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2003年9月発行の書籍

人気の作品

      クリティカルチェーン なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?

      三本木亮 , GoldrattEliyahu M

      ダイヤモンド社
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね!
      • プロジェクトと納期という切り離せない問題に対して、
        物語形式で語られていきます。

        他の方がおっしゃっているように、読みやすかったですが、
        会話文の中に重要なことがちりばめられていて、
        自分の中で整理するのはちょっと大変でした。

        ・コストワールド:全体最適にはつながらない
        ・スループット・ワールド:利益を優先すること
        のふたつの世界観があり、この二つは相容れないものである

        セーフティを組み込んでいるにも関わらず、作業が遅れてしまう理由
        ・ギリギリまで着手しない学生症候群
        ・作業のかけもち
        ・作業の遅れは蓄積するが、早く完了しても短縮されない
        は、納得でした。

        納期を決めないでリードタイムをお金で買う、という方法はなるほど、と思いましたが、
        実際うまくいくのか…は、どうなのだろうか、と思います。

        ひとつひとつ、読んで自分なりにかみくだくのに時間がかかりました。

        読んで「ふむふむ」とはなりましたが、
        これをすぐに生かせるかというと今の自分では難しいところがあります。
        まだ全部は消化しきれていない気がするので、
        また時間が経ったら読んでみたいです。
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        2015/09/22 by inaho

    • 他8人がレビュー登録、 23人が本棚登録しています
      ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット「トルメキア戦役バージョン」

      宮崎 駿

      徳間書店
      4.8
      いいね! ybook
      • 1982年~1994年まで連載された作品一気読み!

        アニメ映画はこの原作の2巻程度の内容で、物語はまだつづいていた!
        そのへんが気になったので一気読みしてみました(図書館にあったので)
        ナウシカは「聖女」ですな。
        カリスマです。

        巨神兵のママです(衝撃w)

        (amazon解説)
        アニメーション作家、宮崎駿の名を広く世の中に浸透させた映画『風の谷のナウシカ』の原作コミック。
        アニメーション雑誌「アニメージュ」に1982年2月号から連載が始まるや、可憐だが芯が強く行動力のある女性主人公ナウシカをはじめ、「王蟲」などの巨大で不気味な蟲(むし)たちの存在、そしてそれらを取り巻く壮大で奥深い物語世界を精緻に描いて、ファンの間でたちまち話題になった。
        「火の七日間」と呼ばれた世界大戦から1000年後、地球は、毒ガスを吐き出し、不気味な蟲たちが徘徊する「腐海」と呼ばれる森に覆われようとしていた。ナウシカは、腐海のほとりにある「風の谷」の族長の娘である。ある日、風の谷に、蟲たちに襲われた1隻の商船が不時着したところから物語は始まる。それは軍事大国トルメキア王国と、それに対抗する土鬼(ドルク)諸侯国との泥沼の戦乱の始まりでもあった。ナウシカはひとり風の谷の命運を背負って、その戦いに飛び込んでいく。
        連載中に映画化が決定し、折からのエコロジーブームと絡み合って社会現象にまでなった。映画化されてからも連載は続き、たびたび中断しながら、1994年3月にようやく完結にこぎつける。実に13年も費やした大作となった。
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        2018/08/23 by motti

    • 他7人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      あなたの人生の物語

      浅倉久志 , テッド・チャン

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! Tukiwami

      • 8つの宝石に輝く冠と言えばいいだろうか。

        ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞といった錚々たる賞を受賞した8つの短篇を収録した作品集の「あなたの人生の物語」を再読。

        SFにあまり詳しくない方は、これらの賞はノーベル文学賞みたいなものだと考えてもらえばいいと思います。
        そういう人にも、是非、読んでみて欲しいと思いますね。

        もし神が始終この世に現われるようになったら?
        容姿の美貌に無関心になる装置ができたら?
        呪文が実在する社会があれば?
        どんな事柄も一個の文字にしてしまう言語があったら?

