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東野圭吾
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名探偵の天下一大五郎はいつものように事件が現れるとそこにいる。そして警部である大河原番三は名探偵に事件を解かせるため、いつものようにとんちんかんな推理を行う。東野圭吾は自身の推理のパターンに飽きたのか、明らかに変化をつけている。それは密室だったりダイイングメッセージというお決まりの形をパロディにしている。だからぶっ飛んだ推理も致し方ないし、読者が既存の形に飽きているからという理由付けで笑わせる。そうなるとお約束を破る形も出てくるわけで、終盤の展開はまさにそれ。多くの推理ものを読んでからのほうが楽しめるパロディ本。 >> 続きを読む
2019/01/15 by オーウェン
江國香織
『落下する夕方』(江國香織) <角川文庫> 読了です。江國香織の作品を読むと、薄っすらとこわさを感じるのは私だけでしょうか。世界の薄暗い面を見てしまっている気持ちがします。物語を語っていく主人公が、(私から見ると)世界のセカンドサイドの住民ですから。もう、冒頭から薄いおかしさがどんどん出てきます。そして、作品をよりこわいものにしているのは、世界のメインサイドの住民がところどころで顔を出すからです。リアリティがあるんですよね。久しぶりに江國作品を読んだので、しばらく読み進めてから「ああ、そうだ、こんな感じだった」と後悔してしまったのですが、ほかにはないこの感覚がだんだんクセになってくるんですよね。読み終わった今、薄っすらとしたこわさは残っていますし、読んだことの後悔もあるのですが、それでも手放せません。今年の「手元に残した本リスト」にきっと載ることでしょう。最初の江國作品は『きらきらひかる』でした。これは手放してしまったのですが、多分、また手に入れます。(江國香織の毒に犯されている感覚です)ところで、この『落下する夕方』には、作中に語られていない物語が隠されています。二箇所、その姿を現していますが、物語られていないので、まったく意味がわかりません。そこにどんな物語があったのか……。そういう謎が残されるところもこわいところなのです。 >> 続きを読む
2018/10/18 by IKUNO
北村薫
芥川龍之介「六の宮の姫君」にまつわる書物探索。以前「太宰治の辞書」を読んで、このシリーズの魅力にハマってしまった。主人公はまだ大学生。だが、書物に関する謎解きは、主人公の年齢にかかわらず、面白い。芥川と菊池寛ら文豪との関係を、主人公とともに参考文献から読み進めていく面白さ。自宅に居ながら、手っ取り早く多くの文献をのぞき見できる気楽さ。たまらない!この1冊で、他の作品への興味も沸く。作品中に出てくる「近代日本文芸読本」。これは、凝り性の芥川が心血を注いで編集した、5冊148編からなる文芸作品アンソロジー。…読みたい!!いつも利用する図書館になかったので、県立図書館に予約。近いうちに手元に届く。私の力じゃ、難解なものも多いだろう。だけど、100人の読者がいれば100の物語が生まれる。「小説は人に、同じ解答を与えはしない。」この小説の受け売り文句だが、これからもこの気持ちをもって、本に向き合っていこうと思った。 >> 続きを読む
2016/05/30 by shizuka8
妹尾河童
妹尾河童の「少年H」(上・下巻)を読了。主人公の少年Hの綽名は、クリスチャンで、一寸モダンな母が編んでくれたセーターに、大きくHのイニシャルが編みこまれていたからだという。昭和5年生まれの少年Hの9歳から物語は始まり、敗戦後の混乱の中で、彼が中学を卒業して画家を志して、働き始める15歳までの、いわば自叙伝的な物語だ。この、作品のユニークさは、あの国家的な事業として行われた戦争を、当時の少年達がどのような目で見ていたかが、克明に検証されている点であろう。物語の視点は、常に当時の少年Hの目によっている。少年が感じた、戦争に向かう日本の一寸馬鹿げた高揚感、あるいは寧ろ、冷静に覚めた目で見る子供達に比べて、滑稽ともいえる精神論を声高に鼓吹する大人たち、といった描写は、まさに先の戦争が、一体、どういう形で国民を巻き込んでいったのかをあらためて我々に教えてくれる。この物語でくっきりと浮かびあがる少年Hの家族の姿は、実に懐かしい日本の家族の原風景だ。Hの両親は、広島の田舎から神戸に出てきた。父親は苦労して洋裁店を起こした苦労人だ。