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2004年9月発行の書籍

人気の作品

      センセイの鞄

      川上弘美

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね! Shizu
      • 最初は歳の差がありすぎてあまり現実味がなく、
        読んでいても感情移入できませんでした

        しかし、センセイとツキコさんの間に流れる空気感が素敵で
        だんだん応援したいと思えてきました。

        年齢差があるからこその終わり方がとても切なかったです。
        >> 続きを読む

        2019/05/28 by こゆり

    • 他10人がレビュー登録、 31人が本棚登録しています
      ダンス・ダンス・ダンス

      村上春樹

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 少しずつでも歩み続けることが大切でそうしたら違った世界も開けてくるんだなと、それは当たり前のことのようだけど大事なことだと再確認できました。 >> 続きを読む

        2017/10/27 by ユート

    • 他6人がレビュー登録、 32人が本棚登録しています
      ペンギンの憂鬱

      KurkovAndrei , 沼野恭子

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! Tsukiusagi asa_chann
      • (・θ・)ペンギン本をチェックしていた時に読書ログで出会いました。
        ウクライナの小説家によるちょっと不思議な物語。
        ウクライナ民話の「てぶくろ」をレビューしたノリでこの本にトライしてみました。

        ペンギンが出てくる話でつまらないものはない!という思い込みに違わぬ面白さ。

        本作に登場するのは、皇帝ペンギンのミーシャ。

        物書きのヴィクトルは、1年前の秋に動物園からペンギンをもらい受け、互いの孤独を分け合うように暮らしています。
        家の中を放し飼いです。
        ミーシャは気が向けばどの部屋にも入っていけるように配慮されています。
        じっと佇んでいたり、そこらをペタペタ歩いていたり、鏡やテレビをじっと見ていたり、時々寄り添ってきたり
        お世話といえば冷凍の魚やエビなどを鉢に入れてやるだけ、冷たい水をバスタブに張って水遊びさせるくらい。
        でも互いがそこにいるだけで心が寄りかかって安心感が生まれてくる。
        そんな関係。

        ペンギン学者のピドパールィによると、ミーシャは憂鬱症で、生まれながらの障害で心臓が弱いのだということです。
        やがて、ミーシャはインフルエンザが元で重体になってしまいますが、獣医の見立ては深刻でした。
        方法は心臓移植しかない。しかも人間の幼児の心臓が必要だというのです!

        日常を描きつつ、そこに滑り込んでくる非日常を
        憂鬱症にかかっているペンギンと作家志望のライターの孤独なコンビという取り合わせによってうまく紡いでいます。

        ヴィクトルは新聞社の依頼で〈十字架〉と呼ぶ死亡した要人の追悼記事を書く仕事をしていました。ただし、死後ではなく生前に準備するという点が通常と異なる奇妙な点でした。
        やがて、彼の追悼記事が新聞に掲載される日がやって来ました。
        デビューおめでとう!
        作家で議員のヤコルニツキーが、つまり〈十字架〉を捧げられた要人がようやく一人死んだ訳です。
        やがて〈ペンギンじゃないミーシャ〉が残していった4歳の無邪気な少女ソーニャと、ミーシャを介して友人になった警官のセルゲイの姪でシッターとして雇ったニーナとの、疑似家族のような生活が始まるのでした。

        ソーニャとミーシャのやりとりはほほえましく目に浮かぶようですし、セリフもかわいい。
        「ねえ、何が見える?」「ふゆ!」

        しかしこのまま平和な生活が続くとは思えません。
        この小説には死が随所に顔を出します。
        バイオレンスではなく、あくまでも日常の一コマである分、一層不穏な気がします。
        エンディングを迎えると、彼の仕事が何を意味するのかという謎が、氷が溶けるように明らかになります。

        おおかた予想がついていた謎ではありますが、ヴィクトル本人が知らない別人格のヴィクトルが世間ではより知られ、自分の人生の運命を決定づけてしまう。
        そんなミステリーは現実ならご勘弁です。

        しかし、ウクライナという政治情勢を背負うと、個人の力の微力さを、笑ってすます気になれなくなります。

        『以前は恐ろしいと思われていたことが、今では普通になっている。つまり、人は余計な心配をしなくていいよう、以前恐ろしいと思ったことも「正常」だと考えて生活するようになるのだ。だれにとっても、そう、自分にとっても、大事なのは生き残るということ。どんなことがあっても生きていくということだ。』

