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東野圭吾
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東野さんはミステリー小説が多いけども、 こんな純愛モノもあったんだ…と驚かされた。 話のネタは事故で人の中身が入れ替わるという良くあるネタ。 この作品では、母の心を持った娘の体と夫が、 周りに悟られないように普通を装って暮らしていくのだが… 妻の自己を失っていく葛藤、違った未来への希望、 夫の最愛の妻が思春期の娘の体で生活する事への抵抗、 近寄ってくる異性への嫉妬…いろんな気持ちが入り乱れて どういう将来を育めば良いのかという悩みが切実だった。 そして衝撃のラスト!!このラストは賛否両論だが、 私は涙が止まらなかった。久々に号泣した作品だ。 >> 続きを読む
2019/01/28 by NOSE
三本木亮 , GoldrattEliyahu M
おもしろかった!!最高におもしろいビジネス書ですね。最後まで頭を悩ませながら読了しました。この本を読んだのは今回が初めてではなく、大学の時ゼミの教材として使っていました。あの頃よりスラスラ読めるようになったのは、社会人になって仕事で少しは携わっているからでしょうか。製造部に所属してれば、よりわかりやすいかもしれません。会社で読んでいたら、「昔、このシリーズを何回も何回も読まされた」と元ベンチャー企業に勤めていた人が言っていました。それだけこの本が与える影響は大きいのですね。この物語の主人公・アレックスと共にTOC(Theory of Constraints=制約条件の理論)を習得していくストーリーとなっています。物理学教授ジョナの問いかけに、アレックスら工場のメンバーが何度も何度も話し合いながら答えを探ります。妻とは離婚の危機、工場を立ち直すには3ヶ月しか猶予がなく、物語はドラマチックに展開していきます。企業の目的とは「お金を儲けること」企業が金を儲けるためには3つの方法があります。・スループットを増やす・在庫を減らす・作業経費を減らすTOCでは、このうちスループットを増やすことが一番重要な評価基準で、次いで在庫を減らすことであり、経費削減は重要性が低いとしています。スループットを増やすには、作業工程の中でボトルネック(制約条件)を見つけ出し、部分的な効率ではなく、全体の中の一部分を必要に応じて最適化していくことが必要でした。1.ボトルネックを見つける2. ボトルネックをどう活用するか決める3. 他のすべてをステップ2の決定に従わせる4.ボトルネックの能力を高める5. ステップ4でボトルネックが解消したら、ステップ1に戻るこの5つのステップを繰り返す度に、ボトルネックの性質が変わっていくのが興味深かったです。工場の中だけでなく、最終的にはマネジャーとして、部門全体の制約条件を考えていくところまで物語は進みました。現実的にすごく難しいプロセスだと思います。「『何を変える』『何に変える』『どうやって変える』か、この三つの質問に答えられないような人間に、マネジャーと呼ばれる資格があるのか」私はもちろん一社員でこのような立場にいるわけではありませんが、この言葉にガツンときました。あまりに影響されてしまったのか、仕事中、ふとボトルネックを探している自分がいました。会社の中では、食堂のシステムで例えたら一番わかりやすいかも(=´▽`=)ノ >> 続きを読む
2015/11/05 by あすか
かわぐちかいじ
沈黙の艦隊 第1/全11巻日米共同で建造された最新鋭原子力潜水艦やまと。このスケール。大人向けマンガとして十二分な読み応え。かなり前に、一度読んだ記憶は有るのだが、途中で止めてしまっている上、記憶もほどんど無い。今回、歯応えの有る大人向けの作品を読みたくなって手に取ったが、予想を遥かに上回る作品で有ることを再認識した。非核三原則が存在する日本だが、原潜の保有は国防の悲願というわけで、日米合同で建造した上で米軍所属とし、操縦部隊は、海上自衛隊の猛者を自衛隊籍を抹消した上で送り込む。