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2004年7月発行の書籍

人気の作品

      13階段

      高野和明

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 【巧妙に練られたミステリ】
        『日本の現代作家をもう少し読んでみようシリーズ』今回は高野和明さんの本作を選んでみました。
         これもネットではお勧めの作品として挙げられていましたので。

         ストーリーは、死刑確定囚の冤罪をはらすことを依頼された弁護士が、その調査を知人の刑務官の南郷に頼むところから始まります。
         刑務官という立場上、死刑囚の冤罪を晴らす調査をするというのは相当に抵抗があると思われるのですが、南郷は間もなく刑務官を退職することを決意しており、また、死刑制度や刑務所における処遇の在り方などについて疑問を抱いていたこともあってこの依頼を引き受けることにしました。

         南郷は、調査を進めるに当たり、その手伝いを三上という若い仮釈放者に頼みます。
        三上は傷害致死罪により2年の実刑に服していたのですが、満期3か月前に仮釈放になったのです。
         三上の家は、この事件の賠償で火の車であり金に困っていることが予想されたので、弁護士から申し出られた高額の報酬を折半しても三上に手伝わせたいと考えたのですね。
         南郷は、自分が刑務官をやめるに当たり、最後に見込みのある仮釈放者の更生を見届けたいという気持ちもあったのです。

         こうして南郷と三上による冤罪調査が始まるのですが、何とも奇妙な話ではあります。
         高額の報酬を出すことを約束して弁護士に調査を依頼してきた者は、自分の素性を隠すことを弁護士に要求しているのですが、何故そんなに冤罪であると確信できるのでしょうか?
         死刑囚は記憶喪失になっているということで、新たな情報と言っても最近思い出した「事件の時に階段を上った記憶がある」という位の事実しか無いのです。
         
         この作品は果たして本当に冤罪なのかどうか、冤罪だとすると真犯人は誰なのかというミステリになっているのですが、それだけが魅力の作品ではありません。
         この作品の中には、死刑制度をどう考えるべきか、犯罪被害にあった者やその遺族はどれだけ悲惨な思いをするのか、罪を犯した者の更生の困難さ等々がかなりの紙幅を取って描き込まれており、むしろそちらの方にウェイトがあるんじゃないかと思えるほどです。

         その様なテーマの作品を書くに当たり、作者は随分色々調べて書いているということがよく分かります。
         ただし、中には実際にはそういうことにはならないという部分もいくつかはあるのですけれど。
         重いテーマを伴ったミステリですが、なかなかに練り込まれている作品だと感じました。
         

        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2020/05/06 by ef177

    • 他12人がレビュー登録、 48人が本棚登録しています
      模倣の殺意

      中町信

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      2.8
      いいね!
      • 読んでいる内に時代背景がだいぶ前だと気付き、確認してみると40年も前に書かれた推理小説だった。書店チェーンの文教堂が無名の名作を平積み告知したところバカ売れしたらしい。
        内容としては出来過ぎで、同姓同名の若手小説家が1年おいた同日に自殺するところから始まるのだが、その二人の関わり方とその師匠との盗作疑惑が意外な形で絡んでいる事が明らかになるというもの。どちらの自殺者の事を書いているのか意図的に誤認させる事で複雑なストーリーとなっている。感想としては言葉遣いと構成がイマイチで書き方によってはもっと面白くなっただろうに。
        >> 続きを読む

        2017/12/28 by aka1965

    • 他5人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      片想い

      東野圭吾

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 毎年アメフトの同窓会で当時のメンバーと会っている哲郎。
        そこはプレイヤーの男だけでマネージャーは居なかった。
        しかしその年同窓会が終わった後店の外にある人物を見つける。
        それは10年ぶりにみたマネージャーの美月だった。
        懐かしい気持ちになり、話を聞こうと思ったが、様子がおかしい。
        取り敢えず自宅で話を聞くと美月からとんでもない告白をされる。

        自分はずっと男だった、哲郎たちと出会うずっと前から・・・
        そして更に自分は人を殺してきたと。

        突然の告白に戸惑う哲郎。
        妻の理沙子は美月を警察には渡さず、匿うという。。。

        ミステリー要素と性のテーマを融合させた作品でした。


        今回のテーマは「ジェンダー」
        今でこそ世間にも認知されてきたけど、それでもとてもデリケートで難しい事柄だと感じています。
        自分も知識も経験も無い為、迂闊な事を言えませんが、本作を読んでもとても安易に感想を言えるような事では無いと感じました。
        >> 続きを読む