        そんな「もし」から、一つ一つの作品は始まります。
        それは言ってみれば、SFの定石通りではあるのですが、その「もし」を小道具にした冒険やファンタジーの物語ではないんですね。

        著者のテッド・チャンが描くのはむしろ、その「もし」が実現された仮想世界そのものであり、それを鏡にして、そうでない私たちの世界の本当の姿を映し出したんですね。

        例えば、神がいないことで、不平等が個性でもあることによって、あるいは過去を凍らせることで、この世界は成りたっているのだ、と。

        なかでも表題作の「あなたの人生の物語」は、特に美しい。
        あらゆる事柄を一つの文字で表わす異星人との出会いが語られるのですが、欧米人よりむしろ、日本人の方がなじめるのかもしれません。

        この文字では、既存の文字を組み合わせて、どんどん新たな文字がつくられる。
        いわば、漢字のスペシャル版なんですね。

        だが、その奇抜さがこの作品のテーマではないと思う。
        「もし」こんな文字があれば、それは因果とは別の形で世界を表現できる。

        そんな仮想の中で、言語の本質や「私とあなた」をめぐる深く鋭い思惟が、物理法則の可逆性の問題と見事に溶け合いながら、一人の母から娘への手紙へ流れ込み、人の"生と死の意味"を塗りかえていく。

        最後の数行を読み終わった時、私はただゆっくり息をすることしかできなかった。

        著者のテッド・チャンは、中国系のアメリカ人。
        文字や言語への鋭い感性は、その出自と無関係ではないだろう。

        いずれにしても、この作品は、言葉が持つ可能性の深さを教えてくれる、優れて知的で刺激的な作品だと思いますね。

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        2019/01/31 by dreamer

    • 他6人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      オリエント急行の殺人 クリスティー文庫)

      アガサ・クリスティ , 中村能三

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 初見でこの作品の犯人を当てることが出来れば、相当捻くれた人だろうな(笑)
        そのくらい有名な原作なので、オチはもう知れ渡っている。

        ただそれでも楽しめるのは間違いなく、映画版ではカットされている乗客の設定などが細部まで描かれている。
        それらの過去を踏まえたうえで、オリエント急行で起きる事件。
        しかし犯人の誤算は同じ列車にエルキュール・ポアロが同乗していたこと。

        ラストのポアロの選択など、原作としては忘れていることが結構あったので、最後まで楽しく読めた。
        これを機にアガサ・クリスティの他の作品も読んでみたい。
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        2018/03/08 by オーウェン

    • 他6人がレビュー登録、 23人が本棚登録しています
      ヒカルの碁

      小畑健

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね!
      • 少年ジャンプという幼稚園児も読んでいるような雑誌の漫画だとは思えないくらいシビアな作品だと思った記憶がある。

        努力しようが根性出そうが負ける時は負けるし取り残される時は取り残される、という現実を突きつけられるような作品とでも言うか…
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        2018/01/30 by kikima

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    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      ボストン、沈黙の街

      東野さやか , LandayWilliam

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! ooitee
      • 田舎町で起きた検事補殺し。
        若き警察署長のベンは、犯人と目されるギャングを追ってボストンへ捜査に向かう。

        長編1作目でこれだけのものを書ききるのは容易ではない。

        犯人探しから、謎を呼ぶミステリの経過。
        そして意外性のあるラストが待ち構えている。
        この終盤はまさかの展開であり、真犯人のために伏線がきっちり敷かれている。

        キャラも皆立っており、ブラクストンの惑わせる言動や、ベンの特異な家族も印象に残る仕上がり。
        他作品も読んでみたくなる。
        >> 続きを読む

        2018/09/08 by オーウェン

    • 他2人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      ジャン・クリストフ

      Rolland, Romain, 1866-1944 , 豊島与志雄

      岩波書店
      4.5
      いいね!
      • 『ジャン・クリストフ』[全四冊] (ロマン・ローラン/豊島与志雄訳) <岩波文庫> 読了です。

