こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


2004年5月発行の書籍

人気の作品

      エイジ

      重松清

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 中学二年生の少年エイジを主人公に、二学期開始からの三カ月を描く。登場人物はどこにでもいそうな普通の男子中学生とその家族、同級生たちである。そこに発生する、連続通り魔事件の犯人がエイジたちの同級生だったことが、彼らの日常生活に波紋を投げかける。

        神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇事件)の翌年である1998年の新聞連載小説で、おそらく事件に影響を受けて書かれた作品だろう。あとがきでは、テレビなどで報道される少年犯罪のニュースから、同級生として事件を体験した少年少女たちがどのような心境だったかを想像したことが創作の動機として明かされている。作品内に登場するゲームソフトタイトル(『XI』)などからも、連載当時の時代を舞台としていることがわかる。

        家族、学校、友だち、恋愛、部活、勉強、性、イジメなど、中学生らしいテーマが一通り盛り込まれている。通り魔を扱ってはいるが、前述の神戸連続児童殺傷事件のような残虐性は低く、サスペンス的な要素も薄い。学校内で起こるイジメも極端に陰湿なものではなく、基本的には平和な中学校生活がベースになっている。主人公と家族との関係性も非常に良好で、両親とテレビゲームに興じるような温かい家庭生活が描かれている。このように総じて微温的で、小中学生も含めて多くの読者が読んで支障のないソフトな小説になっている。一方、心の闇に深く切り込み考察するといった、踏み込んだ内容ではない。

        例えるなら、『中学生日記』に連続通り魔事件を織り込み、教師の活躍を削いだぐらいか。作品の時代的に、「キレる」「うざい」といった言葉がまだ新鮮だった頃を思い返す。本作が当時、どのように受け取られたかわからないが、20年後の今読んでかなり長閑に感じた。
        >> 続きを読む

        2021/03/11 by ikawaArise

    • 他4人がレビュー登録、 27人が本棚登録しています
      神のふたつの貌

      貫井徳郎

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! ooitee

      • 気になる作家のひとり、貫井徳郎の「神のふたつの貌」を読了。

        牧師の息子・早乙女は、"痛み"を感じることが出来ない"無痛症"だった。
        彼は、肉体的苦痛のみならず、情愛や悲しみ、あるいは死への恐怖といった強い感情にも無感覚である自分に欠けているのは、痛みの感覚ではなく、人間だけが具えているはずの想像力なのではないかと思っている。

        それを持たない自分は、人間とは別の生き物なのではないかと脅える早乙女。
        感じ取ることが出来ない神の愛を論理的・実証的に求めて、彼は蛙を殺し続けるのだった。

        そして、日曜礼拝のさなか、ヤクザに追われた一人の男が教会に逃げ込んで来た時、厳格な牧師と鬱屈した妻、そして、双方と距離を取る息子が築いてきた危ういバランスの家族関係は、静かにその緊張の度合いを増し始めるのだった-------。

        日本におけるキリスト者の苦悩を描いた小説は、遠藤周作の純文学作品が、その代表的なものですが、それは、見方を変えると、しばしばミステリ的でもあると思う。

        欧米社会ならば、実感的に自明である"絶対的な神の存在"を、日本人は、まず論理によって納得するところから始めなければならないと思う。
        ある出来事に、"神の意志"という意味付けをすることが必要になってくる。

        この「神のふたつの貌」もまた、神の意志という真相=動機に迫ろうとする〈探偵〉の精神的な彷徨を描いたホワイダニットなんですね。

        しかも、彼が神の意志を読み解いていこうとする、論理の道筋はそのまま、神の意志に添う、被害者にとっての救いとしての殺人へと、彼を駆り立てる論理に繋がっていくのだ。

        〈探偵〉が、真相を求めて〈犯人〉を追ううち、その〈犯人〉の心理をトレースし、やがて、自らが〈犯人〉と化していく-------。

        殺人者の倒錯した論理と、探偵という行為が探偵自身を犯行へと追い込む連鎖の構図を提示したこの作品は、だから、ある意味、二段構えのサイコミステリだとも言えると思う。

        さらには、もう一つの連鎖-----親から子へのそれをも、著者の貫井徳郎は、極めてミステリ的に描いてみせるのだ。

        テーマと手法が渾然一体となった、幸福な本格ミステリの形がここにあると思う。

        >> 続きを読む

        2018/07/29 by dreamer

    • 他4人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      グッドラック

      RoviraAlex , Trias de BesFernando. , 田内志文

      ポプラ社
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 10年以上も前にベストセラーになった本ですが、意外と多くの方がレビューを投稿されているので、私も。

