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2003年10月発行の書籍

人気の作品

      オーデュボンの祈り

      伊坂幸太郎

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね!
      • 『オーデュボンの祈り』(伊坂幸太郎)〈新潮文庫〉読了。

        個性的で魅力的な人たちが、それぞれに何かしらの役割を持っているのがおもしろい。
        役割には軽重があって、ルールとして存在している人すらいる。
        特殊な世界線だが、リアリティもあり、もっとこの世界のことを知りたいと思った。

        ただ、いろいろ説明がくどいようにも感じられるし、細かい説明がうまく働いていないようにも思った。
        その点が私の好みではなかったのが残念。
        この先、この作者の作品を読むかどうか悩ましい。
        >> 続きを読む

        2021/11/01 by IKUNO

    • 他20人がレビュー登録、 153人が本棚登録しています
      檸檬

      梶井 基次郎

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! KEMURINO
      • 6月の課題図書。

        いきつけの本屋があるのだが、檸檬は京都の丸善で買おうと決めていた

        京都の丸善では檸檬のスタンプもあり、本に記念として押すこともできる。

        短編集だが、京都の話がいくつかあり、距離感や土地の雰囲気などがしっかりと想像でき、面白かった。
        病を患っている主人公の話ばかりだが、重い話ではなくどこか淡々としていて、淡々と病んでいるのが良かった。

        そして、普段気づいているようで気づかないことが小説の題材となっていたり、そういう意味で新鮮だった。

        どの短編も陰と陽をうまく比較しているところが気に入った。
        >> 続きを読む

        2016/07/24 by snoopo

    • 他7人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      そして誰もいなくなった

      アガサ・クリスティ , 清水俊二

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.8
      いいね! niwashi
      • 良かった。
        良かった。

        作品の落ち(犯人は死んだふり)まで聞いておきながら、最後まで誰が犯人か分からなかった。

        すごい、すごい。
        >> 続きを読む

        2017/08/19 by フッフール

    • 他5人がレビュー登録、 27人が本棚登録しています
      三幕の殺人 クリスティー文庫)

      アガサ・クリスティ , 長野きよみ

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 元俳優、チャールズ・カートライトが主催するパーティで、突然、牧師が死亡するという事故が起きた。
        カートライトは、殺人ではないかと疑うのだが、温厚な牧師が人に恨まれる様子もなく、突然死ということで処理されてしまう。

        しかし数ヵ月後、今度は別のパーティーの席上で、カートライトの親友である医師が亡くなり、これは毒によるものと判明する。

        カートライトは、これらの事件の真相をつかもうと、ポアロの手を借りて捜査に乗り出すのだが-------。

        毒殺事件を取り扱ったものというと、クリスティーの小説では、最近読んだ「スタイルズ荘の怪事件」が思い起こされる。
        最初は、この「三幕の殺人」も、それに準ずるような内容なのかと思いきや、きちんと作品として確立されていて、クリスティーの作風の多彩さに、今更ながら驚かされてしまう。

        この作品では、殺人事件が起きるのだが、死者達を繋ぐミッシング・リンクも判明せず、動機もわからず、殺人の手段さえも霧の中という、不可能に満ち溢れたものになっている。

        正直、ラストにおいて、本当に納得のいく解決が得られるのかな、と心配であったのだが、そこには見事に解決が付けられていた。

        この作品のタイトルは、「三幕の殺人」という舞台を意識したかのようなタイトルであるが、まさにそのタイトルを象徴するかのような物語であり、ラストでは見事な幕引きを見ることができましたね。

         
        >> 続きを読む

        2022/01/14 by dreamer

    • 他4人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      ABC殺人事件

      アガサ・クリスティ , 堀内静子

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! Minnie
      • 【どうしたってあの男が犯人に思えてきてしまう】

         いよいよクリスティの名作の登場です。
        ミッシング・リンクものの傑作であり、以後、数多くのミステリ作中でも言及されることになる古典です(例えば、エラリー・クイーンは、『九尾の猫』で本作のトリックを『ABC理論』と称して紹介しています)。