この通り、建造の時点で様々な矛盾を孕んだ存在として産み落とされた「やまと」だが、その艦長、海江田の目指す目的により、出航直後から波乱の旅に向かう。この作品と向かい合う際には、まずフィクションとして様々な違和感を受け入れる度量が必要になる。その最たるものは、米艦隊相手に喧嘩を売って、ほぼ無傷で平然と勝利するところなど。どんなに優秀な艦で、優秀な艦長に恵まれたとしても、さすがにこれは出来すぎ。ただ、これらの違和感を受け入れる代わりに、ある程度のリアリティは保証されているため、ご都合主義の陳腐さみたいなものに苛まれることはない。深海で敵原潜と近距離で擦れ違う際に、ソナーを警戒して息を潜める臨場感などは、まさに手に汗を握る。独立国家を宣言する「やまと」。今後の展開が楽しみである。 >> 続きを読む
2013/02/12 by ice
沈黙の艦隊 第2/全11巻国際情勢の真ん中で、日本を危機に陥れてもその態度明確化を強いる海江田。日本人としてのこれまでの甘えを思い知らされた。独立国家やまとの扱いを巡り、旗色を鮮明に打ち出した日本政府。良い悪いは別として、思い切って主張する政府の姿勢は小気味よく感じ、正直ヤレヤレー!という気持ちだったのだが、そこに立ち塞がるアメリカの凄さには、正直これまでの日本人としての自分の認識の甘さを痛感させられた。まず、その容赦の無いロジカルな折衝。浪花節では無いが、日本人同士なら最後の最後まで追い込んでしまうことは避け、良い落とし所を探ろうとする面が有ると思うのだが、彼らのイチゼロの割り切り方を前にすると、その考え方は希望的観測に基づいた単なる甘えだったことを実感する。さらに、その外交手腕。折衝の席に着いた段階で、既に主要国全てに根回しを終え、日本を孤立状態に追い込んでいる。各国それぞれに対して、恫喝と利益供与の働きかけをするのは大変なはずだが、彼らが本気を出せば、おそらく難しいことではない気がするし、日本には真似出来る気がしない。そして、その軍事力。日米同盟とか、安全保障条約とか、アメリカは友好国だという大前提の中で生きている日本人は多いと思う。しかし、彼らは現代でも現実に戦争を仕掛ける選択肢を持ち続ける国で有るし、軍需産業の維持や、国内に対する不満を外に向けるため、仮想敵国を必要とする国のようにも感じる。アベノミクスによる浮揚感で勢いを増す日本政府だが、ついに憲法改正に着手すると言う。自衛隊の扱いには様々なシナリオが考えられるが、自衛隊→国防軍という現行路線のまま進み、それが、同盟国の敵は国防の一環として海外出兵可能だみたいな拡大解釈に繋がるとしたら、事実上、自衛隊の海外派兵への障害はほとんど無くなるかも知れない。また、最悪のシナリオとしては、日本の再軍国主義化と捉えられ、アメリカの仮想敵国に日本自身がなるという可能性もゼロではないだろう。基地提供や思いやり予算で、言わば傭兵のような気持ちで米軍を見ている面が有るとしたら、それこそ取り返しのつかない甘えで、自国を守る術を持たない国家が、安全保障のために上納しているという絵の方が妥当だと思う。本当に面白くて、いろいろなことを考えさせられる優れた作品なのだが、主人公たる海江田は明らかに危険人物に映る。ロシア原潜レッドスコーピオンとの死闘。向かってくる魚雷に全速前進で近づき、爆発安全装置が有効な距離まで間合いを詰めた上で正面から受け止める。理論的にはアリなのかも知れないが、あまりにも大胆過ぎて、どこか正常の範囲を踏み越えた人間にしか選び得ない行動に思える。また部下に対しても、二度と家族に会えないような犠牲を強いていること。もちろん自分一人では成し得ないのはわかるが、わかりやすく言えばクーデーター。これほどのリスクに部下を巻き込む男は異常だ。狂信者やテロリストの目は異常に澄み切っているという話を聞いたことが有る。海江田の場合はむしろ独裁者の方だが彼の瞳に曇りがないのが怖い。 >> 続きを読む
2013/02/16 by ice
宮城谷昌光
