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2000年5月発行の書籍

人気の作品

      夏と花火と私の死体

      乙一

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 表題作(デビュー作!)では乙一さんの田舎者(失礼)具合にリアリティを感じます

        2018/07/06 by motti

    • 他8人がレビュー登録、 54人が本棚登録しています
      辺境・近境

      村上春樹

      新潮社
      カテゴリー:日記、書簡、紀行
      3.0
      いいね!
      • この村上春樹の「辺境・近境」は、旅行記だから拾い読みしたりして、読むのを中断したりできそうだけど、さすが村上春樹というべきか。

        ミステリ小説のように、読み出したら最後まで止められない。

        繰り広げられる旅は、メキシコ、香川県のうどん屋巡り、ノモンハンの戦場跡、アメリカ大陸横断など、場所も目的もいろいろだ。

        そして、そのどれもが旅の報告につきものの感動や興奮、ロマンや冒険といったドラマティックなものとは無縁なのだ。

        それどころか、メキシコでは食あたりをして、トラブルにまみれ「延延と続くアンチ・クライマックス」にうんざりし、「旅行というのは根本的に疲れる」ものなんだと力説する。

        アメリカ横断では、しょっぱなから「ナイアガラって、何度行ってもうるさいところだ」と思うし、大陸の景色は「芸術的と言えるまでに」退屈で、ここでもまた「犬のように丸太のように」疲れている。

        つまり、楽しくない話が圧倒的に多いのだ。
        だけど、だからこそ、その旅の様子が絶妙にリアルに伝わってくる。
        気がついたら、笑いながら共感しているんですね。

        一つ一つの旅の動機をとても丁寧に丹念に語り、考察してもいて、それも相当に読みごたえがある文章なんですね。

        暑い日に歩いた時の日射しの強さ、一人旅に出発する際の自由の感覚、それら皮膚で感じるもろもろも、濃い濃度で伝わってくる。

        そして、読み終える頃には、楽しくなさそうなのに、彼の旅をそのままなぞりたくなっていた。
        >> 続きを読む

        2018/04/25 by dreamer

      • コメント 1件
    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      ナイフ

      重松清

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • フリーライターであった重松清氏の初めての文学賞受賞作。イジメについての短編集だ。けっこう近年の作品よりもドギツイ語句も出てきますねw >> 続きを読む

        2018/07/06 by motti

    • 他2人がレビュー登録、 28人が本棚登録しています
      ライオンと魔女 ナルニア国ものがたり〈1〉 (岩波少年文庫)

      LewisClive Staples , 瀬田貞二

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • レビューがあまりにも高評価だったし、映画も面白かったのでさぞ面白いんだろうなぁと思って読んでみたが、思ったより内容が平易だった。
        ストーリーの起伏がそんなにはっきりせず、戦闘シーンもあっさりでそんなにハラハラしなかったので私にとっては簡単なストーリーに感じた。

        ライオンのアスランはどう見てもイエス・キリストがモチーフ。
        彼が夜に出かけて行き白の魔女やその化け物たちに縛り上げ殺されるシーンはまさにキリストの磔シーンそのもの。その後の復活も然り。
        そもそもナルニア国ものがたり自体が聖書がモチーフらしいが、アスランがイエス・キリストがモチーフだったら白の魔女やペペンシー兄弟や他の展開は何を意味しているんだろう?そこが気になる。

        まだ物語の1作目なので、これから読み進めていくとだんだん面白くなっていくんだろうか。
        >> 続きを読む

        2015/07/07 by Nanna

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      天使の屍

      貫井徳郎

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 身構えすぎててもっとエグい真相があるのかと思ってしまった。
        子どもは子どもの論理があるとは言うけれど怖すぎるよ子どもの世界…。
        >> 続きを読む

        2018/07/27 by aki

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      田宮模型の仕事

      田宮俊作

      文藝春秋
      カテゴリー:その他の雑工業
      4.5
      いいね! ice
      • 【男子は一度はプラモデルを作るよん】
         青と赤地の☆二つのマークで有名なタミヤと言えば、現在はプラモデル等で有名なメーカーですが、タミヤが今のタミヤになるまでの苦闘を描いたノンフィクションです。

