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1998年5月発行の書籍

人気の作品

      キッチン

      吉本ばなな

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! fireman Erika pikapika
      • 「私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う」

         この小説が発表された時は吉本ばななさんの作り上げる、どこか寂しげで、人を責めずに自分を責めるという雰囲気がすごく話題になり、映画もとても好きでした。

         このよしもと世界はどっぷりと甘く、切なく、寂しく、清楚で安心してしまいました。3篇どれもが「ある人の死」から始まり、その喪失感を描いていますが、あくまでもじめじめしない、さらりとした乾きがあるような気がします。過激、ドロドロ、暴力に急に走らない節度が気持良いのです。
         
         最近、始まった吉本ばななさんのブログを読んでいるのですが、この方は結構、スピリチュアルなものがお好きなようです。人工的でない、何か神秘的なものがお好きなよう。

         現実をキリリと見つめるというより、こんな世界もあり、ちょっと別世界ですがすぐ近くという世界は吉本ばななさんは上手いです。
        >> 続きを読む

        2018/07/13 by 夕暮れ

    • 他21人がレビュー登録、 71人が本棚登録しています
      HUNTER×HUNTER - 1 出発の日

      富樫義博

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.3
      いいね!
      • 周りの友人、知人から面白いよ~と何度となく勧められようやく重い腰をあげて取り敢えず3巻まで購入してお試しで1巻読んでみた。

        まあ、まだ1巻だしプロローグ的な感じだから何とも言えないけれど、普通に読める(笑)というか、逆に最近は普通に読める作品読んでいなかったからすらすらとさらさらと読めたことがたのしくて(笑)

        有名で歴史があり色々な方が面白いと言うのにも頷ける作品だなぁというのが素直な印象。

        これから、もっと話が進んで面白くなるのだろうから引き続き読んでいきたいと思う。

        ちなみに知人からは5巻まで読むと面白さが分かると言われたのでそこまでは頑張って読もうかなとも思っています(笑)

        作者さんは休載が多い事で有名な様でよくまとめサイトとかではそういう記事見かけるけれど作品自体は読んだことが無かったのでなんか、こうやって1巻読めたことが感慨深いというか。

        人気で有名な作品には人を惹き付ける力があるのだなぁと改めて思った善き秋の日でした。(てか、もう秋じゃなくて冬みたいだけどね笑)
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        2017/11/15 by 澄美空

      • コメント 4件
    • 他4人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      邪馬台国はどこですか?

      鯨統一郎

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね! ooitee

      • 某私立大文学部で日本古代史を研究するロマンスグレーの紳士、三谷敦彦。
        同大学の助手で世界史という総合歴史学を専攻する、大和撫子の外観を持つ早乙女静香。

        そして、その二人を相手に丁々発止の歴史談義を展開し、奇論奇説を開陳する正体不明の自称歴史家の宮田六郎。

        バーのカウンターでのこの三人の定説対奇説に、バーテンダーの松永が巻き込まれていく設定で、ほとんど地の文なし、会話文のみのシンプルな構成なんですね。

        この覆面作家・鯨統一郎の短篇集「邪馬台国はどこですか?」のような歴史ミステリは、数が少ないながらも、ミステリの中では有力なジャンルであり続けていると思う。

        ここでいうのは、歴史上の定説について蘊蓄なかばで、ああだこうだと異説をぶつける高尚なジャンルのことだ。
        例えてみれば、つまり「源義経はジンギスカンである」とか「清水次郎長はジェロニモである」とかいうお話ですね。

        この作品は、まさしく新人作家の第一作として、歴史ミステリに新奇な趣向を付け加えることに成功していると思う。
        語り口の滑らかさに、確かな実力がのぞいていると思いますね。

        とにかく、軽くて爽やかな喉ごし。意表をつく論法で歴史上の定説を覆す鮮やかさ。
        あとに、もたれない心地よさ。お笑い日本意外史の一回限りの手品を存分に楽しみ、知的な興奮と諧謔に満ちたひと時を過ごせるんですね。
        そして、「こんな馬鹿な話があるか」と、反論の余地を残しておいてくれる手際も、実に憎い。

