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乙一
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乙一さんの短編小説初めて読みました。どんなもんかと思って読み始めましたが序盤から惹き込まれてしまいました。『カザリとヨーコ』のヨーコがこれでもかってくらい悲惨で可哀想で最後もゾッとするオチで作品としてとても好きでした。この後のヨーコが気になりました!あとは『SEVEN ROOMS』後味の悪さで一番でした。弟の悔しさを考えると辛くなりました。今後も乙一さんの作品を読んでみようと思えました! >> 続きを読む
2017/10/10 by CARS
角田光代
特別ドラマか映画かは分からないが、妻夫木聡さんがお父さん役で映像化されていた。たまたまつけたテレビで最後の五分程度を見ただけだったが、すごく印象に残り、本書に行き当たった。大きな波はないし、あやふやなまま話が終わってしまうけど、どこか心が暖かくなる。そんな本。親子もそうだけど、人と人が分かり合おうとする姿は心が動かされる。ちょっと、映像も探してみよう。 >> 続きを読む
2018/05/19 by 豚の確認
SüskindPatrick , 池内紀
時は18世紀。場所はフランス。 当時の衛生観念なんて今から思えば不潔極まりない状態でした。 かのベルサイユ宮殿だって、ろくにトイレもなく、園遊会などに招かれた貴族達も、庭園の茂みで用を足すというのが当たり前(いや、これ本当)。 ましてや、庶民が住む町などはそれはそれはという状態で、町中悪臭が立ちこめていました。ペストなどの悪疫が流行するのもさもありなんです。 物語は主人公が産み落とされるところから始まります。 主人公の母親は魚屋で生魚を捌いていました。 陣痛が来ましたが、何、いつものこと。 彼女はこれまでも何人もの子供を産み落としてきました。 そう、いつものこと。いつものように、魚を捌いている包丁で産み落とした子供と自分をつなぐへその緒を切ってしまえばよいこと。 その後、産み落とした子供は、地べたに放り出してある魚の臓物と一緒にして捨ててしまえば良いこと。 時には、魚の臓物と一緒にそばを流れるセーヌ川に放り込めば手間もかからない。 もちろん、今度だって同じこと。 いつものように、へその緒を切って地べたに捨てた。 でも、今回はちょっと違った。 どういうわけか出血がひどくて。ついふらふらと倒れてしまった。 それに気付いた周りの人間が「どうしたんだ」と駆け寄るけれども、「どうもしないよ。何でもないさ。」と言うだけ。 でも、その時、産み落とした赤子が泣き出したんだね。 それで全てがばれてしまって、(当時は拷問のようなこともしたのでしょうね)、母親はこれまでに産み落とした何人かの子供のこともしゃべってしまい、死罪になったそうです。 さて、生まれてすぐに身寄りの無くなった主人公は、修道院に預けられます。 修道院とて、慈善事業じゃやってられない。 わずかな金を与えて、乳が出る女にそういう身よりのない子供を預けます。 主人公もそうやって、とある「乳母」(と、いうのだろうか?)のもとに預けられます。 しばらく後、その乳母は、主人公を突っ返しにやってきます。 「子供はさ、子供の匂いがするもんじゃないか。こいつは何の匂いもしやしない。恐いんだよ。」 そう言って、給金を上げてやるという司祭の言葉も聞き入れず、主人公を押し返してしまいます。 時は流れて、主人公は革のなめしやにほとんど売られるようにして連れて行かれます。 それはそれは重労働で。 でも、彼は、自分がどういう人間かということに気付いていたのです。 自分は、毒虫の様な奴なのだと。 だから、何を言われても、どんなにひどい仕打ちを受けても、じっと毒虫のように身を固くして耐えていました。 とある時、あるきっかけで、彼は自分の秘められた才能に気付きます。 その才能とは、匂いに極めて鋭敏だということ。 どんなにかすかな匂いでも、どんなに混じり合った匂いでもたちどころにかぎ分けてしまえたのです。 