         最初は大変だったんですね~。
         創業は1946年(最初は「田宮商事」という屋号からスタートです)。
         模型作成は翌年から始まりますが、最初は木製の船や飛行機の模型を作っていました。
         
         ところが、その後、プラスティック・モデルなる物が生み出され、海外から沢山のプラモデルが輸入されるようになります。
         こうなると木製模型は不利です。
         完成度も製作の容易さも敵わないのですね。
         
         そこで、大英断!
         遂に1960年からプラモデルの製作に乗り出します。
         記念すべき第一号は、やはりこれでしょうか、「戦艦大和」!
         当時、ニチモ(日本模型)もプラモデル作成に乗り出し、こちらが出したのは「戦艦武蔵」。
         この戦い、ニチモに軍配が上がり、田宮は敗退してしまいます。

         最初は幾度かの失敗もあったのですが、でも熱意があったんですね。
         自動車のプラモデルを設計するために実際の外車を購入して分解してみるとか。
         それはそれは入れ込みはものすごいです。
         こだわりの世界でもあると思います。

         田宮模型のこだわりの一つは箱絵にもあったのでしょう。
         巨匠(今でこそ)、小松崎茂を起用し、何ともリアルで格好良いプラモの箱絵を打ち出しました。
         でも、ここでもやっかいな問題が。
         小松崎茂は、臨場感溢れる箱絵にするために、戦闘場面などを描いたのですが、その箱絵には、本体のプラモデル以外の戦闘機や艦船が描かれていました(そりゃリアルな戦闘シーンなんだから当然ですよね)。
         ところが、箱に入っていない戦闘機などを箱に描くことは誇大広告だというクレームがつき(アホらしい!)、デザインの修正を余儀なくされたり……(いつの時代にも、こういうつまらないことに噛みつく人たちがいるものです)。

         このようないくつもの苦難を乗り越えて、今では国内随一のプラモデルメーカーとして君臨するに至っているわけですね。
         今の子供達は、タミヤに行く前に、おそらくガンプラなどから入るのかもしれませんが、「いつかはタミヤ」という感じがします。
         あの精巧なモデルを作ってみて欲しい!
        >> 続きを読む

        2019/05/10 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      かようびのよる

      とうまゆか , WiesnerDavid

      徳間書店
      4.0
      いいね!
      • だ、駄目っす。ヘタレな自分には怖いっす。
        絵が上手いので更に怖い。でも最期のページは笑えた >> 続きを読む

        2013/04/14 by ybook

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      M.G.H. 楽園の鏡像

      三雲岳斗

      徳間書店
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!

      • 三雲岳斗は1998年、電撃ゲーム小説大賞で銀賞を受賞、YA作家として出発し、この「M.G.H.楽園の鏡像」で、日本SF作家クラブが主催する第一回日本SF新人賞を獲得し、その後、YAと一般小説とにまたがったマルチな活躍を続けている作家だ。

        この作品の時代背景は、近未来で、惨劇の舞台となったのは何と、地球周回軌道に浮かぶ宇宙ステーション白鳳。

        従妹の森鷹舞衣とともに白鳳を訪れた青年研究者・鷲見崎浚は、そこで事件に遭遇するのだった-------。

        与圧服に身を包んだその屍体は、まるで墜落死を遂げたようにみえた。
        「無重力空間の墜死体」という詩美性に満ちたに謎を、合理的に解明するこの作品は、まるで島田荘司の本格ミステリ論を彷彿とさせる魅力に満ち溢れている。

        ただし、生命科学の最先端にさえ生臭い人の情念を嗅ぎ取る島田荘司と異なり、三雲岳斗が人間に注ぐ視線は、あくまでもクールで、しかも優しい。

        人工知能が発達し、仮想空間が生まれたこの時代、人間存在の自明性は揺らぎつつあった。

        人の在り様の儚さを諦念しつつ、その儚さの中にこそ愛おしさを見い出す著者の思想は、この作品の姉妹作ともいえる「海底密室」や、ライト・ミステリ「ワイヤレス・ハート・チャイルド」においても等しく追及されていると思う。