        リレー式の6つの短篇からなるこの作品は、「釈迦の悟りは本物か?」という問いに始まって、表題作の「邪馬台国はどこですか?」につながっていく。

        第三話は、「聖徳太子は実在の人物ではなかった」。
        続いて、推古天皇の字解にひっかけたオチには誰しもがニヤリとするだろう。
        その次は、本能寺の変の裏目読み、明治維新の真相と続き、最後に、「イエスは誰だったか?」の秘話でトリになる。

        戦国時代の武将をノイローゼ患者に仕立ててしまったり、内乱が回避された徳川幕府の終焉に、あるとびきりのマジックを介在させたりの仕掛けも面白いが、歴史とは誰のためのものかという本質に迫った第三話の重厚さが、個人的には一番好きですね。

        この作品の中で、歴史の真実を言い当てていて妙なのは、「思えば、われわれが当時の日本を知る資料として『日本書記』、つまり勝者の記録しか持っていないということは非常に残念なことだ」という、歴史について語る言葉ですね。

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        2018/08/26 by dreamer

    • 他4人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      あの頃ぼくらはアホでした

      東野圭吾

      集英社
      3.6
      いいね! momomeiai
      •  東野圭吾ってこんな人だったのか!と良い意味で衝撃を受け、作品だけでなく人として興味を持つことができた。東野氏自身の小学生時代から就職するまでの出来事が書かれているが、関西弁の軽妙なトーク主体で書かれているため、とても楽しく読み進めることができる。また、(親近感を感じる)タイトル通りのアホっぷりで、思わず笑ってしまうようなシーンも多い。特に、不良に囲まれた中学生時代や、自らの過去の悪行をさも友人K(圭吾のK?...)がしでかしたことのように語っているところなどは、アホっぷり全開で面白かった。彼は無類のゴジラ好きだったようで、途中当時のゴジラ作品の魅力などが語られている部分があるが、私は全く知識も興味もないので、そのあたりは読んでいて少し退屈感があった。物語は就職時点で終了となっていて、今後もそれについて語るつもりはないらしい。いつか、自分ではなく友人Kのこととして(笑)語ってくれることを期待している。。 >> 続きを読む

        2019/06/18 by shinkai

    • 他3人がレビュー登録、 21人が本棚登録しています
      ONE PIECE 巻三 偽れぬもの

      尾田栄一郎

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • ONE PIECE 第3/67巻(未完結)

        道化のバギーとの決着をつけ、ナミを加えた新たな布陣で迎える船出。

        早くも繋がり始める伏線に、否が応にも今後への期待が高まる。

        道化のバギーをサクサクと片付ける中で語られる、若かりしシャンクスとのエピソード。

        正直ふざけすぎのバギーには飽きていたのだが、シャンクスの若い頃の話が聞けたのは収穫だった。

        バギーが悪魔の実を食べる前からピエロの鼻だったのは少し笑えたし、シャンクスを逆恨みしている風のダメっぷりもバギーにはお似合いだと腑に落ちた。

        途中、本筋に影響しないとおもわれる箱にハマった男の島のエピソードが挟まれる。
        ここで甦ってきたのは、ガンダムでも有ったザクを隠し持つ男の話である「ククルス・ドアンの島」

        どうして本筋に全く関係ない話を挟むのか?と当時わけがわからなかったが、こうして記憶に残っている以上、その世界観を構築するために必要だったのかもしれないと思い直した。

        今回登場のキャラでは、ウソップが立っていた。
        執事クラハドールとの確執そして陰謀という話よりも、その父親ヤソップとの関係性が良かった。

        わずか3巻にして、1巻で登場した赤髪のシャンクス一味のヤソップという伏線が、その子供ウソップの登場で生かされたことに、作品のエンターテイメント性に対して大きな安心感を得た。

        頭脳明晰で冷徹なキャプテン・クロとの戦いが、どのように展開するのか楽しみである。
        >> 続きを読む

        2012/10/12 by ice

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      カモメに飛ぶことを教えた猫

      SepulvedaLuis , 河野万里子

      白水社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 猫がカモメとの約束を守ろうと奔走する。
        仲間の力を借りて。
        猫のゾルバがとてもカッコイイ。
        こんな友だち、ほしいな。
        こんな友だちに自分はなれるだろうか。

        信用できる人間を猫たちが選ぶところ、
        考えさせられた。
        猫たちの選択は間違いがなく、
        それによって作戦は成功する。

        猫たちから選ばれるような、人でありたい。
        >> 続きを読む

        2018/12/15 by momo_love

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      嫌われものほど美しい ゴキブリから寄生虫まで