         ある日、ポアロのもとに不可思議な手紙が届きます。
         その手紙には、〇月〇日にA……(Aで始まる地名)で事件が起きると予告しており、ABCの署名がありました。
         ヘイスティングズは、誰かのいたずらに決まっていると取り合いませんが、ポアロは不吉な予感に襲われるのです。
         ポアロはこの手紙を警察に持ち込むのですが、警察も著名な名探偵の申し入れなので無碍にはできなものの、やはりいたずらではないかと考えます。

         しかし、予告の日にA……という町で、Aのイニシャルの婦人が殺害されるという事件が起きました。
         犯行現場にはABC鉄道案内が置かれていました。
         確かに手紙の予告どおりではあるけれど、偶然の一致かもしれない……。
         警察はいまだに半信半疑です。
         しかし、ポアロは、現場に置かれていたABC鉄道案内に指紋が残っていなかったことから、これは犯人によって故意に置かれたものだと看破します。

         そして再びABCから予告の手紙が届きます。
         今度は、B……(Bで始まる地名)で事件が起きるというのです。
         予告されていたにもかかわらず、またしてもB……という町でBのイニシャルの女性が殺害され、現場にはやはりABC鉄道案内が残されていました。
         もはやこれは偶然の一致などではない!
         警察はようやく本腰を入れ始めました。

         しかし、それをあざ笑うように、C……での犯行を予告する手紙が届き、予告通りにC……でCのイニシャルの男性が殺害されます。
         これはどこまで続くのか?
         Dで阻止できるのか?
         犯人は一体何の目的でアルファベット殺人を続けるのか?
         殺人自体を楽しんでいる狂人なのか?

         本作は、その構成にも工夫が凝らされています。
         基本的にヘイスティングズの手記という形で書かれているのですが、作中の一部には、これはヘイスティングズが書いたものではないとわざわざ断り書きをした章が挿入されているのです。
         そこでは、ある男の生活が描かれるのですが、これが上手く書かれているために、読者はどうしたってこの男が犯人ではないのか?と思わざるを得ないのです。
         クリスティの叙述の妙ですね。

         ポアロものには傑作がいくつかあるのですが、本作はそのベストに推しても決して不思議ではない作品だと思います。
         私は、『アクロイド殺し』と並んで、本作を高く評価してしまいます。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2019/02/09 by ef177

      • コメント 3件
    • 他4人がレビュー登録、 29人が本棚登録しています
      妖怪アパートの幽雅な日常

      香月日輪

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! hrg_knm
      • コミカライズされ、アニメにもなった作品。まずは小説で読んでみようと思い、図書館で借りた。冒頭、ケンカ番長を地で行くバイオレンスな展開に唖然としつつも、読み終えた時は大満足。エンタメ的でありながらも、様々な人(と妖怪)と関わり体験していく主人公の成長物語にもなっているのね。価値感や群集心理、そして生きることなどを説教臭くなく伝えてくれて、いろんな感じ方ができる作品じゃないかな。続きが楽しみ。 >> 続きを読む

        2017/10/19 by かんぞ~

    • 他3人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      塗仏の宴

      京極夏彦

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!
      •  タイトルから察することができるように前巻の続き。
         だけにとどまらず、シリーズ総まとめの如く宴の席に既刊の人物が上がる。
         大変だけど既刊読了してから読むことをおすすめする。
         前巻で連作的に謎めいた話を散りばめ、今巻一冊使って収束させる。
         初期の頃のように、描写が多い割に物語がちっとも進まず中々にして根気がいる。
         昔、このシリーズがあまり好きでなかったころの作風に近く…。
         次巻以降の展開を期待させる幕引きではあったが、この作風から続く展開となるとわたし的には読むのが辛い感じになりそうな気がする。
        >> 続きを読む