たとえば、吝嗇家が家のどこかに隠した金貨の匂いだって分かってしまいます。そこに金貨を隠してあるのだって、忽ちお見通しになってしまうのでした。 そして、「毒虫」は蝶(なのだろうか? あるいは毒蛾?)に成長します。 過去の名声だけはかろうじて保っているけれど、もう力も何もなくしてしまった香水の調合士に取り入ることに成功します。 正に天職! 彼は素晴らしい香水を次々と調合していきます。 そして、それを師とした調合士の名前で売り出すことだって許します(というか、それが条件なのでしょうね)。 彼の鋭敏な嗅覚はさらにすごい「香水」を作り出すようになります。 人間の感情さえも左右してしまえるような「香水」です。 さらには、「とある」香りに魅せられてしまうのでした。 その香りを定着させるためにはどうすれば良いのか? 彼は、従順を装い、師からその技術をある程度まで学び取ります。 しかし、それでもまだあの「香り」を残すことはできない。 何という小説でしょう。 ある意味、猟奇的です。 心地よく読める本をお探しでしたらお薦めしません。 ですが、不思議な魅力をもつ作品です。 詳しくはお話しできないのですが、まぁ、なんていうことを…… 物語としてのおもしろさは十分にあります。 大変インパクトの強い作品だと思います。 ここまでのご紹介文を読んでピンと来たら読んでみても損はないと思いますよ。 >> 続きを読む
2019/03/07 by ef177
夏目漱石
2020.73。青空文庫版で初読。夏目漱石の作品は、確か「こころ」を過去に読んだ。遠い昔、アニメでこの作品(結末は随分違っていたが)を見て、いつかは原作を読んでみたいと思っていた。ただ、この文章を読むには非常に根気が必要で、途中3回ほど挫折している。今回は市川崑監督の映画を見てイメージを膨らませながら読んだ。江戸時代の封建制から維新を経て明治になり、今までの日本の価値観が通用しなくなった時代、猫の「吾輩」を通じて、何でも欧米の真似をする社会への危険性の警鐘、また、当時の世相への批判が書かれている。ラストは結構衝撃的で驚いた。ただ、猫が〇〇〇を飲むというのも、実際に猫を飼っているとちょっと有り得ないかなあと言う印象。あと「吾輩」は勝手に赤茶の模様の猫をイメージしていたので、灰色猫というのも通して読んで始めて知った。ともかく今回何とか読み切ることが出来て、長年のつかえがとれたような気がした。感想はこんなところです。 >> 続きを読む
2020/05/28 by おにけん
鴻巣友季子 , BronteEmily Jane
心を強く揺さぶる作品と聞いたので期待して読んだけど、期待しすぎたのか思っていたほどの感動、刺激はなかった。心を揺さぶるというよりはずどーんずどーんってゆっくり重くのし掛かって来る感じ。個人的にはシャーロットのジェインエアや教授みたいな心臓を捕まれるみたいな揺さぶりを感じられる方が好み。女性作家の作品や女性が主人公の作品でよく感じる共感をあまり感じなかったので疑問に感じていたら、あとがきにエミリーは同姓愛者だったかもしれないとあり、納得。それを読んでさらにロチェスターさまとヒースグリフはどちらも姉妹のお父さんがモデルだと言われているけれど、ロチェスターさまのほうが女性から見てよりセクシーな魅力を持った男性であるということにも、納得がいった。ブロンテ姉妹らしい、道徳だけじゃなくて情熱があるところが好きだった。 >> 続きを読む
2016/07/15 by Magy
乙一さん、好きです。出会いは友人が貸してくれた「Zoo」でした。少し不思議な世界観と切なさ残る読後感が好きなんですよね。時折無性に読みたくなり、実は感想書いていないだけで、けっこう読んでいます。長編よりも短編が好き。本作では表題作の他、「石ノ目」「はじめ」「BLUE」が収録されています。*石ノ目「石ノ目の目を見てしまった者は、石となる」地方の伝承を巡る物語。初めて読んだときから苦手でした。世話をしてくれた女の人が可哀想で。彼女の人生を思うとやりきれない気持ちにさせられます。初読からだいぶ経ちましたが、苦手意識は変わりませんでした。