        国土は大きく肥沃で資源もある国なのに、ロシアに隣接という政治的に不安定な位置にあるため、他国の干渉を受け続けています。

        町中で銃声が鳴り響き、殺人がすぐ隣で起こりうる日常。
        生きのびるという言葉が、絵空事ではなく、文字通りの意味を持つ生活。

        私達日本人は災害などで突然人生を奪われたり変えられたりすることは、多々経験したり見聞していますが、
        政治的立場が人を死に追いやる社会の中で生きているという感覚はもっていません。

        ロシア語で書かれていますが、ロシア文学ではありません。
        ウクライナ人の立場でウクライナを眺め、語っているものを読むのは初めてでした。

        キエフの秋から春にかけての季節感が印象的です。
        特に真冬の光景が。
        なるほど、酷寒地ではお酒を飲むのは寒さ対策として当たり前、昼間でも街中のカフェでもコーヒー&コニャック
        キエフでは自宅では靴を脱ぐのが普通らしい事も意外でした。
        家に入ってくる人が靴を脱ぐ描写が度々出てきます。
        靴のままで入り込む事(人)もあるようですが。
        日本では家に上がる時わざわざ靴を脱ぐと断り書きしませんよね。当たり前すぎるからです。
        これはちょっと面白いと思った点でした。

        ストーリー、テーマ、主人公の人間性、一様に暗い話素材なのですが、ペンギンの存在が絶大な効果を生んでいます。

        「夜中、不眠に悩むペンギンのぺたぺた歩く足音が、浅い眠りを通して聞こえてくる。ドアはどれも開けっ放しにしてあり、ペンギンは部屋中歩きまわっては、ときどき立ち止まる。人生にも自分自身にも疲れた老人のように深い溜め息をついているんじゃないか、と思うことがあった」

        擬人化は特になく、こんな程度の事しかしていないのに、ヴィクトルの愛着が伝染してくるみたいに、ミーシャがかわいくなってきます。
        この孤独なもの同士の静かな関係が好ましく感じられ、
        ヴィクトルがペンギンを愛しているというその一点が、まさにこの小説の魅力なのでした。

        なのにミーシャはこの後どうなるのか?


        読後みんながそう案じているようです。
        読者からの熱い要望で「カタツムリの法則」という続編が書かれたとあります。
        邦訳はまだされていないようです。
        ヴィクトルは生きのびるみたい。
        英語では翻訳されていますが、タイトルが「Penguin lost」なんていう味気ない…。

        「ペンギンの憂鬱」も英語だと「Death and the Penguin」だそうで、内容そのまんまです(*´Д`*)

        本書の原題は現在は「氷上のピクニック」となっているそうです。
        セルゲイとミーシャを連れて出かけた、凍りついたドニエプル川の休日の楽しい光景。
        思えばあれが最後の平和でした。
        >> 続きを読む

        2018/12/11 by 月うさぎ

      • コメント 2件
    • 他4人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      袋小路の男

      絲山秋子

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • 無駄をなくして研ぎ澄まされた文章。
        風景描写も人物相互関係もしかり。
        書き込んで書き込んで表現するのも嫌いじゃないが、無駄をそぎ落とした文章の中で、行間を読んでいくのも悪くない。
        でも、数十年前の作品だからか、この作家にしては、ちょっとパンチが足りない気もした。
        >> 続きを読む

        2015/12/16 by shizuka8

    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      夕凪の街桜の国

      こうの史代

      双葉社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 映画「この世界の片隅に」の原作者こうの史代が被爆者をテーマに描いた作品。

        こうの史代の絵柄は柔らかく優しいタッチであるが、人々の心の陰影も鋭く描き出されている。
        その為、登場人物達の苦しみや悲しみがより深く心に突き刺さってくる。
         
        夕凪の街
        この作品は、原爆が投下されてから10年が経過した広島で慎ましく懸命に生きている若い女性、皆実が主人公である。
        ほのぼのと優しい絵柄だけに、彼女が経験した壮絶な体験が語られるときその恐ろしさが際立つ。
        彼女は幸せを掴みかけるが、原爆の後遺症により亡くなってしまう。
        本当に悲しい物語であった。
        被爆した方々の癒すことのできない心の傷と、いつ発病するかわからない恐怖を抱えて生きていかなければない苦悩を感じた。

