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1999年9月発行の書籍

人気の作品

      アルジャーノンに花束を

      ダニエル・キイス , 小尾芙佐

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね! momomeiai Minnie sunflower tadahiko Erika
      • 本棚にあったので読んだけど、童話のようで・・・好みではなぁったかな。映像化されても見る気になれなかったのは、キャストがいまいち好きになれなかったから。 >> 続きを読む

        2017/09/21 by k.k

    • 他16人がレビュー登録、 68人が本棚登録しています
      人を動かす

      D・カーネギー , 山口博

      創元社
      カテゴリー:人生訓、教訓
      4.5
      いいね! gavin tomato yam oriedesi mee
      • 何十年も歴史を超えて愛され続けている名著ですが、古典は古臭いという偏見を持ち続けていた私は手にとっていませんでした。
        先人の知恵を素直に受け止めることに気づき始めた最近、ついにこの本を読んでみることに決めました。
        数々の著名な人、私のような一般人の成功例を交えながら、人間関係の原則を教えてくれます。
        例えば、「笑顔を忘れない」という当たり前に思える原則一つとっても、その原則を守り続けた人々の成功を具体的なストーリーと共に示してくれるので他の著者にはない説得力を感じました。
        >> 続きを読む

        2018/01/08 by ヨティ男

    • 他15人がレビュー登録、 70人が本棚登録しています
      凍える島

      近藤史恵

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 作家・近藤史恵が弱冠24歳という若さで第四回鮎川哲也賞を受賞し、華々しいデビューを飾った「凍える島」を久しぶりに再読しました。

        かつては、新興宗教"オアンネスの息子教"の聖地であり、今は教会と彫刻だけが残る無人島と化している瀬戸内海のS島。夏の休暇を楽しむために、喫茶店を経営するあやめとなつこ、それぞれの知人6名の合計8名がこの島に渡った。

        だが、水面下で彼らの間に育まれていた愛憎の葛藤は、複雑でかなり根深いものだった。そして、あやめが秘かに交際する矢島鳥呼の妻・菜菜子が、鍵のかかった室内で心臓を抉り出された惨殺死体と化したのを皮切りに、メンバーに次々と何者かの殺意が忍び寄ってゆくのだった------。

        盛夏にもかかわらず、ひんやりとした空気に包まれているのは、登場人物たちの表面的には醒めた恋愛観のせいなのだろう。しかし、その冷たさは変温動物の冷たさで、何かの拍子に熱というものを感じると、たちどころに体温が上がって、犯罪という人間関係を築き上げてしまうのだ。

        秘めた情熱。そのような、きれいに割り切れないものを本格ミステリで描いた異色の孤島もの、それがこの作品なのだ。

        第四回鮎川哲也賞の受賞時の選評で「生活感の薄い人物ばかり」が登場する小説世界が、平板だと評されたらしいのですが、むしろ生活感の薄い人物ばかりだからこそ、孤島での連続殺人という"新本格派"お馴染みのモチーフを扱いつつ、寒々しい人間関係の中で発生した"愛の悲劇"を描き上げることに成功したのではないかと思いますね。

        この近藤史恵という作家の本領は、登場人物に俗っぽい生活感を持たせるなどというところにあるのではないと思っています。

        殊に語り手である、あやめの屈折した心理描写は実に見事で、それが意外な真相に説得力を与える効果も発揮していると思うんですね。

        最終ページ近くの「真夏の寒い島で、わたしたちは熱く凍えた」という一行が、この「凍える島」という作品世界を見事に象徴していると思います。


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        2018/03/14 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      巷説百物語

      京極夏彦

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!

      • この京極夏彦の「巷説百物語」は、「小豆洗い」「白蔵主」「舞首」など、江戸期に書かれた「絵本百物語」に登場する妖怪をそのまま作品名にし、各々の妖怪が生じた因縁をモチーフにした連作短編集です。

        しかし、この一連の小説は、決して小難しいものではなく、京極夏彦の代表作の一編「嗤う伊右衛門」にも登場した、渡り御行の小股潜りの又市、山猫廻しのおぎん、事触れの治平、考物の百介という、小悪党の四人組が、それぞれの特技を生かし、非業の最後を遂げた者の縁者の依頼を受け、下手人を追いつめていくのが、そのストーリーになっているんですね。

        そして、その仕掛けに又市たちが利用するというか、力を借りるのが、妖怪たちなのだ。
        「この世にゃあ、神も仏もねぇけれど、怨みが募ればあやかしも生く」という又市のセリフのように、業の深い悪人ほど、妖怪に取り憑かれる恐怖が強い。その弱点を又市たちは衝くのだ。