*はじめこちらは苦手から一転、おもしろく読むことができました。男勝りで悪名の高い”はじめ”という設定、そもそも女の子に罪をなすりつけないで!という気持ちが強かったのですが、少年・少女たちの冒険と心通わせていく過程が今回は心地よさを感じて。幼い彼らの成長を見守っていました。…年ですね。爽やかで、切ない青春の物語です。*BLUE昔も今も、大好きな作品です。この作品があったから、古本屋に売らなかったんだろうなぁ。「王子」「王女」「騎士」「白馬」、そして余った生地からできあがった「ブルー」。彼らは不思議な布から作られた、自分の意思を持ったぬいぐるみです。ぬいぐるみを買ったカーロス家の人々の前では返品を恐れ、じっとしていますが、誰もいないところでは思うままに動きます。自分たちのことしか考えない王子、王女、白馬はブルーを蔑み、騎士はそんな彼らに従っています。持ち主であるウェンディの一番になりたく、他のぬいぐるみを排除しようと王子たちは動き出し…というストーリーです。ブルーがめちゃめちゃいいやつなんです。見た目で蔑まれても努力をしたり、誰かの助けになろうとしたり。乱暴者のテッドと心通わせていく姿にじーんとさせられました。ラストシーンが大好きです。涙、涙です。*平面いぬ。「ちょっとした気まぐれから、謎の中国人彫師彫ってもらった犬の刺青」―が受け付けないまま読了してしまいました。ポイントはそこではないんですけどね。刺青というマイナスイメージや、自分以外の家族全員が癌という境遇の中、軽快なタッチで重さを全く感じなかったのが印象的でした。 >> 続きを読む
2020/06/16 by あすか
村上春樹 , 大橋歩
2018年8月5日にFM TOKYOで『村上RADIO(レディオ)~RUN&SONGS~』という特別番組が放送されました。村上春樹DJ初挑戦!ラジオで話したことがそもそも初めてらしく、私も日本語の声を聴いたのはたぶん初めて。声というよりも話し方がちょっと意外な感じでしたが、この語りを記憶にとどめつつ、この本を読みました。『村上ラヂオ』!!!『anan』(2000年3月17日号 - 2001年3月3日号)に1年間連載されたコラムを加筆修正してまとめた50篇の軽いエッセイ。挿絵に大橋歩さんの銅版画が贅沢に使われています。『anan』ってところから、なんで春樹さん連載受けたんだろう?とは思いますが、人を傷つけないことを心がけ、ということで、当たり障りのない、要するにどうでもいい話を書いています。焼かれたブラジャーが気になったり、体重計に感情移入したり。まあ、エッセイって、どうでもいい話が面白いという点が大事な訳ですが。でも、なるほどこれってラジオのDJのおしゃべりそのものかもしれませんよ!今回の放送では「僕が走る時に聴いている音楽」がテーマでした。彼の選曲は一般に走りのリズムでイメージする曲とかなり異なっている気がします。意識的にその辺で流れていない曲を選んでいましたし。スピードよりもゆったりきもちよいペースを大事にしているのかな?という感じ。このエッセイの中に書かれているそのまんまがラジオのおしゃべりになっていたりして、そんな「発見」はファンとしては楽しいですね。そして今、アニマルズの「スカイ・パイロット」は耳に残ってしまって、ふと気づくとエンドレスで脳内再生しています。どうでもいい話といいながらも村上春樹の人間性はエッセイの中で顕著になります。例えば、こんな話 「けんかをしない」僕はとても性格温厚とは言えないけど、正面切って他人とけんかをすることはまずない。…(ざっくり省略)…かなりの確信を持って思うんだけど、世の中で何がいちばん人を深く損なうかというと、それは見当違いな褒め方をされることだ。そういう褒め方をされて駄目になっていった人をたくさん見てきた。人間って他人に褒められると、それにこたえようとして無理をするものだから、そこで本来の自分を見失ってしまうケースが少なくない。 だからあなたも、誰かに故のない(あるいは故のある)悪口を言われて傷ついても、「ああよかった。褒められたりしなくて嬉しいなあ、ほくほく」と考えるようにするといいです。といっても、そんなことなかなか思えないんだけどね。うん。 >> 続きを読む
