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2004年8月発行の書籍

人気の作品

      風の歌を聴け

      村上春樹

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 読みやすかった。
        若い頃の何をやりたいのか何をやろうとしてるのかが曖昧にそれぞれが流れていく。

        音楽が常にそばにあって女の子とのやり取りもつかめそうで掴めない。そんな儚い青春の空気感を表現するのが巧いというか。デビュー作からやっぱり春樹カラーでした。


        >> 続きを読む

        2019/06/17 by miko

    • 他17人がレビュー登録、 71人が本棚登録しています
      ノルウェイの森

      村上春樹

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね! tadahiko
      • 学生の頃に読んで、そのあとも何度か読んで、中年になった(?)ワタナベやレイコさんと同世代になって再読。

        読んでいる間じゅう、しっとりと霧に包まれた静かな山道と針葉樹の濃い緑色が目に浮かぶ、そんな小説。
        阿美寮のイメージ。
        突撃隊も好きだし、昔はよくわからなかった永沢さんの台詞に共感するようになっていて、自分の内面の変化を感じた。

        もう少し年齢を重ねてから、また読んでみたいと思う。 


        ただ数年前に映画を見てしまい、読んでる途中で直子役の菊池凛子(歴史に残るミスキャストだと思う)が頭の中に何度も登場してきて興醒め。
        映画さえ見ていなければ!
        悔やまれる。
        >> 続きを読む

        2020/06/22 by sally

    • 他14人がレビュー登録、 102人が本棚登録しています
      ノルウェイの森

      村上春樹

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね! tadahiko
      • 評価が高いという理由で、今更ながら手に取った。

        言葉の使い方や、人物設定は魅力的なのだが、
        フランスシネマのような単調さと、
        恋愛や性のことばかりが際立ってるのが
        どうしても好きになれない。
        でも名作と言われるのも
        それはそれで分かるような気はする。

        そんな中でも私の好きなシーンは、
        死を直前に迎えた緑の父親と主人公のワタナベが
        初対面にして心を通わせるシーンだ。
        一風変わったキャラクターが多く、
        共感しづらい心理状態ばかりの中で
        唯一、人間くささが出ているからである。

        今後、もう少しヒューマンドラマが期待できそうな
        他の作品も読んでみたいと思う。
        >> 続きを読む

        2019/01/28 by NOSE

    • 他6人がレビュー登録、 92人が本棚登録しています
      嫌われ松子の一生

      山田宗樹

      幻冬舎
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! SM-CaRDes
      • 人生、真面目に生きていても、たった一つの過ちですべてが狂ってしまうこともあるのですね。恐ろしい世界です。少し時代設定が古く鉄道等の表現がレトロで興味深かったです。 >> 続きを読む

        2018/04/13 by SM-CaRDes

    • 他4人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      あかね空

      山本一力

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!

      • この山本一力の第126回直木賞受賞作の「あかね空」は、小説を読んでいて久しぶりにページを繰る手に力がこもり、読み終えるまで椅子から立つことが出来なかった。

        この「あかね空」は、恐らく市井ものの時代小説の中でも、私の中では1,2を争うほどの、読書の悦びと感動を与えてくれました。

        物語は、京から江戸へ下った豆腐職人の永吉とその一家の、親子二代にわたる"愛情と葛藤"の歳月を描いたものです。

        江戸の豆腐とはまったく質感の違う京豆腐を売ろうとする永吉の苦心に、彼を取り巻く周囲の思惑------。

        永吉の「心がけを買った」といい、娘のおふみを嫁がせることになる職人の源治、京豆腐の真価を一瞬にして悟る江戸の先達や、営業妨害をしようとする商売敵等々が絡んで、永吉夫婦の子供たちへの愛情ゆえの食い違いが、彼が作り上げた店の行く末を危うくしてしまう。

        作者の筆は、それぞれの作中の人物の人生の奥行きを過不足なく照らし出し、ほぼ完璧の冴えを示し、また同時に起伏に富んだストーリーも、実に素晴らしい。

        この作品のテーマは一言で言えば、作中の永吉の次男の悟郎の言葉にあるように、"身内の苦労"に他なりませんが、それを克服する"家族の絆"を描いて、この作品を上廻る感動を呼ぶ作品を私は知りません。