        >> 続きを読む

        2019/02/21 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      リア王

      野島秀勝 , ウィリアム・シェイクスピア

      岩波書店
      カテゴリー:戯曲
      4.0
      いいね!
      •  シェークスピアの『リア王』を読みました。ブリテンの王、リア王が引退するにあたって、3人の娘に財産や領地を与えようと考えます。上二人の姉はいろいろとおべっかを使ってリアを丸め込みますが、三女は姉の下心を知って、自分は何も望まないと答えます。リアは三女コーディーリアの真心を誤解して、追放してしまいます。無一文となったコーディーリアの心の美しさを見抜いたフランス王が彼女を王妃とします。

         長女と次女はリアが引退するとすぐに本性を現し、リアを冷たくあしらいます。裏切られ、狂気に取り憑かれたリアは荒野を放浪しますが、コーディーリアがフランス軍を率いて到着し、リアは正気を取りもどします。長女と次女は仲違いをし、夫ある身でありながら、お互いに一人の男性を取り合います。フランス軍はブリテン軍に敗れ、コーディーリアは捕らえられ殺され、リアも死んでしまいます。

         巻末の「解説」によれば、シェークスピアの死後、『リア王』は改作されてハッピーエンドの形で上演される時期が長く続いたそうですが、あまりにも悲劇的で不合理な内容だと思われたためのようです。実際、長女や次女が死ぬのは当然の報いと思われますし、リアが死ぬのも、コーディーリアの真心を理解せずに長女と次女の甘言に乗ってしまった報いと言えそうです。しかし三女コーディーリアが死ぬのはいったいなぜなのか考えさせられるところです。物語ではエドマンドという色男(長女と次女が恋する)が、自らの罪を思いながら、コーディーリアを処刑する命令を取り消す命令を出すが、間に合わずにコーディーリアが処刑されてしまうとなっています。このお話には一見救いがないように見えますが、実際には関係者に何一つ隠されずに明らかにされている点が私には救いに思われます。長女次女の悪事は暴かれ、コーディーリアの真心も明らかにされます。しかもそれが一部の人が知っている、あるいは読者だけが知っているというのではなく、関係している登場人物にちゃんと理解してもらっているのです。そういう意味でハッピーエンドとも言えるのかもしれません。誤解されたままで死ぬとか、謝罪する機会もなく死ぬというよりは。人は必ず死ぬものですから。
        >> 続きを読む

        2013/06/10 by nekotaka

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    • 4人が本棚登録しています
      サロメ

      オスカー・ワイルド , 福田恒存

      岩波書店
      カテゴリー:戯曲
      4.5
      いいね!
      • まさかの旧仮名づかい!ちょっととっつきにくさを感じますが、
        ビアズリーの挿絵がたっぷり入っていてデカダンムード120%
        しかし、私は最近知りました。
        オスカー・ワイルドがビアズリーの絵も人も大嫌いだったということを。
        それを知って納得したのですが、ビアズリーの絵は、「ワイルドのサロメ」には合っていません。
        このサロメは、若く儚く透き通った月のように清らな乙女なのです。
        一方、男心を惑わす妖しい魅力を備えていることを自覚もしている。
        サロメが初めて恋に落ちるその瞬間、その相手とは……。
        月の光を浴びてはいけない。月は人の心を狂わせるから。
        摩訶不思議な月の光に溢れた宵に、倒錯した愛と狂気に満ちた美の世界が展開します。

        「なんて痩せているのだろう!ほっそりとした象牙の人形みたい」
        「その肌の白いこと、一度も刈られたことのない野に咲き誇る百合のよう、山に降り降りた雪のよう」
        「お前の髪は葡萄の房、エドムの国のエドムの園に実った黒葡萄の房」
        「お前の唇は象牙の塔に施した緋色の縞。象牙の刃を入れた柘榴の実」
        サロメが観た男は決して女の愛を受け入れてはくれぬ預言者ヨカナーンでした。

