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1998年5月発行の書籍

人気の作品

      キッチン

      吉本ばなな

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! fireman Erika pikapika
      • 【何と繊細な感性の作品なのだろうか】
         タイトルだけはずっと知っていた作品でした。
         もちろん、作家さんの名前も。
         でも、これまで全く食指が動かず、手に取りもしなかった作品なのですが、『日本の現代作家をもう少し読んでみようシリーズ』を続けていて、さすがに有名な作品なので読んでおこうかと思い読んでみました。

         3つの短編が収録されています。
         最初の『キッチン』と、次の『満月-キッチン2-』は連作です。

         3作とも人の死ということが一つのテーマになっている作品です。
         それを主人公の女性の視点から見ているという、ごくごく簡単に言ってしまうとそういう作品です。

         とにかく設定が変わっています。
         『キッチン』のシリーズでは、祖母と二人暮らしだった主人公の女性が、祖母を亡くして広すぎる家から出なければならなくなった時、さほど親しくもない男性から急に声をかけられて、特に思い悩むようなこともなく、自然にその男性と母親が二人で暮らすマンションに居候することになるというお話です。
         いや、母親と書きましたが、実は男性なのです。
         声をかけてきた男性の父親で、本当の母親が亡くなった後、突如整形を繰り返して女性として生きることにしたという人物です。
         そしてその『母親』も間もなく殺されてしまうのですけれど。

         これだけの設定を読んだだけでも相当にカッ飛んだ話に思えてしまうのですが、何故か「そういうのもありか」と納得させられてしまいました。
         文体にも独特のものがあります。
         それも一つの大きな魅力なのでしょう。

         もう一つ収録されている『ムーン・ライトシャドウ』という作品も、彼氏を事故で亡くした女性が主人公です。
         彼氏は弟の彼女と一緒に車に乗っていた時に事故に遭い、二人とも亡くなってしまうのです。
         弟からすれば兄と自分の彼女を一度に亡くしたということになるわけですね。
         その弟は、それ以来彼女のセーラー服を着て過ごしているというのです。

         これもまあ、ここだけ読むと随分な設定だと感じるかもしれません。
         でも、大変美しい作品でもありました。
         これはファンタジーですね。

         この本が世に出た時、大変話題になったことを記憶しています。
         私は、当時はそれこそ日本の現代作家にはほとんど関心が無く、また、著者の『ばなな』という名前も、当時としては相当に斬新で、正直言って何だかちょっと違和感を感じてしまったこともあり、この作品はスルーしていました。
         その後もまったく読もうという気が起きずにいた作品なのですが、今回読んでみて良かったと思いました。
         素直に良い作品だと感じました。


        読了時間メーター
        □□      楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK)
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        2020/03/01 by ef177

    • 他22人がレビュー登録、 75人が本棚登録しています
      HUNTER×HUNTER - 1 出発の日

      富樫義博

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.3
      いいね!
      • 周りの友人、知人から面白いよ~と何度となく勧められようやく重い腰をあげて取り敢えず3巻まで購入してお試しで1巻読んでみた。

        まあ、まだ1巻だしプロローグ的な感じだから何とも言えないけれど、普通に読める(笑)というか、逆に最近は普通に読める作品読んでいなかったからすらすらとさらさらと読めたことがたのしくて(笑)

        有名で歴史があり色々な方が面白いと言うのにも頷ける作品だなぁというのが素直な印象。

        これから、もっと話が進んで面白くなるのだろうから引き続き読んでいきたいと思う。

        ちなみに知人からは5巻まで読むと面白さが分かると言われたのでそこまでは頑張って読もうかなとも思っています(笑)

        作者さんは休載が多い事で有名な様でよくまとめサイトとかではそういう記事見かけるけれど作品自体は読んだことが無かったのでなんか、こうやって1巻読めたことが感慨深いというか。

        人気で有名な作品には人を惹き付ける力があるのだなぁと改めて思った善き秋の日でした。(てか、もう秋じゃなくて冬みたいだけどね笑)
        >> 続きを読む

        2017/11/15 by 澄美空

      • コメント 4件
    • 他4人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      邪馬台国はどこですか?

      鯨統一郎

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね! ooitee

      • 某私立大文学部で日本古代史を研究するロマンスグレーの紳士、三谷敦彦。
        同大学の助手で世界史という総合歴史学を専攻する、大和撫子の外観を持つ早乙女静香。

        そして、その二人を相手に丁々発止の歴史談義を展開し、奇論奇説を開陳する正体不明の自称歴史家の宮田六郎。

        バーのカウンターでのこの三人の定説対奇説に、バーテンダーの松永が巻き込まれていく設定で、ほとんど地の文なし、会話文のみのシンプルな構成なんですね。

        この覆面作家・鯨統一郎の短篇集「邪馬台国はどこですか?」のような歴史ミステリは、数が少ないながらも、ミステリの中では有力なジャンルであり続けていると思う。

        ここでいうのは、歴史上の定説について蘊蓄なかばで、ああだこうだと異説をぶつける高尚なジャンルのことだ。
        例えてみれば、つまり「源義経はジンギスカンである」とか「清水次郎長はジェロニモである」とかいうお話ですね。