        そして、物語のラストを締めくくる親分の伝蔵の貫禄も相当なものですが、この本を読み返してみると、作品の中盤あたりの彼の言葉がさり気なく、この結末の伏線となっている、そんな作者の周到さにも感心させられた。


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        2018/02/17 by dreamer

    • 他3人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      火の粉

      雫井脩介

      幻冬舎
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • ドラマを観てハマったので読みました。
        武内がユースケさんに脳内変換されました。
        猟奇的な幼少時代を送った武内。
        現実にもありそうな話で、他人事じゃない感じ。
        揺るがない俊郎は弁護士には向いてないなあと思いました。
        この件では無能過ぎた警察。
        だから、ああするしかなかったんだな、きっと。
        面白かった!
        >> 続きを読む

        2016/06/05 by 扉の向こう

      • コメント 2件
    • 他3人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

      J・K・ローリング , 松岡佑子

      静山社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 小学生か中学生の時にハリーポッターのシリーズを読んでいたが、この巻でどうしても思春期に突入したハリーや、ほかのキャラクターが苦手になり、読むのを辞めたのを覚えている。そして数十年後に読んでみると、昔と印象が変わった。昔は正直理解できなかった行動や感情だったが、今になってみると、「ああ、そうやね」「辛かったんだろうな」などが理解できるようになっていた。1人の人間である以上いろいろ感じることがあるし、大人といっても、決して全員が成熟している訳ではない。ハリーポッターはファンタージであり、次から次へと展開がドキドキするが、それと同時に、いろいろな人と関り成長していく人間関係が、巻を増すごとに複雑になっていき、非常に興味深くなった。

        読書を行うと、今までは感じなかった昔の自分と今の自分の変化を見つけられ、それも興味深いと改めて思った。
        >> 続きを読む

        2018/12/23 by sei

    • 他3人がレビュー登録、 39人が本棚登録しています
      PLUTO - 1

      浦沢直樹

      小学館
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.4
      いいね! tadahiko
      • 浦沢直樹氏によるアトムの復刻。

        原作の人気ストーリー「地上最大のロボット」をベースとしている。
        サスペンス的な展開や大きく外観を変えたキャラクターなど独創性に溢れている。
        それでもアトムの空気感が損なわれてない。差別、悲しみと慈愛がきちんと描かれている。ただ手塚氏本人が嫌いだった「どんどん強くなって強敵を倒すテレビ的なアトム」は廃してワクワク感は控えめ。同氏の傑作「Monster」に似た雰囲気に仕上がっている。

        主人公はアトムではなくユーロポールの刑事ロボットのケジヒト。
        原作では脇役(引き立て役)だったケジヒト。途中でアトムに主人公が変わるのか?と思ったが、ケジヒトにここまでの意味を持たせるとは…流石です。

        chaoさんのレビューのコメントに書いたが一巻のノース2号は感動的。それと公園で拾ったロボット犬を直そうとするお茶の水博士も泣かせる。浦沢さんは老人を描かせると旨い。
        ケジヒトでもアトムでも無い細かなサイドストーリーの一つ一つが魅力的なので、原作一巻の内容を全8巻に展開しているが、間延びすることなく最後まで読み応えが有った。

        偉大すぎる原作の重圧に潰されずに、よくぞここまでの絶妙なリメイクを果たしたと感動すら覚える名作。
        >> 続きを読む

        2013/01/16 by ybook

      • コメント 4件
    • 他2人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      パノラマ島綺譚

      江戸川乱歩

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 「闇に蠢く」「湖畔亭事件」「空気男」「パノラマ島奇譚」「一寸法師」からなる作品集。読み応えがあり、特に「一寸法師」は明智小五郎が登場してまさかまさかこの人が犯人とは!必ず騙されます。「パノラマ島奇譚」は自分に似た人物に成りすまし、巨万の富を手に入れ湯水のごとくお金を使い自分の島に夢の国を作り、最後は滅びる内容ですが、あまりにも描写が細かすぎて良く解からない所があり少し残念ですが良くできた作品です。北見小五郎なる人物が出てきますが、明智小五郎のパロディーなのかな~?「闇に蠢く」は乱歩独特の怪しい物語で私は好きです。「空気男」は、ある雑誌の廃刊のため途中で終わってる作品で続きが気になる。「湖畔亭事件」は覗きの性癖のある男の物語でこれも乱歩のおどろおどろしい雰囲気が漂う作品でかなり、怪しいです。 乱歩ファンでなくてもかなり面白いですよ! >> 続きを読む