        2020/05/18 by ヒデト

    • 他3人がレビュー登録、 26人が本棚登録しています
      苦海浄土 わが水俣病

      石牟礼道子

      講談社
      カテゴリー:公害、環境工学
      5.0
      いいね!
      • 著者である石牟礼道子さんが亡くなったのは今年の2月。生憎と
        私は入院中で、訃報がもたらされた時はテレビや新聞を見られる
        状態ではなかった。だから、亡くなったのを知ったのは退院して
        からだった。

        『苦海浄土』を初めて読んだのは高校生の頃だったろうか。文庫
        新装版である本書は発行後に購入していたのが、読む機会を逸した
        まま積読本の山に埋まっていた。

        気力・体力共に低下していたので、退院後もなかなか本書と対峙
        出来なかったのだが5月1日に行われた水俣病犠牲者慰霊式のあと
        にチッソ社長の「救済は終わった」発言に唖然として、本書と
        対峙する決断がついた。

        ノンフィクションでも、ルポルタージュでもない。いくつかの
        事実は散りばめられているが、本書は水俣病患者とその家族を
        見て来た石牟礼さんが創作した、水俣病犠牲者の心の声であり、
        魂の叫びだ。

        土地の言葉を活かした文章の向こう側に、有機水銀に汚染されな
        がらも青さをたたえた水俣の海が広がる。その海が与えてくれた
        豊富な魚介類が、まさか体と心を破壊してしまうとは誰も思いも
        しなかっただろう。

        そして、原因はチッソ水俣工場から排出される排水に含まれた
        有機水銀であると、早い時点で特定されていたにも関わらず
        救済を遅延させたチッソ及び行政の罪は重く、改めて怒りを
        感じる。

        「銭は一銭もいらん。そのかわり、会社のえらか衆の、上から
        順々に、水銀原液ば飲んでもらおう。(中略)上から順々に、
        四十二人死んでもらおう。奥さんがたにも飲んでもらう。胎児性
        の生まれるように。そのあと順々に六十九人、水俣病になって
        もらう。あと百人ぐらい潜在患者になってもらう。それでよか」

        「あとがき」に書かれている言葉である。切なすぎるだろう。
        加害企業として犠牲者に補償するのは当然だが、どんなに補償金
        を積まれても、亡くなった人は戻って来ないし、有機水銀に害され
        た体は元には戻らない。

        チッソの現社長・後藤氏は、本書を百万遍読んだらいい。
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        2018/05/16 by sasha

    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      銀行狐

      池井戸潤

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      2.8
      いいね!
      •  それぞれ独立した短編が5作おさめられています。
        銀行狐というタイトルですが、 
        警察官が主人公のストーリーもあります。

         それでもやはり、
        銀行の内面をよく知っている池井戸氏ならではの
        トリック設定や謎解きが随所にあり、
        期待にたがわず面白いです。
         
         ところで作品と直接的にかかわりはないのですが、
        本の帯のコメントが気になりました。
        『エスカレートする「狐」からの要求』とあるのですが、
        「銀行狐」に登場する犯人「狐」の犯行は
        たしかにエスカレートしていきますが
        具体的な要求は何もしてきません。
        きちんと読んでいない方がコピーを書いちゃったのかなぁ…。
        でもそれがチェックを通って売り物に巻かれちゃうのって
        どうなんでしょう?
        余談でした。
        >> 続きを読む

        2017/11/23 by kengo

    • 他2人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      青列車の秘密 クリスティー文庫)

      アガサ・クリスティ

      早川書房
      3.0
      いいね!
      • 【オリエント急行の裏返し……かな?/ポアロしらみつぶし5】
         青列車(ブルー・トレイン)車中で起きる殺人・宝石盗難事件をエルキュール・ポワロが解決するというミステリです。
         クリスティは、本作でなかなか凝ったトリックを用意してくれています。

         クリスティの傑作の一つに「オリエント急行殺人事件」がありますが、「ある意味では」本作は「オリエント急行」の裏返し的なところが無いとも言えないかもしれません。
         すみません、ミステリのレビューという性質上、ネタばれ厳禁なもので、どうしても奥歯に物が挟まったような言い方しかできなくて。