        そして、不可能趣味に満ちた現象が、最後には合理的に明かされるというわけなんですね。

        これぞまさに、必殺仕掛人とミッション:インポッシブルと本格ミステリをシェイクして、妖怪というエキスを一滴垂らした面白小説だと思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/06/25 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      レキシントンの幽霊

      村上春樹

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 非現実的なのにありそうな、ちょっとひやりとする短編集。日常の中の違和感。

        電車で遠出している時にこの本を読んだが、車両に一人しかいなくて、途中の駅でも人の乗り降りもなくて、不思議な空間に迷い込んでしまったかのような感覚になった。

        感動するとかそういうダイナミックなお話ではなくて静かな余韻に浸るようなそんな感じの本。
        >> 続きを読む

        2012/11/05 by mahalo

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      クリスマスに少女は還る

      O'ConnellCarol , 務台夏子

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • こういう終わり方にしたのか~!と本当、びっくりものでした。私は感動した組!。
        この結末は賛否両論でしょうね。
        いや、でもいいよん。だって・・・クリスマスだもん(謎&笑)。

        最初は犯人は誰?主人公の刑事ルージュの双子の妹を殺した犯人と同人物?などなどミステリ要素の方が強く読み進めていましたが、途中からは少女たちの脱出劇の方が心配になっちゃって、もうハラハラドキドキ。
        二人の少女は性格も全然違うし、1人の子はとっても面白いキャラクターをしているんです。おまけにルージュの妹の事件のこと、ルージュの前に現れた顔に傷のある謎の女。誘拐された少女たちの親のこと。更に破産寸前のルージュの家の問題などなどいろいろな要素が絡まりあい、本自体は結構厚いのですが嫌になることはないです。

        オコンネルの作品にはキャシー・マロリー巡査部長を主人公にしたシリーズもありますが、私はマロリーがあまり好きではないので、もっとこういう作品を書いて欲しいなぁ~とせつに願う次第です。
        >> 続きを読む

        2015/02/17 by mana

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      生きがいの創造 "生まれ変わりの科学"が人生を変える

      飯田史彦

      PHP研究所
      カテゴリー:超心理学、心霊研究
      5.0
      いいね!
      • 「生きがいの創造―"生まれ変わりの科学"が人生を変える」輪廻転生の言葉を信じるか否か…飯田 史彦著

        詳しいレビューはこちら↓

        http://youyou-bookmovie.blog.so-net.ne.jp/2015-08-29
        >> 続きを読む

        2015/09/26 by youmisa

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      オブジェクト指向における再利用のためのデザインパタ-ン

      吉田和樹 , 本位田真一 , GammaErich.

      ソフトバンククリエイティブ
      カテゴリー:情報科学
      4.0
      いいね! aprilia
      • デザインパターンはオブジェクト指向でソフトウェアを設計する際に覚えていて損の無いデザインのパターン集を集めた本です。著者はGang Of Fourと通称される4人。近年OVM等のLSI論理設計の検証ライブラリの設計でも応用されており、LSI論理設計にも徐々に浸透中(結局盛大かつ日常化した(HW記述用の言語としての)DSLでも文字で記述してオブジェクト指向の概念を取り込むとデザインパターンが適用されるという事)。でも、これを暗記用の暗記カードorコミュニケーションツールとしての辞書としては欲しくないです。と、言うのは、これオブジェクト指向で独力で試行錯誤して様々な設計を考えたことのある人であれば、ああ、あのクラス図の駒の配置(色々な制約条件を加味して作り出した物を)こう呼ぶのねという常識の範囲をあまり超えない概念だからです。ですからむしろ普遍的とも言えます。
        オブジェクト指向のノウハウというのは難しいものがあります。というのは単なる積み上げではないからです(時間を掛ければ会得できるものではないのです)。オブジェクト指向を持ってソフトウェア設計はより直感的になりましたが、故にプロシージャ指向から直感/経験指向にシフトしました。つまり直感/経験指向の職人芸(原生林の中で生き延びられる人は生き延びられる)->プロシージャ指向(生き延びる術だけは確立された)->直感/経験指向(良いものを作れるかどうかはその人のセンス次第)に戻ってきた事になります。真っ白なキャンバスに初期なクラス図を描き出す術をプロシージャで表すことは不可能なのです(だって、描く人にその線見えるかか見えないかなのです。そして見えるか見えないかは過去の開発において開発の時間の流れによる変化という運命という神とのがちんこの戦いにおいてどれだけかすりボーナスGETしたかというパラメータに実は比例します)。オブジェクト指向により生産性や保守性、拡張性は飛躍的に上がりました。これは派生開発を見越したシステム開発(例えばプロダクトライン)には必須でしたし、個人的には定着期をうまく支えることができれば、安全性にも多大に寄与すると思っています。ですが、オブジェクト指向の設計の考え方の実際的はフローを説明した人ってまだ居ないのですよね。つまり、デザインパターンとそれがフィットする設計の思考という峠の風景というのでしょうか。峠への道のりをおぼろげに示した本はございますけれどね。この技術の難しいところは会得できる人は認識した時には会得していて、会得していない人にはどうやったら会得できるのかを説明できない事にあるように思います。
        >> 続きを読む