        この作品は、まさしく新人作家の第一作として、歴史ミステリに新奇な趣向を付け加えることに成功していると思う。
        語り口の滑らかさに、確かな実力がのぞいていると思いますね。

        とにかく、軽くて爽やかな喉ごし。意表をつく論法で歴史上の定説を覆す鮮やかさ。
        あとに、もたれない心地よさ。お笑い日本意外史の一回限りの手品を存分に楽しみ、知的な興奮と諧謔に満ちたひと時を過ごせるんですね。
        そして、「こんな馬鹿な話があるか」と、反論の余地を残しておいてくれる手際も、実に憎い。

        リレー式の6つの短篇からなるこの作品は、「釈迦の悟りは本物か?」という問いに始まって、表題作の「邪馬台国はどこですか?」につながっていく。

        第三話は、「聖徳太子は実在の人物ではなかった」。
        続いて、推古天皇の字解にひっかけたオチには誰しもがニヤリとするだろう。
        その次は、本能寺の変の裏目読み、明治維新の真相と続き、最後に、「イエスは誰だったか?」の秘話でトリになる。

        戦国時代の武将をノイローゼ患者に仕立ててしまったり、内乱が回避された徳川幕府の終焉に、あるとびきりのマジックを介在させたりの仕掛けも面白いが、歴史とは誰のためのものかという本質に迫った第三話の重厚さが、個人的には一番好きですね。

        この作品の中で、歴史の真実を言い当てていて妙なのは、「思えば、われわれが当時の日本を知る資料として『日本書記』、つまり勝者の記録しか持っていないということは非常に残念なことだ」という、歴史について語る言葉ですね。

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        2018/08/26 by dreamer

    • 他4人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      あの頃ぼくらはアホでした

      東野圭吾

      集英社
      3.6
      いいね! momomeiai
      •  東野圭吾ってこんな人だったのか!と良い意味で衝撃を受け、作品だけでなく人として興味を持つことができた。東野氏自身の小学生時代から就職するまでの出来事が書かれているが、関西弁の軽妙なトーク主体で書かれているため、とても楽しく読み進めることができる。また、(親近感を感じる)タイトル通りのアホっぷりで、思わず笑ってしまうようなシーンも多い。特に、不良に囲まれた中学生時代や、自らの過去の悪行をさも友人K(圭吾のK?...)がしでかしたことのように語っているところなどは、アホっぷり全開で面白かった。彼は無類のゴジラ好きだったようで、途中当時のゴジラ作品の魅力などが語られている部分があるが、私は全く知識も興味もないので、そのあたりは読んでいて少し退屈感があった。物語は就職時点で終了となっていて、今後もそれについて語るつもりはないらしい。いつか、自分ではなく友人Kのこととして(笑)語ってくれることを期待している。。 >> 続きを読む

        2019/06/18 by shinkai

    • 他3人がレビュー登録、 21人が本棚登録しています
      ONE PIECE 巻三 偽れぬもの

      尾田栄一郎

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • ONE PIECE 第3/67巻(未完結)

        道化のバギーとの決着をつけ、ナミを加えた新たな布陣で迎える船出。

        早くも繋がり始める伏線に、否が応にも今後への期待が高まる。

        道化のバギーをサクサクと片付ける中で語られる、若かりしシャンクスとのエピソード。

        正直ふざけすぎのバギーには飽きていたのだが、シャンクスの若い頃の話が聞けたのは収穫だった。

        バギーが悪魔の実を食べる前からピエロの鼻だったのは少し笑えたし、シャンクスを逆恨みしている風のダメっぷりもバギーにはお似合いだと腑に落ちた。

        途中、本筋に影響しないとおもわれる箱にハマった男の島のエピソードが挟まれる。
        ここで甦ってきたのは、ガンダムでも有ったザクを隠し持つ男の話である「ククルス・ドアンの島」

        どうして本筋に全く関係ない話を挟むのか?と当時わけがわからなかったが、こうして記憶に残っている以上、その世界観を構築するために必要だったのかもしれないと思い直した。

        今回登場のキャラでは、ウソップが立っていた。
        執事クラハドールとの確執そして陰謀という話よりも、その父親ヤソップとの関係性が良かった。

        わずか3巻にして、1巻で登場した赤髪のシャンクス一味のヤソップという伏線が、その子供ウソップの登場で生かされたことに、作品のエンターテイメント性に対して大きな安心感を得た。

        頭脳明晰で冷徹なキャプテン・クロとの戦いが、どのように展開するのか楽しみである。
        >> 続きを読む

        2012/10/12 by ice

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      カモメに飛ぶことを教えた猫

      SepulvedaLuis , 河野万里子

      白水社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 猫がカモメとの約束を守ろうと奔走する。
        仲間の力を借りて。
        猫のゾルバがとてもカッコイイ。
        こんな友だち、ほしいな。
        こんな友だちに自分はなれるだろうか。

