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2000年3月発行の書籍

人気の作品

      話を聞かない男、地図が読めない女 男脳・女脳が「謎」を解く

      藤井留美 , PeaseBarbara. , PeaseAllan.

      主婦の友社
      カテゴリー:基礎医学
      3.5
      いいね!
      • 2005年5月読破。

        2015/12/17 by Y96

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      中原中也詩集

      中原中也 , 吉田熈生

      新潮社
      カテゴリー:詩歌
      4.5
      いいね! Kazama
      • 優しい言葉の数々。

        悲しみを経験した人のやさしさや物事の感じ方を見られた気がする。

        モノによっては全然意味が分からない詩もあったが、私が感じたのは彼の書く憧憬に対する文章がこんなにも美しいのかと感動した。

        あと、人間に対しても結構するどいところをついている。

        彼は毎日を丁寧に生きているのを感じた。
        あわただしい現代では憧憬を心に感じる機会があまりない。

        やはりそういう心は大切にしたいと思った。

        彼の詩、全部が好き!中原中也が好き!とまでは思わないが、この詩集のなかに「これ好き!」と思えるものが一つでも見つかれば、この本を読む価値はあると思う。
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        2016/01/31 by snoopo

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      鬼平犯科帳

      池波正太郎

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 読むのは三回め。

        急に思いついたのが「鬼平犯科帳をちゃんと読もう」だった。12年も前に六巻まで買っていながら、未だに第一巻しか読んでいない。再読したときにも同心と与力の区別がつかず、岡っ引きや下っ引き、中間が出てきても混乱するだけだった。何より、火盗改に対する親近感がなかった。それでもここしばらく、どういうわけか時代小説をせっせと読んでいるので、鬼平に対するハードルも少しは低くなったかもしれないと。

        今なら鬼平を楽しめるかもしれないと思って読んだ第一巻で今回気がついたのは、この巻は捕物帳というより盗賊たちの生き様を中心に描いた短編が多い。その中で、平蔵にすさまじい拷問を加えられながら、後に心酔して密偵となる粂八が今回も印象に残った。悪党が惚れ込むほどに、平蔵は格好いいのである。

        ---------------------------------------

        再読 2017年3月22日

        初めて読んだのは2006年だった。私が持っているのは2005年新装版第13刷。第1刷は2000年となっている。5年間でこれである。ならば、最近になって「決定版」が出るまでに何刷重ねたのだろう。いかに人気のシリーズかがわかる。

        第一話でまず驚いたのが拷問シーン。しかも責められた男がその後鬼平の「狗」になるからすごい。冷徹だが、罪人の子を引き取るほど人情に厚い鬼平の魅力が、この一巻だけでたっぷり味わえた。

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        2018/11/07 by Kira

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      数の悪魔 算数・数学が楽しくなる12夜

      丘沢静也 , EnzensbergerHans Magnus , BernerRotraut Susanne

      晶文社
      カテゴリー:数学
      4.3
      いいね!
      • 小学生にもわかりやすく数学を教えるために書かれた本。ゼロの発見や順列組合せなど、興味を引くように説明されていて面白い。こんな算数の授業だったら、子ども達の創造性を引き出すことができるに違いない。古い本だが、楽しく読むことができた。 >> 続きを読む

        2018/03/07 by KameiKoji

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      共生虫

      村上龍

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 村上龍の第36回谷崎潤一郎賞受賞作「共生虫」を読み終えました。

        この小説には二つの大切な要素があると思う。それは「インターネット」と「ひきこもり」だ。

        不登校になり、部屋に引きこもったまま、病院に通う以外、外界と接触することもない、そんな主人公が設定されている。

        ウエハラという名だ。ウエハラは、ニュースキャスターのサカガミヨシコが、微生物に詳しいことを知り、彼女のホームページにアクセスして、秘密を打ち明ける。

        祖父が死んだ時、その身体から白くて長い糸のような生物がはい出てきて、自分の中に入ったと告白する。
        そして、返信が来る。それは「共生虫」だと教えられる。

        「共生虫は、自ら絶滅をプログラミングした人類の、新しい希望と言える。共生虫を体内に飼っている選ばれている人間は、殺人・殺戮と自殺の権利を神から委ねられているのである」と-------。

        だがインターバイオという、返信をくれたグループが何なのか、ウエハラにはわからない。
        ただ、彼は「共生虫」の実在を他人の言葉で初めて確認できたことで、外へと踏み出すのだった-------。

