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2003年2月発行の書籍

人気の作品

      砂の女

      安部公房

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! taiji Rtha
      • 内容紹介-------------------------------------------------------
        欠けて困るものなど、何一つありはしない。

        砂穴の底に埋もれていく一軒家に故なく閉じ込められ、あらゆる方法で脱出を試みる男を描き、世界二十数カ国語に翻訳紹介された名作。

        砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める村の人々。ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のうちに、人間存在の極限の姿を追求した長編。20数ヶ国語に翻訳されている。読売文学賞受賞作。
        ---------------------------------------------------------------

        何も考えず、ただ漫然と日々を生きている。
        朝早くに起きて仕事に行き、一日の大半を費やして働き、疲れた体で家に帰り、わずかな時間と体力では大した趣味にふけることもできず、体を休ませるのみ。
        ある日ふと気づく。
        自分は生きるために働いているのか、働くために生きているのか……。
        他人から見た自分はさぞみじめに違いない。

        『砂の女』を読んでそんな思いにとらわれたが、この本が書かれたのは1962年。
        戦後の時代で労働が正義だったはずなのに、現代の人間生活の軋みにあてはまってしまうのが不思議だ。
        もちろんこの物語の捉え方は幾通りもあるだろうし、安部公房の意図は正確にはわからないが、彼なりのその時代の息苦しさが見えていたのだろうか。

        学生の頃、それが避けようのないことだとわかっていつつも、社会人になることは牢獄に入ることと同じだと思っていた。
        でも実際に社会に出て働いてみると、それが当たり前になる。
        男のように「希望」なんていうしょうもない趣味に生きがいを感じながら、砂の中での生活に慣れていってしまうのだ。

        そのことに気付かなければ幸せなのだろう。
        読者からすると、砂の中で暮らし続けている女が不憫で可愛そうに思えてくるが、本人はさして気に留めていない。
        それが当たり前だし、それ以外の生活が簡単に手に入るわけでもない。

        案外著者が言いたかったのは現代の苦しみとかではなく、人間の生活なんてそんなものということなのかもしれない。
        男はたとえ砂の穴から出れたとしても、外でも砂をかむような生活をしていたようだ。
        それをみじめな人生だと笑う他人がいたとしても、きっとその人も大して変わらない生活を送っている。

        友人にすすめられて読んでみてよかった。
        実は購入したのは5年以上前で、たしか誰かの書評で「砂の女は近現代文学の最高傑作」というようなことを書かれていたのを見たためだった。
        それから長らく積んだままになっていたが、友人が安部公房のファンで『箱男』と『人間そっくり』が特に好きなのだと語ってくれた。
        それならばまずは本棚に眠っている『砂の女』からと手に取ったが、こんなに読みやすくてかつ濃い小説だとは。

        太宰・芥川・夏目を読んだときくらいの現代の言葉遣いとの違いは感じるかと思ったが、つまずくことがなかった。
        比喩表現が多いのに読みやすくて、比喩表現が多いからこそ読ませられる不思議。

        その比喩表現は文章だけでなく物語の濃さにも強く影響している。
        これでもかというくらい砂・砂・砂の描写が続き、読んでいるだけでも息苦しさと圧迫感を覚えた。
        中盤あたりでこれはホラーなのではないかと疑う瞬間もあり、青酸カリが出てきたときは、女が死んでとても胸糞悪い終わりを迎えるのではないかと読み手でしかない私が追い込まれるほどだった。
        そうして、簡単に予想できる終わりではなく、奇想天外なものでもなく、「ああそこか」というほどの着地点を見せられたときは妙な納得をしてしまった。

        いくら読んだ本の内容を忘れっぽい私でも、この「砂のイメージ」は死ぬまで忘れないと思う。
        それとたぶん、ファムファタールとは違うが妙な色気を持つ女のことも。
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        2020/01/08 by しでのん

    • 他14人がレビュー登録、 66人が本棚登録しています
      停電の夜に

      小川高義 , ジュンパ・ラヒリ

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • こんなタイトルの日本映画があったなーと思いつつ、「停電の夜に」という妄想溢れるタイトルに惹かれて購入。