      相原真理子 , Angier, Natalie

      草思社
      3.7
      いいね!
      •  生物の本を読むのはとても楽しい。テレビで動物の番組をやっていたら思わず見入ってしまう。

         とにかく虫も動物も不思議で満ちておりそれらを知ることは、我々の知的好奇心を満たしてくれる。それと同時に、人間というものの小ささを考えさせられる。

         人は毎日あくせく働いているけれども、自然界の生物の多くは厳密に観察してみると、ほとんど何もせずにごろごろしている種類が多い。しかし、それは決して無駄なことではない。最小限のカロリー消費で済むように、日々を過ごしているのだ。無駄な動きは命を縮めることを彼らはよくわかっている。

         働きアリや働き蜂ですら、一日のうち働いている時間は3~4時間だという。

         企業や社会は効率効率というが、本当に効率的なのは文明を捨てて森に帰ることなのだ。オフィスのパソコンを破壊し、車を火山の火口に落とせ。

         それはまあ冗談である。ほかの話をしよう。たとえば「おしどり夫婦」という言葉があるように、一生雌雄が連れ添う種類の動物は何種類か存在する。しかしそれは動物界では稀である。某芸能人が「不倫は文化」と言ったけれど、動物はしばしば雄も雌も「浮気」をする。それは当然である。雄は少しでも多くの子孫を残そうと本能的に考えるし、雌は雌で少しでも強い遺伝子を残そうとするからである。チャンスがあれば喰らいつく。当然ながら自然界で普通だからといって人間界で普通とは限らない。

         ただ、人間はほかの野生動物よりも優れている、という考え方に疑問を持っている筆者にとっては、集団で雌を犯すイルカの行動も、どこか人間的に思えてしまう。

         それはともかく、本書では動物たちのほかに有名な生物学者や著者の祖母の話も出てくる。人間も虫も動物も同じラインで話しているのだ。とにかく動物好きにはたまらない一冊と言っていいだろう。

         それと同時に、人間が自然に対して謙虚にさせてくれる一冊でもある。
        >> 続きを読む

        2014/12/29 by ぽんぽん

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      隅田川殺人事件

      内田康夫

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      •  本当は「トクマノベルズ大活字マガジン」版で読んだんだけど、読書ログでは出て来なかったので。
         星5つだったので版違いですが、紹介することにしました。
          
        (あらすじ)
         隅田川を走る水上バスの中で花嫁が消えた!
         調査の結果出てきた数々の証拠は、新郎・池沢の犯行を示唆していた。
         池沢の知り合いの浅見雪江は息子の光彦に調査を命令する!
            
        (感想)
         隅田川には水上バスというのが走っているのですか。
         色々と隅田川沿いの地名が出てくるのですが、土地勘がないのでよく分かりません。
         今回のテーマは花嫁失踪事件。
         そもそも今回の結婚、51歳のよく分からない怪しいバツイチのオヤジに36歳の気の強い箱入り娘が熱烈に求婚と、謎めいています。
         池沢は、寂れた浅草の再開発が必要だと色々と活動し、支持者も多いが敵も多いタイプ。
         隅田川に関する浅見光彦をはじめ浅見雪江や池沢英二の個人的記憶やら戦災に関する歴史的事件さらには謡曲『隅田川』についても触れられて下敷きとなっていて、なかなか読ませます。
             
         日本人は酔っ払いに甘く、酒の上での無礼は甘くみられる傾向がある。むしろ逆であるべきである!という池沢の説には賛成します。
              
         トクマ・ノベルズ大活字マガジン第2弾。
         確かに読みやすいレイアウト。読書速度を測定すると、前号より数分だけ短縮した程度。もっと速読の訓練をせねば。
         今号も巻末に内田康夫著作リストが掲載されています。
         トクマ・ノベルズ大活字マガジン、第3号も続刊希望します。
          
        (勝手に非公式アンケート作成しました。回答ご協力お願いします。)
        トクマ・ノベルズ大活字マガジンで取り上げてほしい作家は?
          http://blog.with2.net/vote/v/?m=v&id=159734
          
          http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20160209/p1
        >> 続きを読む

        2016/02/10 by 荒馬紹介

    • 2人が本棚登録しています
      日本殺人事件

      山口雅也

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!