        私がこの小説を読んで面白いと思ったのは、インターネットに対するウエハラの距離感覚だ。
        ネットに対して過大な希望を抱くことも、絶望的な否定の感情を持つこともない。
        描かれてあるのは、ネットへのごく淡々とした接し方だ。

        自分に対してすごく攻撃的なことを書いてくる人間がいる。
        "あなたに感心がある"と奇妙な好意をチラつかせる輩も存在する。
        それらにウエハラは同じ温度で接している。

        インターネットなんて、鉛筆や辞書以上の存在ではないという、そんな感覚がウエハラにはある。
        そして、それは著者の村上龍まで繋がっていると思う。

        著者は「共生虫」を、インターネットを通じたオン・デマンドでも販売している。
        限定版で三千円。単行本の約2倍の金額だ。

        電子出版に希少性を持たせるという発想は、単に逆転しただけではなく、ネットが旧来の出版ツールと何ら変わらないことを表明している。
        それが、この小説の骨格を作っていると思う。

        >> 続きを読む

        2018/10/25 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      この馬に聞いた!

      武豊

      講談社
      カテゴリー:相撲、拳闘、競馬
      4.0
      いいね!
      • 週単位でレースや馬に対しての想いを綴るエッセイ。

        道を極める著者の想いは競馬ファンで無くても楽しめる。

        ほぼウィークリーで前週の結果や、次走の情報などが繰り返される。

        正直、初めの何週かに目を通した際は、完全に競馬ファン向けの内容ではないかと暗澹たる思いだったが、読み進める内にそうではないことに気づいた。

        ・日本馬とともに成し遂げた海外遠征でのGI制覇
        ・中央競馬と地方競馬の関係
        ・海外ジョッキーとの交流
        ・牝馬親子2代で成し遂げる重賞制覇

        ここであげたのは、ごく一例だが、競馬ファンでなくても楽しめる内容で有ることは保障できる。

        文章は人物を示すというが、行間から著者の人柄が滲み出ている。
        >> 続きを読む

        2011/08/11 by ice

      • コメント 1件
    • 1人が本棚登録しています
      プラハの春

      春江一也

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 1967年東欧の共産主義国家・チェコスロバキアで発生した自由民主化運動「プラハの春」を若き日本大使館職員・堀江亮介の目を通して描いた東欧史ロマン。

        東ドイツ(DDR)の美しき女性活動家とのロマンスを織り交ぜつつ、「人間の顔をした社会主義」の理想に燃えるチェコスロバキアの政治家、市民達の人々の闘いの記録。

        著者は現役の外務省職員でまさに当時チェコスロバキア日本大使館に在勤していたため改革を目の当たりにしていた。そのため実体験を元にした緊迫した当時の情勢を臨場感を持ってうかがい知れることが出来る。惹きこまれ上下巻一気に読了。最期は涙が溢れそうになりました。

        完全な平等社会を目指したはずの共産主義。しかし権力を持った途端人民を完全にコントロールしようと検閲や批判者の不法逮捕等ファシズムに奔ってしまう。
        「プラハの春」はファシズムを捨て革新的な共産社会を目指し言論・芸術の自由を認めた進歩的な社会的実験。

        しかし、その理念は周辺国家の首脳を戦慄させる。若者を中心にプラハの春の理念に共感する者が増加。ソ連、東ドイツなどの同盟国が共産圏を崩壊させると即刻改革を中断するように威圧的な態度で非難。そしてソ連を中心とする60万人のワルシャワ条約軍がチェコスロバキアを侵攻。無抵抗の同盟国市民に対して銃弾の引き金が引かれる。

        それでも市民たちは愛国心により結束し忍耐と対話、地下に潜ったマスメディアで非暴力の抵抗を行い、決してソ連軍に対するテロ行為には働かなかった。
        チェコスロバキアの人々の気高き精神に心をうたれます。

        しかし「検閲の復活」「ソ連軍の駐留」「改革派の更迭」を認めるモスクワでの調印により「プラハの春」はソ連に潰されてしまう。
        葬られる「プラハの春」。改革の後退に悲観した学生はヴァーツラフ広場でガソリンを被り焼身自殺という非常手段により抗議の声を訴える。
        沈黙の時代に突入するが彼ら理念、志は受け継げられ無血革命となったビロード革命へと繋がっていくのでしょうね。

        プラハには数年前に旅行に行きました。「百塔の黄金」、「建築の宝石箱」と称される中世の街並みを残した美しい都には息を飲むばかりでした。できれば訪れる前に本作を読んでおいて、美しい街を守るために流された血があった事を知っていれば感慨ひとしおであったなと思います。
        >> 続きを読む

