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1997年5月発行の書籍

人気の作品

      むかし僕が死んだ家

      東野圭吾

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!
      • 別れた恋人に頼まれて、主人公がその恋人とともに廃屋の謎を追うミステリー。なぜか廃屋は、持ち主が生活していた時のままに時が止まった状態で保存されていて、時が止まっている謎を追及していくことで、元恋人の秘められた過去も分かってくる。元恋人が娘の育児で悩む原因も・・・
        主人公と恋人が30代ということで、落ち着いた大人の物語になっているところが良かった。結婚していて娘もいる元恋人からの頼みでも、少し浮かれながら放っておけない主人公の心情描写もよく書けていた。
        ただ、ミステリーの核心部分の造りに凝ったせいか、登場人物も少なくて広がりが少なかったし、著者が得意の細やかな人物描写や心情描写が薄かったのが残念だった。


        >> 続きを読む

        2015/10/31 by kenji

    • 他2人がレビュー登録、 43人が本棚登録しています
      スナ-ク狩り

      宮部みゆき

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 宮部みゆきの作品は古臭くならないから最高だ。

        法は必ずしも正義を全うしてくれない。自分だけが気づいた真実があって、法が助けてくれないのならどうするか?自分の家族を奪った罪を誰も正しく裁いてくれなかったら?
        私的制裁が間違っている倫理的な根拠はあっても、覚悟を決めてしまった人間にはそんな声は届かないんだろう。
        正義ってなんだ。
        銃の持つ力強さというかシンボルの魔力ってすごいんだろうな。持てそうにない。
        >> 続きを読む

        2018/09/24 by aki

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      チョコレ-ト革命

      俵万智

      河出書房新社
      カテゴリー:詩歌
      3.5
      いいね!
      • 結構波長の合っている俵万智さんの歌集「チョコレート革命」。

        「サラダ日記」(1987年)のあと「かぜのてのひら」(1991年)、
        そして10年後の(1997年)に出された第3歌集。

        気になった歌を

        明治屋に初めて二人で行きし日の苺のジャムの一瓶終わる

        眠りつつ髪をまさぐる指やさし夢の中でも私を抱くの

        逢うたびに抱かれなくてもいいように一緒に暮らしてみたい七月

        クーラーの風に吹かれて鳴っている風鈴の音、君の寝返り

        キオスクでチューイングガムを買うようにサラリーマンが買う宝くじ

        宝塚の友よりファックスに「幸運」とあり家をなくせど

        年下の男に「おまえ」と呼ばれいてぬるきミルクのような幸せ

        やさしすぎるキスなんかしてくれるからあなたの嘘に気づいてしまう

        肉じゃがの匂い満ちればこの部屋に誰かの帰りを待ちいるごとし

        別れ話を抱えて君に会いにゆくこんな日も吾は「晴れ女」なり

        「結婚することになったよ」「なったんじゃなくてすることに決めたんでしょう」

        スリッパの右と左を間違えたような感じに響くサヨナラ

        抱きあわず語りあかせる夜ありてこれもやさしき情事と思う

        缶ビールなんかじゃ酔えない夜のなか一人は寂しい二人は苦しい

        シャンプーを選ぶ横顔を見ておればさしこむように「好き」と思えり

        男ではなく大人の返事する君にチョコレート革命起こす
        >> 続きを読む

        2017/11/09 by ごまめ

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      森が海をつくる ジェイクのメッセージ

      葉祥明 , Ninomiya, Rikki

      自由国民社
      3.5
      いいね!
      • ジェイクという犬が海と話し、川にに行き…。

        環境系の絵本である本作。

        海は、川に、川は湧き水に、湧き水はそれらを蓄える森林へ。
        普段は意識していないけども、ものすごく当たり前の自然サイクルに
        ついて考えるきっかけを頂きました。

        今、変わりつつある環境は今後どうなるのか、僕たちの宿題なのかもと思いながら、、、

        ジェイクが可愛く、読みやすかったです。
        >> 続きを読む

        2014/02/11 by taiitirou

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      新・ANSI C言語辞典

      平林雅英

      技術評論社
      カテゴリー:情報科学
      4.0
      いいね!
      • ソフトウェアを記述するために広く使われているC言語の表記法から標準ライブラリまでを説明した辞書。

