読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)
有栖川有栖
1クリック登録
【新本格派の作家によるクイーンを意識した短編集】 有栖川有栖は、エラリー・クイーンのファンであると公言していますが、本書のタイトルはまさにクイーンの国名シリーズをインスパイアしているのは一目瞭然。 その意気や善し! ではそのお手並みを拝見といきましょうか。○ 動物園の暗号 ダイイング・メッセージものです。 クイーンもダイイング・メッセージは得意ですから、これもオマージュなのでしょう。 ただ、私はかねてよりダイイング・メッセージについては懐疑的なのです。 というのは、被害者は瀕死の状態にあるというのにそんなに凝ったダイイング・メッセージなど残せるものかと常々思っているからなのです。 やるとしても筆記用具があれば、ストレートに犯人の名前を書いてしまうのがせいぜいでしょう。 もちろん、「そんなことをすれば現場に残っているかもしれない犯人に見つかって始末されてしまうかもしれないから一見何を書いているのか分からないような物を書き残すのだ」と、ミステリ作家は理屈づけようとしますが、私が犯人だとしたら、何であれ殺害行為をした後に被害者が書き残した(あるいは取り出した、指し示した)物を見つけたならそれは意味が分からなくてもその物を廃棄等しますけれどね。 また、瀕死の被害者がそんなことをできる余力があるかいな?という根元的疑問もあるのですが、まぁ、そこは良しとしましょう。 本作の場合は、予め別の目的で作っておいた物を取り出してダイイング・メッセージとして利用したというプロットにしてあるので問題点は多少緩和されていますね。 ただ、このメッセージの謎を解ける人は、ある分野に詳しくないと辛いんじゃないかな~。○ 屋根裏の散歩者 タイトルはまさに江戸川乱歩の名作のままですし、乱歩作品のとおり、平屋建てのアパートの大家が屋根裏から各室の様子を覗き見してとんでもないものを見てしまったというストーリーです。 謎は、その大家が殺されてしまうのですが、大家がつけていた各部屋を覗き見たことを書いた日記の略号の意味を解くことです。 その略号は各室の間借り人を表していることは分かるのですが、どれが誰を指しているのかが謎なのですね。 着眼点は面白いのですが、その略号が表している状態は普通は固定的なものではないように思えますし(少なくとも私の場合、その略号一つで私を表すことは困難でしょう)、また必ずしもその状態が見えるかどうか怪しいところもあるのでトリックとしてはどうでしょうか?○ 赤い稲妻 密室殺人ものです。 クイーンは、実は密室ものはあまり書いていないのですよね(『チャイナ・オレンジの秘密』とあともう一作何かあったな……)。 これは犯人を見破る手掛かり(主として女性に関することです)が果たして本当にそう言い切れるのか?という疑問を私に抱かせました。 私は必ずしもそうとは言い切れないのではないか?と思ったのです。 おそらく、有栖川さんはこの点は女性に聞いて確認していると思うので、私も今嫁に質問してきたら、「有栖川さんの言っている通りじゃないの?」と言い返されてしまった。 勉強になります(女性に関することについてはまだまだ弱いですなぁ)。 注目すべきは、作中の有栖川有栖に「最近の推理小説では、なんで現場が密室になっていたのかというその必然性が問われることになっている」と言わせているところなんですよね。 こういう意識をしっかり持って書いているのが新本格派なのでしょう。○ ルーンの導き これもダイイング・メッセージものです。 着眼点は面白いし、世間一般ではこれを知らない人の方がおそらく多いと思うのですが(「本が好き!」を読んでいる人は知っている人の方が多いかもしれません)、被害者が何故それを知っていたかについても無理なく説明しています。 ダイイング・メッセージの難しいところは、ミステリですから注意深い読者には分かるものでなければ興を殺いでしまうという弱点があるのですね。 あまりにも凝ったものにしてしまうと、「そんなの分かるか~!」となってしまうので、そのバランスがまた難しい。○ ロシア紅茶の謎 表題作であり、国名シリーズばりばりの名前をつけているので思わず微笑んでしまいます。 