        桜の国
        夕凪の街の主人公の弟旭の娘七波が主人公である。
        舞台は現代で、家族に内緒で広島に向かう父を尾行する七波のお話。
        現代から過去の回想シーンへの移行が情緒豊かで本当に美しいと感じた。
        皆実と七波がよく似ているのが、この物語に何か特別な意味を与えている気がする。

        >> 続きを読む

        2018/04/21 by くにやん

    • 他2人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      モーターサイクル・ダイアリーズ

      Guevara Ernesto , 棚橋加奈江

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:南アメリカ
      3.0
      いいね!
      • この映画を映画館で観る機会があって、良かったので、本も読むことに。
        読みやすい文章では無かった。原文はスペイン語で、日記であり、彼は作家では無いのだからしょうがない。でも旅ってこういうことなんだろう。7ヶ月の時間を体感し、彼と一緒に出発時とは違う自分に成ってると感じられた。
        あと、スピーチは流石に上手いね。
        >> 続きを読む

        2018/05/13 by まさあき

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      生首に聞いてみろ the Gorgon's look

      法月綸太郎

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! Tukiwami

      • 友人の写真家の個展を訪れた名探偵・法月綸太郎は、そこで旧知の翻訳家の川島敦志と姪の江知佳に出会う。

        江知佳の父親は、前衛的な彫刻で知られる川島伊作。
        近年は、創作上のスランプに陥り、随筆家として活躍していたが、ちょうど大病の手術を終え、江知佳をモデルにした久々の新作の彫刻に取り掛かっているところだった。

        しかし、ちょうどその日、新作に情熱を注ぎ過ぎたためか、アトリエで倒れ、帰らぬ人となってしまう。
        その上、葬儀が終わった直後、江知佳をモデルにした件の彫刻「母子像」の首が切断され、持ち出されているのが発見される。

        まるで殺人予告かのような盗難に江知佳の身を案じ、敦志は綸太郎に捜査を依頼するが、伊作の追悼展が開かれる名古屋の美術館に江知佳の切断された首が送りつけられてしまう-------。

        この法月綸太郎の長編ミステリ「生首に聞いてみろ」は、第5回本格ミステリ大賞受賞作で、著者が受賞時のコメントで「はじめにタイトルありき」と述べている題名は、都築道夫の「なめくじに聞いてみろ」のもじりであり、川島家の複雑な家庭事情や、中盤のある関係者への事情聴取の場面は、ロス・マクドナルドの影響がうかがわれますね。

        そして、その佇まいは意外と軽やかで、エラリー・クイーン的な思索は一旦、後景に退き、綸太郎によるいくつかの失策も、苦悩よりはむしろパズルのピースとして我々読者を驚かせる構図に繋げられる。

        そういった在り方は、二転三転する石膏像の首を巡る議論や、精緻な伏線が真相に収束する筆致と相まって、克己的ともいえる印象を与えていると思う。

        芸術家と、彼が遺した作品を巡るミステリというと、著者の名作「カット・アウト」が思い出されますが、この作品も人体を直取りした石膏像の"模倣"についての掛け合いなど、謎解き推理のアナロジーとして、芸術を見つめる視線が散見される。

        これは最終的には否定されるのだが、早い段階で美術評論家・宇佐見によって提示された仮説は実に魅力的だ。

        そういった衒学趣味が知的興味を喚起する一方、最終的に明るみになるのは、芸術家の周縁で運命に蹂躙された女性たちの姿であり、ラストで一人残された家族が漏らす嗚咽は、何とも物悲しい。

        >> 続きを読む

        2019/02/22 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      百鬼夜行

      京極夏彦

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • サイドストーリーとはいえ京極先生、これはファンを殺すなあ、と(笑)。

        まず、各短編の主役が脇役過ぎる。。。

        杉浦(女郎蜘蛛の脇役的殺人鬼)
        平野(同上)
        鈴木(百鬼夜行シリーズでは不登場・・・)
        棚橋・堀越(鉄鼠の消防団。ただし棚橋は鉄鼠では不登場・・・)
        山本(女郎蜘蛛の犠牲者の女教師。出るなり死んでた人物で印象薄い)
        岩川(塗仏で子供に弄ばれた無能な警察)
        円(鉄鼠の貫首。ほぼ登場しない)
        木下(警察。色んな作品に出てくるが地味で存在感なし)

