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1998年4月発行の書籍

人気の作品

      不夜城

      馳星周

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 気になる作家のひとり、馳星周の映画化もされた「不夜城」を読了。

        この小説は、抗争に明け暮れる歌舞伎町のチャイナ・マフィアと虚無を描いたハードボイルド小説の傑作だ。
        非情な裏社会を冷徹な筆致で描き、吉川英治文学新人賞を受賞した、馳星周の衝撃のデビュー作でもある。

        劉健一は、台湾人の父、日本人の母との間で生まれたハーフだ。
        父の顔を知らず、母の愛を知らずに育った。
        日本人社会に溶け込めず、といって台湾人の社会からもはみ出し、単独で動く故売屋(密売屋)として、どうにか新宿・歌舞伎町で生きている。
        誰一人、頼る者はいない。

        彼がそうなった原因の一つは、健一の相棒だった呉富春が上海マフィアの構成員を殺し、姿を消してしまったからだ。
        その呉が、東京に戻ってきたという噂が流れた。

        当然、健一のもとに連絡があるはずだと誰もが思っていた。
        上海マフィアのボス、元成貴は、健一に命じた。
        三日以内に呉を捜し出して連れて来なければ、命はない、と。

        すると、健一の前に一人の女が現われた。
        買い取ってもらいたいものがあると言う。
        「おれは故売屋だ。金になるものなら、たいていのものは買う」---健一はそう言い、何を売りたいのか聞いた。

        女は、呉を売りたいと言った。彼女は呉の愛人で夏美といった。
        呉の暴力に耐えられないので彼を売りたいという夏美に、健一は危険なものを感じながらも、彼女に惹かれていくのだった。

        一方、呉も動き出した。夏美が元成貴に捕らえられたと勘違いした呉は、元の情婦のクラブを襲撃する。
        健一は窮地に陥った-------。

        裏切りにつぐ裏切り。誰が味方で誰が敵なのか。真の黒幕はいったい誰なのか。
        あまりにも、もろい絆。あまりにも、軽い命。

        眠らない不夜城・新宿の街で、今夜も誰かが命を落とすのだった-------。

        この小説の舞台は、闇の中国人社会。登場人物のほとんどは中国系の人々、実に新鮮な設定だと思う。
        こんな世界があったのかという驚きも、この「不夜城」の魅力だ。

        そして、これまでの日本のハードボイルド小説にはなかった決定的な特徴は、主人公をはじめとする登場人物の誰にも、感情移入できない点だ。

        嘘につぐ嘘。裏切りにつぐ裏切り。信じられるものは自分だけ。
        救いようのない世界が、そのままリアルに乾いたタッチで描かれる。
        そして、そこには希望もないし、絶望すらもないのだ。

        それまでのハードボイルド小説の主人公たちは、今から思えば前向きだった。
        主人公たちは命を狙われ、女に裏切られ、友を失くすかもしれないが、信じられる何かがあり、命を懸けられる何かがあった。

        だが、この「不夜城」の主人公には何もない。
        巨大なシステムの中で生きるしかない人間が、そのまま描かれているのだ。

        >> 続きを読む

        2018/06/13 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      介子推

      宮城谷昌光

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 宮城谷昌光の中国古代歴史ロマンの世界を味わいたくなり、今回「介子推」を久しぶりに読んでみました。

        この「介子推」は、「重耳」に登場する高潔の人、介推を主人公とした長編小説です。

        物語は、介推が山霊のお告げによって、霊木から作った棒で、山中に巣食う邪霊の虎を退治するところから始まります。

        何やら神仙譚めきますが、この作品で描かれているのは、冒頭の虎をはじめ、霊木たる櫟や、雪の小片を"風の簪"と捉えるような独特の"シンボリズムの世界"なのです。

        その中で放浪の公子・重耳に仕える介推と、彼と人生の明暗を分けた郷党の友人・石承の生きざま、更には重耳を狙う刺客・閹楚との死闘などが描かれていきます。

        そして、この作品は、奇蹟の人、重耳の歩いて来た道が穢されるに及び、これを恥じた介推が山にこもるところで終わります。

        だが、この作品の全編を通して我々、宮城谷昌光の熱烈な愛読者を包み込む、この小説の持つ優しさ、奥深さは、まさに言葉では言い尽くせません。

        物語は「重耳」を別の側面から読む楽しみを有しつつも、全く別個の性格を持っていると思うのです。それは、重耳が相手にしたのが"天下国家という政治"であったのに対し、介推のそれが、徹頭徹尾、"人の心"であったことによっているためではないかと思います。

