。)また、芸術論で有名なものとして、ニーチェの言う「アポロン的なもの、ディオニュソス的なもの」というのがありますが、前者は「理性的、清潔、明、陽」をイメージしますが、後者は「本能的、淫猥、暗、陰」をイメージします。本作「ばるぼら」は、ディオニュソス的なものをモチーフにしていると考えて間違いないでしょうね。 >> 続きを読む
2012/10/09 by iirei
時実新子
時実新子さんと言う名前は田辺聖子さんの川柳ものを読んで知った。自分が生まれた岡山生まれであるという事で少しばかり興味を抱いていたのであるが、コワい本だった。コワいと言えば同じく岡山出身の岩井志麻子さんって方の『ぼっけぇきょぉてぇ』ってコワい小説もあるのだが、なんで岡山にはこの様にコワい女性ばかり世に出るのだろうとコワくなる。うちのヨメも少々はコワいが・・・・(笑)男性であればほとんどの場合がそうであると思うが、独身であれ妻帯者であれより多くの女性と仲良くなりたいと思っているはずである。そして、仲良くなれたとしたら、もっと仲良くなりたいと思うはずである。と、思う・・・・。しかし、そういう漠然とした気持ち、あるいは中途半端な性根で女性ともっともっと仲良くなりたいと思うのは間違いである。と言うか、女性という性の上っ面だけを見、甘くみているのである。時実新子さんの川柳集であるが、彼女はその愛をこう詠むのである。『妻をころして ゆらりゆらりと 訪ね来よ』『よその男と 命の芯を 見つめあう』今日まで生半可な気持ちで女性に近づいていた男性には必読である。命が大事か不倫が大事か考えてみるがいいと思うのである。ぼっけぇきょぉてぇ目に遭ってからでは遅いのである。 >> 続きを読む
2012/11/15 by <しおつ>
坂東真砂子
児童文学から一転して本格的な長篇ホラー小説「死国」を発表し、ホラー小説ファンの私を狂喜させた坂東眞砂子。死国=四国の呪術的風土を背景に、死霊復活の恐怖を描いた前作の「死国」に続く今回の「狗神」も、四国を中心に中国・九州地方に散在する"犬神憑き"の俗信に取材した、伝奇色濃厚なホラー長篇だ。犬神憑きというのは、犬神と呼ばれる動物霊が人の体内に入りこんで、悪事をなすという迷信だ。代々、犬神を養い使役する一族があるとも言われ、そうした家は「犬神筋」などと呼ばれて恐れられ、村八分にされることもあったという。夢野久作の「犬神博士」や横溝正史の「犬神家の一族」、あるいは平井和正の〈ウルフガイ〉の犬神明など、この名に由来する作品はかなりありますが、犬神憑きそのものを踏み込んで扱った文学作品が、これまでほとんど存在しなかったことにも、そうした因習的偏見の根深さ、深刻さが影を落としているのかもしれません。この「狗神」は、一風変わった設定で始まります。長野の善光寺に立ち寄った行楽帰りのビジネスマンが、寺院の地下をめぐる「戒壇廻り」の暗闇の中で、年増の美女と出会い、彼女の数奇な身の上話を聞かされる。その独白が、本篇のストーリーになるのです。高知の山岳地帯の小さな村落で生まれ育ったヒロインは、四十歳を過ぎた今も独身のまま、和紙作りに打ち込んでいる。彼女には高校時代に恋人の子を身ごもって死産し、男とも別れさせられたというトラウマがある。物語は、村に越して来た新任の青年教師とヒロインのハーレクイン風ロマンスと、村に起こる異変----連夜、村人を襲う悪夢、謎の獣の徘徊----を軸に展開していくのですが、前半はもっぱら、閉塞状況にあるヒロインの霊肉両面での煩悶が、昼下がりのメロドラマさながらのべたべたな感じで描かれるため、硬派のホラー小説ファンの私としては、先行きに不安を抱きましたね。だが、しかし、それは杞憂に終わりました。後半、村で狗神憑き事件が連続し、予想通りというべきか、ヒロインの家が「犬神筋」であることが明らかになる。これはもしかして、ジョン・ソールみたいな因習ドロドロ話かなと思った瞬間、物語はまったく予想外の方向へと暴走を始めるんですね。冒頭の枠物語風の設定や、前半のリアリズムが、このとんでもないクライマックスで絶妙の効果を発揮していて、実に見事だと思いましたね。 >> 続きを読む
2018/06/10 by dreamer
三神勲 , ウィリアム・シェイクスピア