        2021/01/05 by 猿山リム

    • 他3人がレビュー登録、 16人が本棚登録しています
      ワセダ三畳青春記

      高野秀行

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! Mika_S
      • この著者の本にはまってます(笑)
        しかしながら、こちらの本は著者の得意なとんでもな海外紀行ではなく、広さ3畳の早稲田のアパートを舞台に繰り広げられる青春(?)のお話。

        日本国内ならそんなにとんでもないこともないかな?とあまり期待せず読み始めたのですが、さすがです。
        今回も笑わせて頂きました。

        やはり類は友を呼ぶというのでしょうか、早稲田の探検部のメンバーからこのアパートの住人、そして大家さんまで個性派揃いで作り話じゃないかというほど(笑)

        読みやすい文章で量もちょうどいいので、暇つぶしや気分転換にお勧めです。
        >> 続きを読む

        2019/06/20 by Mika

    • 他3人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      スタイルズ荘の怪事件

      アガサ・クリスティ , 矢沢聖子

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!
      • 【エルキュール・ポワロ見参!】
         本書は、アガサ・クリスティのデビュー作であり、エルキュール・ポワロが初めて登場した作品でもあります。
         物語は、ヘイスティングズが逗留していたスタイルズ荘において、その女主人がストリキニーネによって毒殺されるという殺人事件をポワロがいかに解決するかというものです。

         ヘイスティングズとポワロは旧知の間柄でしたが、殺人事件発生当時、ポワロも偶然スタイルズ荘の近くに住んでいたことから、二人は再会し、事件の捜査に乗り出すという構成になっています。
         ポワロは、ベルギーの腕利きの警察官でしたが、今はリタイアしているという設定です。

         シリーズ物は、回を重ねるに連れて段々登場人物のキャラクターができあがっていくという面があると思うのですが、ポワロも例外ではありません。
         初登場のこの作品を読むと、その後何作にも渡って作り上げられていった「完成型」のポワロのイメージとはやや違う印象を持つのではないでしょうか?

         ポワロの外見的イメージは、既にこの作品で完成しており、以後もそれほど変わらないように思えますが、推理のスタイルについては大分変わっていく印象があります。
         ポワロと言えば、「灰色の脳細胞」であり、アームチェア・デティクティヴ(安楽椅子型探偵)の代表選手のようなイメージがありませんか?
         でも、本作のポワロは、結構精力的に動き回っていますし、ヘイスティングズを置き去りにして一人であちこちと出かけて行きます。
         有名な「灰色の脳細胞」という言葉も、台詞の一か所でさらっと出てくるだけであり、さほど強調もされていないんですね。

         また、ある重要な証言を得られた時など、うれしさのあまり芝生の上を走ったり飛び回ったりしますし、推理に行き詰まるとトランプで「カードの家」を黙々と積み上げたりします。
         何かちょっと雰囲気が違いませんか?

         また、ヘイスティングズのポワロを見る目も、シリーズが成熟した時期の、完全な信頼を置いた目とはまた違っているのです。
         作中、ヘイスティングズ自身が、「自分は推理には自身がある。」、「自分で私立探偵のようなことをやってみたい。」などと言いますし、ポワロの推理や振る舞いに相当懐疑的、批判的なまなざしを向けたりもしています。

         推理小説としては、クリスティ一流のエキセントリックな仕掛けがあるわけではなく、かなり地味でオーソドックスなものになっています。
         読者をあっと驚かせるようなトリックも見られません(まぁ、あるとすればかろうじてあの点でしょうか)。
         また、ロマンスの要素をかなり多めに盛り込んでいるところも特徴的かもしれません(この点では、ヘイスティングズにはかなり可哀想な役回りを振られています)。

         いずれにしても、ポワロはこの作品から始まりました。
         最初の一作をお読みになり、また、この後に書かれたいくつもの「傑作」と比較してみるのも一興かと思います。
        >> 続きを読む