リベラルながら、世の中の動きに対して賢く柔軟で、家族の保護者として申し分がない。Hにとっても、尊敬すべき良き理解者なのだ。母親もクリスチャンの狂信的な部分はあり、Hにとっては、一寸悩ましいところがあるものの、良き博愛者、良き母親だ。二つ違いの妹は、兄思いであり可愛い。兄が妹を可愛がり、妹も兄を頼りにしてという理想の兄妹像が、これまた日本の原風景的だ。こういった、何となく、なじみ深いような気がするHの家族が、あの戦争という悲惨な時期をどのように過ごし、又、彼らの周りの人々や、世相がどのように移り変わっていったのか。戦後生まれには、経験のないはずなのに、懐かしく思うのは何故だろうか。 >> 続きを読む
2021/07/21 by dreamer
―まどろみから覚めたとき、17歳の<わたし>は、25年の時空を軽々飛んで42歳の<わたし>に着地した。高校・大学時代は恋にときめき、愛される喜びを得たり、友人との関係が上手くいかないことに真剣に悩んだり。社会人になってからは、慣れない仕事に失敗しながらも一つ一つスキルを身につけていきました。社会人1年目~2年目は、仕事、プライベート共上手くいかないことが多かったな。お局にもイジメられましたw仕事の経験値を積み、合コンで旦那と出会い結婚。いつの間にかアラサーで、人間関係のあしらい方を覚えたりなんかして、不満はあるも仕事に慣れた分余裕を持って会社に行く毎日となりました。これ、私の年表です。主人公の一ノ瀬真理子はこれよりもっと長い人生を"スキップ"してしまいました。この間の経験値が丸々ない状態です。目が覚めたら娘がいて、夫がいて。それだけでもパニックなのに、大好きな両親はすでに亡くなっていました。助けを求め大声を上げて泣きたい、そんなことができる存在がいないことの辛さに苦しくなりました。また、外見も大きく変わっています。眠る前まで見ていた、なんでも似合うきれいな顔や肌、体型が、目を覚ますと中年の体型に。目の前にいる娘は同じ17歳、素敵な服を着こなします。ツラい・・・ツラすぎる・・・・・・・・・時空を超えなくてもだんだん付いてくる脂肪はツラいというのに。―誰か、教えて下さい。時は、取り返すことが出来るのですか。始めの衝撃こそあれど、真理子は今の状況を受け入れ、穏やかに学校生活が続いていきます。全体的に優しい雰囲気ありますよね。生徒たち一人ひとりへ真剣に向き合う真理子自身も、教師として成長していってるようでした。学級日誌のコメントがあたたかい。ただ、いくら夫が同じ職業とはいえ、教える側として無難にこなしていることに違和感を感じました(・_・;)中身17歳の高校生が、42歳のベテランと同じようにこなしてしまうのでは、立場ないなぁ。彼女を取り巻く環境が、学級崩壊や、DV夫のいる家族でなくて本当に良かったです。大きな展開はなく、いつか元の時間に戻れるんじゃない?と楽観視してしまうような穏やかな日々を送ります。いやいや、そんな上手くいくはずがない、そんな不安も抱えながら。エピローグは、真理子の気持ちの一つ一つが突き刺さり、苦しさで本を持つ手が震えました。こんな残酷なことってない。なのに読了後は、不思議なくらい爽快感もありました。おもしろい本に出会うことは多くても、この本のように記憶に残る本というのはあまりないように思います。いい本に出会えて嬉しい。この本をおすすめしてくださった課長代理さんに感謝x2です。私一人で読書をしていたら絶対に出会えていません!ありがとうございました(*^_^*) >> 続きを読む
2015/03/16 by あすか
LightMichael , 桧垣嗣子
月面着陸時の、NASAが門外不出にしていた写真をおさめたものです。景色の写真も素晴らしいけど、月面に家族の写真を置いてとった写真が収められていて、家族を愛している宇宙飛行士が月に行ったんだなーなんてことを感じたりしました。ロマンあふれる写真集・・・! >> 続きを読む
2015/11/05 by めーこ
Shannon, David, 1959- , 清水奈緒子
深い絵本。自分を大切にすることも、そして、他の人を大切にすることも伝わってくる。
2015/08/05 by けんとまん
吉川浩 , François VI, duc de La Rochefoucauld