権力に魅せられ、甘い誘惑に乗り、取り返しの付かない道に踏み入ったマクベスの末路。初めてのシェイクスピア作品。ストーリーと関係の無いところでの減点が何だか切ない。未だかつて、これほど長い解説が存在しただろうか。まさに前人未到の長さの解説で有った...シェイクスピア作品だとか、文学的にどうだとか、一読者の立場からすると、そんなことはどうでも良くて、あくまでもストーリーと言うか、内容に興味が有る。そんな中、この本は、注釈と解説で全体の約1/3を占めるというとんでもない構成になっている。100歩譲って注釈は仕方が無いかも知れないが、解説をそんなに書いちゃうのは相当どうかと思う。勢いに乗ってシェイクスピアの生涯年表まで掲載された日には開き直って白目で拍手を送りたくなった。更に、台本風と言うか、「発言者名:発言」みたいな記述が延々と続くのも、戯曲というものを読み慣れないために、集中力を著しく削がれたように思う。内容は、シェイクスピア悲劇の代表作と言われるだけ有って、自分でも気付かないような己の獣性、その後の果たされぬ贖罪は胸に響くものが有った。安定感、重厚感も感じた。他のシェイクスピア作品もこういうスタイルなのだろうか。もう1冊は挑戦するつもりだが、このスタイルは正直キツイ。 >> 続きを読む
2013/07/24 by ice
瀬名秀明
積読本。手元のは角川ホラーの表紙のものです。読んだ感想、これはSF小説というよりホラー小説だなといった感じでした。序盤から中盤、主人公が生化学者というだけあって、難しい専門用語や、実験室とか臓器移植とかの詳細な描写が多く、堅苦しく難解な印象。それと並行して登場人物たちの悲しみとか葛藤とか、いろんなドラマが進んでいきます。中盤から終盤に至っては、まんま怪獣映画といった感じで、堅苦しさや難解さはなりを潜めて、パワーとスピードのホラーサスペンスに様変わり。個人的には、もう少し序盤の感じを残してもよかったのではと思うんですが、そこは好みでしょう。適度にSFっぽく、ラストまで緊迫感ある展開でした。 >> 続きを読む
2015/02/24 by ryota
和田 はつ子
読み終わって一番最初に思ったことは、「多 重人格」ではないのでは?ということでした。社会的な顔と殺人鬼の顔との二面性はあるものの、人格は2つではないし、そういった記述もなかった気がするので。しか食人系統の話はすきなので楽しかったことは事実です。統一性のないように思われる、殺人事件。徐々に壊れた部分が明らかになる殺人鬼の精神。引き込まれていきます。 >> 続きを読む
2014/10/27 by かえで
乃南アサ
乃南アサさんの「鍵」です。面白かった。ミステリの部分もあるが、少し砕けた家庭小説で、両親をなくして残った三兄弟の絆がメインになっている。西家の長女は結婚を前にして、踏ん切りがつかないでいる。下の長男俊太郎は25歳、大手商社を三年でやめ、今は管理人生活。耳の不自由な妹が生まれてから、母の愛情は全て妹に移ってしまったという、心の底に意志では解決できない小さな寂しさと、自己矛盾を抱えている。俊太郎の古くからの友人で、有作と言う新聞記者が一家の心の支えになっている。そして末の妹、麻里子は耳が不自由に生まれついた。母親の献身的な教育で、ゆっくりなら言葉も分かるが、発音が少し独特で、余り早く話せない。周りで通り魔があらわれる。若い娘を狙って持っているかばんをひったくって、裂いて捨てるというもので、家の周りに頻発しているので、俊太郎も気が気ではない。記者の有作はスクープ記事にしようと張り切っているが、姉妹の帰宅時間も気になる。ところが、電車のなかで追いかけられた男が、麻里子のかばんに鍵を入れていた。それが原因ではないかとうすうす気がついてくる。しかし、高校生になった麻里子は重荷になっているような自分が、兄弟に自立していることを知らせたい、それで「鍵」のことを相談できないでいる。出来れば自分で解決したいと思う。警察も捜査範囲を狭めていたとき、殺人事件が起きる。殺されたのは麻里子のかばんに「鍵」を入れた男だった。だがその後、殺人事件が続いて起きる。「鍵」を持って一人で聞き込みを始めた麻里子もやがて事件の筋が見えてくる。そして、犯人とおぼしい人に面会に行く。麻里子の行動の影で、俊太郎は兄としての責任に目覚めていく。これが家族が徐々にまとまっていく切っ掛けだった。麻里子が襲われ、事件を最もはっきりと見てきた勇作が現場に駆けつける。麻里子の命が懸った大事件が起きるが、それはまるでサブスートーリーのようで、三人兄弟+1のタッグが事件を解決する。怪我をした麻里子を気遣いながら、その後それぞれの生活を見直し新たな出発をする。柔らかい、読みやすい物語で、傑作と言わないまでも、きちんとポイントを捕らえてヒントもちりばめてある。さすが出来上がった作品で、時間があれば読み返してみてもいいくらいの、面白い一冊だった。 >> 続きを読む
2014/10/02 by 空耳よ
福本伸行