        信用できる人間を猫たちが選ぶところ、
        考えさせられた。
        猫たちの選択は間違いがなく、
        それによって作戦は成功する。

        猫たちから選ばれるような、人でありたい。
        >> 続きを読む

        2018/12/15 by momo_love

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      嫌われものほど美しい ゴキブリから寄生虫まで

      相原真理子 , Angier, Natalie

      草思社
      3.7
      いいね!
      •  生物の本を読むのはとても楽しい。テレビで動物の番組をやっていたら思わず見入ってしまう。

         とにかく虫も動物も不思議で満ちておりそれらを知ることは、我々の知的好奇心を満たしてくれる。それと同時に、人間というものの小ささを考えさせられる。

         人は毎日あくせく働いているけれども、自然界の生物の多くは厳密に観察してみると、ほとんど何もせずにごろごろしている種類が多い。しかし、それは決して無駄なことではない。最小限のカロリー消費で済むように、日々を過ごしているのだ。無駄な動きは命を縮めることを彼らはよくわかっている。

         働きアリや働き蜂ですら、一日のうち働いている時間は3~4時間だという。

         企業や社会は効率効率というが、本当に効率的なのは文明を捨てて森に帰ることなのだ。オフィスのパソコンを破壊し、車を火山の火口に落とせ。

         それはまあ冗談である。ほかの話をしよう。たとえば「おしどり夫婦」という言葉があるように、一生雌雄が連れ添う種類の動物は何種類か存在する。しかしそれは動物界では稀である。某芸能人が「不倫は文化」と言ったけれど、動物はしばしば雄も雌も「浮気」をする。それは当然である。雄は少しでも多くの子孫を残そうと本能的に考えるし、雌は雌で少しでも強い遺伝子を残そうとするからである。チャンスがあれば喰らいつく。当然ながら自然界で普通だからといって人間界で普通とは限らない。

         ただ、人間はほかの野生動物よりも優れている、という考え方に疑問を持っている筆者にとっては、集団で雌を犯すイルカの行動も、どこか人間的に思えてしまう。

         それはともかく、本書では動物たちのほかに有名な生物学者や著者の祖母の話も出てくる。人間も虫も動物も同じラインで話しているのだ。とにかく動物好きにはたまらない一冊と言っていいだろう。

         それと同時に、人間が自然に対して謙虚にさせてくれる一冊でもある。
        >> 続きを読む

        2014/12/29 by ぽんぽん

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      隅田川殺人事件

      内田康夫

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      •  本当は「トクマノベルズ大活字マガジン」版で読んだんだけど、読書ログでは出て来なかったので。
         星5つだったので版違いですが、紹介することにしました。
          
        (あらすじ)
         隅田川を走る水上バスの中で花嫁が消えた!
         調査の結果出てきた数々の証拠は、新郎・池沢の犯行を示唆していた。
         池沢の知り合いの浅見雪江は息子の光彦に調査を命令する!
            
        (感想)
         隅田川には水上バスというのが走っているのですか。
         色々と隅田川沿いの地名が出てくるのですが、土地勘がないのでよく分かりません。
         今回のテーマは花嫁失踪事件。
         そもそも今回の結婚、51歳のよく分からない怪しいバツイチのオヤジに36歳の気の強い箱入り娘が熱烈に求婚と、謎めいています。
         池沢は、寂れた浅草の再開発が必要だと色々と活動し、支持者も多いが敵も多いタイプ。
         隅田川に関する浅見光彦をはじめ浅見雪江や池沢英二の個人的記憶やら戦災に関する歴史的事件さらには謡曲『隅田川』についても触れられて下敷きとなっていて、なかなか読ませます。
             
         日本人は酔っ払いに甘く、酒の上での無礼は甘くみられる傾向がある。むしろ逆であるべきである!という池沢の説には賛成します。
              
         トクマ・ノベルズ大活字マガジン第2弾。
         確かに読みやすいレイアウト。読書速度を測定すると、前号より数分だけ短縮した程度。もっと速読の訓練をせねば。
         今号も巻末に内田康夫著作リストが掲載されています。
         トクマ・ノベルズ大活字マガジン、第3号も続刊希望します。
          
        (勝手に非公式アンケート作成しました。回答ご協力お願いします。)
        トクマ・ノベルズ大活字マガジンで取り上げてほしい作家は?
          http://blog.with2.net/vote/v/?m=v&id=159734
          
          http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20160209/p1
        >> 続きを読む

        2016/02/10 by 荒馬紹介

    • 2人が本棚登録しています
      日本殺人事件

      山口雅也

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!