        この本の新聞広告とかが出ていた当時、私は高校生で思いっきりガリ勉タイプな人間でしたが、こういう本に手を付けたのは、それだけ多感な時期でもあったのかなあと思います。

        今読み返してみても、少ないページ数で「自己啓発」としての基本部分を押さえている感じで、元気をもらえますね。

        本当に短時間で読める本なので詳細は伏せますが、「魔法のクローバーを手に入れる」という試練に二人の騎士が挑戦するというお話です。
        「自らの手で幸運をつかみ取った者」と「運が向かうのを待っていたけど、それを得ることがかなわなかった者」の差、そこだけを見ると、残酷と言えば残酷ですね。
        でも、本全体のストーリーから見てみると、単にその「残酷さ」だけでは終わらない含蓄もあるところが深いです。
        >> 続きを読む

        2017/02/12 by ピース

      • コメント 2件
    • 他4人がレビュー登録、 14人が本棚登録しています
      桶川ストーカー殺人事件 遺言

      清水潔

      新潮社
      カテゴリー:社会病理
      4.6
      いいね!
      • この事件を通して、当時、写真週刊誌FOCUSの記者であった著者が追ったものは、ストーカー殺人の犯人そのものと、被害者の求めに応じず、事件後も適切な対応を行わなかった警察組織の暗部、このふたつです。

        ストーカー事件における主犯者の異常性と卑劣さ、そしてもう一方では著者によって「人間がいない」表される、とある警察組織の事なかれ主義や出世主義による改ざん、隠蔽、無神経さ。二つの問題それぞれを通して、本書には見るべきところが多々あります。また被害者の遺族に対しては不謹慎にあたるかもしれませんが、ミステリー要素も含む読み物としても非常によくできいます。
        >> 続きを読む

        2020/07/27 by ikawaArise

    • 他3人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      バッテリー

      あさのあつこ

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • ストーリのテンポが良くすらすらと読み終えてしまった。
        続きが楽しみ!

        巧みたいな、自分を過剰に信じて周りにあたっていた頃私もあったな~!
        思い返すととても不思議。なんで自分一人でなんでもできるなんて思えたんだろう。
        結局持ちつ持たれつ。
        支えて、支えられながら生きているのにな。

        巧は豪というキャッチャー、自分の性格も才能も理解してくれる友達に出会えなけらば、ただのひねくれもので終わっていたのかもしれない……
        >> 続きを読む

        2020/07/11 by Moffy

    • 他2人がレビュー登録、 18人が本棚登録しています
      月魚

      三浦しをん

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! karamomo
      • 三浦しをんさんは、表現がとても綺麗で、読みやすくて、エッセイもおもしろくて大好きな作家です!
        月魚も、
        綺麗だし背景設定もすごいしっかりしていて読みやすかったけど(笑)
        しをんさんの趣味がおもいっきりはいってました。
        マイルドに、でしたけどね(笑) 
        >> 続きを読む

        2016/03/21 by 文子。

      • コメント 1件
    • 他2人がレビュー登録、 18人が本棚登録しています
      チルドレン

      伊坂幸太郎

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!