私が敬愛してやまない作家・宮城谷昌光の「太公望」(上・中・下巻)を、時間をかけて読み終えました。太公望、本姓は羌氏、名は呂尚。殷王朝の支配力がようやくゆるみ、周が台頭してきた紀元前十一世紀、渭河のほとりで釣りをしていたところを周の西伯、後の文王に請われて軍師となった。その時、七十歳余。西伯の子・武王の代になって、殷の紂王を討ち、天下をとって斉の国を領した。川柳にも「釣れますかなどと文王そばへ寄り」とある。日本では太公望は、そのように知られているんですね。だが、それは伝説にすぎません。宮城谷昌光の「太公望」は、異民族・羌の族長の子。商王・帝乙の遺骸に仕えさせるために、商王の子・受、後の紂王が行なった「人狩り」を逃れ、女児を背に左右の手で男の幼児の手をつかみ、燃える林の中を逃げる十五歳の少年時代から、この物語は始まるんですね。復讐を誓って二十三年、文字を知り、軍略を我がものとして、苦難の果てに周の文王と武王の二代を助けて、「帝は神のなかの神、宇宙の支配者」とする商王朝を倒すのです。人を支配し続けてきた神の呪縛を解いた最初の人、「中国史の原点」となる「革命」を成し遂げた不屈の人なのだ。商の神々の頂点にいる帝を討てば、神々は力を失い、商王朝も倒れる。神力に縛られた人民は、解放される。正義とは、常に解放でなければならないとする太公望を支えるのは、上空に神々はおらず、世を治めるのは人であり、全世界を治める人にのみ天は命を下すという思想なんですね。著者は、悪女・妲己を愛して、酒池肉林、中国史上の代表的な暴君とされる紂王の「天帝」思想に、太公望の思想を対抗させ、断片的な史料と史料の間に空いた巨大な空間を、想像力と構想力で埋めていくんですね。そうして、太公望を「平和とはあるものではなく創るもの、多民族が寄り集まり、協力しあって理想の邦づくりに邁進する」逞しい行動者、魅力的な「男」に仕立て上げるのだ。その「歴史講談」の妙は、司馬遼太郎のそれに匹敵すると言っても過言ではないと思いますね。 >> 続きを読む
2018/09/18 by dreamer
ハイブロー武蔵 , HubbardElbert
開眼するとは、こういうことかもしれない。そして、はっ、とした。上司に無駄口を叩いた自分を思い出した。そして、恥じた。ローワンは、すばらしいと感じた。「ガルシアへの手紙」とは、世界中で最も多くの人々に大きな1歩を踏み出す勇気を与えた小冊子。1899年にアメリカの著名な教育者、エルバート・ハバードが実話を基に書いた小冊子。求められる理想的な人物とはこうあるべきだという、基本的な教訓。ローワンは、大統領の命令通り、手紙を持ってボートでキューバに渡り、スペイン兵のいるジャングルに消え、3週間後に再び姿を現した。手紙は無事ガルシアに届けられた。1898年、かつてアメリカとスペインがキューバをめぐって戦争をしてときのこと。アメリカは、反スペインのリーダー・ガルシアの協力をもとめるべく、連絡を取る必要にせまられていた。大統領は彼の協力を得なければならない。しかも早急に。どうすればいいのか!ある人が大統領に言った。「ガルシアを見つけられる人がいるとしたら、それ はローワンという男でしょう」ローワンは呼ばれた。そして、大統領からガルシアへの手紙を受け取った。そのときローワンは、その手紙を黙って受け取り、「ガルシアはどこにいるのですか」と聞かなかったということである。そのような書き出しで始まるこの小冊子は、全世界で最も読まれる。日露戦争時、日本もロシア兵の捕虜からすべてのロシア兵が持っていたことを知ることになる。著者・ハイブロウ武蔵氏が、あらためてこの小冊子の良さに感銘。2001年翻訳して、解説。現代日本人へ提言しているあなたは、ガルシアへ手紙を届けられるか?期待された以上、やり遂げることができるか?愚問をせず、与えられたことを実行する。自分でやる。他人をあてにしない。他人のせいにしない。言い訳なんかもちろん考えない。いつの時代でも、求められる理想的な人物とは、ローワンのような人物である。ときに、世界は「変化」を求めている。変化への勇気ある挑戦が求められている。その変化こそ「ガルシア」である。やるべき課題が「ガルシア」である。ガルシアは、仕事の中であり、社会の中であり、国家の中であり、人間関係の中あり、家庭の中からで出てくる。私が意見するまでも無い。読めばわかる。この本の良さを紹介するまでだ。 >> 続きを読む
2014/09/08 by てるゆき!