      • 前々から読もうと思っていながら本棚の奥で眠っていた、山口雅也の日本推理作家協会賞受賞作の「日本殺人事件」を読み終えました。

        これまで死人が蘇るアメリカやパンクスが刑事の職についているイギリスを舞台にしてきた山口雅也が、初めて日本を舞台にした連作を書いたのが、この「日本殺人事件」だ。

        しかし、そこは山口雅也のこと、普通のリアリズムで日本を描くわけがないんですね。
        それどころか、この作品は、あるアメリカ人作家が書いたペーパーバックを著者(山口雅也)が、「翻訳」したという形態をとっている。

        巨大な観音像が人々を見守る街、カンノン・シティ。
        そこは、私立探偵トゥキョー・サムの憧れの地、優しかった育ての母のふるさとだ。

        そして、サムの目に映った日本は、タクシーと一緒に道路を人力車が走り、武士道が重んじられ、江戸時代の吉原さながらの遊郭が存在している異世界だった。

        慈母の面影を慕い、はるばるアメリカからやって来たサムだったが、落ち着く間もなく、驚くべき事件の数々に遭遇することになる。

        外国人にとっては不可解な日本人の微笑とセップクの風習を扱った「微笑と死と」。

        茶室内での密室殺人の謎を解き、茶の湯の真髄を探る「侘の茶室」。

        廓で発生したオンライン惨殺殺人事件にサムが巻き込まれてしまい、見立て殺人に挑む「不思議の国のアリンス」。

        これらの三篇のどれをとっても、「外国人が見た日本」だからこそ生きるファンタスティックな論理が楽しめ、深遠な日本文化の粋が匂い立っているんですね。

        中でも「侘の密室」の、異世界への穴がぽっかり開いたような不気味な解決が、とても印象的でしたね。

        著者・山口雅也のキッド・ピストルズの連作が、マザー・グースの流れる奇妙な小世界のコレクションだったのと同様に、この作品では、フジヤマ・ゲイシャ的な日本観が、愛らしくも皮肉なミニ日本に化けるんですね。

        もちろん、ミニチュアの世界ならではの歪んだ"論理の魅力"も忘れてはならないだろう。

        >> 続きを読む

        2018/09/14 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      少年のオキテ

      原田宗典

      主婦の友社
      4.0
      いいね!
      • 疲れたときに頭を休ませるのにはぴったり。

        軽く笑って読めて、なんだかちょっとリフレッシュした気分になる。

        私は多分「おじさん化」はしているが、「少年」ではなかったので“うーーん おいおい” てのもあるが、

        子どもを相手に仕事をしてきたので “うんうん”“分かる分かる” ってのもあって 面白かった(分かる?)

        とにかく、子どもは子どもで一生懸命で、そこが大人にはかわいかったり手に負えなかったりするのだが、

        でも、やっぱり子ども時代はそれなりに幸せで楽しかったんだなあ

        ・・・と 思いました。
        >> 続きを読む

        2013/01/16 by バカボン

      • コメント 4件
    • 2人が本棚登録しています
      るろうに剣心 - 明治剣客浪漫譚 - 巻之二十 追憶

      和月伸宏

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • るろうに剣心 第20/全28巻

        剣心の首を狙う雪代縁。その姉、巴と剣心の出逢い、そして...

        初々しい恋が微笑ましい。そして陰謀と無縁ではいられない宿命に慄く。

        剣心と、その妻、巴の回想シーンに終始する。

        出逢ったその瞬間から、斬るか保護するかという二択から始まった男女と言うのも悲しいものだ。

        きっと剣心にも志や思想は有ったのだとは思うが、上司が指名した人間を機械的に殺戮していく仕事の中で、どうしても擦り切れて行くで有ろうメンタルの痛みに、巴の存在がどれだけ大きかったかは想像に余り有る。

        新撰組の活躍などで、京に居づらくなった2人は、郊外に居を構えるが、そこでの暮らしは、慎ましくも幸せに包まれたものなのでは無かったかと思う。

        後半、秘められていた陰謀が明らかになるのだが、物語としては面白いものの、剣心に感情移入が強すぎたのか、胸が痛かった。

        巴のように超美人で相当天然と言うのは、ほとんどの男性から見て大好物なんじゃなかろうか。絶対モテモテだな...
        >> 続きを読む

        2013/06/16 by ice

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      ピアノレッスンズ

      ノア アダムス

      3.0
      いいね!
      • 【51歳の男性がピアノを弾こうと決意するお話】
         転居先の図書館に初めて行って、利用者カードを作った時、「何冊か借りていこう」と思い、開架を眺めていた時に目についた本です。
         ふむふむ。
         どうやらそれまでまったくピアノを弾けなかった51歳の男性がピアノを弾き始める話らしい。
         興味をもったので借りてきてみました。

         著者は、ラジオパーソナリティの仕事をしている51歳の男性なのですが、ふとしたきっかけで、自分もピアノを弾けるようになりたいと決意します。
         どうやら子供の頃、少しだけピアノレッスンに通ったことがあるようですが、それ以後まったくピアノには触れておらず、当然弾くことはできません。
         楽典についてもほとんど知らない様子です。