        ええとですね。実際のヨカナーンはラクダの毛の衣を身に纏い荒野をさすらう放浪者です。
        外見はほぼホームレスですね。しかし月の魔力か恋の力か、サロメの目にはこの通りの美青年に映るのです。

        Suffer me to kiss thy mouth. 
        憑かれたようにヨカナーンを求めるサロメ。冷たく拒むヨカナーン。
        彼を手に入れるためなら何でもする。そしてサロメが望んだものは…。

        さて。ここでいつもの翻訳読み比べタイム!
        How beautiful is the Princess Salomé to-night!
        「いかにも美しい、今宵の王女サロメは!」(福田訳)
        「こよいはなんとお美しいことだ、サロメ王女は!」(西村訳)

        Thou speaketh truly. God is terrible; He breaketh the strong and the weak as a man brays corn in a mortar. But this man hath never seen God. No man hath seen God since the prophet Elias.

        「全くそのとほりだ。神は恐しい。弱いも強いも一緒くた、碾臼の中の穀物同然、みんな打ちのめされてしまふのだ。
        だが、あの男が神を見たわけがない。神を見た者は預言者エリア以來ひとりもゐないのだ。」
        (福田訳)

        「いわれるとおりだ。神さまは恐ろしい。強い者も弱い者も打ち砕かれる、人間が小麦を臼でつき砕くように。
        だが、あの男は神さまなどついぞ見たことはないのだ。預言者エリアこのかた、神さまを見た者はひとりとしておらぬわ」(西村訳)

        Ah! I have kissed thy mouth, Jokanaan, I have kissed thy mouth. There was a bitter taste on thy lips. Was it the taste of blood?... But perchance it is the taste of love.... They say that love hath a bitter taste.... But what of that? what of that?

        「あゝ!あたしはたうとうお前の口に口づけしたよ、ヨカナーン、お前の口に口づけしたよ。
        お前の唇はにがい味がする。血の味なのかい、これは?……いゝえ、さうではなうて、たぶんそれは恋の味なのだよ。恋はにがい味がするとか……でも、それがどうしたのだい? どうしたといふのだい?」
        (福田訳) 

        「ああ!おまえの口にくちづけしたよ、ヨカナーン、おまえの口にくちづけしたよ。
        おまえの唇は苦い味がした。あれは血の味だったのか?……いいえ、ことによると恋の味かもしれぬ……恋は苦い味がするとか……でも、それがなんだというの?それがなんだというの?」
        (西村訳)

        新潮版は、語順も言葉もほぼ直訳です。

        Kill that woman!  「殺せ、あの女を!」(福田訳) 「あの女を殺せい!」(西村訳) 


        仮名遣いに関しては読んでいるうちに慣れますから問題ないです。
        岩波版は文中に訳注が入らないので、新潮版よりも読み易いくらいでした。
        古文調に翻訳するのもワイルドの意図に沿っていると思います。
        ワイルドの原文では hath = has thy=yourという具合に古語を使用しています。この作品は下手に現代口語にしてはいけないのです。

        私ならサロメのセリフに「あたし…だよ」とか「お前」は使いません。
        少なくとも thyは「そなた」でしょう。

        もう一つ不満。新約聖書に馴染んでいる日本人ならば、王の名は「ヘロデ王」であるはずです。
        それをフランス語読みのつもりなのか「エロド」と呼び変えているのがわざとらしくて厭。

        古典的で文語的だからといって、福田訳を「作品のもつ耽美性、毒々しさ、残忍さ、悲喜劇性が際立つ名訳」と決めつけるのはどうでしょう?
        翻訳家の権威に目がくらんでいる人も多いのでは?