これは毒殺もので、タイトル通り、ロシアンティーに毒物が入れられて被害者が中毒死するのですが、その毒物を入れたのは誰か、飲む人は複数いるという状態で確実に被害者にその毒物が入ったロシアンティーを渡せたのは誰かという謎です。 ちょっと、クイーンの『災厄の町』を彷彿とさせるプロットですね。 このトリックを成立させるために『ある物』を使うのですが、それは私にも気付きましたがあんまり現実的ではないように思いました(これを使うと手間もかかるしね)。 私なら同じことをするならもっと別の物を使うな~と思った一作でした。○ 八角形の罠 なんと、『読者への挑戦』も挿入しちゃっている毒殺テーマの作品です。 演劇の練習中に突然停電となり、役者の一人が毒殺されてしまいます。 また、その少し後に、もう一人の役者も毒殺されます。 手段は、最初の役者は首筋に青酸カリ入りの液体を注射され、2人目の役者は煙草に青酸カリ入りの液体を注入されそれを吸ったというものでした。 誰がやったか?というフーダニット物ですが、鍵となるのは毒薬を注入するのに使った注射器の処分方法です。 役者達は1階の練習室におり、そこで事件も発生しているのですが、注射器は2階の鉢植えの中から発見されます。 どうやって2階に隠すことができたのか、それができるのは誰か?が問題となるのですね。 著者は一つのトリックを考案していますが、これは可能なのか? 私の勘違いや読み落としがなければ、この方法で注射器を処分しようとしても、そこは通常閉まっており、開けるためにはそばに行かなければムリだと思うのですが、著者は近づかずに処分できるとして書いています。 そうかなぁ? どの作品もなかなか面白い着眼点で書かれておりそこは評価できると思うのですが、れビュー中で触れたとおり、いくつかの点についてはできないんじゃないか?という疑問も抱いてしまいました。 実はできるのかもしれませんが、そうであるならば説明が不十分なのかもしれません。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2020/03/19 by ef177
辺見庸
一気読み。食べるって何だろう、生きるって何だろう。飽食って怖い。自分の中の常識が少し崩れた本。 >> 続きを読む
2016/06/13 by one
湯本香樹実
友人にすすめられて読んで見ました。とても薄い本で読みやすいです。(内容の欄を見るとそうは思えないですが・・・)どこか風や陽の自然を感じる場所でゆっくりと大切によみたい本です。 >> 続きを読む
2015/03/16 by kenyuu
貴志祐介
生命保険会社に勤める若槻が、とある保険金が目当てで殺害を繰り返すサイコバス·幸子との出遭いによって、階段を踏み外したように、恐怖の奈落へと堕ちていく物語。根源的な恐怖の元凶はいつも、人の心の奥縁で眠っている。人と言う物は状況に応じて、何処までも非道で残酷になれる。対人関係がより希薄になった時代だからこそ、その現象が顕著に現れる。備わるべき、良心や罪悪感を切り離してしまえば、心を持たない恐ろしい化物となる。その化物と若槻が対峙する事で、化物になる可能性は誰しも秘めている恐怖に心胆が冷たく震え上がるのだ。 >> 続きを読む
2021/02/20 by ebishi
桐野夏生
女探偵村野ミロのシリーズ第2弾。失踪をしたAV女優の一色リナを巡り、ミロは猥雑な世界へと入り込んでいくが、その過程で殺人事件が起きる。依頼が依頼なだけに、アンダーグラウンドの世界をミロが駆けるので、ハードボイルド色はより強くなった印象。そして一線を越えてしまうのも特徴で、1作目もそうだったがミロの恋愛というものは実らないことが確定しているかのよう。ただ事件の経緯には驚きがなく、1作目と比べると犯人当ても淡々と進んだ印象。 >> 続きを読む
2020/09/13 by オーウェン
東野圭吾
評価はあまり高くないですが、個人的には結構すきです。非日常なのに、引き込まれました。十代の頃に読んだので、特にこういうカリスマ性のある人間の話は無意識に共感できたのかも知れません。今読むとどんな感情になるのか、ちょっと興味深いです。 >> 続きを読む