         著者は無謀です。
         いきなりスタインウェイのピアノを買うことから始めるのです。
         本当はグランドピアノが欲しいのですが、価格や置き場所の問題からさすがにそれは無理でアップライトピアノを買うのですが、それにしても無謀ですよ。
         ピアノは決して安い物ではありませんし、弾けるようになる保障だってないというのにいきなり買ってしまうなんて。

         その後どうしたかというと、レッスンに通うのではなく、何と、PC用の教則ソフトと付属の鍵盤を使って練習を始めるのです。
         せっかく買ったピアノを弾こうにも全く弾けないのですから、まずはPCソフトで練習するわけですが、それならピアノなぞ買わずにまずPCソフトと付属のキーボードだけで覚えればいいのに……なんて思いながら読みましたよ。

         でも、著者は熱心です。
         少しずつではありますが、曲が弾けるようになっていきます。
         ただ、作中出てくる音楽用語や運指に関する記述は、PCソフトから得た知識のようで、ちょっとアバウトですけれど。
         そして、曲がある程度弾けるようになってくるとようやくピアノを弾くようになっていき、遂にはPCソフトをやめてしまい、もっぱらピアノを弾き始めます。
         何にしても、買ったピアノは無駄にはならなかったようで、ほっとします。

         ピアノを練習するためには様々なメソッドがあるようで、著者も、オーソドックスな練習をするというよりは、『○週間で××が弾けるようになる』の類の通信レッスンなどを利用します。
         それはそれで意味があることのようですし、スケール練習なども地道にやるのですからえらいもんだ。

         そして、遂にピアノレッスンのキャンプ(合宿練習指導のようなものです)に参加するのですね。
         そこまでたどり着いただけでも大したもんです。
         著者は、シューマンのトロイメライに魅せられてしまい、キャンプでもトロイメライを覚えたいという希望を持って参加するのです。
         しかし、あの曲、私も知りませんでしたが相当に難しい曲なんですってね。
         メロディーはシンプルだし、短い曲だから比較的簡単に弾けるのではないかと思っていたのですが、どうしてどうして、難曲のようです。

         指導者からそのことを指摘され、別の曲を練習しましょうと促されます。
         著者も、難曲なんだということに納得し、キャンプの仕上げの発表曲には別の曲を選ぶことにします(何と、1週間で曲を仕上げるというキャンプなんですよ)。
         1週間ピアノ漬けの生活を送ることになるのですが、何とか課題曲を仕上げて帰ります。

         時にもうピアノには触れたくないという気持ちになってしまい、しばらくピアノから離れてしまう時期もあれば、猛烈にピアノの練習をしたくなる時期が来たり。
         その辺り、私はピアノは弾きませんがよく分かる気がします。
         何にしても、著者はよく練習している方だと思います。
         やっぱり、何だかんだと言っても、地道に練習しなければなかなか弾けるようにはならないですよね。

         著者がトロイメライを弾きたいと思ったのは、理解がある妻に聞かせてあげたいという気持ちからでした。
         キャンプを卒業した後、著者はトロイメライの譜面を買い、独習で少しずつ覚えていき、ラストのクリスマスのシーンでは、何とか弾いて妻に聞かせて上げられるという運びになります。

         全体としてそういうノンフィクションなのですが、ただ、ピアノと関係のないくだりも結構出てきます。
         それは、著者の本職であるラジオパーソナリティの仕事絡みで音楽家にインタビューする場面とか、好きな音楽の話とか、ヨットの話とか。
         それはそれで著者の一面なのでしょうけれど、読者としては、まったくピアノを弾けない著者がどうやって弾けるようになっていくのかという点に惹かれて読み始めるわけですから、こういった脇道はちょっと邪魔に感じてしまいました。
         また、最初の内はPCソフトの話が延々と続くので、ここもややもたもたしていると感じます。
         もう少し的を絞って、整理して書いてくれた方が読者の興味にストレートに答える作品になったのではないかと思います。
         その点だけが気にかかったところで、それでも何とかピアノを弾けるようになっていく過程は面白く読ませていただきました。

         う~ん……。
         自分でももう少し真面目に楽器の練習をしようかなと思わせられた一冊でした。


        □□□     普通(1~2日あれば読める)
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        2020/04/24 by ef177

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      汚名 本多正純の悲劇

      杉本苑子

      中央公論新社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • この杉本苑子の時代小説「汚名 本多正純の悲劇」は、講談などで有名な宇都宮釣天井事件の首魁・本多正純を、徳川家康のダーティ・イメージを一身に引き受け、捨て石にされた政治的な犠牲者として描いた作品です。

        物語は、藩内に潜入した隠密・越ケ谷謙作の視点で進められていきますが、彼の眼を通していわば、遠景から捉えられる本多正純の人柄は清廉そのもの。

        正純を陥れるためには手段を選ばぬ隠密仲間や、小者頭の老爺、謙作と情を交わす女、更には横暴を極める幕府の鉄砲方や人の良い、猫好きの伊賀組同心など、様々な人々の織り成すドラマの中で、正純失脚の陰謀は進められていくのです。