      • 伊坂幸太郎の第131回直木賞候補作「チルドレン」を読了。

        著者の伊坂幸太郎の小説が多くのミステリファンから支持されている理由は色々あるだろうが、中でも、ミステリとしての凝りに凝った構成と、たとえ作中の事件自体は悲劇的でも、人生への賛歌を忘れないあたりが、人を魅了しているのだと思う。

        この作品「チルドレン」も、それらの点に抜かりはない。

        この本には五つの物語が収められているけれども、帯には著者自ら「短編集のふりをした長編小説です。帯のどこかに"短編集"とあっても信じないでください」と述べている。

        五つの物語は決して時系列順に並んでいるわけではなく、家庭裁判所勤務の武藤という青年が語り手を務める「チルドレン」と「チルドレンⅡ」を除いて、視点となる人物も異なっているが、どの作品にも陣内という、傍若無人な詭弁家だが憎めない脇役が登場し、強烈な個性を撒き散らす。

        そして、すべてを通して読むと、陣内をめぐるひとつの物語が浮かび上がるようになっている。
        この凝り方は、いかにも著者らしいが、むしろ注目すべきは一編ごとの完成度だ。

        著者はかつて、好きな作家のひとりとして、今は亡き、連城三紀彦の名前を挙げていましたが、あらかじめ読者に何らかの思い込みを与えておき、それを意外な角度からひっくり返してみせる手さばきの鮮やかさは、確かに連城三紀彦の作品を想起させる。

        だまし絵のようなトリッキーさという点では、表題作の「チルドレン」と巻末の「イン」が双璧だと思う。

        また、犬への愛着、独自の倫理観を持つ登場人物など、いかにも著者らしい要素も多いのだが、それまでの作品と異なっている点として、「駄目な人」や「困った人」は登場しても、「悪い人」は出て来ないという事実が挙げられると思う。

        そのため、人生賛歌としてのメッセージ性が、いつにも増して前面に出ているという印象を受けましたね。

        >> 続きを読む

        2018/11/18 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 26人が本棚登録しています
      99%の誘拐

      岡嶋二人

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 12年という時間が横たわる2つの誘拐事件。

        2度目となるが、やはり面白い作品は面白いのだと実感。

        できるだけ多くの本を読みたいと考えているため、基本的には既に読んだことが有る作品を再読することは無い。

        とは言え、長い期間の中では、既読の本をまた購入してしまうミスが避けられない。

        読み始めても、通常は既読で有ることに気づいた時点で中止するのだが、今回は本作品を中盤くらいまで読むまでは既読で有ることに確信が持てなかった。

        もちろん筋はおぼろげに覚えていたのだが、何故か西村寿行氏の作品だったように思え、やたらに似た設定だと感じつつも読み進めていたのが実情で有る。

        結果的には444ページの大作にも関わらず、完全に再読。
        この間に他の作品を読むことが出来たという遺失利益も有るのだろうが、面白い作品は、再読してもやはり面白いのだと実感出来たことは悪くなかった。

        人間の記憶はあいまいなものだということにも改めて気付かされた。
        >> 続きを読む

        2013/03/27 by ice

      • コメント 4件
    • 他2人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      妻に捧げた1778話

      眉村卓

      新潮社
      3.7
      いいね! Tukiwami
      • 淡々として情に訴える感じがないのがいい。

        羨ましい夫婦だと思う。
        夫の仕事に理解があって押しつけがましくなくサポートする妻ってすごい。

        やっぱお互いがどういう仕事してるかよく理解している夫婦って少ないと思う。
        作家は特殊な職業だけど、それでもこの著者は今まで書いた作品を最初に読んでもらっていたといい、そこまで信頼できる関係はなかなか無いんじゃなかろうか。
        >> 続きを読む

        2019/07/29 by W_W

    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      杉の柩

      アガサ・クリスティ , 恩地三保子

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね!
      • 【絶対的不利な状況からポアロは逆転できるのか?/ポアロしらみつぶし企画8】
         久しぶりの『ポアロしらみつぶし』企画です。
         今回選んだ本は、以前レビューした『アガサ・クリスティー完全攻略』で、ポアロものでは第7位にランクインされていた作品です。

         事件はかなりシンプルです。
         メアリイという女性がモルヒネを盛られて殺されるのですが、彼女の胃からは直前に飲食したサンドイッチと紅茶しか検出されませんでした。
         モルヒネは、直接飲んだか、あるいはサンドイッチか紅茶のどちらかに入れられていたとしか考えられません。
         そのサンドイッチは、エリノアという女性が作ったもので、エリノアはメアリイとホプキンス看護婦を呼んで三人で一緒に食べたものでした。
         紅茶の方は、サンドイッチを出した時にホプキンス看護婦が淹れたもので、エリノアは飲みませんでしたが、他の二人が飲んだものです。