        ドイツの小都市に生まれた音楽家ジャン・クリストフ・クラフトの、生誕から死去に至る文字通り一生を描いた作品です。
        全四冊、二千数百ページを要した長大な作品です。

        クリストフの成長譚、と括ってしまうにはあまりに濃密な内容でした。
        私は「読書は趣味でしかない」とこれまで考えてきましたが、この作品を読むと、単なる趣味では済まされないような気がしてきます。
        この作品を読み切るためには、相当な読書力を求められるでしょう。(手前味噌ですみません)
        正直なところ、あの『失われた時を求めて』よりも手強かったです。
        「我こそは!」と思われる方がおられたら、ぜひ挑戦していただきたいです。

        去年の十二月半ば、2016年から2017年への年越本にこの作品を選んで、読み終えるのに三か月半かかりました。
        ずっとクリストフと付き合っていると、彼との別れが寂しく感じられます。
        自分をクリストフに投影していましたし、クリストフからもいろんな影響を受けました。
        特に、クリストフが少年期に叔父からかけられた言葉、老年期で至った境地、は、私の人生の指針となりそうです。

        あと、これは蛇足ですが、BLの要素も含んでいます。
        そういうのがお好きであれば、第一冊 P226から始まるオットーとの出会い、第三冊 P145から始まるオリヴィエとの交流を、つまんでみても面白いかな、と思います。 :-)
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        2017/04/30 by IKUNO

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      ツ、イ、ラ、ク

      姫野カオルコ

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 小学校2年生の頃の同級生、頼子、統子、準子、京美、愛、マミ、温子
        狭い町なので、中学までいっしょのメンバーだった。小学校からずっと同じ女の子の事が好きだった男の子やほかの子に気を使いながらも好きな子が転々とする子など、学生時代にある普通の恋愛があった。
        そんな中で、ある日担任の先生が産休に入ることになり、若い男教師の河村が産休補助としてやってきた。かっこいい~と女子生徒が騒ぐ中、全然興味のなかった準子だったが、ある偶然の出来事から河村と禁断の恋へと踏み込んでしまう。

        生徒と教師の恋は、こんな感じなのだろうかと思ってしまう。
        とても不思議な感じの昭和の香りがする”姫野ワールド”
        強烈な感じに驚きながらも、相手の事を思って身を引くお互いの心が切なかったと思いました。
        >> 続きを読む

        2014/10/10 by ゆうゆう

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      塗仏の宴

      京極夏彦

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • 盛り上げたな~と。

        関口を拘束し、絡新婦を引き出して即退場させ、朱美も再登場。

        ちなみに、宴の支度は整いました、の決め台詞が帯に書かれているけれど、これ下巻?の100P目くらいに出てくるメッセージで、それならそこで上巻を切りなさいよと。。。出てこないメッセージを帯に書いちゃいけません。

        いやしかし、「世界に不思議ではないことなどないのですよ」のセリフ、いいですね~。
        京極との対決、とても楽しみです。


        追伸:作中の一節、「蒼穹はあくまでも高く澄み、翠層はあくまでも深く冴えていた」はとても綺麗で格調高い表現と感じ入りました。京極は、話が面白い一方でこうした文章表現が巧いところ、本当に気に入っています。
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        2017/08/19 by フッフール

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      子産

      宮城谷昌光

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 信義なき世をいかに生きるか。
        春秋時代中期、小国鄭は晋と楚の二大国間で向背を繰り返し、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。
        戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国(しこく)と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。
        親子二代に亘る勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。

        第35回(2001年) 吉川英治文学賞受賞

        「小説現代」誌(1998年1月号~)に連載されていた長編小説をまとめたものです。
        中国古代史を典に採った歴史小説を書かれている作家さんとしては、おそらく我が国で五本の指には数えられるであろう宮城谷さんの、その十八番である中国古代ロマンを初めて読んでみました。
        難解な漢字や、故事が頻出し、また春秋戦国時代の中国についての知識が皆無と言っていい僕にとっては、かなり読みごたえのある読書になりました。
        どちらかというと、趣味や娯楽といった読書ではなく、教科書を読んだような、学ぶべきところの多い有意義な読書になりました。