         本作は、ポワロ物ですが、残念ながら良き相棒のヘイスティングズは登場しません(一か所だけポワロの台詞中に出てきますが)。
         その代わりに、ポワロの相方的役割を少しだけ担ってくれるのが、ポワロが青列車の中で偶然に知り合ったキャザリン・グレイという女性です。

         キャザリンは、長年、セント・メアリ・ミードという田舎の村で、老婦人の家政婦として働いていた33歳の未婚女性なのですが、その老婦人が亡くなったことで莫大な遺産を相続したのですね。
         キャザリンは、これまで老婦人のお相手をして小さな村に籠もりっきりの生活だったため、一度はリヴィエラへ旅行してみようと思い立ち、青列車に乗ったわけです。

         青列車の食堂車の中で、たまたま相席になったポワロは、キャザリンが推理小説を持っているのに目を留め、話しかけたところ二人は知り合いになるのです。
         キャザリンは、ミステリのような刺激的なことは現実には起きないと言うのですが、ポワロは「そんなことはありませんよ。きっと起きます。」と言ったところ、まさに二人が乗り合わせていた青列車の車内で冒頭の殺人・盗難事件が発生したというわけです。
         ポワロは、キャザリンが聡明であることを見抜き、この事件は私とあなたの二人で解決しましょうとキャザリンに言うのでした。

         さて、この犯罪の目的を達するためだけなら、もっとシンプルな方法が可能だとは思うのですが、そこはそれ、ミステリですから。
         クリスティもその辺は気づいていて、ポワロの口を借りてやや苦しい言い訳をしています。

         また、この作品でポワロが真相にたどり着く手法として「心理」ということを強調しています。
         まぁ、人間のキャラクターということですね。
         証拠上いかに疑わしい人物であっても、そのキャラクターが犯行手口にそぐわなければ犯人ではないと言うのですね。
         まぁ、そういうこともあるかもしれませんが……(やや弱いかなぁ)。

         そうそう、この物語を通じて、もう一つの「謎」が仕組まれているんですよ。
         それは、キャザリンは結構モテまして、様々な男性からモーションをかけられるのですが、キャザリンの意中の人物は誰か?という「謎」です。
         これが、本来の中心的な「謎」と絡み合うように書かれています。

         そうそう、最後にもう一つ。
         今回、キャザリンが暮らしていた村として登場するセント・メアリ・ミード村ですが、後に、この村からミス・マープルが登場することになるのですよ。
        >> 続きを読む

        2020/01/27 by ef177

    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      屋根裏の散歩者

      江戸川乱歩

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 乱歩の初期短編集で非常に勉強になります。明智小五郎初の登場作品も有り面白いです。

        2016/03/22 by rock-man

      • コメント 1件
    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      野性の証明

      森村誠一

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 薬師丸ひろ子のデビュー作で有名な作品です。「人間の証明」よりどちらかと言うとこの作品の方が好きです。映画では、派手にヤッテますが原作は舘ひろし率いる暴走族とヤッテます。この本は読むのは、二度目ですが読む度に新しい発見があり非常に面白い。自分に関係ある地名が出てくる所が惹かれるわけかもしれません。 >> 続きを読む

        2019/06/22 by rock-man

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      誰だってちょっと落ちこぼれ スヌーピーたちに学ぶ知恵

      河合隼雄

      4.5
      いいね! Moffy
      • 深い………ピーナッツの世界は本当に深い。

        ピーナッツを知ったのは、子供の頃母がピーナッツのアニメDVDを買ってくれた時。
        パッケージもなんかやんわりとした感じで、興味を持てなかったのですが、しまいにはアニメの中で一番好きな作品になっていました。
        「あー面白かった」より、私の心にもっと重く働く力があって、充実感を覚えてしまう。
        特にチャーリーブラウン。彼の頑張りには何度励まされたことか。
        そして、完璧無欠でなくても、それが個性で、愛されることも。

        コミックはより吟味して読めるのでもっと味わいがある。
        ピーナッツのコミックは、味わって読むことが大事。ストーリーを追うより、セリフ一つ一つを噛み砕き、何度も読み直す………
        時折、詩集のようなものだと思ってしまう。
        >> 続きを読む

        2017/09/29 by Moffy

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      ぶらんこ乗り

      いしいしんじ

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 例えば、「楽しい」とか「悲しい」と自分の気持ちを常に一言で言いきれるかというと、そうじゃないことの方が多い気がする。「楽しいけど・・・」「悲しいけど・・・」この「・・・」がうまく言葉にできない。この物語を読んだ感想がまさにそのもの。物語という舞台装置の中で登場人物が動いているという感覚ではなく、自由に動き回る姉弟に追い付くように、いろいろな言葉が紡がれる。そう、揺れているブランコのように留まってはいない生々しさがあふれる。ラストの夜のぶらんこのシーンはグッと来た。 >> 続きを読む