私は、以前、山で暮らしていたとき、一番信頼しあっていた友人と、ある女性をめぐって三角関係に陥り、彼にだまされたことがあります。それは、私の持つ、友人観、恋人観を大きく揺り動かすものであり、以後私はノイローゼというか、人間不信になったことがあります。そのころ、ラ・ロシュフコー(ラ・ロシュフーコー:1613-1680)の箴言(しんげん:いましめのことば)を知っていれば、その衝撃を幾分かは緩衝出来たかも知れません。こんな言葉があります。@けっして人をだますまいなどという気でいると、とかく、こちらがだまされるはめになる。 118(箴言番号、以下同じ)@人間には、裏切ってやろうと、たくらんだ裏切りより、心弱きがゆえの裏切りのほうが多いのだ。 120あのときの彼の心理状態を考えると箴言120が適用できるかも、と思います。私と彼は同じ集り・グループに参加していて、このグループのために力を尽くす、と言っていながら、心の弱さか、彼の出身県の職員採用試験をこっそり受けていて、そのことを私には打ち明けたのですが、このとき、私は「彼の私に対しての正直さ」を認識しましたが、「彼のグループに対しての不誠実さ」は気に留めていませんでした。彼が、私に対してもウソをつくかも、という可能性は「見て見ぬ振りをしていた」のです。果たして、私はだまされました・・・ ああ、なんとラ・ロシュフコーの箴言の的確なことか。このような断章(詩文の一部を抜いたものというのが原義)500余りで箴言集が出来上がっています。こんなのもあります。@われわれが自分の欠点を告白するのは、他人の心に刻み込まれた悪印象を、率直さによってすり替えるためだ。 184これも、上二つと私のなかでともに響きます。彼の打ち明け話は、この手のものでした。@悪人にでもなれる力を具えていなければ、善人だと誉められる資格はない。つまり、お人よしなど、まずたいてい、意志の怠惰か無力か、そのいずれかにほかならない。 237 ラ・ロシュフコーは、正式名称:ラ・ロシュフコー公爵フランソワ6世、いわゆる「モラリスト」に分類される文人ですが、フランスでも有数な貴族の子弟で、ルイ14世の治世の前に活躍した人でした。宮廷での活躍は花花しかったらしいですが、必ずしも彼が道徳的であったわけではありません。はてなキーワードでは「モラリスト」は以下のように定義されています。・・・・・・・・・・・・・・・・「道徳(morale)のことを書き、扱う著者」の意味。以下は『岩波哲学・思想事典』の項目記事(赤木昭三氏)による定義。「個人としての、または集団としての人間のあり方を観察、分析、描写し、もって人間の道徳的改善を企図する作家の呼称である。そしてとくに16世紀末のモンテーニュを始めとして、パスカル、ラ・ロシュフコー、ラ・ブリュイエール、ヴォーヴナルグ、シャンフォール、ジュベールなど、他に分類し難いフランス17・18世紀の一群の作家がこう呼ばれることが多く、その場合には、エッセイ、断章、箴言等の比較的自由で、短い表現形式を用いることをモラリストの特徴として挙げることができよう。」赤木氏は、モラリストの特徴を、次のように指摘する。・道徳的関心を持つが、自らの道徳規範で人間の善悪を裁断する「道徳家」ではない。・体系的で、首尾一貫する思想を構築する「哲学者」ではない。・自己の生きられた体験を重視する。・抽象的、一般的、箴言的スタイルで思想を表現することを好む。・社会改革を意図する「革命家」ではない。・個人の内面的な改善を重視する。・本質主義者であり、人間の本性が不変であると考えることが多い。・・・・・・・・・・・・・・・冗長な哲学者でもなく、性急な革命家でもない・・・これがモラリスト。最後に:ラ・ロシュフコーの箴言は、「いろいろな倫理用語を材料に、あっとおどろく関係性をもって建築物を立ち上げる」のに似ていると思います。関係性・・・これはラ・ロシュフコー独自のモチーフであるとともに、関係性を表現するのに向いたフランス語の宝物の一つである気がします。(フランス語は、関係代名詞を多用する言語です。) >> 続きを読む
2012/09/05 by iirei
灰谷健次郎
【読了日不明】年少組なのに年長組の子を泣かせたり、突拍子もないいたずらを考えついたりと、いつも保育園の先生を手こずらせてばかりの倫太郎。 大人たちからはとんでもない悪ガキだと思われることが多いが、実は鋭い感受性とさりげないやさしさをあわせもった個性的な子だ。 倫太郎はどのように成長していくのか、そして周りの大人たちは倫太郎をどう見守っていくのか。 灰谷健次郎が満を持して贈るライフワーク集体成、遂に待望の文庫化。 >> 続きを読む
2013/12/19 by books