        2012/10/23 by Shimada

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      そらまめくんのベッド

      中屋美和

      福音館書店
      カテゴリー:芸術、美術
      4.4
      いいね!
      • ※厳しめレビューです。
        ※この本をお好きな方は読まない方がよいかもです。。





        娘は豆類(枝豆やそら豆)をこよなく愛しているのですが、
        そんな娘は少し前までたびたびこの絵本を保育園から借りてきていました。

        そら豆くんは自分のベッドがとてもお気に入りです。
        お友達から「かして」と言われてもなんだかんだ理由を付けてかしません。
        「君には大きすぎるよ」
        「君にはそのベッドがお似合いさ!」
        そんなそら豆くんのベッドが行方不明に…

        娘はわりとこの絵本を好きなのですが
        私はどうしてもこの本に教育的な要素を感じてしまい好きになれません。

        絵本ってそれぞれが色々なことを感じ取れる自由さがあって良いと思うのですが
        「独り占めは良くないよね」「仲良くしないとダメだよね」というものが先にあって
        そのあとにストーリーができた?という気がしなくもないのです。
        結果的にそういうメッセージを感じ取るのだったら良いのですが
        この本の場合、誘導されている感を感じてしまうというか。
        (穿った読み方でごめんなさい。。)

        あとは、個人的に主人公のそら豆くんが好きになれないのも大きいかもしれない。
        いたずらっ子でも、ワガママでも、愛すべきキャラクターっていると思うのですが
        そら豆くんはあんまりそういう感じではないんですよね。

        そんなわけで、私の中ではあまり好きではない絵本です。

        ----
        おまけ。

        もはや絵本のことではなくそら豆自体の話ですが、、

        今まで私、そら豆好きじゃありませんでした。
        ですが、出産後にそら豆をまじまじと見ていると、
        今までなんにも思ったことなかったあのそら豆のフワフワの皮が気になる。。
        このお豆たちはあのフワフワに包まれて、大切に大切に育てられたんだなぁと思うと
        なんだかとても愛しい。。

        あと、娘とそら豆の皮むきをする時間が大好き。
        「うわぁ~フワフワのベッドだね~」
        (ちいさなそら豆を見つけて)「こんなにちっちゃい!」
        と、娘の発言が微笑ましくって^^

        そんなわけで、今ではだいぶそら豆を好きになりました☆
        またそら豆の季節が来るのが待ち遠しいです。
        >> 続きを読む

        2019/01/28 by chao-mum

    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      制作

      エミール・ゾラ , 清水正和

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • セザンヌについて学んだ身として
        この本を読まないわけにはいかなかった!

        セザンヌが親友と関係を絶った理由と言われているが、
        読んでみてその通りだと思った。
        今まで一緒に同じ道を歩んできたと思っていた友人が
        自分のことをこう考えていた。
        馬鹿にさえしていたと大人になってから気づいてしまった。
        そりゃ怒るよ。
        気難しい、怒りっぽい一面を持っているセザンヌなら尚更だろう。

        セザンヌを中心にして私は読んだが
        いろんな読み方ができるんじゃないかなと解説を読んでから感じた。
        >> 続きを読む

        2015/05/11 by kotori

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      マダムの幻影

      藤本 ひとみ

      4.0
      いいね!
      • マリー・アントワネットの遺児であるマダム(マリー・テレーズ)は、幼くして両親を革命によって処刑され、オーストリアに逃れ、社会を恨みながら孤独に生きてきた。