        その昔C言語っぽい言語を処理するためのソフトウェアの一部を作っていた時に言語仕様を調べるために購入。

        この手の本は必要な時に必要な所のみ参照できればいいので全体読むわけではないのですが、念のため手元にあると安心できる本です。

        内容はC言語に関係すると思われる単語、ライブラリ内の関数名、preprocessor命令、よく宣言されているdefineマクロ、予約語等を辞書のようにアルファベット順に並べ、読み方から関数宣言、機能、返り値、注意点、使用例、実行結果等を記載しています。

        やりすぎなのではと思われるほど、辞書に形式が酷似していて、しかもしっかりと書かれています。

        網羅性と、内容の正確さ、時折マニアックさ故にお勧めです。

        /*でもこの本、普通に辞書読むように読んでみても面白いかも。ジャーゴンとかの知識の入手元として・・・*/

        今は懐かしのC言語でプログラムを書く人にお勧めです。
        >> 続きを読む

        2014/03/23 by Shimada

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      香港を極める

      上村幸治

      朝日新聞出版
      4.0
      いいね!
      • 香港人のパワーと成立背景に迫る。

        パワフルかつ機敏で情に厚い。そんな香港人はやはり魅力的だ。

        特徴的なのは返還前夜と言えるような時期の香港を切り取っている点。

        天安門事件への香港の関与と、受けたインパクト。
        第三国脱出用の国籍の問題。そして香港人としてのアイデンティティ。

        どちらかと言えば、政治的な要素よりも、経済的な要素で語られることが多かった香港(人)だが、返還前夜の素顔が垣間見えるのは貴重と言える。

        とは言っても、やはり香港の魅力は経済活動に尽きるとは思うのだが、香港を立体的に認識するためには、本作品のような視点は非常に有効だと思う。

        香港人のパワフルさの裏に隠された不安を知ることで、ますます愛着も湧く。

        旅行者用の観光スポット案内とか言うような内容では無い。
        >> 続きを読む

        2012/01/12 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      街道をゆく

      司馬遼太郎

      朝日新聞出版
      カテゴリー:日記、書簡、紀行
      4.0
      いいね!
      • 事前にざっくりと台湾史の流れがわかっていたので読みやすかったです。
        司馬さんは植民地宗主国の人間で、統治時代は同じ日本人だった、というのを繰返し言っているのが印象的。台湾側の人も日本人だった、というところから親日になるみたいですね。初の本島人の総統だった李登輝との対談も載っていて、なかなか盛りだくさん。

        市井の人のエピソードがたくさん入っていて興味深いですが、やはり全体的に日本びいきなのが気になります。これはあくまで司馬さんの一人称による紀行文なので、日本びいきの姿勢自体を批判することはお門違いだと思うのですが、読むほうが、司馬さんと自分をちゃんと区別して考えないといけない。意思を持って読書しないと引きずられそうです。司馬さんの文章は独特ですが、語りが上手いので。

        台湾人はかつて日本人だったこともあるが、戦争が終わった時に突然中国人になった、というのが印象的でした。中国というのも不思議な土地で、中国(というか中華)は王朝民族がころころ変わるくせに中国であることは中国なんですよね。不思議だ。気になる。
        しかし台湾の人からすれば日本史も中国史もよその国の歴史みたいなもので、歴史の授業で自分たちの歴史を学ぶことができなかった、というのは、前に読んだ台湾本のときから考えていたことです。
        しかし日本の沖縄の人も、割と最近まで琉球だったわけで、日本史なんて馴染みはほとんどないのだろうか。それとも彼らはもう日本人というアイデンティティを持っているから、特に違和感はないのだろうか。郷土史って大事ですね。私はずっと関東平野にいたから、気にしたことなどなかったけど、北海道の人も、国史を学ぶということに対して何か思ったりするのだろうか。


        司馬さんが台湾を旅したのは1990年代です。もう10年以上前だ。
        随分変わっているのだろうなぁ。
        >> 続きを読む

        2017/09/28 by ワルツ

    • 1人が本棚登録しています
      どんなときも名探偵

      杉山亮 , 中川大輔

      偕成社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • しながわさんが一番怪しいと思ったけど犯人は、しんばしさんだった。