        時は紀元前、春秋戦国時代の中国・平原。
        周王朝から降ること数百年、中華は北方に晋、南部に楚という二大国が鼎立し、その二国間をめぐり、周囲の小国が向背を繰り返し、戦乱の火が尽きる事のない消耗の時代に突入していました。
        小国・鄭の王族の子に生まれた子産は、幼いながらもその利発さを発揮し、彼に故事を教える史官をして驚嘆せしめる記憶力、発想力を著し、ついに“天才”と言わしめます。
        子産の父・子国は歴戦の武将でした。
        武の家に、文に明るい子が出たか、と、戸惑いを隠さぬ子国でしたが、付き従う一族の長・子駟の政事に忠実に従い、ある時は他国を攻め、ある時は一心腐乱に首都を護り…家中の些事には気を向ける暇もないほど、多忙な日々を送っていました。
        繰り返される戦禍の最中、君を送り、太子を新たな君と奉ったあたりから、一族を覆う禍々しい影。
        鄭国の政事を司り、実権を握り続ける子国ら穆公七家に対する、不満の嵐は、こともあろうに一族が即位を推し進めた国王から発せられていたのでした。

        登場人物の多さや、関係する国の多さに、やはりここでも相関図、系図を作成しながらの読書になりました。
        古代中国の卿制度や、礼に対する貴族たちの考え方など、目新しい発見ばかりで新鮮です。
        上巻は、タイトルにも掲げられた主人公・子産についてよりも、父・子国の活躍がメインに語られます。
        天賦の才を発揮し始めた子産が、ついに鄭国朝廷へ召し出され、戦乱の世を、鄭を何処へ導くのか。
        興趣が尽きず、下巻へ進みます。


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        2015/07/25 by 課長代理

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    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      子産

      宮城谷昌光

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 信義なき世をいかに生きるか。
        感動をよぶ歴史叙事詩。

        謀叛に巻きこまれ、父・子国は果てる。
        3年の長きにわたり喪に服した子産はその後、苛烈なる改革者にして情意あふれる恵人として、人を活かす礼とは何かを極め、鄭と運命をともにしていく。
        時代を超えることばをもった最初の人・子産とその時代を、比類なき風格と凛然たる文体で描く、宮城谷文学の傑作長編。

        上巻に続いて、下巻を読み終えました。
        上巻では、もっぱら子産の父・子国を主人公に、乱世の二大国に挟まれ、その向背を風見鶏のように左右していた小国・鄭の苦難が描かれていました。
        下巻で、ついに、天才の誉れ高き貴人・子産の登場となります。

        二大国晋にせよ、楚にせよ、春秋時代は君とその一族の時代でした。
        周王朝から枝分かれした諸国は、名君が出ればその臣(つまり兄弟をはじめとする一族・連枝)は暗であったり、暗君をいただいた国は賢臣により支えられているという、いわば自然摂理のような様相を呈していました。
        そこに、他の氏族の入る余地がなかったということが、いたずらに戦乱の世を数百年と永らえてしまった因ではないかと思いました。

        鄭国においても然り。
        限られた氏長者たちだけで運営されていた政府は、意外なことに年功序列に近い順序で地位が決まっていきます。
        そして、子産が活躍し始めた紀元前五〇〇年頃の中華では、君の時代から大臣の時代へと変遷していった過程の只中にあったと、作者は綴ります。
        病を得た君主を見舞うと見せかけ縊り殺す執政、幼君を立て傀儡化し
        国富を懐中に納める執政と、時はまさに乱世、一寸先は闇というなか、誰もが誰もを信じることができなくなっていたその時期に、『礼』ひとつを生涯の規範と信じ、公平な眼で政を行う子産に鄭国内のみならず隣国、遠国からも声望が集まります。
        死を得るまで、政治、軍事ともに出色の活躍をみせた子産でしたが、その陰には常に『礼』を重んじる心があり、その謙譲の心があったればこそ「子産をこそ」と励まし、支える多くの有力者たちの後援に繋がりました。
        孔子をして、その死を「いにしえの遺愛なり」と悼惜させた、中華の大人・子産の人生を、史実に可能な限り忠実に(架空の人物を登場させたり、ドラマチックな展開・要素を極力排除して)、描かれた歴史ロマンです。