2014/01/07 by ほそやん
とよたかずひこ
展開は喜んでいたものの、淡白な絵だからか?苦手な人間らしさ全開の動物が出てくるからなのか?好きになれなかった様子。 >> 続きを読む
2015/02/01 by ぶぶか
SchwerinDoris , GundersheimerKaren , 木島始
私の本棚にたくさん並んである絵本の中でも、本当に大切な思い入れのある1冊です。絵も可愛らしくてほのぼのします。今日できなかった事も、明日はきっと。子供たちはそうやって少しずつ成長して行きます。大人だって、心が疲れたら眠って・・・・。あすは きっと。 >> 続きを読む
2017/11/02 by yuki09
小林泰三
人獣細工、吸血狩り、本の3つの短中編の作品で構成される人獣細工。特に面白かったのは最後の本だ。 表題作の人獣細工は受精部分をぼやかしているがどうであっても胸糞悪い、いやな話だと思う。何をもって人は人と言えるのか?遺伝子工学等のバイオテクノロジーが発達し、実用化もなされている今こそ考えるベースとしてよいのかなと思った。なんにせよ、父親が人間の尊厳を踏みにじるためだけに子を作ったと考えると非常に胸糞悪いが。 本に出てくる、芸術に対する狂気が面白かった。演奏中に指がなくなった代わりをコンパスでまかなうという発想!ソフトウェアとしての芸術が、人間の脳内にインストールされるという発想が非常に面白かったし、それがコンピュータウイルスのようにふるまうという部分が怖い。完全なインストールがなされ、適合できれば人格は残るのか? 長さも読みやすかったし、恐怖を感じたい、ぞわぞわしたい人にはお勧めです。 >> 続きを読む
2018/10/11 by tnp
三谷幸喜
三谷幸喜さんの二人シリーズと思い、それも清水ミチコさんとの掛け合いと思い買えば、・・・・・・・・三谷さんの人見知り、話下手を克服するために、日頃気になるゲスト(女性オンリイ)をお呼びしての対談集。でも、気持ちの悪いぐらいの沈黙、突拍子もない話題の振り、仕事でなければ、用事思いだしたと、皆さっさと帰ってしまいそうな雰囲気。初対面の方とは、緊張もするものですが三谷さんのは酷すぎる・・・・・・三谷さんの緊張がこちらまで伝わってきて、心地悪く、最悪。早々に、お口直しに、清水ミチコさんとの、二人シリーズを読まなければで・・・・・。(今、「むかつく二人」読書中でおます) >> 続きを読む
2015/08/26 by ごまめ
Schindler, S. D , Le GuinUrsula K , 村上春樹
ル=グインの『空飛び猫シリーズ』第3弾お金持ちの別荘に生まれ大切に飼われている猫のファービー家の子猫いちばん年上でいちばん大きくいちばん強いアレキサンダーは「僕は素晴らしいアレキサンダーなんだ」と自分でもそう思うくらい、怖いもの知らずな男の子です。ある時、素晴らしいことをしてやろうと思い立ち、庭の柵を越えて外の世界を探検しに出かけます。ところが初めて見る世界は怖いものばかり。ちっぽけな自分を思い知ります。迷子になって高い木の上に取り残されたアレキサンダーを助けたのは、翼を持った黒猫ジェーンでした。今までの2作に比べ、メッセージが強く押し出された感がある本作です。子猫たちが他者と出会い成長する姿を描きます。お互いの違い故に相手の役に立てるのだということ。暖かく美しい心が他者を救うこと。本当に「素晴らしい」というのは、どういうことなのか。春樹さんの訳注も後書きもむしろコメントとレビューになってしまっていて、翻訳者のそれでは、もはやありません。ああ、やっぱり語らずにはいられない人なのね…(^^;;まあ、読んでみてください。(^^) >> 続きを読む
2013/07/12 by 月うさぎ
原田宗典
私の「スバラ式世界」シリーズも3冊目「そうそう 私はハラダ教信者だった」と借りてきました。 なぜにハラダ君のところには、こんなにタイヘンな、ヒサンなことが次々とやってくるのでしょう。 まあ、きっと私も色々あったんだろうけど、常に平常心、気にしない動じない大らかな性格(多分・・・)からか?すぐ忘れるからか?・・ こんな風に、日常のちょっとした事をドラマチックに表現できるなんて、ちょっとうらやましい気もします。(ハラダ君は疲れるでしょうが・・・) 疲れたな~ 力抜きたいな~って時に!! >> 続きを読む