         エリノアは、ロディーという義理の甥と婚約していたのですが、ロディーはメアリイに心移りしてしまったため、婚約は破棄されていました(でも、メアリイはロディーからプロポーズされた時に、あなたはエリノアと婚約しているではないですかと言って断っているんですけれどね)。

         また、この事件が起きる直前に、病弱だったエリノアの叔母が亡くなったのですが、叔母は遺言書を残していなかったため、本来ならばロディーにも遺産が残されただろうと思われていたにもかかわらず、最も近親者であるエリノア一人に莫大な全遺産が相続されることになってしまったのです。
         ロディーとしては、婚約者の財産を目当てに結婚したと思われるような状況は我慢できなかったという事情も、婚約を破棄した理由の一つだったかもしれません。

         この件もエリノアに不利に働きました。
         エリノアは、婚約者を奪ったメアリイを憎み、殺害する動機があったと考えられたのです。
         サンドイッチを作ったのもエリノアです。
         もちろん、そのサンドイッチはエリノア自身もホプキンス看護婦も食べてはいるのですが、一番上のサンドイッチにだけモルヒネを盛っておき、最初にメアリイに勧めれば、当然メアリイはモルヒネ入りのサンドイッチを取って食べることになるでしょう(実際にエリノアは最初にメアリイにサンドイッチを勧め、メアリイは一番上のサンドイッチを食べたのです)。

         モルヒネについても、ホプキンス看護婦が鞄に入れていたものが紛失するということが少し前にありました。
         鞄は誰もがいじれる場所にありましたので、もちろんエリノアがモルヒネを盗むことも可能な状態でした。

         しかも、メアリイの叔母の死体が掘り返されて再検分されたのですが、叔母の死体からもモルヒネが検出されたのです。
         これは、メアリイが叔母が遺言書を書いていない内にモルヒネで殺害して遺産を独り占めし、さらには婚約者を奪ったメアリイまでも同じ手口で殺したとも十分考えられます。

         このような事実からエリノアは殺人罪で裁判にかけられてしまったのです。
         証拠からはエリノアは絶対的に不利だと思われます。
         しかし、エリノアの無実を信じる医師は、ポアロに何とかエリノアを助けてやって欲しいと依頼するのですが、ポアロはこの絶対的に不利な状況をひっくり返すことが可能なのか?というミステリです。

         さて、本書を読み終えての感想ですが、そつなくまとめられたコンパクトな作品と感じました。
         大きな欠点も無く、無難な出来だと思います。
         目が覚めるようなトリックはありません。
         一つあるとすればあの点なのですが、そこは私も見落としてしまいました。
         しかし、ポアロが主張するほど明確に書かれているかというと(その部分を読み返してみましたが)それほどはっきり書かれているとも思えませんでした。
         また、読者には完全に与えられていない情報もあり、フェアじゃないと言われればそれも仕方ないところでしょう。

         ポアロは、依頼を受けた後、登場人物一人一人と面会して質問を重ねていくのですが、その過程はかなり淡々と描かれています。
         本作にはヘイスティングズは登場しませんので、いつものようなポアロとヘイスティングズの軽妙な掛け合いを楽しむこともできません。
         最終的な真相の披露も、物語の設定上、ポアロによって与えられた情報が裁判で明らかにされ、判決で決着がつけられるという形になっています。
         ミステリの定番である関係者を一堂に集めての謎解きというシーンは無いのです(まぁ、判決の後、ポアロが依頼者の医師に若干の補足説明をする場面はありますが)。

         あの関係者を一堂に集めての謎解きシーンは、あまりにもわざとらしい、芝居がかっているということで批判されることも多々あるのですが、それでもドラマティックな演出であることは間違いなく、それを使わないとするとどうやって盛り上げるかという他の方法を考えなければならなくなるところ、本作ではそのような盛り上げはやっていません。
         ですから、なんとなく終わっちゃったという印象を与えることになるかもしれませんね。