        驚いたのは、冒頭にも書きましたが、春秋時代の中華の各国の人材登用が能力に依るものではなく、あくまで血筋を重んじていたということです。
        それでは、一国の政事を司る人材にはじめから限りがあり、大きく国勢が飛躍するということが考えにくいと思いました。
        また、戦争をする理由というものが不明確なのですね。
        領地争いというのでもない。
        攻め寄せては、攻略し、そして奴隷を獲得したり、自国に有利な通商の約定を交したりして自国へ引き上げてゆくの繰り返し。
        時折、子産のように礼儀を重んじるあまり、敵国君主に対し弓矢を向けるは無礼と、下馬し拝礼する始末。
        本作を読んだ限りでは、中国古代春秋時代というのは、あくまで貴族間の駆け引きの時代。
        民草は、税を納め、使役に耐える、“国民”ではなかったようです。
        その当時の価値観をしっかりと伝えてくれる丁寧な文章は、あとがきでご自身が述懐している通り、一日に400字詰め原稿用紙1枚を書き上げるのが限界だったという、まさに苦心の作。
        1000枚を超えた長編ですので、創作は1000夜を数え、ついに病に倒れ、連載が一時期中断したというエピソードは、さもあらんといった話でした。

        血筋、力がすべてだった荒廃した時代に、『礼』とことばを重んじた子産。
        外交や、困難な内部調整も、自らの内に確固とした規範があるからこそ、涼やかに、そして確実にこなしてゆきます。
        その口から発せられることばの数々は、後世にまで残る訓戒として、現代社会にも置き換えられる“玉”のようなものでした。

        ことばの力とは何であるか。
        それはおそらくことばを産み、表現することが、その者の真正さにかかわりがあるということだろう。
        彼が聞いたのは、子産のことばであったにはちがいないが、じつは子産そのものではなかったか。
        子産そのものを聴いたのである。
        >> 続きを読む

        2015/07/31 by 課長代理

      • コメント 6件
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      峠

      司馬遼太郎

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 幕末の長岡藩の下級武士、河井継之助の物語。この男の魅力はある種奇人?的な部分を持ちながら、常に自分の置かれた立場や役割を意識して、世の中の的確な読みを以て藩を良くしていくところだと思う。若い時に藩の下級官吏をしても、「自分はもっと藩の要職で働くべきだ」とすぐに辞めちゃったり、30代になってから妻もいて家督を継いでるのに「学生」となるため江戸に出るとか、実家に「学費」をせびってその金で吉原に行くとか、宿題はお芋で後輩を買収してやってもらうとか、藩主が、幕府内で栄転するのを必死で阻止したり、私がその関係者だったらあまり関わりたくないような、現代から見ると痛々しい人に見える行動をおこしている。そんな人が乱世で活躍するのだから歴史は面白いと思う。 >> 続きを読む

        2014/08/23 by harubou

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 14人が本棚登録しています
      峠

      司馬遼太郎

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 歴史にもしもはないと言われるが、河井継之助の能力を別の立場で発揮されるところを見てみたかった。
        「長岡という小藩にうまれたことは継之助にとって不幸であったが、長岡という小藩にとっても継之助を生んだことは不幸であった。」
        大小問わない藩内改革の手腕、世の中を見通す観察眼、類い稀な将軍としての才能。どんな国、地域でも、どんな時代でも、上の能力を持つ政治家は素晴らしい活躍だと思う。
        ただこの河井には時勢と立場が揃わなかった。惜しいことである。
        >> 続きを読む