【読了日不明】「人は、どんなことからでも学ぶことができる」 ―祖父のこの教えを実践するように、学校でも、それ以外の場所でも多くのことを学んでいく倫太郎。 そんな彼に、またひとつ格好の場所ができた。 倫太郎が保育園時代から慕っていたあんちゃんが、少林寺拳法の道場を開いたのだ。 倫太郎と仲間たちの可能性は、学校という枠を超えて広がっていく。 子どもたちの鮮烈なエネルギーに満ちた、感動の大河小説、シリーズ第二巻。 >> 続きを読む
西片拓史 , 小賀野実 , 田園調布消防署
特殊車両に興味を持っていた時期。よく開いて車の名前をあげていた。
2015/01/13 by ぶぶか
これは私が中学の頃に読みました。祖父母から聞かされる、戦前後の話しと似てはいたけれど、昔話のように聞かされる話しとは違い、昔の話でありますが現在進行形で書かれているため、とても面白く感じ、あっという間に読みすすめてしまいました。自分が知らない時代の話しに興味がある方は、ぜひ読んでみてください。 >> 続きを読む
2015/05/20 by coco
堀 和久
堀和久の第2回中山義秀文学賞受賞作「長い道程」は、硬派の時代小説で、なかなかいい味を出している作品だ。作者の堀和久は、主に徳川期の経済官僚を軸に、武士にとっての出世栄達とは何か、といったテーマの作品をいくつか著している。単なる、サクセス・ストーリーではなく、むしろその逆の、表向きの出世が必ずしも、その人物の真の幸福と合致しなかったり、様々な政治状況の中で、栄達そのものが、汚辱にまみれてしまうケースを描くことを得意としている。この作品の主人公・田口善行は、時の老中・水野忠邦の盟友として生き、異例の出世を遂げながらも、天保改革前夜、本人の意志とは別のところで、水野忠邦と対立する中野石翁閥の出世頭となり、粛清されてしまう。この作品は、その苦悩に満ちた田口善行の半生を、善行の生涯で唯一の甘美な思い出とも言うべき尾花沢のおゆうに対する、淫奔な正妻・お秋、頽廃しきった江戸幕府に対する、開明的な長崎の砲術家・高島四郎太夫など、様々な二頭対立の中から浮き彫りにしたもので、時代が必要とした、スケープゴートの問題に迫った意欲作だと思う。 >> 続きを読む
2020/10/29 by dreamer
太宰治
太宰治さんの人生についてなんとなく調べていたら「近所で噂になるほど豆腐を食べていた」とか「芥川龍之介が好きすぎてノートに芥川龍之介とたくさん書いていた」というエピソードがあり、気になったので図書館にあった太宰の本のなかで一番読みやすそうだったのを借りました正直昔の小説って言葉遣いが古くて入りにくいから苦手だったんですが、この「斜陽」は最初から最後まで入り込みながら読むことが出来ました嬉しい!まず16ページにある「悪漢は長生きする。綺麗なひとは早く死ぬ。お母さまは、お綺麗だ。けれども、長生きしてもらいたい。私はすこぶるまごついた。『意地悪ね!』と言ったら、下唇がぷるぷる震えて来て、涙が眼からあふれて落ちた。」という文章にとっても優しい気持ちになりました太宰治自身が真面目で純粋で優しい人だったのかなと思いましたそれから31ページで東京から田舎に越してきて「『空気のせいかしら。陽の光が、まるで東京と違うじゃないの。光線が絹ごしされているみたい。』と私は、はしゃいで言った。」という言葉遣いにとっても魅力を感じました。光線が絹ごしされている、なんて普通の感性じゃ言葉に表せない気がしますあと、202ページに「姉さんは美しく(僕は美しい母と姉を誇りにしていました)」という文章があるんですが、どんなに麻薬中毒になったり女遊びをしてみたり酒に入り浸ったりしても本当は家族を誇っていた弟の愛にすごく感動しました太宰治は自分が生まれるずっと前の時代の文豪なのに、小説を通すとなんだか近くに感じる気がします百人一首などもそうですが、千年前や百年前の時代の気持ちが言葉になって今、高校生として生きている自分のもとに届いてるって考えるとすごく素敵で、その間に戦争とか天皇が交代されたり時代がどんどん変わっていっても誰かが誰かに恋をしたり、「自分はなんで今生きているんだろう」って考えたりすることは同じなんだって考えると嬉しくなります本当に、小説って素敵だなぁと思いました😊 >> 続きを読む
2019/04/16 by minase86
坂井久仁江
再読。超シリアス漫画『花盛りの庭』まさかの続編其の3。春佳が結婚を前提に…って連れて来た彼氏はなんと!!雅樹の亡くなった父親、信夫と瓜二つだった…。雅樹は父親の影を乗り越え……。同時収録の『冬の散歩道』が悲しい話だった…坂井さんはこの手の話が上手だ(*`д´)b OK! >> 続きを読む
