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東野圭吾
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多くの変化球的な作品でミステリを我々読者に提供し、問い続ける作家・東野圭吾の「どちらかが彼女を殺した」は、エラリー・クイーンばりの犯人当てで挑戦してきた作品だと思う。警察官の和泉康正が、妹の部屋を訪れた時、妹はもう死んでいた。自殺に見える状況だったが、康正は、数々の証拠から、これが他殺であると確信する。復讐を誓った康正は、密かに他殺の証拠隠滅を図りながら、容疑者を二人に絞っていく。だが、彼の前に立ちはだかる管轄署の刑事・加賀は、康正の偽装を見抜き、康正と真犯人に迫っていくというストーリーなんですね。この作品が、究極のフーダニットと言われる所以は、本来あるはずの謎解きと犯人指摘の場面が描かれていないという、著者の創作的な冒険に尽きると思うんですね。解決に必要な手掛かりは、全て作品中に示したので、後は読者に推理を委ねるという著者からの挑戦状は、確かに我々読者に、ある種の緊張を強いるだろう。数々の問題作で著者が追求してきたのは、ミステリのお約束=コードを自覚的に浮き彫りにすることだったが、コードのない、シンプルな作品に仕上げつつ、不可欠なシーンを省くことによって、著者の意図は、ある程度は成功していると思う。 >> 続きを読む
2018/08/30 by dreamer
中勘助
出だしは、なんかいい作品に巡り合ったかとと思いました。出だしの方はね。明治維新前後を舞台にした少年が伯母さんに育てられている様子を独白しているような感じなのだが、なんかそのうちに面白くないというか、頭に入ってこなくなったが、なんとか最後まで読んだというところ。結局、何の話だったのかよくわからずじまいだったが、最後の方でかわいがってくれた伯母さんがなくったところはホロリとした。 >> 続きを読む
2020/10/23 by 和田久生
小畑健
20年近く前に読んだ本。佐為に対して「囲碁で負けたくらいで入水自殺なんてするなよ!」と突っ込んだ記憶がある。しかし今にして思えばそれくらい囲碁に対する執着心が強かったからこそ守護霊?となってヒカルの元に現れることが出来たんだろうなあと。 >> 続きを読む
2018/01/30 by kikima
真保裕一
親友の雅人が背負った借金1260万を返済するため、道郎は偽札づくりに手を染める。ところがその過程で、偽札づくりのプロのジジイと出会う。もう20年以上前の作品なので、さすがに騙しのテクニックが古いのは否めない。自販機にしても、テレカにしても昔だし、札も1万円以外古い紙幣。それでも騙し騙されのやり取りは面白い。コンゲームとしては偽札づくりの過程に真実味がありで、次第に完成していくのが面白い。そして相手は悪徳企業と暴力団。そのため名前を変えてまで逆転しようとしていく。上巻は偽札が完成していくまでだが、下巻はどうなるのか楽しみ。 >> 続きを読む
2019/03/13 by オーウェン
騙された企業とヤクザを嵌めるため、本物に近い偽札を完成させた道郎一行。だが受け渡しの際のやり取りである人物に悲劇が。逆転のコンゲームを完成させる下巻。偽札づくりは更に精巧な物へと近づいていき、機械と銀行員双方を騙すほどの完成度に。そして出所してきた雅人と幸恵を加え、大掛かりな逆転劇のためヤクザと交渉へ入っていく。事件の顛末といい、道郎たちの今後。そして文庫化に沿って変えたラストの結末。まあさすがに凝り過ぎの気もするが、この作品の面白さが失われるとは思えない。 >> 続きを読む
2019/03/14 by オーウェン
赤瀬川原平