        作者の宮城谷昌光は、この作品を書くために相当な苦吟を強いられた旨を述べていますが、人の心しか相手にせぬ男を書こうとすれば、確かにそれは道理です。

        さまざまなシンボリズムの織り成す世界は、今一つのシンボル=神となった男の像を最後に浮き上がらせるのです。

        それと同時に「重耳」や「晏子」で、地上の覇者を描いた作者は、ここに"精神の王者"を描き切ったのだと思います。


        >> 続きを読む

        2017/09/17 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      こころの処方箋

      河合隼雄

      新潮社
      カテゴリー:人生訓、教訓
      3.2
      いいね! Tukiwami
      • 不安や不満があるが、解消のしかたが分からない…。そういうことは皆に起こりうる。
        りたいことがあるけど踏み込めない…
        自分を押し殺して頑張ってるのに成果が出ない…
        思い切って意見を述べたのに、分かりあえなかった…
        そんなトラブルの時、考え方の転換法を教えてくれる一冊。
        読んだら、力んでいたのがすっと軽くなるかも。
        >> 続きを読む

        2016/07/23 by botan

    • 他2人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      海のある奈良に死す

      有栖川有栖

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 有栖川と同じ作家仲間の赤星が若狭湾に溺死となって浮かんでいた。
        その前日に海のある奈良へ行くという謎の言葉を残して。

        これまでのシリーズとは違い、トラベルミステリとでも呼べそうな関西地域の鉄道がふんだんに出る。
        と同時に海のある奈良とは一体なんなのか。

        火村がいる意味があまりない気がするのが難点だが、読み返すと伏線はしっかりと入っていた。

        また時代性を感じる映像のトリックも込められているが、現代ではもう通用しない類いだろう。
        >> 続きを読む

        2019/06/01 by オーウェン

    • 他1人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      スウェ-デン館の謎

      有栖川有栖

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 雪国のログハウスで起こった殺人事件に
        アリスと火村先生のコンビが挑みます。
        事件の発端となる子供の死、悲しみを湛えたスウェーデン人の
        妻と童話作家の夫。
        雪国という舞台装置と悲劇的な設定が巧く絡みあって
        幻想的な雰囲気を持った作品に仕上がっています。
        それにしても、北欧の美女というのは何故こうまでも
        魅力的に思えるのでしょうか?
        これは、映像化して欲しいです。
        >> 続きを読む

        2015/04/21 by UNI

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      ダディ

      郷ひろみ

      幻冬舎
      カテゴリー:声楽
      4.0
      いいね!
      • これを読んだ時、ヒロミゴウは天才じゃないかと
        思った。

        松田聖子から電話があった時、
        「頭の中で『渚のバルコニー』が流れて、血液中のアドレナリンが
        一斉に『お嫁サンバ』を踊り出した」

        浮気がばれて帰宅した時、
        「そこには超人ハルクが立っていた、友里恵だった」

        浮気を問い詰められた時、
        「友里恵の声が倍賞美津子ぐらい低い声になって、
        ボクの声は長島茂雄のように高い声になった」

        こんな面白い文章を彼以外の誰が思いつくと言うのだろうか。
        不謹慎かも知れないが、またこういう本を出して欲しい。
        >> 続きを読む

        2015/07/23 by UNI

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      人間の幸福

      宮本輝

      幻冬舎
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • あるマンションの隣にある家の主婦が殺された。
        白昼の殺人事件であるにもかかわらず、
        いっこうに犯人は捕まらない。
        敏幸は自分が警察から容疑者の疑いをかけられる、
        あるいはかけられているのではないかと疑心暗鬼になり始める。
        マンションに住む他の住人達もそれは同じである。