        目を引く話はせめて二つで、
        久遠寺涼子(姑獲鳥の主キャラ)と関口夫妻、の話くらいだろう。
        それらもとはいえ暗く、特に読んで何か思い入れが深まるような情報も逸話もないしと。


        京極シリーズは、
        姑獲鳥が切れ味鋭く一部のファンの口コミを中心にヒットして、
        魍魎で受賞と共に大ヒットしてファンが増えて、
        しかし狂骨と鉄鼠で分量が長大になったこともありライトなファンを振り落として、
        女郎蜘蛛が巧い話で残っていたファンを満足させて、
        しかし塗仏が異常な長大さでコアファンのみを残してほぼファンを駆逐して、
        そのコアファンをも殺そうというのがようやく出たこのサイドストーリーで、

        自分の場合にはその後の作品含めもう沢山出ている状態なのでまだ耐えられるが、
        寡作になった当時の京極シリーズで、これはきついだろうな(笑)。
        当時にファンだったら果たして残れていたかどうか。。。


        というのが一番の感想だったのだけれど、もう一点、これは前向きな感想で、
        この短編集そのものは大して面白くないのだけれど、一つ一つが、百鬼夜行画集に載る妖怪から発想を得て書かれた話で、この妖怪の絵からよくまあこんな話を考え出したな~という観点で見ると感心が尽きない作品。

        個人的にはこれで妖怪への興味が飛躍的に増してしまって、今や、百鬼夜行画集はおろか、妖怪談義の類いもネットで買い集めてしまっています。
        今度、アベノハルカスの大妖怪展にも行ってきます。

        妖怪は奥が深そうな世界で、これは拓かれた思いです。
        >> 続きを読む

        2017/08/19 by フッフール

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      魔笛

      野沢尚

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! yakatyu
      • 小説でこんなにエンタテイメント性溢れる作品が書けるのは、さすが脚本家でもある野沢尚なんだと思う。
        一文一文読み進める度に、その情景が克明に頭に浮かぶ表現力は物凄い。この作品は中でも群を抜いている。
        >> 続きを読む

        2015/05/12 by yuria

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      蒼穹の昴

      浅田次郎

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.6
      いいね!
      • 中国清朝末期(19世紀後半~)を舞台にした歴史小説巨編。

        科挙に登第し官僚として立身を試みる文秀と、貧しさゆえに宦官として出世を試みる少年・春児。第1巻では、それぞれのスタートポイントが描かれています。

        非常に大きな世界観の中で、伸びよう伸びようとする2人の生き様に逞しさと清々しさを感じます。自身も些事にこだわらず、大きく伸びたいと思える本です。
        >> 続きを読む

        2014/09/30 by こいこい

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 24人が本棚登録しています
      肩ごしの恋人

      唯川恵

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • なんだろう、このいびつな幸福感は!
        女であることを最大の武器に生きる「るり子」と、恋にのめりこむことが怖い「萌」
        対照的なふたりの生き方を通して模索する女の幸せ探しの物語。
        子どもを産める女ならではの幸せを感じた。

        恋とセックス。
        るり子と萌の視点が交差する物語。
        そこに、エロスは感じない。
        食欲や睡眠欲と同じように、性欲は日常。
        生きている、愛している、愛されている実感を感じたい。

        美貌を武器に、恋して、結婚して来たるり子。
        やがて、歳を取り、その美貌も武器にならなくなる。
        けれど、それでも、好きなことを通し続ける彼女に、
        だんだん親近感を覚えてくる。

        対照的なふたりの貪欲な生き方に共感を感じる。
        そして、家出したきた15歳の崇との3人の同棲生活。

        ヤケになったるり子が、15歳の崇へ言う。
        「ねえ、抱いてよ」
        「抱けないけれど、抱きしめることならできるよ」

        人は人の温もりを感じて生きてゆける。
        そんな微笑ましさを感じる。
        そして、子どもを宿った萌の落ち着いた様子。
        最後、腐れ縁の対照的な二人のやりとりに、いびつな幸福感に包まれた。
        第126回直木賞受賞作
        >> 続きを読む

        2015/10/17 by てるゆき!