kindle版。表題となっている新解さん部分は意外と少ない。半分以上は紙についてのエッセイを集めた「紙がみの消息」部分である。紙というものに対してさほどの思い入れも無い私には、やや退屈なところもあった。しかし、これが書かれた1990年代半ばから現在にかけての、紙にまつわる状況の変化はちょっと凄まじいものがある。紙に関するこれらの文章が、まさか紙を介さず読まれる時代が来るとは赤瀬川氏も予想していなかったのでは。そのように考えると感慨深いものがある。新解さん部分はさすがに面白い。つい新解さんを買って読み込みたくなる。面白さとはまた別の話だが、私は赤瀬川原平の文章は少し苦手だ。「オッサンのカマトト」「オッサンのぶりっこ」という感じ。レベルを読者の位置に低めて、ちょっと媚びを売ってくる臭いがして、それがどうも。 >> 続きを読む
2016/02/06 by maru
小野不由美
明治元年七月、江戸は東京と名を変えた。それから29年後-----人魂売り、首遣い、闇御前、火炎魔人といった魑魅魍魎の妖しの者どもが、帝都の闇に跳梁し、怪事件を巻き起こしていた。この事件を追う新聞記者・平河新太郎と便利屋の万造は、闇御前に襲われかけた鷹司侯爵家の後継候補・常熙に事情を訊くために侯爵邸を訪れた。やがて、新太郎は、鷹司家の家督争いが一連の事件と関連があることを知るのだった-------。この「東京異聞」の作者の小野不由美は、もともと「十二国記」シリーズや「悪霊」シリーズなどのティーン向けの小説で人気のあった作家で、その彼女が初めて手掛けた大人向けの作品なんですね。この作品は、そうした小野不由美のストーリーテラーとしての本領を発揮したもので、極彩色の絵巻物を見ているような、そんなゾクゾクするような陶酔感に私を誘ってくれるんですね。本格ミステリであり伝奇ミステリの味わいのあるこの作品は、開化の世を騒がす"怪異の正体"を"合理"の白日の下に曝さんと、新聞記者の平河新太郎と便利屋の大道芸人の万造が真実の解明に向けて奔走するんですね。一方、事件の幕間には謎の黒衣が躍り出て、娘の形をした人形と語らいを交わすことで、人形が人に変じ人が傀儡と化す"繰の宴"とでも言うべき、物語の幻想色も一気に高まっていると思う。そして、狂言廻しよろしく彼らを自由自在に操って、作者の小野不由美は、夢幻の都の探偵綺譚をぽつりぽつりと始めるのだ。跳梁跋扈する魔人たちの所業は、この世のものとも思えず、事件は混迷の極に達するが、大団円の花見の場ですべての真相は、合理的に解明される。しかし、この作品の真に驚くべき部分は、そのあとなんですね。これはもう読んでからのお楽しみとしか言えませんが、その結末に至るための伏線もきちんと張ってあって、実にうまいんですね。この作品は、本格ミステリの最高峰、不滅のバイブルだと信じて疑わない、中井英夫の「虚無への供物」の系譜に連なる意欲作だと思いますね。 >> 続きを読む
2018/07/05 by dreamer
金井美恵子
【クリティカルに『あるあるのツボ』を突いてくる、ナマミの女子大生の日常エッセイ風小説】 桃子は、上京して大学に通うことになり、本当は一人暮らしをしたいのですが、母親の強硬な反対に合い、新宿(多分)で独身一人暮らしをしている作家の叔母のマンションに居候することになります。 本作は、そんな桃子の東京ライフをゆる~く綴った、ごくごく日常的なエッセイ風小説です。 本作が書かれたのは1988年なのですが、読んでまず感じたのは金井さんの観察眼の鋭さです。 とにかく随所に、「あ~、こういうのあったよね」という場面が満載なのです。 当時流行っていたお店の雰囲気や、怠惰な大学生のモラトリアム的生活、人間関係などなどが妙に生々しく描写されていきます。 桃子が寄宿する小説家の叔母というのは、金井さん自身がモデルなのかなと思うのですが、作中にはその叔母が書いたとされるエッセイや短い小説がそのままの形で挿入されており、もちろんその部分も金井さんが書いているので、『金井さんが書いている金井さんがモデルになっている作家の作品』を読めるという、何だか入れ子みたいな構造になっています。 内容的には特段大きな出来事が起きるわけでもなく、親子の関係、友人関係、日常生活などがゆるゆると綴られていくだけです。 