        2013/12/03 by ybook

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      プラハの春

      春江一也

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 詳しいレビューは上巻に。

        本作の主人公・堀江亮介が西ドイツに赴任、ベルリンの壁崩までを描いた「ベルリンの秋」という続編があるのでそちらもいずれ読みたいです。 >> 続きを読む

        2013/12/03 by ybook

      • コメント 4件
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      ツンドラブルーアイス

      安野モヨコ

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • さむいさむい場所に住む、
        マイペースなノムとしっかり者のカラ。
        ふたりが嫌いなにんじんスープ
        白ふくろうのおまもり
        短い春の喜びと夏の去るかなしさ
        ふとんを取り合う寒くてあたたかい夜。
        素敵な言葉と絵でつむがれる、幻想的なおはなしです。
        >> 続きを読む

        2016/07/18 by botan

    • 1人が本棚登録しています
      鞍馬天狗〈2〉地獄の門・宗十郎頭巾 (小学館文庫―「時代・歴史」傑作シリーズ)

      大仏 次郎

      4.0
      いいね!
      • 「地獄の門」も「宗十郎頭巾」も面白い。

        「宗十郎頭巾」は、ちくま日本文学全集の巻頭に入っていた作品だから、これで2回目。
        出だしから息もつかせぬ展開で、これはシリーズの中でもかなり良いできの作品なのでしょう。
        映画向きだといったけど、たしかにハリウッド系の娯楽映画としては最適だと思います。

        でもちょっと疑問。
        意表をつく展開なのはわかるけれど、伏線がなにもないような‥‥。
        ご都合主義といわれても仕方がないのでは。

        たしかに面白いけれど、この作品を自分の本棚にずっと置いておきたいかというと、そうではないですね。エンターテインメント系の作品は、よっぽど気に入ったもの以外は、いずれ捨ててしまうのですが、この本もそうなると思います。

        でも、この前読んだ中野重治の本はそうしないはず。
        この違いはどこからくるのでしょう。
        鞍馬天狗のシリーズを読みながら、その点について考えているところです。
        >> 続きを読む

        2017/11/15 by Raven

    • 1人が本棚登録しています
      孫正義が吹く

      石川好

      小学館
      カテゴリー:情報科学
      4.0
      いいね!
      • 孫氏の生い立ちから事業戦略までを追う。

        孫氏の強烈なバイタリティと練られたアイデアにモチベーションを掻き立てられる。

        手広く展開しているようで有りながら、インフラへの集中堅持という戦略は、これまでは気づかなかったことを恥じる程、明確に打ち出されている。

        ITバブルなど虚構のイメージがどこかチラつくIT業界に有って、絶対的な存在となっているソフトバンク社の強さのベースはここに有るのだと思う。

        また、孫氏の人物像も丁寧に描かれているが、注目すべきはその国際性。
        在日三世で有る上、高校から渡米するなど、国際的感覚に優れているだけでなく、更に一歩進んで、戸籍はインターネットと、よりボーダレスな視野に至っている。

        渡米後の受験時の交渉など、印象的なエピソードも多く盛り込まれているが、サクセスストーリーに付き物の度が過ぎる賛美にはなっていないことに好感が持てる。

        ジャパニーズドリームを成し遂げた張本人から、何かをもらった気がする。
        >> 続きを読む

        2011/03/17 by ice

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      パルプ

      BukowskiCharles , 柴田元幸

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • これを書いてまもなく逝去。最後の最後で新天地を開いてみせたことを賞賛すべきだろう >> 続きを読む

        2015/10/14 by aaa

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      ニッポンの猫

      岩合光昭

      新潮社
      カテゴリー:写真集
      4.0
      いいね!
      • 「地球上どこへいっても気にしているのは、そこに猫がいるかいないか」
        という無類の猫好きな写真家岩合光昭氏の写真とエッセイ。

        雑誌「SINRA」に連載の「ニッポンの猫」から1999年4月号~2000年3月号までの分を再編集した写真集。
        初版2000年。
        文庫も出ていて十数年たって今また再版が出るということは、もまだ売れているらしい。
        日本には猫好きが多いようだ。

        日本中のあちこちの町や村で猫を追う。
        土地の風景、猫に関わる人の顔と声。
        この写真集は猫の愛くるしい姿だけを眺めるものではなく
        猫がその土地で生きる暮らしそのものを切り取ったものだ。
        旅行記としての風情もある。