        2020/05/16 by かんぞ~

    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      指揮官たちの特攻 幸福は花びらのごとく

      城山三郎

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •  ここ数年、せめて8月ぐらいは「昭和戦争」関連の書物を読むことにしていますが、本書は「軍神」として称えられた関大尉、中津留大尉を中心に戦争という非常に息苦しい時代に生を受け、しかも命令一つで「特攻隊」として命を散らせていった人達とその家族達のドラマです。両大尉の生きざま(死にざま)もさることながら、関大尉の母、サカエさんの生きざま(死にざま)も非常に感動的でした。
         戦争が無い世界が理想ですが、現在も地球上の多くの人達が自分の意思に反して戦争に巻き込まれ、戦争に直面している現実です。このような平和な現在の日本に生を受けた一人として、ありがたい反面申し訳ない、という複雑な気持ちになってしまいますが、来年も少なくとも8月ぐらいは「昭和戦争」ものを読もうと思っています。
        >> 続きを読む

        2014/08/29 by toshi

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      ポアロ登場 クリスティー文庫)

      アガサ・クリスティ

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • ポアロの初期短篇を集めたクリスティ初の短編集。
        ヘイスティングズ、ジャップ警部も登場。
        簡単に内容のご紹介をしておきます。しつこいレビューでごめんなさい。

        【“西洋の星”盗難事件】
        The Adventure of "The Western Star” (The Sketch誌1923年4月11日号)
        〈西洋の星〉〈東洋の星〉と呼ばれる大粒のみごとな双子のダイヤモンドの盗難予告の手紙が送りつけられた。
        このダイヤは、もともと中国の寺院の神像の眼にはめ込まれていたという逸話があるという。
        ポアロはダイヤモンドを守ると受け合うが…。

        ヘイスティングズ相手にポアロがシャーロック・ホームズごっこをするという、パロディに近い作品。
        ダイヤの盗難ネタで、登場人物が映画スターと貴族の2組の有名人夫婦。
        犯人像に謎の「辮髪の中国人」まで登場し、短いながらクリスティの大好きなネタが盛りだくさんです。
        「スタイルズ荘事件」のメアリが話題として登場。

        【マースドン荘の悲劇】
        The Tragedy at Marsdon Manor (The Sketch誌1923年4月18日号)
        多額の保険金を掛けた直後に死んだ男の調査を請け負ったポアロ。
        医者は脳内出血と診断したが、保険会社は若く美しい妻に金を残すための自殺を疑っていたのだ。
        亡くなった男のそばにはカラス打ち用ライフルが残されていた。

        【安アパート事件】
        The Adventure of the Cheap Flat (The Sketch誌1923年5月9日号)
        ロンドンの一等地の贅沢なアパートが、相場380ポンドが80ポンドで貸し出されていた。

        ヘイスティングズがホームズ気取りでセリフの真似をしていますが、
        作品も「赤毛連盟」を下敷きにしていることは明白です。

        うまい話にゃ裏がある。もしかして幽霊が出るの?
        安い家賃で借主を探す本当の理由は何か?
        「日本人スパイ」も絡む国際的な陰謀の匂いがします。

        【狩人荘の怪事件】
        The Mystery of Hunter's Lodge (The Sketch誌1923年5月16日号)
        インフルエンザで休養中のポアロに変わって孤軍奮闘するヘイスティングズ。
        狩場の一軒家での殺害事件の犯人を追うが。

        完璧に「安楽椅子探偵」のスタイルのお話し。
        ヘイスティングズとの電報のやりとりだけで犯人を当ててしまいます。
        犯人は証拠不十分となるも…。
        現代の捜査なら100%立証できますけれど。

        【百万ドル債券盗難事件】
        A Million Dollar Bond Robbery (The Sketch誌1923年5月2日号)
        百万ドルもの自由公債が輸送中の船で盗難に合い売られてしまった。
        密室空間の船内では公債は発見できず。

        ポアロが、がっかりするほど単純な事件という通り。簡単すぎ。

        【エジプト墳墓の謎】
        The Adventure of the Egyptian Tomb (The Sketch誌1923年9月26日号)
        古代エジプトのメンハーラ王の墳墓の発掘に関わる人が立て続けに死亡する事件は王の呪いだと世間を騒がせた。
        護身を依頼されたポアロは真相解明に乗り出す。
        王の呪いは本物なのだろうか?