桃子の両親は離婚しており、父親は東京でホテルの支配人をしているのですが、一応桃子のことを可愛がっているようで、結構高級な店に食事に連れて行ってくれたり、誕生日には高価な靴をプレゼントしてくれたり、お小遣いをくれたりで、一見良い父親にも見えるのですが、桃子からすれば、センスがズレている気障な中年オヤジでしかありません。 しかも、離婚の原因は父親が他に女を作ったからだと桃子は思い込んでいたのですが、何と、父親は同性愛者であることが分かり、そのお相手の男性とも会ったりするというビミョーな展開になったりもします。 毎週こまめに電話をしてくる母を鬱陶しく思い、真面目に大学に通うこともせず、時には10日間位家に引きこもってほぼ一日中惰眠をむさぼり、着替えもしなければ風呂にも入らないという、全くナマミの女子大生の姿が描かれます。 桃子はあまり友達を作ろうとはせず、唯一気が合った(自称)花子と映画に行ったり食事をする程度なのですが、この引き籠り状態の時、花子が家に来ると聞き、仕方なく起き出して、ずっと着がえずにいたパジャマの匂いを嗅いだら饐えたような自分の体臭がして……などというナマな話もさらっと書かれており、等身大の女性というのはそんなもんなのだよと世のうつけな男どもの幻想を軽~く足蹴にしてしまうのです。 金井さんは、あとがきで「少女小説というものを読んで育った者の一人として、そうした読者への<おかえし>のためにも一度少女小説を書いてみたい、と長年思ってきたのでした。」と書いていますが、これ、少女小説ですか? まあ、金井さん自身も「この小説を少女小説と呼ぶのは、いくつかの点で、少女小説を成立させている要素を欠いているために、いささか気が引けるのですが」と書いていますので、典型的な少女小説とは考えていないのでしょうけれど。 とにかく桃子や花子は、色気が皆無というか女性性を完全に捨てているというか、特に桃子には全くと言って良いほど恋愛シチュエーションが無いので(花子はかろうじてあるようですが、詳しくは語られません)、少女小説のコアとも言うべき恋愛が無いという決定的な欠落があるわけなのですけれど。 また、私が思う少女小説の一つのパターンは、主人公の不遇な境遇みたいなものがあるように思うのですが、冷静に見れば桃子だって両親が離婚し、父親が同性愛者だと分かり、ガーン!!的な状況にはあるものの、桃子自身は妙に冷めていて結構まんま受け入れてしまっているので、『ヒロインの不幸性』も欠落しているわけですのよ。 さらに言えば、少女小説はある意味ではビルドゥング・ロマンの側面もあり、ヒロインの成長というのも重要な要素の一つではないかと愚考するのでありますが、桃子にも花子にも目立った成長は無い! 桃子は、「東京には空が無いというけれど、結構あるじゃん」などと思い、部屋の日向でごろごろして「3キロ太った」などとほざいているのですから。 金井さんは、「こういう桃子や花子のような若い娘たちが、将来どういう女性になるのか、不安を感じないわけではありません」とも書いており、そこに共感してしまうのは自分がオヤジになっているからなのでしょうかね? いや、だって、二人とも真面目に大学に通っているなんてことは全く無くて、将来についても何も考えておらず、男と言えば小馬鹿にする存在程度の認識しかなさそうなので、こいつらどうするつもりなの?と思わざるを得ないのですもの。 とは言え、金井さんは「それは、言ってみれば、おばさん的心配にすぎないのかもしれません。」とも書いており、やっぱりそうなんですかねとしみじみ渋茶を啜りたくなってしまうわけなのでした。 なお、金井さんの作品と言えば、あの読点のない、非常に一文が長い独特の文体がすぐに思い浮かぶのですが、本作に関してはそういう文体は使っておらず、ごくごく普通に読めるのですよ。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2020/12/23 by ef177
亜蘭 知子