        言葉のリズムに限れば西村訳のほうが優れている気がするのですが。

        また、毒々しさというのは「ビアズリーのサロメ観」であって、オスカー・ワイルドの戯曲の世界観とは別物だと、今の私は確信しています。
        岩波版の「サロメ」は、絵本のように大量の挿絵が入っているため、どうしてもビアズリーの個性である毒気に引きずられます。
        読者の印象がビアズリー解釈の「サロメ」になってしまうことでしょう。
        でも、まあ、これはこれ。ということで。

        先達のありがたいお仕事を参考に、脚本家気分で自分で翻訳してみるのが一番いいのでしょうね。

        P.S.
        もう1冊光文社の新訳が出ているので、いずれそれも読んでみたいと思います。
        宮本亜門演出で国立劇場で舞台化した「サロメ」は、平野啓一郎の新訳を脚本化したそうです。
        >> 続きを読む

        2015/11/21 by 月うさぎ

      • コメント 6件
    • 8人が本棚登録しています
      ヴェニスに死す

      実吉捷郎 , トーマス・マン

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • --『魔の山』に至るまでのマンを陰に陽に導いて行ったのは、ショーペンハウアーとニーチェとワーグナーであった--

        面白かった。
        美少年との物理的接触は皆無に等しいにも関わらず、これを不倫と捉えて煩悶し苦悩する主人公。その葛藤が唸り出す表現の深み。映画ではここにマーラーの交響曲をあてる。

        美しい。。。

        規範と厳粛さで名声をあげた老作家が、精神の奔放に抗いがたい恍惚感を覚え、取り込まれていく。
        おそらくは、この対比をより鮮明に、苛烈にする意味で、美少女ではなく同性の美少年を、そして、コレラを出したのでは無いかと思います。

        真っ当なら、同性愛など絶対に陥らない。
        真っ当なら、小中学生の子どもへの愛などありえない。
        真っ当なら、伝染病(コレラ)が蔓延していると聞いたら旅先(ベニス)に残るなどありえない。

        そうしたコントラストを巧みに見せた上で、不倫(というよりも背徳に近い)の愛に心奪われ、死んでいく男の様を描く。単なる異常な破綻者の話とするのではなく、幸せな末期の顔と描くところも、良い。

        良作です。

        なお、冒頭は、巻末にあった、トーマスマンの作風への解説。
        なるほど、自分がマンの作品を端から好きになるわけです。
        >> 続きを読む

        2017/08/18 by フッフール

    • 4人が本棚登録しています
      論語 現代語訳

      宮崎市定

      岩波書店
      カテゴリー:経書
      4.0
      いいね!
      •  現在の論語の現代語訳は後世の儒教や朱子学の考え方がフィードバックされており、無理やりそれらに沿うよう訳されているとのこと。それらを極力排し、当時の書き方、読み方に基づいて訳したものが本書である。そのため知ってる内容とちょっと違うところもあった。もちろん単純な翻訳ではなく、孔子の考え方を別の資料、あるいは論語自体から比較検証した結果、妥当と思われる訳し方をしており、よくある訳と大きく異なるような場合には解説を付け加えている。そういう意味では正確な現代語訳なのかもしれない。また、翻訳の意図の解説はあっても内容の解説はなく、著者の考え方の押しつけがないので読みやすい。反面、解釈を他人に委ねることができないので、何を説こうとしているのかを自身で考える必要がある。ただ、こういった思想に関する書物の読み方としてはこれがあるべき読み方だろうと思う。
        >> 続きを読む

        2018/05/12 by 夏白狐舞

    • 2人が本棚登録しています
      夢の守り人

      二木真希子 , 上橋菜穂子

      偕成社
      カテゴリー:文学
      4.7
      いいね!
      • いやあ、深いねえ~~~~~~。

        児童書なんだけど、これ、子どもたち、読み取れるのかな? 読み取ってほしい!!!