        (映画のタイトルは、大停電の夜に、でした。本書とは関係ないかな。)

        実際は9つの短編集で、タイトルは一番最初。

        正直、どのお話も明るくはありません。

        家族や人間関係のちょっとダークな部分、でもちょっとしたドラマにはなるだろうな、という内容が多い。

        その為か、何ともない日常シーンが多めで、落ちとしては消化不良、ということがあった。

        作者はロンドン生まれアメリカ育ちのインド人。
        舞台はインドが多く、なかなか興味深いことも多かったが、それは物語とはそこまで直接関係はない。

        ボロボロに書いてますが、つまらなくはないので、一度は読まれてみてもいいかもしれません。
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        2020/05/18 by 豚の確認

      • コメント 2件
    • 他14人がレビュー登録、 28人が本棚登録しています
      世に棲む日日

      司馬遼太郎

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • 現在、夢中になって読んでいるのが「世に棲む日日」全四巻。
        主人公は2巻目で吉田松陰→高杉晋作へ移ります。

        松陰の場合、佐久間象山など師事した人物のエピソードも多く、本当に序盤のうちに安政の大獄を迎えてしまう印象。
        国内で激しい政治闘争が吹き荒れる中、「敵の文明を知り、敵の武器、戦法を学び、そのうえで敵に備え、敵を来るを撃たねば、日本は洋夷の侵略するところとなります」と言い切った先見性は鋭く、やはり時代に選ばれた革命家だと思います。
        玉木文之進の厳しい教育により頑固なほど真面目で律儀、女性に対して潔癖という不思議さも併せ持つのがこの人物の魅力。
        友人との旅行の約束のために、脱藩までしてしまうんですから。
        極端すぎてついていけない(^^;)

        長州人が魅力的に描かれており、司馬遼太郎作品の中でも抜群の読みやすさで、あっという間に読破しそうです。
        >> 続きを読む

        2018/08/17 by あすか

      • コメント 2件
    • 他4人がレビュー登録、 25人が本棚登録しています
      世に棲む日日

      司馬遼太郎

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 下田から船をこぎだしてアメリカに渡ろうとするという、国禁をおかした大罪人。
        松陰の行動力に驚かされるばかりです。
        それに対し、長州という藩もなぜか政治犯に対して寛容で。
        知れば知るほどかなり異色の藩だと思うのですが、その体質もあり過激な勤王攘夷運動へ沸騰させていったのですね。
        実家の杉家で開いていた「松下村塾」も存続期間はわずか三年というのも驚かされました。
        どれだけ時勢が目まぐるしく動いていたか。
        そして、物語の主役が吉田松陰から高杉晋作へ。

        高杉は上海洋行で西洋文明の壮観を見て、圧倒され、それを好みました。
        「開国し、貿易し、西洋技術を導入し、それらによって日本そのものの体質を一変させなければならない」
        松陰の思想を受け継ぎ、師がもたなかった戦略理論をあみだす革命児が高杉晋作。
        議論家から、革命家に。
        司馬さんの書き方もあって、高杉晋作の生き方がかっこよすぎる。
        >> 続きを読む

        2018/08/20 by あすか

      • コメント 4件
    • 他4人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      架空通貨

      池井戸潤

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
      いいね!
      • なんか入り込めなくて読む時間もかかってしまいました。
        難しいとも違うけど、わかりにくかったです。
        ちょうど今の時代一般化してきた仮想通貨がアナログな感じで限定的に使われているという設定はさすがだと思いました。
        最近池井戸作品を続けていたから次は変化してみます。
        >> 続きを読む

        2018/12/04 by ryoji

    • 他3人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      いま、会いにゆきます

      市川拓司

      小学館
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • かなり前に話題になっていた恋愛小説。当時は流行りに乗るみたいで読む気にならなかったが、別の作品で市川氏を知り興味を覚え、代表作ならこれ、といわれているらしかったので読んでみた。

        もっと早く読めばよかった、かなり後悔。私も一人っ子の息子がいるので、感情移入が強いのかもしれないが秀作だと思う。
        幽霊?として妻が予告通りに現れ、一緒に生活し、これをどう収めるのか途中から気が気でなかったが、最後、こう来たか、と驚きと感動。