        警察の事情聴取、任意の取り調べで
        個人個人がそれぞれに持っていた
        小さな秘め事から大きな嘘や裏切りまで
        少ししずつさらけ出されていく。
        誰も知らなければ、誰も傷つかずに済んだ様な事までも。

        人間が人間であるならば誰でも一つや二つは隠し持っている秘密がある。
        私にはもう少しある(笑)

        登場人物のそれぞれがそれぞれの秘密に絡みあい、
        何とはなく収集がつかなくなってきたかな・・・
        というところから一気にクライマックスへ向かう。

        読んでからのお楽しみであろうが
        私はなんとなく梯子を外された様な読後感だった。

        執筆時の終盤に神戸の震災があったとあとがきに書かれていたが、
        そのあたりの精神的な動揺もあったのでは?と、思う。

        ただひとつ、忠告しておく。
        出来れば、秘密は少ないほうがいい(笑)
        >> 続きを読む

        2014/01/20 by <しおつ>

      • コメント 10件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      幼少時代

      谷崎潤一郎

      岩波書店
      4.0
      いいね!
      • 明治がどのような生活をしていたのか、どのような日本だったのかをリアルに知ることができた気がする。

        谷崎の小説はまだ読んだことがなく、人から聞くにはよく変態だというが、この幼少時代を読む限りは特に変態だとは思わなかった。

        私は歌舞伎を見に行くのが好きで、この本にも歌舞伎の話がたくさん出ているので理解できたのがうれしかった。

        教養とは時代を超えて共有できるものだと思った。

        それにしても昔の文豪など、奇跡や廻るめくして文豪になった人が多いこと。
        谷崎もその一人で、決して裕福で学のある家庭で育っているわけではないということ。
        谷崎の小説を読んでみたいと思った。
        >> 続きを読む

        2016/05/22 by snoopo

    • 1人が本棚登録しています
      そんなわけで名探偵

      杉山亮 , 中川大輔

      偕成社
      カテゴリー:文学
      3.3
      いいね!
      • どろぼうおばけが面白かった。

        2016/12/27 by Na-chan

    • 5人が本棚登録しています
      非常識がジョーシキ (角川文庫)

      玖保 キリコ

      5.0
      いいね!
      • 非常識がジョーシキ。玖保キリコ先生の著書。世間的には非常識なことをジョーシキと思っている非常識人間、結構多いと思います。そんな非常識人間の日常を面白おかしく描いた楽しい一冊。自称ジョーシキ人間にも非常識人間にも読んで欲しいです。 >> 続きを読む

        2018/09/28 by 香菜子

    • 1人が本棚登録しています
      星の巡礼

      山川紘矢 , CoelhoPaulo , 山川亜希子

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:ポルトガル文学
      3.8
      いいね!
      • 面白く読めたけど、やはり自分には宗教が絡む話は理解しにくいようだ。前に読んだ"アルケミスト"の方が分かりやすかったかな。今後もコエーリョ作品は手に取ってみようかと思う。 >> 続きを読む

        2013/06/15 by freaks004

    • 7人が本棚登録しています
      平家物語 栄華と滅亡の歴史ドラマ

      水上勉 , 川本桂子 , 梶原正昭

      学研マーケティング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 平家物語に関連するいろんな絵画や絵巻物や屏風、彫刻やゆかりの地などの写真が豊富に盛り込まれていて、とても良かった。

        ビジュアルで見ると、平家物語もよりイメージしやすくなると思う。

        本当にきらびやかで華麗で、そして哀れな物語だと思う。

        ゆかりの地がいろいろ載ってあって、去年とおととし、法住寺や六波羅蜜寺や蓮華院や清水寺、そして厳島など、平家物語ゆかりの地を訪れたことがあったので、あらためて平家物語にぐっと親近感が湧き、感情移入できたことを思った。
        まだ行ったことがない寂光院その他も、いつか行ってみたい。
        >> 続きを読む