カイジ 第3/全13巻残り僅かとなった、じゃんけんゲーム。生き残りを賭け、最後の勝負に出るカイジ。ここまで追い詰められる環境では、情け無用でないと勝ち残れないのかと考えると寂しくもある。じゃんけんカードは買占めることでコントロールが可能になることを悟ったカイジたち。しかし、同じように買占めの効果に気付いたチームが存在した。自らの思考に先手を打った彼らの、上から目線からの種明かしトークに耐えるカイジ。着々と減っていく残り時間を睨みつつ、彼らとの大勝負に出る。この作品の優れているところは、運頼みのイメージが強いギャンブルがテーマなのにも関わらず、非常に論理的に勝利への方程式が説明されるところ。同時にこの作品に腋の甘さを感じてしまうのは、乾ききった世界観の中に、中途半端な感傷みたいなものが顔を出すところ。それが人間だろうと言ってしまえばそれまでだが、こんな環境に置かれた中ではリアリティを感じられない要素にしかなっていない。ギャンブラーは、まさに勝負師。勝負の世界で中途半端な感傷などを抱いたら、とても勝てるものでは無いように感じる。正直、じゃんけんはもう飽き気味なので早く次に行って欲しいものだ。 >> 続きを読む
2013/12/30 by ice
和月伸宏
るろうに剣心 第13/28巻いよいよ始まる十本刀との死闘。少し間延びして来た感も出始めていた京都編だが、やっと十本刀との対決が始まり一安心。前回、対決が始まるかと思わせて、結局は機会を改めることになったわけだが、そろそろ引っ張り過ぎに感じていた。今回も、すぐに場を改めて決戦となれば良かったのだが、なんやかんやですぐには始まらない。その間、何が有ったかと言えば、鬼と化したと思われた四乃森蒼紫救済の伏線程度。常にジェットコースター的な展開の早さを求めるのも酷だが、少し間延びしている感は否めない。とは言え、ついに始まった直接対決。最初の顔合わせは、早くも実現した安慈と左之介の子弟対決。安慈の哀しい過去と、彼の救済には見応えが有った。十本刀は残り8本。もう少し巻きでの展開を期待したい。 >> 続きを読む
2012/10/26 by ice
竹内 桜
9巻なので基本構造は割愛。 前半分ほどで、温泉旅行編が終わる。 そして残りのページは、外伝的に過去にかかわったキャラひびき嬢のその後のエピソード+ユリ番外編。 確かに、完結レベルできれいにまとまった温泉編だけど、次巻があるのよね。 ロボットとしてのマリに焦点を当てた最終巻がどんな話になるのか、「ぼくのマリ」ではなく「マリー」な理由は何なのか。 すべてが明らかになるのかならないのか、期待しつつ・・・。 >> 続きを読む
2021/01/07 by 猿山リム
吉田 秋生
沖縄の離島で母と二人で暮らす主人公の少年は物心ついた頃から定期的に東京の病院で検査を受けているが、身体は健康体で脳の糖代謝は普通の人より異常に高い。そう、彼の脳には秘密がある。ある日そんな彼に事件が起こり、結果母は殺され主人公は何者かに拉致される。…そして月日は流れ…そんな出だしで始まるこの物語なんだけど相変わらずこの作者の話は素敵にハードですよ!それぞれのキャラクターも皆味があって大好き。この「YASHA」の次作「イブの眠り」は主人公が子供世代へとバトンタッチした続編みたいなものなので、是非そちらの作品と続けて読んで欲しい。 >> 続きを読む
2019/01/22 by ちさと
吉田秋生
BANANA FISH 第2/全12巻兄を陥れた犯人を知り、事実上脱獄するアッシュ。兄の敵討ちに燃えるアッシュ。せっかくの才能と情熱を生産的な方向に向けてあげたいものだ。収監中のアッシュに面会に訪れた英二。そこでアッシュからドキッとする手段で依頼を受けた彼は、チャイナタウンへ向かう。そこで匿われていた兄のグリフィンは、バナナフィッシュの秘密を追う連中に撃たれ生命を落としてしまう。それを知った収監中のアッシュは、仮釈放で出獄した際、英二とともに早速その車を奪ってチャイナタウンへと向かう。孤立無援と思われたアッシュだが、コルシカ・マフィアのやり方に不満を持つチャイニーズ・マフィアが支援を申し出る。兄の弔いのため、コルシカ・マフィアを襲うアッシュだったが、銃撃には成功するものの、ボスの生命を奪うまでには至らず、逆に逃走するハメになる。体勢を立て直すための避難先として選んだのは、アッシュそしてグリフィンの故郷であった。久々に再会した父。彼から、アッシュの子供時代の悲惨な体験が語られる。冷え切っていると思われた親子関係だが、マフィアの手が伸びるに至り、双方素直になれたシーンは良かった。バナナフィッシュ。その名前が指し示すのは薬物で有るとマフィアのドンから明かされた。やっぱりそうか。 >> 続きを読む
2014/01/02 by ice
出版年月 - 1996年12月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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