ハリー ビンガム
莫大な遺産を残した3男・1女の父。しかし残した遺書には、彼らのうち3年以内に先に100万ポンドを稼いだ者に譲るという内容が。父のおかげで悠々自適な生活をしてきた彼らは愕然とし、考え、働き、もがく。この前半は意外と彼らがやり手でまあまあ順調に稼いでいく。長男が潰れそうな会社を買収したところからスタートした理由がちょっと意味不明だけど、まあ何ともスケールの大きい話で投資信託の世界も垣間見れるから後半も期待して読みたい。 >> 続きを読む
2016/01/17 by がーでぶー
欲というのはほとほと恐ろしいものです。欲に走る兄弟の傲慢さ故に奈落の底に落とされる様は当然に報いと思ったし、結果は予想していたのとは違ったけどそれもアリかなと読了はわりと良いです。ただ話が自分とは現実離れしていて熱くなれなかったのと、結局3兄弟とも稼ぐ能力が半端ではないので遺産は不要なんて思ってしまいました。 >> 続きを読む
2016/01/25 by がーでぶー
RipplewoodDean.
むかしむかし、あるところに森がありました。2匹のキツネ、マイケルとジョニー、2匹の猫ミケとタマとミケは協力しあいバターを探していました。精力的に捜索するキツネに対し、ネコってやつはどうも勤勉とは遠い飽きっぽい性質なようで…。「バターのほうからきてくれればいいのに」なんて思っていました。ベストセラー本「チーズはどこへ消えた?」のパロディ。著者名:Ripplewood Dean. とありますが日本人の変名です。人は変われる。状況に対応して素早く行動すべし。何もしないよりはしたほうがまし。このメッセージを否定し、まったく別の価値観を発信しています。自分らしくあれ形あるものは消えてなくなるのが当たり前財産でも名声でも永遠不滅なんてないのだ。日本人的ですなあ。…外国では売れないでしょうねえ。この本を書きたくなった気持ちが私にはとてもよ~くわかります。著者は物語はどのようにもつくれるものなんだよという事です。「チーズ」を読んだ時、真逆なストーリー作れるじゃんって、感じたのです。それと価値観の相違ですね。この本は老荘思想的な万物流転、有形霧消、色即是空の思想をノンビリ屋の猫のタマの姿に託しています。一方キツネはアメリカ的な上昇志向をもった野心家で腹黒な性格として表現されています。池のほとりのペンションの前に偶然置かれていた巨大なバター。それは彼らにとってとても幸せになれる何かの象徴なのですが、同じバターでもキツネにとってのバターとネコにとってのバターは意味の違うものだったのです。タマは思うのでした。「バターがなくても幸せ バターがあればもっと幸せ」「不安や怖れから逃げてはいけない」タマはキツネ達の言うこの言葉を耳にするたびに思います。――そもそも彼らは、なぜ不安なのだろう。何を怖れるのだろう。勝ち取ったものを失う不安、奪い取ったものを奪われる恐怖なのではないか?幸福は自分でつかみとったのではなくて、だれかから与えられたと、偶然に出会っただけだと思えば、なくて当たり前と思えるようになるのに。ミケはキツネに影響を受け、タマと別れてバター探しに奔走しますが、ことごとく失敗「バターは生きがいだ そのためなら死んでもいい」とまで思いつめていきます。やがて気づくのでした。「バターを追いかけることは恐怖に追いかけられることである」マイペースのタマは考えます。「ネコであることが ネコの幸せである」「なんのわけもなく、なんとなく好きというのが きっと、いちばん好きということなのだろう」キツネとネコ、物語の最後に笑うのはどっちでしょうか?(結構ダークです)この話は人間心理的にもより深くより複雑でリアリティもあります。ネコのキャラもとてもいいです。