2013/01/11 by バカボン
さくらももこ
読んでて飽きずに、グングン進んでいく感じが良い、旅行記として面白かった。
2015/07/02 by kazenooto
つの丸
(当時の呼称で)4歳時のグランプリ。第一部の最終巻となるのがこれですが、幻の黒い風は何度読んでも涙を誘います。・・・正直、ここで燃え尽きました。第二部以降は魅力的なライバルを創作できずに自滅した感があります。 >> 続きを読む
2011/06/23 by RZ350
竹内 桜
完結巻ゆえ基本構造は割愛。 完結から逆算して取ってつけた理由のための新キャラで、それっぽい雰囲気と読者受けしそうなセリフで無理やり終わらせてしまった印象。 あとがきなんかからも察すると、よっぽど連載が嫌だったんだろうなと。 疑似恋愛のために作られたマリが、製作者の恋が成就して存在意義を失い生まれた意味を失っていくテーマの作品。 編集部に騙されて連載をはじめ、さっさと終わりにしたいのに人気があってやめられなくなってしまったこの作品。 マリと連載そのものがシンクロして見えるのは勿論穿った見方である。 適当に終わらせられたなぁというのが感想。 今までの伏線とかなりたちとかほぼ無視して、最後は勢いだけで終わらせた印象。 青年と、想い人と想い人シミュレーター的な構造の、この作品の設定が活きたお話が読みたかったというのが正直な感想。 普通の恋愛マンガとして面白いのに、ロボットコメディ要素が邪魔をする。 ・・・でも、普通の恋愛マンガだったら私は手に取らないので、やっぱりロボット要素を恋愛に反映して欲しかった。 そして、ちゃんと物語を締めくくるラストが読みたかった。 >> 続きを読む
2021/01/09 by 猿山リム
高村薫
極上の国際スパイ小説。カタカナの登場人物に慣れないけれど、IRA、ベルファスト、ロンドンと、まるで映画の世界です。これが舞台が歌舞伎町なら、まるで違う印象でしょう。冒頭から驚きですが、下巻でどう収束されるのか楽しみです! >> 続きを読む
2014/01/18 by Hiropika
元IRAテロリストのジャック・モーガンは東京で斃れる際、誰と会い何を見たのだろう。伝書鳩ことケリー・マッカン、ギリアム、キム・バーキン、手島、皆があれほど惹きつけられ、全力疾走の後、みなが消えた闇は何だったのだろう。そして、ジャックの遺児はどんな人生を歩むのだろう。終章で、手島をして、この静けさは平和ではなく苦しみの沈黙だと語らしめ、たちまち辺りを覆い隠すような春の雨が降る大地。アイルランドの歴史を学ばないと、この小説の本当のところは理解できないかもしれませんね。それにしても、映画化されないのでしょうか。大ヒット間違いなしですよ! >> 続きを読む
2014/02/18 by Hiropika
藤木弘子
自称 香港の達人が語る香港の楽しみ方。深さ加減がちょうど良い香港ガイドブック。香港好きの自身としては、観光客のみをターゲットとしたガイドブックでは物足りない。かと言って、香港の歴史と本気で向き合うような学術書では無味乾燥でつまらない。類似の作品では、結局のところ、食文化や変な香港人の描写など、どこかにフォーカスしていくものが多い中で、本書は、わずかながらも香港に住み、現地での暮らしも語りつつ、友人の日本人旅行者の観光に付き合うことで、要所も押さえており、お得感が有る。香港庶民の暮らしぶりの描写では、行間から滲み出る香港のパワーは絶大で、いつもながら有る意味で望郷の思いを感じるのは何故なのだろうか。巻末の香港映画俳優のカラー写真もなかなか楽しめた。 >> 続きを読む
2012/04/04 by ice
スティーヴン・キング , 白石朗