        2019/11/29 by ef177

    • 他3人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      ナイルに死す

      アガサ・クリスティ , 加島祥造

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 面白かった。

        これは筆者の渾身の作品だなあと感じさせるのは、なかなかなかなか誰も死なないところ。
        殺人もの推理小説では相当初期に第一の殺人が起こるのが常道で。
        その点この作品は、全570頁にあってようやくそれが起こるのが250頁。

        長い。

        これは相当の能力と、そして自信が無いと成し得ない組立て。
        さすがはアガサクリスティと感嘆。
        >> 続きを読む

        2017/08/19 by フッフール

    • 他3人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      ロマンス小説の七日間

      三浦しをん

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 作中作のクオリティーの高さに引き込まれる。作中作のその先もみてみたい。

        2019/05/26 by kaoru-yuzu

    • 他2人がレビュー登録、 16人が本棚登録しています
      号泣する準備はできていた

      江國香織

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 感性が合うのか心にすんなり入ってくるような短編ばかりでした。
        それぞれの女性に自分を投影して共鳴するような。

        もちろん全てに類似体験が有るわけではないですが、女性が根源的に持っている何かを揺さぶられているようでした。

        いろんな女性に読んで欲しいな。
        >> 続きを読む

        2012/07/05 by sayaka

      • コメント 1件
    • 他2人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      ひらいたトランプ クリスティー文庫)

      アガサ・クリスティ , 加島祥造

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • 【性格分析で犯人を特定することは可能なのか?/ポアロしらみつぶし企画14】
         本書の冒頭にはクリスティによる序文が添えられています。
         そこでクリスティは、本作の犯人は意外な犯人ではないと予め断っています。
         そして、本作の興味は、ポアロが心理的な捜査を行うことにあるとも。
         さらに、この物語をポアロから手紙で知らされたヘイスティングズ大尉は、「非常に単調だと思った」と書かれているのです。
         さて、皆さんの判断はどうでしょうか?

         物語は非常にシンプルです。
         他人の弱みを見つけ出すことに長けているシャイタナという男が、ポアロに対して、自分は第一級の犯罪者を知っているので、今度それをポアロにお目にかけようと持ち掛けるのです。
         シャイタナが言う第一級の犯罪者とは、過去に犯罪を犯しているにもかかわらず、それが露見することなくまんまと逃げおおせた犯人ということです。

         その後、ポアロにシャイタナからのパーティーの招待があり、ポアロが出かけてみたところ、シャイタナを除くと8人の男女の客が招かれていました。
         この8人の中に第一級の犯罪者がいるということなのでしょうか?
         食事の後、招待客は2組に分かれてブリッジをすることになりました。

         ポアロは、警視、女性推理小説作家、諜報部員と組んで奥のスモーキング・ルームでブリッジを始めました。
         ひとしきりゲームを終えた後、他の4人の招待客がブリッジをしている居間に行ってみると、ゲームはまだ続いていましたが、ゲームテーブルから離れた暖炉近くの椅子に座っていたシャイタナが鋭いナイフで刺されて殺されているのが発見されたのです。

         状況から言ってシャイタナを殺したのは居間でブリッジをしていた4人のうちの誰かとしか考えられません。
         4人は全員シャイタナが殺された事には気づかなかったと言います。
         また、4人はそれぞれゲームの途中で席を立ち、シャイタナが殺されていた椅子の近くに行ったことはあるが、その時にはシャイタナはまだ生きていた、あるいは眠っていると思ったと述べ、自分が殺したのではないと犯行を否認します。
         4人が席を立った時刻については、4人とも記憶がそれほど確かではなく、あいまいなままになります。

         さて、犯人はこの4人のうち誰か?というのが本作の謎になります。
         そもそもシャイタナは第一級の犯罪者を呼んだとポアロに話していたのですから、過去に何らかの犯罪を犯した者がいるのであれば、その者が自己の犯罪の発覚を恐れてシャイタナを殺した疑いが濃厚だと考えられました。
         警察は4人の過去を洗い直すのですが、その結果、何と、4人が4人とも過去に殺人を犯した疑いが浮上してしまうのです(もっとも大した証拠はなく、あくまでも推測の域を出ませんし、今となっては訴追はできそうもないのですが)。