        2016/12/26 by Na-chan

    • 6人が本棚登録しています
      見仏記

      みうらじゅん , いとうせいこう

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:仏像
      2.7
      いいね!
      • 視点は独特ですが、両氏の仏像に対する愛が伝わってきます。

        2011/11/13 by nobiinu

      • コメント 1件
    • 4人が本棚登録しています
      教養とは何か

      阿部謹也

      講談社
      3.0
      いいね!
      • 前著の続きで「世間」のことが沢山書かれていて、読みたかった内容とはズレていたかな。別に完全な教養人になりたい訳ではないのだ。 >> 続きを読む

        2013/06/15 by freaks004

    • 2人が本棚登録しています
      テレーズ・デスケルウ (講談社文芸文庫)

      フランソワ・モーリアック

      4.0
      いいね!
      • 全然知らなかったのですが、遠藤周作や三島由紀夫やその他何人もの作家に影響を与えた作品なのだとか。
        不思議な小説でした。夫を殺そうとした妻が世間体を気にした夫の偽証で家に連れ戻されて幽閉されるのですが、静かな恐ろしさがたまらなかったです。田舎の閉塞感、精神の檻、昔はあんなに仲の良かった義妹との心の距離。世間の目を気にする夫は殺されかけた癖に、なぜそんなことをしたのか問おうともしない。理解は求められず、役割を果たすことだけが求められる。なんて恐ろしいのでしょうか!
        舞台はフランスの田舎町です。シャネルやジョルジュ・サンドのように、テレーズもちょっと違う生き方をすればもっと自由に、もっと創造的な職業婦人として生きていったでしょうに。
        幽閉されて、狂気と正気のアウト寄りギリギリを生きているときの絶望感がすごかったです。やっぱり結婚しても仕事はした方がよさそうだ。
        >> 続きを読む

        2015/11/09 by ワルツ

    • 1人が本棚登録しています
      GTO
      GTO
      グレート・ティーチャー・オニヅカ

      藤沢とおる

      講談社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 大好きです!このくらいはっちゃけた先生がいたらたまらないですね。

        2015/05/14 by david

      • コメント 5件
    • 2人が本棚登録しています
      北斗の拳 コミック版)

      原哲夫

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね! tadahiko hiko
      • 荒廃した世界に降り立った北斗神拳の正統継承者ケンシロウ。

        当時は学校で経絡秘孔を探しまくったもんです(笑)

        サブキャラクターが好きなのは、この作品でも健在で、北斗よりも南斗六聖拳の方が好きでした♪

        でも、やっぱり「あべし!ひでぶ!たわば~!!」の北斗神拳も捨て難いなー
        >> 続きを読む

        2012/07/26 by yutaka

      • コメント 4件
    • 5人が本棚登録しています
      Bad kids

      村山由佳

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • いやいやそれはいかんでしょう、と思いつつもついつい読んでしまいます。

        2011/03/29 by yasuo

      • コメント 1件
    • 7人が本棚登録しています
      猛き箱舟

      船戸与一

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 先日亡くなられた舟戸与一氏の作品。
        ふと思い出したので、レビューしてみます。

        海外で働く日本企業の職員の守護を担う
        通称『灰色熊』と呼ばれる男。
        その男に憧れる青年、香坂は策謀を尽くし、
        遂に男の配下となり、アフリカの砂漠へと飛ぶ。

        政治も絡んでくるので、ちょっと難しいところも
        ありますが、匂い経つような暑苦しさ、男臭さが
        良いですね。
        『灰色熊』の元部下のオッサンとか
        出番は少ないのに、もの凄くキャラが
        立っていて、やりとり一つを取っても
        粋でカッコイイ。
        これもいつか映像化して欲しいなあ。
        >> 続きを読む

        2015/05/12 by UNI

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      るろうに剣心 - 明治剣客浪漫譚 - 巻之十五 巨人対超人

      和月伸宏

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね! sunflower
      • るろうに剣心 第15/28巻