        2017/06/04 by rock-man

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      アイ・ロボット (角川文庫)

      アイザック アシモフ

      4.5
      いいね!
      • 映画アイ・ロボットの原作です。

        人間がロボットと共存している近未来の世界観。
        近い将来、こうなるかもしれないしようなお話。
        そう考えながら読むと引き込まれ、あっという間に読み進めてしまいました。




        >> 続きを読む

        2015/05/21 by carp-san

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      アフターダーク

      村上春樹

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! KEMURINO
      • 大都会の夜を俯瞰した誰かの視点が地上をズームしてゆく冒頭描写が映画のようで面白く一気読み。

        深夜から夜明けを舞台に、登場人物たちの動向を時間軸にそって追ってゆく描写もシャープなカメラワーク。

        無関係に見える人物たちが、少しずつ接近しながら、交わるのか? 交わらないのか? 昨夜は終わり、新たな朝が始まる。

        カメラ(誰かの視点)は、一体誰の人生をフォーカスしているのか? 物語自体が、広大な社会に点在するほんの一部を絞り込んで写している隠喩のようにも思えたりして面白い珍味小説。

        活字ながら映画の余韻。流石だな。
        >> 続きを読む

        2018/10/11 by まきたろう

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      東京物語

      奥田英朗

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • ちょうど東京の娘のところに行ってた時に読んでたので小岩とか新宿とか秋葉原とかリアルで見てる場所が出てきてワクワクした。奥田氏の小説は寝る前に読むと返って寝れなくなるのが悩み(笑)学生時代は憧れの存在ってみんないるのよね。私もサークルに入ってドキドキしたのを思い出してしまった。
        >> 続きを読む

        2018/05/17 by miko

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      面白南極料理人

      西村淳

      新潮社
      3.7
      いいね!
      • 映画を観て、原作?基になった?本をと思い購入。


        南極越冬隊と言う今まで知ることのなかった人たち。映画とこの本で彼らが厳しすぎる環境のなか9人の仲間で1年ちょっと奮闘していろいろな分野の研究など行っていくという話。

        映画を観たときはとにかく食べ物がおいしそうで、深夜に鑑賞していた私と友達は空腹感に見舞われたのですが。本ではと言うと写真は白黒でして、あまり食欲が湧き出てくるというものではなかった。

        iceさんのレビューの通り、豪華な食事(フレンチ、中華、和食等)とたくさんの酒類の代金は税金です。泡のように使われとまで言いませんがもうちょっと遠慮して欲しかったです。


        全体的には著者が北海道の方なので、方言やなまりが入っていて読みづらいと思う方もいるかもしれませんが、あたしは気になりませんでした。

        隊員のなかでは同じ医療従事者として福田ドクターが大変気に入りました♡深夜3時まで泥酔し徘徊するという…医者っぽくない。絶対!!
        福田ドクターは今もどこかでドクターをしてるのでしょうか?


        とにかく2ページに1度はクスッとくるような本でした。


        コンクウイスキーは最後までわからなかった。。。。
        >> 続きを読む

        2013/11/05 by ゆきんこ

      • コメント 8件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      優雅な生活が最高の復讐である

      青山南 , TomkinsCalvin

      新潮社
      カテゴリー:英米文学
      3.7
      いいね!
      • この本をどこで見かけて読もうと思ったのか、ちょっと思い出せないのです。多分何かの本で紹介されていたか、雑誌か新聞で見たかしたのだと思うんですが。タイトルが素敵すぎて惹かれたはずです。Living well is the best revenge.優雅な生活が最高の復讐である。スペインの古いことわざだそうです。

        小説かと思って読み始めたら、ノンフィクションでした。マーフィ夫妻という実在の人物についてです。フィッツジェラルドが『夜はやさし』のモデルにしたという夫妻らしいのですが、『夜はやさし』は未読です。課題図書が増えました。

        ちょくちょく出てくる著名人のエピソードも面白いのですが、やっぱりフィッツジェラルド夫妻の話が一番生き生きしています。フィッツジェラルド夫妻の幼さが、なんだかもう必死で生き延びようとしている感じがたまらないです。私はフィッツジェラルドはそんなに読んでなくて、それよりもヘミングウェイ派なのですが、フィッツジェラルド自身の人生をこなすのが下手な感じがたまらなく放っておけない感じがします。太宰治の放っておけなさに似ているような。どちらもデカダンですね。