        結ばれた後の、結婚生活、子育てをしながらの澪の気持ちの揺らぎ、決心の強さ、愛情の深さなど思うと涙が止まらなかった。二度読んで二度目も泣けた。評価され映画化、テレビドラマ化されるのも納得。

        ちなみに映画もすぐに観ました。多少の設定変更はあったものの、子役の健気さ、竹内結子さんの熱演と美しさに星5つ。忘れられない作品の一つに。





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        2019/09/08 by Sprinter

    • 他3人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      陽気なギャングが地球を回す

      伊坂幸太郎

      祥伝社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 1回目の読了。2015.4.27
        再読2回目だが、初めて読んだ時には途中で断念した。(なぜかは忘れたが、気分が乗らなかったのかもしれない)従って最後まで読んだのは今回が初めて。映画版を先日見てある程度の結末は知っているけど、こちらの原作版の方が話の痛快さは一枚上手。赤川次郎氏のサスペンスを思わせるような読みやすさ。いや、久し振りに面白い小説を読んだ気がする。

        2回目の読了。2017.2.17
        再読3回目。「陽気なギャングの日常と襲撃」を読むためにおさらい目的での再読。やっぱり面白い。騙し騙され最後には誰が勝つのかという話の構成はよくできているなと思う。成瀬と響野のキャラの区別が混同しやすいのが難点かなと思うけど。この調子で次の「~日常と襲撃」も読んでいきたいと思う。

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        2017/02/17 by おにけん

    • 他3人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      14歳からの哲学 考えるための教科書

      池田晶子

      トランスビュー
      4.5
      いいね!
      • 【総括】
        14歳からの哲学というタイトルでしたが、20代後半が読んでも大変おもしろく考えさせられる作品だったと思います。
        情報があふれる現代において何を大切にして生きればよいのか、自分のアイデンティティは何なのか、何を幸せと感じればよいのか、など現代人の悩みは尽きないと思います。情報が無い時代よりも遥かに雑音が多く、真贋を判別する能力が試されるのかもしれません。
        そんな中、自分としっかり向き合って「考える」ことを伝えているのが本作の目的であると理解しました。
        そして、どのようにして生きればよいのかいくつか答えも提示してもらっています。
        例えば、名作と呼ばれる古典を読むことであるとかを示していただいています。
        詳細な理由は本作を読むことをお勧めしますが、名作を読むことが人生を豊かにする一つの解であるとよく言われます。
        その意味を深く理解できたような気がします。

        【心に残った一節】
        1.
        「メビウスの輪」をしっているね。内側を辿って行ったらそこは外側だったというあれだ。
        君は「自分の内側」といったとき、体や心の内側のことを思うね。でも、その内側が、外側の自然法則や快感原則によって動いているのなら、その内側って実は外側のことじゃないだろうか。内って外なんじゃないだろうか。

        2.
        もしも君の親がきみに暴力を振るうような人だったらそれは君には大変な試練だ。
        受け入れて想像しろって言ったってほとんど無理かもしれない。君の経験は君のこれからの人生に深い傷となって残るかもしれない。
        でも、自分の傷はやっぱり自分で癒すしかないんだ。
        人生の一番最初に、普通の人がめったに遭遇しない大変な試練に遭遇した君は、その試練を試練として認めることができるようになったとき人よりも深く人生の意味を知るに違いない。

        3.
        理想は理想に過ぎないよ。と言っている人も、最初は理想を持っていたに違いないんだ。
        その理想を持ち続けるのを途中でやめてしまったか、理想を実現する努力を怠けているか、その言い訳をしているだけなんだ。
        でも努力を放棄された理想は、単なる空想か漠然とした憧れに過ぎない。
        単なる空想なら現実になるわけがない。理想を実現しようと努力することこそが現実なんだ。