        夢・・・ 現実ではない過去の思い出、幸せだった感覚に囚われるな。
        現実に不満を抱くものほど、そしてそれを受け入れられず、人にせいにしたり羨んだりするものほど、
        自分で道をつくっていこうという意志の弱いものほど囚われやすいものだ。

        過去はもうないのです。過去にはもどれないのです。未来は分からない。でも、これから作っていける。
        今をしっかり生きていけば・・・

        やさしすぎて人の感情にまきこまれるのも気をつけなければなりません。感情というものには気をつけなければいけません。冷静に、客観的であれ。



        「あんたは、自分で思っているより、はるかに強い。・・・死ぬ気なら・・・ほんとうにすべてをすてる気なら、別の人生を生きられるだろうよ。・・・あんたの知らないことが、まだまだいっぱいある」

        「組織というものは、一度かたちができると、また、そのなかで、みにくい争いがはじまるのです。そして、一度は風が吹き込むようになったはずの箱に、また、よどんだ気がたまりはじめるのですよ」

        「まつのはつらいわな。でも、できることをやるしかないだろう?・・・すぐに役にたたないものが、むだなものとはかぎらんよってね」

        「ここにいるのは自分を不幸だと思っている人たちだ。その不幸には、きっと二通りある。ひとつは不治の病にかかっているとか、・・・行き止まりにきている人たち。もうひとつは、別の人生もあるはずなのに、なぜ自分はこんなに不幸なのか、と、運命を呪っている人たち」

        「・・・絶望した魂に共鳴して、どうする!相手をあわれに思うなら、力のかぎりすくう努力をせんかい!・・」

        『夢を見ずにはいられない人の痛み』
        「もしっていうのは、苦しくなったときにみる夢だよ。目ざめてみれば、もとの自分がいるだけさ」


        後半はハラハラドキドキ。

        メッセージがいっぱいつまった作品です。

        〈守り人〉三部作。よかった。
        >> 続きを読む

        2013/01/18 by バカボン

      • コメント 3件
    • 6人が本棚登録しています
      俺様は約束していない事を守ったりする。

      浜田成夫

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:詩歌
      4.0
      いいね!
      • この人の本はとにかくタイトルがいい。

        「駅の名前を全部言えるようなガキにだけは死んでもなりたくない」
        「世界が終わっても気にすんな俺の店はあいている」等。

        こんなの平積みにされてたら、そりゃ手に取るわ。

        中高生の間に読みたい本。

        なんとなく不安で、人の目を気にして自分が思うように行動出来ず、根拠のない自信にですら憧れる時期に。
        >> 続きを読む

        2011/08/25 by Iris

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    • 1人が本棚登録しています
      不在証明崩壊 ミステリーアンソロジー

      浅黄斑

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 8人の作家によるアリバイ崩しをテーマにした短編集。

        収録作品の品質に比較的バラ付きが少ないことが印象的だった。

        「アリバイ崩し」をテーマとした短編集だが、テーマが同じでもこれほど多くのバリエーションが有ることが面白かった。

        他の短編集と比較すると収録作品の品質は、良くも悪くもバラ付きが少なく、3割打者の安定感とつまらなさを併せ持っている。

        とは言え、一応順位付けしておくと、下記の通り。
        ベスト:八反田青空共栄会殺人事件/浅黄斑
        ワースト:「真犯人を探せ(仮)」/倉知淳

        ベストは、短編ながらもドラマ性が有った点。
        ワーストは、砕けすぎた文体が気に入らないのと、稚拙なプロット。
        狙いは有ったのだろうが、プロなので狙いが外れた責任は糾弾されるべき。

        短編だとトリックに走りドラマ性が抑えられてしまうため、少し苦手である。
        >> 続きを読む

        2012/06/19 by ice

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      マン・オン・ザ・ムーン―笑いの天才アンディ・カフマン (角川文庫)

      マシュー・スコット ハンセンボブ ズムダ

      3.0
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      • ジム・キャリー主演の同名の映画を観ているので「映画は観たけど
        原作は読んでいなかった」シリーズだと思ったのね。だって、表紙
        カバーにも映画のシーンの写真が使われてるし、帯にも封切のお知
        らせが書かれていたから。

        違ってた。映画の封切に合わせて、アンディに非常に近しい関係に
        あったズダムが綴った評伝だった。

        実はアンディ・カフマンを知らない。アメリカではかなり有名な
        パフォーマーだったようだ。本人を知らなくても映画を観ている
        から大丈夫だろうと読み始めたのだが、甘かった。