        2014/09/20 by harubou

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      長崎ぶらぶら節

      なかにし礼

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 長崎・丸山の芸者置屋島田屋の売れっ子芸者、愛八。
        幼い頃から芸を磨いてきた愛八は、軽薄に遊びながらも本物を志向する花街の客に、大変愛された。
        その愛八が、50を目前に、長崎学の第一人者である古賀先生とともに、長崎で歌い継がれてきた古い歌を探し、記録するという骨の折れる作業に乗り出した。

        愛八が見せる情のあつさ。竹を割ったような気持ちの良い性格。
        好きな男性に思いを寄せる、少女のようないじらしさ。
        これは、愛八が50過ぎての物語だが、それらが非常に瑞々しく描かれていて、ずっと愛八から目が離せななかった。
        >> 続きを読む

        2015/09/18 by shizuka8

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      100万回の言い訳

      唯川恵

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! May
      • 子供
        夫婦
        同居
        不倫


        人はたくさん言い訳をする。嘘か本当か、なにか不都合があると言い訳をするたくさん。
        この本を読んで、結婚や子供のことそして夫婦とはなんだろうか
        そして女性として一人の人間としてと考えさせられた。
        結婚する前にこの一冊を読むと良いかもしれないと思った。
        >> 続きを読む

        2016/04/10 by -water-

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      親指さがし

      山田悠介

      幻冬舎
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 山田悠介さんの三作目

        5人の小学生のうちのひとりが、突然ある噂を話し始めた。
        それは、バラバラ殺人の事件で、なぜか左手の親指だけが見つからない、
        その親指を見つけてあげるという不思議な儀式の噂。

        遊び半分で始めた5人に降りかかる、恐怖。


        割合、読みやすいホラーでした。
        普段ホラーを読まない人でも、さっくり読めると思います。
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        2015/04/14 by ペンギン

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      彼女は存在しない

      浦賀和宏

      幻冬舎
      カテゴリー:小説、物語
      2.8
      いいね!
      • 解離性同一性障害(多重人格)者による犯罪を扱ったミステリー作品。

        tamaさんと違って、オチが読めなかったので結末で「あぁそうだったのか」とある程度驚きを覚えましたが・・・それだけ。
        ミスリードを誘発するための持って行き方が雑だったし、設定に対して嫌悪感が上回ってしまった。

        まず好みの問題もあるが、文章が下手で読みはじめで躓いてしまった。
        マクドナルドで何を注文したとか、ミニコンポのカラーバリエーションでどれを選択したとかどうでもいい情報が多い。
        その割には本筋のストーリーがわかりにくく、場面がコロコロと移り変わりすぎて誰の主観で描かれているのか見失うことが多い。
        登場人物達の思考、言動が支離滅裂で全然魅力がない。

        また音楽の話がくどくどとページを割いて書かれていているのも、結局物語に関係が無く意味が分からなかった。

        グロテスクな表現の小説などそれほど苦手ではないが、本作は解離性同一性障害を安易に犯罪者にしたてあげた上で面白おかしく演出するあたりは嫌悪感を感じてしまった。

        気になるタイトルと帯びに騙されて買ってしまったが、この作者の作品はもう読まないだろう。
        >> 続きを読む

        2012/10/25 by ybook

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      しかもフタが無い

      ヨシタケシンスケ

      PARCO出版
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      2.0
      いいね!
      • 他の本棚とは分けて別の場所に置いてある、気持ちがささくれ立ってきたら開く本シリーズのひとつです。

        力の抜けた独特のタッチで描かれたスケッチ集ですが、絶妙な表情で呟くキャラクターのたちの一言が、なんというかもうジャストミートで、自分のココロのかなりはしっこの方にそっと留め置いてあった部分にまっすぐ刺さります!