これは実際に起こったいじめを苦に自殺した中学2年生の男の子の事件をフィクション仕立てで書かれたお話です。殆どが事実に基づいて書かれているとのことそれを考えながら読むと、胸が苦しく涙が出そうになりました。ある日の朝、同級生の鹿川(ししかわ)君、通称シシ君が自宅から離れた仙台で自殺した状態で発見されたニュースが流れ、それを知った拓朗ことタクは衝撃を受けるところから始まります。―――――――――――家の人、そして友達へ突然姿を消して、申し訳ありません。(原因について)くわしい事については〇〇とか××とかにきけばわかると思う。俺だってまだ死にたくない。だけどこのままじゃ「生きジゴク」になっちゃうよ。ただ、俺が死んだからって他のヤツが犠牲になったんじゃいみないじゃないか。だから、もう君達もバカな事をするのはやめてくれ。最後のお願いだ。―――――――――――このような遺書が残されていたそうです。その後、担任教諭もそのいじめを見て見ぬふりをしたり、ある部分では軽い気持ちで加担してしまったり。同級生もいじめグループに目を付けられないように、見て見ぬふりをしてやはり加担してしまったり。そうしてシシ君は、顔で笑って心で泣いて。そうやって耐えて耐えて、8か月耐えたのです。親がいじめを知り、学校に訴えたり、相手の家に苦情を言ったりしましたが、それを知ったいじめグループから更にひどい仕打ちを受けることになった末に、死にたくなかったのに死を選ぶことになったのです。シシ君が亡くなってクラスメイトはショックを受け、自分がみて見ぬふりをしたこと、声をかけられなかったことを激しく後悔し、一人一人が、直接手を下さなくても、自分たちもいじめに加担したのだ、と気づくのです。残された周囲の子ども達、大人達、それぞれの心情が伝わってきました。これは130ページほどの子どもたちに向けて作られた作品ですが、これを読んだ人たちは、きっと「いじめ」について深く考えさせられるでしょう。いじめは、今現在もなくなっていませんし、それを苦に自殺する人たちも後を絶ちません。今、いじめを行っている人、周りで起こっているのに見ぬふりをしている人、そして、いじめに縁のない生活を送っている人、大人、すべての人たちの心に一石を投じる話だと思いました。 >> 続きを読む
2019/05/30 by taiaka45
小林泰三
夏なのでホラーでも(笑)どんな玩具でも修理してくれると噂の玩具修理者のもとへ殺してしまった弟を連れていく少女が主人公の表題作「玩具修理者」と、ある実験をきっかけにタイムトラベルを繰り返し認識の狭間に落ちていく男を描いた「酔歩する男」の二編収録。「玩具修理者」は著者のデビュー作とは思えないほどよく出来ているなーと。完成度が高く、ぐいぐい引っ張ってくれる引力がすごい(笑)多少グロ表現ありますので、苦手な方はお気をつけを。 >> 続きを読む
2015/08/02 by ao-ao
長坂秀佳
夏なのでホラー!ということで昔ゲームをやったことが有る『弟切草』の原作を読んでみました。ナミとナオミとか超懐かしくって超怖いーでもゲームの方がドアがギーギー鳴る音とか聴覚の刺激も有ったせいか数段怖く感じました。でも、原作だとこのエンディングなんですね。違うエンディングの方が好きでした☆ >> 続きを読む
2012/07/30 by sayaka
矢立肇 , 大河内一楼
誰もが知っている機動戦士ガンダムその一年戦争時の外伝にあたるのがこの第08MS小隊表紙はガンダムではありません!陸戦ガンダムです!(わからない人のが多そう)元々アニメでそれが小説化したんですけど、なんていうかアニメよりいい出来に仕上がっている感じです殴ったね!?とかいってるのよりリアルに戦争というものを表現していますまぁそんな感じにガンダム小説というより戦争小説といった方が近いですねガンダムは知っているけど別に…とかいう人にもお勧めできる作品だと思っています >> 続きを読む
2014/01/31 by ちあき
平川祐弘 , HearnLafcadio