        2013/09/04 by atsushi

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています
      挾み撃ち

      後藤明生

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •        渋い作家の澄んだ文章
         挟み撃ちに遭うのはなかなか辛いものだ。上司と部下にはじまり、仕事と趣味、職場と家庭、家内と愛人(これは冗談)。殊に末尾の挟み撃ちは、傍から見ると羨ましいが、じっさいには大変と耳にする。モテないわたしには無縁だが……。
         えーと、もうそろそろ新年度が始まりますね~。仕事の準備が忙しすぎて、久しぶりのレヴューになりました。雪しろが川へ流れ込むとき、春の訪れと歩みを揃えるように仕事の波に呑まれる。こういう忙しさって何度経験しても慣れませんね。辛いです。
         話を小説に戻します。作者は後藤明生。めちゃくちゃ運動神経のいい文章を書きます。大体、小説家なんてものは運動音痴ばっかりなんですよ。夏目漱石も石川淳も自転車にさえ乗れません。志賀直哉は鉄棒の名人と呼ばれていたけれど、まあ小説家にはそういう傾向がある。しかし後藤明生はちがう。ひとたび万年筆を握りしめ、原稿用紙に向き合えば、体操選手顔負けの大車輪をみせてくれる。たとえば、この小説の書き出し
         
         ある日のことである。わたしはとつぜん一羽の鳥を思い出した。しかし、鳥とはいっても早起き鳥のことだ。ジ・アーリィ・バード・キャッチズ・ア・ウォーム。早起き鳥は虫をつかまえる。早起きは三文の得。わたしは、お茶の水の橋の上に立っていた。夕方だった。たぶん六時ちょっと前だろう。

         ね、おもしろいでしょ、この文章けっこう話題になったんですよ。向井敏の『表現とは何か』という本のなかに、丸谷才一がこの書き出しを絶賛する件(くだり)があります。とにかく、この人の文章はおもしろいです。現代作家にも多大な影響を与えていて、たしか朝吹真理子さんも愛読者の一人と記憶しています(クレジットが付けられなくてスミマセン)。そしてなにより、後藤はゴーゴリのいちばん弟子です(少なくとも日本では)。辻原登さんが自著のなかで、「我々はみなゴーゴリから、その外套の下からやってきた」と力説されていましたが、師ゴーゴリとその弟子後藤明生、この二人の挟み撃ちから日本の現代文学を見渡すと何か分かるかもしれません。
         
        >> 続きを読む

        2015/03/13 by 素頓狂

      • コメント 1件
    • 1人が本棚登録しています
      ヒトはイヌとハエにきけ 異種間コンタクトの方法

      BooneJohn Allen , 上野圭一

      講談社
      カテゴリー:一般動物学
      4.0
      いいね!
      • 動物に意志がないなんて、長く動物と暮らした人は誰も信じないでしょう。
        言葉を超えた、というよりも、言葉を得ることで人間が失った能力について、気づかせてくれる。そんな本です。

        著者J.アレン・ブーンは新聞記者から映画プロデューサーになり、「ストロングハート」という非常に賢い犬を預かる経験をして、動物と意思を通わせるということがいかなることかを悟ります。

        キリスト教的な「万物の霊長」神話を信じている人には受け入れられない考えかもしれないですが、キツネがお使いだったりする日本の文化には、そう馴染みのない考えでもないのでは?

        私が最も共鳴するのは、「心」は「脳」にあるのではない。
        という部分です。
        人間の脳に対する過信は多くの不幸の源だと思うし、
        身体と精神を切り離して精神を上位と考える思想は間違いだと思っているので。
        この本は非常に面白いと思う。

        ハエの「フレディー」とも意思疎通が可能となり、アリにもメッセージが通じたという話までは、
        信じるか否かは読んでご判断いただければ、と思いますが。


        「ヒトはイヌとハエに聞け」は、「動物はすべてを知っている」という題名で文庫化されていそうですが、
        インパクトは、「イヌとハエ」の方が強いですよね。
        >> 続きを読む

        2012/02/27 by 月うさぎ

      • コメント 8件
    • 4人が本棚登録しています
      村上龍映画小説集

      村上龍

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね! mt-yuto
      • 69に続いて村上龍さんの小説を読んでみたのですが、面白い!その時の自分に刺さる言葉がたくさんあります。