        エジプトで砂やラクダに悩まされるポアロに笑いつつ、
        オカルト的な味わいも楽しめる異色作。
        これは短編ではもったいなく、長編にすべき内容だと思うのですが。
        「迷信」は信じていないが「迷信の力」は信じているというポアロの言葉は名言だと思います。

        【グランド・メトロポリタンの宝石盗難事件】
        The Jewel Robbery at the Grand Metropolitan (The Sketch誌1923年3月14日号)
        見栄張りの富豪が集まるブライトンの有名ホテルで、非常に高価な真珠の首飾りが盗まれた。
        その場に居合わせたポアロは真珠の奪回に乗り出す。
        一見密室に見えたホテルの客間での盗みのトリックとは?

        【首相誘拐事件】
        The Kidnapped Prime Minister (The Sketch誌1923年4月25日号)
        名実ともに英国のリーダーである首相が重要な国際会議出席のため、フランスへ渡った直後に姿を消した。
        国際的陰謀の解決を依頼されたポアロは時間までに首相を無事に発見しなければならない。

        【ミスタ・ダヴンハイムの失踪】
        The Disappearance of Mr. Davenheim (The Sketch誌1923年3月28日号)
        銀行家、ダヴンハイム氏がある日忽然と姿を消した。
        家の金庫は荒らされ、池には彼の衣服が投げ入れられ、指輪が質入れされていた。
        彼の生死は?生きているとしたら、どこに?

        「木の葉を隠すなら森の中」ってのは、ブラウン神父でした。

        【イタリア貴族殺害事件】
        The Adventure of the Italian Nobleman (The Sketch誌1923年10月24日号)
        高級アパートの一室で起こった殺人事件。
        死の間際に医者に助けを求める電話がかかり、ポアロと医者が駆けつけると…

        意外な犯人と密室殺人のミックス。
        これも種明かしが忙しい感じで、中編くらいのボリュームが欲しい。
        ポアロの殺人事件ものには短編は向かないといわれるのは、
        彼女のプロットではトリックと人物描写が複雑なため、
        慌ただしい解決になってしまうからでしょう。

        【謎の遺言書】
        The Case of the Missing Will (The Sketch誌1923年10月31日号)
        財産家の男がなくなり、隠されたもう一通の遺言状の存在を匂わせる不思議な遺言を姪に残した。

        短編として楽しい。こういう殺人モノ以外の活躍が読めるのは短篇ならでは。
        ラストの台詞も気が利いている

        【ヴェールをかけた女】
        The Veiled Lady (The Sketch誌1923年10月3日号)
        やんごとなき身分の美女が悩み事を依頼に訪れる。
        昔書いた恋文をネタに高額の金銭を要求されているという。

        面白い。ふざけすぎ、とも言える。
        ポアロが暇すぎて、自分が犯罪者なら一流の犯罪者になって荒稼ぎできるのに、自分は道徳心がありすぎる。なんて考えていたちょうどそのタイミングだったので、
        違法な家宅侵入を嬉々としてやったりします。
        真相を知ったら誰でも唖然とするでしょう。

        【消えた廃坑】
        The Lost Mine (The Sketch誌1923年11月21日号)
        中国人実業家が殺され、ある重要な書類が奪われた。

        アヘン窟に潜入したりってところが、ちょっと珍しい。

        【チョコレートの箱】
        The Chocolate Box (The Sketch誌1923年5月23日号)
        荒天の夜に暖炉にあたりつつの昔話はベルギー警察の刑事課にいたころのポアロの大失敗の物語。

        心臓麻痺で急死した大物政治家の死因を不審に思う家族の一人からの依頼で
        休暇中のポアロが単独で調査を開始する。
        何もなさそうに思えたが、故人が好きだったチョコレートの箱が目に留まり、事件性を確信。
        調べを進めると不審な人や出来事が浮かび上がる。

        この話はその後のシリーズの中に何度となく、ポアロの口から「チョコレートの箱の件」として話題にのぼるので、
        この短編集の中で最重要かつ有名なお話しです。

        彼にとって、この失敗は「戒め」であり「思い出」なのです。
        ポアロが敬虔なカトリックというのは、意外な事実でした。(本当~?)