小泉八雲の名作選集だ。日本人の持つ霊的なるものに対する小泉八雲の哲学的な思いがじんわりと伝わってくる。日本人以上に日本に詳しい彼が、西洋人としてどのように感じているのか書き綴っている。西田幾太郎氏の解釈によれば、ハーン氏の見方にしたがえば、われわれは幾千年来の人格の複合体ということになるとか。繊細な描写を読むと、ハーン氏が暮らした松江の家を訪問したときのことを思いだす。味わい深い作品だった。 >> 続きを読む
2017/04/22 by KameiKoji
織田作之助
2011年最初の1冊。織田作は大好きなので、それ以上何も言うことはありません。何度読んでもしんみりします。 >> 続きを読む
2011/01/02 by sasa
桐野夏生
流れてゆく水のように常に思考は変わる一方でぐるぐると同じとこを周り淀み、濁ってくるものもある彼女自身が捕らえることができないナニカ石山から見れば野性的な衝動でそのナニカは彼女の意思と反してさらさらと流れ、淀む死を持って彼女とナニカは1つになるような気がする俗世間的なものを渇望しながらも世間とは折り合いが全く悪い一匹狼な内海。最後に渇望するのがお伽噺と笑ってきた愛なのかもしれない誰かに見守られ執着する愛、自己顕示欲を見て、受けて彼は許されるようにこの世を去った気がする >> 続きを読む
2019/11/06 by 匿名
有栖川有栖
美しい蝶だらけの部屋で殺されていた。なぜ蝶だらけにされていたのか――?国名シリーズ第3弾です。短編集ですね。5編が収録されています。表題作は、今じゃとても描けない事件です。普通にどこにでもあるものが鍵を握っているわけですが、それがなかった時代は確かにあったことを想像させられました。【http://futekikansou.blog.shinobi.jp/Entry/181/】に感想をアップしています(2010年10月のものです) >> 続きを読む
2014/02/06 by hrg_knm
浅川博忠
田中角栄氏そのもの、そしてその影響を受けた政治家の系譜。田中角栄。その清濁併せ呑む度量に改めて感服した。角栄学校は竹下登、細川護熙、羽田孜、橋本龍太郎、小渕恵三と5人の首相を輩出した。ロッキード事件その他での疑惑は言うに及ばず、ダーティーなイメージが付きまとう田中角栄氏。存在感、印象度という指標では圧倒的なものが有り、おそらく好感度も高いはずで有る。愛娘の眞紀子氏に大部分遺伝が見られるように、豪快かつ軽妙なトークという派手さが目立つが、その裏に、極めて細やかな心遣いが出来る人だったらしい。角栄学校の卒業生を含め、中曽根氏、小泉氏を除いては、彼の後に存在感を示した首相はいないし、彼らもまた、角栄氏の存在感には及ばない。その理由を考えてみたところ、自分の言葉で語っているかという点に行き着いた。角栄氏ほどでは無いにせよ、中曽根氏、小泉氏は自分の言葉で語っていたと思う。その後、彼の系譜に連なる人間にはリクルート事件などが降りかかるわけだが、金権政治の上っ面だけはキッチリ真似出来ているという皮肉な結果が垣間見える。人材教育で難しさを感じるのは方法は伝えられても、そのバックボーンとなる考え方や熱意が伝えきれないこと。つまりセールストークの言い回しなどは誰にでも教えられるが、懐に切り込む勇気だとか、相手を落とすための迫力だとかは、その人個人の資質に大きく影響してしまうという点。当事者意識を持って能動的に折衝に向かう人なら全く問題ないが、受動的な人がセールストークだけを磨くと、政治家の答弁みたいになり、人の心を打たないのは、ある意味で当然の結果なのだと思う。角栄氏は偉大だったと思うが、人材育成についてはこの問題を解決していたとは言えないと思う。眞紀子氏には大きなポテンシャルを感じ心惹かれる。頑張って欲しい。 >> 続きを読む
2011/07/21 by ice
奥泉 光
自然と共生を求める葦の会に失踪した人間を探すため、乗り込んだ式根。だがそこは荒廃しており、消えた人間と殺害された人間が出てしまう。ミステリだけど、次第に夢や幻想という世界観が露わになっていく。メタフィクションのような展開もあるし、明確に事件の詳細も把握は難しい。正しいかどうかをはっきりさせるような結末ではないので、奥泉さんの初期の作風は今とは違うことを実感。 >> 続きを読む