    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      間宮兄弟

      江國香織

      小学館
      カテゴリー:小説、物語
      2.7
      いいね!
      • 何かが起こりそうで結局元の日常に戻ってく、冴えない兄弟の物語。父性愛が働くのか、好きにはなれんが愛着のわく兄弟でした。 >> 続きを読む

        2017/08/28 by hiro2

    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      電車男

      中野独人

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!

      • ひとりの青年が、ネット上の巨大掲示板「2ちゃんねる」に、ある体験を書き込んだ。

        電車の中で酔っ払いに絡まれる女性を勇気を振り絞って助けた。
        数日後、彼のもとに、かの女性からお礼のカップが届く。

        二十二歳のその日まで女性とまったく縁がなかった彼は、動転し掲示板に助けを求める。
        「電話をかけたい。もう一度話したい。でもどう話しかけたらいいんだろう。」
        見るにみかねた掲示板の投稿者たちが、彼にアドバイスを始めるのだった-------。

        今や日本で最も有名になった匿名青年「電車男」の物語だ。
        この中野独人の「電車男」は、その投稿の一部始終をまとめた抱腹絶倒のノンフィクションだ。

        一見はやりの純愛ブームに便乗した愛の物語のようだが、この顚末には、恋をしたことのある人なら誰にでも覚えがある、恋愛への欲望と計算とぶざまが惜しげもなくさらされているという点で、「裏ソナタ」とでも言うべき等身大の魅力に満ちていると思う。

        そして、チャーミングなのは、何と言っても、よってたかって彼に忠告をするネット投稿者たちの存在だ。
        彼らのほとんどが、実は彼と同じように日頃、女性と接触のない男性たちで、それゆえ、そのアドバイスは時に深読み、時に迷走、そして暴走する。

        生まれて初めて女性に電話をかける「電車男」を励ます言葉が「小学校の時に最初で最後の下着泥した勇気でよければくれてやる!」。

        やがて彼は、見知らぬネット投稿者に支えられ、「電車男」は、愛と勇気に彩られた奇跡の二カ月を生み出すことになるのだが-------。

        この物語を空前絶後の恋愛と見るか、マインドコントロールされた若者の貧しい恋愛劇ととるか、はたまたすべてが仕組まれた壮大な作り話と割り切るかは、読み手の感性にかかっていると思う。

        この小説は、笑って笑って、そして最後に訪れる奇跡の瞬間に心揺さぶられる一冊だ。

        >> 続きを読む

        2018/10/27 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      考える短歌 作る手ほどき、読む技術

      俵万智

      新潮社
      カテゴリー:詩歌
      4.5
      いいね!
      • 歌がうまくなりたい一心で買い求めた本。

        短歌上達の秘訣は、優れた先人の作品に触れることと、
        自作を徹底的に推敲吟味すること、と。


        あの、俵万智さんが読者からの投稿を元に、添削指導。
        でも、その添削対象の短歌でさえ、私からすれば雲梯の違い。

        もっと、基礎から教えて欲しいんですが・・・。

        教えとして、各講のお題を列挙しときます。

        ・「も」あったら疑ってみよう
        ・句切れを入れてみよう
        ・思いきって構造改革をしよう
        ・動詞が四つ以上あったら考えよう
        ・体言止めは一つだけにしよう
        ・副詞には頼らないでおこう
        ・数字を効果的に使おう
        ・比喩に統一感を持たせよう
        ・現在形を活用しよう
        ・あいまいな「の」に気をつけよう
        ・初句を印象的にしよう
        ・色彩をとりいれよう
        ・固有名詞を活用しよう
        ・主観的な形容詞は避けよう
        ・会話体を活用しよう

        しばらく、これらに、注意しながら、短歌づくりに励みまっせ。

        >> 続きを読む

        2018/05/28 by ごまめ

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      ハーバードからの贈り物

      幾島幸子 , WademanDaisy.