        那覇・竹富島・座間味島
        枚方(大阪)
        琵琶湖・沖島(滋賀)
        尾道・因島(広島)
        手売島(北海道)
        奈良
        喜多方・奥会津(福島)
        函館
        河辺・平鹿・田沢湖(秋田)
        谷中・根津(東京)
        長崎・五島列島
        横浜

        ちなみに表紙の猫は長崎の猫です。(=^・^=)

        各地の名を見るだけで旅心を誘うような土地の風景が心に広がるのではなかろうか。

        しかし、美景と猫のコラボ。
        という期待は概ね裏切られるかもしれない。
        なぜその土地に行く必要が、意味があったのか。
        それさえも不明な写真が大半なのだ。

        それは間違いなくどこかでありながらどこでもありえる風景にしか思えない。

        美しい写真はあるが、絵葉書のような写真はほとんどない。

        それでも写真家の心を捉える猫の姿は魅力的だ。
        猫写真を撮ったことのある人ならわかると思う。

        自然体の猫を間近で撮影するのがいかに大変かを。

        猫は興味シンシンのカメラ目線はくれるのだが、見知らぬ他人の前でくつろぐことは結構稀なのだ。


        「ニッポンの猫」はどこに住もうと日本猫なのだ。
        それは、沖縄の海岸の猫を別とすれば、どこで撮られた写真であろうと
        「日本のどこか」で通用するような、ある意味ありふれたシーンなのだ。
        わざわざ時間と交通費をかけて撮った写真がただの街猫、田舎の猫。

        しかしだからこそ、岩合は出かけていくのだろう。
        歩き、探し、人に訪ね、ようやく会えた猫をカメラに収めるために。
        ヒトとネコの繋がりをいつも心に感じながら。

        この日本の住民である仲間に挨拶をするために。
        >> 続きを読む

        2013/11/10 by 月うさぎ

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      ヒナギクのお茶の場合

      多和田 葉子

      2.0
      いいね!
      • 【図書館】表題を含めて5つの短編から成る。すべて雰囲気が異なる作品というところが魅力的です。 >> 続きを読む

        2014/11/05 by おれんじ

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      砂の魔術師アリジゴク―進化する捕食行動 (中公新書)

      松良 俊明

      4.0
      いいね!
      •  アリジゴクとは不思議な魅力を持った昆虫である。

         かつて筆者も、祖母の家の近くで捕まえたアリジゴクを飼育したことがある。

         結果はどうなったか覚えていないけれど、アリジゴク特有のあのすり鉢状の巣の中にアリを入れると、あの特徴的な大きなハサミのようなアゴでアリを捕まえて、ゆっくりと食すのである。その様子は実にエキゾチックである。

         だが、アリジゴクの生態は長年謎に包まれていた。

         そんなアリジゴクの謎に迫った本のひとつが本書である。

         アリジゴクは、言うまでもなくウスバカゲロウというトンボみたいな昆虫の幼虫であり、その姿はお腹が大きく膨らんでおり、その一生を砂や〈シルト〉と呼ばれる、細やかな土の粒子が堆積した場所に巣穴を作っている。

         アリジゴクは、その名の由来の通りすり鉢状の穴を作って、その中心付近で待ち構える。

         そして、アリなどの昆虫が穴に落ちてくると、それを捕まえて食べるわけである(正確には、身体の養分を吸う)。

         アリジゴクの主食は名前の通り主にアリである。カメムシやバッタなど、アリ以外の昆虫も食べるには食べるけれど、野生のアリジゴクの食べ物は大半がアリなのだ。

         ではなぜアリがあの穴の中に落ちるのだろうか。人間にとっては小さな穴でも、アリにとってはかなり大きい穴だ。その秘密は、アリの身体の構造にある。アリは、その一生を土の中で過ごすため、目が退化しており、ほとんど見えないのである。だから、そそっかしいアリがうっかり穴に落ちてしまうことがある。それを、アリジゴクがいただくわけである。

         だがアリもバカではない。アリは視覚が無い分嗅覚が発達しており、アリジゴクの巣穴がある辺りで、仲間のニオイが途切れたら、そこは危険だと認識する。

         また、アリジゴクの捕獲率はだいたい50パーセントくらい(正確にはアリジゴクの捕獲成功率45パーセント)であり、運が良ければ逃げ出すことができる。そして逃げ出したアリは、仲間に危険を知らせ、アリジゴクの巣の近くには行かないようにする。