        この小説は「69」と「限りなく透明に近いブルー」の間を埋めるようになっていてます。

        僕的には各話の共通のテーマ感じるというよりはグサッとくる文章がたくさんあってその文章をどう自分で解釈していくかが面白い作品だなと思いました!もちろん話自体もそれぞれ面白く、読者始めたばかりの自分にも読みやすかったです。
        >> 続きを読む

        2016/03/07 by ユート

    • 3人が本棚登録しています
      救命センターからの手紙―ドクター・ファイルから

      浜辺 祐一

      5.0
      いいね!
      • こんなにも簡単に、人は死んでしまうのか、、。命の価値はみんな等しいと思っていたけれど、救命センターのような生命の瀬戸際に立たされると、厳しい選択にも迫られる。私が「脳死」したら困っている誰かに臓器を提供したい。けれども家族や大切な人がドナーになることは快くは思えない。本人の希望が一番やけど、、
        涙が止まらなくなった。
        >> 続きを読む

        2016/11/27 by shiho

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      子子家庭は大当り!

      赤川次郎

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 【読了日不明】

        両親が同時に家出をして「子子家庭」になってしまった坂部家の大黒柱は、小学六年生にして主婦役をつとめる律子。
        最大の問題は、とにかくお金がない! 
        年齢を偽って結婚式場で聖歌隊のアルバイトをしたり、何とか弟・和哉との生活を支える律子だったが、次から次へと騒動に巻き込まれてしまい……。
        二人の生活は、そして坂部家の運命はいかに? 
        大好評のライト・コメディ第2弾!
        >> 続きを読む

        2013/12/14 by books

      • コメント 1件
    • 1人が本棚登録しています
      餓鬼大将の論理 エッセイ集)

      井上ひさし

      中央公論新社
      4.0
      いいね!
      • ひょこりひょうたん島を作った日本有数の劇作家である著者が子供のころは餓鬼大将だったのか!とタイトルに惹かれ図書館で借りた本。
        エッセイ集なので、まずはと表題の「餓鬼大将の論理」から読んでみたが、自身の回顧談では全くなく、戦時中の日本の振る舞いを餓鬼大将(当然悪い意味で使っている)に見立てて批判したものだった。

        エッセイ全般を通じ政治や社会についても個人の身体感覚に基づいた批評しており、マクロな出来事もミクロから解釈できるという論法だと感じられた。
        また、あるエッセイの中で、日本には生物としての人間と経済活動を行うものとしての人間の乖離を埋める言葉がないことを指摘していた。

        直接これについてではないが、去年、内田樹が日本における身体感覚の扱われ方について、
        「日本では、このコロキアルな身体実感をもつ言葉と政治的幻想が癒合したタイプの言説が「最強」である。 明治維新も、中国アメリカとの戦争も、戦後の安保闘争も、全共闘運動も、フェミニズムも、それが「白熱した」のは、イデオロギーが身体を手に入れたときである」「60年代のいわゆる「肉体の叛乱」は、この軍国主義の利器を左翼的に奪還する試みであったと私は思う。」
        と書いている。
        そして、内田は以下のように続ける。
        「彼らは「プロレタリアの苦しみ」の代わりに「普通の人間である、オレの利己心と欲望」をベースに採用した。
        おい、かっこつけんじゃねえよ。
        お前だって金が欲しいんだろ?
        いい服着て、美味い飯を喰いたいんだろ?
        それでいいじゃねえか。
        隠すなよ。
        他人のことなんか構う暇ねえよ。
        自分さえよければそれでいいんだよ。
        そういう「リアルな実感」の上に「やられたらやり返せ」というショーヴィスムや市場原理主義や弱肉強食の能力主義の言説が載っている」

        http://blog.tatsuru.com/2011/01/05_1502.php

        これを思うと、20数年前の構図が形を変えて今でも続いているのだというある種の諦念とともに、井上ひさしはこの戦いをどういう気持ちで行ってきたのかと考えてしまう。違う立場の者を打ち倒そうとしたのか、お互い共有できるものを提示し続けようとしたのか。。