        教会の助任司祭であるルナール。立場は司祭だけど、親に捨てられ教会で育てられた彼は、手段を選ばず(”体”で上司を誘惑、支配。げげっ)どうやって成り上がっていくかということだけを考えている全く宗教人らしくない人物。
        エゴのために革命の裁判ではマリー・アントワネットの死刑を決定づけるような嘘の証言をしていた。

        ルナールにマリー・アントワネットについての回想録を売りに来たカロリーヌも、弁護士だった父が流刑にされ生活のために娼婦になった。そして歩けない夫を・・・


        3人とも、言わば残念な生き方をしてきてしまった人たち。

        (以下ネタバレ注意)



        マダムの前でルナールによって翻訳されていく回想録には、マリー・アントワネットの真の?生々しい姿や思いや庶民とかけ離れてしまった価値観などが描かれていた。
        (価値観が違うからといって死刑にされるのは納得いかないし、初めから死刑が決まってる裁判って…本当に恐ろしい社会だと思う。「存在」が”罪”とは・・・)

        毅然と自分の正義を貫こうとした、そのためには偽証さえも・・・『悲劇の王妃』は自身の演出だった!?いつまでも国民に愛されたいが為の・・・。

        回想録をきっかけに、3人は自分自身を見つめ直す。

        >どうして自分は、母を哀れむことしかできなかったのか。なぜ母の不幸ばかりを深く心に刻みつけ、不当なほどの涙をそそぎ、復讐を誓って生きる支えのように抱きしめてきたのか。・・・・・・マリー・テレーズは、自分がそうされたかったのである。誰かに、一心に哀れんでほしかった。

        >誰も手をさしのべてくれない祖国フランスにおいて、マリー・テレーズは、自分が求めて得られなかったものを母の幻影にそそぎこみ、母を満たすことで、自分自身を癒そうとしたのであった。


        >『あの下劣な証言は、君の下劣な人生から出たものか』



        一番力強く、しっかりと生きたのは、(改革後の)マリー・アントワネットだったのだろう。
        3人はそれぞれに生き直す決心をするのであった・・・
        >> 続きを読む

        2015/05/11 by バカボン

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      三つの都の物語

      塩野 七生

      5.0
      いいね!
      • 塩野七生さんの小説は珍しい。ルネサンスのベネチア、フィレンツェ、ローマで起こる殺人事件が題材。当時のイタリア、トルコ周辺の雰囲気、街の香料の匂いがぷんぷん伝わってくるような気がした。主人公のマルコが魅力あふれる。500ページを超える分厚い本だが2日で読了。読書は一瞬で時空を超えることができる好例。おもしろい。 >> 続きを読む

        2015/08/30 by Starflight

    • 1人が本棚登録しています
      バベル消滅

      飛鳥部勝則

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 離島で起こる連続殺人事件。
        それに関係するのはバベルの絵。
        推理マニアの田村正義がそれを解決しようとするが。

        本に対してその絵が挿入されているのでイメージはしやすい。
        ただし犯人当てに関しては一筋縄ではいかない。

        事件や解決は2章までであるが、終章で別の驚きが現れる。
        絵に込められたミッシングリンクが殺人に関わっていることは分かるのだが、その裏は読めなかった。

        またダイイングメッセージが登場するのだが、その条件下で犯人を推理していくのもよく出来ている。
        >> 続きを読む

        2018/11/11 by オーウェン

    • 1人が本棚登録しています
      荀子

      内山俊彦

      講談社
      カテゴリー:先秦思想、諸子百家
      5.0
      いいね!
      •  儒者の中でも孔子、孟子に比べて扱われる機会の少ない荀子。その弟子である韓非子や李斯のよほど有名です。孟子の「性善説」を説明する時に「性悪説」が取り上げられるくらいで、どちらかというと異端扱いです。思想家を紹介する時にその人の主な著書や弟子のまとめた言行録が重要な手がかりになるのは当然ですが、どういう時代に生きたのかということも同じように重要だということがこの本を読んでよくわかりました。特に春秋戦国時代の遊説家たちは、今でいう思想家や哲学者のイメージとは違い、どちらかというと訪問販売をしている営業マンに近いような気がします。モノを売るのではなく自分の思想を売り込み、国政に携わろうという目的があるところが違うところではありますが。諸子百家という言葉は漢の時代になってから春秋戦国時代の生きのいい思想家たちがいなくなってから、きれいに分類されてしまった名称で、同時代の人たちが自らを規定した言葉ではありません。ですからある思想家の思想も後代から見れば先行するさまざまな思想を自らの思想に組み入れて成り立っています。本書で何度も強調していることは、荀子の思想史的な位置づけです。筆者は春秋戦国時代の儒者を権力に近づいて国政に携わろうとしながら、果たせない存在として描きます。そして果たせなかったからこそ、鋭い批判者の位置でいることができたと。孔子は国政に携わっている時期もありましたからそういう意味で面白いのですが、孟子になるとかなり理想論を前面に出して君主を鋭く批判しています。では荀子はどうかと言いますと、もはや秦の統一は近いというところまで来ています。弟子の李斯が宰相になり、韓非子を読んで感動した秦王政が中国を統一して始皇帝と名乗るまであと少しの時代に来ているのです。群雄が割拠してどこが統一者になるかわからないという時期ではなく、そういう意味ではまだ理想を語ることができた時代と言えるかもしれません。孔子は自分に小さな国でも任せてくれれば三年で周のような国を作ってみせると言っていましたが、荀子の時代には超大国秦に対して儒者がどういう立ち位置をとる必要があるかを考えなければならない時代になっていたのです。