2012/05/13 by あんコ
荒俣宏
【腑分けしちゃうぞ!】 アラマタ図像館の第2巻のテーマは『人体』。 『ミクロの決死圏』を引き合いに出すまでもなく、人の身体だってワンダーワールドだったわけで、一体どうなっているんだ的な関心が溢れています。 かつて、人体解剖は御法度で、医学を志す人達にとっては大変な時代もありました。 そんな中で何とか死体を手に入れて(墓荒らしもやったわけです)解剖し、人間の体ってこうなっていたのか~的な知識を深めていったわけです。 そんな辺りを大変興味深く書いた作品としては、皆川博子さんの傑作『開かせていただき光栄です』シリーズがありますよね。 そして、せっかい解剖したのだから、それを記録しなければならない! というわけで、様々な人体解剖図が作られていったわけです。 人体解剖図にも歴史がありまして、ある時代、ある地方で作られていた解剖図は背景画が添えられているパターンが多かったのだそうです。 まるで生きている人の皮をはぐような解剖図が多用されたこともあったようです。 そんな歴史にも触れつつの『腑分け図』の数々です。 >> 続きを読む
2021/08/05 by ef177
ニック ホーンビィ
洋楽ファン、ポップ・ミュージックのマニアには堪らないラブストーリー。発表当時イギリスだけで100万部を突破したらしいが、残念ながら文庫は現在絶版の模様。映画化もされていて、冒頭のシーンで13thフロア・エレベーターズのYou're Gonna Miss Meがかかった時にはニヤっとした覚えがある。随所にイギリス的なユーモアと音楽ネタを配しながら、中年男のダメさが加減が炸裂する。愛だの恋だのは一通り経験して、もはや純情でも情熱的でもない。未だに子供じみたことを考えもするが、人生に大きな夢や希望があるわけではない。浮気したくせに、恋人に振られれば凹むし執着もする。過去についてごちゃごちゃ考える……なんともはや。でも、等身大な感じはする。この等身大の情けなさが話に魅力を生んでいる。浮気はどうかと思うが。音楽マニアの生態を見事に描いているのも見どころの一つだ。この手の事柄にある程度通じた人なら、「あ~(笑)」と思うようなあるあるが沢山出てくる。今読み返すと、オリジナルの編集テープ作成のような、すっかり廃れてしまった文化が出てくるのも面白く感じる。また、不幸せだからポップ・ミュージックが好きなのか、それともポップ・ミュージックが好きだから不幸せなのか、という命題は心にきた。音楽ファンでも、それ以外のジャンルのファンでも、似たことを考えたことがある好事家は結構いるのではなかろうか。洋楽、レコードマニア、ダメな中年男、失恋話、ハッピーエンド、これらのキーワードのうち3つ以上に惹かれる向きで、ラブストーリーを読みたい方にはお勧めしたい一冊。洋楽なんて聴かないという人も、訳者による註釈が付いているので(多分)大丈夫。むしろ新しい世界が見つかるかも。映画版も、設定の変更など不満はあったものの、悪くはなかったように記憶している。バリー役を演じたジャック・ブラックのハマりっぷりは異常だった。あと、ディックには幸せになって欲しいと思う。何となく。 >> 続きを読む
2018/01/12 by solnian
山崎豊子
10年も前に インフルエンザにかかった時に家族に言って、図書館で借りてきてもらった。アフリカ編は、よく覚えてる若かったからかな。 >> 続きを読む
2013/12/14 by ころさん
有栖川有栖
タイトルにあるように密室にこだわった8話の短編のアンソロジー。有栖川有栖に恩田陸。山口雅也に法月綸太郎など、好みの作家が新作を提供している。各作家の話の後に密室の考察をエッセイとして載せているのだが、どの作家も密室に関してはもう出尽くした感があると語っている。既存の密室ものに形を変えて、バリエーションを増やしたような話が多い。好みは二つ。倉知さんの会話のみで見せる、密室にまつわるある共通点。これを当てることで綺麗に揃うという回答が。法月さんの喫茶店にまつわる作家の死。視点を変えて密室を描いており、個人にとってはピンチなのにユーモア溢れた必至の状況が笑える話。 >> 続きを読む
2018/04/04 by オーウェン
コニー ウィリス