【格言】たしかなものなどない心から楽しめ移りゆく物事のすばらしさを知れ バターはやがてなくなるからおいしいのである足をとめてしっかり自分を見つめよ自分らしくあれ清貧の志を持て 欲望にはきりがない バターはいくらでもほしくなるありふれた幸せに気づけ肝心なのはこの本が完全に「パロディ」だという点です。作者はなにもこれが人生の本質であり人はこう生きるべきだとは言っていないのです。「チーズはどこへ消えた?」に描かれない落とし穴を見せてくれようとしただけです。本編をあわせて読むことがある意味必至である類の本です。でなければ、ネコ好きな人にどうぞ。sarada3さんのレビューがきかっけでチーズとバターをいっしょに読んでみようとおもいました。ようやく課題クリアです。表紙のネコも挿絵のネコもとてもかわいいです。(余談です)「チーズ」の日本の出版社である扶桑社に出版販売等の差止めの訴訟を起こされています。結果は却下ですが、その判決が面白いんです。(以下抜粋)チーズ本対バター本事件:東京地裁平成13年(ヨ)22090号平成13年12月19日決定(却下)(株)扶桑社(債権者) 道出版(株)(債務者)出版販売等の差止めを請求した。「チーズ」と「バター」で共通するのは乳製品であるという点だけであり、語感やその意味する内容、それから連想されるものは大いに異なる。また、「消えた」と「溶けた」についても、「消えた」という表現からは物体として存在していたものがなくなったという観念が生ずるのに対し、「溶けた」という表現からは個体として存在していたものが液体になったという観念が生ずるものであり、両者の意味するところは異なる。(結論)書名が類似していない以上、読者において出版元同士の関連性を想起することは通常あり得ない。 さらに、本の装丁についても、債権者出版物と債務者出版物を比べると、債権者の指摘するとおり、書名や著者の表記の順序や字体において類似していることが認められるが、他方で、疎明資料によれば、表紙から裏表紙に続く絵は、チーズとバターの個数や配置、登場するキャラクターの数や配置、色調などにおいて、読者に異なる印象を与えるものであることが認められる。(結論)両者が別の本であることは一見して明らかというべきである。出版業界ではベストセラーとなった本の類似本が出版されることは珍しくないこと、現に(株)廣済堂出版は債権者出版物の出版後に「チーズはここにあった !」という書名の本を出版したこと、が認められる。(さらに余談ですが)ご存じでしょうが、小説や楽曲のタイトルには著作権は存在しません。ですからもし同一タイトルの本であっても中身が全く別の小説だったり、装丁が全然ちがっていれば問題になりません。例えば「チーズはどこへ消えた?」というタイトルでチーズという名の女性に失恋した男の恋愛小説を書いてもいいのですよね。タイトルをいじった作品、やたら多いですよね。たとえば「世界の中心で愛をさけぶ」←「世界の中心で愛を叫んだけもの」(元ネタ)とか。 >> 続きを読む
2016/06/02 by 月うさぎ
服部幸雄 , 一ノ関圭
現代、歌舞伎といえば伝統芸能・古典芸能で、いくぶんか取っつきにくい感じがしますけれども、江戸の人々にとって「芝居」は身近な娯楽で、芝居見物に行く前日は眠れないほどわくわくしたものだそうです。芝居小屋はハレの日の歓楽を提供する祝祭の場でした。人々を虜にしていた江戸の芝居小屋がどんな風だったか、ちょっと覗いて体感してみましょうか、という絵本です。本書では、堺町(現在の東京都中央区日本橋人形町3丁目)にあった「中村座」をモデルにしています。当時、江戸の街には公に許された大きな芝居小屋が3つあり、江戸三座と呼ばれていました。中村座、市村座、森田座です。