        ちなみに 'Living well is the best revenge' について。
        人生はままならず、悲しいことやつらいこともどうしようもなく避けようもなく襲ってくるけれど、いかなる不条理にも屈さず、優雅に微笑み生き抜くことが人生に勝つ秘訣である、と理解しました。
        いい言葉だ。座右の銘に加えよう。
        >> 続きを読む

        2016/07/24 by ワルツ

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      骨音 池袋ウエストゲートパーク3 (文春文庫)

      石田衣良

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.1
      いいね!
      • 続発するホームレス襲撃事件を追ううちにマコトは、世界で一番速い音の存在を知ることなる。棒みたいな少女を助けるためにマコトのしたこととは――?

        IWGPシリーズ第3弾です。
        作中でミニモニやプッチモニで踊る少女がいて時代を感じてしまいました。もう10年以上前の話なんですねー。

        このシリーズって清濁併せ呑むとでもいいましょうか。
        世間一般的には悪いことと認識されているドラッグや売春、暴力行為なんかが普通に描かれているんです。
        『西一番テイクアウト』なんて「生活のために母親の売春する権利」を求める話なんですからかなり妙な話です。
        でも妙だと思う一方で、それが面白いんですから不思議です。

        【http://futekikansou.blog.shinobi.jp/Entry/163/】
        に感想をアップしています(2010年9月のものです)
        >> 続きを読む

        2014/01/26 by hrg_knm

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 21人が本棚登録しています
      ぶたぶた日記

      矢崎ありみ

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 面白かったです。
        痛快なストーリーがまた良くて、さらっと読めました。

        何故か、ぶたのぬいぐるみの山崎ぶたぶた。
        みんなから好かれていて、とても素敵なぶたのおじさん。

        これを読んで、見た目やその人がもっているもの、そういうのって人間を評価するときに関係ないんだなぁと感じました。

        その人がどういう気持ちで毎日を過ごしているか、この人といるとどういう気持ちになれるか…とかそういうことを人は相手に望んだり見たりするんだろうなぁと、教えられた気がします。

        山崎ぶたぶたのように、人目を気にせず、堂々とした人間(?)になりたいと思いました。

        性格がいいってどういうことだろう…それって人に何でも合わせたりすることでは決して違って、逆に自分の軸を持っている人ではないかと、山崎ぶたぶたを見て思いました。
        >> 続きを読む

        2014/12/29 by snoopo

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      白い果実

      ジェフリー フォード

      4.5
      いいね!
      • 【その果実を食べた者は不死を得るという】
         綺想に満ちた不思議な作品でした。
         物語の舞台となるのは、絶対的独裁者ビロウが自らの脳内に存在する都市をそのまま具現化した『理想形態市』。
         主人公のクレイは一級観相学士なのですが、ある時、ビロウの命令で『属領』へ向かうことになりました。
         『属領』で発見された白い果実が何者かによって盗まれたので、観相学の技術を使って犯人を捜し出し、盗まれた白い果実を取り戻せという命令です。
         どうやらその白い果実を食べれば不死を得られるという噂なのです。

         ところで、観相学というのは、人間の顔かたちによって、その者の性格や気質などを知ることができるとされているものです。
         実際に、そういう技術を操る者は今でもいるのですが、私には眉唾と思われます。
         ですが、都市の発展と共に生まれてきた技術ではあるのです。

         高山宏氏によれば、昔は人間は小さな集落で生活し、その外に出て行くことなどしなかったので、自分の周囲にいる人はみんな顔見知りで、誰がどういう人なのかは互いに分かっていたわけです。
         ところが、ロンドンに代表されるような大都市が形成されていくと、見知らぬ他人が自分の回りにうようよ存在することになるわけですね。
         そうなると人は不安になるのです。
         そんな時、大流行したのが観相学で、それは人の外見からその人がどういう人なのかが分かるというふれこみだったため、不安を抱えている人々の間でもてはやされたというのですね。