        蒼紫との死闘に打ち勝ち、続く宗次郎との決戦に臨む剣心

        剣心ではなく、留守番組と比古清十郎が今回の主役。たまにはこういうのもいい。

        これまで好きだった作品を振り返ってみると、実は主役よりも魅力溢れるサブキャラクターに惹かれている場合が多い。

        例えば、アニメで言えば、1stガンダムのシャア。Zガンダムのクワトロ。(同じやん...)
        小説で言えば、三国志の趙雲とか、グイン・サーガのナリスやイシュトヴァーンなど、枚挙にいとまが無い。
        その点で言えば、るろうに剣心も魅力的なサブキャラクターが多く、この条件に合致している。

        とくに今回は、打倒志士雄を目指して敵陣深く乗り込んでいる、いわば主役級の面々ではなく、留守番組が事実上の主役だったように思う。
        毎度これでは成立しないのはもちろんでは有るものの、こういう回が有るからこそ、作品の世界観が深まるのだと改めて実感した。

        まぁ、何にしても今回一番光ったのは比古清十郎の登場シーン。
        こういうゾクっとすることをやられると一気に好きになってしまう。

        ただ、彼はあまりにもトンチンカンな格好なので、これくらいではまだ愛せない...

        十本刀ということで、10戦控えていることを想定して間延び感に苛まれていたが、こういう展開は読めなかった。さすがは人気作品!
        >> 続きを読む

        2012/11/15 by ice

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      父の威厳数学者の意地

      藤原正彦

      新潮社
      4.0
      いいね!
      • 大ベストセラーの「国家の品格」の著者のエッセーです。読み易く、かつ氏の見識が随所に伺えます。特に「自由の憂鬱」「明治の国際人」「真の国際人」等の含蓄のある内容は非常に参考になります。
        国際人とは、単に外国語ができるとか知識がある…ということではなく、自国の文学、歴史、自国の良さ(特長)等に対する見識があってこそ…という点も大いにうなずける内容です。
        >> 続きを読む

        2011/02/23 by toshi

      • コメント 1件
    • 2人が本棚登録しています
      浮世床

      古谷三敏

      中央公論新社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね!
      • 面白かった。

        床屋で、えんえんと他愛もない会話を続ける主人公。
        ところどころ、笑わされる。

        江戸期の庶民ってのは、「東海道中膝栗毛」を読んでもこれを読んでも、のほほんと楽しく、そして意外と大人で、おおらかに楽しく生きていたんだろう。
        そういう感覚ってのは、本当はとても大切なことかもしれない。
        >> 続きを読む

        2014/03/19 by atsushi

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています
      ヒトはなぜヒトを食べたか 生態人類学から見た文化の起源

      HarrisMarvin , 鈴木洋一

      早川書房
      カテゴリー:民族学、文化人類学
      3.0
      いいね!
      • 原題にも「食人」を意味する言葉が入っているので、翻訳書での
        このタイトルも仕方ないんだろう。でも、これでは私のように
        カニバリズムのお話か?と手に取る人が多いと思う。

        内容を考えると副題の方がしっくりする。

        人間は自分たちが生きるためにどのようにして社会を形成して
        きたかというのがテーマなんだろうな。確かにカニバリズムに
        ついても書かれているんだが、それはほんの少し。

        宗教による食のタブーについては「本当か?」と感じる部分もあった
        が、狩猟採集民が農耕民族より劣っているとの説を覆している話は
        興味深かった。

        ショッキングだったのは人口増加を抑制する為に女児が間引きされて
        いたことや、古代でも妊娠期間中に意図した中絶が行われていたこと。

        そりゃ人口が増えれば増えただけ、資源の消費が減るからなんだろう
        が…う~ん。

        ほぼ学術論文という内容なので「アンデスの聖餐」あたりの話かと
        思って読むと肩透かしだ。

        ほんの少し触れられている食人行為に関しては「単なる動物性たんぱく質
        の不足」としているのだが、本当にそれだけかなって感じ。
        >> 続きを読む

        2018/01/24 by sasha

    • 1人が本棚登録しています
      エアフレーム  機体

      マイケル・クライトン , 酒井昭伸

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • アメリカの大ベストセラー作家マイクル・クライトンの「エアフレーム-機体-」に関して、訳者あとがきによると、アメリカにおけるハードカバーの初版は、二百万部売れたとのことです。