        4.
        人の真似をする、逆に、人の真似はしなくても、あえて人と違おうとする、それは偽物だと言った。
        どうしてそうなのかというと、本当にしたいこと、どうしてもそうしたいことが、その人にはないか、あるいはわかっていないからだ。
        けれども本物はそうじゃない。
        人が何と言おうが、だれにどう見られようが彼はそれをしたい。
        彼はそうするしかできないんだ。
        それをするのでなければ彼には生きてる理由なんかない。その意味で彼はそれをすることに命と人生のすべてをかけているんだ。

        5.
        「天網恢恢疎にして漏らさず」という中国の古い言い方を、人生の標語として覚えてしまおう。
        天の網は広くて粗いようだけど、悪事は必ず露見する、悪人には必ず天罰が下るという意味だ。
        むろん、天罰を下すのは天じゃない。自分の内なる善悪だ。
        自分が為した悪事の罪を、自分のために罰するんだ。因果応報、罪の罰は、必ず自分に帰ってくる。
        何のためかって、自分のためだ。
        それより自分が悪くならないように学ぶためだ。
        悪を為さずに善を為し、よりよくなろうと学ぶこと、それが存在することに意味のない人生を生きることの、本当は意味なのかもしれない。
        人は思うことで何もかも思った通りにすることができるのだから、人生や苦しみに意味は無いと思えば、人生や苦しみは意味のないものとなるし、人生や苦しみに意味はあると思えば、人生や苦しみは意味のあるものとなる。

        6.
        「何のために生きるのだろう?」さあそれはどこに書いてあると思う?
        古典だ。古典という書物だ。いにしえの人々が書き記した言葉の中だ。
        何千年移り変わってきた時代を通して、まったく変わることなく残ってきたその言葉は、そのことだけで、人生にとって最も大事なことは決して変わるものではないということを告げている。
        それらの言葉は宝石のように輝く。言葉はそれ自体が価値なんだ。
        だから、言葉を大事に生きることが、人生を大事に生きるということに他ならないんだ。

        7.
        だから言葉は大事にしなければならないんだ。語る一言一句が、君という人間の品格、君の価値なんだ。
        くだらない言葉を書き散らすほどせっかく持っている宝石の数々をどぶに流してしまう。
        >> 続きを読む

        2019/03/28 by べるさん

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      寡黙な死骸みだらな弔い

      小川洋子

      中央公論新社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 愛する者、憎しむ者、血という抗えない絆で繋がる者、存在が美しい生き物、奇形の心臓を持つ者。
        死という非日常を弔う13編の連作ともいえる短編集。
        理性的で静かでありながら、グロテスクで不条理で奇妙な物語が、少しずつリンクしながら紡がれ、また戻っていく。見事としか言いようがない。

        読み終わっても、余韻に浸り、言葉がなかなか出てこなかった。
        小川さんの初期の作品だからなのか、今までの数少ない読んだ作品より、微かに湿り気がある様な気がする。
        知的で静謐なことは勿論だが、グロテスクでゾッとしながら美しいモノを見ている、そんな感じだ。
        冒頭の「洋菓子屋の午後」は、先に読んだ「慟哭」と重なり、特に印象深かった。「心臓の仮縫い」などは本当に小川さん?と思う悍ましさ。
        どの短編も最高!
        >> 続きを読む

        2017/11/01 by ももっち

    • 他1人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      転生

      貫井徳郎

      幻冬舎
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 脳死や臓器移植などの問題を改めて考え直した作品。

        心臓の移植手術を受けた青年が、
        ドナーの趣味嗜好までもが乗り移った感覚に陥る。
        脳が記憶や心を持っているという固定概念を打ち破り、
        やはり心は心臓にあるのかもしれない…という考えが
        ものすごく興味をそそられた。

        タブーであるドナーの家族との接触を図り、
        謎を解けばさらに謎を深めていくミステリー性には脱帽。

        近代医学の闇と、青年の純粋な恋愛、母の愛情、
        見所はたくさんあったのに謎が解けた瞬間から展開早すぎて、
        もう少し余韻を残して欲しかった…ので星は4つ。
        >> 続きを読む