         このような状況になり、犯人を特定する決め手がないというストーリーなのですが、ポアロの捜査は4人の性格分析に焦点が当てられます。
         ポアロは、4人のブリッジのプレイスタイルからそれぞれの性格を分析し、また、4人が何に関心を置いて記憶しているかについても調べ始めるのです。
         本作中には4人のブリッジの得点表まで掲載されています。

         さて、このようにトランプのプレイ・スタイルから各人の性格を知り、犯人を特定するミステリと言えば、ヴァン・ダイン作の『カナリヤ殺人事件』がすぐに思い浮かびます。
         『カナリヤ殺人事件』では、名探偵ファイロ・ヴァンスはポーカーをプレイし、相手のプレイ・スタイルからその性格を分析して犯人を特定するということが行われています。
         作品的には、『カナリヤ殺人事件』が書かれたのが1927年、本作が書かれたのが1936年なので、このアイディアは『カナリヤ殺人事件』の方が先ということにはなるのですが。

         問題はポアロの推理です。
         私は、本作で登場人物がプレイしたコントラクト・ブリッジのルールを知らなかったので、例えば掲載されている得点表を見せられてもそれがどういう意味になるのかを判断することはできませんでした。
         とは言え、作中でその意味は解説され、その結果から各人の性格はこうであるとポアロが分析してくれますので、ブリッジのルールを知らなくても本作を楽しむことは可能なのですが(ちなみに、本書の巻末解説にはコントラクト・ブリッジのルールが概説されています)。

         ただ、ゲーム・スタイルなどから分析した各人の性格によって犯人を特定するというのはどうなのかなぁという疑問は最後までつきまといます。
         非常に脆弱な推理であるという評価は免れないと思うのですね。
         ですから、本作のポアロの推理は極めて危なっかしいものに思えてならないのです。
         そんなことで犯人が特定できるものかという疑念が残るわけです。

         加えて、物語の展開も、ポアロがそのようにして推理して犯人を絞り込んでいく過程が描かれるのかというとそうでもないんですね。
         ラスト直前まで、登場人物がそれぞれの思惑から色々な行動を取り続け、そこばかりが描かれるので、ポアロが一体何を考えているのかはラストまで読者にはまったく分からないのです。
         ミステリだから当たり前と言えば当たり前ですが、典型的なミステリのように、読者に何かの証拠や手がかりが示されるという過程がすっ飛ばされているわけです。
         読者は最後の最後になって、ポアロはこう考えたということが示されるだけなんですね。

         しかも、ポアロのその推理にはまったく何の証拠も伴わないのです。
         じゃあポアロはどうしたかというと、非常にずるいひっかけを弄し、犯人を誤解させて自白させるという展開に強引に持ち込むのです。
         この辺りも「見事な推理だ!」と読者を説得するには不十分に感じます。

         本作には、あるどんでん返しとミスリードが用意されているのですが、これがかろうじての救いと感じました。
         もし、この点がなければ、私は本作を☆1~2程度に評価したでしょう。
         本作が典型的なミステリとしてどこまで評価できるかというと、私としては疑問符がついてしまう作品なのでした。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2021/02/16 by ef177

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      白昼の悪魔

      アガサ・クリスティ , 鳴海四郎

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
      いいね!
      • 【これはなかなか巧妙だ/ポアロしらみつぶし企画22】
         本作は、ポアロが登場する長編の第20作目に当たります。
         本作のポアロはリゾート・ホテルがある島で休暇中。
         でも、例によって島で殺人事件が発生し、その捜査に駆り出されることになります。

         島と言っても完全に陸地から孤絶しているわけではなく、満潮時には海面下に没するものの、島と陸地をつなぐ渡り道がありますし、島と陸地をボートで往還することも容易です。
         リゾート・ホテルには様々な人が逗留中なのですが、その中の一人、アリーナ・マーシャルという大変美しい女優が殺害されてしまうのです。