        この作品の眼目は、政治的権力構造の奇怪さを描くことよりも、むしろ、あとがきにあるように、その正純の「屈折した自己犠牲の爽やかさ厳しさ」にスポットを当てることにあり、物語は、従容として配所へ赴く正純と、その胸中を思いやり、同行を決意する謙作という、様々な形で自分の思いに殉じる者たちの、二つの感動を描くことで締めくくられています。

        そして、この結末は、この中で描かれている自己犠牲=殉じること、ひいては、その背後から屹立してくる"死生観"の問題こそが、歴史もの、伝奇ものの別なく、戦後の時代小説の大きなテーマであったことの再確認だったのではないかと思います。

        それを思う時、正純の姿は、歴史の中の多くの無名者への"鎮魂歌"なのかも知れません。


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        2018/01/26 by dreamer

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      ルパン小僧

      モンキー・パンチ

      中央公論新社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね! Tukiwami
      • 小学校時代に親戚のお兄ちゃんにもらった本。
        ルパン三世の子供が題材でした。
        仲の良かった友達が転校するその日に宝物だよ。って言いながらプレゼントしたのを思い出します。

        内容は覚えていないけれど、機会が有ればもう一度よみたいなあと思っています。
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        2011/12/25 by yutaka

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      黒い薔薇 (ハヤカワ文庫NV)

      フィリップ マーゴリン

      4.0
      いいね!

      • オレゴン州ポートランドで、女性ばかりがいなくなるという事件が頻発する。現場は争った形跡がなく、あとには黒い薔薇と「去れど忘れられず」と書かれた紙が残っていた。

        捜査に当たった警察と検察は、これと全く同じ事件が、10年前のニューヨーク州ハンターズ・ポイントで起こっていたことを、当時担当していた女性刑事から聞かされる。

        そして、時を同じくして、将来を期待される女性弁護士ベッツィの元へ、ある依頼人が訪問して来る。彼は、地元でも有名な建設会社の社長ライアス。これから起こる壮絶な物語の幕開けだった------。

        ミステリのベストセラー小説の要素として、法廷物、異常心理、猟奇犯罪などがありますが、このフィリップ・マーゴリンの「黒い薔薇」は、それらの美味しいところを取り込んで、まるで映画のカットバックのようなスピーディな展開で、息つく暇もないほどの"ノンストップ・スリラー"とでも呼べるような作品で、読み出したら、もうやめられないほど、この小説世界にグイグイ引き込まれ、作者の巧みなテクニックに気持ちよく翻弄されてしまいました。

        構成がやや複雑で登場人物も多いため、通常なら交通整理にあたふたしそうな物語が、この作品は実に緻密にかつ巧妙に組み立ててあるんですね。どう展開すれば面白いか、読者は何を期待しているかを十分に計算され尽くしているんですね。

        もしエンターテインメントの作家になりたいと思う人がいたら、この作品は分析研究するのにもってこいの、いい教材になるのではないかと思いますね。もちろん、一読者として作者のストーリーテラーとしての腕前に身を委ねて、ページをめくるだけで楽しいのだけれど---。

        ただ、登場人物がステレオタイプで個性に乏しいのが、少し残念な気もしますが、それも抜群に魅力的なストーリーを運ぶためのコマと割り切れば、それほど気にはなりませんでしたね。


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        2018/03/11 by dreamer

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      二重らせんの私―生命科学者の生まれるまで

      柳澤 桂子

      5.0
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      • 1960年代、生物学を学ぶためにニューヨークに留学した筆者のエッセイ。
        文中にもあるように、異国に住まうなかで芽生えた、日本語のすばらしさ、筆者の文章の美しさが宝石のようにちりばめられています。
        ニューヨークの寒い冬と、遅くて短い春、アスファルトの照り返しで暑い夏、メトロポリタン美術館、そして、見守ってくれるのは、知の女神・アルマ・マター。

        >「人間というものは、ものごとが発見された順序に沿って説明されたときに、いちばんよく理解できるものだよ」

        >アメリカ人が夏休みを取っている間も日本人たちは研究室に残ってよく働いた。

        >当時はコピー機がなかったので、論文や参考書は書き写すよりほかに手はなかった。

        などの言葉が印象に残りました。
        ニューヨークという先進的な都会で、遺伝子の真実を明らかにしようと試行錯誤を繰り返し、研究に情熱を傾ける研究者の姿がまぶしい本でした。
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        2020/05/05 by みやま

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      眠れぬイヴのために

      DeaverJeffery , 飛田野裕子

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 【一体、何が目的なんだ?】
         ジェフリー・ディーヴァーと言えば、リンカーン・ライム・シリーズが有名ですが、本作はそのシリーズではない長編小説です。