2018/08/14 by 月うさぎ
岩本正恵 , アンソニー・ドーア
アンソニー・ドーアの長編和訳が刊行されて、とりあえずデビュー作からと手に取ったのですが、ものすごく好みでした。なんだこれ、なんだこれ!全編通して自然への崇敬と愛情をひしひしと感じます。釣りの話が多いのは、著者のドーア氏自身が釣り好きだかららしい。ざわざわと木々が風に揺れる音が聞こえてくるような気がするし、ハイビジョンよりも鮮明にミクロな視点で虫や花を観察しているような気にもなる。ミクロなズームの視点が印象的です。流れるような現在形の文体と、体言止め。そう、現在形の文体が非常に印象的だったんですが、読了して見返すと、全編ではなかったです。特徴的なくらいに現在形が使われているのは『たくさんのチャンス』『もつれた糸』『世話係』でしょうか。『世話係』はリベリアのとある難民の話なのですが、彼が突然日常を失いアメリカに渡って生き延びるのが、過去形ではなく現在形で描かれているためか、追体験している感じがすごかった。特に検問所のシーンがたまらなかった。私は『世話係』が一番好きかもしれない。とてもきれいな小説だ。とはいえ全編通して素晴らしかった。大自然のなかで翻弄される人間、抗いきれない大きな時代の波だとか、運命と呼ぶものにもてあそばれながら、それでも生きていこうと立ち向かう姿が格好いい。陳腐な言葉にしかならないのがもどかしい。訳も上手なんだろうなぁと思います。すごく雰囲気のいい短編集でした。今回は図書館で借りましたが、これは、買わないと。 >> 続きを読む
2016/10/01 by ワルツ
冲方丁
【カジノ・シーンは第二巻の、いや『スクランブル』中の白眉だ!】 さて、第二巻の『燃焼』に入り、バロットらの反撃が始まります。 ボイルドもかなり強引に攻め込んでくるのですが、そこは何とか退け、逆に攻勢に出ようというのが第二巻になります。 バロットは、ウフコックやボイルドが改造された研究施設で、膨大な電子情報の海に漬かりながらシェルのこれまでの記憶(マネー・ロンダリングの記憶や、少女たちを惨殺してきた記憶です)がどうなったのかを探りにかかります。 その結果、シェルの記憶は外部メモリーに移され、そのメモリーは、シェルが経営するカジノの一つで使われている100万ドルという超高額チップ4枚の中に隠されていることが分かったのです。 このチップさえ手に入れることができれば、シェルがやってきた悪事を立証することが可能になります。 でも、どうやってそんなチップを手に入れれば良いのでしょうか? 「強盗?」と尋ねるバロットに対して、ドクター・イスターは、それは最後の手段だと言います。 ドクターの提案は、カジノで賭けに勝って100万ドルのチップを吐き出させるというものでした。 そんなことが可能なのでしょうか? ドクターは、カジノでの勝負に自信がありそうではあります。 しかし、それだけで海千山千のカジノのハウスを負かすことなど、しかもただの負けではなく100万ドルのチップを何枚も吐き出させるほどの負けを被らせることなどとても不可能に思えます。 しかし、ウフコックもこの作戦に乗ると言うのです。 バロットは、ドクターからにわか仕込みでカジノでの様々な勝負のイロハを教わりますが、いかにも付け焼刃に過ぎません。 しかし、バロットの手袋はウフコックが変身(ターン)したものでした。 ウフコックは、勝負ごとにバロットに的確なアドバイスを与え、詳細な確率計算や、バロットの手持資金(バンンクロール)をもとにした適切な賭金の計算、各種セオリーに基づいた戦術などを瞬時に示す他、ディーラーやスピナー(ルーレットでボールを投げ入れる者です)の技術、心理的な誘導などについても教えていきます。 バロットも大したもので、驚くべき速さでこれらのことを飲み込んでいくのです。 第二巻では、このカジノのシーンが猛烈に面白いのです。 スロット・マシーンに始まり、ポーカー、ルーレット、ブラックジャックへと進み、それぞれのゲームの勘所、ディーラーや他の客との駆け引き、ち密な計算、ひりひりするような心理的な誘導とその防御などが非常に巧みに描写され、最初にこの部分を読んだ時からものすごく面白いと感じました。 