中でも中村座は早い時期に興行の許しを得ており、伝統を誇りとした一座でした。前半は、興行の準備から、華やかな舞台、裏方で支える人々、興行が成功を祝う宴、千秋楽の後の片付けまで、15の場面を描く精緻な絵です。芝居の中心は役者さんたちですが、彼らだけでは芝居は成り立ちません。絵師が背景を描き、衣装係が衣装を整え、鬘師が役者の頭に合わせて鬘を調整しなければなりませんし、刀や張り子、調度や牛車、演目に合わせて、さまざまな大道具・小道具が必要です。目の肥えた江戸っ子たちをあっと驚かせるには、同じ演目でも前の興行とは違う、新奇な趣向を考え出さなければなりません。今でも人気の演出である宙乗りや回り舞台、はては客席に橋を架ける演出まであったといいます。そんな様子が緻密に細かく賑やかに描き出されています。文と解説は歌舞伎研究者であった服部幸雄さん、絵は漫画家の一ノ関圭さんです。前半を眺めていくだけでもおもしろいのですが、後半は詳細な解説。場面ごとに、部分部分に何が描かれているのか、きちんと細かく絵の背景が説明されていきます。江戸歌舞伎は、文献は残っていても芝居小屋自体があるわけではないので、意外にわかっていない点も多いのだとか。推測で描いた部分はその論拠も示されていきます。前半の絵、後半の解説と、行きつ戻りつ眺めていると、次第に江戸歌舞伎の賑わいの中に吸い込まれていくようです。タイトルに「夢の」とありますが、これはもちろん、江戸の芝居小屋が今はないということ、それから、隅田川での船乗り込み、年末の顔見世興行での桜の演目など、実際には行われていなかったけれども、もしもあったとしたらこうでもあったろうか、という想像を交えています。少々の虚構を混ぜ込むことで当時の歌舞伎の雰囲気をより色濃く感じられる仕組みになっています。個人的に最も驚いたのは、当時も宙乗りがあったことです。本書では、そのからくりの一例が示されていますが、仕組みは1つではなかったようで、さまざま工夫があったのでしょうね。でもこれ、見るからに危ない感じがします。ときには役者さんがお客の上に落っこちてくるなどという事故もあったのではないかなぁ・・・。それもまた臨場感のうちでしょうかね。回り舞台も奈落も人力で動かしていたというのもすごいです。なるほど、電気があるわけではなし、スイッチ1つで、とはいかないでしょうね。描かれている役者さんたちは、概ね、(特に立役は)顔がばんと大きく立派な押し出しです。昔の時代劇映画などを見ていると、小顔とはほど遠い、大作りの役者さんが目立つのですが、確かに大きい顔の方が舞台映えしそうな感じがします。絵本は、狂言作者の見習いとして鶴屋南北に入門したばかりの千松が案内役です。群衆の中に、千松が必ず描き込まれているため、「ウォーリーを探せ」のような楽しみもあります。千松のほか、当時の有名人、葛飾北斎や小林一茶、杉田玄白なども描き込まれていますよ。さぁ、何人見つけられるかな。芝居見物は、とっておきのお楽しみの日。何を着て行こうか、何を食べようか、とお客の方も目一杯楽しもうと期待に胸を弾ませています。これを迎える興行側もあの手この手でお客を楽しませよう、喜ばせようと、趣向を凝らします。両者の思いが作り上げる祝祭空間。その華やぎと賑わいが生き生きと感じられる1冊です。 >> 続きを読む
2016/05/22 by ぽんきち
奥泉光