         物語は、精神病院からルーベックという精神分裂症患者が脱走するところから始まります。
         ルーベックは、これまでに何度も精神病院から脱走を繰り返している男です。
         精神分裂症患者ではありますが、決して知能程度が低いというわけではなく、むしろ常人よりも知能程度は高いかもしれません。

         ルーベックは、彼が収容されている精神病院で自殺した患者が搬送されていく車に紛れ込んで脱走したのです。
         自殺者が入れられていた袋から、その死体を取り出し、自分が死体の代わりに袋に入り、まんまと病院から搬送されたというわけです。

         ルーベックは巨漢ではありましたが、病院側のアナウンスによれば決して凶暴な患者ではない、ということです。
         ですが、病院側は、完全に自己保身に走っています。
         ルーベックの脱走を知ってもすぐには警察に通報せず、自分たちの施設の介護人を捜索に出したのです。
         その結果、その介護人はルーベックに返り討ちにされてしまいました。
         もう、どうにもならないということで、ようやく警察に通報したのです。

         ルーベックには、過去がありました。
         それは、『インディアン・リープ』事件と、どうやら呼ばれているようです。
         どういう事件かはなかなか明らかにされません。
         上巻の最後に、そのとっかかりが語られ始める程度。

         でも、殺人? レイプ? なにやらそんなことがほのめかされます。
         ルーベックはその犯人として裁判にかけられたようなのですが、精神異常ということで無罪となり、保護措置として精神病院に収容された、ということのようなのです。
         そんなルーベックは凶暴な者ではないというのでしょうか?

         ルーベックが逃走した場所の近くに、実は『インディアン・リープ』事件の関係者が住んでいました。
         リズという女性なのですが、彼女も、その事件でルーベックに襲われかかり、間一髪で逃れたという人なのです。
         彼女は、ルーベックの裁判で証言したのですが、その時、ルーベックから「復讐してやる」というような言葉を……それは、彼女に向けられた言葉だったのかどうか……。
         でも、ルーベックはリズの住所を探り出し、復讐をほのめかすような手紙を送っているのでした。

         リズの夫は弁護士でした。
         夫は(浮気をしたことがあって、リズに対する負い目もあると書かれていますが、それだけの気持ちではないでしょう)、ルーベックが脱走したことを知り、危機感を募らせます。
         自分が仕留めてやる! という気持ちを隠しながら銃を携帯してルーベックの追跡を始めます。

         もちろん、警察もルーベックを追っています。
         そして、警察は、病院にオファーを出しました。
         「費用を出してくれるのなら、こういう件のエキスパートを使えるのだが」と。
         そのエキスパートとは、元警察官で、警察犬の訓練に長けているベックでした。
         ベックは、不本意でしたが警察官を辞めざるを得なくなり、今は借金に追われていました。
         ですが、彼が育てたエイミールという犬は抜群の成績を修め、認知されている超優秀な警察犬だったのです。
         買い主は、地位を失ったけれど、エイミールは優れた警察犬としての地位を持っていたのですね。

         病院は1万ドルの懸賞金に承諾しました。
         そこで、ベックとエイミールのコンビもルーベックの捜索に加わることになりました。

         もう一人、ルーベックを追跡し始めた男がいます。
         彼は、ルーベックが脱走した病院の嘱託医師で、ルーベックの主治医と言っても良いでしょう。
         コーラーという男性医師です。
         彼に言わせると、ルーベックは決して危険な男ではない、ただ、こちらが攻撃しようとするならば、強烈な反撃を覚悟しなければならないだろう。
         私は、誰も傷つけたくない。
         その一心で、自分がルーベックを連れ戻すという気持ちから追跡を始めます。

         ところが、ルーベックは決して馬鹿ではありません。
         いえ、むしろ狡猾です。
         いくつもの罠をしかけ、追跡をまきます。

         ですが、ルーベックは、一体どこへ向かっているというのでしょうか?
         最初は徒歩で、次に自転車を奪い、それから車に乗り、一心不乱にどこかを目指しています。
         ただ、脱走した精神病患者がふらふらしているというだけではないのです。

         さて、ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライム・シリーズの売りと言えば、これでもかという重畳的どんでん返しですが、本作はそれとは趣を異にします。
         そういうどんでん返し作品ではない(今のところ)ようです。

         ただ、書き方が『ひきょうー!』というか、ものすごく思わせぶりに書きますねぇ。
         例えば、ある部分で、ルーベックがまさにある場所に潜んでいるぞということを散々書いた上で、少し違うエピソードに話を持っていった後、まさにルーベックが潜んでいると書いていた場所に別のキャラが出てきます。
         で、そのキャラが「誰かいる!」っていうところで、また別のエピソードに移ります。
         読者は、その「誰か」はルーベックじゃないのか?と、ドキドキして読むわけですよね。
         まったく、もう、こういう仕掛けを何度も繰り返しますよ。