         このようなもろもろの点を考え合わせると、私としては本作はポアロものの中ではまぁまぁの作品という評価になりました。

         しかし、邦題は何故『杉の柩』なんでしょうね?
         私は、読了してもその意味が分かりませんでした。
        原題は”SAD CYPRESS”なので、直訳すれば『悲しい糸杉』ということになるでしょうか。
         確かに、糸杉は柩を作る時に用いられる木だそうですので、そこから『杉の柩』としたのかもしれませんが。
         でも、糸杉は、一度切ると二度と生えてこないことから、『喪』の象徴ともされているそうです。
         それがメアリイと叔母の哀しい喪を表しているという方が当たりのような気もしますね。
         いずれにしても邦訳しにくいタイトルではあります。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2020/10/14 by ef177

    • 他2人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      検察側の証人

      アガサ・クリスティ , 加藤恭平

      早川書房
      カテゴリー:戯曲
      4.8
      いいね!
      • 月うさぎさんのレビューが素晴らしく是非お読みいただきたいです。私のレビューは軽いですが…戯曲につきどーよてな感じで読み始めましたが、戯曲なのに読ませてくれます。夫が殺人の罪を着せられて(またこれか…すみません私の前回レビューご参照ください)妻の証言が重要な意味を帯びてきます。転から結に向かうジェットコースター並みの展開にご期待ください。どんでん返しの典型のように評される本作品ですが、内容よりもこの展開の速さこそがそう評される所以なのかなと思います。 >> 続きを読む

        2015/09/12 by kobe1225

      • コメント 1件
    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      戦争における「人殺し」の心理学

      GrossmanDave. , 安原和見

      筑摩書房
      カテゴリー:戦争、戦略、戦術
      4.0
      いいね!
      • ベトナム戦争のあと、PTSDになった
        兵士が大量にいたということは未だに
        知られていないことかもしれない。
        しかし戦争をしていた日本においても
        当時の大義名分があったはずであり
        今でいうならば「心身喪失」の状態で
        あったかもしれない。
        そうした視座によってアメリカ陸軍は
        こうしたテキストを残したのかもしれず
        実際に兵士として考えるときに
        生じる

        ──自分は人を殺してもいいのか?──

        というひとつの答えにはなっている。
        この本を書いた筆者自身が軍人であり
        心理学者であったので安価でこうした本を
        読むことができるのは良いと思う。
        ぜひ一読し、文献などを狩猟すべしと思う。
        >> 続きを読む

        2013/10/28 by frock05

      • コメント 4件
    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      坊っちゃん

      夏目漱石

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 本屋でたまたま手に取って、そういえばまだ読んだ事が無いなあと思い、読んでみた。これが明治39年に書かれた小説かと思う面白いし、感心する。「吾輩は猫である」で結構痛い目にあっているので、期待はしなかったが、読みやすく良かった。坊ちゃんの裏表が無い性格がスカッとする。こんな時代からも、赤シャツみたいな嫌味な奴はいるのだなあと思った。 >> 続きを読む

        2018/03/25 by rock-man

    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      長い腕

      川崎草志

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
      いいね!
      • ふらっと本屋さんに寄ったら、この本が 「ドーンとオススメ すごい本」
        という帯が巻かれていた。直球がきた。

        解説では21回横溝正史ミステリー大賞の受賞作という。21回は2001年で少し前になるが、
        そんな賞があることを知っていたような知らなかったような、
        でも横溝正史という名前に釣られて読んでみるかなと思って買ってきた。
        厚みも300ページちょっとで読みやすかった。


        始まりはゲームソフトの製作会社に勤めるヒロイン「汐路」の仕事場が詳しく紹介される。
        そこで同僚二人が飛び降り自殺。

        汐路は退職して旧弊な因習の残る郷里に帰り、そこで起きた殺人事件と職場の飛び降り自殺が関連があるかもしれないと気づき、解明に乗り出す。
        事件に昔の両親の飛び降り自殺が絡み、田舎町であるにもかかわらず殺人事件の発生率が高いことなどを織り込んで不可解な雰囲気もある。