        雑誌連載時の日付を添えておきました。
        本の順番は連載順にはなっていませんので、
        連載順に読むのも一興かと思います。
        >> 続きを読む

        2012/10/04 by 月うさぎ

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      犯人に告ぐ

      雫井脩介

      双葉社
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
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      • 警視の巻島は誘拐事件の指揮を執っていたが、受け渡しに失敗し人質が犠牲に。
        そこから6年後。バッドマンと名乗る幼児連続殺人が発生。
        巻島は再び陣頭指揮に戻ってきて、TV局と手を組んで劇場型捜査を展開することに。

        刑事ものでは中々見ない形であり、バッドマンとのやり取りの中で奇妙な関係が形作られる。
        その中で情報をリークする存在が。

        巻島がなぜ元の地位に戻れたのかを証明するのは終盤。
        すべてはバッドマン逮捕のためであるが、実は二重に罠を仕掛けていたという解釈。

        3作目が出たということで、そのまま続刊していきたい。
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        2019/10/10 by オーウェン

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      あさ

      吉村和敏 , 谷川俊太郎

      アリス館
      カテゴリー:詩歌
      5.0
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      • 朝には、独特の瞬間がある。

        1日が切り替わる時間帯が、それ。

        それを、この本からも感じ取れる。

        自分で、畑仕事をするようになって、そんな時を感じることがあり、いのちを感じるようになった。
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        2018/05/13 by けんとまん

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      ジス・イズ・ニューヨーク

      松浦弥太郎 , SasekMiroslav

      ブルース インターアクションズ
      4.5
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      • ニューヨークの街を描いた絵本。

        本当にいろんな人種や民族が集まっている、世界の縮図のような大都会なのだろう。

        いつか行ってみたい。
        ブルックリン橋も見てみたいものだ。
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        2013/04/11 by atsushi

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      六世笑福亭松鶴はなし

      戸田学

      岩波書店
      カテゴリー:大衆演芸
      4.0
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      • 鶴瓶がインタビューする米朝、文枝、春団治などの証言により、
        六代目松鶴の、芸に寄せる真摯な想いが明らかになる。

        一言で云うと、豪放磊落でありながら、上方落語の復興に果たした功績は、
        図り知れぬものがある。

        その中で、落語の芸と題し、松鶴と越智治雄氏との対談が興味深くおもしろい。

        「らくだの演出」についてと、松鶴がネタおろしする前のメモ書きがある。

        枕・・・・千日の火屋
        時・・・・夏。それも残暑の厳しい頃とする。昼過ぎから夕方。
        場所・・長屋の造り。豆腐屋(表通り)。大家。月番(コグチから二軒目)

        遊び人のこしらえから入っていく。
        ・・・・・カスの遊び人だが、なりはしっかりしている。
        紙屑屋の性格
        ・・・・・酒と博打で身をすったのは嘘。酒だけ。嫌にになっている。
        ・・・・・最初の一声から描き方を変える。今迄の、初め愛想笑いをしていて、
        最後にやくざのようになるのは演出の謝り。-暗い感じ、重い口、上品なところのある言葉。

        酒の呑み方
        ・・・・・やけくそになって紙屑屋は呑んでいる。一升徳利三本をうまく空けなければならない。
        勿論紙屑屋の方が強い。・・・荒い事を言わず凄みをきかせる。一合茶碗、一息で呑める。
        箸が乱れてくる。おかずはあまり食べない。」・・
        ・・・・・・・箸の置き方まで、最初は小皿、次は左手で受けながら、ぼちぼちじか箸に、
        きっちり前に置いた箸が、だんだんぞんざいになりお膳の上にポンと落とすようになる
        ・・なんて細かいことまで、留意されているのか、米朝さんならいざ知らず、六代目の口から
        発せられるのが、驚き。・・豪放磊落に見せながら、いかに細かい計算があったのか、感動。

        らくだをただ怖がるのはいけない。
        水滸伝の人間のように大きな事ばかり言ってもいたらくだ。
        先ず最初の月番の所へ行く。泣き笑いの祝儀。
        返事を聞かんと困ると言われて、気軽に荷物を預ける。
        大家の所へらくだを背負って行く。「豚と相撲とった夢見て、らくだ背負う」
        ・・・別のくすぐりに変える(実際は、豚をまめだに変更)。長屋の人間の扱い。
        びっくりして香奠を持ってくる。
        家主・・“かんかんのう”・・・死骸を見てすぐ謝る。・・・小文冶さんの演出。
        “ちっとは嫌がられている家主”やと言った手前、踊らせる迄強がっている。
        桶・・・八百屋ではいけない。