奥泉光の壮大な歴史ミステリー・ロマン大作「グランド・ミステリー」(上・下巻)を読了。昭和16年、真珠湾攻撃に向かう空母「蒼龍」で、顔振整備曹長の部下が行方不明となる。次いで、真珠湾攻撃を成功させて帰還した爆撃機の操縦席で、榊原大尉が服毒死するという事件までが起きてしまう。榊原大尉の友人・加多瀬大尉は、独自の調査を開始し、海軍出資の秘密機関「国際問題研究所」が事件に関わっていることを突き止める。やがて、加多瀬大尉は、研究所で意外な人物と再会し、驚くべき真相を聞かされることになる。著者の奥泉光は、これまで虚構と現実を錯綜させることで、ミステリーの根幹に当たる「謎」を、有る、無しの間で宙吊りにしてきたと思う。だが、この作品では、少なくとも榊原大尉の服毒事件は、合理的に解明される。それなのに、ミステリー的なカタルシスは、あまり感じられない。これは、謎から解明へという目的自体を無化し、別の「謎」を浮かび上がらせるトリックが、仕掛けられているからなのだ。別の「謎」の一つは「歴史とは何か」ということだ。歴史学の方法をパロディ化したような展開は、歴史修正主義が跋扈する現在の状況の中、まさに書かれるべくして書かれたと思いますね。 >> 続きを読む
2018/09/21 by dreamer
三原道弘 , 栗林慧
これほどの接写を拙者は知らない(あああ)。第1章、虫の目になりたい……なってますぞ。第2章、時間を止めたい……止まって見えるぞ。この本を見ずして、虫を語ってはいけないと思う。 >> 続きを読む
2014/11/10 by junyo
中島義道
哲学という本を読んだのは初めてでした。初めて哲学について読むにはちょうどいいのかなと思い、読みました。ざっくりとした内容は、初めに哲学とはなにであって、なにでないのか、作者の方の意見が羅列されています。だれだれの哲学は本当の哲学ではないとか、これはとても哲学的であるか、などです。作者の意見なので、自分自身でも本当にそうなのか考えさせられるものでした。ただ、どれも聞いたことない本や映画やアニメだったので、なるほどと思うようなことばかりでした。世代が少々上の方なので、無理もありませんが、もう少し勉強してからまた読み直してもいいかもしれません。本の、最初に「死」について考えさせられるところがあるのですが、大変考え深いものでありました。特に印象に残っていることは、死刑囚の母への手紙です。死刑囚ほど死について考える者はいないものだと私は思います。(病気のひとなどは除く)ただ、これをいうと死刑囚になるくらいの人なんだから、殺人などの罪を犯したとか悪いことをしたのだからあたりまえだというひとが多いと思います。しかし私はそういう善悪の問題ではなく、哲学の問題として考えたいと思っています。「死」について考えることはとても哲学的なのではないかと思います。具体的に「死」について考えるとは、死後の世界がどのようなものか、また自分が死んだ後の世界はどうなってしまうのかを考えることです。また、他には「時間」についてよくかかれていました。パラドックスの話は聞いたことがあるでしょうか。パラドックスという意味は矛盾やジレンマなどです。たとえ話が載っていたのですが、一つ載せておきますと、「試験勉強が受かるとわかっていたら、わざわざ勉強をする意味がない、試験勉強が落ちるとわかっていたら、これもまた勉強をする意味がない」というような感じです。確かに納得のいくような気もしますが、こんなことはただの勉強をしない言い訳にしか聞こえませんね。つまりなにがパラドックスについていいたいことは、なにかがおかしいと感じ、それからなぜか、どういうことかと問いていくことが哲学ということです。この例はまだわかりやすいほうで、「私」が何であるかと問いただすことのほうがよっぽど大変なのかと思います。鏡の私が本当である理由はなにか、私はなぜほかでもない私なのか、迷宮入りしそうなことを問い続けることが本当の哲学者なのではないかと思います。つまるところ、哲学というのは「よく見ること」だそうで、物事の前提を打ち砕くように問いただすことだということだと思います。 >> 続きを読む