        2019/01/28 by NOSE

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      夜鳥

      田中早苗 , LevelMaurice

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 【ポーの遠い親戚辺りかな?】
         本書は、昭和3年に刊行された著者の「夜鳥」という短編集をベースに1作を追加してある復刊本です。
         復刊と言っても、現代仮名遣いに直してありますが、言葉などはやはり古いまま。
         ですが、この古さがルヴェルの作品には似合うようです。

         短編集と書きましたが、ショート・ショートと言っても良いほど短い作品ばかり。
         H.B.アーヴィングはルヴェルの作品をポーの作品になぞらえていますが、私的にはそれほどポーに近いとは感じませんでした。
         遠い親戚辺りでしょうか。

         確かに、ポーと同様、怪奇や謎、あっと驚く展開などはあるのですが、ルヴェルの場合、ポーと決定的に異なり、哀切、悲哀、人間的情味のようなものが色濃く漂っているように感じました。

         ルヴェルが描く世界には、貧困、苦悩、悲しみが充満しており、登場人物も、不虞者、乞食、売春婦などなどが多く見られます。
         ある意味弱い立場の者達を多く描いているようですが、必ずしもその弱い者達が救われる話とは限りません。
         また、殺人などの犯罪も描かれますが、決して謎解きに重点があるわけではなく、そのような事態になってしまった時の人間の弱さ、浅はかさなどが強く描かれているように感じました。

         巻末解説で、江戸川乱歩は、「ポーは大人、ルヴェルは少年」と書いていますが、なるほどと頷けるところもある捉え方ではないでしょうか。
         古い言葉遣いですので、やや読みにくいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、独特の魅力がある作品だと思います。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2020/08/06 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      どうすれば「最強の人事」ができますか 処遇・評価・能力開発・再就職支援etc.の問題に答えるQ&A 170

      清水佑三

      東洋経済新報社
      カテゴリー:経営管理
      4.0
      いいね!
      • 読書ログの本棚からこれは読んでみたいな~と思って読んでみた本です。

        人事の経験がなかった私に人事とは何をすべきか、どのような結果を求めるべきかを教えてくれた。

        問題と答えがセットになっているので、読みやすいし理解しやすい。

        人事部の仕事を理解するには、最適な本です。
        >> 続きを読む

        2012/05/25 by higamasa

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      オディール

      レーモン・クノー

      3.5
      いいね!
      • 【自伝的小説であり、クノー唯一の恋愛小説である】
         「『文体練習』や『地下鉄のザジ』でクノーに馴染んだ読者には、クノーらしくないと思われる作品かもしれない。」
         これは巻末解説からの引用なのですが、まさにそんな感じがした作品でした。
         私は、何の基礎知識もなく、『文体練習』や『地下鉄のザジ』の作者だからという理由だけで、図書館にあったこの本を借りてきたのです。

         主人公のロランは、21歳の時、モロッコのリフ戦争からの復員兵としてパリに戻ってきます。
         まともに働こうとはせず、賭けトランプや競馬で多少の金を得たり、伯父から援助を受けたりして生活しています。
         いや、彼は「働いている。1日に10時間は働いている。」とは言うのです。
         しかし、彼が言う働きによっては一銭も金にならないとも。

         ロランは、アマチュア数学者でした。
         ホテルで生活し、その部屋では数学の研究(?)に没頭しているのです。
         その合間に、パリの街を歩き回り、コミニュストのグループと知り合いになります。
         彼自身、共産主義に魅かれるところもあったようですが、完全には支持できず、誘われるままコミニュストの集会に参加するなどもするのですがある程度の距離を置いているように読めます。

         ロランは、彼なりの信条に基づいて生きているようなのですが、私からすると、その生き方は幼稚であり、無責任であるように思えてなりませんでした。
         ロランは、オディールという女性と知り合うのですが、当時、オディールは他の男の情婦でした。
         オディールに魅かれるところもあったようなのですが、そもそも女性との関係には冷淡な態度を取っていたロランは、それ以上踏み出そうとはしなかったのです。

         その後、オディールの男が殺されるという事件が起き、それをきっかけにオディールは裕福な実家へと帰っていきます。
         それ以外どうできるというの?と言い残して。
         ロランは、オディールをパリに連れ戻したいと考えるのですが、その方法として選んだのは愛しているわけでもないオディールと結婚し、伯父から2人分の援助を引き出し、それでパリでそれぞれやりたいことをして暮らそうという奇妙なものでした。