ここは作者の卓越した描写力、構成の巧さに舌を巻きました。 第二巻では、カジノでの勝負の途中までが描かれますが、この後、大勝負が待っているはずです(私が初めて読んだ『スクランブル』の燃焼編は、『完全版』ではなく、また、文庫版でもありませんでしたので、一冊に収録されている部分がこの本とは違っていました)。 私は、このカジノ・シーンのあまりの面白さからマルドゥック・シリーズにすっかりハマってしまったのです。 もちろん、物語の全体を楽しんでいただくためには、私のように、この燃焼編から(しかもそこだけ)読むなどということは決してお勧めしませんが、少なくともここは読む価値は大だと断言してしまいます。 さて、『スクランブル』もいよいよ最終巻へと向かいます。 カジノ・シーンの決着を再度楽しみ、それに続く物語のラストまで一気に読んでいきますよ~。読了時間メーター■■ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK) >> 続きを読む
2020/09/24 by ef177
若竹 七海
短編ではあるが連作になっている葉村晶シリーズ第2弾。この作品から探偵業にシフトする葉村。事務所の面々も登場し、過去の姉とのいざこざも抱えたまま事件へ。繋がりがあるためなのか、葉村の不運なのか。後半に行くにつれよりダークな仕上がりに。特にアヴェ・マリアの件は驚くし、敢えて葉村と違う探偵を主役に持ってきたのもそのためかと。他の話も推理のキレだったり、悪意が満載だったり。ラストの話はそういうオチなのかと驚く。切れ味抜群のセリフも含めて堪能しました。 >> 続きを読む
2019/11/24 by オーウェン
ArnoldJohn , 新広記
我々の触れられる歴史は「事実」の全てではない。誰かの意図が含まれた「真実」である事が多い。疑って読まねば。 >> 続きを読む
2013/06/15 by freaks004
小林多喜二
以前から無性に読みたかった小説。悲惨な労働環境や拷問の強烈な模写が著者の訴えたい事を倍加させてとにかく刺激が強かった。当時の労使環境は劣悪だったけど、現在も根本的には変わって無いような気がするな。資本家と労働者、使う者と使われる者・・・。自分もこのままじゃいけないよな。 >> 続きを読む
2018/11/19 by キトー戦士
池井戸潤
池井戸潤の書き下ろし大作「BT'63」は、一種のタイムスリップもの。父親の遺品を身に付けることで、過去へ遡行するのは、ジャック・フィニィ系だが、この「BT'63」は、意識だけが過去の父親の肉体に入るパターン。日本初の宅配便という名案を思いついた、運送会社勤務の父親が、新事業に邁進するあたりは、グイグイ読ませるものの、やがて事件に巻き込まれ、異様な風体の殺し屋まで登場するのは、いくらエンタメ小説とはいっても少々サービス過剰だと思う。父と子の関係に、もっと焦点を絞って、泣かせ一本で攻めた方が正解だったような気がする。 >> 続きを読む
2020/01/13 by dreamer
梅森 浩一
10年前くらいにベンチャー企業を興そうと奮闘していた先輩からもらった本。外資系の会社と日本の会社の考え方が違うことに衝撃を受けた。外資は社員をある分野のプロとして雇う。その分野の仕事がひと段落すれば、その人はいらなくなる。「クビキラー」としてばりばり働く著者が、クビを切られるということにも驚きました。日本の会社のスタイル(色々な部署を経験できることや終身雇用)は、悪くは無いが、はんこを押すだけしかできない「会社のお荷物」を量産するシステムであることは事実。定年制を廃止し、アーリリタイアメントを考える。お金があってもだらだら働くのが日本人。「何のために働くのか」から「何のために生きるのか」そして「どうやって人生を過ごすのか」と表題では想像をつかないような深みがある内容でした。 >> 続きを読む
2018/09/30 by KOO
内田麟太郎 , 降矢奈々