        ただ、内田は先の問題について、
        「私たちの言葉と彼らの言葉をわかつのは、そのような下品な言葉に生身の人間は長くは耐えられないという 、私たちの側の「弱さ」だけである。」
        とまとめている。
        当時、私は「身体性を操作できる人」に対してそんな言葉じゃ通じないだろうと思っていたが、井上やすしの射程はそこまで見据えていたのだろうか?今度は作品に触れてみたいと思った。
        >> 続きを読む

        2012/01/05 by Pettonton

    • 2人が本棚登録しています
      ジャクソンヴィルの闇 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 213-4))

      ブリジット・オベール

      4.0
      いいね!

      • フレンチ・ミステリの作家ブリジット・オベールがホラー小説に初挑戦した「ジャクソンヴィルの闇」を読み終えました。

        このホラー小説は、著者が愛してやまないというホラー映画、とりわけジョージ・A・ロメロ監督の三部作を初めとするゾンビ映画へのオマージュを捧げた、本格的なゾンビ・ホラー小説だと思う。

        物語の舞台は、米国南部の田舎町。ゴキブリの異常発生を不吉な前兆として、住民が惨殺されて貪り喰われる事件が連続して起きる。

        主役の少年コンビや警官たち、FBI捜査官、さらには老若男女とりまぜた町の人々が、この世ならぬ恐怖に直面するありさまを、小気味良い語り口で描いていく手法は、まさに、ホラーの帝王スティーヴン・キング流の共同体崩壊ホラーのそれを踏襲していると思う。

        さすがに、フレンチ・ミステリの書き手とあって、本家に較べると、かなり軽快な印象を与えるが、その分、我々日本の読者にはとっつきやすいかも知れません。

        独立記念日、夏休みの始まり、少年たち、嗚呼、懐かしのブラッドベリよ!---といった具合に、私のようなアメリカン・ホラーのファンの琴線をくすぐる布石も心憎いばかりだ。

        しかも後半、ゾンビ軍団出現の謎の解明に際して、安直にSFに逃げることをせず、敢えてダーク・ファンタジー的な方向へ暴走することで、独自性を示した心意気にも共感を覚えましたね。

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        2018/10/08 by dreamer

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      幻夢エドガー・ポー最後の5日間 (徳間文庫)

      スティーブン・マーロウ

      4.0
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      • このスティーヴン・マーロウの「幻夢 エドガー・ポー最後の5日間」は、実在の歴史上の人物が登場する歴史ミステリだ。

        舞台は、アメリカとパリ。ポーの創作上の探偵デュパンをはじめ、ポーゆかりの人物がにぎやかに顔を出して、興味津々だ。

        といっても、ポーがフィクションの事件に探偵の能力を発揮するとかいう話ではないのです。ポーが行き倒れ状態のところを発見され、絶命したことは歴史上の有名な事実だ。

        彼の死の前の5日間の行方は、空白のままらしく、謎の失踪期間がこの小説の扱う時間となっているのです。

        だが、失踪に関する有力な回答は与えられない。特別な行動があったのではないかという推理があるわけではなく、謎は謎のままなのだ。

        著者スティーヴン・マーロウの興味は、この期間にポーが何を幻視し、何を夢見たかに集中しているように思う。とにかく、主人公はポーなのであるから、徹底したファンタジー小説が成り立つだろうという仕掛けなのだ。

        ポーに魅せられた人たちは、"もし生が一つの夢ならば、死は一つの覚醒である"とか、気のきいた警句でもひねってみたくなるに違いない。

        生の現実には少しの意味もなく、死にいく過程そのものが"発見"に満ちた創造なのだろうと思う。

        だから、泥酔してぶっ倒れていたホラー作家の存在とは、夢が紡がれるための最強の基地になる。ポーのそれまでの全生涯が、巻き戻されてくるだけではなく、グロテスクな夢が際限なく飛翔していく。

        この作品は、よくよく考えてみると、ポーが五重人格に分裂して5日間のナイトメアを通過するという、幻想文学の巨匠をダシに使った巧緻な幻想小説なのだと思う。


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        2018/02/15 by dreamer

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