        西日の中を歩いていく。(20分位の道)約1時間・・・・。

        私たちは、舞台の落語を聴いて、単にあははと笑っているだけですが、
        噺家さんの高座には、演者としての、深く緻密な計算された演出があるんですな。

        このあと、「市助酒の酔い」、「噺の変幻」、「言葉の深さ」、「呼吸のむずかしさ」と
        六代目が真正面から語る、芸談は、日頃聴いている噺だけに、読み応えがありまっせ。

        是非、笑福亭ファンは図書館でも、手にされることをお勧め致します。
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        2013/06/07 by ごまめ

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      古代オリンピック

      橋場弦 , 桜井万里子

      岩波書店
      カテゴリー:スポーツ、体育
      4.0
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      • 2004年のアテネオリンピックに合わせて出版された本。
        オリンピックの起源である古代ギリシャのオリンピックについて10人の研究者が、最新の考古学・歴史学の成果を元に様々な側面からその実像を浮き彫りにする。

        内容は、オリンピックの起源、発祥の地オリンピアの発見と発掘までのエピソード、祭典としてのオリンピック、競技者や競技内容、ヘレニズム、ローマ世界でのオリンピックの変容が網羅されており、これ一冊で古代オリンピックに関する総括的な知識を得ることができる。

        私が特に興味をひかれたのが、競技の優勝者に備わると考えられた”キュドス(栄光)”の概念であった。
        競技の優勝者は、実力だけではなく神々に祝福されたこそその地位を得た事ゆえ、ある種のオーラがあるといった概念であるが、これが場合によっては、政治資本として活用されたりもしたという事はなかなか興味深かった。

        また、オリンピックの花形競技のマラソンは、ペルシア戦争の故事に由来するものであるが、この伝承の信ぴょう性に大きな問題があるという事も驚きであった。
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        2018/01/02 by くにやん

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      曹操注解孫子の兵法

      中島悟史

      朝日新聞出版
      カテゴリー:古代兵法、軍学
      4.0
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      • 乱世の奸雄として名高い魏の曹操。孫子の兵法を説く。

        戦略と戦術。人心の機微。確かにこの内容は時空を超越する。

        確か「孫子の兵法」に初めて触れたのは、映画「ウォール街」でのマイケルダグラスのセリフだったように記憶している。

        ウォール街という西洋文化の象徴的な言葉と「孫子の兵法」が結びつかず、当時は激しい消化不良に襲われたものだが、同時にいつか読みたいと深く心に刻んだことを思い出す。

        そんな「孫子の兵法」だが、まずラッキーだったのは、曹操註解のものを最初に手に取ることが出来たこと。

        おそらく研究者なら原理主義と言うか、曹操注解ではないものに価値を見出す気がする。
        しかし、あくまでも趣味として捉え、あわよくば実生活に生かせるものは無いかという視点においては、実戦面で曹操の註解が入ることは、その説得力を増すことに大いに貢献していることを素直に認めることが出来る。

        一度読んで全て見に付くというようなものではなく、何度も読み返すべき。
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        2011/08/01 by ice

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      姉妹―Two Sisters (角川ホラー文庫)

      吉村 達也

      3.0
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      • これどうやって映像化したの…?
        問題だらけの家族とその後妻もどき。争いが起きる気配しかないが、女たちのドロドロ合戦は目をそむけたくなるほど。それにしてもお父さんだめすぎるぞー。 >> 続きを読む

        2018/09/11 by aki

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      日本全国離島を旅する

      向一陽

      講談社
      カテゴリー:日本
      3.0
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      • 「島に行きたい!」と以前からの思いを今年の夏、実行することにしました。ところが、旅行の計画をした島の情報は旅行代理店でも少しだけしか得られませんでした。情報収集に図書館へ出かけ、出会ったのがこの本でした。
        沖縄の島、日本海の島、東京の島まで様々な島の様子が取り上げられています。
        特にそそられたのが「青ヶ島」。見出しには「究極の離島、絶壁の上の楽園」と書かれており、「いつかは行くぞ!?」と思ったのでした。
        >> 続きを読む

        2012/08/05 by montitti

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出版年月 - 2004年7月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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