ほほえましく、かわいらしく、そして最後はじーんとさせられる。 本当に、人の体験や誰かと一緒にいることは、何かの目的というよりも、丸ごとの体験を喜べる時に、その豊かさが味わわれると思うのだと思う。 当初の目的はどうでもよく、ともに過ごした体験や、一緒に見たり味わったすべてのことが、本当は一番大切なことかもしれない。 >> 続きを読む
2012/12/23 by atsushi
阿刀田高
八百万の神が住まう日本。すべてのものに神が宿るという考え方のルーツが、古事記にある。古事記は、大和朝廷の基盤が強固になったとき、自らの血筋がいかに正当なものか、後追いの形で作られたもの。それは、神が国土を造ったところまでさかのぼり、神話・伝説を経て、歴史へとたどり着く。「ヤマタノオロチ」「因幡の白兎」「ヤマトタケル」等、我々になじみ深い古事記のエピソードを含め、作者が面白いと思うエピソードを中心に紹介しているように思う。信じるかどうかはともかく、古事記の痕跡は、日本各地に点在しているから、旅をするとき訪れてもいいなあ。なんて興味を持った。これを読む前に、小学生向けの漫画で古事記を読んでいたので、さらにわかりやすかった。 >> 続きを読む
2015/10/27 by shizuka8
エリザベス・キューブラー・ロス , 上野圭一
天命、使命、mission、そう言ったものは、人が絶望の中から一筋の光の様に与えられるものだと思っていた。しかし、生まれながらに自分の天命を悟っている人がいる事を、この伝記から知った。死生観なとど言う言葉すら無かった時代。「死」を忌避し続ける医学界に抵抗し、「人の死とは何か」を探究し続け、死を迎える患者に真摯に問い続け、死に寄り添うあらゆる人から学ぶ。「死を考えることは生を考えること」。死の五段階の受容過程の研究は、その後の終末期医療の先がけとなる。世界的な名声を得てもなお、常に困難な道ばかりを選ぶ。「いのちの唯一の目的は成長することにある。偶然と言うものはないのだ」と言う通り、困難な道を自ら選択し、その学びからしか成長は無いのだと言わんばかりに。自らの闘病も、「肉体からの卒業」の最後の学びだと受け止める。「死」と言うナイーブなテーマの為、心揺さぶられ涙が勝手に溢れることしばしば。移動中にうっかり読んで隣の人に怪訝な顔をされるので、読む場所に注意して。 >> 続きを読む
2016/02/28 by FUKUchan
瀬名秀明
かなり苦戦しました(^^;) こういう本を楽しめない私って可愛くない大人になってしまったんだなと思うのですが・・・。私の想像力の欠如が問題だとはわかってますが映像で見たほうが楽しめそうな作品。 >> 続きを読む
2013/05/19 by igaiga
京極夏彦
京極夏彦と言えば辞書の様に分厚い京極堂シリーズが有名ですが、私は巷説百物語シリーズの方が好き。(というか京極堂シリーズは苦手) 妖怪・物の怪のたぐいの小説と思いきや実は勧善懲悪の時代劇エンターテイメント。 妖怪による奇妙な事件の裏には外道を嵌めるための仕掛けが隠されている。それを諸国の百物語の開版を志す戯作者の山岡百介の視点で描かれます。 小悪党一味の又市、おぎん、治平のキャラクターが個性的で主人公・百介とのやりとりで笑いを誘います。 事件の裏側のトリック・仕掛けは秀逸でミステリ的にも面白い。 本作に続けて「続巷説百物語」と直木賞受賞の「後巷説百物語」を読みましたが全作読み応え十分。シリーズの終わり方としても納得しつつも、もう続きが読めないことを残念に感じました。(前巷説百物語と西巷説百物語は続編より外伝的な扱い) >> 続きを読む
2012/07/31 by ybook
小川忠
宗教ですらよくわかっていないので、原理主義となると理解のハードルはさらに高い。読んでみてやっといくらか理解できた程度かと。 >> 続きを読む
出版年月 - 2003年6月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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