        「ジュラシック・パーク」「アンドロメダ病原体」「緊急の場合は」「ディスクロージャー」などの大ベストセラー作家で、"テクノ・スリラーの元祖"でもある、マイクル・クライトンのこの「エアフレーム-機体-」は、全く想像を絶した話で、次から次へと、色々なジャンルの作品を、こうもまあ、書き続けられるものだと感心してしまいます。

        タイトルが示しているように、今回の題材は航空機で、クライトンの事ですので、航空機産業の現代の問題点を巧みなストーリーにまとめあげていて、確かにうまいと思います。

        この物語の主人公は、航空機メーカーのノートン・エアクラフトの品質保証部の副部長ケイシー・シングルトンで、この中年のヒロインが、自社の航空機の事故調査に駆り出されるのが発端です。

        新米アシスタントへのレクチャーが、同時に我々読者へのレクチャーにもなるという冒頭の構成は、さすがは練達のベストセラー作家で、こういうところをしっかりと押さえた上で、企業内の陰謀から組合との確執、更にはアメリカとヨーロッパの航空機の販売合戦、そして規制緩和が生んだマイナス点まで、過不足なく描かれていて、さすがにクライトン、本当にいつも安心して読まされます。

        ところが、今回は途中までは、航空機産業の内幕物かと思っていると、マスコミの過剰な報道合戦がやや戯画化されて描かれているので、おやおやっとなってきます----。

        マイケル・クライトンに言わせると、今回はテレビ・ニュースの在り方について一石を投じるのが、この作品を書いた動機だったといいますから、あるいは、こちらの方がメインなのかも知れません。

        つまり、この物語は航空機事故をめぐって繰り広げられる、テレビ・ニュースの女性プロデューサーと、ヒロインのケイシー・シングルトンとの闘いになっていくのです。そして、それはひいてはテレビ局対航空機会社との闘いという様相を呈してくるのです。

        そのために、最後の100ページを切ったあたりから、その攻防を軸に、つまりは事故の真相究明ということに焦点が絞られ、俄然、話の方が盛り上がっていきます。

        だから、こういう作品はハラハラ、ドキドキしながら楽しんで読んでいればいいのかも知れませんが、そこは、"超頭脳"のクライトンだし、二百万部のベストセラーだし、やっぱり、ひと言だけ言いたくなってしまいます。

        それは、ヒロインのケーシーの上司や新米アシスタント、更にはテレビの女性プロデューサー、そしてテストパイロットから前夫にいたるまで、登場人物がどの人物も例外なく、一様に個性がなく、通俗的なパターン化した人物として描かれている点です。

        ヒロインの私生活というものも、ちらりと出てはくるものの、これも単なる味付けの域を出ておらず、今までクライトンの小説を数多く読んできた彼の一愛読者の目から見ても、彼がそういう人物造型が苦手な作家だったのかと、少し失望感が湧いて来ました----。

        いくらなんでもこれはないよと言いたい気持ちがしてきて、特に、ヒロインが闘う事になるテレビの女性プロデューサーが、あまりにも不自然なくらい戯画化されすぎているのです。

        どうも人間の描写に関して端折りすぎている感じがして、この倍の分量があってもいいくらい、もっと丁寧に書き込んで欲しかったと思うのです。例え、話自体が面白くても、人間というものが描けていないと、薄っぺらな味わいの小説になってしまうと思うのです。

        せっかくの面白い題材なのだから、この人物造型を含めて、もっともっと丁寧に書き込めば、かなりの傑作になったと思うのですが、今回に限っては、恐らくクライトンにとっては、そういう事は重要ではなかったのではないかとも推理できるのです。

        つまり、その事よりも他の物を優先させたのだと思います。その他の物とは何かと言うと、それは、"情報という名の刺激"だったのではないかと思うのです。

        そして、彼の長年の一愛読者として、敢えて好意的に考えると、マイクル・クライトンは、この「エアフレーム-機体-」という作品で、"情報が刺激と化した現代"を映し出したかったのかも知れません。
        >> 続きを読む

        2016/09/29 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています

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