        ジム・キャリーの顔ばかりがちらつくのよ。恐るべし、映像の影響。
        映画はかなり脚色されているようだ。ただ、アンディ本人も相当に
        突飛にな人物だったようで、観客を退屈させようが怒らせようが
        意に介さない。

        笑わせることが目的はなかったんじゃないかと思う。彼を見る側の、
        すべての感情を引き出す為のパフォーマンスだったのかな。

        予定調和なんて糞くらえっ!って思っていたのかもしれない。

        35歳の若さで肺がんで亡くなっているのだが、その死さえ周囲の人間
        に「またアンディが何か企んでいる」と思わせてしまう。

        きっとアンディ・カフマンの芸を知っていれば面白く読めたのだろう
        と思う。

        しかし、角川書店さん。この売り方はないわぁ。タイトルも映画と同じ
        だし、原作だと勘違いさせるわ。
        >> 続きを読む

        2018/07/09 by sasha

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      彼女が死んだ夜

      西沢保彦

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
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      • 某サイトのレビューを参考にしタックシリーズの中で一番初めに読んだ本。
        時系列的には一番最初らしくタックの一番初めの事件にあたる

        あらすじとしてはハコちゃんこと浜中美緒が家に帰ると知らない女の人の死体があった。ここで何かトラブルを起こしてしまえば念願のアメリカ旅行が中止になってしまう。そこでハコちゃんは死体を別の場所に移し、家で殺人がなかったことにしようと企み、友人に助けを求める・・・というものである。


        冒頭の見知らぬ女性の死体が見つかった所ではこの女性がこの先の展開にどのように関わってきて正体は誰であるのかと引き込まれたが、中盤の財布が盗またのはなぜ・・・の所が無駄であったような気がしてならない。ネタバレは避けるが財布が盗まれた理由も納得しにくく現実離れし過ぎていた。

        話の本筋である謎の死体の正体をめぐる推理は仲間たちが集めた材料をうまいこと論理的になるように繋ぎ合わせて酒を飲みながら推理していくという安楽椅子探偵のような側面も併せ持ち、一つの真相にたどり着く。

        その真相というのが少し悲しくもあり、、、嗚呼いたたまれない、、、

        著者お決まり(?)のどんでん返しも普通に驚くことができた。

        気がむいたらまた続きを読んでみたいと思う。
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        2017/06/29 by iatt

    • 3人が本棚登録しています
      スタートレック ディープ・スペース・ナイン〈1〉選ばれし者(エミサリー) (角川スニーカー文庫)

      J.M. ディラード

      5.0
      いいね!
      • 米国のTVドラマ「スタートレック ディープ・スペース・ナイン(ST: DS9)」第一シーズンパイロット版ノベライズの翻訳。原題は『Emissary』。

        「新スタートレック(ST: TNG)」のスピンオフであるST: DS9は、ボーグにされたピカードが連邦艦隊を攻撃するシーンから始まる。その戦いで妻を失ったシスコが三年後に、司令官としてDS9に着任する。

        それぞれの思いを抱いてDS9での任務についたベイジョー人キラ少佐やチーフ・オブライエン、流動体生物オドーなどメンバーの心理がとても丁寧に描かれていて、ドラマでは味わえなかった満足感に満たされた。特に、ドラマでは想像するしかなかったピカードの苦しみがよくわかった。シスコの悲しみがワームホールの住人たちによって癒されていくのと同時に、DS9を守りながらメンバーが結束していく過程も圧巻だった。
        何より、翻訳がすばらしい。中途半端なトレッキーではあるけれど、DS9シリーズを今でもこよなく愛している者として、幸せな読書時間を過ごした。

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        2017/10/25 by Kira

    • 1人が本棚登録しています
      真っ暗な夜明け

      氷川透

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 第15回メフィスト賞受賞の氷川透の「真っ暗な夜明け」を読了。

        大学時代のバンド仲間が久しぶりに集まって飲んだ夜。みんなで地下鉄構内に降り、終電を待つ、そのわずかな間に、仲間のひとりがトイレで殺されるという事件が起きた。

        メンバーのひとり、ミステリ作家志望の氷川透は、自らが探偵役となり、事件を解決に導こうと決意するが、その矢先、またしてもバンド仲間のひとりが謎の死を遂げるのだった。