        近代的なソフト制作の現場と閉鎖的な田舎町。
        コンピューターのプロらしく犯人を割り出していく過程も面白い。
        だが、これを出発点にするなら、まだこれからの人だろう、長くなるので読んだ記録として保存。

        最後のシーンは手に汗握る不気味さもあって、そこまでは読みやすくすらすらと進む。
        ちらほらと横溝正史の世界も垣間見える。
        >> 続きを読む

        2016/06/12 by 空耳よ

    • 他1人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      嫉妬の香り

      辻仁成

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 話の流れ云々は人それぞれ意見があるかと思いますが
        香りって六感の中で感じるものなの
        恋愛の中でも影響力が大きいものだと、それがよく表現されている作品。
        シラフでは読みにくいですね。濃厚で官能的すぎて。少しずつ、口に含んでは飲み下していく、という作業が必要です。

        女性が読んだらきっと、香りの一滴を隠したくなると思います。
        私も、自分のイメージを表すような香水を探してみたくなりました。
        >> 続きを読む

        2012/04/22 by chika

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      あおい

      西加奈子

      小学館
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね! KEMURINO
      • 西加奈子さんの作品は、ある程度まで読み進めて、のってくると読みやすいのですが
        そこまで行くのに、ちょっと時間がかかります。
        この作品もそうでした。
        必ずしも明るい話ではないし、主人公の女の子も大学生の彼氏も共感しづらいし。

        嘘をつくという事は、それが嘘だと自覚しているという事なのかな?
        つまり、自分の気持ちは自分でわかっているという事?
        自分の気持ちもわからない人は、自覚的に嘘もつけないのかな?
        などと考えてしまいました。

        「あおい」というタイトルは最後に意味がわかります。
        >> 続きを読む

        2017/03/17 by kucoma

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      理由

      宮部みゆき

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね! fireman chiaki
      • 新聞の記事を読んでいるような、ドキュメンタリーを観ているような感覚でした。
        犯人捜しを楽しむというよりは、事件そのものと、翻弄された人々の感情、人間関係を味わう感じ。
        誰かに特別な感情移入をすることもなく、野次馬気分のまま読了。
        妙に癖になるような作品です^ ^

        各登場人物のその行動をとるまでの「動機」や心の動きが説得力あります。


        宮部さんの作品では、生の事件がマスメディアを通すことで美味しそうに調理されて出てくる…という内容が度々描かれていますが、本作品も例に漏れず。
        事件は確かに発生しているのに、
        どこかドラマを見ているような感覚の人々。
        自分とは関係ないからか、どこか楽しんでさえいる聴衆。
        "火事"に近ければ近いほど、人々の興奮度は増し、
        不思議とその事件の重要な情報を持っているかのようにふるまいだす。

        私も含めですけど、多くの人は平凡や安心や安定を求めながらも、
        どこかで非現実を、それに伴う興奮を期待しているのかもしれない。
        だから、事件とは直接関係ない人も関わりを探すのかなと思ったりしました。

        作中、さまざまな「逃げる人」が描かれます。
        家族というしがらみから逃げたかった人
        自分たちの利益のために逃げた人
        真実を話すわけにはいかず逃げた人
        真実を打ち明けることから逃げた人
        最悪の事態にならないようにと逃げた人

        逃げた先のどこにもハッピーエンドはありません。
        逃げることをやめた人のところにだけ「未来」が続いています。
        それも宮部さんの意図なのかな。

        …逃げって書いちゃいましたけど、特に犯人に関しては「逃げ」だったのか「変わりたかった」のかわからないんですよね。
        犯人自身の心情は一切描かれないから。
        その想像の余地を残している辺りが「理由」というタイトルにかかっているのかもしれません。
        孝弘君は事件の後、逃げ場所を探す足をふと止めていましたが…彼はたぶんきっと宮部さんが見る現代の象徴です。
        どうか彼にも未来が繋がっていますように。
        >> 続きを読む