         さて、問題は、この先の展開ですよね。
         リズと、彼女の妹ポーシャはやって来た嵐のために家に閉じこめられそうになっています。
         リズの夫の弁護士はまだ帰ってきません。
         リズとポーシャは、住所がばれている家を離れてホテルに泊まろうと思っているのですが、ぐずぐずしているうちに浸水が始まり、車を出せなくなっています。
         ルーベックは、今や車を手に入れていて、どこかに向かっているのですが、それはどこ?
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        2019/10/19 by ef177

    • 2人が本棚登録しています
      眠れぬイヴのために

      DeaverJeffery , 飛田野裕子

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 【なんとまぁ、驚愕の展開】
         精神病院から脱走したルーベックは、精神分裂病者ではあるのですが、すこぶる狡猾です。
         何人もの追っ手がルーベックを追跡しているのですが、ことごとくまいてしまいます。

         さて、今、ルーベックを追跡しているのは……
         警察。これは当然。
         賞金稼ぎの元警察官ヘック。警察犬の資格を持つ愛犬エイミール(超優秀)と共に追跡しています。
         リズの夫のオーエン。弁護士ですが軍隊経験もあり、狩猟を趣味にしているだけに追跡はお手の物。
         ルーベックは、『インディアン・リープ』と呼ばれる殺人事件(2名が死亡)の被告人として起訴され、リズが検察側の証人として法廷で証言したので、それを逆恨みして復讐のために病院を脱走したとオーエンは考えており、この際、正当防衛などの合法的な形に持ち込んでルーベックを殺害し、禍根を断ってしまおうと考えています。
         精神科医のコーラー。ルーベックの主治医ですが、ルーベックは普通は決して危険な人間などではないと信じており、何とか穏便に病院に連れ戻そうという気持ちから麻酔薬を携えて追跡しています。

         ルーベックは大変な巨漢です。
         病気のせいか、痛みに非常に強いのですね。
         多少の怪我などものともしません。
         彼は、逃走の過程で銃を奪い、車も手に入れました。
         そして、その過程で……あぁ、ついに犠牲者が。
         ルーベックが車を手に入れた家の家政婦が縛り上げられて殺されているのが発見されました。
         そしてまた、追跡していた警察官2名も……。

         ルーベックは、反対の方向に向かっていると見せかけて、実はやはりリズの家を目指していたのです。
         途中で車を大破させる事故を起こしてしまうのですが、再び別の車を手に入れ、確実にリズがいる家に向かっています。

         さて、この作品、ジェフリー・ディーヴァーの3作目の作品ということですが、ようやく彼のスタイルが確立しかけた頃の作品だということで、確かに、『リンカーン・ライム』シリーズに比較するとまだこなれていない感はあるのですが、御得意のどんでん返しの萌芽が見られます。

         また、これもこの作品の一つの特長だと思うのですが、読者に誤解させる、勝手に思い込ませるテクニックを多用しています。
         読者は、当然こうだろうと思い込んで読まされますので、そうではなかったと分かった時に、ほっとしたり、あっと驚いたりで、それがサスペンス感を盛り上げています。
         大体、根本のプロットがそういうことに立脚していると言っても良いでしょう。

         ですから、ラストを迎えた時、そういうことだったの!と一発ひっくり返されて唖然とすることになるでしょう。
         もうちょっとこなれ感があったらベストだったと思いますが、それなりに上手いこと書かれた作品ではないでしょうか。
         巻末解説によると、スティーヴン・キングが激賞した作品だとか。
         なるほど、キングっぽいところも確かにありますね~。
        >> 続きを読む

        2019/10/20 by ef177

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      探偵ガリレオ

      東野圭吾

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 短編小説集。
        こちらはドラマを先に見ていた。ドラマの方は難しい部分はカットされ、わりと軽めのノリだったので広い人達に楽しめるものだったと思う。

        比べてこちらは、トリックの説明に重点が置かれている印象の割には、情景が想像しにくい、なかなか読み進まないものであった。



        ただ、各短編のタイトルのつけ方は好きだと思った。



        やっぱり東野氏には長編を書いてもらいたい。
        >> 続きを読む

        2012/11/03 by chika

      • コメント 3件
    • 13人が本棚登録しています
      四千文字ゴルフクラブ

      佐野 洋

      4.0
      いいね!

      • ゴルフとは、不思議なスポーツ。

        マッチプレイは相手がいるものですが、ストロークプレイでは、

        一緒に周っている者でさえ同伴者、すなわち他人で、ある面戦っているのは、

        自然に作られたゴルフコースそのもの、そしてそれに向き合って起きる

        攻めたり逃げたり、良いショットがしたいとか自分の気持ち、欲との

        戦いである。

        それだけに、いろいろと小説になりそうな話題はいっぱい。

        ここには、ゴルフプレイヤーにまつわる、人生の機微のハナシが
        27ホール分、書かれている、たかがゴルフというべからず、

        ゴルフはそのひとの人柄そのものがでますから、おもしろいですな。
        >> 続きを読む

        2019/06/24 by ごまめ

    • 1人が本棚登録しています

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