         彼女、美貌なだけあって、次から次へと男性と関係を持っているようなのです。
         既婚であり、ホテルには旦那も一緒に来ているのですが、旦那はアリーナの振る舞いに無関心なのか、これまでも彼女の行動を掣肘するようなことはなかったようです。
         実は彼女、過去にかなりの富豪の男性をたらしこんだようで、その男性の遺産をがっぽりせしめていたりもするのです。

         そんなアリーナは、今度は島にやって来たパトリック・レッドファンという若い男性に目をつけたようです。
         パトリックも妻のクリスチンと一緒に島に来ていたのですが、アリーナは奥さんがいてもへっちゃらです。
         パトリックと結構大胆にいちゃつきはじめ、ホテルの逗留客も眉をひそめているのです。

         そんなアリーナが島にあるピクシー湾という海岸で扼殺されて殺されているのが発見されました。
         発見者はパトリックともう一人の女性逗留客です。
         二人はボートに乗って島の周辺に漕ぎ出したのですが、そこでアリーナの死体を発見したのでした。

         いや、実はこの日、アリーナは早々と海に出ていたのです。
         自分で小舟を操って海に漕ぎ出したのですが、その時ポアロと出くわしています。
         アリーナは、「私が海に出たことは誰にも言わないでね」とポアロに釘を刺して嬉々として出かけていったのです。
         ポアロは、てっきりパトリックと逢引きをするつもりだろうと思ったのですが、驚いたことに、その後、パトリックが一人で海岸にやって来たのです。
         パトリックは明らかにアリーナを探している様子で、イライラしています。
         ということは、アリーナが会いに出かけた相手はパトリックではなかったのか……。

         いつまで経ってもアリーナの姿が見えないため、業を煮やしたパトリックが他の逗留客女性を誘ってボートを乗り出してアリーナを探しに出かけたところ、死体になっていたアリーナを発見したという経緯なのです。

         扼殺ですから、まあ、犯人は男性だろうと思われます。
         もちろん、女性でも不可能ではないでしょうけれど、少なくともアリーナよりも体力に勝る者でなければ扼殺することは難しいでしょう。

         最初に疑われたのはアリーナの夫です。
         あれだけ大っぴらにパトリックといちゃつけば、いくらなんでも夫だって気が付くでしょう。
         さすがに怒ってついカッとなって殺してもおかしくはありません。
         しかも、アリーナは莫大な財産を相続していたのですから、金目当てという線だってあり得ます。
         ところが、夫は死亡推定時刻前後はホテルの部屋でややこしい手紙をタイプしていたと主張します。
         タイプの音はメイドも聞いており、あれだけややこしいビジネス・メールを書くにはかなりの時間を要するとも認められましたので、これはアリバイ成立ということでしょうか。

         その後、どうもアリーナは何者かに恐喝されていたらしいという情報が入手されたり、アリーナが殺されていた海岸にある洞窟から麻薬が発見されたりし、状況は混沌としてきます。

         で、例によってラストでのポアロの謎解きですが、今回は2転、3転させてくれます。
         そして最後に明かされる真相は、なかなか巧妙なプロットになっていると評価できるでしょう。
         ただし、ある一点については、相当に〇〇なことをしており、これはかなりリスキーだよねぇと思わざるを得ないのですが。
         トリッキーな結末を用意したという点ではそれなりに評価できる作品ではあると思いますが、いつものとおり、証拠が非常に乏しいという恨みはあります。
         何度も書いているとおり、決定的な証拠を伴わない推理であるため、それはポアロの言いっぱなしだろうと言われてもやむを得ない弱点は孕んでおり、個人的にはそういう点はいかんな~と思ってしまうのであります。
         なお、本作では、ある事象も視点を変えて見るとまったく違う様相を呈するという、チェスタトンばりのパラドキシカルな手法も用いられていますよ。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2021/09/13 by ef177