      • 前々から読もうと思っていながら本棚の奥で眠っていた、山口雅也の日本推理作家協会賞受賞作の「日本殺人事件」を読み終えました。

        これまで死人が蘇るアメリカやパンクスが刑事の職についているイギリスを舞台にしてきた山口雅也が、初めて日本を舞台にした連作を書いたのが、この「日本殺人事件」だ。

        しかし、そこは山口雅也のこと、普通のリアリズムで日本を描くわけがないんですね。
        それどころか、この作品は、あるアメリカ人作家が書いたペーパーバックを著者(山口雅也)が、「翻訳」したという形態をとっている。

        巨大な観音像が人々を見守る街、カンノン・シティ。
        そこは、私立探偵トゥキョー・サムの憧れの地、優しかった育ての母のふるさとだ。

        そして、サムの目に映った日本は、タクシーと一緒に道路を人力車が走り、武士道が重んじられ、江戸時代の吉原さながらの遊郭が存在している異世界だった。

        慈母の面影を慕い、はるばるアメリカからやって来たサムだったが、落ち着く間もなく、驚くべき事件の数々に遭遇することになる。

        外国人にとっては不可解な日本人の微笑とセップクの風習を扱った「微笑と死と」。

        茶室内での密室殺人の謎を解き、茶の湯の真髄を探る「侘の茶室」。

        廓で発生したオンライン惨殺殺人事件にサムが巻き込まれてしまい、見立て殺人に挑む「不思議の国のアリンス」。

        これらの三篇のどれをとっても、「外国人が見た日本」だからこそ生きるファンタスティックな論理が楽しめ、深遠な日本文化の粋が匂い立っているんですね。

        中でも「侘の密室」の、異世界への穴がぽっかり開いたような不気味な解決が、とても印象的でしたね。

        著者・山口雅也のキッド・ピストルズの連作が、マザー・グースの流れる奇妙な小世界のコレクションだったのと同様に、この作品では、フジヤマ・ゲイシャ的な日本観が、愛らしくも皮肉なミニ日本に化けるんですね。

        もちろん、ミニチュアの世界ならではの歪んだ"論理の魅力"も忘れてはならないだろう。

        >> 続きを読む

        2018/09/14 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      少年のオキテ

      原田宗典

      主婦の友社
      4.0
      いいね!
      • 疲れたときに頭を休ませるのにはぴったり。

        軽く笑って読めて、なんだかちょっとリフレッシュした気分になる。

        私は多分「おじさん化」はしているが、「少年」ではなかったので“うーーん おいおい” てのもあるが、

        子どもを相手に仕事をしてきたので “うんうん”“分かる分かる” ってのもあって 面白かった(分かる?)

        とにかく、子どもは子どもで一生懸命で、そこが大人にはかわいかったり手に負えなかったりするのだが、

        でも、やっぱり子ども時代はそれなりに幸せで楽しかったんだなあ

        ・・・と 思いました。
        >> 続きを読む

        2013/01/16 by バカボン

      • コメント 4件
    • 2人が本棚登録しています
      るろうに剣心 - 明治剣客浪漫譚 - 巻之二十 追憶

      和月伸宏

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • るろうに剣心 第20/全28巻

        剣心の首を狙う雪代縁。その姉、巴と剣心の出逢い、そして...

        初々しい恋が微笑ましい。そして陰謀と無縁ではいられない宿命に慄く。

        剣心と、その妻、巴の回想シーンに終始する。

        出逢ったその瞬間から、斬るか保護するかという二択から始まった男女と言うのも悲しいものだ。

        きっと剣心にも志や思想は有ったのだとは思うが、上司が指名した人間を機械的に殺戮していく仕事の中で、どうしても擦り切れて行くで有ろうメンタルの痛みに、巴の存在がどれだけ大きかったかは想像に余り有る。

        新撰組の活躍などで、京に居づらくなった2人は、郊外に居を構えるが、そこでの暮らしは、慎ましくも幸せに包まれたものなのでは無かったかと思う。

        後半、秘められていた陰謀が明らかになるのだが、物語としては面白いものの、剣心に感情移入が強すぎたのか、胸が痛かった。

        巴のように超美人で相当天然と言うのは、ほとんどの男性から見て大好物なんじゃなかろうか。絶対モテモテだな...
        >> 続きを読む

        2013/06/16 by ice

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      汚名 本多正純の悲劇

      杉本苑子

      中央公論新社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • この杉本苑子の時代小説「汚名 本多正純の悲劇」は、講談などで有名な宇都宮釣天井事件の首魁・本多正純を、徳川家康のダーティ・イメージを一身に引き受け、捨て石にされた政治的な犠牲者として描いた作品です。