         孔子や孟子は堯・舜・禹のようないにしえの聖王を理想化してその治世を現代の王も見習えば理想的な政治ができると説きました。荀子は、古代の聖王たちが作った法や慣習をそのまま当今に使うのではなく、それらを基としながら、その時々の王が時代に合わせて改変していくべきだといました。しかし君主が恣意的に改変するのではなく、あくまで礼に従ってという条件付きです。荀子は現実には殺戮に殺戮を重ねて天下を統一しつつある君主を無視して理想論を語るわけにはいかない時代に生きていました。現実の王を認めつつ、儒者としての理想を語る仕組みが、君主の権威を礼の下に置くという考えでした。荀子は王になれない君主を「覇」として容認しました。韓非子や李斯は師の思想を受け継ぎながら、礼を君主の上におかず、法を君主が作りそれが規範となるという考えだけを発展させ、臣下を君主の下に秩序立ててピラミッド型の統治体制を作り上げました。この秩序自体は儒者の思想を受け継いでいます。法家と後に呼ばれる彼らとは違う系統の弟子達は秦の下でどのような儒者となっていったか、こちらも礼を君主の上に置きつつ現実と理想に折り合いをつける(現実の君主を認めつつ認めない)荀子の思想を受け継げず、君主を絶対化する方向に流れていきます。覇王である君主を聖王に近づけるために礼による矯正をかけていくのが荀子の思想でしたが(これはそのまま「性悪説」にあてはまる)、荀子の弟子たちは君主をそのままの状態で聖王として扱ってしまうということでしょう。

         儒者が権力の内部に取り込まれていった結果、儒教は国教になり儒者は王を支える官僚として国家機構を強化していくこととなります。荀子は『荀子』の中で「非十二子篇」という部分で他の思想家を排撃しています。筆者は結果として荀子は諸子百家の思想の最後に位置する思想家としてその時代を終わらせる役割も持ったのではないかと言っています。荀子の後の儒者たちはこの「非十二子篇」を引いて他の思想家を排除し、儒教は正統な思想として国家を支えていくことになるのです。
        >> 続きを読む

        2014/02/11 by nekotaka

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      人形式モナリザ

      森博嗣

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • Vシリーズの第2弾。

        前回の1作目が衝撃的なラストだっただけに
        今作も期待して読み始めましたが
        いきなり保呂草さんが出てきてびっくり!

        「あれ?前回のオチから。。え!?」
        って感じで困惑のままスタートし
        そのまま読み終わってしまいました。

        トリックや犯人がかなり不親切というか
        昨今のミステリーが分かりやすすぎるのもあるのでしょう。
        森先生に置き去りにされたような感覚です(^ ^;)

        確実に読み手を選ぶ作品でしょうが
        僕はますます森ワールドに引き込まれる事になりました(笑)
        >> 続きを読む

        2015/02/13 by MUSICA

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    • 3人が本棚登録しています
      盤上の敵

      北村薫

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 北村さんが意識しているのは明らかにエラリー・クィーン。
        チェスのように見立てて、計画を実行していく事件の顛末とは。