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      アヒルと鴨のコインロッカー

      伊坂幸太郎

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      3.1
      いいね!
      • 途中リタイアー。文章としては平易で読みやすいが、ただただ平坦な道を歩いている感じ >> 続きを読む

        2016/03/11 by 川面の輝き

    • 他2人がレビュー登録、 25人が本棚登録しています
      狐笛のかなた

      白井弓子 , 上橋菜穂子

      理論社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 綺麗な文章でした。
        小夜と野火のやりとりは素敵。
        狐を使役するための笛をはやくどうにかして!とハラハラした。 >> 続きを読む

        2014/02/22 by tenpuru

      • コメント 2件
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      ゆらゆらばしのうえで

      木村裕一 , はたこうしろう

      福音館書店
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.7
      いいね!
      • 絵が素敵。
        物語も面白くて、子どもがハラハラしたり大笑いしたりしてました。
        追いかける方のキツネと、追いかけられる方のウサギだったのに、1本橋の上での立場は同じになってしまいます。
        橋がゆらゆら揺れ始め、回り始めて…最後にはどうなっちゃうの??とドキドキする子どもが喜びそうな話でした。

        今度、読み聞かせの順番が回って来たら、これ読もうかな~などと思ってます。
        >> 続きを読む

        2016/06/23 by taiaka45

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      敵討

      吉村昭

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 江戸時代の末期から明治にかけて実際にあった仇討ち事件を題材に二つの話が描かれる。


        一つ目は『護持院ケ原の敵討』を題材とた敵討。そこには仇討ちの現実がみえる。時に美談として語られることもある仇討ちだが、成功するのはごくわずか。多くの場合が逃げる相手を見つけ出すことすらできないで終わる。費やした時間と労力、金により自らの身が滅ぶこともある。


        二つ目は日本史上、最後の仇討ち事件『臼井六郎事件』を題材とした最後の仇討ち。時はまさに幕末、その動乱に巻き込まれるように暗殺された父の仇討ちを誓った少年。しかし時代は変わり武士の美徳とされた仇討ちは禁止されていた。仇討ちは美徳か殺人か。彼もまた時代の波に翻弄された一人だった。


        私としては最後の仇討ちが良かった。時代の変わり目に仇討ちという行為そのものの是非が問われる。これも維新の中で生まれた歪みというか、陰の部分だと思う。
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        2016/03/09 by TAK

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      孤剣 用心棒日月抄

      藤沢周平

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 再読。
        シリーズ第二弾。

        藩主毒殺の証拠書類を持って姿を消した大富を追って書類を取り返すよう命令された青江又八郎は、帰藩してからわずか三ヶ月後に、再び脱藩して江戸に向かう。もとの長屋に戻り、口入れ屋の相模屋を訪ねると、細谷源太夫が旗本屋敷に監禁されているという。細谷のために一肌脱ぐことにした又八郎だが、江戸で糊口をしのぎながら、行方不明の大富を探し出す前途は多難だった。

        藩内の敵方だけでなく、公儀隠密の刺客にまで狙われ、又八郎は命懸けで大富の行方を追う。又八郎が頼れるのは、忍びの訓練を受けた嗅足組(かぎあしぐみ)の女佐知だけで、二人の間に離れがたい結びつきが生まれるのは、自然の成り行き。
        用心棒稼業では、相棒の細谷に加えて米坂八内という剣客とも組んで仕事をするうちに、友情が生まれる。