         オディールは、そんなロランの申し出を受け、パリに戻り、ロランとはたまに夕食を共にする程度の別々の生活を始めるのです。
         何故、オディールはロランのこんな申し出を受けたのでしょうか?
         実は、オディールはロランを愛していたからなのでした。

         ロランは、友人から「お前はオディールを愛していないと本当に言えるのか?」と問われますが、その時点では「愛してなんかいないし、これから先も愛することは無い」と答えてしまうのです。
         その後、ロランはますますオディールとの距離を置くようになり、遂には男友達と一緒にギリシャに行ってしまうのです。
         ロランは、ギリシャで暮らし続けようかとまで考え始めるのですが、そこでようやく自身を見つめ直すことができ、自分はオディールを愛していたのだと気づき、パリに戻るという物語です。

         このように筋だけを読むと、何ということもない物語であり、また、随分身勝手な男の話とも思えると思います。
         私も、そんな印象を持って読了したのですが、実はこれはクノーとシュルレアリスムとの関係を描いた自伝的小説なのだという巻末解説を読んでようやく本作の意図が了解できました。

         クノーは、一時シュルレアリスムの一派に属していたこともあるのですが、結局離反し、シュルレアリスムの総帥であったアンドレ・ブルトンを批判するような詩を発表したりしました。
         本作に登場するコミュニストのリーダー的存在であるアングラレスは、アンドレ・ブルトンをモデルにして描かれており、コミュニストたちの活動はまさにその当時のシュルレアリスム一派の活動を基に描かれているのだそうです。

         なるほど。
         作中でコミュニスト・グループから放擲される男性が描かれるのですが、これはシュルレアリストのグループから放擲されたルイ・アラゴンのことを書いたものなのか(アラゴンは、シュルレアリスムと共産主義のどちらを取るのかという選択を迫られ、共産主義を取ったことから放擲されたのです)。

         そういう目で本作を見ると、当時のシュルレアリストたちの雰囲気がよく分かるように思われ、そういう読み方をすべき作品なのだとようやく分かりました。
         巻末にはそのあたりのことが詳しく解説されており、大変分かり易くなっていますので、本作を読んだ時には、必ず巻末解説まで目を通すことをお勧めします。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
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        2021/01/28 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      東京都政 明日への検証

      佐々木信夫

      岩波書店
      カテゴリー:地方自治、地方行政
      4.0
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      •  豊洲市場やオリンピックなど、最近話題になっている東京都について知りたいと思い購入した本…なのですが出版年が15年近く前だったので現在の東京都とはかなり状況が違っています。この当時は財政再建団体への転落の危機感を持つほどに財政が悪化していた時期の本です。

         著者は東京都で働いていたことのある元公務員なのですが、東京都の歴史や現状(15年前ですが)について事細かに語られています。東、美濃部、鈴木、青島、石原という歴代の都知事によって東京都がどれだけ劇的に変化してきたかが読み取れますし、この当時の東京都がどれだけ危機的な状況に陥っていたかも理解できます。(ただ、この時期は東京都以前にそもそも日本全体が割と危機的な状況だったような気もしますが…)。臨海副都心などに見られる都市政策の功罪・将来性や、その当時には構想すらほぼ無かった道州制にも触れている辺り、先見の明がある方ではないでしょうか。


         ただ、東京都で働いていて色々な物事を見てきたからなのか、若干毒舌と言うか、「なんでも叩いておけ」という部分が(特に前半に)見え隠れします。緻密に東京都の内部を書き記しておきながら「最近の若い者は…」論に突然論調が変わった時は流石に苦笑せざるを得ませんでした。そういった私情のような所が散見されるのをご愛嬌と見れれば良い本だと思います。

        余談ですが、この本を読む限りでは小池都知事は石原さんと鈴木さんの中間辺りに位置するのではないでしょうか。諮問機関に近い都政改革本部を立ち上げながら自身も行動していくところを見ると、なんとなくそんな印象を受けます。