      武田ランダムハウスジャパン
      カテゴリー:人生訓、教訓
      3.0
      いいね!
      • 85ページ: 私がのちにCEOになったとき、友人はこうみごと言ってのけたものだ。「スティーヴ、もう二度と手に入れられないものが二つあるよーーまずい食事と真実だ」 >> 続きを読む

        2015/03/19 by Neo*

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      203号室 (光文社文庫)

      加門 七海

      1.5
      いいね!
      • 本の表紙につられて読みたくなる、ということってありますよね。
        この本も表紙のおどろおどろしいのにつられて読みました。
        が、内容はがっかり。おすすめしません。つまんない。

        最近のホラーだとやっぱり「リカ」ですね。
        ディーン・クーンツもおもしろいです。
        ホラー系本で背筋が凍る思いをまたしてみたいです(^^)
        >> 続きを読む

        2016/07/02 by madison28

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      ジス・イズ・パリ

      松浦弥太郎 , SasekMiroslav

      ブルース インターアクションズ
      4.5
      いいね!
      • 美しい構図の絵が多いロンドン、思い入れのあるミュンヘンと読んできた。そしてシリーズ原点のパリ。
        やっぱり世界の都市の中でパリは憧れの街と実感。

        半世紀も前の書籍なので情報は古いがそれもまたノスタルジックな雰囲気で良い味となっている。
        映画でお馴染みの建物・公園・カフェが登場するとそれとわかる忠実でカラフルなイラスト。

        この本を読んだおかげで2歳の息子は東京タワーを観て「エッフェル塔!」と間違えたり、パン屋に行くと「フランスパン!」とテンションが上がるようになったw
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        2013/04/23 by ybook

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      肉単

      河合良訓 , 原島広至

      エヌ・ティー・エス
      カテゴリー:基礎医学
      4.0
      いいね! tiger watawata
      • 昔英単語を憶えるために買った参考書はたしか「ゲリ単」と呼ばれていました。

        久しぶりに出会ったお勧め単語集は本書「肉単」。
        タイトルで思わず手に取りました。
        医学向けに筋肉の名称を解説している本です。

        シリーズ物で「骨単」「臓単」「ツボ単」「生薬単」「骨単Map & 3D」がありまして
        だめ押しなのか「3D踊る肉単」というものもありました。

        裏表紙には鍼灸 ・カイロ・介護・スポーツ科学・美術解剖学・ボディビルダーにも、と書かれており、大変ふところの広い単語集です。


        図版はとても豊富。
        各筋肉の漢字の名称にかな・ギリシャ語・ラテン語が表記されています。

        なにより本書(このシリーズ全体)で特筆すべきは
        うんちくの守備範囲です。
        ギリシャ語・ラテン語表記の語源の解説やコラムがとても面白いです。
        例えば、
        「ヒラメ筋」の解説はこんな感じです。
        ラテン語でソレア「靴底、サンダル」に由来。英語のソウル「足底、ソール」も同根語。
        サンダルの形に煮た「舌ビラメ」も英語でsoleという。

        コラムだと
        「肛門括約筋とスフィンゴ脂質とスフィンクス」
        「広頚筋(こうけいきん・あごから鎖骨にのびている筋肉)と血小板、プラザと高原とプラトン」
        「腓腹筋(ひふくきん・ふくらはぎの筋肉)と大根役者と無線通信」
        といった具合で雑学的に楽しめます。


        2004年の初版から自分の手元にある2007年版でなんと29刷目。
        発行部数は分かりませんがものすく売れている本ではないでしょうか。


        シリーズをざっと見た限りどれも面白そうでした。
        「ツボ単」はさすがにラテン語表記はなかったようです。
        次は「生薬単」を読もうかなと思ってます。こちらの本の情報量は半端なかったです。
        いまから楽しみ。

        追記 著者はイラストも担当。
        「歴史・サイエンスライター。古代言語愛好家で明治大正時代の絵はがき収集家」と紹介に書いてあり納得しました。
        序文にレンブラントの「トゥルプ博士の解剖学講義」の間違いについて詳しく書かれていてこの本は大丈夫だと確信しました。

        他所で書いたものを転載しました。
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        2017/11/10 by katabami

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      デモクラシー

      金田耕一 , CrickBernard , 添谷育志

      岩波書店
      カテゴリー:政治学、政治思想
      4.0
      いいね!
      • 本当にビターな味わいのある、すばらしいデモクラシーについての本だと思う。