        果たして犯人が自殺したのか? それとも別な犯人による第二の殺人なのか?-------。

        三人称の多視点でミステリを書くのは、非常に難しいと思う。書き方でその視点の人物が、犯人である、犯人でないということがわかってしまわないよう、各パートでの人物の内面描写には細心の注意が必要だし、作品中の探偵と読み手側とが、謎解きに関して条件が同じでなくなるのも、フェアな本格ミステリを目指すためには、マイナスの材料となりそうだ。

        この作品は、それらの障壁を見事にクリアしたばかりでなく、終盤ではエラリー・クイーンばりの鮮やかなロジックで私を魅了させるんですね。

        そして、この作品における分析的な人物の内面描写やひねくれた言い回しは、ある意味、ミステリであると同時に青春小説であるこの作品に甘酸っぱい感傷を与えていると思う。


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        2018/04/06 by dreamer

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      白鯨 モービィ・ディック

      MelvilleHerman , 千石英世

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!

      • ハーマン・メルヴィルの「白鯨」は、ジョン・ヒューストン監督によって映画化され、異常なまでのしつこさで、幻の白鯨"モービィ・ディック"を執念の塊となって追いかけるエイハブ船長を、グレゴリー・ペックが迫真の演技で演じていたのが、強烈な印象として残っています。

        そこで、新訳として出ている講談社文芸文庫版(上・下巻)の「白鯨 モービィ・ディック」を、じっくりと読んでみました。

        実際に、原作を読んでみて、私がそれまで抱いていた物語とは、まるで別の代物であることに驚いてしまいました。

        とにかく、本のページを開いた途端に目に飛び込んでくる、夥しい数の鯨という語を含む名文抄なんですね。
        「さて、エホバすでに大いなる魚をそなえておきてヨナを呑ましたまえり(旧約聖書・ヨナ書)」とか、「かの巨大なる怪物は人為的に作られたものであり、共同体国家と呼ばれたり国家と呼ばれたりする。だがこれは一個の人工人間にすぎない」といったように。

        これらが、ただの飾りではないことが、本文を読み進むにつれて、次第にわかってくるんですね。
        つまり、今まで海洋冒険小説だと思っていた「白鯨」は、鯨をめぐる稀有な博物学の書であり、旧約聖書と密接な関連性をもつ宗教的な書であり、アメリカ史の暗部に触れる政治的なテキストでもあったんですね。

        例えば、白い鯨とは何か? なぜこの鯨は「白」でなくてはいけなかったのか?
        白衣、白熊、白鮫、白馬、白子、白亜の塔、白雪、銀河-------。

        自然界と人間界にあふれる白のイメージから、白くて巨大で凶暴なものへと読み手である我々は、導かれるんですね。
        もしかして、これは白人が支配するアメリカ合衆国という国そのものではないのかと。

        一方、捕鯨船のほうはどうかというと、船の名前は、白人の急襲を受けて絶滅したアメリカ先住民の部族の名に因んだ「ピークオッド」なんですね。

        そこには、世界中のあらゆる辺境の土地から集まった水夫が、乗り込んでいる。
        また、語り手イシュメールが、「心の友」と呼ぶクイークェグは、異教徒の蛮族の出身なんですね。

        白鯨とエイハブ船長が率いる船の闘いは、こうして思いもよらなかった多重的な意味を次々と帯び始めていくことになる。

        このような、ワクワク、ドキドキの裏読み、深読みが無理なくできるのは、「白い鯨のなかへ」という有名なハーマン・メルヴィル論の著者である千石英世の新訳と解説によるところが大きいですね。

        岩波文庫や新潮文庫で読まれたという方がおられたら、是非、この講談社文芸文庫版で読み直して欲しいと思いますね。
        今までの認識が一変するはずですから。

        >> 続きを読む

        2018/08/04 by dreamer

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出版年月 - 2000年5月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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