         そうなると、アリはアリジゴクの巣の近くには行かなくなり、アリジゴクは餌が食べられなくなるわけだが、だからといってアリジゴクは簡単に巣を移動することはしない。アリジゴクの身体は腹の部分が大きく膨れており、あまり、というかまったく移動には適していないからだ。

         ゆえに一生のうちに巣を移動させる回数は、一回か二回くらいであり中にはまったく移動しない個体もいる。

         そうなると絶食状態が続くわけだが、アリジゴクはとにかく絶食状態に強く、100日くらい何も食べなくても耐えられるのである。動くくらいなら食べない。

         しかし、餌を食べないと上手く成長できず、成虫になれない。その場合アリジゴクは幼虫のまま、つまりアリジゴクのままで冬を越す。そして次の年まで待つのである。

         アリジゴクがサナギになって成虫、つまりウスバカゲロウになる季節は毎年夏ごろと決まっており、これ以外の季節に成虫になることはない。なぜなら、成虫でいられる期間はセミなどと同じように限られており、各個体でバラバラに成虫になると、上手く雄と雌が出会えずに、子孫が残せなくなってしまうからである。

         野生の生物は、基本的に子孫を残すことを最優先課題としており、そうならないために、成虫になるタイミングを周りと合わせているのである。こうして、少しでも子孫を残せる可能性を高めるわけだ。

         それはともかく、アリジゴクは待つ。とにかく待ちの虫である。通常、他の昆虫などを食べる昆虫のことを「捕食性昆虫」と呼ぶが、動物の場合は「肉食動物」と呼ぶことが多い。

         最近は肉食系などという言葉があるように、肉食動物は強そうなイメージだが、あの百獣の王、ライオンだって狩りが上手くいかなければ餓死してしまう。それに、獲物が見つからないからといって、草を食べるわけにはいかない(というか食べられない)。

         それだけ野生の世界は厳しいということなのだろう。さて、人間の肉食系は我慢強いだろうか。少なくとも筆者は、空腹にはとことん弱いので肉食系にはなりきれないかもしれない。
        >> 続きを読む

        2014/09/05 by ぽんぽん

    • 1人が本棚登録しています
      鬼平犯科帳

      池波正太郎

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • シリーズ第二巻、七篇収録。
        こんなに面白いものを12年も積ん読していたなんて。

        長谷川平蔵の部下に木村忠吾という同心がいる。色白でふくよかでおとなしいが頼りなく、兎忠(うさちゅう)とあだ名されている。この忠吾が娼婦に溺れ、会いたさがつのって夜中に出かけたところ、盗人を見かけて偶然にも手柄を立てる(「谷中・いろは茶屋」)。
        さらに数年後、忠吾は盗賊の頭領の娘とは知らずに惚れた女と夫婦になろうとするが、平蔵の探索によってその盗賊一味は壊滅する。真相を知らされた忠吾の諦めのよさに平蔵は苦笑する(「お雪の乳房」)。
        頼りない部下でも良い所を認めて可愛がる平蔵は、理想的な上司に思える。

        「妖盗葵小僧」では、殺人と強姦を繰り返す盗賊を二年かけても捕縛できない火盗改が非難される。鬼平も超人ではないというエピソードも交えた第二巻だった。

        >> 続きを読む

        2018/11/08 by Kira

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      鬼平犯科帳

      池波正太郎

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • シリーズ第三巻、六篇収録。
        この巻は、火盗改長官にしばしの休息をとばかり、平蔵が一時的に役を解かれ、それを機に京へ上って父の墓参りをしようという道行きの顛末である。

        平蔵の供をつとめるのが、あの兎忠こと木村忠吾であるから珍道中となるのは必定で、行間に漂うユーモアにずいぶん笑わせてもらった。中でも「盗法秘伝」は、隠居を決めた盗賊の頭領にひょんなことから気に入られた平蔵が、盗人の心構えと技を伝授されるというコメディだった。よりによって鬼平に盗法伝授とは、と苦笑する平蔵が笑える。

        京に着いても巻き込まれた事件に一段落がついて奈良へ足をのばすことにした平蔵だが、それが命がけの旅となる(「兇剣」)。一方、江戸で留守を守る妻の久栄にも難儀なことが降りかかる(「むかしの男」)。第一巻、第二巻とは趣きの異なる第三巻は、読むのが心地よくて楽しかった。