        物語は、藩内に潜入した隠密・越ケ谷謙作の視点で進められていきますが、彼の眼を通していわば、遠景から捉えられる本多正純の人柄は清廉そのもの。

        正純を陥れるためには手段を選ばぬ隠密仲間や、小者頭の老爺、謙作と情を交わす女、更には横暴を極める幕府の鉄砲方や人の良い、猫好きの伊賀組同心など、様々な人々の織り成すドラマの中で、正純失脚の陰謀は進められていくのです。

        この作品の眼目は、政治的権力構造の奇怪さを描くことよりも、むしろ、あとがきにあるように、その正純の「屈折した自己犠牲の爽やかさ厳しさ」にスポットを当てることにあり、物語は、従容として配所へ赴く正純と、その胸中を思いやり、同行を決意する謙作という、様々な形で自分の思いに殉じる者たちの、二つの感動を描くことで締めくくられています。

        そして、この結末は、この中で描かれている自己犠牲=殉じること、ひいては、その背後から屹立してくる"死生観"の問題こそが、歴史もの、伝奇ものの別なく、戦後の時代小説の大きなテーマであったことの再確認だったのではないかと思います。

        それを思う時、正純の姿は、歴史の中の多くの無名者への"鎮魂歌"なのかも知れません。


        >> 続きを読む

        2018/01/26 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      ルパン小僧

      モンキー・パンチ

      中央公論新社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね! Tukiwami
      • 小学校時代に親戚のお兄ちゃんにもらった本。
        ルパン三世の子供が題材でした。
        仲の良かった友達が転校するその日に宝物だよ。って言いながらプレゼントしたのを思い出します。

        内容は覚えていないけれど、機会が有ればもう一度よみたいなあと思っています。
        >> 続きを読む

        2011/12/25 by yutaka

      • コメント 1件
    • 2人が本棚登録しています
      黒い薔薇 (ハヤカワ文庫NV)

      フィリップ マーゴリン

      4.0
      いいね!

      • オレゴン州ポートランドで、女性ばかりがいなくなるという事件が頻発する。現場は争った形跡がなく、あとには黒い薔薇と「去れど忘れられず」と書かれた紙が残っていた。

        捜査に当たった警察と検察は、これと全く同じ事件が、10年前のニューヨーク州ハンターズ・ポイントで起こっていたことを、当時担当していた女性刑事から聞かされる。

        そして、時を同じくして、将来を期待される女性弁護士ベッツィの元へ、ある依頼人が訪問して来る。彼は、地元でも有名な建設会社の社長ライアス。これから起こる壮絶な物語の幕開けだった------。

        ミステリのベストセラー小説の要素として、法廷物、異常心理、猟奇犯罪などがありますが、このフィリップ・マーゴリンの「黒い薔薇」は、それらの美味しいところを取り込んで、まるで映画のカットバックのようなスピーディな展開で、息つく暇もないほどの"ノンストップ・スリラー"とでも呼べるような作品で、読み出したら、もうやめられないほど、この小説世界にグイグイ引き込まれ、作者の巧みなテクニックに気持ちよく翻弄されてしまいました。

        構成がやや複雑で登場人物も多いため、通常なら交通整理にあたふたしそうな物語が、この作品は実に緻密にかつ巧妙に組み立ててあるんですね。どう展開すれば面白いか、読者は何を期待しているかを十分に計算され尽くしているんですね。

        もしエンターテインメントの作家になりたいと思う人がいたら、この作品は分析研究するのにもってこいの、いい教材になるのではないかと思いますね。もちろん、一読者として作者のストーリーテラーとしての腕前に身を委ねて、ページをめくるだけで楽しいのだけれど---。

        ただ、登場人物がステレオタイプで個性に乏しいのが、少し残念な気もしますが、それも抜群に魅力的なストーリーを運ぶためのコマと割り切れば、それほど気にはなりませんでしたね。


        >> 続きを読む

        2018/03/11 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      探偵ガリレオ

      東野圭吾

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 短編小説集。
        こちらはドラマを先に見ていた。ドラマの方は難しい部分はカットされ、わりと軽めのノリだったので広い人達に楽しめるものだったと思う。

        比べてこちらは、トリックの説明に重点が置かれている印象の割には、情景が想像しにくい、なかなか読み進まないものであった。



        ただ、各短編のタイトルのつけ方は好きだと思った。



        やっぱり東野氏には長編を書いてもらいたい。
        >> 続きを読む

        2012/11/03 by chika

      • コメント 3件
    • 13人が本棚登録しています
      四千文字ゴルフクラブ

      佐野 洋

      4.0
      いいね!