        困ったときには助け合う日々の暮らしを描いた文体は、解説者の言葉を借りるなら、軽快でのびやか。緊迫感に満ちたシーンの文体は、端正で緊張を秘めている。

        作者にとって転換点となったこのシリーズは、さらに『刺客』『凶刃』へと続く。


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        2021/06/01 by Kira

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      パディントン発4時50分

      アガサ・クリスティ , 松下祥子

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
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      • 【一体これは誰の死体なんだ?……これで引っ張ること、引っ張ること】
         殺人事件が発生して、初期に分からないと非常に困ることの一つに被害者の身元があります。
         そもそも誰が殺されたのかが分からなければ犯人にたどり着くための重要な要素が欠けてしまいますから。
         本作は、ミス・マープルものの中でも著名な一作ですが、死体は発見されるものの、それが誰なのか不明な状態が非常に長く続く作品なんです。

         事の発端は、マープルの友人の老女が乗っていた列車の窓から、並行して走っている列車の窓を何気なく見たことでした。
         なんと、並行して走っている列車の中で、背を向けた男性が女性の首を絞めているではないですか。
         これは殺人事件だと思ったマープルの友人は、そのことを車掌に告げ、また、次の停車駅の駅長に事情を書いた手紙を渡したのです。

         並行して走っていた列車は間もなく次の駅に停車するところでしたから、犯人は逃げ出すのがやっとで、死体はまだ列車の中に残されていると考えるのが普通でしょう。
         直ちに車内が捜索されましたが、そんな死体はどこにも無かったのです。
         これは車窓から死体を投げ落としたのかもしれない。
         警察も一応捜査はしたのですが、線路沿いに死体などは発見されませんでした。

         これでは単なる老婆の妄想と思われてしまう……。
         マープルの友人はこの事件のことをマープルに話したところ、マープルは彼女の話を信じ、自身で何度か列車に乗り込んでみたり、沿線沿いの地図を調べるなどしてある推測を立てます(敢えて『推理』とは言いません)。
         そうして、思うように身体を動かせない自分に代わり、知人のルーシーを沿線沿いにある広大なカントリー・ハウスに住み込みメイドとして派遣したのです。
         もちろん、そのカントリー・ハウスを探らせるために。

         そうしたところ、ルーシーはカントリー・ハウスの長納屋からマープルの友人が目撃したと思われる女性の絞殺死体を発見したのです。
         ところが、その死体が誰なのかが全く分からないのですね。
         物語の半分を過ぎてもまだこの点ははっきりせず、宙ぶらりんの状態のまま、被害者は誰なのかという点で引っ張りまくります。

         最終的にはマープルの友人が列車内から目撃した殺人事件の犯人ももちろん明らかになるのですが、本作は本格物のミステリとは考えない方が良いでしょう。
         本作でマープルがやっていることは単なる推測であり、証拠に基づく論理的な推理とはとても言えないのです。

         最初の死体を発見する点については、まあ、ある程度周囲の状況を調べ、ここしかないだろうという当たりをつけているので、辛うじてセーフかもしれませんが、被害者が誰なのかとか、犯人が誰かについては推理らしい推理はしていないと言わざるを得ません。
         大体マープル自身、ほとんど登場せず、ルーシーや警察の捜査が延々と描かれますので、マープルが何を考えているのかすら読者にはほとんど明らかにされないのです。
         ですので、ロジックを重視したミステリを好む私としては、本作はあまり好きな作品とは言えないのです。

         最終的には、犯人にアンフェアともいうべき罠を仕掛け、犯人が誤解して自白するというひっかけをマープルが実行するだけなんですね。
         何故その男が犯人だと推理できるのかという、本格ミステリにとって生命線とも言える部分がまったく書かれていないのです。

         ですから、本作は本格ミステリとして読むべきではなく、ミス・マープルの機転や知恵を楽しむ一冊と考えるべきでしょう。
         私はマープルものをほとんど読んでいないので何とも言えないのですが、マープルものって、本作のようにあまり推理の要素がない作風なんでしょうか?
         あるいはたまたま本作がそういう作品だっただけなのか。

         それにしても、この作品、マープルものの中ではよくタイトル名を聞く著名な作品だと思うのですが、どの辺が評価されているんでしょうね?
         私にはそれほど優れたミステリとは思えなかったのですが。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2021/03/24 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています

出版年月 - 2003年10月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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