        ところで、新装版のカバー装画はどれも風情があって、いいものだと思う。特に、第二巻の装画が美しくて気に入っている。

        >> 続きを読む

        2018/11/09 by Kira

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      エチオピアからの手紙

      南木佳士

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 南木さんの小説は、読んでいてとても痛いのだけれど、つい手に取ってしまうのです。私小説作家なので、登場人物は大抵医者で、治らない病の老人を看取り、主人公の医者は目の前で繰り返される死に疲弊している。あるいは野戦病院で難民を診たりしている。

        人はいずれ死ぬけれど、医者はそれを引き延ばそうとする。延命がいいのか、尊厳を守るべきなのか、けれど終わりを告げるのは誰の役目なのか、そのうしろめたさを一体だれが引き受けるのか。
        チューブに生かされるのは本当に患者のためなのか、どこかで諦めるのは看病する家族のためなのか、医者がそこまで引き受けるのか。そもそも生きているってどういう状態なのか。死に方を選べはしないのか。


        私は尊厳死には賛成の立場なのですが、それが医者に負担を強いることであるのもわかってはいます。生きることが義務なのはキリスト教的考え方のように思いますが、生きていてほしいと思ってもらえるのは幸せだとしても、生命活動を保持することと、生きてることは違うよなぁ。モルヒネで静かに休ませてあげたいと思うのは、人殺しなのか。高瀬舟は永遠のテーマだ。
        三方良しな方法が、ないものか。

        「家族の死に際して、医師や病院のいたらなさを責めるのは、患者を見舞う回数の最も少なかった肉親であることは、これまで何度も経験して知っていた」
        という記述が印象的でした。みんな何かのせいにしたいのだなぁ。
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        2015/11/21 by ワルツ

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      殺される理由(わけ)

      雨宮 町子

      3.0
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      • 雨宮町子のミステリ短篇集「殺される理由」を読了。

        図書館員にして興信所の下請け調査員でもある早乙女亮介と、所長の三歩一久夫老人が、些細な悪戯と見える出来事から殺人事件まで、さまざまな種類の事件を解決していく連作集。

        図書館の常連客に対する脅迫、パーティーの夜に起きた殺人、絵が何者かにスプレーで黒く塗りつぶされた事件、占い師殺しの犯人のアリバイ崩し、六角形の物置がある家で起きた射殺事件---と、各篇の内容はバラエティ豊かだが、いずれもトリッキーな趣向が凝らされていて、ワクワクさせられる。

        一種のコン・ゲームものである「なぞなぞ」を除けば、ほとんど古典的とすら言えるパズラーに仕上がっていると思いますね。

        表題作の「殺される理由」と「六の字屋敷」は、入り組んだ人物関係に巧妙なトリックが潜む"お屋敷もの"だし、「猫田夫人はしゃべり過ぎ」は、北村薫の作品のような"日常の謎"的でもある。
        そして、「911」のアリバイ崩しのための手掛かりの提示方法も、実に秀逸。

        全体のトーンは軽妙で、早乙女亮介と三歩一久夫の掛け合い漫才的な会話が楽しいが、どの短篇も"面白うて、やがて哀しき"余韻を漂わせて、実に見事だ。

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        2018/10/17 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      北朝鮮拉致工作員

      金燦 , 安明進

      徳間書店
      カテゴリー:戦争、戦略、戦術
      4.0
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      • 北朝鮮で対南工作員として育て上げられた過去を持つ著者からの告発。

        多くの国民を騙し虐げることで成立する独裁国家という犯罪を許してはならない。

        何やら意志を持たないマシーンのように感じる北朝鮮の工作員。
        その教育課程や考えていることなどが分かりやすく書かれているのに好感を持った。

        まず意外だったのが、優秀な人材を官僚ではなく、スパイにしてしまう考え方。

        家族毎に等級のようなものが有り、決して低い等級には属していないという著者だが、優秀な人材を国家運営に力を注ぐ官僚ではなく、対南スパイに割いてしまうところに、この国の問題の根深さを感じざるを得ない。

        日本人としては拉致被害者に焦点を向けがちだが、拉致被害はかなり多くの国に及ぶようだ。

        もちろん被害に合われた方は大変な苦しみを抱えておられることは理解しているが、北朝鮮による拉致などという可能性に気付くこともなく、大切な人がいきなり行方不明(まさに蒸発)となってしまったと感じている人々に比べれば、生存を信じる根拠が有るだけ、まだ幸せなのかもしれないと感じた。

        安氏はその後麻薬に手を染めて逮捕。これで同情や説得力は無くなってしまった。
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        2011/12/27 by ice

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