        妻が待つ自宅に殺人犯が籠城。
        夫は困惑するが、そこにワイドショーのカメラの中継が。

        このパートと同時に別の話が語られていく。
        当然これには意味があると思うのだが、それに気づくのはこの事件に裏があるから。

        途中で気づく可能性もあるけど、それがどういう結末をもたらすのか。
        この手の作品としては意外な落し処かも。
        >> 続きを読む

        2018/07/09 by オーウェン

    • 1人が本棚登録しています
      春秋の名君

      宮城谷昌光

      講談社
      4.0
      いいね!
      • 君主は誰にでもなれるものではなくて、基本的には君主の子に生まれなければなれない。
        必然的に選ばれた人の中から名君と呼ばれる人が出てくる割合は非常に少ない。
        名君が少ないがゆえに名臣が目立っているように思えるほど、歴史上には酷い君主の方が多い。
        そのせいか名君と呼ばれる人は際立っていて、その人生が圧倒的に面白い。

        後半の宮城谷さんのエッセイは、読んでいてとにかくすごいなぁと思うばかりだ。
        自分にたった一つの才能があるとすれば、それは努力する才能であろうなんて、なかなか言えることではない。
        >> 続きを読む

        2013/07/13 by freaks004

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      警視庁刑事 私の仕事と人生

      鍬本実敏

      講談社
      4.0
      いいね!
      • 警視庁のコンピュータと称された元警察官が振り返る半生。

        殺伐とした事件の中でこそ、小さな交流で救える心が有る。

        警察。まして殺人事件担当部署などと聞くと、一般的には近寄り難い存在だと思う。
        とは言え、優秀な警察組織が民衆の幸福を守ってくれていることも言わずもがなで有る。

        著者は警視庁のコンピュータと称されたほどの抜群の記憶力と、数々の難事件を解決して来た実績を持つ元警察官で有り、大女優とのロマンスやキリスト教への帰依などのエピソードも交えながら、警察との距離を縮めてくれる。

        ヤクザや娼婦たちとも人と人との関係を大切に、人情が介在する余地が有った時代の話は、サラリーマン化して、地元のことは何でも知っているような警察官がほとんどいなくなった現在からすれば
        確かにうらやましい面が多いと思い知らされる。

        地道な捜査の現実や、新聞記者との付き合い方なども読み応えが有った。

        圧巻だったのは、亡くなった著者に向けて寄せられた、宮部みゆき氏をはじめとした多くの推理作家からの賛辞。

        確かに警察の迫力有る姿をリアルに描くためには、現場を良く知る方からのインタビューが必要で有ろう。
        読み終えた今となっては良く分かるが、著者の経験と表現力は、まさに適任だと思える。

        警察組織を愛するが故の批判から、犯人に対しての誠実な対応が垣間見えるようで有る。
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        2011/05/26 by ice

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      眼球綺譚

      綾辻行人

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 猟奇的な要素が強い、連作ホラー短編集。

        怖いのがホラーだとすると、これはホラーでは無い。

        正直、あまり満足したことは無いのだが、何故か綾辻氏の作品は、なんだかんだと結構読んでいる。

        本作品は猟奇的要素が強いホラー短編集で有り、心理的にゾッとさせられるようなものでは無い。
        多少失礼かとは思うが、奇異な行動に対しての恐怖と、ジワジワと追い詰められるような恐怖では怖さの次元が違うし、プロットとして前者の恐怖を選択する感覚を理解出来ないでいる。

        きっかけは知人の紹介で、館シリーズを知ったことだが、決定的なのは、島田荘司氏との関係。
        あの島田氏が推すなら絶対に間違いないと考えたのが今でも残っているように思う。

        何故物足りなさを感じるのかと言えば、島田氏に有って綾辻氏には無いと考えると自ずと明確。
        「社会派」というスパイスの有無で有ることは間違いない。

        新本格などというキーワードが一人歩きしていたようにも思うが、綾辻氏の作品はあえて人物を深く書き込まずに論理展開で読ませる特徴が有るように思うため、そもそも期待する方が間違っているのかもしれない。

        結果、常に薄っぺらさを感じ続けていることから、きっと好みの作風では無いのだろうが、きっと今後も読んでしまう不思議な魅力を持った綾辻氏作品。
        今後も不思議な関係を続けて行こうと思っている。

        「鉄橋」などページ数が少ないものの方が綾辻氏の良さが出やすいように思う。
        >> 続きを読む

        2012/02/10 by ice

      • コメント 1件
    • 2人が本棚登録しています
      謎の女を探して

      BrownSandra , 秋月忍

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 「謎の女を探して」サンドラ・ブラウン著。一夜を共にした謎の女性を探す男性、果たして彼女の正体は? 

        レビューの続きはこちらへ↓

        http://youyou-bookmovie.blog.so-net.ne.jp/2015-12-19
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        2016/01/16 by youmisa

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出版年月 - 1999年9月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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