        これはもう説明も理屈もナシ。
        とにかく自分の全てをくったり委ねながら、ぽけーっと読みたくなる本です。
        >> 続きを読む

        2015/09/07 by nomarie

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      公園のメアリー・ポピンズ

      TraversPamela L , 林容吉

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • メアリーポピンズをはじめとするバンクス家とその仲間たちの不思議なお話。

        私はこの本がお気に入りで、とても魅力的に思う。
        この本を読んでいると、心の奥まで沁みる何かを感じる…
        ―人間の本質なのか―世界の本質なのか―具体的に言葉にすることがなかなかできない…そういった目に見えない大切な何かがこのおとぎ話の中に入っていると感じる。

        もともと冒険ものやファンタジーものが好きだが、この本は単なる冒険ものやファンタジーに収まっていない。もっと深くて目に見えない根本的なものを―ぼんやりしていながらも確かにそういうのがあるのを感じる。
        それは何回も読んでいけばわかるだろうか。

        メアリーポピンズは私の大好きな本だから、きっとまた何度も読み返すだろう。
        >> 続きを読む

        2015/03/02 by Nanna

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      カラマーゾフの兄弟 全4冊 (岩波文庫)

      ドストエーフスキイ

      岩波書店
      5.0
      いいね!
      • 【まだこの本を読んだことがないという若い君たちへ】
         君は、「カラマーゾフの兄弟」を読んだことがあるかな?
         まだ、読んでいない?
         そうかもしれないね。
         大体、タイトルが嫌だよね。
         efもそうだった。
         何だか、家庭内のどろどろした話かなぁとか思ったかな?
         それは、そう。そういうところもある。

         君は知ってるかい?
         ドストエフスキーがこの作品をどういう風にして書いたかということ。
         何しろ長い作品なんだ。
         岩波の文庫本で数えると、全部で1440ページ。
         君たちは、まだ、そんなに「本」を読み慣れていないかもしれないから、1ページ読むのに5分かかったとしましょう(本当はもっと早く読めるよ)。
         そうすると、岩波の全4巻を読破するためには、ぶっ続けで読んでも36時間かかるらしいよ(誰だい、こんなヒマな計算をしたのは?)。

         長いよね。だけど、それだけの意味があるんだ。
         ドストエフスキーが晩年に書いた作品なんだ。
         それが、今の評価では、彼の最高傑作と言われているのが、この「カラ兄」なんだよ。
         だけど、残念ながら未完に終わっているのだな。
         
         どうだろう、少しは興味が湧いてこないだろうか?
         世界的文豪と言われているドストエフスキーの最高傑作だよ。
         実際、読んでみて損したなんて思う人はいないだろうと思うよ(ちゃんと読めばね)。

         君たちは、ミステリ、推理小説は好きだろうか?
         今だって、沢山そういう小説があるし、それをドラマにしたのもあるから、みんな何かの形では接しているだろうね。
         実は、この「カラ兄」は、そういう要素もふんだんにあるんだよ。
         東野圭吾さんとか、みんな実は好きじゃない?
         そういう面白さが沢山ある作品なんだ。

         登場する人物はそんなに多くはないよ。
         まず、親父さんがフョードルという人。
         強突張り……あ、こんな言葉は分かりにくいか。
         そうだね、欲が強くて、何でも自分の思う通りにしなければ気が済まないお父さん。
         力も強くて、これから書く3人の息子が小さい頃は力で押さえつけていたのかもね。
         お母さんの事も、本当を言えばあんまり大事にしていなかったかもしれないね。
         そういう、あんまり「良い人」じゃないかもしれない人がお父さんだったんだ。

         男の子の子供が3人いるんだ。
         上から順番に書くと……
         長男:ドミトリー(ミーチャ) 彼は軍人で、一本気な性格かな。でもギャンブルが好きで、暴れん坊だね。
         次男:イヴァン(ヴァンカ) 彼は、そうだなぁ君たちのイメージで言うと勉強家で沢山難しいことを考えるような人かもしれない。正義感がとても強い人だろうか?
         三男:アレクセイ(アリョーシャ)は、心がきれいな人です。神様を心から信じていました。だから、えっとそうだね、お坊さんになろうとおもったんだ。優しい人なんですよ。
         だけど、教会の偉い人から、「君は、お坊さんになるのではなく、みんなの中にいなさい」と諭されて、ある意味では教会に受け入れてもらえなかったんだね。