【しんみりさせる良い結末ではないでしょうか】 6分冊だった本作も、図書館からまとめて借りてきて、結局一気に読んでしまいました。 次の巻を読めるまで1か月待つというキングのコンセプトを全く無視した勝手読み!(笑) でも、良い作品でしたよ。 この物語は、老人介護施設に入所している物語執筆時のポールが、刑務所に勤務していた過去を回想して書くというスタイルになっているのですが、老人介護施設でのポールの生活も並行して、各巻の冒頭で語られます。 ポールは、回想物語を、施設で知り合ったエレインという女性に読ませるために書いていたのですね。 第6巻は、刑務所長の妻を助けるために刑務所から連れ出されたコーフィーのその後と、狂暴な死刑囚のウォートン及びとんでもない刑務官のパーシーのその後が描かれます。 やや都合の良い決着ではありますが、読者にとってはある意味で望ましい決着になっているのではないでしょうか。 そして、物語を書き終えたポールとエレインの姿が描かれ、最後に、エレインに話すことができなかったポールの妻が亡くなった時のことが回想されます。 しんみりとしたラストで、良い作品だと感じました。 最後に、キングがあとがきを書いており、そこで、この作品を一冊ものにまとめるのはどうだろうか?と読者に問いかけています。 良いんじゃないでしょうかね。 次の巻を読むためには1か月待つというシステムは、最初の刊行時にしか経験することができないもので、既に全巻刊行済みになった今となってはその効果は望めないのですから。 分冊刊行しなくても、この作品の良さは失われないと思いますので、出版された1996年から随分時間が経っていることでもありますし、全冊まとめて刊行するというのは良い考えだろうと思います(なんか、もう出ているようですね)。 さて、1巻読み終えるごとに書いてきたレビューですが、第2巻のレビューで、「時制の混乱があるようだ。これはキングが何か仕掛けているのではないか?」と勘ぐりを書いてしまいましたが、そんなことはまったくありませんでした。 私の誤読でしたのでお詫びして訂正いたします。 ちょっと深読みし過ぎましたね。 この作品、第1巻目を読んだところではそれ程面白そうだという印象は正直無かったのです。 第1巻が導入部的だったこともあって、それはやむを得ないことでしょう。 しかし、2巻目以降は一気に読ませる力のある作品でした。 平易に書かれており、また、読者を引き込むツボを巧く押さえていて、さすがにキングは達者だなぁと感じました。 ちょっと甘いよという感想を持たれる方もいらっしゃるかなとも思いますが、まあ、いいじゃないですか。 その甘さは決して不快な甘さではなかったのですし。 素直にじ~んとくれば良いのかなと思っています。 良作でした。読了時間メーター□□ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK) >> 続きを読む
2020/11/08 by ef177
京極夏彦
岩を裏切り、毒を飲ませ別の娘と婚礼しようとする極悪人である南北版の伊右衛門を、著者は大胆にも、不器用で実直な侍として描く。また、疱瘡(ほうそう)を患い、顔は崩れ、髪も抜け落ち、腰も曲がるほど醜くなっていると表現されている岩の人間としての凛とした美しさが際立つ作品です。自分はこの著者とは相性の良い作品とそうでない作品の差が激しいので好きな作品と苦手な作品に分かれるのですがこの作品も作中、前半部は大好きなんです(笑)特にこの“伊右衛門”と“岩”双方の登場人物が・・・不器用な二人のやりとり。「あの作品をこう料理するか・・・」と本当にびっくりします。岩というある意味、被害者として百数十年も描かれてきた人間をそうではなく、その病気・外見すら受容して生きていく強い人間として描き(そのなかで、垣間見える女心がとても可愛らしい)・・・自分は頑なな女性が大好きなんですよ(笑)タイトルにもなっている伊右衛門が“嗤う”のはどこなのか。様々な人間の情と欲と愛を動かせながら後半はどうしても本家の話の大きな流れを変えずに進行していきます。(・・・ただ、ラストはなぁ・・・ああいう方法しかないとはいえ・・・)なんか、悲しいです。読んでいくうちに、妖怪・怪異の類でなくきちんとした人間の業によってすべての悲劇が解かれる推理小説にもなっているのに気がつくのに時間がかかりました。 >> 続きを読む
2013/09/04 by きみやす
出版年月 - 1997年6月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
ページの先頭に戻る
会員登録(無料)
レビューのある本