        2014/03/07 by ∵どた∵

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 39人が本棚登録しています
      死との約束 クリスティー文庫)

      アガサ・クリスティ , 高橋豊

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 【誰もが死んでほしいと思っていた人物が死んだのだから放っておいてくれない?/ポアロしらみつぶし企画16】
         本作は、ポアロものの16番目の作品です。
         本作の被害者とその家族との関係はかなり特異なものに設定されています。
         被害者のボイントン夫人は、資産家の寡婦で、2人の息子と2人の娘、そして長男(30歳になっています)の嫁の6人家族なのですが、夫人は絶対的暴君、独裁者なんです。
         元刑務官だったことも影響しているのか、子供たちとその嫁を自分の支配下に置き続け、外部との交渉を一切認めず、自分の思うがままに自分の周りに置き続けているのです。

         裕福な家庭なので働く必要は無いとは言え、外部との接触を一切認めず、家族だけで籠り切りになって暮らし、夫人の命令は絶対という極めて異常な一家と言って良いでしょう。
         みんなもう何年もこんな状態に置かれており、金も夫人に握られているため、誰も夫人に逆らおうとはしないのです。
         そんな気持ちすら最早萎えてしまったということでしょうか。
         末娘はこんな状態に置かれ続けたこともあり、精神に異常を来しつつありるというのに。

         こんなボイントン一家が、夫人の指示により、揃って中近東へ旅行に出かけたのです。
         はい、本作は『ナイルに死す』の次に書かれた、クリスティの中近東旅行シリーズの一作なんですね。
         ある日、普段なら自由行動など決して許さない夫人が、どういう風の吹き回しか、末娘を除いた家族全員に対して、午後は好きに過ごして良いと許可を与えたのでした。
         みんな滅多にないことなので、宿泊地を離れて散策に出かけました。
         夫人は宿泊地にある洞窟の前の椅子に一人座って居残っていたのです。

         夫人は60歳を迎えており、心臓に持病を抱えていたこともあって、ジキタリス系の心臓薬を常用していました。
         病気を持った高齢者には、辛い旅行になっていたのかもしれません。

         日が暮れて、みんなが戻って来たのですが、夫人は夕食の場に姿を見せません。
         彼女は、椅子に座ったまま死亡していたのです。
         その場に医師もいたことから、すぐに夫人の様子をみたのですが、自然死と判断されました。
         これでようやく鬼婆から逃れられる……家族の誰もがそう思ったことでしょう。

         しかし、もう一人の医師の所持品から大量のジキタリス系の薬と注射器が紛失していることが判明したのです(注射器は後に密かに戻されていたのですが)。
         そして、夫人の手首に注射痕が発見されました。
         さらに、この事件が起きる数日前、ポアロは、次男が長女に対して「彼女を殺してしまわなければならないんだよ」などと話しているのを偶然聞いていたのです。
         これらの事情から、簡単に自然死と片づけることはできなくなり、ポアロが捜査に乗り出すという展開になります。

         ポアロは関係者から話を聞き、推理を進めていくのですが、夫人が死んでみんなほっとしているというのに、誰かを犯人に仕立て上げないと気が済まないのかと責められもします。
         中には『オリエント急行殺人事件』を引き合いに出して、あの事件では真相を曲げたではないかと食って掛かる者も出てくるのです(真相を曲げたことなど、読者しか分からない事なのに、クリスティは茶目っ気たっぷりにこんなサービスまで書いてしまっています)。
         しかし、ポアロは後には引こうとしません。
         たとえ被害者が悪人であろうと人を殺した以上犯人は明らかにされなければならないと主張して(……オリエント急行はどうするんだ、なんですけれどねぇ)。

         さて、関係者はそれぞれの思惑から必ずしも真実を語ろうとはしません。
         そして、決定的な物証があるという事件でもないのです。
         結構重要な事実は、例の関係者を集めた謎解きの席でようやく読者に明らかにされるので、本作は読者が真相を推理できるタイプの作品ではありません。

         実際に、クリスティが用意した結末はかなりどうかと思わざるを得ないものであり、ポアロの推理も、何か決定的な根拠があるというよりは、かなりの憶測と言われても仕方がないもののように思われます。
         クリスティは、時系列表や、ポアロが重要と思う事項をわざわざ表仕立てにして本文中に挟み、ポアロの謎解きの場面でもそれらを使って一見ロジカルに謎解きをしているように見せかけていますが、甘い!