         結果的に面白い本だったので良いのですが、東京都の「今」を書いている本では(当たり前ですが)ありません。東京都の資料を読む限り都の財政はある程度回復しているようですし、猪瀬・舛添とこれまでの都知事には無かった短期政権が生まれているなど、状況はこの本が出版された当時からかなり変化しています。著者が最近出版している東京都についての本を今度は読んでみたいと思います。
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        2017/02/03 by aokaze

    • 1人が本棚登録しています
      あの人は十代二十代の時何をしていたか

      神一行

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:日本
      1.0
      いいね!
      • 芸能人を中心とした著名人達の20代の一場面を数行程度で紹介。

        芸能人名鑑のような印象。

        著名人に対しての取材や調査から20代の一場面を切り取り
        数行程度で紹介するという斬新な企画。

        目の付け所は面白いと思い手に取ったのだが、書籍として捉えるには
        あまりにまとまりが無く期待した程、面白くも無かった。

        とは言え、泉ピン子の芸名は「麻雀のイーピンに似ているから」という理由で師匠が命名した。
        などというエピソードから、今を時めく芸能人にも下積み時代が存在したことを再確認するのも悪くないかもしれない。
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        2011/01/21 by ice

    • 2人が本棚登録しています
      57577―Go city,go city,city! (角川文庫)

      枡野 浩一

      3.0
      いいね!
      • 短歌の本、枡野浩一さんがプロデュースした本はおもしろいのに、
        今回のご自分の短歌本は、正直波長が合わず、すぐに読了。

        この本を思い出すためにも、気になった短歌をとおもいながも、
        選んだのは、たった二歌のみ・・・


        差別とは言わないまでもドラマではホステスの名は決まってアケミ

        どことなく微妙にちがうものだった なくしたものを取り戻しても


        何か、すきっとしませんな・・・・。
        >> 続きを読む

        2017/12/04 by ごまめ

    • 1人が本棚登録しています
      謳われぬ夢―ダルリアッド (角川ビーンズ文庫)

      駒崎 優

      5.0
      いいね!
      • 結末に非常に満足した。

        消え行くルーグはトゥーレからやっと「あなたを愛している」という言葉と本当の名を告げられて、幸福な最期だと言い残す。
        ダルリアッドは生を取り戻し、一族の末裔の近くで死を迎えることができるようになった。

        ひとつの神話を構築したようなこの物語は本当に優れていると思う。文章が読みやすければ、もっと感動的だったのにと残念でならない。
        >> 続きを読む

        2017/08/24 by Kira

    • 1人が本棚登録しています
      機動戦士ガンダムthe origin

      安彦良和

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね!
      • 謀ったなシャアの名場面。

        2016/06/20 by aya5150

    • 4人が本棚登録しています
      ST青の調査ファイル 書下ろし警察ミステリー

      今野敏

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 図書館本。
        STのメンバーの名前にちなんだ「色」シリーズ第一弾。ノベルス版二段組み

        新シリーズの始めにこの人をもってくるということは、やはり青山翔はSTを代表しているのだろうか。安積班シリーズの短編で顔を出すのも青山だけである。「恐ろしいほどの美貌」と毎回表現されているのだが、それがどんな美貌なのかいつも想像できないでいる。青山の言葉使いに少し幼さを感じるせいかもしれない。でも、謎解きにはいつも楽しませてもらっている。

        本作はシリーズ初期の三作の後なので、STを認めていない検死官も出てくるし、百合根もメンバーの扱いに戸惑っている。先日読んだ『プロフェッション』からすると、なんだか懐かしい気がするのも面白かった。

        >> 続きを読む

        2019/09/07 by Kira

    • 2人が本棚登録しています
      フライ,ダディ,フライ

      金城一紀

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 平凡なサラリーマンがボクサーの大学生に復讐をするという話。
        設定だけみると、うーん。。な感じですが、読み進めてみると想像以上に爽やかですよ!
        人間って考え方や行動次第でいつまでも若くいられるんですね♪
        >> 続きを読む

        2015/08/19 by pedro_04

    • 7人が本棚登録しています

出版年月 - 2003年2月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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