        著者が言うには、デモクラシー(民主制、民主主義)は、善き統治にとって重要な要素ではあるが、それだけで善き統治になるとは限らない。

        歴史上、デモクラシーと呼ばれてきたものには大きく四つある。

        1、ギリシャのデモクラシー(直接民主主義)
        2、ローマの共和政(混合政体。元老院と民衆の権力の混合。)
        3、ルソーなどの、素朴で無知な庶民が政治参加によって道徳的になりうるし、政治参加すべきであるという思想。
        4、ミルなどの、法的に保障された個人の権利と人民の権力が適度に混合された代議民主制。

        それぞれかなり違うものであり、実際にどのような歴史的経緯があったかを、該博な知識とユーモアに富んだ深みのある筆致で描いている。

        そして、トクヴィルを引きながら、デモクラシーにおける多数者の暴政の危険(画一性、凡庸さ、多様性・卓越性への不信など)を指揮しつつ、

        中間団体・国家・個人的な権利の三者の継続的な相互作用としてデモクラシーをとらえ、中間団体の重要性を指摘し、単に個人と強力な中央集権とではデモクラシーはきちんと機能しないと述べているのは共感させられた。

        さらに、本書ではなかなか辛辣にポピュリズムの危険性を指摘している。

        決してデモクラシーとは、それ自体で必ずしも理想的とも善い統治になるとも言いきれず、さまざまな留保が必要な、ともすれば堕落や危険を伴いやすいものであるというわけである。

        にもかかわらず、デモクラシーは専制政治や全体主義よりはるかに良いと筆者は述べる。

        一、デモクラシーより、専制の方が、真実を暴かれた時のリスクが大きい。
        二、政府が開かれていて透明性が高いこと、情報の自由があるだけでなく、実際に情報を手に入れ流布できること。

        この二つは、実際に政治に参加することと同じぐらい重要だと、筆者は述べる。

        そして、末尾で、西欧における二つの大きな政治思想の流れ、つまりデモクラシーと共和主義の二つは、ある意味摩擦のあるものだが、近代デモクラシーを前提とした上で、教育によって公民的共和主義の能力を涵養し、身近な多元的な中間集団において参加の機会を得て行く道筋が語られている。

        決して民主主義を理想視もせず、かといって見捨てもせず、ビターなユーモラスな、そして深みある筆致で、目指すべき善き統治とは何かを読者に道案内し、歴史の多様な要素の中から選ばせる本書は、決して初心者向けの入門書というよりは、デモクラシーについて深く考えたい人のための、かなり玄人向けの、さらなる深いデモクラシーや政治への思索の「入門書」として最適だと思う。
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        2012/12/22 by atsushi

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      可愛い女

      アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ , 神西清

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •  19世紀は、50年、いいや100年に1人クラスの天才(小説家)がとにかく多くて、あるバスケ漫画の「キセキの世代」どころの騒ぎではなかった。バスケのチームが三組は組める。どのチーム相手でも、20世紀代表や21世紀代表では練習にもならないだろう。
         なかでも、バルザックとチェーホフ、この二人のプレーが群を抜いてすごかった。あれ? 引きこもりプレーをやらせたらピカイチのドストエフスキー選手や、天才の眼と比類なき恐妻家で知られるトルストイ選手はどうなの、という声が聞こえてきそうだが、ここではあの二人にしておいて下さい。まあ、長篇部門はめんどくさいけれど、短篇はチェーホフで決まりでしょう。ついこの間、ノーベル賞をもらったアリス・マンローも、「現代のチェーホフ」と言われている訳ですし。
         では、ここからは作品について。この岩波文庫には、「可愛い女(ひと)」、「犬を連れた奥さん」、「イオーヌィチ」の三篇が入っている。翻訳は神西清のもので、彼の流麗な日本語を大いに楽しむことができる。が、新潮文庫の小笠原豊樹(詩人 岩田宏の本名)の訳文も当世風で心地がよいから困る(神西訳はやや古めかしい)。どっちにしようか? 小声で言いますが、できれば大きい書店に行く方がいい。チェーホフにはそれだけの値打ちがあります。
         長くなったので、作品の中身はまたいつか。ちなみに、「犬を連れた奥さん」は陽気なタイトルのくせに、じつは不倫物なんです。ああー、チェーホフは犬を連れた奥さんを選ぶのかあー、くそーォ。じゃあ、ぼくは猫をかぶった巫女さんにしよう。
        >> 続きを読む

        2015/04/07 by 素頓狂

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出版年月 - 2004年9月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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