2017/09/20 by Milk
奥田英朗
これは犯罪小説というより、ヒューマンドラマの小説といった感じ。もちろん、いい意味で。とにかく「読ませて」くれるので、登場人物への感情移入が凄まじい。特に、平凡な主婦が、事件をきっかけにどんどん落ちていって壊れていく様は、目を背けたくなるほど痛々しく、切ない。かなり重量感のある作品だけど、時間を忘れて集中して読めます。 >> 続きを読む
2015/12/03 by shizuka8
坂井三郎
撃墜王と呼ばれた坂井三郎の空戦の記録。実在の人はどんな思いで戦っていたのか知りたくて購入。日本は戦争によってお国のために死ぬのが美徳だったり特攻隊や集団自決など人を人と思わないような血も涙もない思想を持って戦っていたのかと思っていたが、部下や上司または敵国に対して人間らしい感情を持っていたことがわかり自分の戦争の知識はほんの一部にすぎなかったんだなと思う。読み進めているうちに空戦空戦空戦ばかりで読むのが嫌になってきたが、実際に彼らはいやというほど空戦をしていたんだなと思うと何ともいえない気持ちになった。戦争を美化するでもなく否定するでもなく、坂井さんの見たもの経験したことが書いてあり、とても読み応えはあったし読みやすかった。 >> 続きを読む
2014/02/11 by まなつ
飯塚訓
泣きながら 咽びながら 読みました。 何度読んでも 涙が出ます。 関係者の尊い努力にひたすら頭が下がります。 息子が中学に入ったら 首に縄をつけてでも読ませたい そんな本の一冊です。 >> 続きを読む
2015/06/24 by nekoya
天樹征丸
今回の事件は、金田一の過去の話と深く関わる事件でした。6年前に訪れた軽井沢で、偶然知り合い、仲良くなった友人達。それからは疎遠になっていたが、あるきっかけで、再び再会する事になりますが、そこで殺人事件が発生します。自分のプライドもあり、推理をしていく金田一ですが、辿り着いた真相は金田一自身も悲しい想いをするものでした。 >> 続きを読む
2019/09/16 by ゆずの
朝香祥
弱冠18歳にして高原御祓事務所を経営する透は、除祓能力を持たない“エセ御祓師”。国の監査が入ることを知り、大焦りする透のもとに腹違いの弟と名乗る少年・真悟がやってきて――!?近未来が舞台のゴーストコメディと銘打たれてますが近未来要素は特になし。幽霊が普通に信じられていて、御祓屋が普通に存在していると認識しておけばOKです。感知能力に優れるものの退魔の力を持たない兄と感知能力はあまりよくないもののすごい除伐能力を持つ弟の兄弟愛もの。普通におもしろかったです。3巻まで刊行されていて、めちゃくちゃ続きそうな終わり方してるのですが、4巻は発売されることはないようです。なので全巻売却してしまいました。【http://futekikansou.blog.shinobi.jp/Entry/152/】に感想をアップしています(2010年9月のものです) >> 続きを読む
2014/01/21 by hrg_knm
槙村さとる
姉妹の恋の行方の物語だけど志麻子さんの心の成長の物語でもある。子供の頃のトラウマってのは知らないうちに根付いてるもんだと…トラウマってのは呪いみたいなもんと一緒だなぁ(T▽T) >> 続きを読む
2012/06/21 by あんコ
室山 まゆみ
タタミちゃんが怖かった。
2016/01/19 by ムーリン
出版年月 - 2001年4月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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