         ちょっと話が横道にそれてしまいましたが、本作の主人公クレイはその観相学の達人という設定なのです。
         クレイは傲慢な性格でした。
         『属領』などという田舎に派遣されたこと自体うんざりしており、そこに住む田舎者達にも辟易としているのでした。
         ところが、そんな中に混じって一人の若い、美しい女性がいることに気付きます。
         観相学的に言えば、その顔立ちは『ファイヴ・スター』であり、完璧なのです。

         クレイは、その女性、アーラが観相学を独学していることを知り、劣情も手伝って自分の助手に指名します。
         クレイは、村人全員を観相学的に検査することにしました。
         そうすれば誰が白い果実を盗んだのかはっきり分かるという自信があったのですね。

         観相学の検査を実施する場所にするために、クレイはアーラと共に村の教会を訪れます。
         そこにはいけすかない神父がいたのですが、是非クレイに見てもらいたい物があるというのです。
         それは神父が『旅人』と呼んでいるミイラのようなもので、白い果実と共に発見されたというのです。
         しかし、『旅人』の手には水かきがあり、人間とは思えませんでした。
         観相学的に興味を持ったクレイは、アーラを助手にしてその旅人の検査を始めたのです。
         その結果、驚くべき事に、『旅人』もファイヴ・スターの持ち主であることが判明しました。
         そんな馬鹿な。あんな下等な生物がファイヴ・スターだと?

         その時、急にクレイの観相学の知識が吸い取られるように一切無くなってしまったのです。
         一瞬にして、クレイは、観相学が何も分からなくなってしまったのです。
         力を失ったクレイは、アーラに対して『旅人』の検査結果について出鱈目を言い、逃げるようにその場を去って行きました。

         翌日、予告したとおり村人全員の観相学検査を行い、白い果実を盗んだ犯人を見つけなければなりません。
         しかし、力を失ってしまったクレイにはそんなことは不可能です。
         もし、犯人を見つけ出して白い果実を取り戻すことができなければ、絶対的独裁者ビロウにより苛烈な処罰を受けることは必定でした。
         とにかくこの場を誤魔化さなければ。
         クレイは、アーラがある程度の観相学技術を持っていたことから、アーラに検査をやらせることにし、自分はさも分かっているような顔をしてその結果を報告させることにしました。

         そして、アーラの検査の結果、犯人はあの神父であるということが分かったのです。
         ほっとしたクレイは、全村民を集めるように指示し、その場で犯人を名指しすることにしました。
         静まりかえる村民の前で、クレイがいよいよ犯人の名前を告げようとしたその時、前列にいた神父が躍りかかって来たのです。
         それを叩き伏せ、ふとアーラを見たその時、失ったと思っていた観相学の力が復活したのです。
         そして、その眼で見ると、何と、アーラはファイヴ・スターでもなんでもなく、アーラこそが犯人であると確信したのでした。
         クレイは、全村民の前で、「アーラが犯人だ!」と糾弾しました。

         アーラは監禁され、後は拷問にでもかけて盗んだ白い果実の在処をしゃべらせれば終わりというところまで来た時、村長から何とか助けてやって欲しいとの嘆願がありました。
         尊大なクレイは、かつて主張したけれど観相学界では受け入れられなかった説を試す良い機会だと考えます。
         つまり、観相学というのは人の顔などの外見から内面が分かるとするものなのですが、そうであればその逆に、外面を変えてしまえば内面も変わるというのがクレイの持説だったのです。

         クレイは、アーラの顔を手術して盗癖や傲慢な性格を除去し、素直な性格を付与してやれば、手術後自分から盗んだ白い果実の在処をしゃべるだろうと考え、手術をすることを決意します。
         実は、クレイは美薬と呼ばれる麻薬に耽溺していました。
         麻薬が切れると禁断症状に襲われるのです。
         クレイは、美薬の力も借りて、アーラの顔をどのように手術すれば良いのかというプランを立てます。

         そして遂に手術を始めてしまったのですね。
         手術には長時間かかりました。
         その内に段々美薬の効果が切れてきたのです。
         たまらなくなったクレイは、鞄の中から美薬を取り出そうとしたところ、何と、全部割れてしまっているではないですか!
         しかし、何としてでも手術は終わらせなければならない。
         クレイは朦朧とした状態で手術をするのですが……。
         失敗してしまうのです。