         ミス・リーディングも多用してはいますが、肝心の真相の伏線が弱すぎるため、読者はポアロが語る真相を読んで、非常に唐突な印象を受けるのではないかと思うのです。
         もし、時系列表や重要事項表をクイーンが使ったら、もっと水も漏らさぬガチガチの結論を導いただろうと思わざるを得ません。
         こういう諸々の点からすると、本作は本格ミステリとしてはあまり高い評価は与えられないと思いました。

         また、物語の構成もあまりよろしくないと、私は思いました。
         第一部は夫人やその家族、周辺者らの旅行先でのあれこればかりが描かれ、ちょっとダレます(ここに結末の伏線がしっかり張られているというわけでもないのです……一応あると言えばありますけれど……)。
         ポアロが本格的に登場するのは、物語の半分が過ぎた第二部に入ってからというのもちょっとねぇ。

         ただ一点、いかにもクリスティらしいと感じたのは、決してイヤ~な結末にはしなかったことでしょう。
         ポアロの推理が進んで行けば行くほど、読者は何だか嫌な結末になりそうだと予感し始めると思うのですが、そこはさすがにクリスティ。
         そういう結末には持って行きませんでした。
         ただ、その反面、クリスティが用意した結末があまりにも唐突で弱いという印象を残してしまったのですけれど。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2021/07/11 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      死人の鏡

      アガサ・クリスティ , 小倉多加志

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね! Tukiwami
      • ポアロの出てくる短編集

        厩舎街の殺人
         なんだかこじつけ的なオチに思えるが…

        謎の盗難事件
         登場人物の書かれているページに栞したら
         誰が誰か分からなくなるのを防止できた

        死人の鏡
         ダラダラした話だが
         ラストが切なくて良い

        砂にかかれた三角形
         この短い話の中で
         よくこの深みを出せたものだ
        >> 続きを読む

        2019/01/11 by 紫指導官

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      テーブルの上のファーブル moonshiner

      坂本真典 , クラフトエヴィング商會

      筑摩書房
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 【第二期の始まりということなのですよ】
         クラフトエヴィング商會の作品は大好きなのですが、最近新刊が出ないのでちょっと淋しいところ。
         まだレビューしていない既刊をご紹介します。

         本作は、『第二期の始まり』とされています。
         他の作品の様に取り立てて決まったテーマがあるわけでもなく、著者ご夫婦が普段使っているダイニング・テーブル兼仕事机での会話から始まります。
         ちょっと日記仕立てで、本を作るに当たっての会話などが記されています。

         クラフトエヴィング商會の本が素敵なのは、そのデザイン、本に登場する不思議な小物を実際に作ってしまっているところなどですが、本作にもふんだんに出てまいります。
         様々な電球が入った木箱、著者ご夫婦が愛飲しているインスタント・コーヒーの瓶、様々な架空の広告(『暢気眼鏡』、『光沢ビスケット』、『シネマ月舟』(レインコートを着た犬を上映中などなど)、東京天体望遠鏡の小箱。
         あぁ、このちょっとレトロでしゃれた感じが好きなんですよね。

         収録されているエッセイのタイトルも素敵なのです。
         『遺失物保管庫』、『街頭が聞いた切符売りの話』、『パンの耳と王様の耳』、『イースターエッグの目玉焼き』、『グレープフルーツを背負って』、『8段ベッドからの報告』などなど。

         飛び飛びのページに挟まれている『猫の図書館』は、図書館の電球が切れてしまってそれを取り替えたい猫のお話が味のあるカラー・イラストとともに綴られています。

         クラフトエヴィング商會の作品は、時間を止めてほけーっと読むのがよろしいようです。
         あぁ、新刊出ないかなぁ。
        >> 続きを読む

        2021/12/27 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています

出版年月 - 2004年5月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本