2020/08/16 by オーウェン
尾田栄一郎
ONE PIECE 第8/67巻(未完結)首領クリークとの対決を終え、仲間に加わるサンジ。サンジの加入!この巻はもうそれが全て!善戦するものの、所詮はもはや雑魚扱いされることが見えている首領クリーク。悪あがきもそこそこにルフィに成敗されて胸がすーっとした。何とか一命を取り留めたギンも、気持ちも新たに海賊稼業に戻るようで、いずれ来るで有ろう再会が楽しみ。なかなか素直じゃないサンジだが、オーナーの赫足のゼフが仕組んだ、大根役者ばかりのバレバレ芝居に背中を押して貰い、ルフィ達の仲間入りをする。サンジと赫足のゼフの決別のシーンには、ちょっと胸を突かれた。普段から言葉を飾り流暢に話す人は、どこか信頼が置けないが、サンジみたいに普段は汚い言葉しか使わない人や、朴訥であまり言葉を発しないような人が放つ心からの一言は、人を感動させる効果が有るんだと思う。ナミを追って旅に出た先では、魚人の海賊アーロンに遭遇。ナミがそこの幹部だという衝撃の事実が明かされるものの、いかにもワケ有り。囚われたゾロを逃がすところで終わるのだが、野郎所帯ではいかにも寂しいので、彼女の復帰も待ち遠しい。とにかくサンジ!彼のクソウメェ料理を食べてみたいものだ。 >> 続きを読む
2012/11/03 by ice
三木 のり平小田 豊二
五つ星でおます。三木のり平さんが、二回り近く年の離れた小田豊二さんを聞き手に、自宅を中心に、酒を振る舞いながら語った芸談。「僕の芸能年賦みたいには、書かないでくれよ」と、のり平さんの語りはその場に居るような臨場感で、適度な緊張とのり平さんの気づかいの中で心地好い。芸に関するところを拾いあげると、笑いをとるのに、よくやる手が下ネタだと。それから肉体的欠陥を強調する。また罰ゲームで熱湯の中に入ったりする。それも客を笑わせるかもしれない。でも、笑いというのは、そういうものばかりではない。人を笑わせるには、いわゆる芸のボキャブラリーというか、いわゆる「乞食袋」と言いますけど、いろんな笑いのネタがふんだんに詰まってないといけない。漫才のネタ、落語のネタ、都々逸から民謡、踊りから狂言、新作から古典からそれをすべて乞食袋の中に入れておいたと・・・・。ただし、一つだけ言っておくと、芸というのは試してはいけない。計算もない。客が笑ってくれるかどうか試してみようなんていうのはプロじゃない。一発必中のネタをいつも用意していてこそ、人を笑わせるプロなんだ・・・と。サービスの極意と一緒、作り置きできなくて、そのとき、その瞬間が勝負だと。気になる言葉では、センスとナンセンス。「せりふ」は、台詞か、科白か歌は語れ、せりふは歌えアドリブは思いついた時に言うな。いい役者は、歩き方ひとつでも、芝居している。女の話、色気話、猥談なんてのを聞きたがるのは、田舎者だっていうこと。かぶりものをしたり、ヒゲ描いたりしてる時って、勝手におもしろいこと言ってるよそれは、その役になれるから、やっぱりそうでなくちゃいけないよ。のり平さんの、役者の「ニン」にあった演出法。どれもこれも、喜劇人、三木のり平を支えた真髄。あと、最後に載っている、奥様になった映子さんとのお二人のお手紙ラブレターは、熱烈な恋心がストレートに書かれている。メールやスマホでやりとりできる今とは違う、表現方法は逆に羨ましい限りでおますな。どこを開いても、中身の濃い「のり平のパーッといきましょう」まだ2月なのに、早くも、今年のベスト1候補の本と出会いました。 >> 続きを読む
2015/02/07 by ごまめ
出版年月 - 1999年4月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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