         そこに飛び込んできたのが例の神父でした。
         そして、何と、あのミイラのような『旅人』も生きて動いて入って来るではないですか!
         神父が言うには、自分こそが白い果実を盗んだ犯人だというのです。
         自分は、あの時襲いかかったのではなく、ひれ伏して罪を告白するつもりだったのに、クレイが誤ってアーラを糾弾してしまったのだと。
         そして、少し囓った白い果実を出して見せたのです。
         何と言うことだ!
         クレイは任務に失敗した廉で硫黄鉱山送りにされてしまうのです。

         ここまでが第一部の粗筋です。
         非常に不思議な物語ですよね。
         弟二部、第三部とさらに混迷の度合いが深まり、スケールも大きくなっていきますよ。
         この先のことを少しだけ書いてしまうと、クレイの失敗手術のために、アーラの顔は世にも恐ろしい顔に変えられてしまい、その顔を見た者は即死するというとんでもない存在になってしまうんです。

         私が、この作品を読もうと思ったのは、私が大好きな山尾悠子さんの作品を探して検索していたところ、この作品がヒットしたからでした。
         翻訳をしたのは金原、谷垣両氏なのですが、単に訳しただけではこの作品の持っている雰囲気を出せないと考え、訳文をもとに山尾さんの文体で書き直してもらうことを依頼し、山尾さんもこれを引き受けたのですね。

         この本は2004年に出版されていますので、本当に久し振りに山尾さんの文章が読めるというわけです。
         確かに、最初の方から「おっ、これは!」と惹き付けられる文章で、すごく良いです。
         山尾さんもよく引き受けてくれましたが、この企画は大成功と言えるでしょう。

         実は、この作品、三部作の第一作なんですね。
         続編は、『記憶の書』、『緑のヴェール』というタイトルで刊行済みです。
         ですが、どうやら、本書以外には山尾さんは関わっていないようなのですね。
         非常に残念です。
         でも、そうであってもこの続きは是非とも読んでみたい!
         続編も読了したらまたレビューさせて頂きます。
        >> 続きを読む

        2020/02/26 by ef177

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      嫌われ松子の一生

      山田宗樹

      幻冬舎
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! SM-CaRDes
      • 悲しいけど読んでよかった。

        2015/10/29 by kurobasu

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      白鯨

      MelvilleHerman , 八木敏雄

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 白鯨

        読もうと思ったきっかけは、かのスターバックスの創立者の本読んだ時に、白鯨の一等航海士のスターバックから名前を取ったとの事で、常に脳裏に染みついていて、いつかいつか・・・と思っていて。

        長編で上中下あり、その上を読了。

        それなりに読みやすい。
        鯨学とか、ある程度、斜め読みするような箇所もあったけども、なかなか面白い。

        書かれた当時、日本は鎖国が終わる江戸時代末期だと思う。

        男としては、冒険小説としてみてもロマンおもしろい。

        あとはウィキペディアの情報だけども、世界十大小説のひとつみたいだから、そんな意味でもモチベーションになるのかな。。。

        余談だけども、スタバのコーヒーファンではないんだけども、ミーハーというか、やっぱ今の時代の流れもあるから、たまに行く。で、古典作の白鯨を読む。みたいな・・・笑
        >> 続きを読む

        2019/03/28 by ジュディス

      • コメント 2件
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      変身

      山下肇 , 山下万里 , フランツ・カフカ

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • カフカの変身を読んでみたくて
        いくつかある翻訳の中
        冒頭のページをパラパラめくって
        岩波文庫が自分には1番しっくりきたので
        こちらを購入。

        ある朝、目が覚めると自分の体が
        巨大な毒虫に変わっていた。
        という衝撃の展開なのに、次の瞬間には
        主人公のザムザは「あんな仕事を選ぶんじゃなかった」
        と仕事の心配をしている。
        なんだこれ。
        なんだかわからんが、おもしろいぞ。
        と思い一気に読んでしまいました。
        どうして毒虫に変わってしまったのかについては一切書かれておらず、それはたいして重要な話ではなく
        変貌してしまったザムザが家族に厄介者扱いされる様が
        えらく現実的に思えました。
        断食芸人という、短編もついていて
        最近の一発屋芸人ってこんな感じかなと思いながら楽しく読めました。解釈違うかも知れませんが 笑。
        >> 続きを読む

        2015/01/12 by ともや

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出版年月 - 2004年8月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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