         この本を読む時に、ちょっと気をつけなければいけないことは、当時のロシアの風習なのかな。
         ほら、さっきから、名前のあとにかっこでもう一つの名前を書いているでしょ。
         それは、ニックネームなんだ。
         だから、本の中でも、同じ人を本名で書いていたり、ニックネームで書いていたりする場面が沢山でてくるよ。
         そこは、ちゃんと気をつけて読まないと誰が誰だかちょっと分かりにくいんだ。
         ここは注意して読もうね。

         でね、この欲張りなフョードルというお父さんが誰かに殺されてしまうとうい事件が起きるんだ。
         犯人は誰だろう?
         色々調べた結果、長男のドミトリーが犯人だと、警察はそう考えて、逮捕しちゃいます。
         そうして、裁判になります。
         どうだろう? 本当に、ドミトリーが犯人なのだろうか?

         次男のヴァンカ(はい、ここはニックネームで書いています。イヴァンのことですよ。こういうところが沢山出てくるから気をつけて読んでね)も、三男のアリョーシャ(これもニックネームの方を書いています)もショックを受けますし……でも、本当にドミトリーが犯人なのかな?

         その後も沢山のお話が続くんだよ。
         「へちま」のお父さんのお話なんかもあって、そこでは僕は涙が流れて止まらななかったよ。
         
         本当に素晴らしい本なんだよ。
         まだ、本を読み慣れていない人には、最初からこの本は大変かもしれない。
         でもね、いつかは絶対読んだ方が良い作品です。
         それは、他の人の方がもっと沢山の本を読んでいると思うけれど、僕なりにそれなりの本を読んできた経験から言っても、この本は、君たちが、いつか、読むべき本の一つだと絶対の自信を持って言えるよ。

         今じゃなくても良い。
         君たちの準備が整った時に、長い小説だけれど、必ず、一度は読んでみて欲しい。
         そうして、きっと読んでくれたら分かると思うのだけれど、また、再読して欲しい。
         本というのは、君たちが読む時の年齢、時代、環境などによって、同じ本を読んでも味わいが変わるんだね。
         だから、再読ということはとても大切なことなんだ。

         まずは、一回、「カラ兄」を読んでみよう。
         最初は、もしかしたらよく分からなくて終わってしまうかもしれない。
         そうだね、例えば、頭の良い次男のアリョーシャが書いている「大審問官」という部分があるのだけれど、ここはとっても難しい。
         良いんだよ。よく分からないなぁと思いながら読み進めれば大丈夫。
         
         それはね、また、いつか読み直した時に少し分かるようになるんだ。
         そういう風になっているって思ってください。
         最初、読んだ時に、難しくて分からないと思うのは、みんなそうなんだよ。
         だからね、この本は、何度も読み直して、少しずつ分かってきて、どんどん凄い本だなぁ~って、実感するようにできてるんだ。
         
         そういう本なので、最初は、よく分からないところがあっても大丈夫。
         みんなそうなんだ。

         こんな風に書くと、あんまり読みたくなくなるかな?
         でもね、一度読んだだけでも面白さは十分分かると思うし、さらに読み重ねると、これが不思議でね。
         ちゃんと読んだところのはずなのに、2度目に読むと、同じ文章でも意味が違って、ちゃんと感じられるんだ。
         それが、3度目、4度目となると、どんどんその深い、本当にあった意味が見えてくるんだね。

         そういう読書ができる本なんです。
         是非、一度は読まなきゃ。
         だって、せっかくこの世界に、君たちは生まれてきたのだから。
         この世界の本当に素晴らしいと言える、誰もが認める小説の一つが「カラマーゾフの兄弟」なんだよ。

         僕は、そう信じているし、心から、この本が良いよって君たちに伝えられる自信があるよ。
          
        >> 続きを読む

        2019/01/26 by ef177

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出版年月 - 2003年9月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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