      • ゴルフとは、不思議なスポーツ。

        マッチプレイは相手がいるものですが、ストロークプレイでは、

        一緒に周っている者でさえ同伴者、すなわち他人で、ある面戦っているのは、

        自然に作られたゴルフコースそのもの、そしてそれに向き合って起きる

        攻めたり逃げたり、良いショットがしたいとか自分の気持ち、欲との

        戦いである。

        それだけに、いろいろと小説になりそうな話題はいっぱい。

        ここには、ゴルフプレイヤーにまつわる、人生の機微のハナシが
        27ホール分、書かれている、たかがゴルフというべからず、

        ゴルフはそのひとの人柄そのものがでますから、おもしろいですな。
        >> 続きを読む

        2019/06/24 by ごまめ

    • 1人が本棚登録しています
      にんげんのおへそ

      高峰秀子

      文藝春秋
      3.0
      いいね!
      • 高峰秀子さんのエッセイで、単に売れっ子女優さんの半生が描くかれているだけではない

        ステージママの、養母の存在がある。

        その確執が、「人間不信」ともいえる鋭い釘になって、秀子さんの心に突き刺さったのだと。

        それ故に、夫松山善三さんとの夫婦関係は、男女ではなく人間として、
        互いに尊重しあう理想的なつれあいとなる。

        単に、金銭的なリッチさだけではなく、心の豊かさ

        楽しみも、喜びも、苦しみも、悲しみも、分かち合える人生のパートナー。

        羨ましく、思いながら、この一冊を読了いたしました。
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        2013/08/15 by ごまめ

      • コメント 5件
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      太公望

      宮城谷昌光

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 自分の本棚にも並べて置きたいなぁ。不遇な天才が世に出て、偉業を成し遂げていく。その過程は上手く行くことばかりではないが、その分読んでいくうちに最後には涙が出てきそうな場面が一つや二つではない。早く次の宮城谷を読もう。 >> 続きを読む

        2013/06/15 by freaks004

      • コメント 2件
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      にんぷ天国

      伊藤理佐 , 岡崎香

      光文社
      カテゴリー:家庭衛生
      3.0
      いいね!
      • 妊娠についてのエピソードを紹介。
        フリーライターの著者が自身の妊娠についてのエピソードを軽いタッチで紹介。

        漫画家の伊藤理佐氏が挿絵を担当。

        男性に取って、性別の制約で生涯経験することが出来ないことが決定している
        「妊娠」は永遠の謎で有り「妊婦」もまた同様である。

        出産に至るまでのエピソードが、時系列的に紹介されていると共に、
        漫画的な挿絵が読みやすさを倍増させているため、抵抗なく読み進めることが出来た。

        ドタバタ感が単純に面白いため、エンターテイメントとして楽しめるのはもちろん、
        読み終えてみると「妊婦」についての知識量が増大していることに驚いた。

        「妊娠」を身近に感じさせてくれる。
        >> 続きを読む

        2011/01/13 by ice

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      タイタニック号99の謎 驚くべき真実!

      福知怜

      二見書房
      カテゴリー:航海、航海学
      5.0
      いいね!
      • 運命のドラマを積んだ処女航海の謎/
        人知を超えた「遭難の予感と前兆」の謎/
        悲劇を生んだ戦場の不思議/
        巨大な船体と膨大な船客の謎/
        氷山発見と衝突の謎/
        沈没が生んだ悲劇と奇跡/
        死を目前にした感動の秘話/
        救助活動に付きまとう謎/
        事故後に深まる謎と不思議/
        海底に眠るタイタニック号の謎/
        の10章に99の謎を満載!
        >> 続きを読む

        2013/12/08 by books

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出版年月 - 1998年5月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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