【映画ネタ満載のチャーミングなSFラブストーリー】 本作の舞台となる時代はデジタル画像処理技術がウルトラ発達しており、かつて映画に登場したことがある全ての俳優をどんなシーンにでも合成して好きなように演技させることが可能になっていました。 こうなると、もはや新人俳優など出る幕がありません。 だって、過去にキラ星のごとき名優が山ほど存在し、それらの名優にどんな演技をさせることも可能なのですから、当たるかどうか分からない新人俳優など誰が使いますかって。 というわけで、この物語の時代のハリウッドでは、新作映画はすべて過去作品のデータを使ったいわばリメイクばかりになっていました。 主人公のトムは、映画会社に勤める腕利きのデジタル技術者で、会社上層部の指示に従い、お望み通りの場面を作り出す仕事をしていました。 そして、この時代のハリウッドは麻薬にすっかり汚染されていて、誰もが麻薬漬けになっているんです。 トムだって例外ではありません(加えて、トムはある仕事の関係でほぼほぼアル中にもなっちゃうんですけれどね)。 そんなハリウッドでは新人俳優などお呼びじゃないのですが、それでも自分の姿をなんとか映画の中に潜り込ませたいと考える若い女の子たちが、ハリウッドのパーティー会場でうろうろし、映画関係者にしなを作っている有様なんです。 そんな時、女優志願だというアリスという若い田舎出の女性がトムの目に留まりました。 アリスはミュージカルに憧れており、どんな努力をしてもダンスをマスターし、ハリウッドでミュージカル映画に出たいと強く願っていたのです。 とりあえずは、ハリウッドでダンス教師を探しているんだとか。 いや、もう、ハリウッドにはダンス教師なんていないんだよ。 第一、ミュージカルなんていうジャンルはとうの昔に廃れてしまっている。 まぁ、彼女が映画関係者と懇ろになれば、あるいは彼女の姿を過去のどれかのミュージカル映画にはめ込むこと位はできるかもしれないけれど……。 そんなトムの話にアリスは全く耳を貸そうとしません。 はめ込みなどではなく、実写映画として自分がダンスを踊って映画に出たいのだと言うのです。 そんなことは不可能だって。 と、言うものの、トムはそんな一途なアリスに惚れてしまうんです。 アリスは燃えるような情熱を持っているわけですが、その願いはこの時代どうしたって叶うわけがありませんでした。 それでも夢を決してあきらめようとしないアリスを、トムは放っておけなくなるんです。 でも、アリスは、ある時、ふっと姿を消してしまったのです。 心配でたまらないトムはアリスの情報を得ようとするのですが空振りばかり。 そんな時、たまたま見た古いミュージカル映画のダンスシーンにアリスの姿を見つけたのです。 しかも、これははめ込みじゃない! アリスは一体どうやってこの映画の中に登場したんだ? ここからトムの謎解きと本格的なアリス探索が始まります。 アリスが古いミュージカル映画に登場できたリクツなどはSFですし、そもそもこのような超デジタル技術が進歩している社会自体がSFなのですが、本作はむしろロマンティックなラブストーリーという色合いが濃い作品なんです。 ですから、SFは苦手だなぁという方でも、あまりSFを意識せずに楽しむことができると思います。 また、映画が大好きという方には特にお勧めの作品です。 というのは、全編、あちこちに映画ネタが満載で、登場人物も映画中のセリフをよく引用しますし、俳優の名前や、映画の中のシーンの描写なども山盛り沢山なんです。 私はそれほど映画に詳しいというわけではないのですが、それでも「あぁ、あのシーン」と思い出せたところが沢山ありました。 ですから、映画好きな方ならもっと楽しめるだろうと思います。 そして、私が大好きなコニー・ウィリスらしい、ユーモアとしゃれっ気に溢れた語り口は本作でも健在です。 ちなみに、本作はローカス賞受賞作なんですが、コニー・ウィリスは、「『リメイク』は、自分では今まで書いた中でいちばんいい小説だと思っている。注目度はいちばんじゃなかったかもしれないけれど。」と語っているんですって。 本作は、明るくて、ちょっと甘酸っぱく、まるで本当に映画を見ているような気持ちにもなる楽しい作品なんですよ。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2020/01/19 by ef177
出版年月 - 1999年6月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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